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審決分類 |
審判 判定 審理一般(別表) 属さない(申立て成立) A23C |
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管理番号 | 1124338 |
判定請求番号 | 判定2005-60005 |
総通号数 | 71 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許判定公報 |
発行日 | 1994-10-04 |
種別 | 判定 |
判定請求日 | 2005-02-08 |
確定日 | 2005-09-29 |
事件の表示 | 上記当事者間の特許第3196161号の判定請求事件について、次のとおり判定する。 |
結論 | (イ)号図面及びその説明書に示す「チーズ包装体」は、特許第3196161号の請求項1に係る発明の技術的範囲に属しない。 |
理由 |
1.請求の趣旨 本件判定請求の趣旨は、平成17年7月19日付補正書により補正された判定請求書の記載から見て、イ号物件、その説明及び写真に示す商品名「明治十勝カマンベール切れてるタイプ」(平成17年7月19日付補正書の「6.判定請求の趣旨」の「商品名「黴が生えていない面を形成した黴系ナチュラルチーズ」」は、「商品名「明治十勝カマンベール切れてるタイプ」」の誤記と認める。)(以下「イ号物件」という。)は、特許第3196161号の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本件特許発明」という。)の技術的範囲に属する、との判定を求めるというものである。 2.本件特許発明 本件特許発明は、特許明細書及び図面の記載から見て、その特許請求の範囲の請求項1により特定されているものであり、構成要件に分説すると、次のとおりである。 (A)チーズの表面の一部分またはカット面をフィルムで被覆することにより黴が生えていない面を形成した (B)黴系ナチュラルチーズ。 3.イ号物件 請求人によるイ号物件の特定では、チーズの黴が生えていない面と生えていない面が充分明確に特定されておらず、またフィルムが何枚であるかが明確でないので、それらの点に関し、イ号物件の写真(図1〜9)を参照して、次のとおりに特定する。 「一口サイズの扇柱状カマンベールチーズ片であって、扇形両底面及び曲側面には白黴が生えており、平側面二面には白黴が生えていないチーズ片の全面が、25〜30μm厚の外側がアルミ箔で内側が樹脂からなる1枚の積層フィルムで包装され、該包装フィルムの開封時に当該平側面二面に白黴が生えていないカマンベールチーズ包装体。」 4.属否の判断 4-1.本件特許発明の構成要件(A)について 本件特許発明の構成要件(A)「チーズの表面の一部分またはカット面をフィルムで被覆することにより黴が生えていない面を形成した」は、フィルムで被覆した面には黴が生えていないことを意味すると解釈されるが、念のため明細書の記載を検討すると、本件特許明細書には、構成要件(A)に関して次の記載がある。 【発明が解決しようとする課題】 「・・・本発明は、・・・黴や好気性菌の存在が好ましくない表面には、黴や好気性菌を生育させず食感を損なわない一口サイズのチーズあるいはその集積体の製造法を提供することを目的とする。」(段落番号【0003】) 【課題を解決するための手段】 「・・・カット面に黴等のの存在が好ましくないのでフィルム、例えばポリプロピレンフィルムを接着し、このフィルムを介在させて集積体とする。こうしてチーズどうしの密着および接合面での黴などの発生を防止する。他の態様としては、合成樹脂フィルムで内部が仕切られた型にカードを装填し圧搾成形した後、型からフィルムごと取り出し、そのまま、即ち、フィルムを介して集積した状態のまま、熟成処理および/または加熱処理して、接合面にフィルムを介在させたチーズの集積体とすることもできる。」(段落番号【0006】) 【発明の効果】 「本発明によれば、チーズの一部をフィルムで被覆するので、その面が黴などの発生が望ましくない場合には、その発生を防止することができ、」(段落番号【0011】) 本件明細書中のこれらの記載は、いずれも、本件特許発明の構成要件(A)の上記解釈に合致するものである。また、本件明細書及び図面のいずれにも、既に黴が生えた面を含むチーズの表面全体を被覆し熟成することは記載されていない。 したがって、本件特許発明の構成要件(A)の「チーズの表面の一部分またはカット面」とは、カット面を含めたチーズの表面全体ではなく、表面の一部分のみまたはカット面のみを意味し、「黴が生えていない面を形成した」とは、フィルムを密着させて被覆することにより、その被覆面には被覆後の工程において黴を生やさないことを意味すると解される。 4-2.イ号物件は本件特許発明の構成要件(A)を充足するかについて 本件特許発明の構成要件(A)は「チーズの表面の一部分またはカット面をフィルムで被覆することにより黴が生えていない面を形成した」であり、ここで「フィルムで被覆する」のは、上記4-1.で検討したとおり、チーズ表面全体ではなく、黴等の存在が好ましくない一部分であると解される。 一方、イ号物件は、「チーズ片の全面が、25〜30μm厚の外側がアルミ箔で内側が樹脂からなる1枚の積層フィルムで包装され」という構成を有するものである。 また、イ号物件の黴の生えていない面が、当該面のみを何らかのフィルムで被覆することにより形成されたとするに足る証拠はない。 よって、本件特許発明の構成要件(A)を充足しないものである。 5.むすび 以上のとおりであるから、イ号物件は、本件特許発明の技術的範囲に属しない。 |
判定日 | 2005-09-16 |
出願番号 | 特願平5-96606 |
審決分類 |
P
1
2・
0-
ZA
(A23C)
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最終処分 | 成立 |
特許庁審判長 |
河野 直樹 |
特許庁審判官 |
鵜飼 健 長井 啓子 |
登録日 | 2001-06-08 |
登録番号 | 特許第3196161号(P3196161) |
発明の名称 | チーズ及びその製造法 |
代理人 | 長谷部 善太郎 |
代理人 | 児玉 喜博 |