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審決分類 審判 全部申し立て 5項1、2号及び6項 請求の範囲の記載不備  B41J
審判 全部申し立て 2項進歩性  B41J
管理番号 1122819
異議申立番号 異議2003-73839  
総通号数 70 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2003-05-21 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-12-27 
確定日 2005-06-08 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3465110号「中間転写記録媒体を用いた画像形成装置」の請求項1に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3465110号の請求項1に係る特許を取り消す。 
理由 第1 手続の経緯
特願平5-225034号の出願から本決定に至るまでの主だった経緯を箇条書きにすると次のとおりである。
・平成5年8月19日 特願平5-225034号出願
・平成14年11月1日 上記出願の分割出願として本件(特願2002-320324号)出願
・平成15年8月29日 特許第3465110号として設定登録(請求項1)
・同年12月27日 特許異議申立人鈴木佳英子より請求項1に係る特許に対して特許異議申立
・平成16年10月26日付け 当審にて取消理由を通知
・同年12月28日 特許権者より意見書及び訂正請求書(その後取下)提出
・平成17年1月26日付け 当審にて再度取消理由を通知
・同年4月4日 特許権者より意見書及び訂正請求書提出

第2 訂正の許否の判断
1.訂正事項
平成17年4月4日付けの訂正請求による訂正(以下「本件訂正」という。)は、次の訂正事項からなっている。
[訂正事項1]
請求項1の記載を「基材シートの一方の面に画像受容層を剥離可能に設けた中間転写記録媒体の画像受容層上に色材を転写する手段と、中間転写記録媒体の画像受容層上に接着層熱転写シートにより接着層を設定する手段と、被転写体上に前記接着層熱転写シートとは別の接着層熱転写シートにより接着層を設定する手段と、被転写体上に中間転写記録媒体から画像受容層を転写する手段とを備えた画像形成装置において、
接着層の設定手段として、画像の形成された画像受容層面及び被転写体と、それぞれの接着層熱転写シートの片面とを重ね合わせ、熱エネルギー付与手段で加熱圧着し、中間転写記録媒体の画像が形成された画像受容層面上、及び被転写体上に接着層を形成し、その後に中間転写記録媒体の画像受容層と被転写体とを重ね合わせ、被転写体上への中間転写記録媒体からの画像受容層の転写手段として、熱エネルギー付与手段を使用して、加熱圧着し、画像受容層を被転写体に接着させ、その後に中間転写記録媒体の基材シートを剥離して被転写体上に画像を形成することを特徴とする画像形成装置。」と訂正する。
[訂正事項2]
明細書の段落【0010】の記載を
「【課題を解決する為の手段】上記の目的を達成する為に、本発明の画像形成装置は、
基材シートの一方の面に画像受容層を剥離可能に設けた中間転写記録媒体の画像受容層上に色材を転写する手段と、中間転写記録媒体の画像受容層上に接着層熱転写シートにより接着層を設定する手段と、被転写体上に前記接着層熱転写シートとは別の接着層熱転写シートにより接着層を設定する手段と、被転写体上に中間転写記録媒体から画像受容層を転写する手段とを備えた画像形成装置において、
接着層の設定手段として、画像の形成された画像受容層面及び被転写体と、それぞれの接着層熱転写シートの片面とを重ね合わせ、熱エネルギー付与手段で加熱圧着し、中間転写記録媒体の画像が形成された画像受容層面上、及び被転写体上に接着層を形成し、その後に中間転写記録媒体の画像受容層と被転写体とを重ね合わせ、被転写体上への中間転写記録媒体からの画像受容層の転写手段として、熱エネルギー付与手段を使用して、加熱圧着し、画像受容層を被転写体に接着させ、その後に中間転写記録媒体の基材シートを剥離して被転写体上に画像を形成することを特徴とする。」と訂正する。
[訂正事項3]
明細書の段落【0030】の「及び/又は」(3箇所)を「及び」と訂正し、並びに「少なくとも被転写体上に中間転写記録媒体から画像受容層を転写する手段と」、「中間転写記録媒体の画像受容層上及び被転写体上の少なくとも一方には接着層を形成」及び「必要に応じ中間転写記録媒体の画像受容層上に接着層を設定する手段」を、「被転写体上に中間転写記録媒体から画像受容層を転写する手段と」、「中間転写記録媒体の画像受容層上及び被転写体上に接着層を形成」及び「中間転写記録媒体の画像受容層上に接着層を設定する手段」と訂正する。
[訂正事項4]
明細書の段落【0039】の「(実施例1)」との記載を「(参考実施例3}」と訂正する。

2.訂正事項についての判断
[訂正事項1]及び[訂正事項2]について、訂正前後の記載を比較すると、技術的に独立した複数の訂正事項からなっている。
1つは、訂正前において「及び/又は」と4箇所に記載があり、中間転写記録媒体の画像受容層と被転写体のどちらか一方だけに接着層を形成(「接着層を設定する手段」が1つ)する発明と、双方に接着層を形成(「接着層を設定する手段」が2つ)する発明を含んでいたものを、後者のみに限定(特許請求の範囲の減縮)することを目的とする訂正であり、訂正事項3,4はそれにあわせて発明の詳細な説明を書き改めたものである。
他の1つは、請求項1に係る発明が「画像形成装置」という物の発明であるにもかかわらず、訂正前の「基材シート上に離型層、加熱により接着性を発現する材料からなる接着層を順に形成した接着層熱転写シートを使用し、」とは、「画像形成装置」に使用されるにすぎない(画像形成装置の構成にはならない。)接着層形成用シートを細かに限定していたため、かえって画像形成装置の構成が不明りょうとなっていたため、細かな限定事項を削除するものである。これは、明りょうでない記載の釈明を目的とするものと認める。なお、接着層形成用シートは「接着層を設定する手段」を間接的に限定する限度で、特許請求の範囲に記載すべき事項であるから、訂正前の「基材シート」の存在及び「接着層熱転写シートの基材シートを剥離」は削除すべきでないのかもしれない(「中間転写記録媒体」について「基材シートの一方の面に画像受容層を剥離可能に設けた」との記載があり、これと同程度の記載は間接的に「画像形成装置」を限定するものであるから、格別特許請求の範囲の記載を不明りょうとするものではない。)が、「接着層熱転写シート」といえば通常「基材シート」に熱転写層が設けられて、熱転写後に基材シートから剥離されるものであるから、「基材シート」の存在及び「接着層熱転写シートの基材シートを剥離」を削除したからといって、特許請求の範囲の記載が不明りょうになったとか、特許請求の範囲を拡張したとみることはできない。
訂正事項1,2のうち、「中間転写記録媒体の画像受容層上に接着層熱転写シートにより接着層を設定する手段と、被転写体上に前記接着層熱転写シートとは別の接着層熱転写シートにより接着層を設定する手段」(下線は当審にて付加)については、2つの接着層熱転写シートの構成が異なると解する余地があり、そのようなことは願書に添付した明細書・図面に記載されていないから、新規事項追加とすべきかもしれない。しかし、接着層熱転写シートの詳細構成が画像形成装置の構成にならないことは既に述べたとおりであり、「とは別の」が単に物理的に独立した位置に個別に配されていることを強調する意味で用いられた文言であると解する余地もあるほか、後記のとおり請求項1に係る特許が取り消された場合に残存する特許は存在しないこともあわせて考えるならば、この点は訂正の許否の問題としては不問に付すことにする。ただし、明細書の記載不備の問題は別途残る。
