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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1125727
審判番号 不服2003-6538  
総通号数 72 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2000-12-15 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-04-17 
確定日 2005-11-04 
事件の表示 平成11年特許願第157510号「市場賃料算出システム,市場賃料算出方法および市場賃料算出プログラムを格納した記憶媒体」拒絶査定不服審判事件〔平成12年12月15日出願公開,特開2000-348089〕について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,平成11年6月4日の出願であって,平成15年3月14日付で拒絶査定がされ,これに対し,同年4月17日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに,同年5月13日付で手続補正がなされたものである。

第2 平成15年5月13日付の手続補正についての補正却下の決定
1 補正却下の決定の結論
平成15年5月13日付の手続補正を却下する。

2 理由
(1) 補正後の本願発明
本件補正により,特許請求の範囲の請求項1は,
「【請求項1】 建物の賃料を決めるための各データ項目を格納するデータベース格納部と,
求めようとする建物の市場賃料の条件を前記データベース格納部のデータ項目より選択するための選択手段と,
前記選択手段で選択された条件に合致した最寄り駅に対し平均賃料,平均徒歩時間,平均経年,平均面積を算出する平均値算出手段と,
各駅毎に設けられたテーブルであって,駅からの所定の徒歩時間を評点100とし該所定の徒歩時間を中心に増減させた徒歩時間に対応して増減するように評点を対応づけて表した徒歩評点テーブル,所定の建築年数を評点100とし該所定の建築年数を中心に増減させた建築年数に対応して増減するように評点を対応づけて表した経年評点テーブルおよび対象物の所定の面積を評点100とし該所定の面積を中心に増減させた面積に対応して増減するように評点を対応づけて表した面積評点テーブルを格納する建物の評点テーブル格納部と,
前記各評点テーブルを参照して前記平均徒歩分,平均経年および平均面積の評点を求め,下記(1)式に基づき,建物の標準賃料を算出する標準賃料算出手段と,
前記標準賃料を求めた後,対象物に対し,最寄り駅からの徒歩時間(分),経年および面積を入力するデータ入力手段と,
前記データ入力手段により入力されたデータ毎に各評点テーブルを参照して前記対象物に対する徒歩分評点,経年評点,面積評点を求め,下記(2)式に基づき,建物の基準賃料を算出する基準賃料算出手段と,
を備えたことを特徴とする市場賃料算出システム。
rs =rav×(100/w)×(100/y)×(100/s)・・・(1)
ただし,rs ;標準賃料
rav;平均賃料
w ;平均徒歩分評点
y ;平均経年評点
s ;平均面積評点
rb =rs ×(wb /100)×(yb /100)×(sb /100)・・・(2)
ただし,rb ;基準賃料
wb ;対象物に対する徒歩分評点
yb ;対象物に対する経年評点
sb ;対象物に対する面積評点」と補正された。

上記補正は,請求項に記載した必須の構成要件を明確に定義するための補正であり,特許法17条の2第4項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで,本件補正後の前記請求項に記載された発明(以下,「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法17条の2第5項において準用する同法126条4項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(2) 引用例
原査定の拒絶の理由で引用された武田公夫著,「不動産評価の知識」,日本経済新聞社,1993年10月7日,第15版,p.88〜97,115〜128(以下「引用例1」という。)には次の事項が開示されている。(丸付き符号は括弧書きで表現した。)

