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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  G01N
管理番号 1127308
異議申立番号 異議2003-73668  
総通号数 73 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1995-06-06 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-12-26 
確定日 2005-09-28 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3432273号「異物検査装置及び異物検査方法」の請求項1ないし21に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3432273号の請求項1ないし14に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
平成 6年 4月15日 特許出願
平成15年 5月23日 特許権の設定登録
平成15年 8月 4日 特許公報の発行
平成15年12月26日 特許異議申立人佐藤隆由より、請求項1ないし
21に係る発明の特許に対して特許異議の申立て
平成16年 7月21日 取消理由(1)の通知(発送日:平成16年7
月30日)
平成16年 9月28日 特許権者より意見書(1)及び訂正請求書(1
)の提出
平成16年10月27日 訂正拒絶理由の通知(発送日:平成16年11
月5日)
平成16年12月28日 特許権者より意見書(2)及び訂正請求書(2
)の提出
平成17年 1月 6日 平成16年12月28日付け提出の訂正請求書
(2)に係る手続についての却下理由の通知
平成17年 3月 2日 平成16年12月28日付け提出の訂正請求書
(2)に係る手続についての手続却下の決定
平成17年 6月 9日 特許権者より平成16年9月28日付け訂正請
求の取り下げ
平成17年 6月14日 取消理由(2)の通知(発送日:平成17年6
月24日)
平成17年 8月24日 特許権者より意見書(3)及び訂正請求書(3
)の提出

第2 平成17年8月24日提出の訂正請求書(3)についての訂正の適否の判断
1.訂正の内容
特許権者が求めている訂正の内容は、以下のとおりである。
(1)訂正事項a
特許請求の範囲の
「【請求項1】光源と、この光源からの光を前記被検査体表面に対してP偏光に調節して前記被検査体表面にスポット状に集光する集光手段と、この集光手段によって集光されたスポット光を前記被検査体表面に相対的に走査する走査手段と、この走査手段によって走査されたスポット光の照射位置から散乱した光を直接受光する受光手段と、この受光手段による受光強度より前記被検査体表面の異物などの検出を行う検出手段とを具備する異物検査装置において、前記受光手段は前記走査手段によって走査されたスポット光の照射位置を基準にして前記被検査体表面に対して略5度乃至略40度の角度に散乱した光を受光することを特徴とする異物検査装置。
【請求項2】光源と、この光源からの光を前記被検査体表面に対してS偏光に調節して前記被検査体表面にスポット状に集光する集光手段と、この集光手段によって集光されたスポット光を前記被検査体表面に相対的に走査する走査手段と、この走査手段によって走査されたスポット光の照射位置から散乱した光を直接受光する受光手段と、この受光手段による受光強度より前記被検査体表面の異物などの検出を行う検出手段とを具備する異物検査装置において、前記受光手段は前記走査手段によって走査されたスポット光の照射位置を基準にして前記被検査体表面に対して略65度乃至略90度の角度に散乱した光を受光することを特徴とする異物検査装置。
【請求項3】光源と、この光源からの光を前記被検査体表面に対してP偏光に調節して前記被検査体表面にスポット状に集光する集光手段と、この集光手段によって集光されたスポット光を前記被検査体表面に相対的に走査する走査手段と、この走査手段によって走査されたスポット光の照射位置から散乱した光を直接受光する受光手段と、この受光手段による受光強度より前記被検査体表面の異物などの検出を行う検出手段とを具備する異物検査装置において、前記集光手段は前記走査手段によって走査されたスポット光の照射位置を基準にして前記被検査体表面に対して略5度乃至略20度の角度に前記光源から出射した光を集光することを特徴とする異物検査装置。
【請求項4】光源と、この光源からの光を前記被検査体表面に対してS偏光に調節して前記被検査体表面にスポット状に集光する集光手段と、この集光手段によって集光されたスポット光を前記被検査体表面に相対的に走査する走査手段と、この走査手段によって走査されたスポット光の照射位置から散乱した光を直接受光する受光手段と、この受光手段による受光強度より前記被検査体表面の異物などの検出を行う検出手段とを具備する異物検査装置において、前記集光手段は前記走査手段によって走査されたスポット光の照射位置を基準にして前記被検査体表面に対して略5度乃至略20度の角度に前記光源から出射した光を集光することを特徴とする異物検査装置。
【請求項5】被検査体表面の微細な異物を検査する異物検査装置において、光源と、被検査体の種類に応じてこの光源から発せられた光の偏光角を可変させる偏光成分可変手段と、この偏光成分可変手段から出射した光を前記被検査体表面にスポット状に集光する集光手段と、この集光手段によって集光されたスポット光を前記被検査体表面に相対的に走査する走査手段と、この走査手段によって走査されたスポット光の照射位置から散乱した光を直接受光する受光手段と、この受光手段による受光強度より前記被検査体表面の異物などの検出を行う検出手段とを具備したことを特徴とする異物検査装置。
【請求項6】請求項5記載の異物検査装置において、前記集光手段は前記走査手段によって走査されたスポット光の照射位置を基準にして前記被検査体表面に対して略5度乃至略20度の角度に前記偏光可変手段から出射した光を集光することを特徴とする異物検査装置。
【請求項7】請求項5記載の異物検査装置において、前記走査手段によって走査されたスポット光の照射位置を基準にして前記被検査体表面に対して所定の角度に散乱した光を、前記受光手段の移動手段によって移動された前記受光手段が受光することを特徴とする異物検査装置。
【請求項8】光源と、この光源からの光を前記被検査体表面に対してP偏光に調節して前記被検査体表面にスポット状に集光する集光手段と、この集光手段によって集光されたスポット光を前記被検査体表面に相対的に走査する走査手段と、この走査手段によって走査されたスポット光の照射位置から散乱した光を直接受光する受光手段と、この受光手段による受光強度より前記被検査体表面の異物などの検出を行う検出手段とを具備する異物検査装置において、前記走査手段によって走査されたスポット光の照射位置を基準にして前記被検査体表面に対して所定の角度に散乱した光を、前記受光手段の移動手段によって移動された前記受光手段が受光することを特徴とする異物検査装置。
【請求項9】光源と、この光源からの光を前記被検査体表面に対してS偏光に調節して前記被検査体表面にスポット状に集光する集光手段と、この集光手段によって集光されたスポット光を前記被検査体表面に相対的に走査する走査手段と、この走査手段によって走査されたスポット光の照射位置から散乱した光を直接受光する受光手段と、この受光手段による受光強度より前記被検査体表面の異物などの検出を行う検出手段とを具備する異物検査装置において、前記走査手段によって走査されたスポット光の照射位置を基準にして前記被検査体表面に対して所定の角度に散乱した光を、前記受光手段の移動手段によって移動された前記受光手段が受光することを特徴とする異物検査装置。
【請求項10】被検査体表面の微細な異物を検査する異物検査装置において、光源と、この光源から発した光をP偏光成分とS偏光成分とに分離する偏光成分分離手段と、この偏光成分分離手段で分離された光のP偏光成分とS偏光成分とを被検査体表面にスポット状にそれぞれ集光する第1の集光手段及び第2の集光手段と、これら第1の集光手段及び第2の集光手段によって集光された第1のスポット光と第2のスポット光とを前記被検査体表面に相対的に走査する走査手段と、この走査手段によって走査された第1のスポット光と第2のスポット光との照射位置から散乱した光をそれぞれ直接受光する第1の受光手段及び第2の受光手段と、これら第1の受光手段及び第2の受光手段による第1の受光強度と第2の受光強度との選択を行う選択手段と、この選択手段により選択された第1の受光強度もしくは第2の受光強度より前記被検査体表面の異物などの検出を行う検出手段とを具備したことを特徴とする異物検査装置。
【請求項11】請求項10記載の異物検査装置において、前記第1の受光手段は前記走査手段によって走査された第1のスポット光の照射位置を基準にして前記被検査体表面に対して略5度乃至略50度の角度に散乱した光を受光することを特徴とし、且つ前記第2の受光手段は前記走査手段によって走査された第2のスポット光の照射位置を基準にして前記被検査体表面に対して略5度乃至略20度の角度に散乱した光を受光することを特徴とする異物検査装置。
【請求項12】請求項10記載の異物検査装置において、前記第1の集光手段及び前記第2の集光手段は前記走査手段によって走査されたスポット光の照射位置を基準にして前記被検査体表面に対して略5度乃至略20度の角度に前記偏光成分分離手段から出射した光を集光することを特徴とする異物検査装置。
【請求項13】被検査体表面の微細な異物を検査する異物検査方法において、被検査体表面に検査光を照射する投光工程と、前記被検査体の種類に応じてこの検査光の偏光角を可変させる偏光成分可変工程と、この偏光成分可変工程で所定の偏光にされた前記検査光を前記被検査体表面にスポット状に集光する集光工程と、この集光工程で集光されたスポット光を前記被検査体表面に相対的に走査する走査工程と、この走査工程で走査されたスポット光の照射位置から散乱した光を受光手段に直接受光する受光工程と、この受光工程で得られた受光強度より前記被検査体表面の異物などの検出を行う検出工程とを具備したことを特徴とする異物検査方法。
【請求項14】被検査体表面の微細な異物を検査する異物検査方法において、被検査体表面に検査光を照射する投光工程と、この検査光をP偏光成分とS偏光成分とに分離する偏光成分分離工程と、この偏光成分分離工程で分離された光のP偏光成分とS偏光成分とを前記被検査体表面にスポット状にそれぞれ集光する第1の集光工程及び第2の集光工程と、これら第1の集光工程及び第2の集光工程によって集光された第1のスポット光と第2のスポット光とを前記被検査体表面に相対的に走査する走査工程と、この走査工程によって走査された第1のスポット光と第2のスポット光との照射位置から散乱した光をそれぞれ直接受光する第1の受光工程及び第2の受光工程と、これら第1の受光工程及び第2の受光工程による第1の受光強度と第2の受光強度との選択を行う選択工程と、この選択工程により選択された第1の受光強度もしくは第2の受光強度より前記被検査体表面の異物などの検出を行う検出工程とを具備したことを特徴とする異物検査方法。
【請求項15】光源と、この光源から発せられる検査光を被検査体表面に集光する集光手段と、前記検査光の前記被検査体表面における照射位置から散乱した光を受光する受光手段と、この受光手段により得られた受光強度に基づいて前記被検査体表面の異物などの検出を行う検出手段とを備える異物検査装置において、前記被検査体の種類に応じて前記検査光の偏向角を可変させる偏光角可変手段を具備し、前記受光手段は、前記被検査体の表面に対して成す角度を異ならせる少なくとも2つの受光手段を具備し、かつ、前記被検査体の種類に応じて複数の前記受光手段のうちのいずれの前記受光手段を動作させるか制御する制御手段を具備することを特徴とする異物検査装置。
【請求項16】光源と、この光源から発せられる検査光を被検査体表面に集光する集光手段と、前記検査光の前記被検査体表面における照射位置から散乱した光を受光する受光手段と、この受光手段により得られた受光強度に基づいて前記被検査体表面の異物などの検出を行う検出手段とを備える異物検査装置において、前記被検査体の種類に応じて前記検査光の偏向角を可変させる偏光成分可変手段を具備し、かつ、前記受光手段は、前記被検査体の種類に応じて前記被検査体の表面に対して成す角度を移動可能に構成されていることを特徴とする異物検査装置。
【請求項17】前記光源は、アルゴンイオンレーザ発振器を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項11、請求項15、請求項16のいずれか記載の異物検査装置。
【請求項18】前記光源からの光を前記被検査体表面に対してP偏光またはS偏光に調節するための1/2波長板を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項4、請求項8、請求項9のいずれか記載の異物検査装置。
【請求項19】前記受光手段は、ファイバプレートと光電子増倍管から構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5、請求項8、請求項9、請求項15、請求項16のいずれか記載の異物検査装置。
【請求項20】前記走査手段は、前記被検査物を搭載するための載置台と、θテーブルと、Xテーブルとを備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか記載の異物検査装置。
【請求項21】前記被検査体は、鏡面をもつ半導体ウエハまたは酸化膜をもつ半導体ウエハまたは金属膜をもつ半導体ウエハであることを特徴とする請求項1乃至請求項11、請求項15、請求項16のいずれか記載の異物検査装置。」を、
「【請求項1】被検査体表面の微細な異物を検査する異物検査装置において、光源と、被検査体の種類に応じてこの光源から発せられた光の偏光角を可変させる偏光成分可変手段と、この偏光成分可変手段から出射した光を前記被検査体表面にスポット状に集光する集光手段と、この集光手段によって集光されたスポット光を前記被検査体表面に相対的に走査する走査手段と、この走査手段によって走査されたスポット光の照射位置から散乱した光を直接受光する受光手段と、この受光手段による受光強度より前記被検査体表面の異物または傷の検出を行う検出手段とを具備し、前記走査手段によって走査されたスポット光の照射位置を基準にして前記被検査体表面に対して所定の角度に散乱した光を、前記受光手段の移動手段によって移動された前記受光手段が受光することを特徴とする異物検査装置。
【請求項2】光源と、この光源からの光を前記被検査体表面に対してP偏光に調節して前記被検査体表面にスポット状に集光する集光手段と、この集光手段によって集光されたスポット光を前記被検査体表面に相対的に走査する走査手段と、この走査手段によって走査されたスポット光の照射位置から散乱した光を直接受光する受光手段と、この受光手段による受光強度より前記被検査体表面の異物または傷の検出を行う検出手段とを具備する異物検査装置において、前記走査手段によって走査されたスポット光の照射位置を基準にして前記被検査体表面に対して所定の角度に散乱した光を、前記受光手段の移動手段によって移動された前記受光手段が受光することを特徴とする異物検査装置。
【請求項3】光源と、この光源からの光を前記被検査体表面に対してS偏光に調節して前記被検査体表面にスポット状に集光する集光手段と、この集光手段によって集光されたスポット光を前記被検査体表面に相対的に走査する走査手段と、この走査手段によって走査されたスポット光の照射位置から散乱した光を直接受光する受光手段と、この受光手段による受光強度より前記被検査体表面の異物または傷の検出を行う検出手段とを具備する異物検査装置において、前記走査手段によって走査されたスポット光の照射位置を基準にして前記被検査体表面に対して所定の角度に散乱した光を、前記受光手段の移動手段によって移動された前記受光手段が受光することを特徴とする異物検査装置。
【請求項4】被検査体表面の微細な異物を検査する異物検査装置において、光源と、この光源から発した光をP偏光成分とS偏光成分とに分離する偏光成分分離手段と、この偏光成分分離手段で分離された光のP偏光成分とS偏光成分とを被検査体表面にスポット状にそれぞれ集光する第1の集光手段及び第2の集光手段と、これら第1の集光手段及び第2の集光手段によって集光された第1のスポット光と第2のスポット光とを前記被検査体表面に相対的に走査する走査手段と、この走査手段によって走査された第1のスポット光と第2のスポット光との照射位置から散乱した光をそれぞれ直接受光する第1の受光手段及び第2の受光手段と、これら第1の受光手段及び第2の受光手段による第1の受光強度と第2の受光強度との選択を行う選択手段と、この選択手段により選択された第1の受光強度もしくは第2の受光強度より前記被検査体表面の異物または傷の検出を行う検出手段とを具備したことを特徴とする異物検査装置。
【請求項5】請求項4記載の異物検査装置において、前記第1の受光手段は前記走査手段によって走査された第1のスポット光の照射位置を基準にして前記被検査体表面に対して略5度乃至略50度の角度に散乱した光を受光することを特徴とし、且つ前記第2の受光手段は前記走査手段によって走査された第2のスポット光の照射位置を基準にして前記被検査体表面に対して略5度乃至略20度の角度に散乱した光を受光することを特徴とする異物検査装置。
【請求項6】請求項4記載の異物検査装置において、前記第1の集光手段及び前記第2の集光手段は前記走査手段によって走査されたスポット光の照射位置を基準にして前記被検査体表面に対して略5度乃至略20度の角度に前記偏光成分分離手段から出射した光を集光することを特徴とする異物検査装置。
【請求項7】被検査体表面の微細な異物を検査する異物検査方法において、被検査体表面に検査光を照射する投光工程と、この検査光をP偏光成分とS偏光成分とに分離する偏光成分分離工程と、この偏光成分分離工程で分離された光のP偏光成分とS偏光成分とを前記被検査体表面にスポット状にそれぞれ集光する第1の集光工程及び第2の集光工程と、これら第1の集光工程及び第2の集光工程によって集光された第1のスポット光と第2のスポット光とを前記被検査体表面に相対的に走査する走査工程と、この走査工程によって走査された第1のスポット光と第2のスポット光との照射位置から散乱した光をそれぞれ直接受光する第1の受光工程及び第2の受光工程と、これら第1の受光工程及び第2の受光工程による第1の受光強度と第2の受光強度との選択を行う選択工程と、この選択工程により選択された第1の受光強度もしくは第2の受光強度より前記被検査体表面の異物または傷の検出を行う検出工程とを具備したことを特徴とする異物検査方法。
【請求項8】光源と、この光源から発せられる検査光を被検査体表面に集光する集光手段と、前記検査光の前記被検査体表面における照射位置から散乱した光を受光する受光手段と、この受光手段により得られた受光強度に基づいて前記被検査体表面の異物または傷の検出を行う検出手段とを備える異物検査装置において、前記被検査体の種類に応じて前記検査光の偏向角を可変させる偏光角可変手段を具備し、前記受光手段は、前記被検査体の表面に対して成す角度を異ならせる少なくとも2つの受光手段を具備し、かつ、前記被検査体の種類に応じて複数の前記受光手段のうちのいずれの前記受光手段を動作させるか制御する制御手段を具備することを特徴とする異物検査装置。
【請求項9】光源と、この光源から発せられる検査光を被検査体表面に集光する集光手段と、前記検査光の前記被検査体表面における照射位置から散乱した光を受光する受光手段と、この受光手段により得られた受光強度に基づいて前記被検査体表面の異物または傷の検出を行う検出手段とを備える異物検査装置において、前記被検査体の種類に応じて前記検査光の偏向角を可変させる偏光成分可変手段を具備し、かつ、前記受光手段は、前記被検査体の種類に応じて前記被検査体の表面に対して成す角度を移動可能に構成されていることを特徴とする異物検査装置。
【請求項10】前記光源は、アルゴンイオンレーザ発振器を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項5、請求項8、請求項9のいずれか記載の異物検査装置。
【請求項11】前記光源からの光を前記被検査体表面に対してP偏光またはS偏光に調節するための1/2波長板を備えていることを特徴とする請求項2または請求項3記載の異物検査装置。
【請求項12】前記受光手段は、ファイバプレートと光電子増倍管から構成されていることを特徴とする請求項2、請求項3、請求項8、請求項9のいずれか記載の異物検査装置。
【請求項13】前記走査手段は、前記被検査物を搭載するための載置台と、θテーブルと、Xテーブルとを備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか記載の異物検査装置。
【請求項14】前記被検査体は、鏡面をもつ半導体ウエハまたは酸化膜をもつ半導体ウエハまたは金属膜をもつ半導体ウエハであることを特徴とする請求項1乃至請求項5、請求項8、請求項9のいずれか記載の異物検査装置。」と訂正。