以上のとおりであるから、訂正事項1〜4は、特許請求の範囲の減縮(平成15年改正前特許法120条の4第2項1号)及び明りょうでない記載の釈明(同3号)を目的とするものであって、訂正事項1〜4に係る訂正後の記載が願書に添付した明細書・図面に記載されていること、及び訂正事項1〜4が実質上特許請求の範囲を拡張・変更するものでないことは明らかであるから、平成15年改正前特許法120条の4第3項で準用される同法126条2項及び3項が読み替えられて準用される平成6年改正前特許法126条1項但し書き及び2項の規定に適合する。
したがって、本件訂正を認める。

第3 特許異議申立についての判断
1.取消理由の骨子
平成16年10月26日付け取消理由は次のようなものである。
(1)請求項1は、本来構成としては記載できないものを記載しているから、請求項1の記載は不明りょうであり、特許を受けようとする発明の構成に欠くことができない事項のみを記載したとはいえず、平成6年改正前特許法36条5項2号に規定する要件を満たない。
(2)請求項1に係る発明は、特開平4-133793号公報(特許異議申立人の提出した甲第1号証。以下「引用例」という。)記載の発明と同一である(特許法29条1項3号該当)か、同発明並びに特開昭63-81093号公報(同甲第2号証)及び特開昭63-173693号公報記載の発明に基づいて当業者が容易に発明できたものであるから、請求項1に係る特許は特許法29条1項又は2項の規定により拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされた特許である。

2.記載不備についての判断
取消理由では、訂正前請求項1記載の「基材シート上に離型層、加熱により接着性を発現する材料からなる接着層を順に形成した接着層熱転写シートを使用し、」について、どのようなシートを使用するかは、本来「画像形成装置」の構成にはなりえない旨指摘した。本件訂正により、「基材シート上に離型層、加熱により接着性を発現する材料からなる接着層を順に形成した」との限定はなくなったけれども、「接着層を設定する手段」が「中間転写記録媒体の画像受容層上に接着層熱転写シートにより接着層を設定する手段と、被転写体上に前記接着層熱転写シートとは別の接着層熱転写シートにより接着層を設定する手段」と限定された。ここでの「とは別の」とは、2つの「接着層を設定する手段」に供される「接着層熱転写シート」が異なる旨の限定であり、単に個別の「接着層熱転写シート」があるだけではなく、2つの接着層熱転写シートの構成(材料・組成等)が異なると解する余地がある。しかし、取消理由で指摘したとおり、接着層熱転写シートの構成(材料・組成等)によって、画像形成装置の構成を限定することは本来的にできないことであり、そのようなことを特許請求の範囲に記載すればかえって特許請求の範囲を不明りょうにするものである。
したがって、本願の明細書の記載は、平成6年改正前特許法36条5項2号に規定する要件を満たしていない。

3.本件発明の認定
本件訂正が認められるから、請求項1に係る発明(以下「本件発明」という。)は、訂正事項1で述べたとおりのものである。ただし、「第2 2」及び「第3 2」で述べたとおり、2つの「接着層を設定する手段」に供される「接着層熱転写シート」が異なる旨の限定については、その構成(材料・組成等)が異なるとしても、画像形成装置の構成を限定することにはならないから、せいぜい個別独立の「接着層熱転写シート」があるという意味に解するよりない。

4.引用刊行物
平成16年10月26日付け取消理由に引用した特開平4-133793号公報(特許異議申立人の提出した甲第1号証。以下「引用例」という。)には、以下のア〜ケの記載又は図示がある。摘記に当たっては、改行及び1字空白を省略することがある。
ア.「基材フイルムの一方の面に剥離可能に設けた染料受容層に昇華転写方法により画像を形成し、然る後上記画像を有する染料受容層を被転写材に転写することを特徴とする熱転写画像形成方法。」(1頁左下欄【請求項1】)
イ.「画像形成後、該画像面に目止層を形成する請求項1記載の熱転写画像形成方法。」(同【請求項2】)
ウ.「普通紙等の既製品に画像を形成しようとする場合、その必要部分のみに染料受容層を手軽に形成する方法として、受容層転写シートが知られている(例えば、特開昭62-264994号公報参照)。しかしながら、以上の如き表面平滑性に劣る紙等に受容層を転写させても、該転写された受容層は目の粗い紙に起因してその表面は十分には平滑ではなく、かかる受容層に昇華転写方法で画像を形成する場合には、熱転写シートと受容層との密着性が劣り、形成される画像に白抜けや欠けが発生するという問題がある。従って、本発明の目的は、表面が平滑でなくてもよい任意の被転写材の必要箇所に高画質の昇華転写画像を付与することが出来る熱転写画像形成方法を提供することである。」(2頁左上欄17行〜右上欄12行)
エ.「受容層転写シートAと昇華型熱転写シートBとを重ね熱転写シートBの背面からサーマルヘッド4により加熱して受容層3に所望の画像5を形成し(第1図a)、次いで・・・受容層3を任意の被転写材Cに重ね、受容層転写シートAの背面からサーマルヘッド等の加熱手段4により加熱し、画像5を有する受容層3を任意の被転写材Cに転写させる(第1図b)」(2頁左下欄11〜19行)
オ.「本発明の好ましい実施態様では、第2図示の様に、第1図aの如く画像形成後、被転写材Cに転写する前に、受容層3の画像形成面に目止層6を形成し(第2図b)、これを被転写材Cに転写させる(第2図c)ことによって、一層目の粗い被転写材Cにも容易に画像を付与することが出来る。又、第3図示の例は、目止層6を被転写材Cの画像形成領域に予め形成した例であり、同様な作用効果を奏する。」(2頁右下欄1〜10行)
カ.「本発明で使用する受容層転写シートはそれ自体は公知であり、第1図示の如く基材フイルム1の一方の面に必要に応じて剥離層2を介して染料受容層3を剥離可能に設けたものである。」(2頁右下欄11〜14行)
キ.「本発明の好ましい実施態様で使用する目止層の形成方法は特に限定されないが、前記受容層転写シートで使用した如き基材フイルム1の表面に必要に応じて剥離層(不図示)を介して塩素化ポリプロピレン、ポリウレタン、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、ポリエステル、アクリル樹脂等の比較的柔らかい樹脂に、体質顔料や白色顔料等を配合して前記受容層と同様に転写層6を形成し、この目止層転写層6を画像形成済の受容層3の表面又は被転写材Cの転写領域に転写させて形成することが好ましい(第2図b及び第3図b参照)。」(4頁右上欄4〜15行)
ク.「画像を形成した受容層の転写方法は、熱転写用のサーマルヘッドを備えた一般のプリンター、転写箔用のホットスタンパー、熱ロール等、接着剤層が活性化される温度に加熱可能ないずれの加熱加圧手段でもよい。」(4頁左下欄5〜9行)
ケ.第2図(b)及び第3図(b)には、符番4で示されるものにより、目止層6が受容層転写シートA又は被転写材Cに転写される様子が図示されている。

5.引用例記載の発明の認定
引用例は、直接的には「熱転写画像形成方法」について記載した文献であるが、熱転写画像形成の個々の工程は何らかの装置・手段により実行される。その装置・手段は個々の工程毎に記載されているから、それら装置・手段を総合した熱転写画像形成装置としての発明も、引用例から把握することができる。
記載アの「基材フイルムの一方の面に剥離可能に設けた染料受容層に昇華転写方法により画像を形成」する工程としては、記載カのとおり「基材フイルム1の一方の面に必要に応じて剥離層2を介して染料受容層3を剥離可能に設けた」ものを受容層転写シートとし、記載エのとおり、受容層転写シートAと昇華型熱転写シートBとを重ね熱転写シートBの背面からサーマルヘッド4により加熱して受容層3に所望の画像5を形成しているから、受容層転写シートと昇華型熱転写シートとを重ねる手段及びサーマルヘッドを同工程のための装置・手段ということができる。
