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審決分類 審判 全部申し立て 発明同一  G06F
管理番号 1125790
異議申立番号 異議2002-72256  
総通号数 72 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1996-02-02 
種別 異議の決定 
異議申立日 2002-09-13 
確定日 2005-08-31 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3265845号「画像処理装置の出力制御方法」の請求項1に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3265845号の請求項1に係る特許を維持する。 
理由 1.訂正の適否
1-1 訂正の内容
別紙「訂正の内容」参照。

1-2 訂正の適否
本件訂正の訂正事項a、bは、どちらも「障害に関係していれば退避させ、」を「障害に関連した未処理画情報は退避させ、」に訂正するものであって、本件特許明細書段落【0009】の「出力装置に出力障害が発生すると、当該出力障害に関連した未処理画情報は退避画情報として一時的に退避され、」なる記載に基づくものである。
また、訂正前の「障害に関係していれば退避させ、」は、「(3) 記憶された未処理画情報を前記入力順序にしたがって検索し、(4) 検索された画情報が障害に無関係であれば出力し、障害に関係していれば退避させ、」という文中の記載であって、退避させる対象が障害に関連した未処理画情報であることが明りょうでなかったものであり、本件訂正の目的は明りょうでない記載の釈明に該当し、新規事項の追加に該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。
したがって、本件訂正は、特許法第120条の4第2項及び第3項で準用する第126条第2項及び第3項の規定に適合するので、認める。

2.異議申立てについての判断
2-1 本件発明
上記のとおり、本件訂正は認められるから、本件特許(請求項1に係る特許)の発明(以下、「本件発明」という。)は、訂正された特許明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。

【請求項1】 入力された画情報を一旦蓄積し、その後、出力装置に出力する画像処理装置の出力制御方法であって、
(1) 新規に入力される未処理画情報を、その入力順序で管理して記憶し、
(2) 出力装置の障害を検知し、
(3) 記憶された未処理画情報を前記入力順序にしたがって検索し、
(4) 検索された画情報が障害に無関係であれば出力し、障害に関連した未処理画情報は退避させ、
(5) 前記(2) ないし(4) の手順を繰り返し、
前記障害が復旧すると、前記退避させた画情報を前記未処理画情報に優先して、前記入力順序にしたがって出力することを特徴とする画像処理装置の出力制御方法。

2-2 取消理由通知で引用された先願明細書に記載された発明
取消理由は、異議申立人秋山滋美が提出した甲第1号証である、特願平5-21704号(特開平6-214921号公報)(平成5年1月18日出願、平成6年8月5日出願公開)を特許法第29条の2に規定する「その出願の日前の他の特許出願」として引用し、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができないというものであった。
甲第1号証の特許出願の願書に最初に添付された明細書又は図面(以下、「先願明細書」という。)の図2及び段落【0001】【0280】【0393】の「サーバ装置」、「ホストコンピュータ」、「プリンタ」に関する記載、図32、図34、図41〜図43、図46及び段落【0135】【0284】【0338】【0339】【0343】〜【0360】【0364】の「プリンタのエラー」、「ジョブテーブル」、「ジョブの受付・管理・起動」に関する記載、図41〜図57及び段落【0348】【0368】〜【0380】の「ESTOP(エラーが発生して回復待ち)のジョブ」に関する記載によれば、先願明細書には、次の発明(以下、「先願発明」という。)が記載されていると認められる。

(a)サーバ装置がホストコンピュータから画像を受け取り、蓄積し、プリンタに出力するプリンタの出力制御方法であって、
(b)プリンタのエラー(例えばプリンタが、紙詰まりを起こしたり、紙無しの状態)を検知し、
(c)ジョブテーブルにおいてジョブを受付順で管理し、
(d)ジョブテーブル中のESTOP(エラーが発生して回復待ち)、ID順(ジョブの要求の受付順)等に従って実行可能なジョブの候補を複数選び、
(e)候補に上がったジョブの優先順位をみて実行するジョブを一つに絞り、その一つのジョブについて、起動し、
(g)その一つのジョブの種類がESTOP(エラーが発生して回復待ち)のジョブと同じであれば起動せず、
(f)実行中のジョブについて異常が発生したとき、実行を中断しジョブテーブルのステータスをESTOP(エラーが発生して回復待ち)に、優先順位をLEVEL2に書き換え、
(h)エラーが回復すると実行可能なジョブの候補として選び、
(i)ステータスがESTOP(エラーが発生して回復待ち)のジョブを、エラーが回復した時に優先的に実行するプリンタの出力制御方法。

