• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04N
管理番号 1130089
審判番号 不服2003-9240  
総通号数 75 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1999-04-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-05-22 
確定日 2006-01-26 
事件の表示 平成 9年特許願第285390号「画像処理装置」拒絶査定不服審判事件〔平成11年 4月30日出願公開、特開平11-122486〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続きの経緯・本願発明
本願は、平成9年10月17日に出願されたものであって、平成15年4月15日付けで拒絶査定がされ、これに対し平成15年5月22日に拒絶査定に対する審判請求がなされると同時に手続補正がなされ、その後平成17年8月29日に当審において拒絶の理由が通知され、これに対し平成17年10月28日付けで手続補正がなされたものであり、その請求項1ないし9に係る発明は、平成12年2月1日、平成14年9月3日、平成15年5月22日、及び平成17年10月28日付けの手続補正によって補正された明細書及び図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1ないし9に記載されたとおりのものと認められるところ、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。

「【請求項1】画像情報を多値画像として入力するための画像情報入力手段と、
上記画像情報入力手段により多値画像として入力された画像情報に対して所定の画像処理を行うための第1の画像処理手段と、
上記第1の画像処理手段により所定の画像処理が施された画像情報に対して、異なる2値画像として所定の画像処理を行うための第2の画像処理手段と、
上記第1の画像処理手段もしくは第2の画像処理手段により所定の処理が施された画像情報を画像として再現するための画像情報再現手段とからなり、
上記画像情報再現手段は上記第1の画像処理手段に接続され、
上記第2の画像処理手段には、さらに、外部から通信手段を介して送られてきた画像情報を受け入れるための入力部を備えており、
上記第2の画像処理手段は上記第1の画像処理手段に対し追加可能な異なる構成部品として分割構成されており、かつ上記入力部から入力された外部から通信手段を介して送られてきた画像情報を2値画像として処理し、
上記第2の画像処理手段には、外部からの画像情報が記憶可能な画像記憶手段が接続され、
上記画像情報入力手段により入力された画像情報は上記第1の画像処理手段により上記所定の画像処理が施され上記画像情報再現手段により画像として再現されるとともに、さらに上記第2の画像処理手段を追加することにより上記2値画像として所定の画像処理が施され上記画像情報再現手段により画像として再現され、
上記入力部により外部から入力された画像情報は上記第2の画像処理手段に転送され上記画像記憶手段へ記憶されることを特徴とする画像処理装置。」