記載イの「画像形成後、該画像面に目止層を形成する」工程としては、記載キのとおり、基材フイルム1の表面に必要に応じて剥離層(不図示)を介して転写層6を形成し、この目止層転写層6を画像形成済の受容層3の表面に転写させて形成したのであり、ここでの転写が熱転写である旨の明文記載はないけれども、記載ケのとおり、【図2】では符番4で示される手段により転写される様子が示されており、この符番4については「サーマルヘッド4」(記載エ)及び「サーマルヘッド等の加熱手段4」(記載エ)と記載されており、さらに記載クの「接着剤層」が「目止層転写層」と異なると理解することは困難である(引用例は必ずしも、「目止層」を必須とするわけではないが、「目止層」がある場合には、それが「接着剤層」となる。)から、目止層転写層6を画像形成済の受容層3の表面に熱転写しているものと解さねばならない。したがって、基材フイルムの表面に剥離層を介して目止層転写層を形成したシートと画像形成済の受容層(受容層転写シートの)を重ね合わせる手段及び熱転写手段を「画像形成後、該画像面に目止層を形成する」工程のための装置・手段ということができる。
記載アの「画像を有する染料受容層を被転写材に転写する」工程としては、記載エのとおり、「受容層3を任意の被転写材Cに重ね、受容層転写シートAの背面からサーマルヘッド等の加熱手段4により加熱し、画像5を有する受容層3を任意の被転写材Cに転写させる」のであるから、受容層(目止層転写済)と被転写材を重ねる手段、加熱手段を含む転写手段を同工程のための装置・手段ということができる。
したがって、引用例には熱転写画像形成装置として、次のような発明が記載されていると認めることができる。
「基材フイルムの一方の面に剥離可能に受容層を設けた受容層転写シートと昇華型熱転写シートとを重ね、サーマルヘッドにより受容層転写シートの受容層に転写する手段、
基材フイルムの表面に剥離層を介して目止層転写層を形成したシートと画像形成済の受容層を重ね合わせ、目止層転写層を熱転写する手段、及び
目止層転写済の受容層と被転写材を重ね、加熱手段より転写する手段を備えた熱転写画像形成装置。」(以下「引用発明」という。)

6.本件発明と引用発明との一致点及び相違点の認定
引用発明の「受容層転写シートと昇華型熱転写シートとを重ね、サーマルヘッドにより受容層転写シートの受容層に転写する手段」と本件発明の「基材シートの一方の面に画像受容層を剥離可能に設けた中間転写記録媒体の画像受容層上に色材を転写する手段」に相違はない(引用発明の「受容層転写シート」が本件発明の「中間転写記録媒体」に相当する。)。
引用発明の「目止層」と本件発明の「接着層」は、文言が相違するけれども、これら層自体が発明の構成ではなく、これら層を中間転写記録媒体に形成するための手段だけが本件発明の構成となるのであるから、引用発明の「基材フイルムの表面に剥離層を介して目止層転写層を形成したシートと画像形成済の受容層を重ね合わせ、目止層転写層を熱転写する手段」と本件発明の「中間転写記録媒体の画像受容層上に接着層熱転写シートにより接着層を設定する手段」に相違はなく(引用発明の「基材フイルムの表面に剥離層を介して目止層転写層を形成したシート」が本件発明の「接着層熱転写シート」に相当する。)、引用発明のそれも「接着層の設定手段として、画像の形成された画像受容層面と、接着層熱転写シートの片面とを重ね合わせ、熱エネルギー付与手段で加熱圧着し、中間転写記録媒体の画像が形成された画像受容層面上に接着層を形成」するものである。百歩譲って、上記文言の相違が発明の構成に関わる可能性があるとしても、引用発明の「目止層」は最終的に被転写材と受容層間に位置することになるから、この層に接着機能が要求されることは明らかである。加えて、取消理由に引用した特開昭63-81093号公報(特許異議申立人の提出した甲第2号証)及び特開昭63-173693号公報には、被転写材と受容層間にこれらを接着するための接着剤又は融着シートを配することが記載されているから、引用発明の「目止層」を「接着層」と称してもよいことは明らかである。
引用発明の「目止層転写済の受容層と被転写材(本件発明の「被転写体」に相当する。)を重ね、加熱手段より転写する手段」は本件発明の「被転写体上に中間転写記録媒体から画像受容層を転写する手段」に相当し、本件発明同様「中間転写記録媒体の画像受容層と被転写体とを重ね合わせ、被転写体上への中間転写記録媒体からの画像受容層の転写手段として、熱エネルギー付与手段を使用して、加熱圧着し、画像受容層を被転写体に接着させ」る手段であり、被転写体上へ画像受容層を被転写体に接着させることが、接着層形成後である点でも、本件発明と引用発明に相違はない。
引用発明の「受容層転写シート」は「基材フイルムの一方の面に剥離可能に受容層を設けた」ものであるから、被転写体上へ画像受容層を被転写体に接着させた後、受容層転写シート(中間転写記録媒体)の基材フイルム(基材シート)を剥離して被転写体上に画像を形成することは明らかである。
そして、引用発明の「熱転写画像形成装置」と本件発明の「画像形成装置」にも相違がない。
なお、引用発明では、画像形成方法として熱転写工程が3度あり、それぞれの工程における熱転写手段を独立配置することまでが明確に記載されているわけではないけれども、昇華型熱転写シートから受容層に転写する際には「サーマルヘッド4」を用い(記載エ)、受容層から被転写材に転写する際には「サーマルヘッド等の加熱手段4」(記載エ)、「(熱転写用のサーマルヘッドを備えた一般のプリンター、転写箔用のホットスタンパー、熱ロール等、接着剤層が活性化される温度に加熱可能ないずれの加熱加圧手段」(記載ク)を用いる旨記載されているのだから、少なくともこの2つの工程では別個の熱転写手段が用いられると解すべきである。そうである以上、目止層転写層を転写する際の熱転写手段も、他の2つとは別個の手段と解するのが自然である。
したがって、本件発明と引用発明とは、
「基材シートの一方の面に画像受容層を剥離可能に設けた中間転写記録媒体の画像受容層上に色材を転写する手段と、中間転写記録媒体の画像受容層上に接着層熱転写シートにより接着層を設定する手段と、被転写体上に中間転写記録媒体から画像受容層を転写する手段とを備えた画像形成装置において、
接着層の設定手段として、画像の形成された画像受容層面及び被転写体と、それぞれの接着層熱転写シートの片面とを重ね合わせ、熱エネルギー付与手段で加熱圧着し、中間転写記録媒体の画像が形成された画像受容層面上に接着層を形成し、その後に中間転写記録媒体の画像受容層と被転写体とを重ね合わせ、被転写体上への中間転写記録媒体からの画像受容層の転写手段として、熱エネルギー付与手段を使用して、加熱圧着し、画像受容層を被転写体に接着させ、その後に中間転写記録媒体の基材シートを剥離して被転写体上に画像を形成する画像形成装置。」である点一致し、次の点で相違する。
〈相違点〉本件発明が「被転写体上に前記接着層熱転写シートとは別の接着層熱転写シートにより接着層を設定する手段」(以下「第2接着層設定手段」という。)を備え、被転写体上へ中間転写記録媒体からの画像受容層を転写させるに先立って、被転写体と第2接着層設定手段の接着層熱転写シートの片面とを重ね合わせ、熱エネルギー付与手段で加熱圧着し、被転写体上に接着層を形成するのに対し、引用発明は第2接着層設定手段に相当する構成を備えていない点。

7.相違点についての判断及び本件発明の進歩性の判断
引用発明は、上記認定のとおり「基材フイルムの表面に剥離層を介して目止層転写層を形成したシートと画像形成済の受容層を重ね合わせ、目止層転写層を熱転写する手段」を備えたものであるが、引用例には目止層転写層を被転写材の転写領域に転写させて形成してもよい旨の記載がある(記載オ,キ)。引用例には、画像形成済の受容層と被転写材の両方に目止層転写層を転写させることについての記載はないけれども、そうしてはならない旨の記載もない。
ところで、引用発明の受容層転写シート及び被転写材はいずれもシート状のものであるところ、一般に2つのシートを接着するに際し、一方だけに接着剤を配することも、両方に接着剤を配することも広く行われていることである。
そればかりか、引用発明の「目止層」は接着機能を必要とするだけでなく、記載オにあるように、一層目の粗い被転写材にも容易に画像を付与するために採用された層であるから、一定程度の厚さが望まれることは明らかである。
そして、画像形成済の受容層と被転写材の両方に目止層を転写すれば、一方だけに転写した場合よりも目止層の厚さを確保することができ、目止層の作用効果を強めることができることは明らかである。
以上を総合すれば、引用発明において、被転写材に目止層を転写させる手段(「第2接着層設定手段」)を別途設け、それに伴い接着層熱転写シート(基材フイルムの表面に剥離層を介して目止層転写層を形成したシート)も2つ用意し、被転写体上へ中間転写記録媒体(受容層転写シート)からの画像受容層を転写させるに先立って、被転写体と第2接着層設定手段の接着層熱転写シートの片面とを重ね合わせ、熱エネルギー付与手段で加熱圧着し、被転写体上に接着層(目止層)を形成すること、すなわち相違点に係る本件発明の構成を採用することは当業者にとって想到容易であり、同構成を採用したことによる格別の作用効果を認めることもできない。
したがって、本件発明は引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

第4 むすび
以上によれば、請求項1の特許は拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものであるから、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律116号)附則14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令205号)4条2項の規定により取り消されなければならない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
中間転写記録媒体を用いた画像形成装置
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】基材シートの一方の面に画像受容層を剥離可能に設けた中間転写記録媒体の画像受容層上に色材を転写する手段と、中間転写記録媒体の画像受容層面上に接着層熱転写シートにより接着層を設定する手段と、被転写体上に前記接着層熱転写シートとは別の接着層熱転写シートにより接着層を設定する手段と、被転写体上に中間転写記録媒体から画像受容層を転写する手段とを備えた画像形成装置において、接着層の設定手段として、画像の形成された画像受容層面及び被転写体と、それぞれの接着層熱転写シートの片面とを重ね合わせ、熱エネルギー付与手段で加熱圧着し、中間転写記録媒体の画像が形成された画像受容層面上、及び被転写体に接着層を形成し、その後に中間転写記録媒体の画像受容層と被転写体とを重ね合わせ、被転写体上への中間転写記録媒体からの画像受容層の転写手段として、熱エネルギー付与手段を使用して、加熱圧着し、画像受容層を被転写体に接着させ、その後に中間転写記録媒体の基材シートを剥離して被転写体上に画像を形成することを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は熱転写画像の形成装置に関し、更に詳しくは被転写体の材質の影響を受けずに、昇華転写によるフルカラー画像及び/又は熱溶融転写による高濃度で鮮明な画像を任意の被転写体上に形成する画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、基材シートの一方の面に色材層が設けられた熱転写シートと、必要に応じて画像受容層が設けられた被転写体とを、サーマルヘッド等の加熱デバイスとプラテンロールの間に圧接し、画像情報に応じて加熱デバイスの発熱部分を選択的に発熱させ、熱転写シート上の色材層に含まれる色材を被転写体に移行させることにより、画像を記録する感熱転写方式は種々提案されている。中でも感熱溶融転写方式と感熱昇華転写方式が広く用いられている。
【0003】
感熱溶融転写方式は、顔料等の色材を熱溶融性のワックスや樹脂等のバインダに分散させた熱溶融インキ中層を、プラスチックフィルム等の基材シートに担持させた熱転写シートを用いて、サーマルヘッド等の加熱デバイスに画像情報に応じたエネルギーを印加し、天然繊維紙やプラスチックシート等の被転写体上に色材をバインダとともに転写する画像形成方法である。感熱溶融転写方式によって形成される画像は、高濃度で鮮鋭性に優れており、文字,線画等の2値画像の記録に適している。またイエロー、マゼンタ、シアン,ブラック等の熱転写シートを用いて、被転写体上に重ねて記録することにより、多色あるいはカラー画像の形成も可能である。
【0004】
また、感熱昇華転写方式は、色材として用いる昇華性染料を、バインダ樹脂に溶解あるいは分散させた染料層を、プラスチックフィルム等の基材シートに担持させた熱転写シートと、天然繊維紙やプラスチックシート等の支持体上に画像受容層を設けた被転写体を用いて、サーマルヘッド等の加熱デバイスに画像情報に応じたエネルギーを印加することにより、熱転写シート上の染料層中に含まれる昇華染料を被転写体上の画像受容層中に移行させて、画像を記録する方法である。感熱昇華転写方式は熱転写シートに印加するエネルギー量によって、ドット単位で染料の移行量を制御できる為、濃度変調による階調再現が可能である。また、使用する色材が染料である為形成される画像は透明性があり、複数の染料層を用いて色を重ねた際の中間色の再現性に優れている。したがって、イエロー、マゼンタ、シアンの3色あるいはこれにブラックを加えた4色の熱転写シートを用いて、被転写体上にこれらの3色あるいは4色を重ねて記録することにより、高画質なフルカラー画像の形成が可能である。
【0005】
これらの熱転写による画像形成方式のうち、特に感熱昇華転写方式においては、被転写体の画像受容面が染料の染着性をもつことが必要であり、画像受容層が設けられていない被転写体に画像を形成することは殆ど不可能であった。その為、紙やプラスチックシート上に染料を受容しやすい物質からなる画像受容層を形成した専用紙を用いなければならないという問題があった。
【0006】
この問題を解決する為に、画像受容層を基材シート上に剥離可能に形成した受容層転写シートから、画像受容層を既製の紙に転写し、その上に染料熱転写シートより色材を転写して画像を設ける技術が提案されている(特開昭62-264994号公報参照)。この方法では被転写体の面質の影響を強く受け、白抜けやムラのない均一な画像を形成することは困難であった。
【0007】
そこで、被転写体の表面凹凸や地合いにより画像品質が影響を受けることを防止する為に、まず、画像受容層が基材シート上に剥離可能に設けられた中間転写記録媒体の画像受容層上に画像を形成し、然る後に中間転写記録媒体を加熱して、画像が形成された画像受容層を被転写体上に転写する方法も提案されている(特開平4-133793号公報参照)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の中間転写記録媒体を用いた場合には、画像受容層上に画像を形成した後、被転写体に画像受容層を転写する際に、基材シートと画像受容層が剥離しにくく、また、中間転写記録媒体の画像受容層と被転写体との接着力が十分でない場合には、画像受容層の被転写体への転写不良が発生し、画像受容層が中間転写記録媒体側に残ってしまったり、転写はしたものの接着力不足の為に、画像受容層転写後に、画像受容層が被転写体から剥がれてしまう等の問題が生じてしまった。
