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審決分類 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  B41J
審判 全部申し立て 2項進歩性  B41J
管理番号 1119438
異議申立番号 異議2003-71410  
総通号数 68 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2003-01-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-05-26 
確定日 2005-04-22 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3351429号「プリンタ装置」の請求項1ないし3に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3351429号の請求項1ないし2に係る特許を取り消す。 
理由 第1 手続の経緯
特許第3351429号(請求項の数3)に係る出願は、平成9年9月3日に出願された特願平9-237999号の一部を、平成14年4月26日に新たな特許出願とした特願2002-126526号であり、その発明について平成14年9月20日に特許権の設定の登録があった。
その後、請求項1〜請求項3に係る特許について、平成15年5月26日に特許異議申立人大木茂から特許異議の申立てがあった。
平成15年7月30日付けで当審より取消しの理由が通知されたところ、平成15年10月6日に特許権者から意見書(以下、「特許異議意見書」という。)及び訂正請求書(以下、この訂正請求による訂正を「本件訂正」という。)が提出された。

第2 訂正の可否の判断

1.訂正の内容

[訂正事項1]
特許請求の範囲を、本件訂正前の
「【請求項1】画像ファイルが格納されたメモリカードを接続するコネクタと、前記コネクタを介して前記メモリカードを制御するカード制御手段と、前記画像ファイルを読み出すファイル制御手段と、前記ファイル制御手段が読み出した前記画像ファイルを所定の画像データの形式に変換する画像変換手段と、画像変換された前記画像データに対して画像処理を行い印刷可能なデータ形式に変換する画像処理手段と、印刷すべき一枚以上の画像を所定の手順で決定し、少なくとも前記ファイル制御手段に指示を出す印刷管理手段と、を有するプリンタ装置であって、
前記画像変換手段は、前記メモリカードから読み出された前記画像ファイルのヘッダ部を解析し少なくとも縦横の画素数と圧縮画像を展開するのに必要な所定のパラメータを抽出する手段と、前記パラメータを用いて圧縮画像データをビットイメージ画像に展開する手段と、展開されたビットイメージ画像をフレームメモリに格納するのに適したサイズに拡大・縮小を行う変倍手段と、を備え、前記変倍手段において画像を縮小する場合には、X方向またはY方向の縮小率の小さい方を縮小率として採用することを特徴とするプリンタ装置。
【請求項2】X方向またはY方向において、前記フレームメモリ内に納まらない画素は切ることを特徴とする請求項1に記載のプリンタ装置。
【請求項3】画像ファイルが格納されたメモリカードを接続するコネクタと、前記コネクタを介して前記メモリカードを制御するカード制御手段と、前記画像ファイルを読み出すファイル制御手段と、前記ファイル制御手段が読み出した前記画像ファイルを所定の画像データの形式に変換する画像変換手段と、画像変換された前記画像データに対して画像処理を行い印刷可能なデータ形式に変換する画像処理手段と、印刷すべき一枚以上の画像を所定の手順で決定し、少なくとも前記ファイル制御手段に指示を出す印刷管理手段と、を有するプリンタ装置であって、
前記画像変換手段は、前記メモリカードから読み出された前記画像ファイルのヘッダ部を解析し少なくとも縦横の画素数と圧縮画像を展開するのに必要な所定のパラメータを抽出する手段と、前記パラメータを用いて圧縮画像データをビットイメージ画像に展開する手段と、展開されたビットイメージ画像を印画範囲に収めるのに適したサイズに拡大・縮小を行う変倍手段と、を備え、前記変倍手段において画像を縮小する場合には、X方向またはY方向の縮小率の小さい方を縮小率として採用することを特徴とするプリンタ装置。」
から
「【請求項1】画像ファイルが格納されたメモリカードを接続するコネクタと、前記コネクタを介して前記メモリカードを制御するカード制御手段と、前記画像ファイルを読み出すファイル制御手段と、前記ファイル制御手段が読み出した前記画像ファイルを所定の画像データの形式に変換する画像変換手段と、画像変換された前記画像データに対して画像処理を行い印刷可能なデータ形式に変換する画像処理手段と、印刷すべき一枚以上の画像を所定の手順で決定し、少なくとも前記ファイル制御手段に指示を出す印刷管理手段と、を有するプリンタ装置であって、
前記画像変換手段は、前記メモリカードから読み出された前記画像ファイルのヘッダ部を解析し少なくとも縦横の画素数と圧縮画像を展開するのに必要な所定のパラメータを抽出する手段と、前記パラメータを用いて圧縮画像データをビットイメージ画像に展開する手段と、展開されたビットイメージ画像をフレームメモリに格納するのに適したサイズに拡大・縮小を行う変倍手段と、を備え、前記変倍手段において画像を縮小する場合には、X方向またはY方向の縮小率が異なる場合は縮小率の小さい方を縮小率として採用することを特徴とするプリンタ装置。
【請求項2】画像ファイルが格納されたメモリカードを接続するコネクタと、前記コネクタを介して前記メモリカードを制御するカード制御手段と、前記画像ファイルを読み出すファイル制御手段と、前記ファイル制御手段が読み出した前記画像ファイルを所定の画像データの形式に変換する画像変換手段と、画像変換された前記画像データに対して画像処理を行い印刷可能なデータ形式に変換する画像処理手段と、印刷すべき一枚以上の画像を所定の手順で決定し、少なくとも前記ファイル制御手段に指示を出す印刷管理手段と、を有するプリンタ装置であって、
前記画像変換手段は、前記メモリカードから読み出された前記画像ファイルのヘッダ部を解析し少なくとも縦横の画素数と圧縮画像を展開するのに必要な所定のパラメータを抽出する手段と、前記パラメータを用いて圧縮画像データをビットイメージ画像に展開する手段と、展開されたビットイメージ画像を印画範囲に収めるのに適したサイズに拡大・縮小を行う変倍手段と、を備え、前記変倍手段において画像を縮小する場合には、X方向またはY方向の縮小率が異なる場合は縮小率の小さい方を縮小率として採用することを特徴とするプリンタ装置。」
と訂正する。なお、下線は訂正箇所を示す。

[訂正事項2]
本件訂正前の発明の詳細な説明における【0025】に記載された「前記変倍手段において画像を縮小する場合には、X方向またはY方向の縮小率の小さい方を縮小率として採用することを特徴とするプリンタ装置としたものである。」を「前記変倍手段において画像を縮小する場合には、X方向またはY方向の縮小率が異なる場合は縮小率の小さい方を縮小率として採用することを特徴とするプリンタ装置としたものである。」と訂正する。なお、下線は訂正箇所を示す。

2.訂正目的の適否、新規事項追加の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
訂正事項1に係る訂正のうち、「X方向またはY方向の縮小率が異なる場合は縮小率の小さい方を縮小率として採用する」とする訂正は、本件訂正後の請求項1及び2に係る発明において、X方向またはY方向の縮小率が異なる場合があることを明りょうにするものであり、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。訂正事項1に係る訂正のうち、本件訂正前の請求項2を削除する訂正(本件訂正前の請求項3を請求項2とすることを含む)は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。また、訂正事項2に係る訂正は、訂正事項1に係る特許請求の範囲の訂正と整合させるため、発明の詳細な説明を訂正するものであり、明りようでない記載の釈明を目的とするものである。
そして、訂正事項1及び訂正事項2は、それぞれ願書に添付した明細書又は図面(以下、「特許明細書」という。)における「また、JPEG画像の画素のアスペクト比がフレームメモリの画素のアスペクト比と一致しない場合は、XまたはY方向の拡大・縮小率を変えることにより対応する。例えば、本プリンタの印画範囲は、640画素×480画素でアスペクト比は4:3である。そこにPfotoCDのBASE相当の画素数(768画素×512画素でアスペクト比が3:2)が入力されたとき、768/640=1.2と512/480=1.067の大きい方を縮小率として採用する。この場合、640画素×426画素に縮小され、画像の端が切れることなく印画範囲内に納めることができる。また、縦横の縮小率の小さい方を採用し横方向を640画素に切り、640画素×480画素にすることも可能である。」(段落番号0049)等の記載に基づくものであるから、特許明細書に記載した事項の範囲内でなされた訂正である。
さらに、訂正事項1及び訂正事項2が、特許請求の範囲を実質上拡張又は変更するものでないことは明らかである。

3.訂正の可否の判断の結論
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の4第2項及び同条第3項において準用する特許法第126条第2項から第4項までの規定に適合するので、本件訂正を認める。

第3 特許異議申立についての判断

1.本件発明の認定
上記したとおり、本件訂正が認められるから、本件の請求項1及び請求項2に係る発明は、訂正請求書に添付された訂正明細書(以下、単に「訂正明細書」という。)の特許請求の範囲の請求項1及び請求項2に記載された事項により特定される次のとおりのものと認める(以下、請求項番号に従い「本件発明1」、「本件発明2」という。)。

