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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B42D
管理番号 1120985
審判番号 不服2003-2106  
総通号数 69 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1994-09-06 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-02-07 
確定日 2005-08-10 
事件の表示 平成 5年特許願第 57753号「申込書付きカタログ及びその作成方法」拒絶査定不服審判事件〔平成 6年 9月 6日出願公開、特開平 6-247082〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯・本願発明の認定
本願は平成5年2月23日の出願であって、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は平成14年3月29日付けで補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲【請求項1】に記載されたとおりの次のものと認める。
「少なくとも商品情報が表示されたカタログ紙片と商品の購入を申し込むための申込書紙片とを備えたカタログにおいて、前記申込書紙片には、一面側に購入申込先の宛名情報が表示され、他面側には申込者を特定し得る申込者情報が表示されるとともに、申込商品記入欄が設けられる一方、カタログの表出面の所定位置には、カタログの送付先情報が表示されていることを特徴とする申込書付きカタログ。」

第2 当審の判断
1.引用刊行物の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された実願昭63-37008号(実開平1-141076号)のマイクロフィルム(以下「引用例」という。)には、次のア〜クの記載が図示とともにある。
ア.「ダイレクトメールの郵送にあっては、通信販売の注文書として又は顧客の反響を把握するために、商品カタログと共に返信用葉書が同封されることが多い。
この葉書の作成にあって、従来は表裏に所要事項が印刷された葉書を別途作成し、商品カタログ等他の紙片と共に同封していた。」(2頁5〜11行)
イ.「カタログ中に返信ハガキ欄を形成したものもあるが、封筒の所要重量を満たすためにカタログの紙厚を厚くする必要があった。」(2頁19行〜3頁1行)
ウ.「返信用葉書は、郵便法の規定により縦14.8cm、横10cmであり、重量が2グラム以上6グラム以内であることを要する。・・・郵送用連続帳票が軽量であっても、表書き面と、裏書き面とを二枚重ねすることにより、2グラムを越えることができ、上記規定を満たすこととなる。」(3頁14行〜4頁1行)
エ.「表書き面と、裏書き面の所要印刷面は表面に表われる。また、他の所要紙片を同一連続帳票上に配置することにより、一連の工程により葉書欄を含む帳票上の各記載内容を連続的に印刷することが可能となると共に、個別情報を一括かつ統一的に印字することができる。」(4頁2〜7行)
オ.「郵送用連続帳票1には、葉書欄4、商品案内欄5,情報記入欄6がミシン線3b(分離線)を介して、送り方向に連続されている。」(5頁11〜13行)
カ.「葉書欄4について説明すると、・・・表書き面41と、裏書き面42とが連成され、・・・裏書き面42には、返信人の住所氏名の記入欄45及び商品の発注欄46等が記載されている。」(5頁17行〜6頁5行)
キ.「情報記入欄6は、その図中左面には宛名情報記入欄61が形成され、その右面には案内情報記入欄62が形成される。前記宛名情報記入欄61は、後記するように、窓孔が形成された窓明き封筒11に封入した場合に、宛名として該窓孔から視認され、これにより封筒への宛名記入が不要となる。」(6頁8〜14行)
ク.「裏書き欄42の記入欄45にも案内情報記入欄と同様に名宛人(返信人)の住所氏名を印字するようにすれば、前記した返信用葉書10を、顧客に作業負担をかけることなく作成し得ることとなる。」(7頁15〜19行)

2.引用例記載の発明の認定
引用例には、従来技術として「カタログ中に返信ハガキ欄を形成したカタログ」(記載イ参照。以下「引用発明」という。)が記載されている。

3.本願発明と引用発明との一致点及び相違点の認定
引用発明はカタログであるから、当然「少なくとも商品情報が表示されたカタログ紙片」を備えている。
引用例の記載ウ〜クは、記載ア,イの従来技術(引用発明を含む。)を改善したものとして位置づけられており、これらに記載中の「返信用葉書10」は商品購入のための申込書となることが明らかである(記載キ参照。)。そうである以上、引用発明の「返信ハガキ」も商品購入のための申込書とみるべきであり、それは本願発明の「商品の購入を申し込むための申込書紙片」に相当し、引用発明を「申込書付きカタログ」ということができる。
したがって、本願発明と引用発明とは、
「少なくとも商品情報が表示されたカタログ紙片と商品の購入を申し込むための申込書紙片とを備えた申込書付きカタログ。」である点で一致し、次の各点で相違する。
〈相違点1〉本願発明では「申込書紙片には、一面側に購入申込先の宛名情報が表示され、他面側には申込者を特定し得る申込者情報が表示されるとともに、申込商品記入欄が設けられる」としているのに対し、引用発明が同構成を備えるのかどうか明らかでない点。
〈相違点2〉本願発明では「カタログの表出面の所定位置には、カタログの送付先情報が表示されている」のに対し、引用発明が同構成を備えるのかどうか明らかでない点。

4.相違点についての判断及び本願発明の進歩性の判断
(1)相違点1について
引用発明の「返信ハガキ欄」の一面が、購入申込先の宛名を記入すべき欄であること、並びに返信ハガキ欄のどこか(通常は他面)に申込者を特定し得る申込者情報及び申込商品記入欄が形成されることは明らかである。
そして、引用例の記載エ,カ,クには、重ね合わせ後に返信ハガキとなる返信葉書欄の裏書き面に返信人の住所氏名の記入欄45(本願発明の「申込者を特定し得る申込者情報を表示」する欄に相当する。)及び商品の発注欄46等(本願発明の「申込商品記入欄」に相当する。)を設けておき、表書き面と裏書き面に、個別情報(返信人の住所氏名が個別情報である。)を含めて印刷・印字することが記載されており、引用発明の「返信ハガキ欄」にも、その一面側に購入申込先の宛名情報を印刷(表示)し、他面側には申込者を特定し得る申込者情報を印字(表示)するとともに、申込商品記入欄を設けることは設計事項というべきである。

(2)相違点2について
引用発明は、引用例に記載された従来技術であるから、郵送に当たり窓明き封筒を用いるかどうか不明であるし、表出面の所定位置にカタログの送付先情報が表示されているかどうかは不明である。
しかし、引用例の記載キには、窓明き封筒の使用を前提として、宛名情報(本願発明の「カタログの送付先情報」に相当する。)記入欄を設けておくことが記載されており、記載オによれば、この宛名情報は印刷されている(表示されている)。
そうであれば、引用発明にあっても、窓明き封筒の使用に適するように、カタログの表出面の所定位置には、カタログの送付先情報を表示しておくことは設計事項というべきである。

(3)本願発明の進歩性の判断
相違点1,2に係る本願発明の構成を採用することはいずれも設計事項であり、これら構成を採用したことによる格別の作用効果を認めることもできない。
したがって、本願発明は引用発明及びそれを改善した引用例記載の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

第3 むすび
本願発明が特許を受けることができない以上、本願のその余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶を免れない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-04-27 
結審通知日 2005-05-24 
審決日 2005-06-07 
出願番号 特願平5-57753
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B42D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 平井 聡子  
特許庁審判長 津田 俊明
特許庁審判官 藤本 義仁
藤井 靖子
発明の名称 申込書付きカタログ及びその作成方法  
代理人 千葉 太一  

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