【0009】
本発明は、上記の問題点である画像受容層の被転写体への接着力不足を解消し、任意の被転写体上に画像を形成することが可能であって、高品質なフルカラー画像が得られる画像形成装置を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決する為の手段】
上記の目的を達成する為に、本発明の画像形成装置は、基材シートの一方の面に画像受容層を剥離可能に設けた中間転写記録媒体の画像受容層上に色材を転写する手段と、中間転写記録媒体の画像受容層面上に接着層熱転写シートにより接着層を設定する手段と、被転写体上に前記接着層熱転写シートとは別の接着層熱転写シートにより接着層を設定する手段と、被転写体上に中間転写記録媒体から画像受容層を転写する手段とを備えた画像形成装置において、接着層の設定手段として、画像の形成された画像受容層面及び被転写体と、それぞれの接着層熱転写シートの片面とを重ね合わせ、熱エネルギー付与手段で加熱圧着し、中間転写記録媒体の画像が形成された画像受容層面上、及び被転写体上に接着層を形成し、その後に中間転写記録媒体の画像受容層と被転写体とを重ね合わせ、被転写体上への中間転写記録媒体からの画像受容層の転写手段として、熱エネルギー付与手段を使用して、加熱圧着し、画像受容層を被転写体に接着させ、その後に中間転写記録媒体の基材シートを剥離して被転写体上に画像を形成することを特徴とする。
【0011】
【作用】
基材シート上に離型層を介して、接着層を形成した接着層熱転写シートを使用して、転写した接着層を介して画像受容層を被転写体に転写する本発明の画像形成装置によると、画像受容層の被転写体への転写の際に、転写したい部分の画像受容層を確実に被転写体上に転写することが可能であり、転写後に画像受容層が中間転写記録媒体側に残ることがない。また、画像受容層と被転写体との密着性が高い為、画像受容層転写後に画像受容層が被転写体から剥離するのを防止できる。
【0012】
以下、本発明の画像形成装置について図面を参照しながら説明する。図2は本発明の画像形成装置にて使用される中間転写記録媒体を示す図面である。本発明で使用する中間転写記録媒体は、基材シート11の一方の面に画像受容層12を剥離可能に形成したものである。中間転写記録媒体とサーマルヘッドのような加熱デバイスとの摺動性向上の為に、基材シート11の画像受容層側の他方の面に背面層15を設定してもよい。また、画像受容層12の基材シート11からの剥離性能を制御する為に、基材シート11と画像受容層12との間に離型層14を設けてもよい。また、被転写体上に形成される画像と共に転写される画像受容層を保護する目的で、基材シート11と画像受容層12との間に画像保護層13を設けてもよい。この画像保護層は画像受容層と共に被転写体上に転写され、画像の耐候性能や、指紋や薬品等に対する耐久性能を向上させる。
【0013】
基材シート11は、従来の熱転写シートに使用されているものと同じ基材シートをそのまま用いることができ、特に制限するものではない。好ましい基材シートの具体例は、グラシン紙、コンデンサー紙、パラフイン紙等の薄紙、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルサルホン等の耐熱性の高いポリエステル、ポリプロピレン、ポリカーボネート、酢酸セルロース、ポリエチレンの誘導体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリメチルペンテン、アイオノマー等プラスチックの延伸あるいは未延伸フイルムや、これらの材料を積層したものが挙げられる。この基材シートの厚さは、強度及び耐熱性等が適切になるように材料に応じて適宜選択することができるが、通常は1〜100μm程度のもの好ましく用いられる。
【0014】
画像受容層12は、少なくともバインダ樹脂からなり、必要に応じて離型剤等の各種添加剤を添加してもよい。バインダ樹脂は昇華染料が染着しやすいものを用いることが好ましく、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のハロゲン化樹脂、ポリ酢酸ビニルポリアクリル酸エステル等のビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレンやプロピレン等のオレフィンと他のビニル系モノマーとの共重合体、アイオノマー、セルロース誘導体等を用いることができ、これらの中でもビニル系樹脂及びポリエステル系樹脂が特に好ましく用いられる。接着層を介して画像受容層を被転写体に転写する本発明の画像形成装置においては、画像受容層自体に必ずしも感熱接着性を付与する必要がない。したがって、画像受容層を構成する樹脂に、熱により軟化し難い樹脂を用いることもできる。
【0015】
画像受容層12は熱転写シートとの熱融着を防止する為に、上記の樹脂に離型剤を配合することが好ましい。離型剤としては、シリコーンオイル、リン酸エステル系界面活性剤、フッ素系化合物等を用いることができるが、この中でも特にシリコーンオイルが好ましく用いられる。この離型剤の添加量は、画像受容層を形成するバインダ樹脂100重量部に対し0.2〜30重量部が好ましい。画像受容層は、前記の基材シート上に、上記の樹脂に離型剤等の必要な添加剤を加え、水又は有機溶剤等の溶媒に溶解又は分散させたインキを、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング法等の通常の方法で塗布を行うことが可能である。その塗布量は、塗布乾燥後の膜厚が0.1〜10μmになるようにするのが望ましい。
【0016】
離型層14には、バインダ樹脂と離型性材料とが含有される。バインダ樹脂としては、熱可塑性樹脂であるポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系樹脂、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のビニル系樹脂、エチルセルロース、ニトロセルロース、酢酸セルロース等のセルロース誘導体、あるいは熱硬化型樹脂である不飽和ポリエステル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン系樹脂、アミノアルキッド樹脂等が使用できる。また、離型性材料としては、ワックス類、シリコーンワックス、シリコーン系樹脂、メラミン樹脂、フッソ系樹脂、タルク、シリカの微粉末や、界面活性剤や金属セッケン等の滑剤等が使用できる。離型層は、画像受容層と同様な方法で形成することができ、その厚みは0.1〜5μmが好ましい。
【0017】
画像保護層13は少なくともバインダ樹脂から構成されるが、基材シート11と適当な剥離性をもち、画像受容層12と共に被転写体3に転写された後は画像受容層12の表面保護層として所望の物性をもつ樹脂組成を選定する。一般的には、エチルセルロース、ニトロセルロース、酢酸セルロース等のセルロース誘導体、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール等のビニル重合体の熱可塑性樹脂や、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アミノアルキッド樹脂等の熱硬化型の樹脂を用いることができる。画像の形成された被転写体に対して、耐摩擦性、耐薬品性、耐汚染性が特に要求される場合は、画像保護層樹脂として電離放射線硬化型樹脂を用いることもできる。また、上記の樹脂に、画像形成物の擦過性を向上させる為の滑剤、汚染防上の為の界面活性剤、耐候性能を向上させる為の紫外線吸収剤、酸化防止剤等を加えてもよい。画像保護層は画像受容層と同様の方法で形成することができ、厚みは0.1〜10μmが好ましい。
【0018】