(2)訂正事項b
発明の詳細な説明の段落【0022】の「【課題を解決するための手段】本発明は、上記したような技術的課題を解決するためになされたものであり、光源と、この光源からの光を前記被検査体表面に対してP偏光に調節して前記被検査体表面にスポット状に集光する集光手段と、この集光手段によって集光されたスポット光を前記被検査体表面に相対的に走査する走査手段と、この走査手段によって走査されたスポット光の照射位置から散乱した光を直接受光する受光手段と、この受光手段による受光強度より前記被検査体表面の異物などの検出を行う検出手段とを具備する異物検査装置において、前記受光手段は前記走査手段によって走査されたスポット光の照射位置を基準にして前記被検査体表面に対して略5度乃至略40度の角度に散乱した光を受光することを特徴とする異物検査装置である。」を、
「本発明は、上記したような技術的課題を解決するためになされたものであり、被検査体表面の微細な異物を検査する異物検査装置において、光源と、被検査体の種類に応じてこの光源から発せられた光の偏光角を可変させる偏光成分可変手段と、この偏光成分可変手段から出射した光を前記被検査体表面にスポット状に集光する集光手段と、この集光手段によって集光されたスポット光を前記被検査体表面に相対的に走査する走査手段と、この走査手段によって走査されたスポット光の照射位置から散乱した光を直接受光する受光手段と、この受光手段による受光強度より前記被検査体表面の異物または傷の検出を行う検出手段とを具備し、前記走査手段によって走査されたスポット光の照射位置を基準にして前記被検査体表面に対して所定の角度に散乱した光を、前記受光手段の移動手段によって移動された前記受光手段が受光することを特徴とする異物検査装置や、光源と、この光源からの光を前記被検査体表面に対してP偏光に調節して前記被検査体表面にスポット状に集光する集光手段と、この集光手段によって集光されたスポット光を前記被検査体表面に相対的に走査する走査手段と、この走査手段によって走査されたスポット光の照射位置から散乱した光を直接受光する受光手段と、この受光手段による受光強度より前記被検査体表面の異物または傷の検出を行う検出手段とを具備する異物検査装置において、前記走査手段によって走査されたスポット光の照射位置を基準にして前記被検査体表面に対して所定の角度に散乱した光を、前記受光手段の移動手段によって移動された前記受光手段が受光することを特徴とする異物検査装置などである。」と訂正。

(3)訂正事項c
発明の詳細な説明の段落【0023】の
「そして、本発明は光源と、この光源からの光を前記被検査体表面に対してS偏光に調節して前記被検査体表面にスポット状に集光する集光手段と、この集光手段によって集光されたスポット光を前記被検査体表面に相対的に走査する走査手段と、この走査手段によって走査されたスポット光の照射位置から散乱した光を直接受光する受光手段と、この受光手段による受光強度より前記被検査体表面の異物などの検出を行う検出手段とを具備する異物検査装置において、前記受光手段は前記走査手段によって走査されたスポット光の照射位置を基準にして前記被検査体表面に対して略65度乃至略90度の角度に散乱した光を受光することを特徴とする異物検査装置である。」を
「そして、本発明は、光源と、この光源からの光を前記被検査体表面に対してS偏光に調節して前記被検査体表面にスポット状に集光する集光手段と、この集光手段によって集光されたスポット光を前記被検査体表面に相対的に走査する走査手段と、この走査手段によって走査されたスポット光の照射位置から散乱した光を直接受光する受光手段と、この受光手段による受光強度より前記被検査体表面の異物または傷の検出を行う検出手段とを具備する異物検査装置において、前記走査手段によって走査されたスポット光の照射位置を基準にして前記被検査体表面に対して所定の角度に散乱した光を、前記受光手段の移動手段によって移動された前記受光手段が受光することを特徴とする異物検査装置や、被検査体表面の微細な異物を検査する異物検査装置において、光源と、この光源から発した光をP偏光成分とS偏光成分とに分離する偏光成分分離手段と、この偏光成分分離手段で分離された光のP偏光成分とS偏光成分とを被検査体表面にスポット状にそれぞれ集光する第1の集光手段及び第2の集光手段と、これら第1の集光手段及び第2の集光手段によって集光された第1のスポット光と第2のスポット光とを前記被検査体表面に相対的に走査する走査手段と、この走査手段によって走査された第1のスポット光と第2のスポット光との照射位置から散乱した光をそれぞれ直接受光する第1の受光手段及び第2の受光手段と、これら第1の受光手段及び第2の受光手段による第1の受光強度と第2の受光強度との選択を行う選択手段と、この選択手段により選択された第1の受光強度もしくは第2の受光強度より前記被検査体表面の異物または傷の検出を行う検出手段とを具備したことを特徴とする異物検査装置などである。」と訂正。

(4)訂正事項d
発明の詳細な説明の段落【0024】の
「また、本発明は被検査体表面の微細な異物を検査する異物検査装置において、光源と、被検査体の種類に応じてこの光源から発せられた光の偏光角を可変させる偏光成分可変手段と、この偏光成分可変手段から出射した光を前記被検査体表面にスポット状に集光する集光手段と、この集光手段によって集光されたスポット光を前記被検査体表面に相対的に走査する走査手段と、この走査手段によって走査されたスポット光の照射位置から散乱した光を直接受光する受光手段と、この受光手段による受光強度より前記被検査体表面の異物などの検出を行う検出手段とを具備したことを特徴とする異物検査装置である。」を
「また、本発明は、被検査体表面の微細な異物を検査する異物検査方法において、被検査体表面に検査光を照射する投光工程と、この検査光をP偏光成分とS偏光成分とに分離する偏光成分分離工程と、この偏光成分分離工程で分離された光のP偏光成分とS偏光成分とを前記被検査体表面にスポット状にそれぞれ集光する第1の集光工程及び第2の集光工程と、これら第1の集光工程及び第2の集光工程によって集光された第1のスポット光と第2のスポット光とを前記被検査体表面に相対的に走査する走査工程と、この走査工程によって走査された第1のスポット光と第2のスポット光との照射位置から散乱した光をそれぞれ直接受光する第1の受光工程及び第2の受光工程と、これら第1の受光工程及び第2の受光工程による第1の受光強度と第2の受光強度との選択を行う選択工程と、この選択工程により選択された第1の受光強度もしくは第2の受光強度より前記被検査体表面の異物または傷の検出を行う検出工程とを具備したことを特徴とする異物検査方法である。」と訂正。

(5)訂正事項e
発明の詳細な説明の段落【0025】の
「更に、本発明は光源と、この光源から発せられる検査光を被検査体表面に集光する集光手段と、前記検査光の前記被検査体表面における照射位置から散乱した光を受光する受光手段と、この受光手段により得られた受光強度に基づいて前記被検査体表面の異物などの検出を行う検出手段とを備える異物検査装置において、前記被検査体の種類に応じて前記検査光の偏向角を可変させる偏光角可変手段を具備し、前記受光手段は、前記被検査体の表面に対して成す角度を異ならせる少なくとも2つの受光手段を具備し、かつ、前記被検査体の種類に応じて複数の前記受光手段のうちのいずれの前記受光手段を動作させるか制御する制御手段を具備することを特徴とする異物検査装置や、光源と、この光源から発せられる検査光を被検査体表面に集光する集光手段と、前記検査光の前記被検査体表面における照射位置から散乱した光を受光する受光手段と、この受光手段により得られた受光強度に基づいて前記被検査体表面の異物などの検出を行う検出手段とを備える異物検査装置において、前記被検査体の種類に応じて前記検査光の偏向角を可変させる偏光成分可変手段を具備し、かつ、前記受光手段は、前記被検査体の種類に応じて前記被検査体の表面に対して成す角度を移動可能に構成されていることを特徴とする異物検査装置などである。」を、
「更に、本発明は光源と、この光源から発せられる検査光を被検査体表面に集光する集光手段と、前記検査光の前記被検査体表面における照射位置から散乱した光を受光する受光手段と、この受光手段により得られた受光強度に基づいて前記被検査体表面の異物または傷の検出を行う検出手段とを備える異物検査装置において、前記被検査体の種類に応じて前記検査光の偏向角を可変させる偏光角可変手段を具備し、前記受光手段は、前記被検査体の表面に対して成す角度を異ならせる少なくとも2つの受光手段を具備し、かつ、前記被検査体の種類に応じて複数の前記受光手段のうちのいずれの前記受光手段を動作させるか制御する制御手段を具備することを特徴とする異物検査装置や、光源と、この光源から発せられる検査光を被検査体表面に集光する集光手段と、前記検査光の前記被検査体表面における照射位置から散乱した光を受光する受光手段と、この受光手段により得られた受光強度に基づいて前記被検査体表面の異物または傷の検出を行う検出手段とを備える異物検査装置において、前記被検査体の種類に応じて前記検査光の偏向角を可変させる偏光成分可変手段を具備し、かつ、前記受光手段は、前記被検査体の種類に応じて前記被検査体の表面に対して成す角度を移動可能に構成されていることを特徴とする異物検査装置などである。」と訂正。

2.訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の有無
(1)上記訂正事項aは、以下ア〜ウの訂正からなる。
ア.訂正前の請求項1ないし6及び請求項13を削除するとともに、訂正前の請求項7ないし12及び請求項14ないし21を、新たな請求項1ないし6及び請求項7ないし14に繰り上げて記載する。
イ.訂正前の請求項7は、訂正前の請求項5を引用する形式で表現されていたが、上記アのとおり訂正前の請求項5が削除されたために、訂正前の請求項7に訂正前の請求項5に記載されたすべての事項を付加し新たな請求項1として独立形式で表現する。
ウ.訂正前の請求項7が引用する訂正前の請求項5、及び訂正前の請求項8ないし10、及び14ないし16に記載された「異物など」を、それぞれ対応する訂正後の請求項1ないし4及び6ないし8において、「異物または傷」と訂正する。

そして、上記アの訂正は、請求項を削除するものであり特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。また、上記イの訂正は、引用形式で表現されていたものを独立形式で表現するとともにその記載を整合させたものであり、上記ウの訂正は、「など」の範囲を明確にしたものであるから、上記イ及びウの訂正は、ともに明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。そして、上記ア〜ウの訂正は、いずれも願書に添付した明細書及び図面に記載された事項の範囲内のものであるから、新規事項の追加に該当せず、また実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。

(2)上記訂正事項bないしeは、上記訂正事項aにより特許請求の範囲を訂正したことに伴い、発明の詳細な説明の記載の整合を図るものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的としており、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

3.むすび
以上のとおりであるから、平成17年8月24日付けの訂正は、特許法第120条の4第2項及び第3項において準用する同法第126条第2及び3項の規定に適合するので、上記訂正を認める。

第3 特許異議の申立てについての判断
1.申立ての理由の概要
特許異議申立人佐藤隆由は、証拠として

甲第1号証:特開平5-52762号公報
甲第2号証:米国特許第5032734号明細書(1991年)
甲第3号証:特開昭62-11145号公報
甲第4号証:特開昭62-134647号公報
甲第5号証:丸谷洋二著,「目視検査の自動化技術」,日刊工業新聞社昭和62年1月13日発行,8〜9頁及び54〜55頁

を提出し、次の【理由1】及び【理由2】により、請求項1ないし21に係る特許は、特許法第113条第2項の規定により取り消すべきものである旨主張している。

【理由1】
本件特許の請求項1ないし6及び13に係る発明は、甲第1ないし4号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
【理由2】
本件特許の請求項1ないし21に係る発明は、甲第1ないし5号証に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

