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審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 B41J 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載 B41J |
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管理番号 | 1124263 |
異議申立番号 | 異議2003-73814 |
総通号数 | 71 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1994-06-28 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2003-12-26 |
確定日 | 2005-08-08 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第3459662号「記録装置」の請求項1ないし6に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第3459662号の請求項1ないし5に係る特許を維持する。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本件の出願からの主だった経緯を箇条書きにすると次のとおりである。 ・平成4年12月14日 特許権者により本件出願 ・平成15年8月8日 特許第3459662号として設定登録(請求項1〜6) ・同年12月26日 特許異議申立人渡辺等より請求項1〜6の特許に対して特許異議申立 ・平成16年4月20日 特許異議申立人より特許異議申立理由補充書提出 ・同年12月9日付け 当審にて請求項1〜6の特許に対して取消理由を通知 ・平成17年2月15日 特許権者より意見書及び訂正請求書提出(以下、この訂正請求による訂正を「本件訂正」という。) 第2 訂正の許否の判断 1.訂正事項 [訂正事項1] 請求項1記載の「複数のシフトレジスタと、該複数のシフトレジスタの各々は前記複数の記録素子の数に対応したビット数のビットデータ列を並列に格納し、」、「前記複数のシフトレジスタの各々にビットデータを転送する転送手段」及び「再生すべき画素の濃度に対応した回数」を、「前記複数の記録素子の数に対応したビット数のビットデータ列を並列に各々格納する複数のシフトレジスタと、」、「前記複数のシフトレジスタの各々に前記ビットデータ列を転送する転送手段」及び「再生すべき画素の濃度に対応した記録回数」とそれぞれ訂正する。 [訂正事項2] 請求項1記載の「前記記録ヘッドの前記複数の記録素子が前記駆動手段によって駆動された回数を計数する計数手段と、」を、「前記複数の記録素子を複数のブロックに分割し、分割信号に基づいてこれらのブロックを順に駆動すると共に最終段のブロックを駆動するための分割信号に基づいた分割信号で次の回のブロック駆動を開始する分割駆動手段と、 最終段のブロックを駆動するための分割信号に基づいた分割信号に応じて、前記記録ヘッドの前記複数の記録素子が前記駆動手段によって駆動された記録回数を計数する計数手段と、」と訂正する。 [訂正事項3] 請求項3を削除するとともに、請求項4,5を請求項3,4と改め、さらに請求項6を請求項5と改めた上で「請求項1乃至5のいずれか」との引用部分を「請求項1乃至4のいずれか」と訂正する。 [訂正事項4] 明細書の段落【0007】を削除し、段落【0008】の記載を、 「【課題を解決するための手段】 上記の目的を達成するための本発明による記録装置は以下の構成を備える。即ち、 複数の記録素子を有する記録ヘッドと、 前記複数の記録素子の数に対応したビット数のビットデータ列を並列に各々格納する複数のシフトレジスタと、 前記複数のシフトレジスタの各々に前記ビットデータ列を転送する転送手段と、 前記複数のシフトレジスタによって格納された複数のビットデータ列に基づいて、前記記録ヘッドの前記複数の記録素子を駆動する駆動手段とを有する記録装置であって、 前記複数の記録素子を複数のブロックに分割し、分割信号に基づいてこれらのブロックを順に駆動すると共に最終段のブロックを駆動するための分割信号に基づいた分割信号で次の回のブロック駆動を開始する分割駆動手段と、 最終段のブロックを駆動するための分割信号に基づいた分割信号に応じて、前記記録ヘッドの前記複数の記録素子が前記駆動手段によって駆動された記録回数を計数する計数手段と、 前記複数のシフトレジスタに格納された複数の前記ビットデータ列をデコードして得られる複数種類のデコード結果データを、前記計数手段の計数結果に基づいて順次選択してパラレルに出力するデコード手段とを備え、 前記デコード手段によって出力されたデコード結果データに従って、再生すべき画素の濃度に対応した記録回数で前記複数の記録素子の各々を駆動することにより多値画像を記録する。」と訂正する。 2.訂正の目的 訂正事項1は、明りようでない記載の釈明を目的とするものと認める。とりわけ、訂正前の記載では第2段落が「格納し、」で終結しているため、次段落と一体となって「格納」及び「転送」をする手段が「転送手段」であるかのように受け取られかねず、これが不合理であることは自明である。 訂正事項2,3は特許請求の範囲の減縮を目的とするものと認める。 訂正事項4は、訂正事項1〜3との整合を図るものであり、これ自体に独立した訂正目的はない。 したがって、本件訂正全体として、特許請求の範囲の減縮及び明りようでない記載の釈明を目的とするものと認めることができるから、特許法(平成15年改正前)120条の4第2項の規定に適合する。 