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この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
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無効2007800196 審決 特許
審判199223900 審決 特許
無効200335505 審決 特許
審判199721765 審決 特許

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審決分類 審判 全部無効 産業上利用性 無効とする。(申立て全部成立) A61K
管理番号 1124014
審判番号 無効2002-35252  
総通号数 71 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2001-02-20 
種別 無効の審決 
審判請求日 2002-06-19 
確定日 2005-09-20 
事件の表示 上記当事者間の特許第3193028号「ニトロイミダゾール系化合物を含むアトピー性皮膚炎治療用の外用剤」の特許無効審判事件についてされた平成15年 3月18日付け審決に対し、東京高等裁判所において審決取消の判決(平成15年(行ケ)第0166号平成17年 1月18日判決言渡)があったので、さらに審理のうえ、次のとおり審決する。 
結論 特許第3193028号を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。 
理由 理 由
1.手続の経緯・本件発明
(1)本件特許第3193028号に係る発明(以下、本件特許発明とする)についての出願は、平成11年7月21日に原出願がされ、平成12年7月18日にその一部を新たな特許出願(特願2000-216886号)としたものであって、平成13年5月25日に特許権の設定登録がされたものである。
(2)これに対して、平成14年6月19日に本件無効審判が請求され、平成15年3月18日付けで「本件審判の請求は、成り立たない」旨の審決がされ、これに対する審決取消請求事件[平成15年(行ケ)166]において、上記判決がされたものである。
(3)本件特許発明は、特許明細書の記載からみて、その特許請求の範囲第1項〜第8項に記載された事項により特定された次のとおりのものである。

「 【請求項1】 次式(I)
【化1】(構造式は省略)
(式中、R1およびR2は、それぞれ独立に、直鎖または分枝鎖状のアルキル基またはアルキルアルコール基を表し、水酸基、ベンジル基、フェニル基、シクロアルキル基、エーテル基、および/またはアミノ基を有していてもよい)で示されるニトロイミダゾール系化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分とする、アトピー性皮膚炎治療用外用剤。
【請求項2】 ニトロイミダゾール系化合物が、2-(2-メチル-5-ニトロイミダゾール-1-イル)エタノールである、請求項1記載の外用剤。
【請求項3】 有効成分の配合量が、製剤重量を基準として、0.01〜20重量%である請求項1または2記載の外用剤。
【請求項4】 製剤のpHが、2.0から9.0の範囲内である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の外用剤。
【請求項5】 軟膏剤、クリーム剤、ローション剤、含水性のある貼付剤若しくは含水性のない貼付剤、シャンプー剤、ジェル剤、リンス剤又は液剤である、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の外用剤。
【請求項6】 有効成分の配合量が、製剤重量を基準として、1.5〜20重量%である請求項3記載の外用剤。
【請求項7】 さらに、クロタミトンを含有する請求項3ないし6のいずれか1項に記載の外用剤。
【請求項8】 酸を溶解剤としてなる請求項3ないし請求項7のいずれか1項に記載の外用剤。」

2.請求人の主張の概要
請求人は、「特許第3193028号の特許を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めて審判を請求し、以下の(1)〜(3)の無効理由を主張し、証拠方法として甲第1号証〜甲第9号証を提出している。

(1)無効理由1
本件特許発明は、明細書の詳細な説明にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をできる程度に明確かつ十分に記載されておらず、特許法第36条第4項の規定により特許を受けることができないものであり、同法第123条第1項第4号の規定により、無効とすべきである。

(2)無効理由2
本件特許発明は、その特許請求の範囲に記載されている技術的手段が、当該技術分野における通常の知識を有する者が反復実施して効果を挙げることができる程度にまで具体的・客観的なものとして構成されておらず、産業上利用できない未完成の発明であり、特許法第29条柱書きの規定により特許を受けることができないものであり、同法第123条第1項第2号の規定により、無効とすべきである。

(3)無効理由3
本件特許発明は、甲第6号証及び甲第7号証に記載された事項に基づいて容易に発明できたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、同法第123条第1項第2号の規定により、無効とすべきである。