2.本件発明
上記のとおり、平成17年8月24日付けの訂正が認められるから、本件の請求項1ないし請求項14に係る発明(以下、請求項に対応して「本件発明1」ないし「本件発明14」という。)は、平成17年8月24日に提出した訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし14に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】被検査体表面の微細な異物を検査する異物検査装置において、光源と、被検査体の種類に応じてこの光源から発せられた光の偏光角を可変させる偏光成分可変手段と、この偏光成分可変手段から出射した光を前記被検査体表面にスポット状に集光する集光手段と、この集光手段によって集光されたスポット光を前記被検査体表面に相対的に走査する走査手段と、この走査手段によって走査されたスポット光の照射位置から散乱した光を直接受光する受光手段と、この受光手段による受光強度より前記被検査体表面の異物または傷の検出を行う検出手段とを具備し、前記走査手段によって走査されたスポット光の照射位置を基準にして前記被検査体表面に対して所定の角度に散乱した光を、前記受光手段の移動手段によって移動された前記受光手段が受光することを特徴とする異物検査装置。
【請求項2】光源と、この光源からの光を前記被検査体表面に対してP偏光に調節して前記被検査体表面にスポット状に集光する集光手段と、この集光手段によって集光されたスポット光を前記被検査体表面に相対的に走査する走査手段と、この走査手段によって走査されたスポット光の照射位置から散乱した光を直接受光する受光手段と、この受光手段による受光強度より前記被検査体表面の異物または傷の検出を行う検出手段とを具備する異物検査装置において、前記走査手段によって走査されたスポット光の照射位置を基準にして前記被検査体表面に対して所定の角度に散乱した光を、前記受光手段の移動手段によって移動された前記受光手段が受光することを特徴とする異物検査装置。
【請求項3】光源と、この光源からの光を前記被検査体表面に対してS偏光に調節して前記被検査体表面にスポット状に集光する集光手段と、この集光手段によって集光されたスポット光を前記被検査体表面に相対的に走査する走査手段と、この走査手段によって走査されたスポット光の照射位置から散乱した光を直接受光する受光手段と、この受光手段による受光強度より前記被検査体表面の異物または傷の検出を行う検出手段とを具備する異物検査装置において、前記走査手段によって走査されたスポット光の照射位置を基準にして前記被検査体表面に対して所定の角度に散乱した光を、前記受光手段の移動手段によって移動された前記受光手段が受光することを特徴とする異物検査装置。
【請求項4】被検査体表面の微細な異物を検査する異物検査装置において、光源と、この光源から発した光をP偏光成分とS偏光成分とに分離する偏光成分分離手段と、この偏光成分分離手段で分離された光のP偏光成分とS偏光成分とを被検査体表面にスポット状にそれぞれ集光する第1の集光手段及び第2の集光手段と、これら第1の集光手段及び第2の集光手段によって集光された第1のスポット光と第2のスポット光とを前記被検査体表面に相対的に走査する走査手段と、この走査手段によって走査された第1のスポット光と第2のスポット光との照射位置から散乱した光をそれぞれ直接受光する第1の受光手段及び第2の受光手段と、これら第1の受光手段及び第2の受光手段による第1の受光強度と第2の受光強度との選択を行う選択手段と、この選択手段により選択された第1の受光強度もしくは第2の受光強度より前記被検査体表面の異物または傷の検出を行う検出手段とを具備したことを特徴とする異物検査装置。
【請求項5】請求項4記載の異物検査装置において、前記第1の受光手段は前記走査手段によって走査された第1のスポット光の照射位置を基準にして前記被検査体表面に対して略5度乃至略50度の角度に散乱した光を受光することを特徴とし、且つ前記第2の受光手段は前記走査手段によって走査された第2のスポット光の照射位置を基準にして前記被検査体表面に対して略5度乃至略20度の角度に散乱した光を受光することを特徴とする異物検査装置。
【請求項6】請求項4記載の異物検査装置において、前記第1の集光手段及び前記第2の集光手段は前記走査手段によって走査されたスポット光の照射位置を基準にして前記被検査体表面に対して略5度乃至略20度の角度に前記偏光成分分離手段から出射した光を集光することを特徴とする異物検査装置。
【請求項7】被検査体表面の微細な異物を検査する異物検査方法において、被検査体表面に検査光を照射する投光工程と、この検査光をP偏光成分とS偏光成分とに分離する偏光成分分離工程と、この偏光成分分離工程で分離された光のP偏光成分とS偏光成分とを前記被検査体表面にスポット状にそれぞれ集光する第1の集光工程及び第2の集光工程と、これら第1の集光工程及び第2の集光工程によって集光された第1のスポット光と第2のスポット光とを前記被検査体表面に相対的に走査する走査工程と、この走査工程によって走査された第1のスポット光と第2のスポット光との照射位置から散乱した光をそれぞれ直接受光する第1の受光工程及び第2の受光工程と、これら第1の受光工程及び第2の受光工程による第1の受光強度と第2の受光強度との選択を行う選択工程と、この選択工程により選択された第1の受光強度もしくは第2の受光強度より前記被検査体表面の異物または傷の検出を行う検出工程とを具備したことを特徴とする異物検査方法。
【請求項8】光源と、この光源から発せられる検査光を被検査体表面に集光する集光手段と、前記検査光の前記被検査体表面における照射位置から散乱した光を受光する受光手段と、この受光手段により得られた受光強度に基づいて前記被検査体表面の異物または傷の検出を行う検出手段とを備える異物検査装置において、前記被検査体の種類に応じて前記検査光の偏向角を可変させる偏光角可変手段を具備し、前記受光手段は、前記被検査体の表面に対して成す角度を異ならせる少なくとも2つの受光手段を具備し、かつ、前記被検査体の種類に応じて複数の前記受光手段のうちのいずれの前記受光手段を動作させるか制御する制御手段を具備することを特徴とする異物検査装置。
【請求項9】光源と、この光源から発せられる検査光を被検査体表面に集光する集光手段と、前記検査光の前記被検査体表面における照射位置から散乱した光を受光する受光手段と、この受光手段により得られた受光強度に基づいて前記被検査体表面の異物または傷の検出を行う検出手段とを備える異物検査装置において、前記被検査体の種類に応じて前記検査光の偏向角を可変させる偏光成分可変手段を具備し、かつ、前記受光手段は、前記被検査体の種類に応じて前記被検査体の表面に対して成す角度を移動可能に構成されていることを特徴とする異物検査装置。
【請求項10】前記光源は、アルゴンイオンレーザ発振器を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項5、請求項8、請求項9のいずれか記載の異物検査装置。
【請求項11】前記光源からの光を前記被検査体表面に対してP偏光またはS偏光に調節するための1/2波長板を備えていることを特徴とする請求項2または請求項3記載の異物検査装置。
【請求項12】前記受光手段は、ファイバプレートと光電子増倍管から構成されていることを特徴とする請求項2、請求項3、請求項8、請求項9のいずれか記載の異物検査装置。
【請求項13】前記走査手段は、前記被検査物を搭載するための載置台と、θテーブルと、Xテーブルとを備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか記載の異物検査装置。
【請求項14】前記被検査体は、鏡面をもつ半導体ウエハまたは酸化膜をもつ半導体ウエハまたは金属膜をもつ半導体ウエハであることを特徴とする請求項1乃至請求項5、請求項8、請求項9のいずれか記載の異物検査装置。」

3.刊行物に記載された発明
(1)本件出願前に頒布された刊行物である甲第1号証(特開平5-52762号公報)には、異物検査装置に関し、図面とともに以下の事項が記載されている。
(1a)「【0015】図1に示すように、ガラス板の表面異物検出装置10は、液晶パネルなどの被検査物であるガラス基板1の上部に、半導体レーザ素子によるS偏光のレーザビームTA(s)を発生するレーザ光源41とP偏光のレーザビームTB(p)を発生するレーザ光源42とを有している。光照射制御回路53は、これらレーザ光源41,42を交互に駆動し、ぞれからS偏光のレーザビームTA(s)とP偏光のレーザビームTB(p)を交互に発生させる。光照射制御回路53は、判定処理装置55により制御され、この制御に応じて前記の駆動制御を行うとともに回転ミラー47の回転の制御も行う。なお、P偏光のレーザビームTB(p) は、レーザビームTA(s) に比較してk倍(=2〜4倍)のパワーを有している。
【0016】TA(s),TB(p)の各レーザビームは、それぞれ1個のコリメートレンズ43、回転ミラー44およびレンズ45を経てミラー47に照射される。各レーザビームは、これら光学系によりにより順次に共通にコリメートと角度掃引および集束がなされる。その結果としてガラス基板1の表面(画素等形成面)に光スポットが形成され、それぞれが表面を走査する。集束されたレーザビームTA(s)は、2枚のミラー461,462により方向変換されてガラス基板の表面に対して20°前後の投光角度(仰角)で投射される。レーザビームTA(s)は、ミラー47により方向変換されて70°前後の投光角度(仰角)で投射され、ガラス基板1の表面のレーザビームTA(s) と同一直線上を走査する。このような走査のために、レーザ光源41, 42の交互の駆動の周期と回転ミラー44の回転速度は、光照射制御回路53の制御により同期が採られる。
【0017】この走査により得られるそれぞれのレーザビーム照射時の異物からの散乱光は、ガラス基板1の表面に対して10°前後の受光角度(仰角)をなす受光系5に受光される。そして、そのオプチカルファイバのバンドル51により集光され、集光された光がその光電変換素子52に与えられる。これによりより受光された光は電気信号に変換される。その結果、光電変換素子52から受光量に応じた検出電圧が出力される。この検出電圧を光照射制御回路53のレーザ光源の駆動制御のタイミングに応じて検出電圧RAと検出電圧RBとしてA/D変換回路54がサンプリングする。A/D変換回路54のサンプルタイミングは、光照射制御回路53と同様に判定処理装置55により制御される。」
(1b)「【0023】図3は、各検出電圧が先のような大きさの関係にあることを測定により得たものである。図2において、Psは、ガラス基板1の表面に付着した各種の粒径の標準粒子である。これを複数個付着して表面異物Psとし、ガラス基板1の表裏を反転して先の表面異物をそのまま裏面異物Pbとした。これにより同一の異物が付着した状態にある表面と裏面について検査することができる。ガラス基板1の上側に設けられたレーザ光源41よりS偏光のレーザビームTA(s) をガラス基板1の表面から垂直方向に向かって18°の投光角度(入射角θa は72°)で投射する。また、レーザ光源42よりP偏光のレーザビームTB(p) を表面から垂直方向に向かって70°の投光角度(入射角θb は20°)で投射する。ただし、レーザビームTA(s) とレーザビームTB(p)との出力は、同一になるように調整されている。また、レーザ光源41, 42の半導体レーザ素子は、光照射制御回路53の制御により交互に発振させて駆動される。
【0024】先の10°前後の一例としてガラス基板の表面に対して垂直方向に向かって8°の方向(反射角θr は82°)に受光系5を設ける。レーザビームTA(s) ,TB(p) による表面側あるいは裏面側の異物に対する散乱光の検出電圧(RAs,RAb),(RBs,RBb)とを受光系5から交互に得る。」

(2)本件出願前に頒布された刊行物である甲第2号証(米国特許第5032734号明細書)には、欠陥検査装置に関し、図面とともに以下の事項が記載されている。
(2a)「FIG. 1 and FIG. 1a show a material or test part 10, such as an optic or a semiconductor wafer, having a surface 15 illuminated by a beam 16 of electromagnetic radiation directed at an angle of incidence.(図1と図1aには、表面15を持つ光学素材あるいは半導体ウエハのような素材あるいは試験片10が示されており、この表面15に入射角Aにて電磁放射光のビーム16が照射される。)」(第6欄39〜42行)
(2b)「The polarization for subsurface defect detection is selected for minimum intensity in the reflected beam 22 and maximum intensity in the transmitted beam 24. For all cases, the maximum transmitted intensity is yielded by P polarized light. The P in this case refers to the state where the electric vector 25 of the incident radiation 16 is parallel to the plane of incidence. This insures that the intensity of the transmitted beam 24 is maximized and thus the scatter 18 from the subsurface defects is maximized.
Other polarizations can be used to achieve a variety of results. For instance, if S polarization is used (S in this case refers to the state where the electric vector is perpendicular to the plane of incidence), the reflected intensity is maximized and the transmitted intensity is minimized thus enhancing the surface scatter 17 over the subsurface scatter 18. This polarization is used for the detection of surface defects.
It is possible to combine S and P polarization to get circular polarization. Circular polarization, in this case, refers to the state where the electric vector is uniform in length and rotates about the direction of propagation of the wave in either a clockwise or counterclockwise motion. A circularly polarized beam can be considered half P polarized and half S polarized. A uniformly unpolarized beam would have the same effect. Using such an arrangement for the probe beam would result in both P and S polarized scattered light being sent to the detector. By separating the scattered light into its P and S components and using a separate detector for each, surface and subsurface defects could be measured simultaneously.(表面直下の欠陥検出のための偏光面は、反射ビーム22が最小の強度で、透過ビーム24が最大の強度となるよう選択される。すべての場合において、最大の透過強度は、P偏光によってもたらされる。この場合のPは、入射する電磁放射波16の電界ベクトル25が、入射平面と平行な状態を意味する。これにより、浸透ビーム24の強度が最大となり、表面直下の欠陥からの散乱18が最大となる。 他の偏光面が、各種の結果を得るために使用可能である。例えば、もしS偏光が使用されるなら(この場合のSは、電界ベクトルの方向が入射面に直角である状態を意味する)、反射強度が最大となり、透過強度が最小となるため、表面直下での散乱18よりも、表面上での散乱17を強めることになる。この偏光面により表面上の欠陥検出に利用される。円偏光を得るために、S偏光とP偏光を組み合わせることも可能である。この場合、円偏光とは、電界ベクトルが、均一の大きさであって、波の進行方向に対し時計回りあるいは反時計回りで回転している状態に相当する。円偏光のビームは、半分がS偏光で、半分がP偏光であるとみなすことができる。均一に偏光されていないビームでも同様の効果を有する。ブローブビームのこのような態様を利用すれば、PとS両方の偏光による散乱光が検出器に送られることになる。散乱光をPとSをコンポーネントに分け、それぞれ別の検出器を使用することで、表面上と表面直下の欠陥を同時に評価することができる。) 」(7欄31〜63行)
(2c)「The angle of incidence A can be varied between 0° and 90°. Typically, large angles of incidence provide the best results because the penetrating electromagnetic radiation interacts with the lineated subsurface defects which act like a grating and scatter the light back out through the surface.(入射角Aは、0〜90度とすることができる。典型的には、大きな入射角であれば、表面直下の線状欠陥が、格子のようにふるまい、表面を介して後方に光を散乱するため、この表面直下の線状欠陥と、侵入する電磁放射波とが相互に関連し、最良の結果が得られる。)」(8欄14〜19行)
(2d)「For subsurface measurements the angle of incidence A of the beam 16 should be as close as possible to Brewster's angle (the angle of minimum reflectance at P polarization, sometimes called the polarizing angle) in order to maximize the amount of energy transmitted into the material, and at the same time minimize the energy scattered from the surface. As an example, Brewster's angle for silicon is about 75.degree.. Typically, angles of incidence larger than 55.degree. begin to cause problems because the impact point of the incident beam 16 begins to spread across the surface. The reflectance of P polarized light at a wavelength of 632.8 nanometers and an angle of incidence of 55.degree., is about 15%. This means that 85% of the light penetrates the material.(表面直下の測定においては、材料の内部に侵入するエネルギーの総量を最大にするとともに、表面から散乱されるエネルギーを最小化するために、ビーム16の入射角は可能な限りブリュースタ角(P偏光の反射が最小となる角、偏光角とも呼ばれる)に近くするべきである。例として、シリコンのブリュースタ角は約75°である。典型的には、55°より大きい入射角が問題を発生する。それば、入射ビーム16の照射点が表面を横に広がることになるからである。波長632.8のナノメートルの入射角55°のP偏光では、反射率はおよそ15%である。これは光の85%が、材料に吸収されることを意味する。」(第8欄41〜54行)
(2e)「For the detection of surface defects using S polarization, the angle of incidence A of beam 16 should also be large to maximize the amount of surface scatter and minimize the subsurface scatter. This is necessary because for any given material and a given wavelength of the incident beam polarized S, the greater the angle of incidence, the greater the reflectance. Since there is no "Brewster's angle" for S polarization, the largest angle possible should be selected. As a matter of convenience in the design and construction of equipment, Brewster's angle could be used and the polarization switched from S to P depending on what kind of defects are being measured, surface or subsurface. Again, using circularly polarized, or uniformly unpolarized, light would allow surface and subsurface defects to be measured simultaneously as long as there is a separate detector for each polarization.
The angle D of the detector line of sight 26 should be positioned in the direction opposite the reflected beam 22. The angular difference between A and D should be small, less than 30.degree., for large values of A, and large, greater than 30.degree., for small values of A. (表面欠陥の検出においてS偏光を使うことについは、表面散乱の量を最大にして、表面下の散乱を最小にするために、光線16の入射角Aは大きくなる。所定の材料に所定の波長のS偏光が入射されれば、入射角がより大きいければ、それだけ反射は大きくなる。S偏光には、ブリュスター角はないので、最大入射角が選択可能である。装置の構造やデザインに関連する利便上の問題から、ブリュースタ角が利用でき、表面あるいは表面直下といった欠陥の種類に応じて、SかPかの偏光を切り換えることができる。ここで、円偏光や一律に偏光されていない光を使用すれば、それぞれの偏光毎に分離した検出器により表面と表面直下の欠陥を同時に測定できる。符号26で示す検出ラインの角Dは、反射された光線22とは反対方向に置かれるべきである。 AとD間の角度差は、Aが大きい場合においては、30°よりさらに少なく、Aが小さい場合には、30°より大きくすべきである。)」(第8欄67行〜第9欄20行)
(2f)「The following figures are major embodiments of the present invention. The first is shown schematically in FIG. 3. In this embodiment a source of electromagnetic radiation or laser 32 and the detector 34 are fixed, and the test part 10 is moved in the X and Y directions and rotated about the Z axis. The detector 34 may be a photomultiplier tube or a solid state detector. The various motions of the test part are accomplished with computer controlled, motor driven micropositioning stages 39 and 37 for motion along the X and Y axes respectively and stage 41 for rotation about the Z axis. The three stages are assembled so that the Z axis always intercepts the test surface at the intersection of the X-Y coordinates being measured.(以下の図は本発明の主な実施例である。第1の実施例が、図3で概略的に示される。この実施例で、電磁波源あるいはレーザ32と検出器34が固定されている。そして試験片10は、XとY方向に可動で、Z軸を中心に回転可能である。 検出器34として、フォトマルチプライヤチューブあるいはソリッドステートの検出器が使用できる。試験片の動作は、コンピュータによって制御され、それぞれXとY軸に沿って可動なモータ駆動型微動ステージ37と39とZ軸に関する回転ステージ41とによってなされる。3つのステージは組み立てられ、Z軸と測定されるXY座標との交差点が試験片表面となる。)」(11欄11〜24行)

