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審決分類 審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B60K
管理番号 1122537
審判番号 不服2002-7323  
総通号数 70 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2001-05-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-04-25 
確定日 2005-08-19 
事件の表示 平成10年特許願第505861号「軸車位置エネルギーによる高出力パワートレイン」拒絶査定不服審判事件〔平成10年1月22日国際公開、WO98/02325、平成13年5月29日国内公表、特表2001-506948〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1、手続の経緯・本願発明
本願は、平成9年7月10日(パリ条約による優先権、西暦1996年7月12日、大韓民国)の国際出願であって、平成12年1月27日付誤訳訂正書及び平成12年1月27日付手続補正書及び平成13年12月4日付手続補正書により訂正及び補正された明細書及び図面の記載から見て、「軸車位置エネルギーによる高出力パワートレイン」に係るものであり、その特許請求の範囲の記載は以下のとおりのものであると認める。
「【特許請求の範囲】
1、モーター(電動機)出力を増幅して,大きい容量の発電機を駆動し,自給する電気エネルギーを生産するばかりでなく,駆動ホイールも駆動させる電気自動車の軸車位置エネルギーによる高出力パワートレインとして,左モーター軸(10)/左牽引滑車(11)/左可変抵抗電磁クラッチ(27)/左牽引滑車(11)/力点滑車(19)/右発電機軸(43'),右モーター軸(10')/右牽引滑車(11')/右可変抵抗電磁クラッチ(27')/原動推進軸(48),原動推進軸(48)/右牽引滑車(56)/遊離結合滑車(51)/従動推進軸(50),冷却ファン(22)/左モーター軸(10),冷却ファン(22)/左発電機軸(43)等での構成に於いて改良されたものは:ハブボス(12、12')がそれぞれあり,レバーの重点(作用点)の役割をするようにし,半径を長く円形に形成し,レバーの力点とし,高速回転時,空気抵抗と騒音を除去しうる複数の左右牽引滑車(11、11'),ハブボス(12、12')から接線へとし,横の他の牽引滑車リムまで左右に伸ばし,重点から出す力で次の牽引滑車(11、11')のリムを引くようにした複数個の伸縮牽引棒(13、13'),上記牽引滑車(11、11')のように,半径が長く,円形の滑車がある力点滑車(19),ハブボスから接線へとし,突き出した左右励磁コイルコア(29、29')と左右励磁コイル原動部材(28、28')のハブボスで一体となって,リムから容易に引くようにした力点滑車(30、30')で構成された左右可変電磁クラッチ(27、27'),励磁コイルコア(29、29')で左右短絡コイル磁極(44、44')に向かうようにし,容易に磁力作用をするようにした左右コイル従動部材(34、34'),その従動部材(34)ハブボスから接線に突き出し,次の牽引滑車(11)リムに連結させた伸縮牽引棒/ピン(35)等でできて,その左右牽引滑車(11、11')とコイル原動部材(28、28')は,左右モーター軸(10、10')に遊離設置され,初めにはめた牽引滑車(11、11')は、そのモーター軸(10、10')に固定し,牽引棒(13、13')の端は横の牽引滑車(11,11')の滑車リム(15、15')に連結,固定し,モーター出力を増幅するようにし,力点滑車(19),左牽引滑車(11),そして,左短絡コイル従動部材(34)は,左励磁コイルコア(29)と,一直線にし,右発電機軸(43')に遊離設置し,左牽引棒(13)は,次の牽引滑車(11)と力点滑車(19)のリムにそれぞれ連結固定し,そして,力点滑車(19)は右発電機軸(43)にキーで固定し,クラッチ作用又は既に増幅された出力をさらに増幅し,発電機の軸を駆動させ,右コイル従動部材(34')は原動推進軸(48)にはめてキーに固定し,クラッチ作用又は原動推進軸(48)をさらに円滑に回転させる手段等を提供する