背面層15は、熱転写シートから色材を転写する際、及び画像受容層を被転写体に転写する際に、サーマルヘッドやラインヒーター等の加熱デバイスとの熱融着を防止し、走行を滑らかに行う目的で、加熱デバイスと接触する基材シート11の画像受容層側の他方の面に設けることができる。この背面層に用いる樹脂としては、例えば、エチルセルロース、ヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、酢酸セルロース、酢酪酸セルロース、ニトロセルロース等のセルロース系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン等のビニル系樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリルアミド、アクリロニトリル-スチレン共重合体等のアクリル系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルトルエン樹脂、クマロンインデン樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン変性又はフッ素変性ウレタン等の天然又は合成樹脂の単体又は混合物が用いられる。背面層の耐熱性をより高める為に上記の樹脂のうち、水酸基等の反応性基を有している樹脂を使用し、架橋剤としてポリイソシアネート等を併用して、架橋樹脂層とすることが好ましい。更に、サーマルヘッドとの摺動性を付与する為に、背面層に固形あるいは液状の離型剤又は滑剤を加えて耐熱滑性をもたせてもよい。離型剤又は滑剤としては、例えば、ポリエチレンワックス、パラフィンワックス等の各種ワックス類、高級脂肪族アルコール、オルガノポリシロキサン、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、有機カルボン酸及びその誘導体、フッソ系樹脂、シリコーン系樹脂、タルク、シリカ等の無機化合物の微粒子等を用いることができる。背面層に含有される滑剤の量は5〜50重量%、好ましくは10〜30重量%程度である。
【0019】
本発明に用いる熱転写シートは、公知の染料熱転写シートや熱溶融インキ転写シートが使用できる。染料熱転写シートにおいては、熱により昇華・移行する染料が画像を形成する色材となり、熱溶融インキ転写シートを使用した場合には溶融・移行するインキ自体が色材となる。
【0020】
色材を中間転写記録媒体の画像受容層に転写するときに、熱エネルギーを与える手段は、従来から公知の方法はいずれも使用できる。
【0021】
尚、本発明で最終的に得られる画像は、中間転写記録媒体の画像受容層に形成した画像と鏡像関係となるので、文字や記号は予め逆転像として形成しておく必要がある。
【0022】
本発明で使用できる被転写体は特に限定されず、例えば、天然繊維紙、コート紙、トレーシングペーパー、転写時の熱で変形しないプラスチックフイルム、ガラス、金属、セラミックス、木材、布等いずれのものでも構わない。被転写体の形状、用途についても、株券、証券、証書、通帳類、乗車券、車馬券、印紙、切手、鑑賞券、入場券、チケット等の金券類、キャッシュカード、クレジットカード、プリペイドカード、メンバーズカード、グリーティングカード、ハガキ、名刺、運転免許証、ICカード、光カードなどのカード類、カートン、容器等のケース類、バッグ類、帳票類、封筒、タグ、OHPシート、スライドフィルム、しおり、カレンダー、ポスター、パンフレット、メニュー、パスポート、POP用品、コースター、ディスプレイ、ネームプレート、キーボード、化粧品、腕時計、ライター等の装身具、文房具、レポート用紙など文具類、建材、パネル、エンブレム、キー、布、衣類、履物、ラジオ、テレビ、電卓、OA機器等の装置類、各種見本帳、アルバム、また、コンピュータグラフィックスの出力、医療画像出力等、種類を問うものではない。
【0023】
図1は、接着層2を介して中間転写記録媒体1の画像4が形成された画像受容層12と被転写体3とを重ね合せた断面状態を示す概念図である。
【0024】
接着層に用いる材料としては、熱可塑性の合成樹脂、天然樹脂、ゴム、ワックス等を用いることができる。例えば、エチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネート等のセルロース誘導体、ポリスチレン、ポリα-メチルスチレン等のスチレン共重合体、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリアクリル酸エチル等のアクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール等のビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エボキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、アイオノマー、エチレンアクリル酸共重合体、エチレンアクリル酸エステル共重合体等の合成樹脂、粘着付与剤としてのロジン、ロジン変性マレイン酸樹脂、エステルガム、ポリイソブチレンゴム、ブチルゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンアクリロニトリルゴム、ポリアミド樹脂、ポリ塩素化オレフイン等の天然樹脂や合成ゴムの誘導体が挙げられる。
【0025】
【0026】
【0027】
被転写体3と画像受容層12との間に接着層2を設ける方法として、加熱により接着性を発現する材料を基材シート上に形成して接着層とした接着層熱転写シートを使用し、接着層2を熱転写方法によって中間転写記録媒体の画像が形成された画像受容層上及び/又は被転写体上に形成する。すなわち、図3に示す装置のようにサーマルヘッド61により(中間転写記録媒体の画像受容層上に色材を転写する手段により)中間転写記録媒体1の画像受容層に、熱転写シート5から色材を転写して画像を形成した後に、前記画像が形成された画像受容層面と上記構成をもつ接着層熱転写シート24の接着層面とを重ね合せ、サーマルヘッド63とプラテンロール73とを使用して(熱エネルギー付与手段により)加熱圧着し、接着層熱転写シート24の基材シートを剥離して画像受容層上に接着層を形成する(接着層の設定手段)。被転写体3に接着層を設ける場合は、被転写体上に上記構成をもつ接着層熱転写シート25の接着層面とを重ね合せ、サーマルヘッド64とプラテンロール74とを使用して(熱エネルギー付与手段により)加熱圧着し、接着層熱転写シート25の基材シートを剥離して、被転写体上に接着層を形成する(接着層の設定手段)。中間転写記録媒体1の画像受容層面及び被転写体3の画像受容層との接着面の少なくとも一方には接着層を形成した後、両者を重ね合せ、サーマルヘッド62を使用して(熱エネルギー付与手段により)加熱圧着し、該画像受容層を被転写体3に接着する。然る後に中間転写記録媒体1の基材シートを剥離して、被転写体上に画像の形成された画像形成物31を得る(被転写体上への中間転写記録媒体からの画像受容層の転写手段)。図3においては加熱デバイスとしてサーマルヘッドを使用しているが、熱エネルギーを与える手段はサーマルヘッドに限定されず、ラインヒーター、ヒートロールあるいはホットスタンプ等の加熱デバイスを使用してもよい。
【0028】
接着層熱転写シート23を構成する接着層は、上述の接着層用材料のうち、加熱により接着性を発現する材料を選択することが好ましい、中間転写記録媒体の画像受容層と同様な方法で基材シート上に形成することができる。接着層熱転写シートの接着層の厚さは画像受容層と被転写体との接着性能、及び操作性を鑑みて決定されるが、通常は0.1μm〜500μmが好ましい。接着層熱転写シート23を構成する基材シートは、上述の中間転写記録媒体の基材シートと同様な材料を使用でき、接着層転写時には加熱デバイスを使用する為、接着層熱転写シートの接着層側とは反対の面に、耐熱性や滑性をもった背面層を形成しておくことが好ましい。なお、背面層は中間転写記録媒体に用いられる背面層と、同様な材料を使用して、同様な方法で形成することができる。また、接着層の接着層熱転写シートからの剥離性能を制御する為に、基材シートと接着層との間に離型層を設け、該離型層は上述の中間転写記録媒体に中間転写記録媒体に用いられる離型層と、同様な材料を使用して、同様な方法で形成する。