(3)本件出願前に頒布された刊行物である甲第3号証(特開昭62-11145号公報)には、異物検査装置に関し、図面とともに以下の事項が記載されている。
(3a)「この異物検査装置は、このペリクル10のペリクル膜14の裏面(図中上面)および表面(図中下面)の異物を検出するものである。その検査において、ペリクル10の裏側(図中上面)から、ペリクル膜14に斜め方向より光りビーム(ここではS偏光レーザ光ビーム)を照射するが、16はそのS偏光レーザ光ビームを発するHe-Neレーザ発振器である。このS偏光レーザ光ビームは、ビームエキスパンダ18によりビーム径を拡大された後、ガルバノミラー20に入射する。このガルバノミラー20は、S偏光レーザ光ビームをX方向に振るためのものであり、高速で往復回動駆動される。
ガルバノミラー20により反射されたS偏光レーザ光ビームは、fθレンズ24を経由して光路切替ミラー26に入射する。この光路切替ミラー26は、図示しないソレノイドなどにより、実線で示す角度または鎖線26’で示す角度に回動させられるものである。この光路切替ミラー26が実線の角度に設定された場合、fθレンズ24から入射するS偏光レーザ光ビームは、光路切替ミラー26により固定ミラー30へ向けて反射される。光路切替ミラー26が鎖線26’の角度に設定された場合、S偏光レーザ光ビームは反対側の固定ミラー28へ向けて反射される。固定ミラー28,30に入射しそこで反射されたS偏光レーザ光ビームは、ペリクル膜14の同一点にφの照射角度で入射せしめられる。この実施例においては、照射角度φが約15°ないし20°になるように、固定ミラー28,30の取り付け位置や角度などが決定されている。
ペリクル10の裏側に、シリンドリカルレンズ32と集光用光ファイバ束34が設けられている。ペリクル膜14からの反射光(正反射光を実質的に除外した反射光)は、シリンドリカルレンズ32を介して集光用光ファイバ束34の受光端に入射し、出力端より光電変換素子としてのホトマルチプライヤ36に入射せしめられる。」(3頁左上欄8行〜左下欄5行)

(4)本件出願前に頒布された刊行物である甲第4号証(特開昭62-134647号公報)には、異物検査装置に関し、図面とともに以下の事項が記載されている。
(4a)「1.ペリクルの一方の面側からP偏光レーザ光とS偏光レーザ光とを別々に前記ペリクルに対し浅い入射角度で照射する主光学系と、前記ペリクルの他方の面で異物からの散乱光を検出する主検出系と、この主検出系からP偏光レーザ光照射での散乱光強度とS偏光レーザ光照射での散乱光強度とを取り込み、両散乱光強度を比較し、前記ペリクルへの異物の付着の有無と付着面とを判定する処理系とを備えていることを特徴とする異物検査装置。」(特許請求の範囲の欄)
(4b)「前記主光学系では、第1図に示すように、レーザ発振器30からレーザ光が発振され、そのレーザ光はポッケルズセル等の旋光素子31により偏光レーザ光20とされ、その偏光レーザ光20は光路32に従いビームエキスパンダ33、ガルバノミラー34,フォーカシングレンズ35を経て、ミラー36を第1図に実線で示す位置にセットした時はミラー37a、38aを通って光路40aに従い、ペリクル2上にレーザ光スポット41を照射し、前記ミラー36を第1図に仮想線で示す位置にセットした時はミラー39、37b、38bを通り、光路40bに従い、前記ペリクル2をレーザ光スポット41で照射するようになっている。そして、ガルバノミラー34とフォーカシングレンズ35により、レーザ光スポット41を第1図に矢印42に示すごとく、ペリクル2上をY方向に走査させ、異物付着防止膜を搭載したステージ48をモータ47によりX方向に移動させ、ペリクル2の全面を検査可能としている。前記ミラー36は、ステージ48の移動に合わせて偏光レーザ光20の光路を切り替え、第4図に示すように、光路40aでペリクル2の一半部Aを検査可能とし、光路40bでペリクル2の他半部Bを検査可能としている。さらに、主光学系は第1図、第5図に示すように、ペリクル2に対して偏光レーザ光20を浅い入射角度αで照射するようになっており、その入射角度αは異物付着防止膜の枠1に偏光レーザ光20が遮られない範囲で好ましくは10〜20度に設定されている。
前記主検出系59は、第1図、第5図に示すように、異物6からの散乱光53を異物付着防止膜の外側に設けられた円筒レンズ43、ミラー44を介して光ファイバ45で集光し、光センサ46に導き、同一の異物に対してP偏光レーザ光を照射した時の散乱光強度とS偏光レーザ光を照射した時の散乱光強度とを検出し、その検出結果を処理系に送り込むようになっている。」(3頁左下欄2行〜右下欄17行)
(4c)「そして、第1図に示す旋光素子31により、例えば第6図に示すように、検査領域54がY方向のプラス方向55に向かう時にS偏光に、マイナス方向56に向かう時にP偏光にそれぞれレーザ光20の偏光方向を変化させる。」(5頁左上欄6〜10行)

(5)本件出願前に頒布された刊行物である甲第5号証(丸谷洋二著,「目視検査の自動化技術」,日刊工業新聞社昭和62年1月13日発行,8〜9頁及び54〜55頁)には、図面とともに以下の事項が記載されている。
(5a)「1.4.2 光の散乱
透明媒体に浮かんだ粒子や,きれいに研磨された平面に付着した粒子に平行光を照射すると,光散乱が起こる.散乱現象が起こると入射した方向以外にも光が進行するようになる.これを利用すれば微小粒子の検出が可能となる.どの方向に,どのくらいの強度で散乱するかは,粒子の寸法によって異なる.
粒子の半径aが,光波長λに対してa<0.1λを満たすほど微細な場合,散乱光の照度は容易に計算できる.この状態での散乱をレーリー散乱とよぶ.図1.10のように入射光と散乱光との角をθとする.粒子から距離r離れた点での観測面における光エネルギー密度Eθは,
Eθ=K・(1+cos2θ)/λ4r2 (K:定数) (1.4)
と表わされる.θを0から2πまで変化させてEθをしらべると,図1.11のようなまゆ型の光放射パタンとなることがわかる.
レーリー散乱のときは,入射光の側へも等分の散乱が起こる(これを後方散乱という)が,粒子の径が大きくなると進行方向への散乱成分(前方散乱)が増加してくる.0.1λ<a<10λの領域での散乱をミー散乱と呼ぶ.この領域は簡単には数式で記述できないので,省略する.図1.11を参照していただきたい.」(第9頁第5〜20行)

4.【理由1】特許法第29条第1項第3号違反について
平成17年8月24日付けの訂正が認められ、その結果、訂正前の請求項1ないし6及び13は削除されたので、異議申立人の主張する上記【理由1】については、対応する請求項が存在しないものとなった。

5.【理由2】特許法第29条第2項違反について
(1)本件発明1について
本件発明1と甲第1ないし5号証に記載された発明とを対比する。本件発明1は、「前記走査手段によって走査されたスポット光の照射位置を基準にして前記被検査体表面に対して所定の角度に散乱した光を、前記受光手段の移動手段によって移動された前記受光手段が受光すること」(以下、「発明特定事項A」という。)を発明を特定する事項として備えているが、この発明特定事項Aについては、甲第1ないし5号証に記載も示唆もされておらず、甲第1ないし5号証に記載された発明をいかに組み合わせても上記発明特定事項Aを当業者が容易に想到し得たものであるとすることはできない。
すなわち、甲第1号証では、受光手段である受光系5は移動可能とはなっておらず、甲第1号証には、上記発明特定事項Aが示されていない。
甲第2号証には、受光手段に関連して上記摘記事項(2e)に、入射角Aと検出ラインの角Dとの角度差が、Aが大きい場合に30°よりさらに少なく、Aが小さい場合には30°より大きくすべきである旨記載されているが、甲第2号証に記載された欠陥検査装置では、入射角Aや検出ラインの角Dを変更可能な構成とはなっていないことから、甲第2号証には、上記発明特定事項Aが示されていない。
甲第3号証及び甲第4号証では、ともに被検査対象であるペリクルに対しほぼ鉛直方向に受光手段を配置することが示されているが、この受光手段を移動する構成とはなっておらず、甲第3及び4号証には、上記発明特定事項Aが示されていない。
甲第5号証は、単に粒子における散乱光の分布について記載されているのみで、その散乱光をどのように受光するかについては記載がないことから、甲第5号証には、上記発明特定事項Aが示されていない。
そして、本件発明1は、上記発明特定事項Aを有することにより、明細書記載の作用効果を奏するものである。

なお、この点に関し、異議申立人は「本件発明の特許明細書[0072]項には、2個の検出器54,55を用いずに1個の検出器を設けた場合に移動手段を用いるとあるが、その内容は図示されておらず、単に角度を変更するだけのことである。これは、甲第2号証のカラム9の5行〜15行には、P偏光,S偏光に対応して検出器を分離して使用する記載に従って受光器を分離する場合において2系統になる受光角の場合の設計事項に過ぎない。」(異議申立書32頁9〜14行)と主張している。しかし、甲第2号証(上記摘記事項(2e)参照)には、円偏光や一律に偏光されていない光を照射した場合に、P,S偏光毎に分離した検出器を使用する旨の記載はあるものの、P,S偏光毎に分離した検出器を使用することと受光手段を移動させることの間に、技術的関連性があるとはいえず、甲第2号証の上記記載から上記発明特定事項Aが設計事項であるとする申立人の上記主張は採用することができない。

以上のことから、本件発明1は、甲第1ないし5号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることはできないから、本件発明1についての特許が特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるとすることはできない。

(2)本件発明2について
本件発明2と甲第1ないし5号証に記載された発明とを対比する。本件発明2は、「前記走査手段によって走査されたスポット光の照射位置を基準にして前記被検査体表面に対して所定の角度に散乱した光を、前記受光手段の移動手段によって移動された前記受光手段が受光すること」を発明を特定する事項として備えているが、これは上記発明特定事項Aと同一であるから、上記「(1)本件発明1について」で述べたとおりの理由により、本件発明2は、甲第1ないし5号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることはできないから、本件発明2についての特許が特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるとすることはできない。

(3)本件発明3について
本件発明3と甲第1ないし5号証に記載された発明とを対比する。本件発明3は、「前記走査手段によって走査されたスポット光の照射位置を基準にして前記被検査体表面に対して所定の角度に散乱した光を、前記受光手段の移動手段によって移動された前記受光手段が受光すること」を発明を特定する事項として備えているが、これは上記発明特定事項Aと同一であるから、上記「(1)本件発明1について」で述べたとおりの理由により、本件発明2は、甲第1ないし5号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることはできないから、本件発明3についての特許が特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるとすることはできない。

(4)本件発明4について
本件発明4と甲第1ないし5号証に記載された発明とを対比する。本件発明4は、「偏光成分分離手段で分離された光のP偏光成分とS偏光成分とを被検査体表面にスポット状にそれぞれ集光する第1の集光手段及び第2の集光手段と、これら第1の集光手段及び第2の集光手段によって集光された第1のスポット光と第2のスポット光とを前記被検査体表面に相対的に走査する走査手段と、この走査手段によって走査された第1のスポット光と第2のスポット光との照射位置から散乱した光をそれぞれ直接受光する第1の受光手段及び第2の受光手段と、これら第1の受光手段及び第2の受光手段による第1の受光強度と第2の受光強度との選択を行う選択手段」(以下、「発明特定事項B」という。)を発明を特定する事項として備えている。そして、この選択手段は、被検査体表面にP偏光成分である第1のスポット光とS偏光成分第2のスポット光とを集光し、それぞれのスポット光から散乱した光を受光した第1の受光強度と第2の受光強度との選択を行うものであるが、このような選択手段については、甲第1ないし5号証に記載も示唆もされておらず、甲第1ないし5号証に記載された発明をいかに組み合わせても上記発明特定事項Bを当業者が容易に想到し得たものであるとすることはできない。
すなわち、甲第1号証では、S偏光のレーザビームTA(s)とP偏光のレーザビームTB(p)を交互に発生させ、ガラス基板1の表面の異物からの散乱光を受光系5に受光するものであるから、P偏光成分であるスポット光による散乱光の受光強度とS偏光成分であるスポット光による散乱光の受光強度との選択を行うものではないから、甲第1号証には、上記発明特定事項Bが示されていない。
甲第2号証には、上記摘記事項(2b)及び(2e)に、円偏光等のビームを照射した場合に、P,S偏光毎に分離した検出器を使用する旨のことが記載されているが、この記載において集光されるスポット光は円偏光等の光であって、P偏光成分とS偏光成分という2つのスポット光を集光するものとはなっておらず、また分離した検出器により検出したS偏光とP偏光の受光強度を選択するものではない。よって、甲第2号証には、上記発明特定事項Bが示されていない。
甲第3号証は、S偏光レーザ光ビームをペリクルに照射するものであり、P偏光レーザ光ビームを照射するものでないから、甲第3号証には、上記発明特定事項Bが示されていない。
甲第4号証では、P偏光レーザ光とS偏光レーザ光とを別々にペリクルに照射し、主光学系という単一の受光手段で受光するものであるから、甲第4号証には、上記発明特定事項Bが示されていない。
甲第5号証は、単に粒子における散乱光の分布について記載されているのみで、S偏光成分とP偏光成分とを分離することや、散乱光をどのように受光するかについては記載がないことから、甲第5号証には、上記発明特定事項Bが示されていない。
そして、本件発明4は、上記発明特定事項Bを有することにより、明細書記載の作用効果を奏するものである。

なお、この点に関し、異議申立人は、「S偏光ビームとP偏光ビームの切り替えを行うことなく、照射系と受光系とをそれぞれ分離して別系統にして異物を検出することも極めて容易なことである。」(異議申立書31頁23〜25行)と主張している。しかし、甲第2号証に、円偏光等のビームからの散乱光をS偏光とP偏光の別系統の検出器で検出することについて記載はあるものの、上記したとおり、甲第1ないし5号証には、照射系と受光系とをそれぞれS偏光とP偏光とに分離して異物を検出することについて記載されておらず、また照射系と受光系とをそれぞれS偏光とP偏光とに分離して異物を検出することが周知の技術事項であるともいえないことから、異議申立人の上記主張は採用できない。

以上のことから、本件発明4は、甲第1ないし5号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることはできないから、本件発明4についての特許が特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるとすることはできない。

(5)本件発明5について
本件発明5と甲第1ないし5号証に記載された発明とを対比する。本件発明5は、本件発明4を引用してさらに限定したものであるから、上記「(4)本件発明4について」で述べたのと同様の理由により、本件発明5は、甲第1ないし5号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることはできないから、本件発明5についての特許が特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるとすることはできない。