装置,軸(10、43)に固定するハブボス(23)があり,そのハブボス(23)の回転後方の接線とし,約40度前方に斜めに伸ばし,逆の方向にそのハブボス(23)の半径の幅より小さい幅で伸ばし,斜めに引くようにした羽(24)で構成し,冷却ファン(22)を軸(10、43)にはめてキーで固定し,羽(24)を斜めに引き,より容易に回転する手段を提供した装置と、既存の推進軸を2分割し,動力を直接伝達しないようにした原動推進軸(48)と,従動推進軸(50),おす螺旋型端(49)を形成した原動推進軸(48),一方に非螺旋型穴(53)があり,従動推進軸(50)に固定し,他の側にはめす螺旋型穴(54)があり,原動推進軸(48)のおす螺旋型端(49)に若干ゆるめに差し込まれる幅の広いハブボス(52)があり,リムには牽引棒穴(55)のある遊離結合滑車(51)等で構成され,遊離結合滑車(51)は,非螺旋型穴(53)に従動推進軸(50)をさしこみ,キー(60)とキーみぞ(61)で固定し,複数個の右牽引滑車(56)は,原動推進軸(48)に遊離設置し,原動推進軸(48)のおす螺旋型端(49)は,遊離結合滑車(51)のめす螺旋型穴(54)に差し込んで,若干ゆるめに締め,牽引ピン(57)は,次の牽引滑車(56)リムに連結し,初滑車(56)は原動推進軸(48)にキー(60)とキーみぞ(61)で固定,組み立てて,直列レバーの手段を提供した装置。
2、第1項において,左右牽引滑車(11、11'),力点滑車(19)と,他の力点滑車(30、30')等は,それぞれ牽引棒(13、13')側である反対方向のリムに左右牽引ピン穴(15、15'、36、31、31')があり,牽引棒(13、13')はそれぞれ牽引ピン穴(15、15'、36、31、31')側に直角に曲げて延長して,ピン(14、14')にかかるようにし,左短絡コイル従動部材(34)は,上記のように直角に伸びた牽引棒/ピン(35)がある構造で,その牽引ピン(14、14'、35)を牽引ピン穴(15、15'、31、31')に差し込んでスクリュー(38、17)とスクリュー穴(37、16)に固定し,牽引棒(13、13'、35)が牽引滑車(11、30、30')を適切かつ安全に引く手段を提供する装置。
3、より薄い混合気の完全燃焼で,煤煙を排出しない爆発力で出すエンジン出力を増幅して,車輪を十分に静かに駆動させ、常時歯合歯車式変速機を自動変速させ,慣性走行させる軸車位置エネルギーによる内燃機関自動車の高出力パワートレインとして,コネクティングロッド(70)/クランク軸(71),クランク軸(75)/はずみ車(90)、常時歯合歯車式変速機(101),及び半浮動式後車軸(150)/牽引ブレーキドラム(151)/駆動ホイール(153)等での構成の中,複数個のコネクティングロッド(70)とクランクジャーナル(75),クランク腕(76),接線押し棒(77),収縮ばねセット(74)内蔵のクランクピン(78)と,平衡錘(79)が一体になったクランク軸(71)に於いて、改良されたものは:
クランク腕(76),接線押し棒(77)と,平衡錘(79)は,一つのディスク(disk)形態でお互いに割れて分離し,空間で振動と騒音なく回転するようにし,はずみ車効果を得るようにし,クランク腕(76)は,側面に突き出して,クランクピン(78)から回転前方へ鈍角にディスクリムまで,クランクジャーナル(75)の半径幅より小さい幅で割れ,クランクジャーナルから接線へ突き出して,大端部(72)が膨張行程時,クランク腕(76)の端を回転方向へ押すようにし,又クランクジャーナル(75)は吸入,圧縮と排気行程時,大端部(72)をそのクランク腕(76)を引いて,上下に容易に往復するようにし,接線押し棒(77)は,一方だけ割れて半月型にクランク腕(76)端から反回転方向へ,その端は狭くし,延長してクランクピン(78)に一体に連結し,大端部(72)がクランクピンと接線押し棒(77')を回転方向へ押すようにした構成で,クランク軸(71)のクランクピン(78)は,前と同じく,大端部の中に差し込んで,押さえボルト(80)とナット(81)で固定し,クランク軸(71)が,小さい入力で容易に回転しながら,その入力より大きい出力を出す手段を提供する装置,クランクジャーナル(75),ジャーナルフランジ(96),はずみ車(90)と牽引棒(97)で構成されたクランクジャーナル(75)/はずみ車(90)装置において,改良されたものは:
