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審決分類 審判 査定不服 産業上利用性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1124028
審判番号 不服2003-4237  
総通号数 71 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2001-11-16 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-03-14 
確定日 2005-09-28 
事件の表示 特願2000-135065「果樹、庭木の生、成育等の情報提供システム」拒絶査定不服審判事件〔平成13年11月16日出願公開、特開2001-318963〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成12年5月8日に出願されたものであって、平成15年1月21日に拒絶査定がされ、これに対し、同年3月14日に拒絶査定に対する審判請求がなされたものである。

2.本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、明細書及び図面の記載からみて、平成14年12月24日付の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。

A.果樹及び庭木の種類に関する種類情報と、前記果樹及び庭木の生育に関する生育情報と、前記果樹及び庭木の成育に関する成育情報と、前記果樹及び庭木の生育と成育時に必要な道具、用具類に関する道、用具類情報とが記録転送手段によりデータ管理部に転送され、
B.インターネットを通じて前記データ管理部にアクセスされることにより、前記各種情報が提供可能に構成されている果樹、庭木の生、成育等の情報提供システムにおいて、
C.前記生育情報は、果樹及び庭木の植樹及び種まきに関する種まき及び植樹情報であると共に、前記成育情報は、施肥(肥料)情報と病気情報と剪定情報と散水情報であり、前記道、用具情報に、道、用具の販売業者リスト情報が加えられていると共に、前記各種の成育情報中、前記果樹及び庭木に関する病気情報に対応する病気治療もしくは予防に関する情報が加えられ、さらに前記病気治療もしくは予防に必要な薬剤に関する情報が付加されており、前記果樹及び庭木に関する各種情報に、生、成育に必要な各種道、用具及び各種の病気治療もしくは予防に必要な各種薬剤販売業者リストに関する情報が付加され、
D.前記果樹及び庭木に関する各種情報として、前記果樹及び庭木に関する図解もしくは画像データが画像転送手段によりデータ管理部に転送可能に構成されている
E.ことを特徴とする果樹、庭木の生、成育等の情報提供システム。
(説明のため分節し、AないしEの記号を付した。)

3.原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、概略、次のとおりである。

請求項1、2における各手段、構成は、出願人が所望する作用・機能・動作が単に記述された手段、構成にすぎず、請求項1、2において、ソフトウエアとハードウエア資源とが協働した具体的手段によって、使用目的に応じた情報の演算又は加工が実現されておらず、請求項1、2に記載されたシステムは、ソフトウエアとハードウエア資源とが協働することにより構築された情報処理システムとはいえないので、依然としてソフトウエアによる情報処理がハードウエア資源を用いて具体的に実現されているとはいえない。
したがって、本願発明は特許法第29条第1項柱書に規定する要件を満たしていないから、特許を受けることができない。

4.当審の判断
特許法第29条第1項柱書に規定される「産業上利用することができる発明」であるためには、特許法第2条で定義される「発明」でなければならない。
そこで、本願発明が、特許法第2条で定義される「発明」、すなわち「自然法則を利用した技術的思想の創作」に該当するか否かについて検討する。
(1)本願発明の「A.」の部分には、「記録転送手段」「データ管理部」というハードウエア資源が記載されているが、単に、情報を入力し記憶するというコンピュータの通常の機能を記載しているにすぎず、本願発明の目的に応じた特有の構成が記載されているわけではない。また、「果樹及び庭木の種類に関する種類情報」「前記果樹及び庭木の生育に関する生育情報と、前記果樹及び庭木の成育に関する成育情報」「前記果樹及び庭木の生育と成育時に必要な道具、用具類に関する道、用具類情報」は、「情報」であって、「自然法則を利用した技術的思想」には当たらない。
(2)本願発明の「B.」の部分は、「インターネットを通じて果樹、庭木の生、成育等の情報を提供する」という本願発明の目的そのものであって、課題の解決手段とみることはできない。
(3)本願発明の「C.」の部分は、「生育情報」「成育情報」「道、用具情報」の具体的な内容を特定しているにすぎず、「情報」であって「自然法則を利用した技術的思想」には当たらない。
(4)本願発明の「D.」の部分は、「画像転送手段」「データ管理部」というハードウエア資源が記載されているが、これは画像データを入力できるというコンピュータの通常の機能を記載しているにすぎず、本願発明の目的に応じた特有の構成が記載されているわけではない。また「前記果樹及び庭木に関する各種情報として、前記果樹及び庭木に関する図解もしくは画像データ」の部分は、「果樹及び庭木に関する各種情報」の具体的な内容が「果樹及び庭木に関する図解もしくは画像データ」であると特定しているにすぎず、「情報」自体であって「自然法則を利用した技術的思想」には当たらない。
(5)したがって、本願発明を全体としてみれば、コンピュータの通常の機能の使用以外に、ハードウエア資源を用いて具体的に実現されている処理が見当たらないので、「自然法則を利用した技術的思想の創作」とはいえないから、特許法第2条で定義される「発明」に該当しない。

なお、請求人は審判請求書で「そうすると、特許請求の範囲の記載の仕方がたまたま好ましくなかったがために、特許法上の『発明』に該当しないとの一事をもって29条1項柱書違反とされるなら、それは特許法第1条に掲げる発明の保護と奨励による我が国産業の発達という法目的に違背すると言わざるを得ない。」と主張しているが、特許法第70条第1項で「特許発明の技術的範囲は、願書に添附した明細書の特許請求の範囲の記載に基いて定めなければならない。」と規定されているように、特許請求の範囲の記載はきわめて重要であり、「特許請求の範囲の記載の仕方が好ましくなかった」場合に、特許を受けることができないのは当然である。

5.むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第2条で定義される発明に該当せず、特許法第29条第1項柱書に規定する要件を満たしていないので、特許を受けることができない。
したがって、請求項2に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-07-14 
結審通知日 2005-07-26 
審決日 2005-08-08 
出願番号 特願2000-135065(P2000-135065)
審決分類 P 1 8・ 14- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 谷口 信行  
特許庁審判長 杉山 務
特許庁審判官 岡本 俊威
佐藤 敬介
発明の名称 果樹、庭木の生、成育等の情報提供システム  
代理人 庄司 建治  

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