3.新規事項追加の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項1,3が新規事項を追加するものでないことは明らかである。 訂正事項2については、次のとおりである。「複数の記録素子を複数のブロックに分割」すること、及び「これらのブロックを順に駆動する」ことが願書に添付した明細書(以下、添付図面を含めて「特許明細書」という。)に記載されていることは、段落【0020】〜【0022】の記載から明らかである。訂正事項2の「分割信号」は、特許明細書に「分割駆動信号」又は「内部分割駆動信号」として記載されていたものの総称であることが明らかであり、「分割信号に基づいてこれらのブロックを順に駆動する」ことが特許明細書に記載されていることも明らかである。また、「最終段のブロックを駆動するための分割信号に基づいた分割信号」とは、ややわかりにくい表現であるが、「分割信号に基づいてこれらのブロックを順に駆動する」に当たり、あるブロックをアクティブにするための信号に基づいて次のブロックをアクティブにするための信号を作成することを意味するものとして理解できる。すなわち、「最終段のブロックを駆動するための分割信号」は、最終段の1つ手前のブロックで作成された信号であり、同信号に基づいた分割信号とは最終段のブロックで作成された信号として理解できる。そして、特許明細書では「内部分割駆動信号」につき、「分割駆動信号転送クロック(ECLK)により、各ブロックのフリップフロップ22の出力Qが順次セットされ、各ブロックを順次アクティブとするとともに、次のブロックの内部分割駆動信号となる。」(段落【0021】)との記載があり、これは上記理解と一致するものであり、特許明細書の「第nブロックのフリップフロップ22の出力Qが次のSI2のデータを記録するための内部分割駆動信号としてOR26に入力される。」(段落【0023】)及び「分割駆動信号(EI)或いは内部分割駆動信号の入力によりラインデータの記録の実行数をカウントする。」(段落【0020】並びに【図3】によれば、「最終段のブロックを駆動するための分割信号に基づいた分割信号で次の回のブロック駆動を開始する分割駆動手段」及び「最終段のブロックを駆動するための分割信号に基づいた分割信号に応じて、前記記録ヘッドの前記複数の記録素子が前記駆動手段によって駆動された記録回数を計数する計数手段」も特許請求の範囲に記載されていると認めることができる。 また、訂正事項1〜3が、特許請求の範囲を拡張又は変更するものと認めることもできない。 訂正事項4は訂正事項1〜3との整合を図るものであるから、本件訂正全体をみとも、新規事項を追加したり、特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。 したがって、本件訂正は、平成6年法律第116号附則6条1項が、同法の施行前にした特許出願に係る特許の願書に添付した明細書又は図面の訂正については、なお従前の例によるとすることにより、特許法(平成15年改正前)120条の4第3項において準用する同法126条2項及び3項が読み替えられて準用される平成6年法律第116号による改正前の特許法126条1項ただし書き前文及び2項の規定に適合する。 4.訂正の許否の判断の結論 以上のとおりであるから、本件訂正を認める。 第3 特許異議申立についての判断 1.本件発明の認定 本件訂正が認められるから、本件の請求項1〜5に係る発明(以下、請求項番号に従い「本件発明1」〜「本件発明5」という。)は、訂正明細書及び添付図面の記載からみて、その特許請求の範囲【請求項1】〜【請求項5】に記載されたとおりの次のものと認める。 【請求項1】 複数の記録素子を有する記録ヘッドと、 前記複数の記録素子の数に対応したビット数のビットデータ列を並列に各々格納する複数のシフトレジスタと、 前記複数のシフトレジスタの各々に前記ビットデータ列を転送する転送手段と、 前記複数のシフトレジスタによって格納された複数のビットデータ列に基づいて、前記記録ヘッドの前記複数の記録素子を駆動する駆動手段とを有する記録装置であって、 前記複数の記録素子を複数のブロックに分割し、分割信号に基づいてこれらのブロックを順に駆動すると共に最終段のブロックを駆動するための分割信号に基づいた分割信号で次の回のブロック駆動を開始する分割駆動手段と、 最終段のブロックを駆動するための分割信号に基づいた分割信号に応じて、前記記録ヘッドの前記複数の記録素子が前記駆動手段によって駆動された記録回数を計数する計数手段と、 前記複数のシフトレジスタに格納された複数の前記ビットデータ列をデコードして得られる複数種類のデコード結果データを、前記計数手段の計数結果に基づいて順次選択してパラレルに出力するデコード手段とを備え、 前記デコード手段によって出力されたデコード結果データに従って、再生すべき画素の濃度に対応した記録回数で前記複数の記録素子の各々を駆動することにより多値画像を記録することを特徴とする記録装置。 【請求項2】 前記複数のシフトレジスタに格納された複数のビットデータ列分のビットデータを保持するラッチ手段を更に備え、前記駆動手段は、前記デコード手段から出力されるデコード結果データに従って前記複数の記録素子の各々を付勢することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。 【請求項3】 前記計数手段は、計数値が記録しようとする画像の階調数に対応するプリセット値に達した場合にリセットされることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。 