端におす螺旋型ボス(94)があり,はずみ車をゆるく支持しようとし,そのボス(94)の中心にパイロット軸受けみぞ(95)があり,ジャーナルフランジ(96)は,そのフランジから接線へはずみ車(90)リムにまで逆の方向で反回転方向へ伸びた複数個の牽引棒(97)と,その牽引棒(97)の端から直角に曲げて延長した牽引ピン(98)があり,はずみ車(90)リムにかかるようにし,はずみ車(90)は,めす螺旋型ハブ穴(91)があり,ジャーナルボス(94)に遊離安全に設置し,はずみ車(90)の逆の側面に牽引棒みぞ(92)と,牽引棒ピン穴(93)がある構成で,ジャーナルフランジ(96)は、クランクジャーナル(75)の端に差し込んで,キーで固定し,パイロット軸受け(図面に表示なし)は、パイロット軸受けみぞ(95)に内蔵し,はずみ車(90)は,めす螺旋型ハブ穴(91)によって,おす螺旋型ボス(94)に遊離設置し,牽引棒(97)と牽引棒ピン(98)は,牽引棒みぞ(92)と牽引ピン穴(93)に差し込み,そしてジャーナルフランジ(96)は,クランクジャーナルにキーで固定し,クランクジャーナルがはずみ車(90)をより容易に回転する手段を提供する装置,
主軸に遊離設置した主軸多段ギアセット(102),シフトシャフト(104),スプライン(106),原動クラッチギア(108),従動クラッチギア(107),主軸エンジンブレーキギア(105),主軸後進ギア(109),主軸多段ギア(102)の歯に噛み合った状態で,個別的に副軸に遊離設置された副軸多段ギア(112),自動クラッチセット(114),副軸エンジンブレーキギア(110),副軸後進ギア(111)で構成された常時歯合,多段ギア式自動変速機(101)において改良したものは:
自動クラッチセット(114)は,副軸(113)と副軸ギア(112)の間に連結していて,クラッチ手段を一定の大きさで形成し,アクセルペダルを踏まなかったり離した時のエンジン空回転時,それらが副軸ギア(112)に噛み合わなかったりはずれたままにしておき,エンジンが既存のクラッチペダルを踏まなくても空回転し,駆動ホイールを慣性走行させ,クラッチペダルを踏まずに駆動ホイールが制動するようにし,一方アクセルペダルを踏めば,クラッチ手段が加速中に副軸ギア(112)を噛んでエンジン速度と歯車比によって,一つのクラッチセット(114)だけが,副軸ギア(112)のうち一つだけを代わるがわる噛んで駆動し,他の歯車は,噛まなかったりはずれていて,アクセルペダルを再び踏めば,慣性走行速度から加速する手段を提供した装置,半浮動式後車軸(150),後車軸フランジ(154),ブレーキシュー(152),牽引ブレーキドラム(151),遊離結合フランジ(155)と駆動ホイール(153)で構成された半浮動式後車軸(150)/牽引ブレーキドラム(151)/駆動ホイール(153)装置において改良したものは:
後車軸(150)は,差動装置側に連結した端に後車軸フランジ(154)の前にある遊離結合フランジ(155)の幅だけ短く切断し,それだけ後車軸(154)側に延長し、後車軸ボス(156)を形成させ,その後車軸ボス(156)におす螺旋型で形成し,遊離結合フランジ(155)を遊離安全に支持するようにし,その遊離結合フランジ(155)は,内部にめす螺旋型穴(162)があり,ハブボス(157)周囲に複数個の同じ間隔のハブボルト穴(159)があり,駆動ホイール(153)を固定させる幅広いハブボス(157)があり,力点リム(165)は,半径を駆動ホイールベース(base)までより長くして同じ間隔のリムボルト穴(158)をつけ,牽引ブレーキドラム(151)は,後車軸フランジ(154)の半径の幅より小さい幅で割れており,ブレーキドラムから接線へ突き出し,遊離結合フランジ(155)の同じ間隔のリムボルト穴(158)まで長くし,その端は厚い牽引棒ボルト穴(161)がある複数個の牽引棒(160)で構成し,その牽引ブレーキドラム(151)は,後車軸フランジ(154)に差し込んで短いハブボルト(166),ドラムハブボルト穴(163)とナット(167)で固定し,遊離結合フランジ(155)はおす螺旋型後車軸ボス(156)にややゆるめに差し込んで,この状態で牽引棒ボルト(170)は,牽引棒(160)のボルト穴(161)と遊離結合フランジのリムボルト穴(158)にそれぞれ差し込み,ワッシャ(171)とナット(169)で固定し,ハブボルト(168)は,遊離結合フランジ(155)のハブボルト穴(159)にしっかりと固定し,駆動ホイール(153)は,ハブボルト(168)に駆動ホイール(153)のハブボルト穴(164)によって固定し,組立て完成して駆動ホイール(153)を牽引棒(160)を引いて容易に回し,制動できる手段を提供する装置。