(6)本件発明6について
本件発明6と甲第1ないし5号証に記載された発明とを対比する。本件発明6は、本件発明4を引用してさらに限定したものであるから、上記「(4)本件発明4について」で述べたのと同様の理由により、本件発明6は、甲第1ないし5号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることはできないから、本件発明6についての特許が特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるとすることはできない。

(7)本件発明7について
本件発明7と甲第1ないし5号証に記載された発明とを対比する。本件発明7は、「偏光成分分離工程で分離された光のP偏光成分とS偏光成分とを前記被検査体表面にスポット状にそれぞれ集光する第1の集光工程及び第2の集光工程と、これら第1の集光工程及び第2の集光工程によって集光された第1のスポット光と第2のスポット光とを前記被検査体表面に相対的に走査する走査工程と、この走査工程によって走査された第1のスポット光と第2のスポット光との照射位置から散乱した光をそれぞれ直接受光する第1の受光工程及び第2の受光工程と、これら第1の受光工程及び第2の受光工程による第1の受光強度と第2の受光強度との選択を行う選択工程」(以下、「発明特定事項C」)を発明を特定する事項として備えているが、この発明特定事項Cは、上記発明特定事項Bと実質的に同一であるから、上記「(4)本件発明4について」で述べたのと同様の理由により、本件発明7は、甲第1ないし5号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることはできないから、本件発明7についての特許が特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるとすることはできない。

(8)本件発明8について
本件発明8と甲第1ないし5号証に記載された発明とを対比する。本件発明8は、「前記受光手段は、前記被検査体の表面に対して成す角度を異ならせる少なくとも2つの受光手段を具備し、かつ、前記被検査体の種類に応じて複数の前記受光手段のうちのいずれの前記受光手段を動作させるか制御する制御手段を具備すること」(以下、「発明特定事項D」という。)を発明を特定する事項として備えているが、この発明特定事項Dについては、甲第1ないし5号証に記載も示唆もされておらず、甲第1ないし5号証に記載された発明をいかに組み合わせても上記発明特定事項Dを当業者が容易に想到し得たものであるとすることはできない。
すなわち、甲第1号証、甲第3号証及び甲第4号証では、単一の受光手段により散乱光を検出する構成となっているから、甲第1号証、甲第3号証及び甲第4号証には、上記発明特定事項Dが示されていない。
甲第2号証には、受光手段に関連して上記摘記事項(2e)に、入射角Aと検出ラインの角Dとの角度差が、Aが大きい場合に30°よりさらに少なく、Aが小さい場合には30°より大きくすべきである旨記載されているが、具体的な検出器の配置については記載されておらず、しかも被検査体の種類に応じて複数の受光手段のうちのいずれの受光手段を動作させるか制御するというものでもない。したがって、甲第2号証には、上記発明特定事項Dが示されていない。
また、甲第5号証は、単に粒子における散乱光の分布について記載されているのみで、その散乱光をどのように受光するかについては記載がないことから、甲第5号証には、上記発明特定事項Dが示されていない。
そして、本件発明8は、上記発明特定事項Dを有することにより、明細書記載の作用効果を奏するものである。
以上のことから、本件発明8は、甲第1ないし5号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることはできないから、本件発明8についての特許が特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるとすることはできない。

(9)本件発明9について
本件発明9は、「前記受光手段は、前記被検査体の種類に応じて前記被検査体の表面に対して成す角度を移動可能に構成されていること」(以下、「発明特定事項E」という。)を発明を特定する事項として備えている。上記「(1)本件発明1について」において述べたとおり、甲第1ないし5号証には、いずれも受光手段を移動させることについて記載されておらず、甲第1ないし5号証に記載された発明をいかに組み合わせても、受光手段の被検査体の表面に対して成す角度を前記被検査体の種類に応じて移動可能とすることを当業者が容易に想到し得たものであるとすることはできない。
そして、本件発明9は、上記発明特定事項Eを有することにより、明細書記載の作用効果を奏するものである。
したがって、本件発明9は、甲第1ないし5号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることはできないから、本件発明9についての特許が特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるとすることはできない。

(10)本件発明10について
本件発明10は、本件発明1ないし5並びに本件発明8及び9を引用してさらに限定したものであるから、上記「(1)本件発明1について」ないし「(5)本件発明5につて」並びに「(8)本件発明8について」及び「(9)本件発明9について」で述べたのと同様の理由により、本件発明10は、甲第1ないし5号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることはできないから、本件発明10についての特許が特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるとすることはできない。

(11)本件発明11について
本件発明11は、本件発明2及び3を引用してさらに限定したものであるから、上記「(2)本件発明2について」及び「(3)本件発明3について」で述べたのと同様の理由により、本件発明11は、甲第1ないし5号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることはできないから、本件発明11についての特許が特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるとすることはできない。

(12)本件発明12について
本件発明12は、本件発明2及び3並びに本件発明8及び9を引用してさらに限定したものであるから、上記「(2)本件発明2について」及び「(3)本件発明3につて」並びに「(8)本件発明8について」及び「(9)本件発明9について」で述べたのと同様の理由により、本件発明12は、甲第1ないし5号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることはできないから、本件発明12についての特許が特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるとすることはできない。

(13)本件発明13について
本件発明13は、本件発明1ないし3を引用してさらに限定したものであるから、上記「(1)本件発明1について」ないし「(3)本件発明3につて」で述べたのと同様の理由により、本件発明13は、甲第1ないし5号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることはできないから、本件発明13についての特許が特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるとすることはできない。

(14)本件発明14について
本件発明14は、本件発明1ないし5並びに本件発明8及び9を引用してさらに限定したものであるから、上記「(1)本件発明1について」ないし「(5)本件発明5について」並びに「(8)本件発明8について」及び「(9)本件発明9について」で述べたのと同様の理由により、本件発明14は、甲第1ないし5号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることはできないから、本件発明14についての特許が特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるとすることはできない。