3.対比・判断
3-1本件発明と先願発明との相当関係
本件発明と先願発明とを対比すると、先願発明の刊行物の「プリンタ」、「サーバ装置」、「(b)プリンタのエラー(例えばプリンタが、紙詰まりを起こしたり、紙無しの状態)を検知し」は、それぞれ、本件発明の「出力装置」、「画像処理装置」、「(2)出力装置の障害を検知し」に相当する。
また、先願発明においてジョブと画像とが関連付けられているはずであるから、先願発明の「(c)ジョブテーブルにおいてジョブを受付順で管理し」は、本件発明の「(1) 新規に入力される未処理画情報を、その入力順序で管理して記憶し」に相当していることは明らかであり、先願発明の「ID順(ジョブの要求の受付順)」は、画像の入力順序でもあるから、先願発明の「(d)ジョブテーブル中のESTOP(エラーが発生して回復待ち)、ID順(ジョブの要求の受付順)等に従って実行可能なジョブの候補を複数選び」は、本件発明の「(3) 記憶された未処理画情報を前記入力順序にしたがって検索し」に相当していることは明らかである。
さらに、「ESTOP(エラーが発生して回復待ち)のジョブ」であれば、実行可能なジョブの候補に上がらず、「候補に上がったジョブ」と関連づけられている画像は障害に無関係であるから、先願発明の「(e)候補に上がったジョブの優先順位を見て実行するジョブを一つに絞り、その1つのジョブについて、起動し」は、本件発明の「(4) 検索された画情報が障害に無関係であれば出力し」に相当していることは明らかである。

3-2一致点・相違点の認定
本件発明と先願発明との一致点及び相違点は次のとおりである。

一致点:
入力された画情報を一旦蓄積し、その後、出力装置に出力する画像処理装置の出力制御方法であって、
(1) 新規に入力される未処理画情報を、その入力順序で管理して記憶し、
(2) 出力装置の障害を検知し、
(3) 記憶された未処理画情報を前記入力順序にしたがって検索し、
(4) 検索された画情報が障害に無関係であれば出力する画像処理装置の出力制御方法である点。

相違点:
本件発明では、(4)障害に関連した未処理画情報は退避させ、(5) 前記(2) ないし(4) の手順を繰り返し、前記障害が復旧すると、前記退避させた画情報を前記未処理画情報に優先して前記入力順序にしたがって出力するのに対して、先願発明では、(g)その一つのジョブの種類がESTOP(エラーが発生して回復待ち)のジョブと同じであれば起動せず、(f)実行中のジョブについて異常が発生したとき、実行を中断しジョブテーブルのステータスをESTOP(エラーが発生して回復待ち)に、優先順位をLEVEL2に書き換え、(h)エラーが回復すると実行可能なジョブの候補として選び、(i)ステータスがESTOP(エラーが発生して回復待ち)のジョブを、エラーが回復した時に優先的に実行するが、障害に関連した未処理画情報は退避させていない点。

3-3相違点の判断
先願発明における、ジョブの種類がESTOPのジョブと同じジョブと関連する画像が、本件発明の「障害に関連した未処理画情報」に相当するが、先願発明ではこの情報は退避されていない。
そして、この相違点によって、本件発明は、用紙切れが発生しても、当該サイズで印字要求(用紙切れを発生した印字要求の後の印字要求)のあった画情報は退避画情報として一時的に退避され、前記退避画情報は用紙切れが解消された時点で優先して印字されるという新たな効果を奏するものであり、この相違点は、課題解決のための具体化手段における微差(周知技術、慣用技術の付加、削除、転換等であって、新たな効果を奏するものではないもの)に該当する証拠もないから、本件発明と先願発明とは、実質的に同一であるとは認められない。