4.第3項において,自動クラッチセット(114)は,外輪(115)、内輪(116),ローラー保持器(118),ハブ(117),直動カム(122、122'、131),及び大引張りばね(135)が一定の大きさで形成され,同じ作用をするようにし,外輪(115)はそれぞれロックピン穴(144)があり,副軸ギア(112)側面に付着し、一緒に回転させるようにし,ローラー保持器(118)は内輪(116)と外輪(115)の間で装設され,軸受けの役割をさせたり,原動カム部材(131)が圧迫時はくさびの作用をさせたりし,内輪(116)はハブ(117)と分離してローラー保持器(118)とカム従動節(122、122')と一緒に空回転させ,ハブ(117)には伸縮的に連結し,そのハブ(117)が伸縮的にその内輪(116)を引くようにし,内輪(116)は,外周囲にローラー保持器ハウジング(119)があり、内周囲には上下カム従動節ハウジング(120、120')と,その保持器ハウジング(119)底辺にみぞとしてできた空間があり,上下ピンボス穴(121、121')が一方の端にあり、大引張りばねみぞ(136)はその下にあって,そして,ローラ一保持器(118)と,その下にあるカム従動節(122、122')が内蔵された内輪(116)は,適当な重さがあり,大引張りばね(135)が,アクセルペダルを踏んでエンジンが加速する時伸びて,カム原動節(131)がム従動節(122、122')に接近,圧迫させるようにし,ハブ(117)は副軸(113)に固定し,内輪(116)とは伸縮的に引くように連結し,そのハブ(117)は外周面にカム原動節固定みぞ(132)とハブ大引張りばねみぞ(138)と,一方にハブばね輪(139)があり,上下カム従動節(122、122')は,それぞれ一方にピン穴(123、123')があり,上部のカム従動節(122)は適当な円弧面があり,カム原動節(131)は伸縮的で円弧型面があり,カム原動節(131)がその上を摩擦して滑り,往復運動するようにし,カム従動節(122、122')はエンジン速度と歯車比によってカム原動節(131)に抵抗又は屈服し,カム従動節(122、122')はそれぞれ他端(127、127')で適当に傾斜した側面があり,その他端(127)が下部カム従動節(122')のまた他端(127')上に乗せ,外輪(115)に同じ圧力を加えるようにし,その他端(127、127')は、小ばねみぞ(128、128')と小ばね輪(129、129')を形成し,小引張りばね(130)がお互いに引っ張り合うようにし,大引張りばね(135)はハブ(117)と内輪(116)の間に連結するが,大引張りばね(135)は適当に長く引っ張るようにして,エンジンの空回転時のハブ(117)の回転には伸びないが,アクセルペダルを踏むと,そのハブは速く回転するので,大引張りばねは伸びてカム原動節(131)がカム従動節(122、122')に接近,接続して圧迫し、全てが同時にローラー(118)を外輪(114)に当てて押すのであるが,この時,高速3段ギアに付着した外輪(115)が,その圧迫に抵抗すると,大引張りばね(135)はさらに伸び,カム原動節(131)が摩擦しながら滑り,上部のカム従動節(122)の円弧面を過ぎて前に進みながら引っ張る状態で内輪(116)だけを単独で引いていき,2段ギアの外輪(115)が,その圧迫に屈服すれば,伸びた状態でそこにとどまっていながら,その歯車速度で駆動し,3段ギアの外輪(115)が屈服する時まで加速され,そして,その3段ギアが引き継いで,2段ギアの外輪がその内輪より前に進めば,大引張りばねは元通りに復帰し,ハブは内輪だけ引いて回転させ,アクセルペダルを離せば,大引張りばね(135)は全て復帰し,自動車は慣性走行し,走る車を制動する時は,大引張りばねが復帰するため、クラッチペダルを踏まなくてもブレーキペダルだけ踏んでもいい大引張りばね装置等で構成され,上下カム従動節(122、122')は、上下カム従動節ハウジング(120、120')に内蔵し、ピン(125、125')とブッシング(124、124')を上下ピンボス穴(121,121')とピン穴(123、123')に差し込んで,スナップリング(126、126')で固定し,一方,小引張りばね(130)は,それぞればねみぞ(128、128')にいれ,他端(127)がまた他端(127')の上に乗せて,小引張りばね輪(129、129')にピンと張り,カム原動節(131)はそれぞれハブ(117)のカム原動節固定(132)に内蔵し,スクリュー(134)とスクリュー穴(133)で固定し,ハブ(117)はそれぞれ内輪(116)中心に差し込み,大引張りばね(135)は,内輪とハブ(117)の間に大引張りみぞ(136)、ばね輪(137),ハブばねみぞ(138)とハブばね輪(139)によって連結し,このように構成したクラッチセット(114)は,それぞれ外輪(115),ロックピン(143)と,ロックピン穴(144)で,副軸ギア(112)の側面に固定し,フランジ(140)と結合した副軸ギア(112)/クラッチセット(114)は、一緒にして代わるがわる副軸(113)に差し込み,フランジだけはキー(141)とキーみぞ(142)で固定し,副軸ギア(112)が軸方向へ行かないようにし,歯は主軸ギア(102)の歯に噛み合った状態で,その副軸ギア(112)/クラッチセット(114)は、そのフランジ(140)に密着し、遊離設置し、ハブ(117)はキー(145)とキーみぞ(146)で,副軸(113)に固定,組立てを完成し,適切な自動変速作用の手段を提供する装置。
5、自転車のペダルをより容易に押して推進する自転車の軸車位置エネルギーによる高出力パワートレインとして、ペダルクランク軸(180)/鎖歯車(185)とフリーギア(200)/後輪(201)で構成されたもののうち,左右ペダルクランク腕(181、181'),接線押し棒(182、182'),左右ホルダー(183、183'),クランクジャーナル(184),レバーセット(188)と鎖歯車(185)等で構成されているペダルクランク軸(180)/鎖歯車(185)装置において,改良したものは:
左右クランク腕(181、181')は,適当にもっと長くして,地面に触れず,前輪の土よけに触れないようにし,その長い端を押して容易に回転するようにし,左右接線押し棒(182、182')は延長されたクランク腕(181、181')の端から曲げて回転後方へ鋭角に突き出して,既存のペダルクランク腕が終わる所まで延長し,その所にペダルをつけ,運転者がペダルを押すことが回転方向へ向かうようにし,左右ホルダー(183、183')は,ワイヤーとし,クランク腕(181、181')のハブ方の端と接線押し棒(182、182')のペダル端の間に連結させ,接線押し棒(182、182')の毀損を防ぎ,鎖歯車(185)は,幅の広い鎖歯車ハブボス(186)があり,レバーセット(188)はレバーハブボス(189)にレバーハブ穴(190)をつけ,鎖歯車ハブボス(186)上に遊離設置し,硬い力点棒(191)はレバーハブボス(189)から左側,半径幅に延長して右クランク腕(181')まで長く伸ばしたものと,伸縮牽引棒(192)は力点棒(191)の端から曲げて右側クランク腕(181')のハブボルト(196)にまで延長したものでできた'∩'字型硬い力点/伸縮牽引棒(193)は,そのハブボルト(196)に連結させ,そのハブボルト(196)から牽引棒(192)によって,力点(193)を引き,レバーハブボス(189)から右側半径幅に力点/牽引棒(193)まで長く突き出して,曲げ返し,鎖歯車(185)の半径面二カ所まで長くし,そこに付着した別個の'∩'字型伸縮牽引棒/硬い力点棒(195)等で構成され,レバーセット(188)は鎖歯車ハブボス(186)の上にレバーハブボス(189)をはめて遊離設置し,別個の牽引棒/力点棒(195)の力点棒は,鎖歯車(185)の半径面の二カ所に溶接し,鎖歯車ハブボス(186)は,クランクジャーナル(184)右側に遊離設置し,左右ペダルクランク腕(181、181')は,クランクジャーナル(184)の両端に固定し,力点/牽引棒(193)の端はハブボルト(196)にボルト穴(194)とナット(197)で固定して鎖歯車(185)をより容易に回しうる手段を提供する装置,フリーギア(200),追歯車内輪(203)、フランジ(204)、牽引スポーク(207)、均衡スポーク(208),そして後輪(201)で構成されたフリーギア(200)/後輪(201)装置において改良したものは:
追歯車内輪(203)は,この内輪リムに付着したフランジ(204)に,複数個の同じ間隔の牽引スポーク穴(205)と,複数個の均衡スポーク穴(209)をそのリムに形成し,牽引スポーク(207)と均衡スポーク(208)の端に掛けくるようにし,複数個の牽引スポーク(207)と均衡スポーク(208)は,既存のスポークのうちから選んで,一方の端をフランジ(204)に掛けるように構成して,内輪(203)は,後輪スピンドル(202)に差し込んでややゆるめに締め,牽引スポーク(207)の他端(おす螺旋型)は,フランジ(204)に反回転方向の接線へとし,ホイールリムスポーク穴(210)に差し込んで,牽引棒の役割で容易に引くようにし,均衡スポーク(208)の他の端は、フランジ(204)から回転方向の接線上のホイールリムスポーク穴に締めて,つりあいがとれ内輪(203)と一緒に回転するレバー手段を提供する装置。」

2、当審拒絶理由
一方、当審が平成16年2月20日付で通知した拒絶理由は以下のとおりである。
本願は、明細書の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。

(1)本願に開示される発明を認識するに当たり明細書に言う「牽引滑車」の構成、作用効果の把握が重要である。
ここで第1図〜第4図を参照して明細書の第9頁第12行〜第10頁第17頁の記載内容を見る。
所謂「牽引滑車」の構成を備えることにより、同頁第21行〜第23行には「入力の数十倍の出力を出すようにしたものである。」とあるがその理由が不明瞭である。
何故ならば、所謂「牽引滑車」の構成を採ったとしても、倍率器役割をするとされる二つの滑車は全体で一体の剛体として回転するのみであって、回転数が増える訳でもなく、回転力が増す訳でもなく、ましてや動力が増大する訳がないからである。
そもそも、この明細書に言う入力及び出力の概念も明らかでないが、ここに言う入力及び出力とは回転力(トルク)のことであれば、明細書の記載はトルク変換を念頭に置いた流れでなければならない。
同じく第10頁第2行〜第17行に数式が開示されているが、所謂「牽引滑車トレイン」を構成したところで、各牽引滑車は全体で一体の剛体として回転するのみであり、回転数も回転力も増加する訳ではないから、全くの不適切記載であると断じざるを得ない。
さらに具体的に言えば、左モーター軸10と該左モーター軸10に固定された左牽引滑車11とは、段滑車の関係にあると考えられるので、左モーター軸10より導入される力に対し、左モーター軸10に固定された左牽引滑車11の牽引ピン14に現れる力は、該左モーター軸10の軸心と該牽引ピン14との間の距離(Rとする。)と、該左モーター軸10の径(rinとする。)との比R/rinに反比例して小さくなるものと認められる。
次に、中間に複数配置された左牽引滑車11間についてみると、入力端となる牽引ピン穴15と上記軸心との距離はRであり、出力端となる牽引ピン14と上記軸心との距離もRであるので、入力、出力は同じと認められる。
そして、右発電機軸43’と該右発電機軸43’に固定された力点滑車19についてみると、力点滑車19の牽引ピン穴36より導入される力に対し、右発電機軸43’に現れる力は、該右発電機軸43’の軸心と該牽引ピン穴36との間の距離Rと、該右発電機軸43の径(routとする。)との比R/routに比例して大きくなるものと認められる。
そこで、左モーター軸10より導入される力に対し最終的に右発電機軸43’に現れる力を検討する。中間に配置された左牽引滑車11間では入力、出力は同じと認められることより、力点滑車19の牽引ピン穴36より導入される力は、左モーター軸10に固定された左牽引滑車11の牽引ピン14に現れる力であるので、左モーター軸10より導入される力に対し、(rin/R)×(R/rout)=rin/rout倍の力が右発電機軸43’に現れるものと認められる。本願明細書においてrin/routは明確ではないが、図1を参酌すれば、rin/rout=1と認められるので、結局の所、入力、出力は同じと認められる。
よって、本願明細書における実施例1に係る記載は、その技術的内容が明瞭でなく、本願発明を明確に把握することができない。