【請求項4】 前記記録ヘッドは、熱エネルギを利用して複数のインク滴を吐出するインクジェットヘッドであり、前記記録素子の各々は、インクに与える熱エネルギを生成するための熱エネルギ生成素子を具備することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。 【請求項5】 前記記録ヘッドは所定の位置で固定され、記録媒体の搬送方向に略垂直な方向に、前記記録媒体を横切って並ぶ複数の記録素子を具備することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の記録装置。 2.特許異議申立理由 特許異議申立人は、請求項1に係る発明は特開昭61-227074号公報(甲第1号証、以下「引用例1」という。)記載の発明(以下「引用発明1」という。)若しくは特開昭60-91768号公報(甲第2号証、以下「引用例2」という。)記載の発明(以下「引用発明2」という。)と同一であるか又は引用発明1,2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、請求項2〜4に係る発明は引用発明1と同一であるか又は引用発明1に基づいて当業者が容易に発明できたものであり、請求項5に係る発明は引用発明1及び特開平3-2060号公報(甲第3号証)記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、請求項6に係る発明は引用発明1と同一であるか又は引用発明1及び甲第3号証記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1〜6の特許は特許法29条1項又は2項の規定により拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされた特許であると主張している。 なお、特許異議申立人は、特許法113条1項2号の規定により取り消されるべきと主張しているが、本件の出願日は特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律116号)施行前の平成4年12月14日であるから、同法附則14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令205号)4条2項の規定を規定を適用しなければならないため、上記の趣旨と解する。 3.本件発明1について (1)甲第3号証は、上記のとおり請求項5,6(訂正後は請求項4,5)に係る発明の進歩性欠如の証拠として提出されたものであるから、本件発明1の新規性・進歩性の判断においては検討する必要がない。 (2)本件発明1は、複数の記録素子を複数のブロックに分割しこれらのブロックを順に駆動することを、計数手段の計数値が所定値に達するまで繰り返す(【請求項1】に明記はないけれども、そうでない限り「複数の記録素子が前記駆動手段によって駆動された記録回数を計数する」ことの技術的意義がない。)ものと認めることができ、繰り返し回数(上記所定値)は「再生すべき画素の濃度に対応した記録回数」のうち、最高濃度に対応する記録回数でもある。そして、何回目の繰り返しであるかを決定する手段が「計数手段」であり、それは「最終段のブロックを駆動するための分割信号に基づいた分割信号」に応じて計数されたものである。換言すれば、個々のブロックは「格納された複数のビットデータ列に基づいて」上記繰り返し回数駆動されるものである。以上の構成(以下「本件構成」という。)につき、引用例1,2に記載されているか、又はそれらから当業者が容易に想到できるかどうか検討する。 特許異議申立人は、引用例1記載の「カウンタ17」が本件発明1の「計数手段」に相当し、「カウンタ17」は発熱抵抗体がドライバによって駆動された回数をカウントしていると主張している。 しかし、引用例1には、「カウンタ17によりイネーブルクロック18がカウント開始される。そして、このカウンタ17のカウント出力はコンパレータ16の一方の入力データとして与えられる。このとき、コンパレータ16にはラッチ14に保持されているパルス幅に変換された画像データがもう一方の入力データとして与えられておりカウンタ17の出力と比較される。この場合コンパレータ16はカウンタ17の出力がパルス幅に変換された画像データより大きくなるまで出力“1”し、カウンタ17の出力が画像データ以上となったとき出力“0”とするようにしている。」(5頁右上欄9行〜左下欄1行)と記載があるとおり、コンパレータ16の出力が“1”となる期間が画像データ(パルス幅)と一致するように、その1つの入力として設けられているのであって、カウントされる対象も「最終段のブロックを駆動するための分割信号に基づいた分割信号」とは無関係の「イネーブルクロック18」である。さらに、引用発明1ではビットデータ列を並列に各々格納しているとしても、並列のデータはパルス幅に変換されるのであるから、複数のブロックに分割して駆動する(そのこと自体が引用例1に記載されていることは認める。)としても、個々のブロックは1回駆動されるだけであり、複数回駆動されるわけではなく、当然「記録ヘッドの前記複数の記録素子が前記駆動手段によって駆動された記録回数を計数する」ことはありえない。以上のことから、本件構成が引用発明1に備わっているとも、引用発明1に基づいて当業者が容易に想到できると認めることもできない。 (3)特許異議申立人は、引用例2記載の「アドレス発生回路9中のカウンタ92」が本件発明1の「計数手段」に相当し、「カウンタ92」は感熱抵抗体がドライバ2によって駆動された回数をカウントしていると主張している。 しかし、引用例2には、「第9図中、信号CYはアドレス発生回路9の入力端子9Bに加えられるトリガ用信号であり、この信号の到来毎に信号C1,C2,…,C7が図に示すように、そのレベルが“0”→“1”→“0”と変化する。」