したがって、本件特許の請求項1に係る発明は、本件特許出願当時の周知・慣用技術及び当業者の技術常識を勘案しても、本件特許出願の日前の特許出願であって本件特許出願後に出願公開された特願平5-21704号(特開平6-214921号公報、甲第1号証)の願書に最初に添付された明細書又は図面に記載された発明と同一であるとは認められないから、本件特許の請求項1に係る発明についての特許は、特許法第29条の2の規定に違反してなされたものとすることはできない。

4.結論
以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、本件発明を取り消すことができない。
よって、結論のとおり決定する。
 
別掲 別紙「訂正の内容」

a.特許請求の範囲の請求項1の記載
「【請求項1】 入力された画情報を一旦蓄積し、その後、出力装置に出力する画像処理装置の出力制御方法であって、
(1) 新規に入力される未処理画情報を、その入力順序で管理して記憶し、
(2) 出力装置の障害を検知し、
(3) 記憶された未処理画情報を前記入力順序にしたがって検索し、
(4) 検索された画情報が障害に無関係であれば出力し、障害に関係していれば退避させ、
(5) 前記(2) ないし(4) の手順を繰り返し、
前記障害が復旧すると、前記退避させた画情報を前記未処理画情報に優先して、前記入力順序にしたがって出力することを特徴とする画像処理装置の出力制御方法。」
を、
「【請求項1】 入力された画情報を一旦蓄積し、その後、出力装置に出力する画像処理装置の出力制御方法であって、
(1) 新規に入力される未処理画情報を、その入力順序で管理して記憶し、
(2) 出力装置の障害を検知し、
(3) 記憶された未処理画情報を前記入力順序にしたがって検索し、
(4) 検索された画情報が障害に無関係であれば出力し、障害に関連した未処理画情報は退避させ、
(5) 前記(2) ないし(4) の手順を繰り返し、
前記障害が復旧すると、前記退避させた画情報を前記未処理画情報に優先して、前記入力順序にしたがって出力することを特徴とする画像処理装置の出力制御方法。」
に訂正する。