(2)同じく明細書の第16頁第9行〜第15行「この組立で〜自給される電気で走行できるようになるのである。」の記載内容を見ると、「入力の数十倍の出力を出す」とあり、不明瞭な記載であることは、既述の内容と同様である。
以下に同様の不適切箇所を列記する。
第1頁第14行〜第15行「そのパワー〜制動しえる。」
第3頁第5行「はるかに小さい力で」
第6頁第30行〜第7頁第1行「出力をその入力の数十倍に大きく出すのである。」
第7頁第5行〜第6行「この位置エネルギーの増加〜得られる。」
第8頁第11行〜第14行「直列レバーで〜したものである。」
第24頁第2行〜第5行「軸車位置エネルギーの発明は、全産業界に産業革命をもたらすであろう。これは、〜したからである。」
同じく第17行〜第28行「その例として〜作用するようにもできる。」

(3)「滑車」なる用語が適切な技術用語であるとは思われず、用語同士を/で結んだ表現が多用されているため、内容の理解がし難い。
また、電気自動車の説明において、所謂「牽引滑車」が「緩衝継手」の役割を果たすものであれば技術内容はある程度理解することが出来るし、内燃機関自動車の説明においても、所謂「牽引滑車」が「緩衝継手」の役割を果たすものであり、変速機が主クラッチを有しないタイプであって、遠心クラッチと歯車伝動装置との組合せからなる自動変速装置に係るものであれば、その技術内容はある程度理解することが出来る。自転車の説明においても梃子の原理を用いた倍力装置を前提としての説明であれば、その技術内容をある程度理解することが出来る。
以上のとおり、明細書の記載は不明瞭箇所が多々存在する。
なお、請求人は平成14年5月28日付手続補正書の第4頁第20行〜第5頁第13行において、2つのユニットを組み合わせることで9倍の出力が得られると説明しているが、小さいハブボス(1cm)から接線方向に突き出したリンクでリム(3cm)を引かれるように構成しても、小さいハブボス、リンク、リムは一体の剛体として回転するから、伝達される力は3倍ではなく1/3となるので、結局1/3×3=1となって、2つのユニットを組合せたとしても、9倍の出力が得られるものではない。

3、当審の判断
これに対して、請求人は意見書を提出してこの拒絶の理由の不当性を主張している。
そこで以下に検討する。
本願発明を理解する上で、所謂「牽引滑車」なる用語が表す技術内容を理解することが重要である。何故ならば、請求項1〜5に係る発明において、所謂「牽引」なる技術が各発明の全体を構成するものではないにしろ、各発明の主要部を構成していることに違いはないからである。そして、発明とは、単に構成のみが示されていれば事足りるという性質のものでもなければ、単に作動しさえすれば事足りるといった性質のものでもないことは論を待たない。この点は特許法施行規則第24条の2にも「発明が解決しようとする課題及びその解決手段その他のその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が発明の技術上の意義を理解するために必要な事項を記載することによりしなければならない」として拒絶条文の一部を規定していることからも知ることができる。
ここで、明細書の第9頁第12行〜第10頁第17行の記載内容を第1図〜第4図を参照して見てみる。
所謂「牽引滑車」の構成を備えることにより、同頁第21行〜第23行には「入力の数十倍の出力を出すようにしたものである。」とあるがその理由が依然として不明瞭である。
何故ならば、所謂「牽引滑車」の構成を採ったとしても、倍率器役割をするとされる二つの滑車は実質的に全体で一体の剛体として回転するのみであって、回転数が増える訳でもなく、回転力が増す訳でもなく、ましてや動力が増大する訳がないからである。
そもそも、この明細書に言う入力及び出力の概念も明らかでないが、ここに言う入力及び出力がもし回転力(トルク)のことを言いたいのであれば、明細書の記載はトルク変換を念頭に置いた流れでなければならない。
同じく第10頁第2行〜第17行に数式が開示されているが、所謂「牽引滑車トレイン」を構成したところで、各牽引滑車は実質的に全体で一体の剛体として回転するのみであり、回転数も回転力も増加する訳ではないから、全くの不適切記載であると断じざるを得ない。