(5頁右上欄9〜13行)、「CPが256発目で、カウンタ91が1発のキャリパルスCYを出し、カウンタ92の内容を1だけ増す」(6頁左下欄9〜11行)、「クロックパルスCPの512発目に発生される第2のキャリパルスCY」(6頁右下欄16〜18行)及び「以上の動作は7回繰り返され」(7頁左上欄2行)との各記載があるとともに、複数のブロックに分割して駆動することを示唆する記載は一切ない。そうすると、複数のシフトレジスタによって格納された複数のビットデータ列に基づいて、各記録素子を複数回駆動すること、及び何回目の駆動であるかを計数手段(カウンタ92)によって決定する点では、本件発明1と引用発明2は一致するといえるであろうが、引用発明2において計数手段の計数対象となるのは、クロックパルス256発毎に発生するキャリパルスCYであって、本件発明1の「最終段のブロックを駆動するための分割信号に基づいた分割信号」ではない。そして、引用発明2において「複数の記録素子を複数のブロックに分割」することを採用することは容易であろうが、複数のブロックに分割した上で、各ブロックを複数回駆動するに当たっては、各ブロックを順次駆動することを繰り返す必然性は必ずしもなく(引用発明1から明らかである。引用発明1では、パルス幅に変換しているが、見方を変えれば特定のブロックを駆動する際に、次のブロックに移ることなくブロック内の各記録素子を複数回駆動しているといえる。)、各ブロックを順次駆動することを繰り返さなければ、「最終段のブロックを駆動するための分割信号に基づいた分割信号に応じて、前記記録ヘッドの前記複数の記録素子が前記駆動手段によって駆動された記録回数を計数する」ことに至るはずがない。 仮に、各ブロックを順次駆動することを繰り返すことが公知であったとしても、それだけで、計数手段の計数対象を「最終段のブロックを駆動するための分割信号に基づいた分割信号」とすることが、当業者にとって想到容易ということもできない。 (4)以上のとおり、本件構成は引用発明1にも引用発明2にも備わっておらず、これらの発明に基づいて当業者が容易に想到できる構成と認めることもできない。 したがって、本件発明1は引用発明1,引用発明2のいずれとも同一ではなく、引用発明1及び引用発明2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたと認めることもできない。すなわち、特許異議申立理由によって、請求項1に係る特許を取り消すことはできない。 4.本件発明2〜5について 本件発明2〜5は本件発明1に何らかの限定を加えたものである。特許異議申立人の主張は、本件発明1が新規性又は進歩性を欠如していることを前提とする主張であるが、この前提が誤りであることは3.で述べたとおりである。 したがって、特許異議申立理由によって請求項2〜5に係る特許を取り消すことはできない。 第4 むすび 以上述べたとおり、特許異議申立理由によって請求項1〜5に係る特許を取り消すことはできず、他にこれら特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 記録装置 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】複数の記録素子を有する記録ヘッドと、 前記複数の記録素子の数に対応したビット数のビットデータ列を並列に各々格納する複数のシフトレジスタと、 前記複数のシフトレジスタの各々に前記ビットデータ列を転送する転送手段と、 前記複数のシフトレジスタによって格納された複数のビットデータ列に基づいて、前記記録ヘッドの前記複数の記録素子を駆動する駆動手段とを有する記録装置であって、 前記複数の記録素子を複数のブロックに分割し、分割信号に基づいてこれらのブロックを順に駆動すると共に最終段のブロックを駆動するための分割信号に基づいた分割信号で次の回のブロック駆動を開始する分割駆動手段と、 最終段のブロックを駆動するための分割信号に基づいた分割信号に応じて、前記記録ヘッドの前記複数の記録素子が前記駆動手段によって駆動された記録回数を計数する計数手段と、 前記複数のシフトレジスタに格納された複数の前記ビットデータ列をデコードして得られる複数種類のデコード結果データを、前記計数手段の計数結果に基づいて順次選択してパラレルに出力するデコード手段とを備え、 前記デコード手段によって出力されたデコード結果データに従って、再生すべき画素の濃度に対応した記録回数で前記複数の記録素子の各々を駆動することにより多値画像を記録することを特徴とする記録装置。 【請求項2】前記複数のシフトレジスタに格納された複数のビットデータ列分のビットデータを保持するラッチ手段を更に備え、 前記駆動手段は、前記デコード手段から出力されるデコード結果データに従って前記複数の記録素子の各々を付勢することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。 【請求項3】前記計数手段は、計数値が記録しようとする画像の階調数に対応するプリセット値に達した場合にリセットされることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。 【請求項4】前記記録ヘッドは、熱エネルギを利用して複数のインク滴を吐出するインクジェットヘッドであり、前記記録素子の各々は、インクに与える熱エネルギを生成するための熱エネルギ生成素子を具備することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。 