【0029】
被転写体としてコート紙を使用するときの接着層形成物質としては、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体が好ましく用いることができるが、被転写体として上質紙を使用するときは、更にポリエステル樹脂を混合することにより、接着性を向上させることが可能である。箔切れ性能を向上させる為に、接着層中に体質顔料を添加してもよい。
【0030】
中間転写記録媒体の画像受容層上に色材を転写する工程と、中間転写記録媒体の画像受容層上及び被転写体上に接着層を設定する工程と、被転写体上に中間転写記録媒体から画像受容層を転写する工程の、画像が形成された被転写体を得るまでの一連の各工程は、操作性、装置の簡便性を鑑みて、任意の工程を組み合せてインライン化した装置内で実施してもよい。すなわち、図3に示すように、中間転写記録媒体の画像受容層上に色材を転写する手段と、中間転写記録媒体の画像受容層上及び被転写体上に接着層を設定する手段と、及び被転写体上に中間転写記録媒体から画像受容層を転写する手段とを備えた専用の装置内でインラインで行うことができる。あるいは、前述の各工程について、中間転写記録媒体の画像受容層上に色材を転写した後、別装置で、中間転写記録媒体の画像受容層上及び被転写体上に接着層を設定する手段と被転写体上に中間転写記録媒体から画像受容層を転写する手段とを備えた装置を使用してオフラインで行ってもよい。あるいは、中間転写記録媒体の画像受容層上に色材を転写する手段と、中間転写記録媒体の画像受容層上及び被転写体上に接着層を設定する手段とを備えた専用の装置を使用してインラインで前記の工程を処理した後、別装置で、被転写体上に中間転写記録媒体から画像受容層を転写する工程を行ってもよい。あるいは、少なくとも中間転写記録媒体の画像受容層上に色材を転写する手段と、中間転写記録媒体の画像受容層上に接着層を設定する手段とを備えた装置と、被転写体上に中間転写記録媒体から画像受容層を転写する手段と、予め被転写体上に接着層を設定する手段とを備えた装置とを使用し、中間転写記録媒体の画像受容層上及び被転写体上に接着層を形成して、被転写体上に画像の形成された画像受容層を接着させてもよい。また、予め別工程で被転写体上に接着層を設定しておき、中間転写記録媒体の画像受容層上に色材を転写する手段と、中間転写記録媒体の画像受容層上に接着層を設定する手段と、被転写体上に中間転写記録媒体から画像受容層を転写する手段とを備えた専用のインライン化された装置内で各工程を行ってもよい。
【0031】
次に実施例について説明する。
(参考実施例1)
厚さ6μmのポリエステルフィルム(東レ(株)製、商品名ルミラー)を基材シート11とし、その一方の面に下記組成のインキを使用し、乾燥後の厚さが1μmになるように塗布して背面層15を形成した。
[背面層用インキの組成]
ポリビニルブチラール樹脂(積水化学工業(株)製、エスレックBX-1)
8重量部
ポリイソシアネート硬化剤(大日本インキ化学(株)製、バーノックD750)
18重量部
滑剤(第一工業製薬(株)製プライサーフA208S) 5重量部
タルク 1.5重量部
メチルエチルケトン/トルエン(重量比1/1) 130重量部
次に背面層15を形成した基材シート他方の面に、乾燥後の厚さが1μmになるように離型層14、乾燥後の厚さが3μmになるように画像保護層13、乾燥後の厚さが3μmになるように画像受容層12を、それぞれ下記組成のインキを使用して、この順に塗布して形成し、中間転写記録媒体1を得た。
[離型層用インキの組成]
シリコーン系樹脂インキ(信越化学工業(株)製、KS770A、固形分30重量%)
50重量部
トルエン 50重量部
[画像保護層用インキの組成]
ポリメチルメタクリレート樹脂(三菱レーヨン(株)、BR-85)
20重量部
メチルエチルケトン 80重量部
[画像受容層用インキの組成]
塩化ビニル酢酸ビニル共重合体樹脂(ユニオンカーバイド社製、VYHD)
17.0重量部
アミノ変性シリコーン(信越化学工業(株)製、KS-343)
0.17重量部
エポキシ変性シリコーン(信越化学工業(株)製、KF-393)
0.17重量部
メチルエチルケトン 82.6重量部
【0032】
別に、厚さ6μmのポリエステルフィルム(東レ(株)製、商品名ルミラー)の一方の面に、中間転写記録媒体の場合と同様にして乾燥後の厚さが1μmになるように背面層を設定し、他方の面に下記組成の3色の染料層用インキを乾燥後の厚さが1μmになるようにグラビア印刷機で印刷して、3色の昇華染料熱転写シートを作成した。
[イエロー染料層用インキの組成]
イエロー分散染料(バイエル社製、MacrolexYellow6G)
5.5重量部
ポリビニールブチラール樹脂(積水化学工業(株)製、エスレックBX-1)
4.5重量部
メチルエチルケトン/トルエン(重量比1/1) 89.0重量部
[マゼンタ染料層用インキの組成]
染料としてマゼンタ分散染料(三井東圧(株)製、C.I.DisperseRed60)を使用した他はイエロー染料層用インキの組成と同様のものである。
[シアン染料層用インキの組成]
染料としてシアン分散染料(日本化薬(株)製、SolventBlue63)を使用した他はイエロー染料層用インキの組成と同様のものである。
【0033】
前記の中間転写記録媒体の画像受容層面と、昇華染料熱転写シートの染料層面とを重ね合わせ、解像度6ドット/mmのサーマルヘッドとプラテンロールとで圧接し(中間転写記録媒体の画像受容層上に色材を転写する手段により)、10mJ/mm2〜160mJ/mm2で10mJ/mm2ずつ順次増加させるステップパターンを、印字スピード33.3msec/line(送りピッチ6line/mm)の条件で、熱転写シートの背面からエネルギーを印加し、中間転写記録媒体1の画像受容層12に画像4を形成した。
【0034】
次いで、上記画像が形成された中間転写記録媒体の画像受容層面と、被転写体である既製の上質紙とを、厚さ30μmのフィルム状ポリエステル樹脂系接着シート2(東レ(株)製、商品名ケミットKF-2030)を介して重ね合わせ、解像度6ドット/mmのサーマルヘッドとプラテンロールとで圧接し(熱エネルギー付与手段により)、160mJ/mm2、印字スピード33.3msec/line(送りピッチ6line/mm)の条件で、中間転写記録媒体の背面から前記画像領域のみにエネルギーを印加して、画像受容層と被転写体とを接着させた後、中間転写記録媒体の基材シート11を剥離して、被転写体である上質紙上に昇華染料による画像が形成された画像形成物31を得ることができた。なお、被転写体上に転写された画像受容層にセロハンテープを貼り付け、該テープを剥したところ、被転写体である上質紙がテープに引き連れて破れたが、画像受容層と被転写体との間で剥離することはなく、画像受容層の被転写体への接着力は十分であった。
【0035】
(参考実施例2)
厚さ25μmのポリエステルフィルムのコロナ処理面に上記の離型層用インキをバーコーターで塗布乾燥して離型紙とし、この離型層上に下記組成の接着層用インキを乾燥後の厚さが10μmになるようにバーコーターで塗布して、接着層転写シートを作製した。
[接着層用インキ]
ウレタン系樹脂インキ(東亜合成化学(株)製、アロンマイティPU-9000)
50重量部
メチルエチルケトン 50重量部
なお、この接着シートは、室温(25℃)でタックが発生した。
【0036】