ア 「 (3) 取引事例比較法
取引事例比較法は,比較方式のうち不動産の価格を求める手法です。まず,多数の取引事例を収集して適切な事例の選択を行い,これらに係る取引価格に必要に応じて事情補正および時点修正を行い,かつ,地域要因の比較および個別的要因の比較を行って求められた価格を比較考量して対象不動産の試算価格を求める手法です。この手法で求められた試算価格を,比準価格といいます。
取引事例比較法は,「取引事例」という現実の資料に基礎をおく実際的な方法であり,近隣地域または同一需給圏内の類似地域において,対象不動産と類似の不動産の取引が行われている場合に有効な方法です。
取引事例比較法は,取引事例のある限りあらゆる不動産の価格が求められる有用な方法ですが,不動産の取引がほとんど行われない地域(例・過疎の山村)には適用が難しく,取引の乏しい不動産 (例・大邸宅)についても適用が困難です。
取引事例比較法の有効性を高める資料として,参考価格があります。参考価格とは,売り希望価格,買い希望価格,地元精通者意見価格などであり,幅広く収集し近隣地域などの価格水準および地価動向を知るうえで有用な資料となります。.
(1)事例の収集および選択──取引事例比較法は,市場において発生した価格を含む取引内容を価格判定の基礎とするものであり,多数の取引事例を収集する必要があります。
取引事例は,原則として近隣地域または同一需給圏内の類似地域に存在する不動産にかかわるものから選択します。これらの地域の事例が乏しく,必要やむを得ない場合には,近隣地域の周辺地城から選択します。この周辺地域とは,例えば近隣地域(類似地域も同じ)が一戸建住宅が連たんする住宅地域である場合,その近くに所在する中高層住宅が立地する地域などが該当します。用途は異なっても接近性から価格関連性があるからです。
取引事例は,右の地域要件のほか,次の要件のすべてを備えたものから選択しなければなりません。
(ア) 取引事情が正常なものと認められるものまたは正常なものに補正できるものであること。
(イ) 時点修正をすることが可能なものであること。
(ウ) 地域要因の比較および個別的要因の比較が可能なものであること。
このようにして選択された取引事例は,取引事例比較法を適用して比準価格を求める場合の基礎資料となるものであり,取引事例の信頼度は比準価格の精度を左右します。」
(88頁7行〜90頁5行)

イ 新規賃料を求める手法として,「(2) 賃貸事例比較法──賃貸事例比較法は,比較方式のうち不動産の賃料を求める手法です。まず多数の新規の賃貸借等の事例を収集して適切な事例の選択を行い,これらに係る実際実質賃料(実際に支払われている不動産に係るすべての経済的対価をいいます)に必要に応じて事情補正および時点修正を行い,地域要因の比較および個別的要因の比較を行って求められた賃料を比較考量して試算賃料を求める手法です。この手法で求められた試算賃料を比準賃料といいます。
賃貸事例比較法は,取引事例比較法が元本(価格)を求める比較手法であるのに対し,果実(賃料)を求める点が異なりますが,そのほかはほとんど同じ内容です。したがって近隣地域または同一需給圏内の類似地域等において,対象不動産と類似の不動産の賃貸借等が行われている場合に有効な実証的な方法です。
(a)事例の収集および選択・・・賃貸借等の事例の収集および選択は,取引事例比較法における事例の収集および選択に準じます。この場合において,次の諸点に十分配慮すべきと評価基準・留意事項は規定しています。 賃貸借等の事例の選択にあたっては,新規賃料,継続賃料の別または建物の用途の別により賃料水準が異なるのが一般です。そのため,できる限り対象不動産に類似した事例の選択の必要があります。契約内容の類似性を判断する際に注意すべき事項は,次のとおりです。
(ア) 賃貸形式
(イ) 賃貸面積
(ウ) 契約期間ならびに経過期間および残存期間
(エ) 一時金の授受に基づく賃料内容
(オ) 賃料の算定期間およびその支払方法
(カ) 修理および現状変更に関する事項
(キ) 賃貸借等に供される範囲およびその使用方法
(b)事情補正および時点修正ならびに地域要因の比較および個別的要因の比較・・・事情補正および時点修正ならびに地域要因の比較および個別的要因の比較については,取引事例比較法の場合に準じて行います。 地域要因の比較にあたっては,賃料固有の価格形成要因が存在することなどにより,価格を求める場合の地域と賃料を求める地域とでは,それぞれの地域の範囲や格差が異なることに注意を要します。
個別的要因の比較にあたっては,契約の内容,土地および建物に関する個別的要因などに留意することが必要です。」(122頁13行〜124頁11行)

