ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 B01D 審判 全部申し立て 1項1号公知 B01D |
---|---|
管理番号 | 1121189 |
異議申立番号 | 異議2003-73791 |
総通号数 | 69 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2000-01-11 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2003-12-26 |
確定日 | 2005-07-19 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 特許第3455674号「沈砂池設備及び沈砂池設備における集砂方法」の請求項1、2に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第3455674号の請求項1、2に係る特許を維持する。 |
理由 |
1.手続の経緯及び本件発明 特許第3455674号は、平成10年6月24日に特許出願され、平成15年7月25日に特許権の設定登録がなされ、その後、特許異議申立人野中恵(以下「申立人」という。)より、特許異議の申立てがなされたものである。 本件請求項1、2に係る発明(以下、「本件発明1、2」という。)は、本件特許明細書の特許請求の範囲の請求項1、2に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】 沈砂ピットの下流側に沈砂堆積領域が配されており、流入する原水中の濁質分を前記沈砂堆積領域に堆積させる沈砂池設備において、 前記沈砂堆積領域に複数配設されており、前記下流側から前記沈砂ピットに向けて圧力水を噴射可能な圧力水噴射装置と、 前記原水の流れ方向に沿って延在すると共に、前記沈砂堆積領域を仕切って複数の流路をつくり出し、前記原水の最大水位よりも高い少なくとも1枚の仕切壁とを備え、 前記複数の流路の何れかの流路における前記圧力水噴射装置を作動させて前記下流側から前記沈砂ピットに向けて圧力水を噴射させるとき、他の流路における前記圧力水噴射装置を停止させるように制御することを特徴とする沈砂池設備。 【請求項2】 沈砂ピットの下流側に沈砂堆積領域が配されると共に、前記沈砂堆積領域に複数の圧力水噴射装置が配設された沈砂池設備における集砂方法において、前記原水の流れ方向に沿って延在する前記原水の最大水位よりも高い仕切壁を設け、前記沈砂堆積領域を仕切って複数の流路を形成すると共に、前記複数の流路の何れかの流路における前記圧力水噴射装置を作動させて前記下流側から前記沈砂ピットに向けて圧力水を噴射させるとき、他の流路における前記圧力水噴射装置を停止させることを特徴とする沈砂池設備における集砂方法」 2.特許異議の申立ての理由の概要 申立人は、証拠として甲第1号証を提示し、下記の理由により、本件発明1、2に係る特許を取り消すべきと主張している。 【理由1】本件発明1は甲第1号証に係る明白な事実において公然知られた発明であるから、特許法第29条第1項第1号の規定に該当し、同法第113条第1項第2号の規定により取り消すべきものである。 【理由2】本件発明2は甲第1号証に係る明白な事実において公然知られた発明に基づいて当業者が容易になし得たものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反し、同法第113条第1項第2号の規定により取り消すべきものである。 甲第1号証:「大阪市住之江抽水所雨水沈砂池機械設備入札説明書」 3.甲第1号証の記載 甲第1号証には、その特記仕様書に「第22条 集砂装置の形式及び性能 1.形式 ノズル噴射式 2.噴射水量 約0.4m3/分・個 3.噴射水圧 約0.58MPa(6kgf/cm2) 4.製作数 ノズル4個用 120組 ノズル6個用 20組」と記載されており、また、その添付図面8-3-11には「4 駆動水ポンプ:片吸込渦巻ポンプ φ150×φ100×2.7m3/分」と記載されている。 そして、甲第1号証の上記の記載は「それぞれ、単に、ノズルの仕様と駆動ポンプの仕様」を記載したものにすぎないものであるから、係る記載箇所に「複数の流路の何れかの流路における前記圧力水噴射装置を作動させて前記下流側から前記沈砂ピットに向けて圧力水を噴射させるとき、他の流路における前記圧力水噴射装置を停止させるように制御する圧力水噴射装置の制御方法」が記載されているとは認められず、参考図1を参酌してもこの点の認定が変わるものでもないから、甲第1号証は、「原水の流れ方向に沿って延在すると共に、前記沈砂堆積領域を仕切って複数の流路をつくり出し、前記原水の最大水位よりも高い少なくとも1枚の仕切壁とを備え、複数の流路の何れかの流路における前記圧力水噴射装置を作動させて前記下流側から前記沈砂ピットに向けて圧力水を噴射させるとき、他の流路における前記圧力水噴射装置を停止させるように制御すること」を記載するものとは認められない。 4.当審における判断 4-1.本件発明1について 本件発明1と甲第1号証に記載された技術事項とを対比すると、後者には「原水の流れ方向に沿って延在すると共に、前記沈砂堆積領域を仕切って複数の流路をつくり出し、前記原水の最大水位よりも高い少なくとも1枚の仕切壁とを備え、複数の流路の何れかの流路における前記圧力水噴射装置を作動させて前記下流側から前記沈砂ピットに向けて圧力水を噴射させるとき、他の流路における前記圧力水噴射装置を停止させるように制御すること」という事項が記載されていない。 したがって、本件発明は甲第1号証に係る明白な事実において公然知られた発明ではない。 4-2.本件発明2について 本件発明2と甲第1号証に記載された技術事項とを対比すると、後者には本件発明2を特定する事項である「前記原水の流れ方向に沿って延在する前記原水の最大水位よりも高い仕切壁を設け、前記沈砂堆積領域を仕切って複数の流路を形成すると共に、複数の流路の何れかの流路における前記圧力水噴射装置を作動させて前記下流側から前記沈砂ピットに向けて圧力水を噴射させるとき、他の流路における前記圧力水噴射装置を停止させること」という事項が記載されておらず、当該事項により本件発明2は、「当該一の流路で圧力水噴射装置から噴射される圧力水の流れによって沈砂の一部が攪拌されて浮遊化したとしても、浮遊砂が沈砂池設備に連続する下流側の各種処理施設まで運ばれてしまうことを防止する」という明細書記載の顕著な効果を奏するものである。 したがって、本件発明は甲第1号証に係る明白な事実において公然知られた発明に基づいて当業者が容易になし得たものではない。 5.むすび 以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、本件発明1、2に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件発明1、2に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2005-06-28 |
出願番号 | 特願平10-177385 |
審決分類 |
P
1
651・
111-
Y
(B01D)
P 1 651・ 121- Y (B01D) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 富永 正史 |
特許庁審判長 |
板橋 一隆 |
特許庁審判官 |
鈴木 毅 野田 直人 |
登録日 | 2003-07-25 |
登録番号 | 特許第3455674号(P3455674) |
権利者 | 住友重機械工業株式会社 |
発明の名称 | 沈砂池設備及び沈砂池設備における集砂方法 |