b.本件特許明細書段落【0008】の記載中、
「障害に関係していれば退避させ、」
を、
「障害に関連した未処理画情報は退避させ、」
に訂正する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
画像処理装置の出力制御方法
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】入力された画情報を一旦蓄積し、その後、出力装置に出力する画像処理装置の出力制御方法であって、
(1)新規に入力される未処理画情報を、その入力順序で管理して記憶し、
(2)出力装置の障害を検知し、
(3)記憶された未処理画情報を前記入力順序にしたがって検索し、
(4)検索された画情報が障害に無関係であれば出力し、障害に関連した未処理画情報は退避させ、
(5)前記(2)ないし(4)の手順を繰り返し、
前記障害が復旧すると、前記退避させた画情報を前記未処理画情報に優先して、前記入力順序にしたがって出力することを特徴とする画像処理装置の出力制御方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、上位装置から転送された画情報を一旦蓄積した後、可視化して出力する画像処理装置の出力制御方法に係り、特に、各画情報に応じたサイズの記録用紙に画情報を印字出力させる画像処理装置の出力制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
いわゆるプリントサーバとして機能する画像処理装置には、プリンタやプロッタといった印字出力装置が接続され、当該画像処理装置は、ネットワークを介して接続された複数の上位装置(例えば、ワークスレーション、CAD、あるいは各種計算機等)から出力要求のあった画情報を一旦蓄積した後、前記プリンタ等へ転送して印字出力させる。
【0003】
前記プリンタ等は複数の用紙トレイを具備したものが多く、各用紙トレイには、異なったサイズの記録用紙や同一サイズで給紙方向を縦横に異ならせた記録用紙が収容されている。各記録用紙は、上位装置から出力要求のあった画情報に応じて自動的に選択される。
【0004】
ところで、このような構成の画像処理装置では、プリンタが紙詰りを起こしたり、印字要求のあった記録用紙が用紙切れを起こした場合のように、不測の事態が発生した場合の対処方法が問題となる。
【0005】
例えば、特開平5-138998号公報では、このような不測の事態が発生すると全ての処理を中断し、当該障害の復旧を待って処理を再開する技術が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記した従来技術では、例えば上位装置AからA3サイズでの印字要求があった後に、今度は上位装置BからA4サイズでの印字要求があった場合、A3サイズが用紙切れを起こすと当該時点で全ての処理が中断し、A3サイズの記録用紙が補充されるまで処理が再開されない。しかしながら、このような場合であってもA4サイズの記録用紙があれば、物理的には、上位装置BからのA4サイズでの印字要求を処理することは可能である。したがって、上位装置Bからの印字要求を先行して処理し、A3サイズの記録用紙が補充された時点で上位装置Aからの印字要求を処理するようにすれば、効率の良いプリント処理が可能になる。
【0007】
本発明の目的は、上記した従来技術の問題点を解決し、上位装置からの一の印字要求に応じられない事態が発生したような場合であっても、他の印字要求に応じることができれば、当該他の印字要求を先行して処理できるようにした画像処理装置の出力制御方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するために、本発明では、入力された画情報を一旦蓄積し、その後、出力装置に出力する画像処理装置の出力制御方法において、(1)新規に入力される未処理画情報を、その入力順序で管理して記憶し、(2)出力装置の障害を検知し、(3)記憶された未処理画情報を前記入力順序にしたがって検索し、(4)検索された画情報が障害に無関係であれば出力し、障害に関連した未処理画情報は退避させ、(5)前記(2)ないし(4)の手順を繰り返し、前記障害が復旧すると、前記退避させた画情報を前記未処理画情報に優先して、前記入力順序にしたがって出力するようにした点に特徴がある。
【0009】
【作用】
上記した構成によれば、出力装置に出力障害が発生していなければ、記憶された未処理画情報が当該入力された順序で出力装置に対して順次出力される。また、出力装置に出力障害が発生すると、当該出力障害に関連した未処理画情報は退避画情報として一時的に退避され、出力されることはないが、当該出力障害に無関係な未処理画情報は先行して出力装置に出力される。また、前記出力障害が解消されると、前記退避された画情報が他の未処理画情報に優先して出力される。
【0010】
【実施例】
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。図1は、本発明が適用される画像処理装置の接続されるネットワークの構成を示した図である。画像処理装置100は、例えばプリントサーバワークステーションであり、相互に独立して動作することの可能な上位装置201〜205と共に、それぞれトランシーバ300〜305を介してネットワーク10に接続されている。画像処理装置100および各上位装置201〜205は、ネットワーク10を介して相互にアクセスすることができる。画像処理装置100には、各上位装置201〜205から転送された画情報を印字出力するための印字装置50が接続されている。
【0011】