【請求項5】前記記録ヘッドは所定の位置で固定され、記録媒体の搬送方向に略垂直な方向に、前記記録媒体を横切って並ぶ複数の記録素子を具備することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の記録装置。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】 本発明は、記録装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】 図2は液滴噴射型(インクジェット型)の記録ヘッドであり、被記録媒体の全幅にわたって吐出口を配列したいわゆるフルマルチ型の記録ヘッドの一例を示す図である。同図に示されるように、シリコン等の基板11上に電気熱エネルギー変換素子1が配線とともに半導体と同様の製造工程を経て等間隔に形成される。そして、各電気熱エネルギー変換素子1と電気熱エネルギー変換素子1との間に樹脂層を積層して隔壁14を形成する。各隔壁14の上には板状の液路形成部材16を接合し、その上に、ガラス等の天板17が接合され、吐出口12、液路13、及び共通液室15を形成している。 【0003】 図10は図2に図示の記録ヘッドを駆動制御する駆動制御回路(ヘッドドライバ)の一般的な例を示す。n個の電気熱エネルギー変換素子1に対して1個の駆動用IC5が設けられている。電気熱エネルギー変換素子1と同一のビット数である1ビットの記録データ(SI)がデータ転送用クロック(SCLK)に同期して各駆動用IC5内のシフトレジスタ4に順次伝送される。全データがシフトレジスタ4に入力された後、ラッチ信号(LAT)の入力により、ラッチ回路3に読み込まれる。その後、分割駆動信号(EI)及び分割駆動信号転送クロック(ECLK)が入力されると、それに応じて、Dフリップフロップ22により複数の駆動用IC5が順次アクティブ状態になり、通電時間設定用信号(BEI)がONの間、駆動用IC5の記録データ信号がONの状態の電気熱エネルギー変換素子1に選択的に通電され、インクが吐出される。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】 しかしながら、上記従来例の如く、1ビットずつの記録データの転送により多値データを記録するためには、濃度に応じた回数のデータ転送を行う必要があるため、濃度に比例してデータ転送時間が増大し、装置全体としての記録速度が低下するという問題があった。 【0005】 また、このような記録ヘッドを制御する制御部における分割駆動信号等の制御も濃度に応じた回数行わなければいけないため、制御部の負荷が増大し、装置全体としての記録速度が低下するという問題があった。 【0006】 本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、記録媒体上に形成される画像の各ラインに所定数のラインデータの記録を行う場合に、該所定数のラインデータを並列に入力することを可能とする記録装置を提供することを目的とする。 【0007】 【0008】 【課題を解決するための手段】 上記の目的を達成するための本発明による記録装置は以下の構成を備える。即ち、 複数の記録素子を有する記録ヘッドと、 前記複数の記録素子の数に対応したビット数のビットデータ列を並列に各々格納する複数のシフトレジスタと、 前記複数のシフトレジスタの各々に前記ビットデータ列を転送する転送手段と、 前記複数のシフトレジスタによって格納された複数のビットデータ列に基づいて、前記記録ヘッドの前記複数の記録素子を駆動する駆動手段とを有する記録装置であって、 前記複数の記録素子を複数のブロックに分割し、分割信号に基づいてこれらのブロックを順に駆動すると共に最終段のブロックを駆動するための分割信号に基づいた分割信号で次の回のブロック駆動を開始する分割駆動手段と、 最終段のブロックを駆動するための分割信号に基づいた分割信号に応じて、前記記録ヘッドの前記複数の記録素子が前記駆動手段によって駆動された記録回数を計数する計数手段と、 前記複数のシフトレジスタに格納された複数の前記ビットデータ列をデコードして得られる複数種類のデコード結果データを、前記計数手段の計数結果に基づいて順次選択してパラレルに出力するデコード手段とを備え、 前記デコード手段によって出力されたデコード結果データに従って、再生すべき画素の濃度に対応した記録回数で前記複数の記録素子の各々を駆動することにより多値画像を記録する。 【0009】 【0010】 【作用】 上述の構成によれば、例えば濃度等に対応した複数のビットデータ列が並列に入力されて、これらがシフレジスタに格納される。そして、シフトレジスタに格納されたビットデータに基づく記録ヘッドの駆動回数が計数され、この計数結果に基づいてシフトレジスタに格納されたビットデータをデコードしたデータが順次選択されてパラレルに出力され、ラインデータの記録が実行される。 【0011】 【0012】 【実施例】 以下に添付の図面を参照して本発明の好適な実施例について説明する。 【0013】 図1は本実施例における記録装置の概略の制御構成を表すブロック図である。同図において、100はインターフェースであり不図示のホストコンピュータ等より記録データを入力する。101はMPUであり本記録装置における各種の制御を行う。102はROMであり、MPU101が実行する各種制御プログラムを格納する。103はダイナミック型のRAM(DRAM)であり、各種データ(上記記録信号やヘッドに供給される記録データ等)を保存する。104はゲートアレイ(G.A.)であり、記録ヘッド107に対する記録データの供給制御を行う。また、ゲートアレイ104は、インターフェース100,MPU101,DRAM103間のデータの転送制御も行う。 【0014】 105は記録ヘッド107を駆動するヘッドドライバであり、106は搬送モータ108を駆動するモータドライバである。