6.むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、本件発明1ないし14に係る特許を取り消すことができない。
また、他に本件発明1ないし14に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
異物検査装置及び異物検査方法
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】被検査体表面の微細な異物を検査する異物検査装置において、光源と、被検査体の種類に応じてこの光源から発せられた光の偏光角を可変させる偏光成分可変手段と、この偏光成分可変手段から出射した光を前記被検査体表面にスポット状に集光する集光手段と、この集光手段によって集光されたスポット光を前記被検査体表面に相対的に走査する走査手段と、この走査手段によって走査されたスポット光の照射位置から散乱した光を直接受光する受光手段と、この受光手段による受光強度より前記被検査体表面の異物または傷の検出を行う検出手段とを具備し、
前記走査手段によって走査されたスポット光の照射位置を基準にして前記被検査体表面に対して所定の角度に散乱した光を、前記受光手段の移動手段によって移動された前記受光手段が受光することを特徴とする異物検査装置。
【請求項2】光源と、この光源からの光を前記被検査体表面に対してP偏光に調節して前記被検査体表面にスポット状に集光する集光手段と、この集光手段によって集光されたスポット光を前記被検査体表面に相対的に走査する走査手段と、この走査手段によって走査されたスポット光の照射位置から散乱した光を直接受光する受光手段と、この受光手段による受光強度より前記被検査体表面の異物または傷の検出を行う検出手段とを具備する異物検査装置において、
前記走査手段によって走査されたスポット光の照射位置を基準にして前記被検査体表面に対して所定の角度に散乱した光を、前記受光手段の移動手段によって移動された前記受光手段が受光することを特徴とする異物検査装置。
【請求項3】光源と、この光源からの光を前記被検査体表面に対してS偏光に調節して前記被検査体表面にスポット状に集光する集光手段と、この集光手段によって集光されたスポット光を前記被検査体表面に相対的に走査する走査手段と、この走査手段によって走査されたスポット光の照射位置から散乱した光を直接受光する受光手段と、この受光手段による受光強度より前記被検査体表面の異物または傷の検出を行う検出手段とを具備する異物検査装置において、
前記走査手段によって走査されたスポット光の照射位置を基準にして前記被検査体表面に対して所定の角度に散乱した光を、前記受光手段の移動手段によって移動された前記受光手段が受光することを特徴とする異物検査装置。
【請求項4】被検査体表面の微細な異物を検査する異物検査装置において、光源と、この光源から発した光をP偏光成分とS偏光成分とに分離する偏光成分分離手段と、この偏光成分分離手段で分離された光のP偏光成分とS偏光成分とを被検査体表面にスポット状にそれぞれ集光する第1の集光手段及び第2の集光手段と、これら第1の集光手段及び第2の集光手段によって集光された第1のスポット光と第2のスポット光とを前記被検査体表面に相対的に走査する走査手段と、この走査手段によって走査された第1のスポット光と第2のスポット光との照射位置から散乱した光をそれぞれ直接受光する第1の受光手段及び第2の受光手段と、これら第1の受光手段及び第2の受光手段による第1の受光強度と第2の受光強度との選択を行う選択手段と、この選択手段により選択された第1の受光強度もしくは第2の受光強度より前記被検査体表面の異物または傷の検出を行う検出手段とを具備したことを特徴とする異物検査装置。
【請求項5】請求項4記載の異物検査装置において、前記第1の受光手段は前記走査手段によって走査された第1のスポット光の照射位置を基準にして前記被検査体表面に対して略5度乃至略50度の角度に散乱した光を受光することを特徴とし、且つ前記第2の受光手段は前記走査手段によって走査された第2のスポット光の照射位置を基準にして前記被検査体表面に対して略5度乃至略20度の角度に散乱した光を受光することを特徴とする異物検査装置。
【請求項6】請求項4記載の異物検査装置において、前記第1の集光手段及び前記第2の集光手段は前記走査手段によって走査されたスポット光の照射位置を基準にして前記被検査体表面に対して略5度乃至略20度の角度に前記偏光成分分離手段から出射した光を集光することを特徴とする異物検査装置。
【請求項7】被検査体表面の微細な異物を検査する異物検査方法において、被検査体表面に検査光を照射する投光工程と、この検査光をP偏光成分とS偏光成分とに分離する偏光成分分離工程と、この偏光成分分離工程で分離された光のP偏光成分とS偏光成分とを前記被検査体表面にスポット状にそれぞれ集光する第1の集光工程及び第2の集光工程と、これら第1の集光工程及び第2の集光工程によって集光された第1のスポット光と第2のスポット光とを前記被検査体表面に相対的に走査する走査工程と、この走査工程によって走査された第1のスポット光と第2のスポット光との照射位置から散乱した光をそれぞれ直接受光する第1の受光工程及び第2の受光工程と、これら第1の受光工程及び第2の受光工程による第1の受光強度と第2の受光強度との選択を行う選択工程と、この選択工程により選択された第1の受光強度もしくは第2の受光強度より前記被検査体表面の異物または傷の検出を行う検出工程とを具備したことを特徴とする異物検査方法。
【請求項8】光源と、この光源から発せられる検査光を被検査体表面に集光する集光手段と、前記検査光の前記被検査体表面における照射位置から散乱した光を受光する受光手段と、この受光手段により得られた受光強度に基づいて前記被検査体表面の異物または傷の検出を行う検出手段とを備える異物検査装置において、前記被検査体の種類に応じて前記検査光の偏向角を可変させる偏光角可変手段を具備し、前記受光手段は、前記被検査体の表面に対して成す角度を異ならせる少なくとも2つの受光手段を具備し、かつ、前記被検査体の種類に応じて複数の前記受光手段のうちのいずれの前記受光手段を動作させるか制御する制御手段を具備することを特徴とする異物検査装置。
【請求項9】光源と、この光源から発せられる検査光を被検査体表面に集光する集光手段と、前記検査光の前記被検査体表面における照射位置から散乱した光を受光する受光手段と、この受光手段により得られた受光強度に基づいて前記被検査体表面の異物または傷の検出を行う検出手段とを備える異物検査装置において、前記被検査体の種類に応じて前記検査光の偏向角を可変させる偏光成分可変手段を具備し、かつ、前記受光手段は、前記被検査体の種類に応じて前記被検査体の表面に対して成す角度を移動可能に構成されていることを特徴とする異物検査装置。
【請求項10】前記光源は、アルゴンイオンレーザ発振器を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項5、請求項8、請求項9のいずれか記載の異物検査装置。
【請求項11】前記光源からの光を前記被検査体表面に対してP偏光またはS偏光に調節するための1/2波長板を備えていることを特徴とする請求項2または請求項3記載の異物検査装置。
【請求項12】前記受光手段は、ファイバプレートと光電子増倍管から構成されていることを特徴とする請求項2、請求項3、請求項8、請求項9のいずれか記載の異物検査装置。
【請求項13】前記走査手段は、前記被検査物を搭載するための載置台と、θテーブルと、Xテーブルとを備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか記載の異物検査装置。
【請求項14】前記被検査体は、鏡面をもつ半導体ウエハまたは酸化膜をもつ半導体ウエハまたは金属膜をもつ半導体ウエハであることを特徴とする請求項1乃至請求項5、請求項8、請求項9のいずれか記載の異物検査装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は異物検査に係り、特に半導体ウエハ上や液晶基板上の微細な異物の検出を行う異物検査装置及び異物検査方法に関する。
【0002】
【従来の技術】表面検査に用いられる装置にはレ-ザ光を被検査体の表面に照射し、その散乱光を受光して被検査体の表面の形状測定や異物の検査を行うものがある。これらの検査に用いられる技術としてまずフライングスポット法と呼ばれる方法がある。このフライングスポット法は、例えばレ-ザ光源から出力された平行レ-ザ光をレンズ系で絞った後に光走査手段によりその光ビームを被検査体表面に照射して走査し、この被検査体表面からの反射レ-ザ光または透過光を受光検出系により受光して光電変換する。そして光電変換後の電気信号を処理して検査結果を得るものである。
【0003】図19はフライングスポット法を適用した異物検査装置の構成図である(第1の従来例)。載置台1上には半導体ウエハ2が載置されている。一方、レ-ザ発振器3から出力されたレ-ザ光がコリメートレンズ4により平行光に形成されガルバノミラー5へ送られる。このガルバノミラー5は平行光を走査して集光光学系6を通して半導体ウエハ2の表面に所定範囲の角度で照射する。このとき、集光光学系6は平行光をスポット光に成形する。従って半導体ウエハ2にはレーザスポット光が走査される。
【0004】また半導体ウエハ2の上方にはラインセンサ7および各受光素子8・9が配置されている。ラインセンサ7は半導体ウエハ2からの正反射レ-ザ光を受光する位置に配置され、また各受光素子8・9は半導体ウエハ2からの散乱光を受光する位置に配置されている。これらラインセンサ7および各受光素子8・9から出力された電気信号は測定回路10に送られ、この測定回路10は各電気信号から半導体ウエハ2の表面の傷や異物の付着などの有無を判断する。
【0005】次に他の技術として図20に示す検査装置がある(第2の従来例)。XYテーブル11上には半導体ウエハ2が載置されている。そして半導体ウエハ2のわずか上方には容器12が配置されている。この容器12は半円球状に形成され、その内面には複数の受光素子13が設けられている。一方、XYテーブル11の上方にはレ-ザ発振器3が配置されている。このレ-ザ発振器3より出力されたレ-ザ光は集光光学系14、ハーフミラー15および容器12を通って半導体ウエハ2に照射される。
【0006】この場合レ-ザ光は半導体ウエハ2に対して垂直方向に照射される。これにより半導体ウエハ2からの散乱光は各受光素子13により受光される。また半導体ウエハ2からの正反射光はハーフミラー15に到達し、このハーフミラー15で反射して集光光学系16を通って受光素子17で受光される。そして、各受光素子13・17から出力される電気信号は測定回路18に送られ、この測定回路18は各電気信号から半導体ウエハ2の表面の傷や異物の付着などの有無などを判断する。この場合散乱光を受光した受光素子13の位置により半導体ウエハ2の表面の傷や異物の位置が測定される。
【0007】なお、XYテーブル11はXYテーブル制御装置19により制御駆動されてレ-ザ光が半導体ウエハ2上を走査するものとなっている。更に弊社の先願である特開平3-128445号公報の開示技術では図21および図22に示すようになっている(第3の従来例)。図21に示すようにXYθテーブル20上に半導体ウエハ2が載置されている。
【0008】一方レ-ザ発振器3が備えられ、このレ-ザ発振器3から出力されるレ-ザ光の光軸上にはコリメートレンズ4、反射ミラー21が順次配置されている。この反射ミラー21の反射レ-ザ光路上にはガルバノミラー5が配置されている。このガルバノミラー5により走査されたレ-ザ光は集光光学系22を介して半導体ウエハ2の表面上に照射される。この場合、ガルバノミラー5により走査されたレ-ザ光の走査平面は半導体ウエハ2の表面に対して垂直になっている。
【0009】また、この半導体ウエハ2の上方には各ラインセンサ7が配置されている。これらラインセンサ7はレ-ザ光の走査方向に対して平行でかつ図22のようにレ-ザ光の照射位置に対して角度φ1(5°≦φ1≦40°)の角度の散乱光を受光する位置に配置されている。これらのラインセンサ7から出力される電気信号は検出部23に送られている。
【0010】この検出部23は各電気信号を受けてこれらの電気信号から半導体ウエハ2の表面の傷や異物の付着の有無などを判断する機能を有している。ところで、特開昭64-3545号公報の第2頁左上欄第12行目乃至第2頁右上欄第4行目には、所定の平面内において回転されるパターンつきウエハ表面の所定の部位にS(Senkrecht)偏光を照射すると同時に、P(Parallel)偏光を照射しつつ走査し、その反射光に含まれる所定の偏光成分の光量を検出してパターンに付着した異物を検出する技術が開示されている(第5の従来例)。この公開特許公報には、この異物検査装置の図は示されていないが、開示内容から考えると図23に示すような装置になると考えられる。
【0011】加えて、特開昭64-3545号公報や、特開平5-18889号公報に開示されているような、複数の光検出器を備え、各々で検出された光強度の比を求めて異物を検査するという、検査装置もある(第6の従来例)。これらの装置は第5の従来例の欠点を解消するものされている。
【0012】更には、特開昭61-180128号公報や、特開平2-284047号公報には板状物に偏光を照射し、その結果生じた反射光や散乱光を偏光手段により偏光にした後検出して、これらの結果から異物を検査するという検査装置も示されている(第7の従来例)。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】上記したような構成の従来の異物検査装置では、以下に述べるような問題点が発生してくる。まず、近年の開発需要では、より記憶容量の高い半導体や磁性体が求められており、これらの開発製品では非常に細かい傷や異物、例えば0.1μm程度の大きさのものでさえ、製品の品質に支障を来たしてしまう。
【0014】それに対して、上記の第1の従来例および第2の従来例では、鏡面や酸化膜をもつ半導体ウエハ上では0.3μm以上の大きさの傷や異物を検出することしかできない。そして金属膜などの表面被膜をもつ半導体ウエハ上では0.5μm以上の大きさの傷や異物を検出することしかできない。
【0015】即ち上記の第1の従来例および第2の従来例では受光素子8・9・13に入射するごく一部の正反射光と0.1μm程度の大きさの傷や異物との区別が不可能であるので、0.1μm程度の大きさの傷や異物をもノイズとして検出してしまう。
【0016】また第3の従来例については鏡面や酸化膜をもつ半導体ウエハ上では0.1μm程度の大きさの傷や異物を検出できるようになったがランダム偏光を光源に用いているために0.1μm程度の大きさの傷や異物の散乱光だけではなく半導体ウエハ2本体の散乱光をも受光素子8・9・13で検出してしまうため0.1μm以下の大きさの傷や異物の検出が困難であるという欠点がある。そして金属膜などの表面被膜をもつ半導体ウエハ上では、同様にして0.2μm以下の大きさの傷や異物の検出が困難であるという欠点がある。
【0017】しかし、現在開発中の64M DRAM以降の世代の半導体の製造工程では鏡面や酸化膜をもつ半導体ウエハ上では略0.1μm以下の大きさの傷や異物の検出が必要であり、更に金属膜などの表面被膜をもつ半導体ウエハ上では、略0.2μm以下の大きさの傷や異物の検出が必要となっていた。故に、従来の異物検査装置に比べて半導体ウエハ上の傷や異物の検出感度の向上が望まれていた。
【0018】また第5の従来例乃至第7の従来例について言及すると、まず第5の従来例については、表面にパターンが単層状に形成されているウエハのみに限定して検出できるものであるので多層状のパターンには対応できず、また反射光に含まれている所定の偏光成分を抽出する工程を経なければならなかった。
【0019】第6の従来例については、検出器を必ず複数設置しなければならないのに加えてP偏光とS偏光との検出強度の比をとるという処理が必要であったので装置の構成及び信号処理の方法が複雑なものとなっていた。
【0020】第7の従来例については、反射光や散乱光を偏光手段により偏光にした後それぞれの偏光成分について異物を検出しなければならなかったので装置の構成が複雑及び信号処理の方法が複雑なものとなっていた。
【0021】更には、従来の方法では図24に示すように、特定の範囲の粒径の異物(ここでは略0.1μm乃至略0.2μm)に対しては線形特性の良い検出強度曲線が得られるが、それより大きな粒径の異物に対してはこの検出強度曲線の線形特性が悪くなり、散乱光強度から正確な異物の大きさを特定することが困難となっていた。
【0022】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記したような技術的課題を解決するためになされたものであり、被検査体表面の微細な異物を検査する異物検査装置において、光源と、被検査体の種類に応じてこの光源から発せられた光の偏光角を可変させる偏光成分可変手段と、この偏光成分可変手段から出射した光を前記被検査体表面にスポット状に集光する集光手段と、この集光手段によって集光されたスポット光を前記被検査体表面に相対的に走査する走査手段と、この走査手段によって走査されたスポット光の照射位置から散乱した光を直接受光する受光手段と、この受光手段による受光強度より前記被検査体表面の異物または傷の検出を行う検出手段とを具備し、前記走査手段によって走査されたスポット光の照射位置を基準にして前記被検査体表面に対して所定の角度に散乱した光を、前記受光手段の移動手段によって移動された前記受光手段が受光することを特徴とする異物検査装置や、光源と、この光源からの光を前記被検査体表面に対してP偏光に調節して前記被検査体表面にスポット状に集光する集光手段と、この集光手段によって集光されたスポット光を前記被検査体表面に相対的に走査する走査手段と、この走査手段によって走査されたスポット光の照射位置から散乱した光を直接受光する受光手段と、この受光手段による受光強度より前記被検査体表面の異物または傷の検出を行う検出手段とを具備する異物検査装置において、前記走査手段によって走査されたスポット光の照射位置を基準にして前記被検査体表面に対して所定の角度に散乱した光を、前記受光手段の移動手段によって移動された前記受光手段が受光することを特徴とする異物検査装置などである。
【0023】そして、本発明は、光源と、この光源からの光を前記被検査体表面に対してS偏光に 調節して前記被検査体表面にスポット状に集光する集光手段と、この集光手段によって集光されたスポット光を前記被検査体表面に相対的に走査する走査手段と、この走査手段によって走査されたスポット光の照射位置から散乱した光を直接受光する受光手段と、この受光手段による受光強度より前記被検査体表面の異物または傷の検出を行う検出手段とを具備する異物検査装置において、前記走査手段によって走査されたスポット光の照射位置を基準にして前記被検査体表面に対して所定の角度に散乱した光を、前記受光手段の移動手段によって移動された前記受光手段が受光することを特徴とする異物検査装置や、被検査体表面の微細な異物を検査する異物検査装置において、光源と、この光源から発した光をP偏光成分とS偏光成分とに分離する偏光成分分離手段と、この偏光成分分離手段で分離された光のP偏光成分とS偏光成分とを被検査体表面にスポット状にそれぞれ集光する第1の集光手段及び第2の集光手段と、これら第1の集光手段及び第2の集光手段によって集光された第1のスポット光と第2のスポット光とを前記被検査体表面に相対的に走査する走査手段と、この走査手段によって走査された第1のスポット光と第2のスポット光との照射位置から散乱した光をそれぞれ直接受光する第1の受光手段及び第2の受光手段と、これら第1の受光手段及び第2の受光手段による第1の受光強度と第2の受光強度との選択を行う選択手段と、この選択手段により選択された第1の受光強度もしくは第2の受光強度より前記被検査体表面の異物または傷の検出を行う検出手段とを具備したことを特徴とする異物検査装置などである。
【0024】また、本発明は、被検査体表面の微細な異物を検査する異物検査方法において、被検査体表面に検査光を照射する投光工程と、この検査光をP偏光成分とS偏光成分とに分離する偏光成分分離工程と、この偏光成分分離工程で分離された光のP偏光成分とS偏光成分とを前記被検査体表面にスポット状にそれぞれ集光する第1の集光工程及び第2の集光工程と、これら第1の集光工程及び第2の集光工程によって集光された第1のスポット光と第2のスポット光とを前記被検査体表面に相対的に走査する走査工程と、この走査工程によって走査された第1のスポット光と第2のスポット光との照射位置から散乱した光をそれぞれ直接受光する第1の受光工程及び第2の受光工程と、これら第1の受光工程及び第2の受光工程による第1の受光強度と第2の受光強度との選択を行う選択工程と、この選択工程により選択された第1の受光強度もしくは第2の受光強度より前記被検査体表面の異物または傷の検出を行う検出工程とを具備したことを特徴とする異物検査方法である。
【0025】更に、本発明は光源と、この光源から発せられる検査光を被検査体表面に集光する集光手段と、前記検査光の前記被検査体表面における照射位置から散乱した光を受光する受光手段と、この受光手段により得られた受光強度に基づいて前記被検査体表面の異物または傷の検出を行う検出手段とを備える異物検査装置において、前記被検査体の種類に応じて前記検査光の偏向角を可変させる偏光角可変手段を具備し、前記受光手段は、前記被検査体の表面に対して成す角度を異ならせる少なくとも2つの受光手段を具備し、かつ、前記被検査体の種類に応じて複数の前記受光手段のうちのいずれの前記受光手段を動作させるか制御する制御手段を具備することを特徴とする異物検査装置や、光源と、この光源から発せられる検査光を被検査体表面に集光する集光手段と、前記検査光の前記被検査体表面における照射位置から散乱した光を受光する受光手段と、この受光手段により得られた受光強度に基づいて前記被検査体表面の異物または傷の検出を行う検出手段とを備える異物検査装置において、前記被検査体の種類に応じて前記検査光の偏向角を可変させる偏光成分可変手段を具備し、かつ、前記受光手段は、前記被検査体の種類に応じて前記被検査体の表面に対して成す角度を移動可能に構成されていることを特徴とする異物検査装置などである。
【0026】
【作用】本発明の異物検査装置及び異物検査方法は上記した従来例のうち第3の従来例の光源にP偏光やS偏光を用いる簡易な構成や信号処理方法により傷や異物の検出感度を高めることを達成し、鏡面や酸化膜をもつ半導体ウエハ上の0.1μm以下の傷や異物や、金属膜などの表面被膜をもつ半導体ウエハ上の0.2μm以下の大きさの傷や異物を検出できる様にしている。
【0027】また、P偏光とS偏光との切り換えをして、鏡面や酸化膜をもつ半導体ウエハウエハ上の0.1μm以下の大きさの傷や異物の検出はP偏光を用いて行い、傷や異物の検出感度を高めている。金属膜の表面被膜をもつ半導体ウエハ上の0.2μm以下の大きさの傷や異物の検出はS偏光を用いて行い、傷や異物の検出感度を高めている。そして、異物の粒径の範囲によりP偏光による検出データとS偏光による検出データとを選択して採用することにより傷や異物の検出感度を高めている。
【0028】
【実施例】本発明の第1の実施例を図1に示すとともに、以下に本実施例の構成を詳解する。被検査体の半導体ウエハ2は、θテーブル24とXテーブル25とを組み合わせた載置台26の上に載置されている。また光照射系は直線偏光を出力するAr+レ-ザ発振器27(波長:488nm)、1/2波長板28、反射ミラー29、集光レンズ30から構成されている。レ-ザ発振器27から出力した直線偏光の光束は1/2波長板28を通過し反射ミラー29で反射した後、集光レンズ30により半導体ウエハ2上に小さなレ-ザスポット31となるように集光される。1/2波長板28は光軸を中心に回転することによりレ-ザ発振器27で発振したレ-ザ光の偏光方向も回転させる働きがあることを利用して前記レ-ザ光を半導体ウエハ2に対して、P(Parallel)偏光に調節する。なお使用する偏光角が決まっている場合(ここではP偏光)には予め1/2波長板28を、光軸を中心に回転させずに所定角に固定して設けても良い。
【0029】光受光系はファイバプレート32と光電子増倍管33とを組み合わせて構成されている。光受光系は図2に示すようにレ-ザ照射位置に対して角度φ2(ここでφ2は略25°)の位置に配置されている。また、光受光系は異物による側方散乱を測定している。
【0030】光受光系に受光された散乱光は光電子増倍管33で電気信号に変換される。光電子増倍管33から出力されている電気信号は増幅部34により増幅された後、検出部35で演算し、異物や傷の有無やその位置を検出する。半導体ウエハ2はθテーブル24により回転しながらXテーブル25により半導体ウエハ2の直径方向に直線運動する。その結果レ-ザスポット31は、図示しない制御装置により載置台26を制御すると、螺旋状に半導体ウエハ2の全面を走査することとなる。
【0031】レ-ザスポット31が半導体ウエハ2の表面を走査する際、異物や傷がスポット内にある場合は強い散乱光が前記光受光系に検出されるが、異物や傷がスポット内にない場合にも半導体ウエハ2本体の弱い散乱光(ノイズ)が前記光受光系に検出される。ここで前記の強い散乱光により信号成分(S成分)が検出され、前記の弱い散乱光により雑音成分(N成分)が検出される。
【0032】ところで異物や傷による散乱光分布は照射光の偏光方向で異なる。図2に示すレ-ザ照射位置に対する角度φ2を変化させた時の異物や傷による散乱光の強度分布の様子を図3に示す。P偏光の場合には半導体ウエハ2の表面に近接した領域、即ち角度φ2の小さな領域に散乱光の強度分布の極大値が存在する。それに対してS(Senkrecht)偏光の場合には半導体ウエハ2の表面から隔離した領域、即ち角度φ2の大さな領域に散乱光の強度分布の極大値が存在する。その位置が半導体ウエハ2上で異物や傷の存在する場所であると検出される。
【0033】また半導体ウエハ2本体の散乱光は図3に示すようにP偏光、S偏光、ランダム偏光ともに半導体ウエハ2の表面から隔離した領域、即ち角度φ2の大さな領域ほど散乱光の強度が大きくなる。なお光強度の単位は相対的強度を使用するので図3では特に明記しないことにする。図3の結果より前記の強い散乱光による信号成分(S成分)と、前記の弱い散乱光による雑音成分(N成分)との強度比、つまり異物や傷の検出信号のS/Nを求めると、図4のようになる。
【0034】本発明と近い構成の第3の従来例においては、照射光の偏光方向は考慮せず、ランダム偏光を照射していた。ここでランダム偏光の偏光方向は統計的にP偏光とS偏光との偏光方向の略中間即ち略45°方向と考えられる。その結果異物や傷による散乱光の強度分布は、図3に示すようにP偏光とS偏光とのそれぞれの強度分布の平均となりP偏光、S偏光それぞれ単独の場合に比べて急激な変化はしない。要するに散乱光の強度分布の極大部分が突出しないため異物や傷の検出信号のS/Nを高くすることができずそのため検出感度の向上を図ることもできなかった。
【0035】図3および図4に示される結果より半導体ウエハ2本体の弱い散乱光が半導体ウエハ2の表面から隔離した領域、即ち角度φ2の大さな領域ほど散乱光の強度が大きくなる性質があるためにランダム偏光やS偏光を半導体ウエハ2の表面に照射してもそれぞれ散乱光の強度分布の極大部分が半導体ウエハ2の表面から隔離した領域、即ち角度φ2の大さな領域に存在するために異物や傷の検出信号のS/Nを高くすることができないことが分かる。
【0036】それに対してP偏光を半導体ウエハ2の表面に照射して半導体ウエハ2の表面に近接した領域、即ち角度φ2の小さな領域の散乱光を受光して異物や傷のより高い検出信号のS/Nを得ることができるのが分かる。故にこの様な異物検出装置の構成とすると、検出感度を高めて従来より小さい0.1μm以下の傷や異物を検出することが可能となる。なお、本実施例における被検査体の半導体ウエハ2は、鏡面をもっていたり、酸化膜などの表面被膜をもつものが望ましい。
【0037】また、本発明はこの第1の実施例に限定されるものではなく種々の変形が可能である。第2の実施例としては、レ-ザスポット31の走査を第1の実施例のようにθテーブル24で半導体ウエハ2を回転させながらXテーブル25で半導体ウエハ2を移動させることで螺旋状に行っていたが、XYテーブルを用いて半導体ウエハ2をXY方向に走査することが考えられる。
【0038】また第3の実施例としては、第1の実施例では光受光系はファイバプレート32を用いて散乱光の集光を行っているが、ファイバプレート32ではなくてレンズを用いた光学系(図示せず)を設計して散乱光の集光を行うことも考えられる。
【0039】次に本発明の第4の実施例を図5に示すとともに、以下に本実施例の構成を詳解する。本実施例はレーザ照射系36と、制御系37と、走査系38と、検出系39と、信号処理系40とによって構成されている。
【0040】レーザ照射系36は、直線偏光を出力するAr+レーザ発振器41と、ビームエキスパンダ42で拡大され、1/2波長板43を通過し、反射ミラー44と集光レンズ45とによって半導体ウエハ46の表面上に小さなスポットの照射面(以下、レーザスポットと記す)47を形成するように集光される。
【0041】この際、1/2波長板43は制御回路48からの制御信号(第1の信号)により図示しないモータによって回転される。そして、この1/2波長板43の動きによって1/2波長板43を透過するレーザ光の偏光方向を自由に変えることができる。
【0042】制御系37はコンピュータ49と、インタフェース回路50と、制御回路48とによって構成されている。この制御系37は、1/2波長板43を透過するレーザ光の偏光方向を変える信号(第1の信号)と、検出系39において、検出器53と検出器54とを選択する信号(第2の信号)と、走査系38の運動を制御する信号(第3の信号)とを出力する。
【0043】走査系38は、半導体ウエハ46を搭載している載置台51と、θテーブル52と、Xテーブル53とによって構成されている。レーザスポット47は固定されているので、θテーブル52とXテーブル53との動作によって半導体ウエハ46の全面が走査されることとなる。
【0044】具体的には、制御系37からの制御信号(第3の信号)によりθテーブル52は所定の速度で回転運動をし、Xテーブル53は所定のピッチで直線運動をする。これらの組み合わせにより、レーザスポット47が螺旋状に半導体ウエハ46の全面を走査するのである。
【0045】検出系39(第1の実施例における光受光系)は、検出器54と、検出器55とによって構成されている。そして、検出器54はファイバプレート56と、光電子増倍管57とによって構成され、検出器55はファイバプレート58と、光電子増倍管59とによって構成されている。なお、ファイバプレート56・58と、光電子増倍管57・59との動作は第1の実施例と同様である。
【0046】そして図6に示すようにレーザスポット47の照射位置を中心として、検出器54は、半導体ウエハ46の表面に対してφ3が略35°、レーザ入射面に対してθ1が略90°の位置に配置される。ここでレーザ入射面とは、レーザ入射光と、レーザ反射光とによって形成される面に対して垂直な面のことを指す。また検出器55は、半導体ウエハ46の表面に対してφ4が略80°、レーザ入射面に対してθ2が略135°の位置に配置される。
【0047】次に半導体ウエハ46が鏡面をもつ種類か、酸化膜の表面被膜をもつ種類か、金属膜の表面被膜をもつ種類かによって、制御系37が検出系39における検出器54と検出器55とを選択する信号(第2の信号)を出力して検出器54と、検出器55との一方を動作させる。ここで半導体ウエハ46の種類は本発明の異物検査装置において自動的に識別されるかもしくは、予め測定者が入力しておくものとする。
【0048】信号処理系40はハードウエア部と、ソフトウエア部とによって構成されている。ハードウエア部は検出された半導体ウエハ46からの散乱光による信号を、この信号のインタフェース回路50における分解能を上げるために増幅する増幅回路60と、この信号をA/D変換してその結果をコンピュータ49に取り込むためのインタフェース回路50と、コンピュータ49とによって構成されている。ソフトウエア部はコンピュータ49に取り込んだ前記の散乱光による信号(ディジタル値)を演算処理し、異物の有無と、異物の位置と、異物の大きさとを判別するデータ処理プログラムにより構成されている。
【0049】本実施例の作用は次のとおりである。まず、被検査体である半導体ウエハ46の種類(鏡面をもつ半導体ウエハ、酸化膜をもつ半導体ウエハ、金属膜を持つ半導体ウエハ)をコンピュータ49に登録する。そして制御系37はレーザ照射系36と、走査系38と、検出系39とに対して適切な制御信号を送る。図7にその具体的な選択処理の制御の流れを示すが、以下に詳解する。
【0050】まず、レーザ照射系36に対しての制御信号(第1の信号)について説明する。被検査体である半導体ウエハ46の種類が、鏡面をもつ半導体ウエハもしくは酸化膜をもつ半導体ウエハと登録されるとP偏光を選択する第1の信号が制御系37により出力される。そしてこの第1の信号に従って図示しないモータが回転して、1/2波長板43は光軸を中心に所定の角度まで回転する。この回転によって半導体ウエハ46上のレーザスポット47での偏光状態がP偏光となる。
【0051】一方、被検査体である半導体ウエハ46の種類が、金属膜をもつ半導体ウエハと登録されると、S偏光を選択する第1の信号が制御系37により出力される。そしてこの第1の信号に従って図示しないモータが回転して、1/2波長板43は光軸を中心に所定の角度まで回転する。この回転によって半導体ウエハ46上のレーザスポット47での偏光状態がS偏光となる。
【0052】次に、検出系37に対しての制御信号(第2の信号)について説明する。被検査体である半導体ウエハ46の種類が、鏡面をもつ半導体ウエハもしくは酸化膜をもつ半導体ウエハと登録されると検出器54を動作させる第2の制御信号が制御系37により出力される。
【0053】一方、被検査体である半導体ウエハ46の種類が、金属膜をもつ半導体ウエハと登録されると、検出器55を動作させる第2の制御信号が制御系37により出力される。このように半導体ウエハ46の種類別に散乱光による信号を検出する検出器54・55が自動的に切り替えられる。
【0054】偏光状態と、検出器の選択が完了すると、半導体ウエハ46に対するレーザ光の走査と異物の検査とをする。制御系37からの第3の制御信号によりθテーブル52は所定の速度で回転運動を始める。また、θテーブル52が回転し始めるとXテーブル53は所定のピッチで直線運動を始める。この組み合わせにより、レーザスポット47は螺旋状に半導体ウエハ46の表面を走査する。
【0055】この際レーザスポット47の照射面に異物が存在すると、この異物によってレーザ光が強く散乱される。選択された検出器54もしくは検出器55は、この散乱光を検出する。そして、この散乱光による信号はそれぞれ光電子増倍管57もしくは光電子増倍管59で光電変換され、さらに増幅回路60で検出信号が増幅され、インタフェース回路50を経由してコンピュータ49に取り込まれる。
【0056】そして、データ処理プログラムで処理をされ散乱光による信号の強さから異物の大きさを推定し、θテーブル52とXテーブル53との走査位置から異物の存在位置を逆算する。このような走査の繰り返しにより半導体ウエハ46の全面を走査しながら散乱光の検出をして半導体ウエハ46の表面に付着する異物の個数とこれらの位置や大きさなどの情報が得られることとなる。
【0057】最後に、上述した本実施例の作用により、鏡面をもつ半導体ウエハもしくは酸化膜をもつ半導体ウエハにおいての0.1μm以下の異物の検出や、金属膜をもつ半導体ウエハにおいての0.2μm以下の異物の検出が可能であることを具体的なデータをもって説明する。
【0058】まず最初に、S/Nを用いて異物の検出の可否を判断する基準について説明する。レーザスポット47が半導体ウエハ46の表面を走査する際に異物がレーザスポット47の照射面に入っている場合には、この異物からの散乱光による信号が検出される。これを信号成分(S)とする。また、レーザスポット47が半導体ウエハ46の表面を走査する際に異物がレーザスポット47の照射面に入っていない場合には、半導体ウエハ46の表面粗さからの散乱光による信号が検出される。これを雑音成分(N)とする。
【0059】このように検出された信号成分(S)と雑音成分(N)との比、即ちS/Nは本発明の異物検査装置の検出感度を決定する最も重要なパラメータであり、一般的にはJIS規格(JIS B 9924)のパルス実用可測粒径に規定されているS/N≧3という条件が成立することが、異物の検出が可能であるという判断の基準となるのである。
【0060】故に、半導体ウエハ46上の異物を検査する際には、信号成分(S)が大きく、雑音成分(N)が小さくなるように測定を行うことが望ましい。しかし異物からの散乱光による信号成分(S)と半導体ウエハ46の表面粗さからの散乱光による雑音成分(N)との空間分布は、半導体ウエハ46表面の材質や半導体ウエハ46上のレーザスポット47での偏光状態によって大きく異なるために、この二点を考慮しなければ信号成分(S)が大きく、雑音成分(N)が小さくなるように測定を行うことは難しい。
【0061】ここで測定値を示す。図8(a)は鏡面をもつ半導体ウエハ(鏡面ウエハ)にP偏光を照射したときのS/Nと、検出系37が半導体ウエハ46表面に対して成す角度φ3との関係を示すグラフである。半導体ウエハ46表面には直径0.1μm以下の異物が付着しているとする。また図8(b)はS偏光を照射したときのS/Nと、検出系37が半導体ウエハ46表面に対して成す角度φ4との関係を示すグラフである。ここではそれぞれ前記レーザ入射面に対してθは略45°(後方散乱)、θは略90°(側方散乱)、θは略135°(前方散乱)としたときの様子を示している。これらのグラフは半導体ウエハ46上の異物からの散乱光による信号成分(S)と半導体ウエハ46の表面粗さからの散乱光による雑音成分(N)との空間分布状態を示したものとなっている。
【0062】これらの測定値により半導体ウエハ46が鏡面をもつ場合において、半導体ウエハ46上の異物を測定する際のS/Nが3以上の空間分布領域が分かり、この領域内のS/Nのピークを示す位置に検出系37を配置すれば半導体ウエハ46が鏡面をもつ場合にも0.1μm以下の異物の検出を最適な検出感度で行うことができる。
【0063】図8(a)・図8(b)の測定値から、半導体ウエハ46が鏡面をもつ場合においては、P偏光を照射し検出器(即ち検出器54)を半導体ウエハ46の表面に対してφ3を略35°の位置に配置し、前記レーザ入射面に対してθを略90°(θ1となる)の位置に配置すれば最良の感度で異物検出ができることが分かる。
【0064】他の条件の半導体ウエハ46についても上述した測定と同じ測定をする。ここで各々の半導体ウエハ46表面には直径0.2μm以下の異物が付着しているとする。半導体ウエハ46が酸化膜をもつ場合(酸化膜付ウエハ)の測定結果を図9(a)・図9(b)に示し、また半導体ウエハ46が金属膜をもつ場合(金属膜付ウエハ)の測定結果を図10(a)・図10(b)に示す。これらのグラフも半導体ウエハ46上の異物からの散乱光による信号成分(S)と半導体ウエハ46の表面粗さからの散乱光による雑音成分(N)との空間分布状態を示したものとなっている。そしてこれらの結果についても半導体ウエハ46が鏡面をもつ場合と同様の解析をする。
【0065】その結果半導体ウエハ46が酸化膜をもつ場合においては、P偏光を照射し検出器(即ち検出器54)を半導体ウエハ46の表面に対してφ3を略35°の位置に配置し、前記レーザ入射面に対してθは略90°(θ1となる)の位置に配置すれば最良の感度で異物検出ができることが分かる。
【0066】また、半導体ウエハ46が金属膜をもつ場合においては、S偏光を照射し検出器(即ち検出器55)を半導体ウエハ46の表面に対してφ4を略80°の位置に配置し、前記レーザ入射面に対してθは略135°(θ2となる)の位置に配置すれば最良の感度で異物検出ができることが分かる。
【0067】以上の測定結果から、鏡面をもつ半導体ウエハもしくは酸化膜をもつ半導体ウエハを測定する場合にはP偏光を照射し検出器54を用いて検出を行い、金属膜をもつ半導体ウエハを測定する場合にはS偏光を照射し検出器55を用いて検出を行うと良いことが明確であるので、上述した構成により半導体ウエハ46の種類によって自動的に偏光状態と検出器54・55とを選択する様にして半導体ウエハ46の種類によらず最良の感度で異物検出ができるようにした。
【0068】ここで、以上に詳解してきた第4の実施例の変形例としてレーザスポット47の走査を第4の実施例のように、θテーブル52で半導体ウエハ46を回転させながらXテーブル53で半導体ウエハ46を移動させることで螺旋状に行っていたがXYテーブルを用いて半導体ウエハ46をXY方向に走査することも考えられる(第5の実施例)。
【0069】さらに、第4の実施例において検出系39はファイバプレート56・58を用いて散乱光の集光を行っているが、ファイバプレート56・58ではなくてレンズを用いた光学系(図示せず)を用いて散乱光の集光を行うことも考えられる(第6の実施例)。
【0070】ここまでを、まとめると下記の[表1]のようになる。
【0071】
【表1】

【0072】ところで、第4の実施例、第5の実施例、第6の実施例においては、検出系39は二個の検出器54・55を用いずに一個の検出器を図示しない移動手段によって、測定対象である半導体ウエハの種類に応じてφ方向やθ方向などの位置を移動させて使用しても差支えない。そして、半導体ウエハ46の種類に対応してφとθとを適切な角度に設定した複数個の検出器を用いても良いし、図示しない移動手段によって、複数個の検出器について、測定対象である半導体ウエハの種類に応じてφとθとが可変であるようにしても良い。即ち、φとθとは上記の数値に限定されるものではない。なぜならば上記の実施例では鏡面をもつ半導体ウエハもしくは酸化膜をもつ半導体ウエハを測定する場合には側方散乱光を用い、金属膜をもつ半導体ウエハ測定する場合には前方散乱光を用いているが、他の種類の半導体ウエハに対する測定には測定用の散乱光の種類(前方散乱光、側方散乱光、後方散乱光)を変える場面も考えられるからである。
【0073】更にφやθだけでなく、偏光はP偏光とS偏光とに限定されることはない。他の種類の半導体ウエハに対する測定には偏光の偏光角を変えることも考えられる。要するに本発明の異物検出装置によれば半導体ウエハが、鏡面をもつ半導体ウエハもしくは酸化膜をもつ場合や金属膜をもつ場合に限らず、様々な種類の半導体ウエハの測定ができるのである。
【0074】さて次に、半導体ウエハに対する照射光の入射角について本発明の第7の実施例を例にして述べる。まず、本発明の第7の実施例の概略構成図を図11に示すとともに、以下に本実施例の構成を詳解する。本実施例はレーザ照射系61と、走査系62と、検出系63と、信号処理系64とによって構成されている。
【0075】レーザ照射系61は直線偏光を出力するレーザ発振器65と、ビームエキスパンダ66と、偏光ビームスプリッタ(Polarizing Beam Splitter:以下では、PBSと記す)67と、反射ミラー68と、集光レンズ69とによって構成されている。
【0076】ここでレーザ発振器65から出射した光束はビームエキスパンダ66で拡大され、PBS67でP偏光とS偏光とに分離される。P偏光とS偏光との双方は反射ミラー68…と集光レンズ69・69とによって半導体ウエハ70の表面上にレーザスポット71・72としてそれぞれ集光される。
【0077】図12及び図13に示すとおり、P偏光の光束とS偏光光束との双方は共に半導体ウエハ70の表面に対して角度φ5が略5°乃至略20°の角度で入射されるようにレーザ照射系61を設定する。この際P偏光の光束とS偏光光束との双方は、検出時に影響を及ぼさないために、シャッタ73によってお互いに遮断されている。
【0078】走査系62は半導体ウエハ70を載置している載置台74と、θテーブル75と、Xテーブル76とによって構成されている。P偏光の光束とS偏光光束とによる双方のレーザスポット71・72は固定されているのでθテーブル75とXテーブル76との動作によって半導体ウエハ70の全面が走査されることとなる。つまりθテーブル75が所定の速度で回転し、更にXテーブル76が所定のピッチで直線運動することによって半導体ウエハ70の全面が螺旋状に走査されるのである。なお、シャッタ73は半導体ウエハ70の走査の際にも検出器77と検出器78との間に位置するものとなっている。
【0079】検出系63は検出器(第1の検出器)77と検出器(第2の検出器)78とから構成される。各検出器77・78はファイバプレート79・80によって半導体ウエハ74から発生する散乱光を集光し、光電子増倍管81・82によってこの散乱光を検出する。なお、ここでは検出器77はレーザスポット71からの散乱光を検出するように配置されており、検出器78はレーザスポット72からの散乱光を検出するように配置されている。
【0080】図12に示すとおり検出器77は、P偏光の光束によるレーザスポット71を中心に半導体ウエハ70の表面に対してφ6が略10°乃至略50°の角度で配置され、P偏光の光束によるレーザ入射面に対してはθ3が略70°乃至略110°の角度で配置されている。
【0081】一方、図13に示すとおりS偏光の光束によるレーザスポット72を中心に半導体ウエハ70の表面に対してφ7が略10°乃至略20°の角度で配置され、S偏光の光束によるレーザ入射面に対してはθ4が略115°乃至略155°の角度で配置されている。
【0082】信号処理系64はハードウエア部とソフトウエア部とによって構成されている。ハードウエア部は検出された半導体ウエハ70からの散乱光による信号を、この信号のインタフェース回路84における分解能を上げるために増幅する増幅回路83と、この信号をA/D変換してその結果をコンピュータ85に取り込むためのインタフェース回路84と、コンピュータ85とによって構成されている。ソフトウエア部はコンピュータ85に取り込んだ前記の散乱光による信号(ディジタル値)を演算処理し、異物の有無と、異物の位置と、異物の大きさとを判別するデータ処理プログラムにより構成されている。なお、このコンピュータ85は図示しない制御手段によって走査系62の制御も行っている。
【0083】本実施例の作用は次のとおりである。まず、レーザ発振器65から出射したレーザ光はPBS67によりP偏光の光束とS偏光の光束とに分けられ、反射ミラー68…と集光レンズ69・69とによって被検査体である半導体ウエハ70表面に対して角度φ5が略5°乃至略20°の角度で入射され、レーザスポット71・72を形成する。
【0084】ここでφ5が略5°乃至略20°の角度となる理由は、異物の存在しない半導体ウエハ70の表面からも、半導体ウエハ70の表面に生じている微小な粗さ(表面粗さ)によって散乱光が生じてしまうためである。これが雑音成分(ノイズ)として検出される。この雑音成分を少なく押さえてS/Nを向上させるには、レーザ光の入射角φ5が大きい(半導体ウエハ70の表面に対して60°乃至80°くらい)よりもレーザ光の入射角φ5が小さい(半導体ウエハ70の表面に対して5°乃至20°くらい)のほうが良くなるためである。模式図を図14に示す。
【0085】一方、半導体ウエハ70は載置台74の上に載置されており、θテーブル75が所定の速度で回転し、更にXテーブル76が所定のピッチで直線運動することによって半導体ウエハ70の全面をレーザスポット71・72が半導体ウエハ70の表面を螺旋状に走査される。
【0086】この際レーザスポット71・72の照射面に異物が存在すると、この異物によってレーザ光が強く散乱される。検出器77によりP偏光の光束によるレーザスポット71内で発生した散乱光は検出され、検出器78によりS偏光の光束によるレーザスポット72内で発生した散乱光は検出される。
【0087】このようにして検出された散乱光による信号は、それぞれ光電子増倍管81・82で光電変換され、さらに増幅回路83で検出信号が増幅され、インタフェース回路84を経由してコンピュータ85に取り込まれる。
【0088】そして、データ処理プログラムで処理をされ散乱光による信号の強さから異物の大きさを推定し、θテーブル75とXテーブル76との走査位置から異物の存在位置を逆算する。このような走査の繰り返しにより半導体ウエハ70の全面を走査しながら散乱光の検出をして半導体ウエハ70の表面に付着する異物の個数とこれらの位置や大きさなどの情報が得られることとなる。
【0089】このとき、半導体ウエハ70の表面に形成された金属膜の厚さが、略400nmのときには、半導体ウエハ70の表面に付着する異物の直径が略0.2μm未満の異物は検出器77からの信号によって特定される。また、この場合の直径が略0.2μm以上の異物は検出器78からの信号によって特定される。
【0090】加えて、半導体ウエハ70の表面が鏡面であったり、半導体ウエハ70の表面に酸化膜が形成されている場合には半導体ウエハ70の表面に付着する異物の直径が略0.1μm未満の異物は検出器77からの信号によって特定される。また、この場合の直径が略0.1μm以上の異物は検出器78からの信号によって特定される。金属膜の方が表面粗さが大きいので雑音成分も大きくS/Nが低くなる。よって検出可能異物の直径も大きくなってしまう。
【0091】ここで、半導体ウエハ70の表面に付着する異物の大きさによって異なる偏光角のレーザ光を用いる理由を図15及び図16を用いて説明する。図15は被検査物表面にレーザを入射させる時の被検査物の表面上の空間における光の干渉現象を示している。入射光は被検査物表面で反射されるが、このとき入射光と反射光とは干渉し、図16に示す干渉領域内(網かけ部)では、干渉波(干渉光)は定在波となっており、この定在波領域内に異物が存在すると、この異物によって定在波の光は散乱される。散乱光強度は定在波の光強度に比例するので、定在波の光強度の大きい方が散乱光を検出しやすい。
【0092】しかし、定在波の光強度(定在波強度)は、被検査物表面からの高さ(Z方向の距離)によって図15に示すように周期的に変化する。この光強度の変化を拡大して図15に表面が鏡面を持つ半導体ウエハ(Siウエハ)にAr+レーザ(波長:488nm)を照射した場合を例にして示す。この図16から、被検査物表面から略0.2μmまでの高さの領域では、P偏光の入射による定在波強度が強く、略0.2μmより大きい高さの領域では、S偏光の入射による定在波強度が強いことが分かる。
【0093】この結果から、鏡面を持つSiウエハにおいては、このウエハの表面に付着する異物の直径が略0.2μm未満の異物はP偏光による散乱光の信号によって特定される。また、この場合の直径が略0.2μm以上の異物はS偏光による散乱光の信号によって特定される。この検出信号の選択はコンピュータ85において行う。
【0094】なお、Siウエハの表面に金属膜が形成されていたり、Siウエハの表面に酸化膜が形成されている場合にも、このウエハの表面に付着する異物の直径の閾値が異なるだけであり、異物の直径がこの閾値を越えるか越えないかによって、参照データをP偏光に基づくものかS偏光に基づくものかを判断するという作業には変わりはない。
【0095】また使用するレーザがAr+レーザではなくてHe-Cdレーザ(波長:442nm)やHe-Neレーザ(波長:633nm)などの他の種類のレ-ザを用いた際にもレーザ波長に依存する定在波強度分布の周期が変化するために、この異物の直径の閾値が異なるが、処理自体には変化はない。
【0096】ここで、検出器を配置する際には前述したように図12及び図13に示すような角度配置にするのであるが、この理由は、検出対象の異物の大きさによって散乱光の空間分布特性が異なるためである。
【0097】即ち、異物の直径が前記の閾値よりも小さい場合には、図12に示すように検出器81は、P偏光の光束によるレーザスポット71を中心に半導体ウエハ70の表面に対してφ6が略10°乃至略50°の角度(表面近傍)で配置され、P偏光の光束によるレーザ入射面に対してはθ3が略70°乃至略110°の角度(側方散乱)で配置されている。これは、これらの方向に散乱光が強く発生するからである。
【0098】一方、図13に示すようにS偏光の光束によるレーザスポット72を中心に半導体ウエハ70の表面に対してφ7が略10°乃至略20°の角度(反射光近傍)で配置され(入射角φ5が略10°乃至略20°の角度であるため)、S偏光の光束によるレーザ入射面に対してはθ4が略115°乃至略155°(前方散乱)の角度で配置されている。これも、これらの方向に散乱光が強く発生するからである。
【0099】ここで、φ6・φ7の角度の大きさの下限が略10°であるのは検出器の大きさを考慮しているためであり、可能であるならば更に小さな角度(略5°くらい)であることが望ましい。そしてθ4の角度の大きさの上限が略155°であるのは正反射光を避けるためであり、理想的には180°が望ましい。
【0100】またこのようにして採取したデータによると図17に示すように線形特性の良い検出強度曲線が得られることで検出強度曲線から正確に異物の粒径を求めることができる。これを図18を用いて説明する。図18(a)では被検査物表面に直径0.1μm(異物Aとする)、0.4μm(異物Bとする)、0.6μm(異物Cとする)の異物が存在していることを示している。
【0101】レーザスポットを走査した結果として、図18(b)には検出器77で検出されたP偏光の入射による散乱光信号を示し、図18(c)には検出器78で検出されたS偏光の入射による散乱光信号を示す。図18(b)・図18(c)により直径0.1μmの異物の検出には信号Aを用いるが、直径0.4μm及び直径0.6μmの異物の検出にはそれぞれ信号B及び信号Cを用いるのではなく、それぞれ信号B´及び信号C´を用いると良いことが分かる(図18(d)に示す)。
【0102】ここまでを、まとめると下記の[表2]のようになる。
【0103】
【表2】