さらに具体的に言えば、左モーター軸10と該左モーター軸10に固定された左牽引滑車11とは、段滑車の関係にあると考えられるので、左モーター軸10より導入される力に対し、左モーター軸10に固定された左牽引滑車11の牽引ピン14に現れる力は、該左モーター軸10の軸心と該牽引ピン14との間の距離(Rとする。)と、該左モーター軸10の径(rinとする。)との比R/rinに反比例して小さくなるものと認められる。
確かに、所謂牽引棒13に力を加えれば、牽引棒に加えたのと同じ力がピン14にも働くことは働くが、その力はあくまで牽引棒の長手方向に働く力であって、かかる牽引棒の長手方向に働く力は、ピン14部分において軸の回転方向の分力と軸の中心方向の分力とに分解されるから、軸の回転方向に働く力は牽引棒の長手方向に働く力に比してかなり小さくなってしまうことは明らかである。そうしてみると、牽引滑車が回転する際に牽引滑車の小半径端の力はそのまま牽引滑車の大半径端に届くことは届くが、その力が全て回転方向の力として利用される訳ではなく、牽引滑車の回転方向の分力分のみが次の牽引滑車の大半径端にそのまま伝達されることとなるのであって、この構成では決して力の増幅は発生し得ないのである。
次に、中間に複数配置された左牽引滑車11間についてみると、入力端となる牽引ピン穴15と上記軸心との距離はRであり、出力端となる牽引ピン14と上記軸心との距離もRであるので、入力、出力は同じと認められる。 そして、右発電機軸43’と該右発電機軸43’に固定された力点滑車19についてみると、力点滑車19の牽引ピン穴36より導入される力に対し、右発電機軸43’に現れる力は、該右発電機軸43’の軸心と該牽引ピン穴36との間の距離Rと、該右発電機軸43の径(routとする。)との比R/routに比例して大きくなるものと認められる。
そこで、左モーター軸10より導入される力に対し最終的に右発電機軸43’に現れる力を検討する。中間に配置された左牽引滑車11間では入力、出力は同じと認められることより、力点滑車19の牽引ピン穴36より導入される力は、左モーター軸10に固定された左牽引滑車11の牽引ピン14に現れる力であるので、左モーター軸10より導入される力に対し、(rin/R)×(R/rout)=rin/rout倍の力が右発電機軸43’に現れるものと認められる。本願明細書においてrin/routは明確ではないが、図1を参酌すれば、rin/rout=1と認められるので、結局の所、入力、出力は同じになると認められる。
よって、本願明細書における記載は、その技術的内容が明瞭でないから、本願発明を明確に把握することができない。
なお、請求人は当審の拒絶理由通知に対し、平成16年9月17日付で意見書を提出して、所謂「牽引滑車」が累進的に増幅した力を発生させる原理について述べている。
しかし、所謂「牽引棒」により小半径端から大半径端に伝えられた力は、例えば、小半径と大半径との比が1:3である場合には1/3程度の回転方向の力に変換され、その力が次の牽引滑車の大半径端にそのまま伝達されるが、大半径端から小半径端に伝えられる場合には、今度は逆に例えば3倍程度に増幅されることになるから、結局は1/3×3=1となり、入力を1として損失を無視すれば、入力と出力とが等しくならざるを得ないものである。
勿論、牽引滑車の小半径端に入力された力が、所謂「牽引棒」により、そのまま大半径端に伝えられたとしても、その力が全て回転方向の力として有効利用されることはなく、その一部が回転方向に働く分力として利用されるに留まるから、請求人の言う「牽引滑車」が累進的に増幅した力を発生させるという原理は、何ら根拠のないものであるといわざるを得ない。

4、まとめ
したがって、この出願は、特許法第36条第4項に規定する要件を満たしていない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-03-30 
結審通知日 2005-03-31 
審決日 2005-04-12 
出願番号 特願平10-505861
審決分類 P 1 8・ 536- WZ (B60K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山下 喜代治  
特許庁審判長 前田 幸雄
特許庁審判官 町田 隆志
窪田 治彦
発明の名称 軸車位置エネルギーによる高出力パワートレイン  
代理人 中井 信宏  

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