107は、液滴噴射により記録媒体への記録を実行するインクジェット型の記録ヘッドである。108は記録媒体(記録用紙)を搬送する搬送モータである。 【0015】 上記構成を備える本実施例の記録装置の動作概要について説明する。まず、インターフェース100より記録データが入力されると、ゲートアレイ104とMPU101との間で記録データがプリント用の画像データに変換され、ヘッドドライバ105に入力される。そして、モータドライバ106が駆動されるとともに、ヘッドドライバ105に送られた画像データに従って記録ヘッドが駆動され、記録が行われる。 【0016】 図2は本実施例の記録装置における記録ヘッド107におけるインクジェット型記録ヘッドの構成を表す図である。本実施例のインクジェット型記録ヘッドは、特に記録媒体の全幅に対応した範囲にわたって吐出口を整列させた形態の、所謂フルマルチ型の記録ヘッドであり、図6により後述するように3階調での画像記録を行う。 【0017】 図2において、1は電気熱エネルギー変換素子であり、通電に応じて発熱し、インクに発泡を生じさせてインク吐出を行わせるもので、発熱抵抗体により構成される。各電気熱エネルギー変換素子1は、配線とともに基板11上に半導体と同様の製造工程を経て形成されている。16は発熱抵抗体1に対応して吐出口12及びこれに連通した液路13を形成するための液路形成部材、17は天板である。また15は各液路13に共通した液室であり不図示のインク供給源から供給されたインクを貯留する。 【0018】 図3は図2に示したような機械的構成を有するインクジェット型の記録ヘッドを駆動するヘッドドライバ105の回路構成例を示す図であり、本例では駆動用基板を1体化したものである。 【0019】 図3においてSI1、SI2は2ビットの記録データ信号であり、2つのラインデータを同時に入力する。本例では、この2ビットの記録データ信号により、3階調の画像を記録する(図7により後述する)。これらSI1,SI2の信号線により入力された記録データをデータ転送用クロック(SCLK)に同期してそれぞれシフトレジスタ4内に格納する。記録するのに必要な分のデータ転送が完了するとLAT信号によりラッチ回路3で両シフトレジスタ4に格納されているラインデータを保持する。 【0020】 OR26では外部(制御部)から入力される分割駆動信号(EI)とn段目のICからの内部分割駆動信号とのORを出力する。24はカウンタであり、分割駆動信号(EI)或いは内部分割駆動信号の入力によりラインデータの記録の実行数をカウントする。またAND25はカウンタ24のカウントアップにより内部分割駆動信号を停止させる。このように、カウンタ24及びAND25により、カウンタ24の設定値分の分割駆動信号が繰り返し駆動用IC5に対して発生する。デコーダ23はカウンタ24のデータによりラッチ回路3の保持データより記録すべきデータを選択する。 【0021】 AND25から出力される内部分割駆動信号と分割駆動信号転送クロック(ECLK)によりフリップフロップ22が順次セットされ、AND21及びAND2により、通電時間設定用信号(BEI)がアクティブの間だけデコーダ23の出力データにより選択されている電気熱エネルギー変換素子のみ通電される。 【0022】 上述の回路構成を備えるヘッドドライバ105の動作を、図4のタイミングチャートを用いて更に説明する。SI1及びSI2の2つのラインデータのデータ転送が完了し、ラッチ信号(LAT)によりラッチ回路3にデータが保持された状態で、外部より分割駆動信号(EI)が入力される。そして、分割駆動信号転送クロック(ECLK)により、各ブロックのフリップフロップ22の出力Qが順次セットされ、各ブロックを順次アクティブとするとともに、次のブロックの内部分割駆動信号となる。また、各デコーダ23はカウンタ24より出力されるカウント値に応じて、前段のフリップフロップ22の出力Qがセットされるタイミングでその選択出力を切り替える。そして、フリップフロップ22からの出力がセットされた状態のブロックにおいて、通電時間設定用信号(BEI)がセットしている間、デコーダ23の出力により選択されている電気熱エネルギー変換素子1に対して通電が実行される。 【0023】 上述のようにして、順次SI1のラインデータが記録されていき、第n番目のブロックのフリップフロップ22の出力QがECLKによりセットされると、この第nブロックがアクティブとなるとともに、第nブロックのフリップフロップ22の出力Qが次のSI2のデータを記録するための内部分割駆動信号としてOR26に入力される。図4ではこの内部分割駆動信号のタイミングをEI上の点線で表している。この内部分割駆動信号によりカウンタ24が更新され、各デコーダ23がSI2のラインデータを選択するように設定される。そして、SI1データの場合と同様にしてSI2のラインデータを記録していく。更に、SI2のラインデータの記録において最終の第nブロックがアクティブになると、第nブロックのフリップフロップ22の出力Qにより分割駆動信号が発生するが、カウンタ24のカウント値が3となりRC出力がリセットされるので内部分割駆動信号としては第1ブロックに伝わらない。 【0024】 以上のようにして、外部からの1つの分割駆動信号(EI)の入力により、SI1及びSI2のラインデータが順に記録されていく。そして、これらラインデータの記録が実行されている間に、次のラインのためのSI1及びSI2ラインデータがシフトレジスタ4に入力される。そして、SI2ラインデータの第nブロックの記録の終了から、次のECLKの立ち上がりまでの間にLAT信号によるラッチ回路3へのラッチを完了させることで、各ブロックの吐出周期を一定に保つことができる。 