次に、厚さ6μmのポリエステルフィルム(東レ(株)製、商品名ルミラー)の一方の面に、背面層を中間転写記録媒体の場合と同様にして乾燥後の厚さが1μmになるように形成し、他方の面に下記組成の熱溶融インキを厚さが2μmになるようにホットメルトコーティングし、4色の熱溶融インキ転写シートを作製した。
[イエロー熱溶融インキの組成]
イエロー顔料(ベンジジンイエローG) 10重量部
カルナバワックス 40重量部
マイクロクリスタリンワックス 40重量部
体質顔料(コロイダルシリカ) 10重量部
[マゼンタ熱溶融インキの組成]
イエロー顔料の代りにマゼンタ顔料(ローダミンレーキY)を使用した他はイエロー熱溶融インキと同様のものである。
[シアン熱溶融インキの組成]
イエロー顔料の代りにシアン顔料(フタロシアニンブルー)を使用した他はイエロー熱溶融インキと同様のものである。
[ブラック熱溶融インキの組成]
イエロー顔料の代りにブラック顔料(カーボンブラック)を使用した他はイエロー熱溶融インキと同様のものである。
【0037】
参考実施例1に記載した方法と同様の手順で中間転写記録媒体の画像受容層上に昇華染料による画像を形成した後、更に、該中間転写記録媒体の画像受容層面と、上記の熱溶融インキ転写シートの色材面とを重ね合わせ、解像度6ドット/mmのサーマルヘッドとプラテンロールとで圧接し、80mJ/mm2、印字スピード10.0msec/line(送りピッチ6line/mm)の条件で、熱転写シートの背面からエネルギーを印加し、中間転写記録媒体の画像受容層に文字テストチャートを印字し、文字とフルカラー画像の両方を有する中間転写記録媒体を得た。
【0038】
次いで、上記の画像が形成された中間転写記録媒体の画像受容層面と、上記の接着層転写シートの接着層面とを重ね合わせ、圧着ロールを使用して(圧着付与手段により)圧着させた後、接着層転写シートの離型紙を取り除いた(接着層の設定手段)。接着層転写シートを圧着するまでは、接着層の中間転写記録媒体に対する接着力が弱かった為、接着層転写シートを貼り直すことが可能で、中間転写記録媒体の画像領域のみに接着層転写シートを合わせることができた。然る後に、中間転写記録媒体に設定された接着層上に被転写体であるカード(ABS樹脂製)を重ね合わせ、180℃に加熱したラインヒータを使用して(圧着付与手段、熱エネルギー付与手段により)転写スピード5.0mm/secで熱圧着した後、中間転写記録媒体の基材シートを剥離して、被転写体であるカード上に文字とフルカラー画像の両方を形成することができた(被転写体上への中間転写記録媒体からの画像受容層の転写手段)。なお、転写された画像受容層について碁盤目剥離試験を行ったが、画像受容層の脱落は見られなかった。また、カード上に形成された画像はプラスチック製消ゴム((株)トンボ鉛筆製、PE-01A)で50回擦っても、変色や退色は認められなかった。
【0039】
(参考実施例3)
厚さ6μmのポリエステルフィルム(東レ(株)製、商品名ルミラー)を基材シートとし、その一方の面に乾燥後の厚さが1μmになるように上述の背面層を形成し、他方の面に離型層、接着層をそれぞれ乾燥後の厚さが1μmになるように下記組成のインキを使用して、この順に塗布して形成し、接着層熱転写シートを得た。
[離型層用インキの組成]
シリコーン系樹脂(信越化学工業(株)製、KS770A)
50重量部
トルエン 50重量部
[接着層用インキの組成]
塩化ビニル酢酸ビニル共重合体樹脂(ユニオンカーバイド社製、VYLF)
20重量部
体質顔料 2重量部
メチルエチルケトン/トルエン(重量比1/1) 78重量部
この接着層熱転写シートの接着層面と、参考実施例1と同様にして作製した中間転写記録媒体の画像の形成された画像受容層面とを重ね合わせ、180℃に加熱したヒートロールを使用して、転写スピード5.0mm/secで熱圧着した後、接着層熱転写シートの基材シートを剥離して、接着層を中間転写記録媒体上に形成した。この中間転写記録媒体と被転写体とであるコート紙とを重ね合わせ、参考実施例1と同様の転写条件にて画像受容層を被転写体上に転写して画像形成物を得た。上記の被転写体上に転写された画像受容層にセロハンテープを貼り付け、該テープを剥したところ、テープのみが剥がれ、画像受容層の被転写体への接着力は十分であった。
【0040】
(比較例1)
中間転写記録媒体上の画像受容層を被転写体である上質紙に転写する際に、接着シートを使用しなかった以外は参考実施例1と同様に行った。このとき、上質紙上に画像受容層を転写することは可能であったが、上質紙上に転写された画像受容層にセロハンテープを貼り付け、該テープを剥したところ、画像の形成された画像受容層と上質紙との間で剥離してしまった。
【0041】
(比較例2)
中間転写記録媒体上の画像受容層を被転写体であるカード(ABS樹脂製)に転写する際に、接着層を形成しなかった以外は参考実施例2と同様に行った。このとき、参考実施例2と同じ画像受容層転写条件では、カード上に画像受容層を転写することができず、画像受容層は中間転写記録媒体上に残存した。また、中間転写記録媒体上の画像受容層をカードに転写する際に、接着層を形成せず、かつヒートロールの温度を180℃から200℃に上げた以外は参考実施例2と同様に行ったが、画像受容層は一部しかカード上に転写されず、完全な画像を被転写体上に形成することは不可能であった。
【0042】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、中間転写記録媒体の画像受容層上に色材を転写して画像を形成した後、接着層を介して画像が形成された画像受容層を被転写体に転写することにより、中間転写記録媒体に形成された感熱昇華転写方式による高画質なフルカラー画像や感熱溶融転写方式による高濃度で鮮鋭性に優れた2値画像を、専用紙以外の天然繊維紙やプラスチックシート等に転写不良なく設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】接着層を介して中間転写記録媒体と被転写体とを重ね合せた断面状態を示す概念図である。
【図2】中間転写記録媒体の断面構成例を示す概念図である。
【図3】中間転写記録媒体の画像受容層に色材を熱転写する手段と、接着層熱転写シートから接着層を中間転写記録媒体の画像受容層面に熱転写する手段と、接着層熱転写シートから接着層を被転写体の画像受容層との接着面に熱転写する手段と、前記画像が形成された画像受容層を被転写体に熱転写する手段とを具備するインライン装置の概念図である。
【符号の説明】
1 中間転写記録媒体
11 基材シート
12 画像受容層
13 画像保護層
14 離型層
15 背面層
2 接着層
24、25 接着層熱転写シート
3 被転写体
31 画像形成物
4 色材による画像
5 熱転写シート
61、62、63、64 サーマルヘッド
71、72、73、74 プラテンロール
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2005-04-19 
出願番号 特願2002-320324(P2002-320324)
審決分類 P 1 651・ 534- ZA (B41J)
P 1 651・ 121- ZA (B41J)
最終処分 取消  
特許庁審判長 砂川 克
特許庁審判官 津田 俊明
藤本 義仁
登録日 2003-08-29 
登録番号 特許第3465110号(P3465110)
権利者 大日本印刷株式会社
発明の名称 中間転写記録媒体を用いた画像形成装置  
代理人 米澤 明  
代理人 阿部 龍吉  
代理人 内田 亘彦  
代理人 阿部 龍吉  
代理人 蛭川 昌信  
代理人 米澤 明  
代理人 菅井 英雄  
代理人 青木 健二  
代理人 青木 健二  
代理人 韮澤 弘  
代理人 菅井 英雄  
代理人 内田 亘彦  
代理人 韮澤 弘  
代理人 蛭川 昌信  
代理人 金山 聡  
代理人 金山 聡  
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