「【請求項1】画像ファイルが格納されたメモリカードを接続するコネクタと、前記コネクタを介して前記メモリカードを制御するカード制御手段と、前記画像ファイルを読み出すファイル制御手段と、前記ファイル制御手段が読み出した前記画像ファイルを所定の画像データの形式に変換する画像変換手段と、画像変換された前記画像データに対して画像処理を行い印刷可能なデータ形式に変換する画像処理手段と、印刷すべき一枚以上の画像を所定の手順で決定し、少なくとも前記ファイル制御手段に指示を出す印刷管理手段と、を有するプリンタ装置であって、
前記画像変換手段は、前記メモリカードから読み出された前記画像ファイルのヘッダ部を解析し少なくとも縦横の画素数と圧縮画像を展開するのに必要な所定のパラメータを抽出する手段と、前記パラメータを用いて圧縮画像データをビットイメージ画像に展開する手段と、展開されたビットイメージ画像をフレームメモリに格納するのに適したサイズに拡大・縮小を行う変倍手段と、を備え、前記変倍手段において画像を縮小する場合には、X方向またはY方向の縮小率が異なる場合は縮小率の小さい方を縮小率として採用することを特徴とするプリンタ装置。
【請求項2】画像ファイルが格納されたメモリカードを接続するコネクタと、前記コネクタを介して前記メモリカードを制御するカード制御手段と、前記画像ファイルを読み出すファイル制御手段と、前記ファイル制御手段が読み出した前記画像ファイルを所定の画像データの形式に変換する画像変換手段と、画像変換された前記画像データに対して画像処理を行い印刷可能なデータ形式に変換する画像処理手段と、印刷すべき一枚以上の画像を所定の手順で決定し、少なくとも前記ファイル制御手段に指示を出す印刷管理手段と、を有するプリンタ装置であって、
前記画像変換手段は、前記メモリカードから読み出された前記画像ファイルのヘッダ部を解析し少なくとも縦横の画素数と圧縮画像を展開するのに必要な所定のパラメータを抽出する手段と、前記パラメータを用いて圧縮画像データをビットイメージ画像に展開する手段と、展開されたビットイメージ画像を印画範囲に収めるのに適したサイズに拡大・縮小を行う変倍手段と、を備え、前記変倍手段において画像を縮小する場合には、X方向またはY方向の縮小率が異なる場合は縮小率の小さい方を縮小率として採用することを特徴とするプリンタ装置。」

2.取消理由の骨子
平成15年7月30日付けで当審より通知した取消理由の骨子は次のとおりである。なお、本件訂正前の請求項2に係る発明は本件訂正により削除されたので、本件訂正前の請求項2に係る発明についての取消理由は記載していない。

[取消理由1]
本件訂正前の請求項1及び請求項3(当審注:本件訂正後の請求項1及び請求項2のこと。以下同じ。)に係る発明についての特許は、特許法第36条第6項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
したがって、本件訂正前の請求項1及び請求項3に係る発明についての特許は、特許法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである。

[取消理由2]
本件訂正前の請求項1及び請求項3に係る発明は、特開平6-8537号公報(特許異議申立人大木茂提出の甲第1号証。以下「引用例1」という。)、特開平5-284331号公報(同甲第2号証。以下「引用例2」という。)に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明できたものであるから、本件訂正前の請求項1及び請求項3に係る発明についての特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
したがって、本件訂正前の請求項1及び請求項3に係る発明についての特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。

3.取消理由1の妥当性について
訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1及び請求項2には、それぞれ「前記変倍手段において画像を縮小する場合には、X方向またはY方向の縮小率が異なる場合は縮小率の小さい方を縮小率として採用する」と記載されている。
ところで、訂正明細書の発明の詳細な説明には、「また、JPEG画像の画素のアスペクト比がフレームメモリの画素のアスペクト比と一致しない場合は、XまたはY方向の拡大・縮小率を変えることにより対応する。例えば、本プリンタの印画範囲は、640画素×480画素でアスペクト比は4:3である。そこにPfotoCDのBASE相当の画素数(768画素×512画素でアスペクト比が3:2)が入力されたとき、768/640=1.2と512/480=1.067の大きい方を縮小率として採用する。この場合、640画素×426画素に縮小され、画像の端が切れることなく印画範囲内に納めることができる。また、縦横の縮小率の小さい方を採用し横方向を640画素に切り、640画素×480画素にすることも可能である。」(段落番号0049)と記載されている。すなわち、訂正明細書の発明の詳細な説明では、「縮小率」を「印刷データ/印画範囲(用紙サイズ)」と定義している。
しかしながら、例えば引用例2には「用紙の主走査方向及び副走査方向の長さをそれぞれXpp、Yppとし、トリミング枠の四隅のXY座標を、(Xo、Yo)、(Xo、Yp)、(Xp、Yo)、(Xp、Yp)としたときに式(1)及び式(2)で表される主走査方向及び副走査方向の倍率Mx、Myを算出する(ステップ#61、ステップ#62)。
主走査方向の倍率Mx=Xpp/|Xo-Xp|…(1)
副走査方向の倍率My=Ypp/|Yo-Yp|…(2)
次に、トリミング画像の全体をプリントするために、つまりプリントに際してトリミング画像の部分欠損が生じないようにするために、2つの倍率Mx、Myを比較して、これらの内の小さい方をプリント倍率Mとして所定レジスタに格納する(ステップ#63〜65)。」と記載されている。そして、引用例2の段落番号0045には「適当な倍率に拡大又は縮小されて」との記載があり、また、段落番号0052には「縮小時には、・・・書き込み用のクロックWCKの周期が倍率(縮小倍率)に応じて長くなり」と記載があるように、引用例2記載の「倍率」は「縮小率」も意味するものである。それ故、引用例2記載の「縮小率」は「用紙サイズ/印刷データ」と定義されているということができる。
してみると、「縮小率」には少なくとも2通りの定義が存在するのであり(特許権者も2通りの定義が存在することは認めている(特許異議意見書第6ページ7行〜第7ページ4行参照。)。)、単に「縮小率」というだけでは、「印刷データ/印画範囲(用紙サイズ)」であるのか、或いは「用紙サイズ/印刷データ」であるのかを特定することができない。
この点につき平成15年7月30日付け取消理由において、特許異議申立書第13ページ10行〜同ページ13行を引用し、「画像を縮小する場合には、X方向またはY方向の縮小率の小さい方を縮小率として採用する」との記載が不明確であると指摘した。これに対して特許権者は、「X方向またはY方向の縮小率が異なる場合は縮小率の小さい方を縮小率として採用する」と訂正することにより記載不備は無くなったと主張するが(特許異議申立書第3ページ18行〜同ページ21行)、当該訂正事項によって「縮小率」の定義が明確になったとは到底いえない。
したがって、訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1及び請求項2にそれぞれ記載された「前記変倍手段において画像を縮小する場合には、X方向またはY方向の縮小率が異なる場合は縮小率の小さい方を縮小率として採用する」が明確であるということはできず、取消理由1は妥当である。

4.取消理由2の妥当性について
前記3.において述べたとおり、訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1及び請求項2における「前記変倍手段において画像を縮小する場合には、X方向またはY方向の縮小率が異なる場合は縮小率の小さい方を縮小率として採用する」との記載は明確でないが、仮に「縮小率」を「印刷データ/印画範囲(フレームサイズ)」であると善解して、本件発明1及び本件発明2の進歩性を判断する。

(1)引用例1記載の発明
取消理由に引用された引用例1には次の事項が記載されている。

(ア)段落番号0018
「図1において、制御装置21は、当該プリンタシステムの各部の動作を統括して管理するものであり、マイクロプロセッサ及びその周辺回路で構成される。」

(イ)段落番号0022〜0024
「カード操作装置25は、メモリカード29に蓄積されているデータを読み取ったり、メモリカード29にU/I22で作成したプリントジョブを書き込んだりするものである。なお、後述するようにこの実施例ではメモリカード29に蓄積される画像データは適宜の高能率符号化方式でデータ圧縮されているものとするので、カード操作装置25は圧縮されている画像データを伸長する手段を備えているものである。
フレームメモリ26は印画装置27で印画する画像データを一時的に蓄積しておくためのメモリであり、例えば640画素(水平方向)×480画素(垂直方向)程度の画像データを蓄積できるメモリで構成される。
印画装置27は、フレームメモリ26から供給される画像データを印画するものであり、どのような形式のものでもよく、またカラープリンタでも、モノクロプリンタでもよい。」

(ウ)段落番号0026〜0028
「メモリカード29は、・・・ここでは本出願人が先に開発したデジタルスチルカメラシステム(Digital Still Camera System)で使用する、8MビットのスタティックRAMを搭載するものを用いるものとする。
さて、メモリカード29は、デジタルスチルカメラにセットされ、撮影された画像データ・・・が蓄積される場合のメモリ構造は図3Aに示すようであり、ID情報、画像情報のアドレス情報、画像情報の関連情報、プリントプログラム情報及び画像情報が書き込まれる領域が設定される。
図3Aにおいて、ID情報の領域には当該メモリカードが画像データが蓄積されているメモリカードであることを示す情報が書き込まれ、画像情報のアドレス情報には蓄積されている各画像が当該メモリカードのメモリ空間上のどの番地からどの番地に格納されているかを示す情報が書き込まれている。画像情報はデジタルスチルカメラで撮影された画像データが蓄積される領域であるが、図3Bに示すように画像データの他に画像再生情報が記憶される。画像データはデータ圧縮を行わずそのままメモリカード29に書き込むようにしてもよいが、ここでは一つのメモリカード29により多くの画像データを蓄積できるように、書き込みの際に高能率符号化方式、例えば適応型離散コサイン変換及びハフマン符号化方式を用いた高能率符号化方式によりデータ圧縮されるものとする。また、画像再生情報には、図3Cに示すように、当該画像データが何番目の画像データであるかを示すID番号、データ圧縮された後のデータ量、及び当該画像がプリントされる際の色合い、明るさ、シャープネス、コントラスト等を定める再生情報が書き込まれる。」