【0025】 図5は本実施例と従来例におけるデータの記録とデータ転送の概略のタイミングを表す図であり、(A)は本実施例におけるタイミング、(B)は従来のタイミングを表す。同図からも明らかなように、本実施例では2つのラインデータ(SI1,SI2)を一度に転送しており、従来の記録タイミングに比べて記録時間が短縮されている。また、ラッチ信号(LAT)や分割駆動信号(EI)の頻度も従来に比べて減っているので、制御部の負荷も軽減される。 【0026】 図6は、本実施例におけるデコーダの動作を表す図である。ラッチ回路3に保持されたデータとカウンタ24のカウント値により出力されるデータ内容が決定される。即ち、カウンタ24のカウント値が「1」であればSI1のデータを出力し、カウント値が「2」であればSI2のデータを出力する。 【0027】 図7は多値データの記録状態を表す図である。尚、横方向への記録ドットのずれは紙送りにより生じるものである。 【0028】 以上説明したように、本実施例の記録装置によれば、3値分のデータ転送を1度に行うことがでる。更に、カウンタ24に「3」をセットすることにより、外部からの1回の分割駆動信号により、3値のデータを記録することができる。 【0029】 このように液滴吐出記録ヘッド内に内部分割駆動信号発生回路と複数ビットのデータを入力しデコードする回路構成を具備することにより、制御部等からのデータ転送時間を短縮することができ、システム全体としての記録速度の向上が達成される。また、記録ヘッドの各ブロックの駆動周波数が記録するラインの最高濃度値に関わらず一定になるとともに、記録紙の搬送速度も一定にすることが可能となるので、制御が容易になるという効果もある。 【0030】 尚、上記実施例では、2ビットの入力データに対して3値の記録を行っているがこれに限られない。例えば、3ビットの入力データに対して4値の記録を行うことは、データ入力用の信号線をSI1〜SI3の3本とし、上述のカウンタ24を「4」に設定し、デコーダ23をこれに適合するように変更すればよい。また、2ビットの入力データをバイナリデータとして扱うことにより4値の記録を行うことも可能であり、この場合のデコーダ23の出力は図8のようになる。 【0031】 更に、上述のような記録ヘッド及びその駆動制御回路を用いて、例えば図9に示すようなフルカラー記録が可能なラインプリンタを構成することができる。同図において、201A及び201Bは記録媒体Rを副走査方向VSに搬送するために設けられたローラ対である202BK、202Y、202M及び202Cはそれぞれ記録媒体Rの全幅に渡ってノズルを配列したブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの記録を行うフルマルチタイプの記録ヘッドであり、その順に記録媒体搬送方向上流側より配置してある。200は回復系であり吐出回復処理に当たっては記録媒体Rに代わって記録ヘッド202BK〜202Cに対向する。このようなフルカラー記録可能なラインプリンタにおいても、各色の記録ヘッド毎に図3の回路構成を適用することができ、上述と同様の効果を得ることができる。 【0032】 更に、2階調の記録を行うには、SI1のデータのみを転送するか、またはカウンタ24の設定値を「2」にセットすればよい。 【0033】 また、本発明は、特にインクジェット記録方式の中でも熱エネルギーを利用して飛翔的液滴を形成し、記録を行うインクジェット方式の記録ヘッド、記録装置において優れた効果をもたらすものである。 【0034】 その代表的な構成や原理については、例えば、米国特許第4723129号明細書、同第4740796号明細書に開示されている基本的な原理を用いて行うものが好ましい。この方式はいわゆるオンデマンド型、コンティニュアス型のいずれにも適用可能であるが、特に、オンデマンド型の場合には、液体(インク)が保持されているシートや液路に対応して配置されている電気熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰を越える急速な温度上昇を与える少なくとも1つの駆動信号を印加することによって、電気熱変換体に熱エネルギーを発生せしめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じさせて、結果的にこの駆動信号に1対1で対応した液体(インク)内の気泡を形成できるので有効である。この気泡の成長、収縮により吐出用開口を介して液体(インク)を吐出させて、少なくとも1つの滴を形成する。この駆動信号をパルス形状をすると、即時適切に気泡の成長収縮が行われるので、特に応答性に優れた液体(インク)の吐出が達成でき、より好ましい。 【0035】 このパルス形状の駆動信号としては、米国特許第4463359号明細書、同第4345262号明細書に記載されているようなものが適している。なお、上記熱作用面の温度上昇率に関する発明の米国特許第4313124号明細書に記載されている条件を採用すると、優れた記録を行うことができる。 【0036】 記録ヘッドの構成としては、上述の各明細書に開示されているような吐出口、液路、電気熱変換体の組み合わせ構成(直線状液流路または直角液流路)の他に熱作用面が屈曲する領域に配置されている構成を開示する米国特許第4558333号明細書、米国特許第4459600号明細書を用いた構成としても良い。 【0037】 加えて、複数の電気熱変換体に対して、共通するスリットを電気熱変換体の吐出部とする構成を開示する特開昭59-123670号公報や熱エネルギーの圧力波を吸収する開口を吐出部に対応させる構成を開示する特開昭59-138461号公報に基づいた構成とすることもできる。 