図2は、前記画像処理装置100の主要部の構成を示したブロック図であり、前記と同一の符号は同一または同等部分を表している。ROM102には、当該画像処理装置全体を制御するプログラムや各種の制御データが格納されている。スケジューリング処理部105には、後に詳述する画情報の入出力処理を実行するためのプログラムや各種の制御データが格納されている。CPU101は、前記ROM102およびスケジューリング処理部105に格納されたプログラムおよび制御データに従って当該装置の制御を行う。RAM103は、制御プログラムのワークエリヤとして使用される。
【0012】
出力装置監視部104は、印字装置50の状況として、例えば記録用紙の有無をサイズごとに監視し、当該有無情報を記憶する。未処理画情報記憶部108には、各上位装置から送出されて入力された画情報(未処理画情報)が、その入力順序で管理して記憶される。退避画情報記憶部109には、印字装置50における用紙切れ等の出力障害によって印字出力することのできない画情報が退避画情報として一時的に記憶される。
【0013】
当該画像処理装置100は、入力インターフェース106を介して前記ネットワーク10と接続され、外部印字装置50とは出力インターフェース107を介して接続されている。装置内の各部は、システムバス110を介して相互にデータの送受信を行う。
【0014】
以下、フローチャートを用いて本発明を詳細に説明する。図3は、本発明の一実施例である出力制御方法(スケジューリング)を説明するためのフローチャートであり、当該出力制御は、CPU101が前記スケジューリング処理部105に格納されたプログラムおよび制御データに従って周期的に実行する制御である。また、図4ないし図6は、当該制御過程における前記未処理画情報、退避画情報、および出力済画情報の状態を時系列的に表した模式図である。
【0015】
本実施例では、図4(a)に示したように、未処理画情報記憶部108には上位装置から転送された5つの画情報(画情報1〜画情報5)が当該順序(図中、下方から)で予め入力・登録されており、退避画情報記憶部109には画情報が全く登録されていない状態から出力制御が開始されるものとして説明する。
【0016】
ステップS10では、出力装置監視部104が、印字装置50の状況、例えば記録用紙の有無をサイズごとに監視し、当該有無情報を記憶する。ステップS11では、退避画情報記憶部109に退避画情報が登録されているか否かが判断され、ここでは退避画情報が未登録なのでステップS14へ進む。
【0017】
ステップS14では、未処理画情報記憶部108に未処理画情報が記憶されているか否かが判断され、ここでは5つの未処理画情報が登録されているのでステップS15へ進む。ステップS15では、未処理画情報記憶部108の一番目(図中、最下段)に登録されている画情報1の記録用紙(A3サイズ)が印字装置50に存在するか否かが、前記出力装置監視部104を参照することにより判断される。用紙が有ると判断されると、ステップS16では、当該画情報1が未処理画情報記憶部108から読み出される。ステップS17では、当該読み出された画情報1が印字装置50に転送されて印字出力され[図4(b)]、その後、当該処理はステップS10へ戻る。
【0018】
ステップS10では、再び前記出力装置監視部104が印字装置50の状況を監視し、記録用紙に関する前記有無情報を更新する。その後、前記と同様にステップS11の判定が否定となり、ステップS14の判定が肯定となると、ステップS15では、未処理画情報記憶部108の一番目(図中、最下段)に登録されている未処理画情報2の記録用紙(A4サイズ)が印字装置50に存在するか否かが、前記と同様に出力装置監視部104を参照することにより判断される。
【0019】
ここで、A4サイズが用紙切れを起こしていると当該処理はステップS18へ進む。ステップS18では、当該画情報2が未処理画情報記憶部108から読み出される。ステップS19では、当該読み出された画情報2が退避画情報記憶部109に退避画情報として登録され[図4(c)]、その後、当該処理はステップS10へ戻る。
【0020】
ステップS10では、再び出力装置監視部104において記録用紙に関する前記有無情報が更新される。ステップS11では、退避画情報記憶部109に前記退避画情報2が登録されているので、今度は判定が肯定となってステップS12へ進む。ステップS12では、画情報2の記録用紙(A4サイズ)が印字装置50に存在するか否かが、前記と同様に出力装置監視部104を参照することにより判断される。ここで、依然として用紙切れが解消されていなければ当該処理はステップS14へ進み、前記と同様にステップS14〜S17の処理が実行される。すなわち、未処理画情報記憶部108の一番目に登録されている未処理画情報3が印字装置50によって印字出力され[図4(b)]、その後、当該処理は再びステップS10へ戻る。
【0021】
その後、前記と同様の処理が繰り返され、依然としてA4サイズの用紙切れが解消されていなければ、未処理画情報4(A3サイズ)が印字装置50によって印字出力され[図5(e)]、未処理画情報5(A4サイズ)は退避画情報記憶部109の2番目に登録される[図5(f)]。
【0022】
また、画情報5の処理が完了した後にA4サイズの用紙が印字装置50に補充されると、当該処理はステップS10、S11、S12を経てステップS13へ進む。ステップS13では、退避画情報記憶部109の一番目(図中、最下段)に登録されている退避画情報2(A4サイズ)が読み出され、ステップS17において印字出力される。同様に、次に再びステップS13が実行されると、退避画情報5(A4サイズ)が印字出力される[図5(g)]。