(エ)段落番号0034〜0036
「まず、プリントジョブを作成する場合について説明する。まずオペレータは所定のメモリカード29をカード操作装置25にセットし、U/I22のプログラムボタン35を押す。制御装置21はプログラムボタン35が押されたことを検知すると、カード操作装置25に対して当該メモリカード29に蓄積されている画像データの中の第1番目の画像データの読み出しを指示すると共に、表示コントローラ23に対してプログラムプリントの設定画面の表示を指示する。これによってカード操作装置25は第1番目の画像データを読み出し、データを伸長して表示コントローラ23に転送する。また表示コントローラ23は、カード操作装置25から転送されてきた画像データと、予め定められているプリントジョブ設定のための画面を合成してモニタ24に表示する。図7はその画面の例を示す図であり、モニタ24には、第1番目の画像と共に、ジョブ1が第1番目の画像である画像1をプリントするジョブでよいか否かの設定を要求する文字情報が表示される。なお、メモリカード29から読み出され、伸長された画像の画素数は640画素(水平方向)×480画素(垂直方向)程度であり、この画像はモニタ24の中の予め定められた領域に表示されることになる。従ってモニタ24に表示される画像はモニタ24の画像表示領域の画素数に応じて拡大あるいは縮小されるものである。また、図7Aにおいて50はカーソルを示す。
ジョブ1が画像1のプリントでよい場合には図7Aの表示がなされている状態でオペレータは選択ボタン43を押すことになるが、最初に第3番目の画像をプリントしたい場合には順送りボタン41で画像をコマ送りする。このとき制御装置21は、順送りボタン41が押される度毎にカード操作装置25に対して次の画面の読み出しを指示する。このようにして画像3をモニタ24に表示し、その状態で選択ボタン43を押すと、制御装置21はジョブ1として画像3のプリントを決定し、次にプリント枚数の入力を要求する画面の表示を表示コントローラ23に指示する。これにより、モニタ24には例えば図7Bに示す画面が表示される。この画面状態において選択ボタン43が押されるとプリント枚数は1枚に設定されるが、アップボタン46により所望の値を入力して選択ボタン43を押すことによってプリント枚数を所望の値に設定することができる。なお、図7Bでは画像3の図示は省略している。以下、同様である。
以上のようにして画像及びプリント枚数の設定が終了するとジョブ1の設定は終了となるが、その際に実行ボタン44を押すとプリントジョブの設定は終了となり、モニタ24には所定の初期画面が表示されることになるが、選択ボタン43を押した場合には図7Cに示すようにジョブ2の設定を行うための画面が表示される。」

(オ)段落番号0046〜0048
「また、メモリカード29に蓄積されている画像をプリントする場合には、モニタボタン40でソースの切り換えを行ってカード操作装置25からの画像をモニタ24に表示し、順送りボタン41、逆送りボタン42を操作してプリントしたい画像をモニタ24に表示させる。そしてその状態でメモリボタン32が押されると制御装置21は当該画面の画像データをフレームメモリ26に書き込む。このとき制御装置21は当該画像に設定されている画像再生情報をも取り込み、内部メモリ(図1には図示せず)に記憶する。その後プリントボタン33が押されるとモニタ24には、図11と同様に選択された画像及びプリント枚数の設定を要求するメッセージが表示される。この状態でダウンボタン45やアップボタン46によりプリント枚数が設定されて実行ボタン44が押されると、・・・印画装置27に対して画像再生情報を与えてプリント開始を指示すると共に、フレームメモリ26から1印画ラインずつ画像データを印画装置27に転送する。これによって印画装置27の各部は与えられた画像再生条件を満足する状態に設定され、プリントが行われる。
次にプログラムプリントを行う場合について説明する。メモリカード29がカード操作装置25にセットされ、カードプリントボタン34が押されると、制御装置21はメモリカード29のプリントプログラム情報を読み込み、・・・このプリントプログラムで設定されているジョブをジョブ番号の順に実行する。
その際、ジョブが一つの画像を1枚の記録紙にプリントするジョブである場合には、制御装置21は当該ジョブで選択されている画像データをメモリカード29から読み出してフレームメモリ26に書き込むと共に、画像再生情報を読み出して印画装置27に与え、プリント開始を指示する。これにより画像再生情報で設定された通りの画像がジョブで設定された枚数だけプリントされる。」

そして、上記(エ)における「ジョブ1が画像1のプリントでよい場合には図7Aの表示がなされている状態でオペレータは選択ボタン43を押すことになるが、最初に第3番目の画像をプリントしたい場合には順送りボタン41で画像をコマ送りする。」との記載からみて、メモリカード29には複数の画像データが蓄積されている。同じく上記(エ)における「オペレータは所定のメモリカード29をカード操作装置25にセットし」との記載からみて、カード操作装置25にはメモリカード29を接続するコネクタを有していなければならない。
また、上記(オ)における「制御装置21はメモリカード29のプリントプログラム情報を読み込み、・・・このプリントプログラムで設定されているジョブをジョブ番号の順に実行する。・・・制御装置21は当該ジョブで選択されている画像データをメモリカード29から読み出してフレームメモリ26に書き込むと共に、画像再生情報を読み出して印画装置27に与え、プリント開始を指示する。」との記載からみて、「制御装置21」は、「印刷すべき一枚以上の画像データをジョブ番号という所定の手順で決定し、当該画像データをメモリカード29から読み出してフレームメモリ26に書き込む」ものである。その際、メモリカード29から画像データを読み出す機能はカード操作装置25が有していること(上記(イ)参照。)、及び制御装置21はプリンタシステムの各部の動作を統括して管理するもの(上記(ア)参照。)であることに鑑みると、「画像データをメモリカード29から読み出して」は「画像データをメモリカード29から読み出すようカード操作装置25に指示を出して」と解するべきである。
また、上記(イ)における「メモリカード29に蓄積される画像データは適宜の高能率符号化方式でデータ圧縮されているものとするので、カード操作装置25は圧縮されている画像データを伸長する手段を備えているものである。」との記載、及び、上記(ウ)における「画像データはデータ圧縮を行わずそのままメモリカード29に書き込むようにしてもよいが、ここでは一つのメモリカード29により多くの画像データを蓄積できるように、書き込みの際に高能率符号化方式、例えば適応型離散コサイン変換及びハフマン符号化方式を用いた高能率符号化方式によりデータ圧縮されるものとする。」の記載からみて、カード操作装置25は、高能率符号化方式、例えば適応型離散コサイン変換及びハフマン符号化方式を用いた高能率符号化方式により「データ圧縮されている画像データを伸長する手段」を備えている。そして、圧縮された画像データを伸長するために必要な所定のパラメータ(適応型離散コサイン変換及びハフマン符号化方式を用いた高能率符号化方式であればハフマンテーブルなど)を当然に入手しなければならない。
さらに、上記(イ)の「フレームメモリ26は印画装置27で印画する画像データを一時的に蓄積しておくためのメモリであり、例えば640画素(水平方向)×480画素(垂直方向)程度の画像データを蓄積できるメモリで構成される。」との記載、及び上記(エ)の「メモリカード29から読み出され、伸長された画像の画素数は640画素(水平方向)×480画素(垂直方向)程度」の記載からみて、メモリカード29から伸長された画像データは拡大・縮小されることなくフレームメモリに蓄積される。
それ故、これら(ア)〜(オ)の記載及び図示を含む引用例1の全記載及び図示からみて、引用例1には、以下の発明が記載されているものと認める(以下、「引用発明」という。)。

「デジタルスチルカメラシステムで使用するメモリカードであって、複数の画像データが圧縮されて蓄積され、かつ、当該画像データの前に画像再生情報が蓄積されたメモリカードと、
当該メモリカードを接続するコネクタを有し、当該メモリカードに圧縮して蓄積された画像データを読み取り、読み取った画像データを所定のパラメータを用いて伸長するカード操作装置と、
印画する画像データを一時的に蓄積しておくためのメモリであり、前記カード操作装置により伸長された画像データを拡大・縮小することなく蓄積するフレームメモリと、
前記フレームメモリから1印画ラインずつ転送される画像データをプリントする印画装置と、
印刷すべき一枚以上の画像データを所定の手順で決定し、当該画像データを前記メモリカードから読み出すよう前記カード操作装置に指示を出して、前記フレームメモリに書き込む制御装置と、
を有するプリンタシステム。」

(2)本件発明1と引用発明の一致点及び相違点の認定
本件発明1と引用発明とを対比する。

(2-1)引用発明における「画像データ」、「蓄積」、「伸長」、「プリンタシステム」は、それぞれ本件発明1における「画像ファイル」、「格納」、「展開」、「プリンタ装置」に相当する。

(2-2)引用発明における「カード操作装置」は、コネクタに接続されたメモリカードに蓄積された圧縮画像データを読み取るというメモリカードの制御を行うものであるから、本件発明1における「コネクタを介してメモリカードを制御するカード制御手段」及び「画像ファイルを読み出すファイル制御手段」に相当する。また、引用発明における「カード操作装置」が行う「読み取った画像データを所定のパラメータを用いて伸長する」は、本件発明1における「画像ファイルを所定の画像データの形式に変換する画像変換手段であって、前記画像変換手段は、圧縮画像を展開するのに必要な所定のパラメータを用いて圧縮画像データを展開する手段」の機能に相当する。
それ故、本件発明1及び引用発明は、「コネクタを介してメモリカードを制御するカード制御手段と、画像ファイルを読み出すファイル制御手段と、前記ファイル制御手段が読み出した前記画像ファイルを所定の画像データの形式に変換する画像変換手段とを有し、前記画像変換手段は、圧縮画像を展開するのに必要な所定のパラメータを用いて圧縮画像データを展開する手段」を有する点で一致する。

(2-3)引用発明における「制御装置」は、印刷すべき一枚以上の画像データを所定の手順で決定し、当該画像データを前記メモリカードから読み出すよう前記カード操作装置(本件発明1における「ファイル制御手段」に相当。)に指示を出すものであるから、本件発明1における「印刷すべき一枚以上の画像を所定の手順で決定し、少なくとも前記ファイル制御手段に指示を出す印刷管理手段」に相当する。