(3) 対比
本願発明と引用例1に記載された発明(以下「引用発明」という。)とを対比する。
「不動産」の用語は,土地と建物を総称したものであることは一般によく知られており,建物のみ又は集合住宅の一室のみが賃貸借の対象とされていることも普通に知られている事項である。
そして,建物の賃貸料金は,駅からの距離,建築年数及び広さ等により増減することは普通に知られていることである。
引用例に示された賃貸事例比較法は,「比較方式のうち不動産の賃料を求める手法です。まず多数の新規の賃貸借等の事例を収集して適切な事例の選択を行い,これらに係る実際実質賃料(実際に支払われている不動産に係るすべての経済的対価をいいます)に必要に応じて事情補正および時点修正を行い,地域要因の比較および個別的要因の比較を行って求められた賃料を比較考量して試算賃料を求める手法です。この手法で求められた試算賃料を比準賃料といいます。」とあるように,賃料を決めるためのデータを収集し,収集したデータを利用していることが認められ,引用例1に示された比準賃料は,種々のデータを比較考量して求めていることから本願発明の標準賃料に相当するとみることができる。
また,「取引事例比較法は,「取引事例」という現実の資料に基礎をおく実際的な方法であり,近隣地域または同一需給圏内の類似地域において,対象不動産と類似の不動産の取引が行われている場合に有効な方法です。」とあることから,最寄り駅を中心とした本願発明と同様のデータを対象としていることが認められる。
なお,本願発明の請求項に記載された「市場」の用語は,引用発明にも当てはまるものである。
以上を踏まえると,本願発明と引用発明とは,次の一致点及び後記相違点が認められる。

【一致点】
建物の賃料を決めるための各データ項目と,求めようとする建物の賃料の最寄り駅に対し建物の標準賃料を算出する標準賃料算出手段と,前記標準賃料を求めた後,対象物に対し,建物の基準賃料を算出する基準賃料算出手段と,を備えたことを特徴とする市場賃料算出システム。

【相違点1】 本願発明データベース格納部を備えているのに対し,引用発明にはこの点の記載がない点。
【相違点2】本願発明では,市場賃料の条件をデータベース格納部のデータ項目より選択するための選択手段を備えているのに対し,引用発明には,この点が明記されていない点。
【相違点3】本願発明が,最寄り駅に対し平均賃料,平均徒歩時間,平均経年,平均面積を算出する平均値算出手段を備えているのに対し,引用発明にはこの点の記載がない点。
【相違点4】本願発明では,各駅毎に設けられたテーブルであって,駅からの所定の徒歩時間を評点100とし該所定の徒歩時間を中心に増減させた徒歩時間に対応して増減するように評点を対応づけて表した徒歩評点テーブル,所定の建築年数を評点100とし該所定の建築年数を中心に増減させた建築年数に対応して増減するように評点を対応づけて表した経年評点テーブルおよび対象物の所定の面積を評点100とし該所定の面積を中心に増減させた面積に対応して増減するように評点を対応づけて表した面積評点テーブルを格納する建物の評点テーブル格納部を備えているのに対し,引用発明には,この点に関する記載がない点。
【相違点5】本願発明では,標準賃料を,(1)式を用いて求めているのに対し,引用発明には,この点に関する記載がない点。
【相違点6】 本願発明では,対象物に対し,最寄り駅からの徒歩時間(分),経年および面積を入力するデータ入力手段を備えているのに対し,引用発明にはこの点に関する記載がない点。
【相違点7】本願発明では,各評点テーブルを参照して対象物に対する徒歩分評点,経年評点,面積評点を求めているのに対し,引用発明では,この点に関する記載がない点。
【相違点8】本願発明では,建物の基準賃料を,(2)式を用いて求めているのに対し,引用発明にはこの点に関する記載がない点。

(4) 当審の判断
ア 相違点1について
不動産評価においてコンピュータを用いることは常套手段であり,引用発明においても,収集した取引事例をコンピュータを用いてデータベース格納部に格納しているとみることは,たとえ記載がなくても当然に実施している事項と認められる。
したがって,当該相違点は実質的なものではない。