【0104】ここで上記の実施例の全てに当てはまることであるが、Ar+レーザではなくてHe-Cdレーザ(波長:442nm)やHe-Neレーザ(波長:633nm)などの他の種類のレ-ザを用いることも出来る。そして直線偏光を出力するレ-ザを使用するのではなくてランダム偏光を出力するレ-ザに偏光子を組み合わせてP偏光やS偏光を発生させても良い。また受光素子は光電子増倍管33・57・59・81・82ではなく半導体光センサなどに変えても良い。加えて被検査体は半導体ウエハを例に挙げたが検査対象はこれに限定されず、液晶基板でも良いし、曲面部を有するものでも本発明の異物検査装置を用いることは可能である。
【0105】その理由は巨視的に見れば曲面でも、微視的に見れば平面となるのでレ-ザスポット31・47・71・72のスポット径を小さくすることで検査対象の曲面を平面と同様にして検査ができるためである。
【0106】
【発明の効果】本発明によると、異物の検出感度を上げることが可能となり、鏡面をもつ半導体ウエハもしくは酸化膜をもつ半導体ウエハにおいての0.1μm以下の異物の検出や、金属膜をもつ半導体ウエハにおいての0.2μm以下の異物の検出が確実に出来るようにする異物検査装置及び異物検査方法を提供できる。
【0107】また本発明によると、異物の検出感度と異物の検出信号の線形特性とを上げることが可能となり被検査物表面からの雑音成分の影響を抑えて良好な線形特性で異物の検出ができるようにする異物検査装置及び異物検査方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例の異物検査装置を示す概略構成図。
【図2】本発明の第1の実施例の異物検査装置における、ファイバプレートおよび光電子倍増管と半導体ウエハとの位置関係を示す側面図。
【図3】本発明の第1の実施例の異物検査装置における、光受光系の配置角度と散乱光の強度の関係とを示すグラフ。
【図4】本発明の第1の実施例の異物検査装置における、光受光系の配置角度と異物検出信号のS/Nとを示すグラフ。
【図5】本発明の第4の実施例の異物検査装置を示す概略構成図。
【図6】本発明の第4の実施例の異物検査装置における、各検出器と、レーザ入射面と、半導体ウエハとの位置関係を示す概略図。
【図7】本発明の第4の実施例の異物検査装置における、半導体ウエハ(被検査物)の種類による偏光状態および検出器の選択の処理の流れを示すフローチャート。
【図8】本発明の第4の実施例の異物検査装置で鏡面ウエハを測定した場合における、検出器の配置角度と異物検出信号のS/Nとを示すグラフ。
【図9】本発明の第4の実施例の異物検査装置で酸化膜付ウエハを測定した場合における、検出器の配置角度と異物検出信号のS/Nとを示すグラフ。
【図10】本発明の第4の実施例の異物検査装置で金属膜付ウエハを測定した場合における、検出器の配置角度と異物検出信号のS/Nとを示すグラフ。
【図11】本発明の第7の実施例の異物検査装置を示す概略構成図。
【図12】本発明の第7の実施例の異物検査装置における、検出器と、レーザ入射面と、半導体ウエハとの位置関係を示す概略図(その1)。
【図13】本発明の第7の実施例の異物検査装置における、検出器と、レーザ入射面と、半導体ウエハとの位置関係を示す概略図(その2)。
【図14】本発明の第1の実施例の異物検査装置における、レーザ光の入射角度が大きい場合とレーザ光の入射角度が小さい場合の散乱光の強度と検査時刻の関係とを示すグラフ。
【図15】半導体ウエハの表面における入射光と反射光による光の干渉を示す概略図。
【図16】半導体ウエハの表面における定在波強度の分布と異物の直径の関係を示すグラフ。
【図17】本発明の第7の実施例の異物検査装置における、異物の直径と散乱光の強度と検出器の選択を示すグラフ。
【図18】本発明の第7の実施例の異物検査装置において、(a)は異物A乃至異物Cの大きさを示す模式図、(b)は異物A乃至異物Cに対する第1の検出器の出力信号と検査時刻との関係を示すグラフ、(c)は異物A乃至異物Cに対する第2の検出器の出力信号と検査時刻との関係を示すグラフ、(d)は異物A乃至異物Cに対する異物検出結果と検査時刻との関係を示すグラフ。
【図19】第1の従来例の異物検査装置を示す概略構成図。
【図20】第2の従来例の異物検査装置を示す概略構成図。
【図21】第3の従来例の異物検査装置を示す概略構成図。
【図22】第4の従来例の異物検査装置における、ラインセンサと半導体ウエハとの位置関係を示す側面図。
【図23】第5の従来例の異物検査装置を示す概略構成図。
【図24】従来例の異物検査装置における、異物の直径と散乱光の強度の関係を示すグラフ。
【符号の説明】
1・26・51・74…載置台
2・46・70…半導体ウエハ
3・27・41・65…レ-ザ発振器
4・66…コリメートレンズ
5…ガルバノミラー
6・14・16・22…集光光学系
7…ラインセンサ
8・9・13・17…受光素子
10・18…測定回路
11…XYテーブル
12…容器
15…ハーフミラー
19…XYテーブル制御装置
20…XYθテーブル
21・29・44…反射ミラー
23・35…検出部
24・52・75…θテーブル
25・53・76…Xテーブル
28・43…1/2波長板
30・45・69…集光レンズ
31・47・71・72…レーザスポット
32・56・58・79・80…ファイバプレート
33・57・59・81・82…光電子増倍管
34…増幅部
36・61…レーザ照射系
37…制御系
38・62…走査系
39・63…検出系
40・64…信号処理系
42・66…ビームエキスパンダ
48…制御回路
49・85…コンピュータ
50・84…インタフェース回路
54・55・77・78…検出器
60・83…増幅回路
67…偏光ビームスプリッタ
68…反射ミラー
73…シャッタ
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2005-09-12 
出願番号 特願平6-76237
審決分類 P 1 651・ 121- YA (G01N)
最終処分 維持  
前審関与審査官 田邉 英治  
特許庁審判長 杉野 裕幸
特許庁審判官 福田 裕司
下中 義之
登録日 2003-05-23 
登録番号 特許第3432273号(P3432273)
権利者 株式会社東芝
発明の名称 異物検査装置及び異物検査方法  
代理人 外川 英明  
代理人 外川 英明  
代理人 堀口 浩  
代理人 堀口 浩  

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