したがって、両者は、
「画像ファイルが格納されたメモリカードを接続するコネクタと、前記コネクタを介して前記メモリカードを制御するカード制御手段と、前記画像ファイルを読み出すファイル制御手段と、前記ファイル制御手段が読み出した前記画像ファイルを所定の画像データの形式に変換する画像変換手段と、印刷すべき一枚以上の画像を所定の手順で決定し、少なくとも前記ファイル制御手段に指示を出す印刷管理手段と、を有するプリンタ装置であって、
前記画像変換手段は、圧縮画像を展開するのに必要な所定のパラメータを用いて圧縮画像データを展開する手段と、を備えたプリンタ装置。」
で一致し、次の点で相違する。

[相違点1]
本件発明1では、圧縮画像をビットイメージ画像に展開するのに対して、引用発明では、圧縮画像を如何なる形式のデータに展開してフレームメモリに蓄積するのかが明確でない点。

[相違点2]
本件発明1では、画像変換された画像データに対して画像処理を行い印刷可能なデータ形式に変換する画像処理手段を有するのに対して、引用発明では、フレームメモリに蓄積された画像データを印刷可能なデータ形式に変換する手段を有するのか否かが明確でない点。

[相違点3]
本件発明1では、展開されたビットイメージ画像をフレームメモリに格納するのに適したサイズに拡大・縮小を行う変倍手段を備え、前記変倍手段において画像を縮小する場合には、X方向またはY方向の縮小率が異なる場合は縮小率の小さい方を縮小率として採用するのに対して、引用発明では、伸長された画像を拡大・縮小することなくフレームメモリに蓄積する点。

[相違点4]
本件発明1では、画像変換手段が、メモリカードから読み出された画像ファイルのヘッダ部を解析し少なくとも縦横の画素数と圧縮画像を展開するのに必要な所定のパラメータを抽出する手段を有しているのに対して、引用発明では圧縮画像を展開するのに必要な所定のパラメータを入手しているが、画像ファイルのヘッダ部を解析して入手したか否かが明確でなく、かつ、縦横の画素数は入手していない点。

(3)相違点についての判断及び本件発明1の進歩性の判断

(3-1)相違点1について
デジタルスチルカメラが撮影した画像は、通常、各画素ごとの色を所定のビット数で規定したビットイメージ画像である。したがって、引用発明のメモリカードに蓄積された画像データは、ビットイメージ画像を圧縮したものであり、これを伸長したものはビットイメージ画像となる。
それ故、この点について本件発明1と引用発明とに実質的な差異はない。

(3-2)相違点2について
上記(3-1)において述べたとおり、引用発明のメモリカードに蓄積された画像データを伸長したものはビットイメージ画像であり、このビットイメージ画像がフレームメモリに蓄積されることになる。そして、ビットイメージ画像を印刷するに当たっては、印刷に適した色空間に変換したり、ガンマ変換をすることが普通であり、これら変換手段が「印刷可能なデータ形式に変換する画像処理手段」である。
それ故、引用発明において、フレームメモリに蓄積された画像データに画像処理を行い印刷可能なデータ形式に変換する手段を設けることは設計事項である。

(3-3)相違点3について
デジタルスチルカメラで撮影した画像を拡大または縮小し、印刷する技術は例を示すまでもなく周知である。デジタルスチルカメラの縦横の画素数の比(以下、「アスペクト比」という。)がデジタルスチルカメラの種類によらず一律である場合、拡大又は縮小率はデジタルスチルカメラの画素数とプリンタシステムが有するフレーメモリとの関係で一義的に決定できるが、通常、デジタルスチルカメラのアスペクト比は商品によって異なる(例えば、引用例1記載のものは640画素×480画素、特開平7-193772号公報(段落番号0005)記載のものは768画素×480画素である。)。そして、プリンタシステムが一種類のアスペクト比、例えば横640画素×縦480画素のアスペクト比4:3の画像データしか印刷できないとなれば、当該プリンタシステムの購入者はアスペクト比4:3の画像データを撮影できるデジタルスチルカメラの使用者に限定されてしまうおそれがある。それ故、複数のアスペクト比の画像データにも対応できるプリンタシステムとすることは、販売台数の拡大という目的を達成する上で当業者が当然に選択し得る設計事項である。
そうすると、プリンタシステムが有するフレームメモリのアスペクト比とは異なるアスペクト比の画像データを、前記フレームメモリに蓄積するための画像データの拡大・縮小が必要となる。
ところで、ディスプレイ装置においては、ディスプレイ装置のアスペクト比とは異なるアスペクト比の画像データを表示するために、画像データのアスペクト比を保持したまま表示させ、水平方向または垂直方向の一方向はフルに表示し、他方向では上下または左右の一部分の映像を欠落させる方法が、従来周知(例えば、特開平9-121295号公報(段落番号0003〜0004)、特開平6-350863号公報(段落番号0003)参照。)である。確かにディスプレイ装置とプリンタシステムとでは画像データの出力媒体は異なるが(前者はディスプレイ画面、後者は印刷用紙)、当該周知技術は、装置固有のアスペクト比と異なるアスペクト比の画像データを拡大・縮小して当該装置が取り扱えるようにするための汎用的な技術であり、出力媒体如何によって適用の可否が左右されるものでもないから、当該周知技術をプリンタシステムに適用することを阻害する要因は見あたらない。そして、当該周知技術を引用発明に適用するとなれば、プリンタシステムのフレームメモリのアスペクト比とは異なるアスペクト比の画像データを縮小するにあたり、水平方向の画素をフル表示する場合の「水平方向の印刷データ/水平方向のフレームメモリ」と垂直方向の画素をフル表示する場合の「垂直方向の印刷データ/垂直方向のフレームメモリ」(いずれも本件発明1における「縮小率」に相当。)のうち、小さい方を縮小率として採用することになる。
したがって、引用発明に周知技術を組み合わせ、伸長された画像データをフレームメモリに格納するのに適したサイズに拡大・縮小を行う変倍手段を設け、当該変倍手段において画像を縮小する場合には、水平方向または垂直方向(本件発明1における「XまたはY方向」に相当。)の縮小率が異なる場合は縮小率の小さい方を縮小率として採用することは、当業者であれば容易に想到できることである。

(3-4)相違点4について
デジタルスチルカメラがメモリカードに画像データを圧縮して蓄積させる場合には、通常、画像データに加えて、圧縮画像データを伸長させるために必要な所定のパラメータも蓄積させている(必要ならば、特開平6-38172号公報(段落番号0002〜0003、段落番号0006〜0007)参照。)。
また、上記4.(3-3)で述べたように、拡大または縮小印刷を行うためには、メモリカードに蓄積された画像データの縦横画素数を検出する必要がある。それ故、画像データの縦横の画素数を検出することは設計事項である。
そして、画像データを再生するために必要な情報を画像データのヘッダ部に蓄積することも従来周知(引用例1(上記4.(1)(ウ))、前掲特開平6-38172号公報(段落番号0006〜0007)参照。)。
したがって、圧縮画像データの伸長に必要な所定のパラメータ及び画像データの縦横の画素数を、画像データのヘッダ部に蓄積しておき、再生の際にはこれら情報を抽出するようにすることは、当業者であれば容易に想到できることである。

(4)本件発明1の進歩性の判断
相違点1に係る本件発明1の発明特定事項と引用発明の発明特定事項とには実質的な差異がない。また、相違点2〜相違点4に係る本件発明1の発明特定事項は設計事項であるか当業者にとって想到容易である。
さらに、これら発明特定事項を採用したことによる格別の作用効果を認めることもできない。
したがって、本件発明1は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明できたものである。

(5)本件発明2と引用発明の一致点及び相違点の認定
本件発明2は、本件発明1の発明特定事項のうち、「展開されたビットイメージ画像をフレームメモリに格納するのに適したサイズに拡大・縮小を行う変倍手段」を「展開されたビットイメージ画像を印画範囲に収めるのに適したサイズに拡大・縮小を行う変倍手段」と置き換えたものであるから、両者は、上記4.(2)で本件発明1と引用発明とが一致するとした点で本件発明2と引用発明とは一致し、次の点で相違する。

[相違点5]
本件発明2では、圧縮画像をビットイメージ画像に展開するのに対して、引用発明では、圧縮画像を如何なる形式のデータに展開するのかが明確でない点。

[相違点6]
本件発明2では、画像変換された画像データに対して画像処理を行い印刷可能なデータ形式に変換する画像処理手段を有するのに対して、引用発明では、フレームメモリに蓄積された画像データを印刷可能なデータ形式に変換する手段を有するのか否かが明確でない点。

[相違点7]
本件発明2では、展開されたビットイメージ画像を印画範囲に収めるのに適したサイズに拡大・縮小を行う変倍手段を備え、前記変倍手段において画像を縮小する場合には、X方向またはY方向の縮小率が異なる場合は縮小率の小さい方を縮小率として採用するのに対して、引用発明では、伸長
された画像を拡大・縮小することなくフレームメモリに蓄積し、この蓄積された画像データを印刷する点。

[相違点8]
本件発明2では、画像変換手段が、メモリカードから読み出された画像ファイルのヘッダ部を解析し少なくとも縦横の画素数と圧縮画像を展開するのに必要な所定のパラメータを抽出する手段を有しているのに対して、引用発明では圧縮画像を展開するのに必要な所定のパラメータを入手しているが、画像ファイルのヘッダ部を解析して入手したか否かが明確でなく、かつ、縦横の画素数は入手していない点。

(6)相違点についての判断及び本件発明2の進歩性の判断

(6-1)相違点5、相違点6及び相違点8について
相違点5、相違点6及び相違点8は、本件発明1と引用発明との相違点1、相違点2及び相違点4と同一である。そして、相違点1に係る本件発明1の発明特定事項と引用発明の発明特定事項とには実質的な差異がないこと、並びに相違点2及び相違点4に係る本件発明1の発明特定事項は設計事項又は当業者にとって想到容易であることは、上記4.(3)で述べたとおりであるから、同様の理由により、相違点5に係る本件発明2の発明特定事項と引用発明の発明特定事項とには実質的な差異がなく、相違点6及び相違点8に係る本件発明2の発明特定事項を採用することは設計事項であるか当業者にとって容易に想到できることである。