イ 相違点2について
データベースに格納されたデータを検索することは,データベースを構築する前提条件であり,所望のデータを取得するために選択手段を設けることは当業者であれば当然に想到できる事項である。
なお,特許請求の範囲には「前記選択手段で選択された条件に合致した最寄り駅」とあることから,この選択手段は,最寄り駅を選ぶためのものと理解でき,引用発明においても,賃料を求める対象となる地域として,駅を中心とした地域としてその駅をまず選択することは当業者であれば容易に想到できる事項と認められる。

ウ 相違点3について
引用発明の対象は,土地と建物を含む不動産に関する賃貸事例比較法であるが,これを建物の賃貸に限定することは当業者が自然に発想する事項にすぎない。
そして,建物の賃貸であれば,駅からの徒歩時間,築年数,面積により賃貸料が増減することは社会通念であり,これらのデータを収集して平均値を算出することに当業者が格別困難を伴うとは認められない。

エ 相違点4について
原査定の拒絶の理由に引用された,「不動産評価システム」と題する特開平6-68096号公報(以下,「引用例2」という。)には,不動産に関する種々の要因を指数で表すこと,すなわち評点化することが示されている。
具体的には,引用例2に,
「3 評価の方法
評価すベき物件と比準物件(5〜10件)とを,それぞれの指数値と対比してシステム上で演算し価格を算定する。従って5〜10種の価格が算定される。ここでの比準物件の選定は前項の比準物件抽出基準の項による条件と地図情報による地点登録情報をあわせて用いる。一度評価した物件は評価事例として蓄積され,以降の評価に運用される。
【作用】住宅地,商業地,工業地の用途区分に従って土地価格を構成する諸要素(項目)を,その主たる利用目的のため影響を受ける項目によつて分類し,その効果,効力が価格におよぼす程度によって=利用効力の影響力=指数値を設定します。その指数値は個別要因と地域要因に二分されており,それぞれの要因毎に集計される。その指数値を比準物件の指数値と対比して差異を求め,この差異が価格の差異であるとするものであります。」(公報2頁右欄35〜末行)
と記載され,さらに,公報3頁右欄6及び7行には,「なお以下に表示する指数値は多数の評価事例や経験則によるものであります。具体的な項目および指数値を以下に示します。」として,最寄りの駅までの時間や1区画の平均面積等多数の項目と指数値が示されている。
この引用例2の発明の対象は不動産であり,特に土地についての評価であるが,建物についても当業者であれば容易に類推適用できるものと認められる。
引用例2に記載された発明が「評価すベき物件と比準物件とを,それぞれの指数値と対比してシステム上で演算し価格を算定する。」ことから,本願発明のテーブルに相当するデータ格納部を備えているとみることができ,この技術を引用発明に適用することは当業者であれば容易に想到できたものと認められ,相違点4を格別なものとすることはできない。

オ 相違点5について
(1)式は平均賃料から評点を考慮して標準賃料を求めるものである。
引用発明では,収集した取引事例に事情補正や時点補正行い,種々の要因を比較考量して比準価格を求めていることから,引用発明の比準価格を本願発明の標準賃料とみることができ,引用発明において引用例2に示された指数を考慮して比準価格を求めることは,当業者であれば容易に想到し得たものと認められる。
そしてその際,(1)式の表現を用いることは当業者にとって格別困難を伴うとは認められない。

カ 相違点6について
建物の賃貸において,駅からの徒歩時間,築年数,面積により賃貸料が増減することは社会通念であり,引用発明において収集したデータから目的とする物件の賃料を取得するために,これらの条件である最寄り駅からの徒歩時間,経年及び面積を入力することは当然に必要な事項であり,引用発明をシステム化する際に入力手段は当然に考慮される事項と認められる。
したがって,データ入力手段を備えていることになんら発明としての進歩性は認められない。