【0038】 さらに、記録装置が記録できる最大記録媒体の幅に対応した長さを有するフルラインタイプの記録ヘッドとしては、上述した明細書に開示されているような複数記録ヘッドの組み合わせによってその長さを満たす構成や、一体的に形成された1個の記録ヘッドとしての構成のいずれでもよい。 【0039】 加えて、装置本体に装着されることで、装置本体との電気的な接続や装置本体からのインクの供給が可能になる交換自在のチップタイプの記録ヘッド、あるいは記録ヘッド自体に一体的にインクタンクが設けられたカートリッジタイプの記録ヘッドを用いてもよい。 【0040】 また、本発明の記録装置の構成として設けられる、記録ヘッドに対しての回復手段、予備的な補助手段等を付加することは本発明の効果を一層安定にできるので好ましいものである。これらを具体的に挙げれば、記録ヘッドに対してのキャッピング手段、クリーニング手段、加圧あるいは吸引手段、電気熱変換体あるいはこれとは別の加熱素子あるいはこれらの組み合わせによる予備加熱手段、記録とは別の吐出を行う予備吐出モードを行うことも安定した記録を行うために有効である。 【0041】 さらに、記録装置の記録モードとしては黒色等の主流色のみの記録モードだけではなく、記録ヘッドを一体的に構成するか複数個の組み合わせによってでも良いが、異なる色の複色カラー、または混色によるフルカラーの少なくとも1つを備えた装置とすることもできる。 【0042】 以上説明した本発明実施例においては、インクを液体として説明しているが、室温やそれ以下で固化するインクであって、室温で軟化するもの、もしくは液体であるもの、あるいは上述のインクジェット方式ではインク自体を30°C以上70°C以下の範囲内で温度調整を行ってインクの粘性を安定吐出範囲にあるように温度制御するものが一般的であるから、使用記録信号付与時にインクが液状をなすものであればよい。 【0043】 加えて、積極的に熱エネルギーによる昇温をインクの固形状態から液体状態への状態変化のエネルギーとして使用せしめることで防止するか、またはインクの蒸発防止を目的として放置状態で固化するインクを用いるかして、いずれにしても熱エネルギーの記録信号に応じた付与によってインクが液化し、液状インクとして吐出するものや、記録媒体に到達する時点では既に固化し始めるもの等のような、熱エネルギーによって初めて液化する性質のインクの使用も本発明には適用可能である。このような場合インクは、特開昭54-56847号公報あるいは特開昭60-71260号公報に記載されるような、多孔質シート凹部または貫通孔に液状または固形物として保持された状態で、電気熱変換体に対して対向するような形態としてもよい。本発明においては、上述した各インクに対して最も有効なものは、上述した膜沸騰方式を実行するものである。 【0044】 さらに加えて、本発明に係る記録装置の形態としては、上述のようなワードプロセッサやコンピュータ等の情報処理機器の画像出力端末として一体または別体に設けられるものの他、リーダ等と組み合わせた複写装置、さらには送受信機能を有するファクシミリ装置の形態を取るものであっても良い。 【0045】 尚、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用しても1つの機器から成る装置に適用しても良い。また、本発明は、システム或は装置にプログラムを供給することによって達成される場合にも適用できることはいうまでもない。 【0046】 【発明の効果】 以上説明したように本発明の記録装置によれば、記録媒体上に形成される画像の各ラインに所定数のラインデータの記録を行う場合に、該所定数のラインデータを並列に入力することが可能となり、処理速度が向上する。 【0047】 【0048】 【図面の簡単な説明】 【図1】本実施例における記録装置の概略の制御構成を表すブロック図である。 【図2】本実施例の記録装置のインクジェット型記録ヘッドの構成を表す図である。 【図3】ヘッドドライバの回路構成例を示す図である。 【図4】図3の回路構成例における動作タイミングを表すタイミングチャートである。 【図5】データの記録及びデータ転送の概略のタイミングを表すタイミングチャートである。 【図6】本実施例のデコーダの動作内容を説明する図である。 【図7】本実施例における多値データの記録状態を表す図である。 【図8】デコーダの動作内容の他の例を説明する図である。 【図9】フルカラー記録が可能な記録装置の記録部の構成を説明する図である。 【図10】従来のヘッドドライバの回路構成例を表す図である。 【符号の説明】 1 電気熱エネルギー変換素子 3 ラッチ回路 4 シフトレジスタ 21,25 ANDゲ-ト 22 Dフリップフロップ 23 デコーダ 24 カウンタ 26 ORゲート |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2005-07-13 |
出願番号 | 特願平4-332750 |
審決分類 |
P
1
651・
113-
YA
(B41J)
P 1 651・ 121- YA (B41J) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 門 良成 |
特許庁審判長 |
津田 俊明 |
特許庁審判官 |
番場 得造 砂川 克 |
登録日 | 2003-08-08 |
登録番号 | 特許第3459662号(P3459662) |
権利者 | キヤノン株式会社 |
発明の名称 | 記録装置 |
代理人 | 大塚 康弘 |
代理人 | 木村 秀二 |
代理人 | 大塚 康徳 |
代理人 | 高柳 司郎 |
代理人 | 高柳 司郎 |
代理人 | 木村 秀二 |
代理人 | 大塚 康徳 |
代理人 | 大塚 康弘 |