【0023】
一方、前記画情報3(A3サイズ)の印字出力(ステップS17)が終了した[図4(d)]後にA4サイズの用紙が補充されると、ステップS10では、その旨の有無情報が出力装置監視部104に記憶される。さらに、ステップS11の判断が肯定となってステップS12へ進むと、退避画情報記憶部109の一番目に登録されている退避画情報2(A4サイズ)の印字出力が可能と判断されてステップS13へ進む。ステップS13では、退避画情報2が退避画情報記憶部109から読み出され、ステップS17において印字装置50により印字出力される[図6(e)]。その後は、未処理画情報記憶部108に登録されている未処理画情報4および画情報5が当該順序でそれぞれ印字出力される[図6(f)および(g)]。
【0024】
なお、上記した実施例では、画情報の用紙サイズがA4およびA3の2種類である場合を例にして説明したが、本発明はこれのみに限定されず、画情報の用紙サイズ(あるいは給紙方向)が3種類以上に及ぶ場合であっても同様である。
【0025】
図7および図8は、画情報の用紙サイズがA4縦、A4横、およびA3の3種類である場合に前記出力制御を実行した際の、前記未処理画情報、退避画情報、および出力済画情報の状態を時系列的に表した模式図である。ここでは、図7(a)に示したように、未処理画情報記憶部108には上位装置から転送された5つの画情報(画情報1〜画情報5)が当該順序で入力・登録されており、退避画情報記憶部109には画情報が全く登録されていないものとして説明する。
【0026】
例えば、出力制御の開始時にA3サイズおよびA4横サイズが共に用紙切れを起こしており、A4縦サイズのみが存在すると、図7(b),(c)に示したように、未処理画情報記憶部108の1番目および2番目に登録されている画情報1(A3サイズ)および画情報2(A4横サイズ)は、印字出力されることなく前記と同様にして退避画情報記憶部109に登録される。また、画情報3(A4縦サイズ)は、用紙が存在するので印字出力される[同図(d)]。
【0027】
また、前記画情報3の印字出力後に、A4横サイズの記録用紙のみが補充されると、退避画情報記憶部109に登録されている退避画情報2が優先的に印字出力[図8(e)]され、次いで、未処理画情報記憶部108の1番目に登録されている画情報4(A4横サイズ)が印字出力[図8(f)]される。
【0028】
さらに、前記画情報4の印字出力後に、A3サイズの記録用紙が補充されると、退避画情報記憶部109に登録されている退避画情報1が優先的に印字出力[図8(g)]され、次いで、未処理画情報記憶部108に残っている最後の画情報5(A3サイズ)が印字出力[図8(h)]される。
【0029】
このように、本実施例によれば、印字要求のあった画情報は、用紙切れ等の障害がなければ当該要求の順序で印字出力され、用紙切れが発生すると、当該サイズで印字要求のあった画情報は退避画情報として一時的に退避され、用紙切れを起こしていないサイズで印字要求のあった他の画情報が先行して印字出力される。また、前記退避画情報は用紙切れが解消された時点で印字される。したがって、無駄な待機時間が発生せず、効率の良い印字処理が可能になる。
【0030】
【発明の効果】
上記したように、本発明によれば、プリンタ等の外部出力装置に対して印字要求のあった画情報は、当該出力装置に障害がなければ当該要求の順序で出力され、障害が発生すると、当該障害に関連した画情報は退避画情報として一時的に退避され、障害に無関係な他の画情報は先行して出力される。そして、退避画情報は障害が解消された時点で出力されるので、無駄な待機時間が発生せず、効率の良い出力処理が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用される画情報処理装置が接続されるネットワークの構成を示した図である。
【図2】本発明が適用される画情報処理の主要部の構成を示したブロック図である。
【図3】本発明の一実施例の動作を示したフローチャートである。
【図4】未処理画情報、退避画情報、および出力済画情報の状態を時系列的に表した模式図である。
【図5】未処理画情報、退避画情報、および出力済画情報の状態を時系列的に表した模式図である。
【図6】未処理画情報、退避画情報、および出力済画情報の状態を時系列的に表した模式図である。
【図7】未処理画情報、退避画情報、および出力済画情報の状態を時系列的に表した模式図である。
【図8】未処理画情報、退避画情報、および出力済画情報の状態を時系列的に表した模式図である。
【符号の説明】
10…ネットワーク、50…印所装置、100…画情報処理装置、101…CPU、102…ROM、103…RAM、104…出力装置監視部、105…スケジューリング処理部、106…入力インターフェース、107…出力インターフェース、108…未処理画情報記憶部、109…退避画情報記憶部、110…システムバス、201〜205…上位装置、300〜305…トランシーバ
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2005-08-15 
出願番号 特願平6-185211
審決分類 P 1 651・ 161- YA (G06F)
最終処分 維持  
特許庁審判長 大日方 和幸
特許庁審判官 竹井 文雄
治田 義孝
登録日 2002-01-11 
登録番号 特許第3265845号(P3265845)
権利者 富士ゼロックス株式会社
発明の名称 画像処理装置の出力制御方法  
代理人 柳澤 正夫  
代理人 柳澤 正夫  

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