(6-2)相違点7について
引用発明におけるフレームメモリは、印画する画像データを一時的に蓄積しておくためのメモリであり、当該フレームメモリから1印画ラインずつ転送される画像データがプリントされるのであるから、引用発明においては、フレームメモリに蓄積された画像データ全てがプリントされると解することが自然である。それ故、引用発明における「フレームメモリ」の蓄積範囲がすなわち引用発明の印画範囲と言うことができる。
したがって、相違点3について検討した上記4.(3)の内容がそのまま相違点7についての検討にも該当するから、相違点7に係る本件発明2の発明特定事項を採用することは、当業者にとって容易に想到できることである。

(6-3)本件発明2の進歩性の判断
相違点5に係る本件発明2の発明特定事項と引用発明の発明特定事項とには実質的な差異がない。また、相違点6〜相違点8に係る本件発明2の発明特定事項は設計事項であるか当業者にとって想到容易である。
さらに、これら発明特定事項を採用したことによる格別の作用効果を認めることもできない。
したがって、本件発明2は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明できたものである。

(7)取消理由2の妥当性についての判断
本件発明1及び本件発明2は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明できたものであるから、本件発明1及び本件発明2についての特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
よって、取消理由2は妥当である。

第4 むすび
以上のとおり、請求項1及び請求項2に係る発明についての特許は、特許法第36条第6項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものとして同法第113条第4号の規定に該当するか、又は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものとして同法113条第2号の規定に該当するから、取り消されるべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
プリンタ装置
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】画像ファイルが格納されたメモリカードを接続するコネクタと、前記コネクタを介して前記メモリカードを制御するカード制御手段と、前記画像ファイルを読み出すファイル制御手段と、前記ファイル制御手段が読み出した前記画像ファイルを所定の画像データの形式に変換する画像変換手段と、画像変換された前記画像データに対して画像処理を行い印刷可能なデータ形式に変換する画像処理手段と、印刷すべき一枚以上の画像を所定の手順で決定し、少なくとも前記ファイル制御手段に指示を出す印刷管理手段と、を有するプリンタ装置であって、前記画像変換手段は、前記メモリカードから読み出された前記画像ファイルのヘッダ部を解析し少なくとも縦横の画素数と圧縮画像を展開するのに必要な所定のパラメータを抽出する手段と、前記パラメータを用いて圧縮画像データをビットイメージ画像に展開する手段と、展開されたビットイメージ画像をフレームメモリに格納するのに適したサイズに拡大・縮小を行う変倍手段と、を備え、前記変倍手段において画像を縮小する場合には、X方向またはY方向の縮小率が異なる場合は縮小率の小さい方を縮小率として採用することを特徴とするプリンタ装置。
【請求項2】画像ファイルが格納されたメモリカードを接続するコネクタと、前記コネクタを介して前記メモリカードを制御するカード制御手段と、前記画像ファイルを読み出すファイル制御手段と、前記ファイル制御手段が読み出した前記画像ファイルを所定の画像データの形式に変換する画像変換手段と、画像変換された前記画像データに対して画像処理を行い印刷可能なデータ形式に変換する画像処理手段と、印刷すべき一枚以上の画像を所定の手順で決定し、少なくとも前記ファイル制御手段に指示を出す印刷管理手段と、を有するプリンタ装置であって、前記画像変換手段は、前記メモリカードから読み出された前記画像ファイルのヘッダ部を解析し少なくとも縦横の画素数と圧縮画像を展開するのに必要な所定のパラメータを抽出する手段と、前記パラメータを用いて圧縮画像データをビットイメージ画像に展開する手段と、展開されたビットイメージ画像を印画範囲に収めるのに適したサイズに拡大・縮小を行う変倍手段と、を備え、前記変倍手段において画像を縮小する場合には、X方向またはY方向の縮小率が異なる場合は縮小率の小さい方を縮小率として採用することを特徴とするプリンタ装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、写真ライクの画像を記録できるプリンタ装置に関するものであり、特にディジタルカメラ等が画像を記録するメモリカードからの画像入力方法を特徴とするプリンタ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
フルカラープリント技術の向上により、銀塩写真と比較できるレベルの高画質なプリントが可能になってきている。これらのプリンタの代表である昇華型熱転写プリンタは、ビデオ信号からプリントするAVユースのプリンタとして定着してきている。通常のビデオプリンタは、ビデオムービー等が出力するビデオ信号をフレームメモリにキャプチャする機能を有しており、ビデオムービーの動画テープの中から好みのショットを選んでプリントできるという、スティルカメラにない特徴を有している。
【0003】
また、ビデオムービー自身もディジタル記録のものが普及し始めているため、プリンタにとっての信号ソースの品質も向上してきている。
【0004】
ところが、これらのディジタルカメラ技術を背景に、カメラ感覚でより手軽にパソコンに高品位の静止画を取り込めるツールとして、ディジタルスティルカメラ(DSC)と呼ぶ入力機器が急速に普及を始めており、プリンタにとっての入力ソースの幅が広がりつつある。
【0005】
現在DSCには、様々なインターフェース形態のものが存在する。多くのものは、RS232Cのようなパソコンに取り込むためのインターフェースを備えており、それに加えて、テレビモニタに表示するためのアナログビデオ出力等を有している。また、画像を記憶するメモリに内蔵の不揮発フラッシュメモリだけでなく、着脱可能なメモリカードを利用するものが増加してきている。
【0006】
当初、DSCはパソコンに取り込むための入力機器という位置付けのものであったが、しだいにパソコンを離れ独立したディジタル方式のカメラというコンセプトに変わりつつあり、入力画像に凝った加工を施し作品に仕上げる場合には、パソコンに取り込んで加工しプリントすることもできるが、通常のカメラとしての日常のプリントはプリンタと直結して簡単にプリントしたいという要望が高まっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従来のプリンタで、DSCで撮影した画像をアナログビデオ信号を用いて入力する形態は、例えばNTSC方式では1/30秒で一画像が転送されるというように、データ転送としては非常に高速である。しかし、インターフェースがアナログでありかつ色信号の帯域が狭いため本来のDSCの能力を活かした画質でのプリントができないという課題がある。
【0008】
また、ディジタルのインターフェースを用いたものは、インターフェースそのものにパラレルのような線数の多いものは小型のDSCには物理的につけることが困難であるため、通常RS232C等のようなシリアルインターフェースに限られ、1画像の転送に数10秒程度かかるなど伝送に非常に時間がかかるという課題がある。
【0009】
さらに、従来の銀塩カメラ的な使い方、即ちフイルム一本分の画像(24枚とか36枚のような)を撮影後、それをラボ店に出すと全カットの同時プリントが手に入る、というのに近い使い方をするには、通常プリンタのフレームメモリは一画像分の容量しか持っていないため、カメラのメモリに格納されている数10枚の画像を、数10秒かかって転送し、数10秒かけてプリントする、ということを数10枚分繰り返すことになり、その間、人が付いて操作する必要があるため非常に使い勝手が悪いという課題がある。
【0010】
この課題は、将来転送速度が速くなったとしても少なくとも数10枚記録する間、一枚印刷するごとに人が操作しなければならないことにはかわりが無く、使い勝手が悪い。
【0011】
また、プリントしている間中、データ転送のためにDSCが機能している必要があるため、DSCのバッテリーを無駄に消費するという課題、およびプリントしている間は、DSCをカメラとして撮影に使えないという課題もある。
【0012】
また、プリントが終了するまでDSCとプリンタが通信する必要があるため、プリント終了までDSCを使って新たな撮影ができないという課題、およびDSCを長時間動かす必要があるため撮影以外でDSCのバッテリーを消費するという課題もある。
【0013】
さらに、ディジタルでのDSCとプリンタの直結インターフェースには、標準化されたフォーマットが存在せず、例えば自社製品に限定するような特定のDSCに特化したインターフェースにならざるを得ず、汎用性に乏しいという課題がある。たとえ業界でインターフェースを統一できたとしても、DSCが出力する画素数は年々増加していくため、画素数を規定することが困難であるため、やはり多くのDSCユーザに汎用的に使えるようなプリンタにはならないという課題がある。
【0014】
なお、本発明が提案するように、PCカードを用いてプリンタにデータを渡す構成を採ることにより、上記課題の多くは解消するが、下記の新たな課題が発生する。
【0015】
ユーザーは、PCカードに記録されているフイルム一本分に相当する画像の必ずしも全てをプリントしたいわけではなく、そのうちの何枚かを選んでプリントしたい場合が多い。特に、PCカードが大容量になるに従い、以前撮影した画像を消さずに追記する使用法の場合はなおさらである。このような場合、従来のプリンタの構成ではプリントすべき画像を選択する方法を持たないという課題がある。
【0016】
また、各社のDSCは、撮影した画像データの画素数が様々であり、必ずしも常にプリンタの印字画素数と一致しないという課題がある。
【0017】