キ 相違点7について
相違点4と同様,評点テーブルを参照するすることは,引用例2の記載を参照すれば当業者が容易に想到し得たものと認められる。

ク 相違点8について
(2)式は,標準賃料から対象物の評点を考慮して対象物の基準賃料を求めるものである。
引用発明では,収集した取引事例に事情補正や時点補正を行い,建物に関する個別的要因を含む種々の要因を比較考量して比準価格を求めていることから,引用発明の比準価格を本願発明の対象とする基準賃料とみることもでき,引用発明において引用例2に示された指数を考慮して比準価格を求めることは,当業者であれば容易に想到し得たものと認められる。
そしてその際,(2)式の表現を用いることは当業者にとって格別困難を伴うとは認められない。

以上,相違点1ないし8は当業者が引用発明,引用例2に記載された発明及び社会常識に基づいて容易に推考できる程度の事項であり,相違点を総合的に判断しても格別進歩性は認められない。
効果についても,引用発明から当業者が予測しうる範囲であり,格段顕著な技術的効果も認められない。
したがって,本願補正発明は,当業者が容易に発明できたものであり,特許法29条2項の規定により,特許を受けることができない。

(5)むすび
以上のとおり,本件補正は,平成15年改正前特許法17条の2第5項で準用する同法126条4項の規定に違反するものであり,159条1項で準用する53条1項の規定により却下されるべきものである。

第3 本願発明について
1 平成15年5月13日付の手続補正は上記のとおり却下されたので,本願の請求項1に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,平成14年8月6日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される,以下のとおりのものである。
「【請求項1】 賃料を決めるための各データ項目を格納するデータベース格納部と,
求めようとする市場賃料の条件を前記データベース格納部のデータ項目より選択するための選択手段と,
前記選択手段で選択された条件に合致した最寄り駅に対し平均賃料,平均徒歩時間,平均経年,平均面積を算出する平均値算出手段と,
各駅毎に設けられたテーブルであって,駅からの所定の徒歩時間を評点100とし該所定の徒歩時間を中心に増減させた徒歩時間に対応して増減するように評点を対応づけて表した徒歩評点テーブル,所定の建築年数を評点100とし該所定の建築年数を中心に増減させた建築年数に対応して増減するように評点を対応づけて表した経年評点テーブルおよび対象物の所定の面積を評点100とし該所定の面積を中心に増減させた面積に対応して増減するように評点を対応づけて表した面積評点テーブルを格納する評点テーブル格納部と,
前記各評点テーブルを参照して前記平均徒歩分,平均経年および平均面積の評点を求め,下記(1)式に基づき,標準賃料を算出する標準賃料算出手段と,
から構成されることを特徴とする市場賃料算出システム。
rs =rav×(100/w)×(100/y)×(100/s)……(1)
ただし,rs ;標準賃料
rav;平均賃料
w ;徒歩分評点
y ;経年評点
s ;面積評点」

2 引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例,及びその記載事項は,前記「1.(2)」に記載したとおりである。

3 対比・判断
本願発明は,前記第2で検討した本願補正発明から建物の賃貸に関する限定,及び対象となる基準賃料の算出式の限定を省いたものである。
そうすると,本願発明の構成要件をすべて含み,更に他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が,前記「第2 2(4)」で判断したとおり,引用発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,本願発明も,同様の理由により,引用発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。

4 むすび
以上のとおり,本願発明は,引用例に記載された発明に基づいて,他の引用例及び周知技術を参酌することにより当業者が容易に発明をすることができたもので,特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから,他の請求項について検討するまでもなく,本願は拒絶すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-08-30 
結審通知日 2005-09-06 
審決日 2005-09-20 
出願番号 特願平11-157510
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G06F)
P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 金子 幸一  
特許庁審判長 杉山 務
特許庁審判官 大野 弘
岡本俊威
発明の名称 市場賃料算出システム,市場賃料算出方法および市場賃料算出プログラムを格納した記憶媒体  
代理人 井ノ口 壽  

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