3.甲各号証
請求人が提出した甲各号証は、以下のものである。
(1)甲第1号証:薬物の臨床治験研究法(1983年5月30日、理工学社発行)第208頁〜第209頁、第219頁
(2)甲第2号証:特開2001-163782号公報
(3)甲第3号証:特開2001-89371号公報
(4)甲第4号証:特開2001-163781号公報
(5)甲第5号証:実験成績証明書(平成14年6月17日付、三共株式会社第二生物研究所 農学博士平原一樹作成)
(6)甲第6号証:薬局 Vol.47, No.8 (1996) pp1137-1141、「移植免疫抑制剤によるアトピー性皮膚炎の治療」
(7)甲第7号証:IRCS Medical Science 5, p142 (1977)
(8)甲第8号証:西日皮膚 第59巻第3号(1997年)第427頁〜第435頁
(9)第9号証:KISO TO RINSHO 31(8) : 2693-2700, 1997

4.被請求人の主張
一方、被請求人は、「本件審判請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めて、明細書の記載に不備はなく、本件発明は特許法にいう「発明」に該当し、また進歩性を有するものである旨主張し、乙第1号証〜第16号証を提出している。
5.乙各号証
被請求人が提出した乙第1号証〜乙第16号証は、以下のものである。
(1)乙第1号証:「企業化についての覚書」の写し
(2)乙第2号証:平成12年5月1日付けライセンス契約の写し
(3)乙第3号証:特許出願平11-206508号における面接記録(平成12年3月6日)の写し
(4)乙第4号証:書留内容証明郵便として被請求人に送られてきた通知書の写し
(5)乙第5号証:平成12年2月21日付書簡の写し
(6)乙第6号証:平成16年2月23日付書簡の写し
(7)乙第7号証:平成12年7月13日付書簡の写し
(8)乙第8号証:平成12年8月25日付書簡の写し
(9)乙第9号証:日本弁理士会からの調査結果の報告通知書の写し
(10)乙第10号証:「製剤の医療機関への提供に付いて」の写し
(11)乙第11号証:今日の皮膚疾患治療指針(1996年8月1日、株式会社医学書院発行)第173頁〜第182頁
(12)乙第12号証:「試験報告書」ウェルファイド株式会社(試験開始日:2000年6月1日)
(13)乙第13号証:PCT明細書の写し
(14)乙第14号証:平成12年7月6日付の三共株式会社から株式会社昭栄への手紙「PCT明細書案の送付について」の写し
(15)乙第15号証:2001年(平成13年)7月4日付のeメール「PCT出願明細書の件」の写し
(16)乙第16号証:アトピー性皮膚炎治療ガイドライン2001

6.当審の判断
(1)無効理由2 について
上記東京高等裁判所判決は、無効理由2について、以下を判示する。
「本件明細書(甲2)においては,本件臨床試験結果が記載されてはいるものの,(1)本件臨床試験が実際にされたこと,(2)本件臨床試験に使用された薬剤が,真実上記(1-3)(c)に記載された外用軟膏剤及び外用クリーム剤であったこと,並びに(3)本件臨床試験の結果が本件明細書に正確に記載されていることを認めるに足りる証拠はないというほかなく,また,本件臨床試験以外のものについて被告が主張する諸点を検討しても,本件薬剤に治療効果があることを認めるに足りる証拠はない。
そうすると,本件発明の技術内容(技術手段)によってその目的とする技術効果を挙げることができるものであることを推認することはできないのであるから,本件発明とされるものは,発明として未完成であり,特許法29条1項柱書きにいう「発明」に当たらず,特許を受けることができないものというべきである。」
そして、上記判示事項は、行政事件訴訟法第33条第1項の規定により、本件無効審判事件において当審を拘束する。

7.むすび
以上のとおりであるから、請求人の主張する他の無効理由について検討するまでもなく、本件特許は無効とすべきものである。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人が負担すべきものとする。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2003-03-03 
結審通知日 2003-03-06 
審決日 2003-03-18 
出願番号 特願2000-216886(P2000-216886)
審決分類 P 1 112・ 14- Z (A61K)
最終処分 成立  
前審関与審査官 齋藤 恵  
特許庁審判長 竹林 則幸
特許庁審判官 亀田 宏之
中野 孝一
弘實 謙二
福井 悟
登録日 2001-05-25 
登録番号 特許第3193028号(P3193028)
発明の名称 ニトロイミダゾール系化合物を含むアトピー性皮膚炎治療用の外用剤  
代理人 社本 一夫  
代理人 古屋 正隆  
代理人 山本 修  
代理人 村上 清  
代理人 庄司 隆  

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