また、各社のDSCは、撮影した画像ファイルのファイル名の付け方や、そのファイルを格納するサブディレクトリの名称など各様につけているため、各社のDSCで汎用的に使えるようなプリンタにはならないという課題がある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するために、画像の記録されたメモリカードを接続するコネクタと、前記コネクタを介して前記メモリカードを制御するカード制御手段と、前記メモリカード内のファイルを読み出すファイル制御手段と、前記ファイル制御手段が読み出した前記ファイルを単純な画像データの形式に変換する画像変換手段と、画像変換された前記画像データに対して画像処理を行い印刷可能なデータ形式に変換する画像処理手段と、画像処理された前記データを入力しヘッド制御信号を発生する印刷制御手段と、印刷すべき一枚以上の画像とその順序を所定の手順で決定し、少なくとも前記ファイル制御手段に指示を出す印刷管理手段を有する構成とする。
【0019】
また、メモリーカードは、所定の箇所に印刷管理ファイルを有し、印刷管理手段は、ファイル制御手段を用いてメモリーカードの所定の箇所に格納されている印刷管理ファイルを読み出し、前記印刷管理ファイルが存在した場合は、前記印刷管理ファイルに設定されている内容に従い印刷するファイル名を決定する構成をとることや、
画像をモニタに表示する機能を持つフレームメモリと、メモリーカードに格納されている所定形式のファイルを検索するファイル検索手段とを備え、印刷管理手段は、前記ファイル検索手段を用いて前記フレームメモリの所定の箇所から所定の順序で前記メモリーカード内の所定形式のファイルを検索し、前記検索されたファイルをファイル制御手段を用いて読み出し、画像変換手段を用いて画像データに変換し、前記フレームメモリに格納してモニタに表示し、前記表示した画像をユーザが選んだ場合のみ、画像処理手段と印刷制御手段を用いて前記画像を印刷する構成をとる。
【0020】
さらに、画像変換手段は、メモリカードから読み出された画像ファイルのヘッダ部を解析し少なくとも縦横の画素数と圧縮画像を展開するのに必要な所定のパラメータを抽出する手段と、前記パラメータを用いて圧縮画像データをビットイメージ画像に展開する手段と、展開されたビットイメージ画像をフレームメモリに格納するのに適したサイズに拡大・縮小を行う変倍手段とから構成される。
【0021】
以上の構成をとることにより、メモリカードに画像を記録する機能を有するDSC等で撮影された画像を、メモリカードをフィルムと見立てて、DSCから抜き取りプリンタのカードスロットに設置されているコネクタに挿入することが可能となり、メモリカード内に所定のファイルフォーマットで書き込まれている画像は、まず、カード制御手段によりメモリーカードの各信号ラインを所定のシーケンスで駆動することによりアクセスされ、カード制御手段によりファイルとして読み出され、さらに画像変換手段によりファイルフォーマットのデコードが行われて画像として読み出される。読み出された画像は、画像処理手段により印刷可能なデータ形式に変換され、ヘッド制御手段によりヘッド駆動信号に変換され、ヘッドで記録されることにより、所望の画像が得られる。
【0022】
また、印刷管理手段は、プリンタが持つユーザインターフェース機能を用いてユーザが指示した一枚以上の画像とその順序、またはDSCにより予め同じカードの所定の箇所に格納されている印刷管理ファイルが指示する一枚以上の画像とその順序、に従い印刷するファイルを選択し、印刷動作を行う作用をする。
【0023】
したがって、撮影が終りメモリーカードをプリンタに渡せばDSCは次の撮影を行うことも可能であり、プリントのためにDSCのバッテリーを消費することもない。
【0024】
また、複数枚のプリントを指定しておけば、プリント終了まで人が操作することなく自動でプリント可能になる。また、標準化されたフォーマットのメモリカードを用いて各社多種のDSCからプリントするシステムを容易に構成できる。
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、画像ファイルが格納されたメモリカードを接続するコネクタと、前記コネクタを介して前記メモリカードを制御するカード制御手段と、前記画像ファイルを読み出すファイル制御手段と、前記ファイル制御手段が読み出した前記画像ファイルを所定の画像データの形式に変換する画像変換手段と、画像変換された前記画像データに対して画像処理を行い印刷可能なデータ形式に変換する画像処理手段と、印刷すべき一枚以上の画像を所定の手順で決定し、少なくとも前記ファイル制御手段に指示を出す印刷管理手段と、を有するプリンタ装置であって、前記画像変換手段は、前記メモリカードから読み出された前記画像ファイルのヘッダ部を解析し少なくとも縦横の画素数と圧縮画像を展開するのに必要な所定のパラメータを抽出する手段と、前記パラメータを用いて圧縮画像データをビットイメージ画像に展開する手段と、展開されたビットイメージ画像をフレームメモリに格納するのに適したサイズに拡大・縮小を行う変倍手段と、を備え、前記変倍手段において画像を縮小する場合には、X方向またはY方向の縮小率が異なる場合は縮小率の小さい方を縮小率として採用することを特徴とするプリンタ装置としたものである。
【0026】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
【0027】
第1図は、本発明の一実施の形態におけるプリンタ装置の構成例である。
【0028】
200はディジタルスティルカメラ(以下DSC)、201はDSCで撮影した画像情報を記憶する着脱自在のメモリカード、100は写真をプリントするプリンタ、202はプリンタに接続されたモニタ、203はプリンタ202から印刷された画像(写真)である。
【0029】
このシステムでは、DSC200は、通常の写真システムにおけるカメラに、メモリカード201はそのフィルムに相当する。メモリカード201に数10枚の画像を撮影し終わると、ユーザーは、DSC200からメモリカード201(フィルム)を外し、プリンタ100に装着する。プリンタ100は、モニタ202への画像表示機能を有しており、メモリカード201に記憶されている画像を表示する機能(以下ブラウジング機能)により、プリントする画像を一枚または複数枚選び、プリンタ100に備えられているカーソルキーのような指示機能を用いて選択する(ラボ店に出すフィルムのコマにマークをつけることに相当)。
【0030】
選択が終了し印刷開始を指示すると、プリンタ100は選択した画像を連続してプリントする。このように、ユーザーにとっては、従来のカメラとラボ店の役割に相当するなじみやすいシステム形態である。
【0031】
本実施の形態のプリンタ装置では、メモリーカードとして標準化されているPCMCIA2.1/JEIDA4.2準拠のPCカードを用いており、カード内のファイルシステムはMS-DOS互換のものである。また、画像ファイルの形式は、圧縮率が高くファイル容量が小さくなりかつ多くのパソコンで標準で読み出せるため殆どのDSCで実質的に標準になっているJPEGフォーマットを採用している。
【0032】
また、プリンタは昇華型熱転写方式のエンジンを使用しており、記録画像サイズはA6である。また、メモリーカードを採用している各社のDSCには、フルサイズのPCカード(ATAカード)を使用するもの、切手サイズの小型カードであるCF(コンパクトフラッシュ)カードやSM(スマートメディア)カードを使用するものなどがあるが、CFカード、SMカードともにPCカードサイズに変換するアダプタカードに装着することにより、実質的にPCカードとしてアクセスできる。したがって、DSC用プリンタとしては、PCカードスロットを用意するのが最も汎用性がある。
【0033】
第2図は、プリンタ100の内部の回路構成図である。各構成要件はハードウエアまたはファームウエア、あるいはその両方から構成されている。
【0034】
101はメモリカード201を装着するためのスロットを構成するコネクタ、102はコネクタ101に接続されたメモリカード201の内部のコントローラを制御するカード制御手段、103はカード制御手段103を用いてメモリカード201に格納されたファイルをアクセスするファイル制御手段、104はファイル制御手段103を用いてメモリカード201に格納された所定形式の全ての画像ファイルを検索するファイル検索手段、105は圧縮画像を展開する画像変換手段、106はプリンタ100全体のプリント動作を制御する印刷管理手段、107は画像変換手段が展開した画像データを書き込むフレームメモリ、108は画像データを印刷可能なデータ形式に変換する画像処理手段、110はヘッド、109は画像処理手段108が処理したデータに基づきヘッド110を駆動するヘッド制御手段、111はフレームメモリ107に格納されている画像を読み出し映像信号変換および入力された映像信号をフレームメモリ107に書き込む映像処理手段、112は映像処理手段111から映像信号をモニタに送り出すモニタ接続端子、113は外部のアナログビデオ信号を入力するビデオ入力端子である。
【0035】
第3図は、画像変換手段105の内部の回路構成図である。121は、ファイルのヘッダー部を解析し必要な情報を抽出する画像情報解析手段、122は画像情報解析手段121が解析した情報を用いてファイルの圧縮画像を展開する画像展開手段、123は画像情報解析手段121が抽出した撮影画像の画素数情報を用いて、展開された画像がフレームメモリ107に格納するのに最適な大きさへ拡大縮小する拡大縮小手段である。
【0036】
次に動作を説明する。
【0037】
カード制御手段102はPCカード用のコネクタ101を通じてPCカード201に内蔵されているコントローラと接続される。PCカードはパソコンで標準的なIDE(ATA)仕様のハードディスクに準拠したインターフェースプロトコルが採用されているため、カード制御手段102は、IDEインターフェースに準拠した駆動および読み出し手順で各ラインを制御する。
【0038】
また、PCカードではMS-DOS準拠のファイルフォーマットが採用されているため、ファイル制御手段は、MS-DOSに準拠しトラックとセクターをクラスタ(複数セクターのまとまり)単位で扱い、FAT(File Allocation Table)と呼ぶテーブルで各クラスタを管理し、任意のパス名(ディレクトリ名+ファイル名)を用いて階層ディレクトリを持つファイル構造の中から任意のファイルを読み書きするものである。
【0039】
第4図は、階層ディレクトリ構造を有するファイルシステムの一例である。ルートディレクトリの中に、図中のDirxで示されているサブディレクトリを作成し、自由に階層的なディレクトリ構造が作成できる。
【0040】
通常このディレクトリ構造はDSCが作成するため、DSCの機種を限定すればディレクトリ構造は固定であり、ディレクトリ名やファイル名を決め打ちで読み出すことも可能である。しかし、本実施の形態では、PCカードが物理的に互換がありそのファイルシステムも標準化されていることを利用して、各社多種のDSCが作成するメモリカードと互換を取るため、各DSCが任意に作成し互換のないディレクトリ構造に柔軟に対応できる画像ファイルの所在とファイル名に依存しないアクセス手法を提供するものとする。
【0041】
パソコンでPCカードを読み出す手順のようにユーザーに明示的にディレクトリ名とファイル名を指定させる方法もこの一例である。パソコンのユーザーインターフェースを用いてユーザーがあるディレクトリを指定し、そのディレクトリの中のファイル名を表示させ、その中にサブディレクトリがあればさらにそれを指定し、最後に所望のファイル名を指定する、という手順でファイルを読み出す。
【0042】
しかしプリンタにとってはこの手法は最良の解ではない。簡単に撮影した画像を選択することだけが目的のプリンタにとって各社のDSCに汎用的に対応するには、各社のDSCごとに異なるファイルの構造などを意識せず、またファイル名やディレクトリ名などを見る必要もなく、アクセスできること、即ちどのようなディレクトリ構造でどこに画像ファイルが存在するかに関わらずに読み出せることが必要である。
【0043】
本実施の形態のファイル検索手段104は、この目的のための構成要件であり、第5図に、ファイル検索手段104が第4図に例示したディレクトリ構造から、所望の画像ファイル(ファイル拡張子が「.jpg」のもの)を検索する手順を示す。
【0044】
検索は最初はルートディレクトリから開始し、まずimage01.jpgからimage0m.jpgまでのファイルを見つる。続いて、サブディレクトリdir0を見つけ検索対象をdir0に移す。dir0では、image11.jpgからimage1n.jpgまでのファイルを見つけ、サブディレクトリdir1を見つけたため検索対象をそのディレクトリに移す。これら一連の動作を繰り返す。さらに、image21.jpgからimage2p.jpgまでを見つけた後、一段ずつ親のディレクトリに帰還し、image51.jpgからimage5q.jpgまでのファイルを見つけて終了する。
【0045】
このようなファイル検索の手順は、一般にツリー探索と呼ばれるものであり、再帰的なアルゴリズムを用いて実現可能である。本実施の形態では、このツリー検索を応用し、これら一連の検索時に、ファイルの拡張子が.jpgおよびその他読み込み可能な画像フォーマットに対応した拡張子以外のファイルは無視するため、所望の画像ファイルだけを検索できることになる。また、ツリー検索の手順を変えない限り、検索されるファイルの順序は変化しないため、プリンタはファイルがシーケンシャルに並んでいるものと等価のユーザーインターフェースを構築できることになる。
【0046】
従って、プリンタでのブラウジングの順序はこの検索により見つけられた画像ファイルの順が所定の順序となる。また、ランダムアクセスする場合には、見つかった順に通し番号をつけて管理すると良い。
【0047】
また、最初に全ファイルを検索し検索された複数の目的のファイルのパス名を全て記憶する管理手法が簡単で有効である。しかし、本実施の形態では、メモリ容量削減のため、パス名は保存せず必要に応じてルートディレクトリから再検索をしている。たとえば、5番目のファイルを読み出したい場合は、ルートディレクトリからツリーを検索しながら画像ファイルをカウントし、5番目に合致したファイルのパス名を得ている。
【0048】
このようにして見つけた画像ファイルを、ファイル制御手段103はカード制御手段102を用いて読み出し、画像変換手段105に送出する。(本実施の形態では画像ファイルフォーマットがJPEGの場合について説明する。)
第3図の画像変換手段105は、画像情報解析手段121が与えられたファイルのヘッダ部を解析しJPEG復調に必要な展開パラメータ(XY画素数、量子化テーブル、ハフマンテーブル他)やその他プリンタにとって必要な情報を取り出し、画像復調手段122は画像情報解析手段121が抽出したパラメータを用いてファイルに格納されているJPEGデータを復調する。拡大縮小手段123は、画像情報解析手段121が抽出した原画のXY画素数をフレームメモリ107の画素数に合わないときには最適に格納され得る画素数にまで拡大縮小する。
【0049】
また、JPEG画像の画素のアスペクト比がフレームメモリの画素のアスペクト比と一致しない場合は、XまたはY方向の拡大・縮小率を変えることにより対応する。
例えば、本プリンタの印画範囲は、640画素×480画素でアスペクト比は4:3である。そこにPfotoCDのBASE相当の画素数(768画素×512画素でアスペクト比が3:2)が入力されたとき、768/640=1.2と512/480=1.067の大きい方を縮小率として採用する。この場合、640画素×426画素に縮小され、画像の端が切れることなく印画範囲内に納めることができる。また、縦横の縮小率の小さい方を採用し横方向を640画素に切り、640画素×480画素にすることも可能である。
【0050】
以上説明した動作により、ユーザーインターフェースにより選択した画像がフレームメモリに読み込まれる。
【0051】
ここで、印刷管理手段106は、前述したようなユーザーインターフェースに対応してプリンタ100全体を管理する。例えば、前述の説明のように、ファイル検索手段104により検索された画像を表示するごとに、ユーザーに対して印刷するかどうかを確認し、
・ユーザーが印刷することを選択した場合は、後述する動作により、印刷を行った後次の画像を表示する。
【0052】
・ユーザーがスキップを選択した場合は、その画像をプリントせずに次の画像を表示する。
という処理を行う。
【0053】
次に、印刷管理手段106が印刷を指示した場合の動作を説明する。印刷制御手段106の指示により、フレームメモリ107は画像データを画像処理手段108に送り出す。画像処理手段108は、フレームメモリに格納された画像データ(この実施の形態では、JPEGの標準であるCCIR601で規定されるY,Cb,Cr形式)から印刷制御手段109に渡すヘッドの駆動パルス幅データを作成する。画像処理手段108の処理内容を次に示す。
・Y,Cb,CrからR,G,Bへの変換
R= Y+1.4Cr …(1a)
G= Y-0.344Cb-0.714Cr …(1b)
B= Y+1.77Cb …(1c)・R,G,Bから映像ガンマ(通常0.45)を外したリニアr,g,bへの逆ガンマ補正
r=R**2.2 …(2a)
g=G**2.2 …(2b)
b=B**2.2 …(2c)・r,g,bから3原色濃度信号Dr,Dg,Dbへの変換
Dr=log(1/R) …(3a)
Dg=log(1/G) …(3b)
Db=log(1/B) …(3c)・Dr,Dg,Dbから色補正のマスキング処理(3×3のマトリクス演算)によりインク濃度信号C,M,Yへの変換
(C,M,Y)t=[A](Dr,Dg,Db)t …(4)
([A]は3×3のマスキングマトリクス、tは転置を表す。)・インク濃度信号からその濃度を得るために必要な駆動パルス幅データPwc,Pwm,Pwyに変換
Pwc=f(C) …(5a)
Pwm=f(M) …(5b)
Pwy=f(Y) …(5c)(fはルックアップテーブル)
以上の画像処理により得られた駆動パルス幅データPwc,Pwm,Pwyに基づき、ヘッド制御手段109は、サーマルヘッド110をパルス幅変調する駆動信号を作成し、ヘッド110を用いて昇華タイプのインクフィルムから受像紙へ所望のインクを転写し、ユーザーが選択したフルカラー画像を印刷する。
【0054】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。第2図に示したプリンタ100の内部構成については同様であり、動作の異なる印刷管理手段106について説明する。
【0055】
印刷管理手段106は、下記の2つの印刷モードを備えている。
第1のモードは、ファイル検索手段104を用いて第4図のディレクトリツリー上にある複数のファイルを順次検索し、その各々のファイルに対して、ファイル制御手段103と画像変換手段105を用いて画像を読み出す。ただし、本実施の形態では画像変換手段105は、印刷管理手段106の指示により画像サイズの小さいサムネイル画像にまで縮小し、フレームメモリ107には第7図のように示すような複数のサムネイル画像がモニタ202に表示される。
【0056】
ユーザは、画面上のサムネイル画像の太線枠のような選択用カーソルをカーソルキーにより印刷したい画像を複数枚指定し、印刷管理手段109はその番号またはパス名または画像番号を記憶する。
【0057】
印刷管理手段106は、指定された複数枚の画像を再度一枚ずつファイル制御手段103を用いて読み出し、画像変換105によりフレームメモリ107のフルサイズに展開し、画像処理手段108、ヘッド制御手段109を用いて印刷する。この一連の処理を選択された複数枚のファイルに対して繰り返し、サムネイル画像を見てユーザーが選択した全ての画像を連続プリントする。
【0058】
複数ファイルの選択では、選択した各々の画像に対してのコピー部数の設定も可能であるため、ラボ店での焼き回しの依頼と全く同等の処理が自動で行えることになる。
【0059】
第2のモードは、印刷管理手段106がPCカードの特定の箇所に予め格納されている印刷管理ファイル(本実施の形態では、第3図のルートディレクトリにあるPhotoLst.txt)が存在することを確認した場合、このファイルに記載されている制御情報に基づきファイルの選択から印刷までが自動で実行される。
【0060】
第6図は、PhotoLst.txtの内容の一例である。PhotoLst.txtはテキストファイルであり、一行目には印刷管理ファイルであることを示す識別子が記載されている。続いて、図のようにプリントしたい画像のファイル名のフルパス名とその印刷枚数が一行に記載されている。複数種類の画像を指定するには複数の行を用いて記載する。また、その画像の印刷枚数が1枚の場合は、印刷枚数の記載は省略することが可能である。
【0061】
この例では、image12.jpgを2枚、image2q.jpgを一枚、image53.jpgを3枚をこの順序でプリントすることを示す。
【0062】
印刷管理手段106がこのファイルの存在を確認すると、ファイル制御手段103を用いてPhotoLst.txtをオープンし各行の記載内容を記憶する。この記載内容にしたがい、前述のサムネイル画像による複数画像の選択と全く同様の動作により、PhotoLst.txtの記載内容に従った複数プリントが連続で実行される。
【0063】
PhotoLst.txtへの印刷したい画像と枚数の登録は、DSC200で行う。DSC200で撮影した画像をプリントする場合、まずDSC200に搭載されている液晶ディスプレイにより記録した画像を表示させ、プリントする画像を選択し、DSC200の持つユーザーインターフェースにより登録を行う。DSC200は、最初に登録が実行されるとPhotoLst.txtというファイルを作成して一行の情報を書き込み、続けて他の画像が登録されるごとに一行ずつ追加して行くことにより、PhotoLst.txtを作成する。
【0064】
本実施の形態の第2のモードの特徴は、プリンタ100のモニタ202を用いた画像のブラウジングが必要なく、カードを挿入しただけで全ての処理が自動でバッチ処理として実行されることにある。そのためプリンタ100は、例えば屋外にプリンタを持ち出した場合のように、モニタ202を接続することが困難な状態でも指定した画像を自由にプリントすることが可能である。
【0065】
本実施の形態は、前述の2つのモードを持つことにより、モニタと接続できるような、例えば家庭内での使用においては、大きな画面に複数表示するサムネイル画像を見ながらプリントする画像を決定できるという使いやすさと、例えば外部に持ち出しモニタができない環境でも、DSCの液晶表示を用いてプリントする画像を指定して使用することができる利便性を合わせ持つ。また、どちらのモードも、複数画像をまとめて指定できるため、プリント中にユーザが操作する必要はなく自動でプリントできる。
【0066】
次に本発明の第3の実施の形態について動作を説明する。
【0067】
本実施の形態のプリンタ装置は、メモリカード201によるディジタルインターフェースと従来のビデオプリンタが持つアナログインターフェースを持つ。
【0068】
第8図は、本実施の形態におけるプリンタ100の内部構成図である。構成およびその動作は、ビデオ入力端子113を有し、映像処理手段111が映像信号をフレームメモリ107に格納できる形態に変換する動作を合わせ持ち、フレームメモリ107からの画像を、画像変換手段105、ファイル制御手段103、カード制御手段102、コネクタ101を経てメモリカード201に書き込む動作を合わせ持つ点以外は、第2図と同じである。
【0069】
第8図のプリンタ100の回路構成のフレームメモリ107は、2つの動作を行う。
【0070】
第1の機能は、メモリカード201から読み出した画像をプリントするためのバッファメモリとしての働き、およびユーザーインターフェースの要素としてフルサイズの画像やサムネイル画像をプレビューを行い、ユーザが正しくプリントすべき画像を選択するのを助ける働きである。この機能は、映像処理手段111の映像出力機能を用いて実現される。
【0071】
第2の機能は、映像処理手段111の映像入機能を用いて実現される機能であり、具体的には、ビデオ入力端子113に接続されたNTSC等のビデオ信号をキャプチャする機能である。この機能は、もともとアナログのビデオプリンタが備えている基本機能であるため詳細な説明は省略する。
【0072】
113から入力されたアナログビデオ信号は、映像処理手段111によりY/C分離、RGBやY/CbCrにデコードされA/D変換されてフレームメモリ107に格納される。格納された画像は、第1の実施の形態で説明したのと同じ動作によりプリントすることができる。
【0073】
それに加えて、本実施の形態では、フレームメモリ107にキャプチャされた画像を画像変換手段105により、所定のファイル形式に変換し、ファイル制御手段103がファイルとしてメモリカード201に記憶するものである。メモリカード201に記憶された画像は、DSC200が記憶した画像と同じ手順により再びフレームメモリ107に読み込むことが可能であるため、キャプチャしたアナログビデオ信号を保存する機能が実現されることになる。
【0074】
本実施の形態の機能は、ユーザにアナログビデオカメラも写真の素材としてDSC200と同等の自由度で利用できる環境を提供できる。即ち、従来のビデオプリンタでは一度キャプチャした画像は、次の画像をキャプチャした時点で失われるため、写真になぞらえて表現すると「同時プリントはできるが、焼き回しはできない」という不自由さを解消できる。
【0075】
さらに、画像のキャプチャとメモリカードへの保存を複数まとめて行い、後で第1の実施の形態や第2の実施の形態に記載した機能によりまとめて印刷することが可能になるため、一枚単位の印刷にユーザが立ち会う必要を無くすことができる。
【0076】
このように本実施の形態によると、メモリカード入力のプリンタに僅かな機能を追加するだけで、従来のビデオプリンタの機能を実現できることにとどまらず、メモリカード201を用いてDSCからのプリントで実現できる全ての機能がアナログビデオ入力に対しても提供できるという顕著な効果が生ずる。
【0077】
したがって、本実施の形態のプリンタは、メモリカードに対応した各社のDSCに幅広く対応できるだけでなく、アナログのビデオムービ(ディジタルビデオムービも含む)やメモリカードを持たないDSCからもプリントすることが可能になる。
【0078】
なお、実施の形態では、拡張子が.jpgを検索するものとして説明したが、特に拡張子の種類に限定するものではなく、各ファイルを開いてから内部のヘッダー情報などを元にファイルフォーマットを判定しても良い。
【0079】
また実施の形態では、メモリカードとしてPCカードを、画像ファイルはJPEGを例にとって説明したが、メモリカードの必要要件は、リムーバルであることと不揮発でファイルを記憶できる点のみであるため、本願のメモリカードは、フロッピーディスク、ハードディスク、MO等の光ディスクでも全く同様に使用でき、ファイルフォーマットも画像ファイルはほとんど全てがヘッダー情報と画像情報を持っいるため本実施の形態の構成で使用可能である。
【0080】
また、第3の実施の形態でメモリーカード201に書き込むファイルフォーマットは、DSCが標準的に使用しているJPEGに合わせる必要はなく、よりシンプルなフォーマットにしても良い。
【0081】
また、サムネイル画像は画像変換手段105の縮小機能を用いて実現しているが、画像変換手段105の圧縮画像の展開時に、例えばJPEGの復調をDC成分だけで行い1/8サイズの縮小画像を直接得るなどの方法が合理的である。
【0082】
【発明の効果】
以上のように、本発明のプリンタ装置は、ユーザーにとってはDSCと組み合わせることにより、従来のカメラとラボ店の役割に相当するなじみやすいホームプリントシステムになるものであり、ビデオプリンタを用いた同様のシステムに対してディジタルで高画質にインターフェースできるという効果があり、他のディジタルインターフェースを用いてDSCとディジタルで直結するプリンタと比べると、一画像の転送に非常に時間がかかるという課題を解決したものになっている。また、プリンタ側でブラウジングして確認しながらプリントする画像を一括して指示した後、ユーザーの手を借りずに複数枚のプリントが可能であという他にない効果を有している。
【0083】
さらに、各社のDSCのファイルフォーマットが概ねJPEGに収束しつつあるため、他のディジタルインターフェースのように特定のDSCとの組み合わせでしか機能しないということがなく、非常に汎用性が高いという効果がある。
また、各社のDSCで記録されたメモリカードから画像をプリントする際、各社各様のディレクトリ構造やファイル名をユーザーは意識することなく、順次、画像を見ながらプリントする画像を決定することができるという効果を有する。さらに、ブラウザ(プレーヤー)的に表示した画像を一枚ずつ表示することを用途の中心とし、その際に気に入った画像はプリントすることができるという機能や、DSCが撮影した画像を複数枚サムネイル表示しその中から複数枚の画像や複写枚数を一括指定し、その指定に従い複数枚まとめてプリントする機能や、撮影したDSCで撮影画像をモニタしその時点でプリントする画像を指定することにより、プリンタにモニタを接続していない状態でも指定した一枚以上の画像を自動プリントできるという従来にない効果を有する。
また、ビデオプリンタとしてアナログビデオ信号からのプリントの場合でも、焼き回しや一括印刷などDSCからの画像と同等の機能が実現でき、さらに幅広い入力機器に対する汎用性が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明のプリンタ装置を用いたシステム構成の説明図
【図2】
本発明の一実施例におけるプリンタ装置の構成図
【図3】
画像変換手段の構成図
【図4】
メモリカードのディレクトリ構造の説明図
【図5】
ディレクトリ検索手順の説明図
【図6】
印刷管理ファイルの内容を示す説明図
【図7】
サムネイル画像のモニタ表示の説明図
【図8】
本発明の他の実施例におけるプリンタ装置の構成図
【符号の説明】
100 プリンタ
200 ディジタルスティルカメラ(DSC)
201 メモリカード
202 モニタ
203 プリントサンプル
101 コネクタ
102 カード制御手段
103 ファイル制御手段
104 ファイル検索手段
105 画像変換手段
106 印刷管理手段
107 フレームメモリ
108 画像処理手段
109 ヘッド制御手段
110 ヘッド
111 映像処理手段
112 モニタ接続端子
121 画像情報解析手段
122 画像復調手段
123 拡大縮小手段
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2005-03-11 
出願番号 特願2002-126526(P2002-126526)
審決分類 P 1 651・ 537- ZA (B41J)
P 1 651・ 121- ZA (B41J)
最終処分 取消  
前審関与審査官 立澤 正樹  
特許庁審判長 砂川 克
特許庁審判官 谷山 稔男
津田 俊明
登録日 2002-09-20 
登録番号 特許第3351429号(P3351429)
権利者 松下電器産業株式会社
発明の名称 プリンタ装置  
代理人 岩橋 文雄  
代理人 内藤 浩樹  
代理人 坂口 智康  
代理人 内藤 浩樹  
代理人 岩橋 文雄  
代理人 坂口 智康  

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