2.引用例
当審が拒絶の理由に引用した特開昭64-70879号公報(昭和64年3月16日出願公開。以下、「引用例1」という。)には、図面と共に次の各記載がある。

(ア)「(産業上の利用分野)
本発明は、原画像データに対して演算処理を施し、階調補正や画質鮮鋭化などの画像データ変換処理や原画像データからの特徴抽出などの処理を実現するためのディジタル画像処理装置に関するものである。
(従来の技術)
ディジタル画像処理装置は、画像データを入出力するための画像入出力回路と、画像データを記憶するための画像メモリと、画像データに対して演算処理を施す処理回路などのハードウエア、及び、これらの各ハードウエアを制御したり、ソフトウエアによって画像データに対する演算処理を施すホストCPUなどによって構成される。また、場合によっては、ホストCPUによるソフトウエア処理では実現できない高速なハードウエア制御のための制御回路が含まれる。
演算処理は、画像入力回路より得られる画像データや画像メモリの読出しデータを処理回路が処理する場合と、ホストCPUが画像メモリ上のデータに対してソフトウエアによって処理を施す場合があるが、処理回路によるハードウエア処理が高速処理には適している。その場合、画像入力回路と処理回路あるいは画像メモリと処理回路の間は画像データの授受が行えるように何等かの形で結合されなければならない。ハードウエアの構成が限定されている場合には、それらの結合方式は特定の信号ラインによって実現できるが、ハードウエアの構成に柔軟性や拡張性を持たせることが必要である場合には、データバスを用いた結合方式が必要となる。特に、演算機能が豊富で、多目的に利用されることを目指した汎用的な画像処理装置の場合には、専用のデータバスを設け、ハードウエア各部の回路間で画像データが転送されるのが一般的である。
第7図にハードウエア各部が画像データ専用のデータバスによって結合された画像処理装置の構成例を示す。図中、1はホストCPU、2は画像入力回路、3は画像出力回路、M1は画像メモリ、P1は処理回路、B0はホストCPUバス、B1は画像データバスである。このうち、画像入力回路2、画像出力回路3、画像メモリM1、処理回路P1の各回路は必要に応じて複数存在する場合がある。
画像データの入力は、画像データバスB1を介して画像入力回路2から画像メモリM1に対して画像データを転送することにより達成される。
画像データの演算処理は、画像メモリM1から読み出された画像データが画像データバスB1を介して処理回路P1に入力され、演算処理を施され、その処理結果の画像データが再び画像データバスB1を介して画像メモリM1に書き込まれることにより完結する。
画像データの出力は、画像メモリM1から読み出された画像データが画像データバスB1、画像出力回路3を介して、外部の画像表示機器や画像記録機器などに出力されることにより達成される。
以上の他、画像データバスB1の内部構成によっては、画像入力回路2より得られる画像データを処理回路P1に直接導くこともできるし、あるいは、処理回路P1の出力するデータを画像出力回路3へ直接導くこともできる。このように、画像データバスB1を介した各回路の接続関係によって画像入力、画像処理、画像出力などの動作状態が決定される。
ここまでの説明では、扱われる画像データが多値画像であるか2値画像であるかを考えていなかったが、一般に、画像データが処理される場合、最初入力される画像データが階調を伴う多値画像であっても、処理結果として2値化されたり、その2値画像が処理されたり、2値画像を制御データとして多値画像が処理されるなど、多値画像と2値画像を共に扱うことが多い。そのため、第7図の含まれる各回路と、画像データバスB1は多値画像と2値画像の両方を扱えなければならず、少なくとも扱う多値画像の階調に応じたビット幅を有していなければならない。
従来、このような画像処理装置で2値画像が扱われる場合、例えば、処理回路P1が処理結果として2値画像を生成し、そのデータを画像メモリM1に格納するような場合、2値画像を多値画像に拡張して、多値画像用の画像メモリM1に格納していた。2値画像を多値画像に拡張するには、一般に2値画像の1と0を多値画像の各ビットに対応させる。多値画像の1画素が8ビットで表されるならば、2値画像の1と0はそれぞれ255と0に拡張される。このように拡張すれば、多値画像用の処理回路P1を用いて2値画像に対する演算を行っても矛盾のない結果が得られる。また、このように特定の2値として、多値画像中の白レベルと黒レベルに相当する値を採用すれば、多値画像を表示する回路で2値画像データをそのまま表示することが可能となる。
さらに、画像処理装置で2値画像が扱われる場合には、2値画像を制御データとして、処理回路P1の演算機能を切り換える場合がある。例えば、2枚の画像データについて各画素位置における大きい方の値を得る処理(最大値処理)では、まず、2枚の多値画像間で画素毎に減算処理を行い、その時発生するボローデータに相当する2値画像を得て、次に、その2値画像を用いて2枚の多値画像を画素単位に切り換えて合成する。
第8図に本発明に先立って考えた2値画像により演算機能を切り換えることのできる処理回路P1とその周辺回路との接続関係を示す。図中、Mpは処理回路P1に付帯して設けられた2値画像メモリであり、処理回路P1の出力する2値画像のデータを格納するための専用の2値画像メモリである。FRa及びFRbは処理回路P1の演算機能を指定する2つのファンクションレジスタ、FSは2つのファンクションレジスタFRa,FRbの値を2値画像メモリMpの読出しデータに従って切り換えて処理回路P1のファンクション入力FIに与えるためのファンクションセレクタ、B1a,B1bは処理回路P1の2つの画像データ入力ポートIPa,IPbに画像データを供給するための画像データバス、B1cは処理回路P1が出力する処理結果を他の回路へ供給するための画像データバスである。例に挙げた最大値処理では、まず、第1のフレームでは2枚の画像データがデータバスB1a,B1bを経由して処理回路P1に入力される。ファンクションレジスタFRa,FRbには減算処理を指定するファンクションコードが共に設定されており、ファンクションセレクタFSの状態に拘わらず処理回路P1は減算処理を行う。処理回路P1の2値画像出力端子O2からは別の設定により減算処理により発生するボローデータを出力するよう指定されており、2値画像メモリMpには各画素についてのボローデータに相当する2値画像が格納される。第2のフレームでは、ファンクションレジスタFRaとFRbには、それぞれ入力ポートIPaとIPbに入力された画像データをそのまま出力するようなファンクションコードが設定され、ファンクションセレクタFSは2値画像メモリMpが各画素について出力するボローデータによってファンクションを切り換えて処理回路P1に与える。処理回路P1へは第1のフレームと同様に、データバスB1a,B1bから2枚の画像データが入力されており、ファンクションの切り換えに従って2枚の画像データが切り換って、多値画像出力端子O1から処理結果として出力される。ファンクションの切り換えは、2枚の画像データの大小関係に依存したボローデータにより行われるので、画像出力として最大値処理された画像出力が得られ、また、ファンクションコードの設定によれば最小値出力を得ることもできる。」(第1頁下右欄第16行〜第3頁下右欄第2行)
なお、下線は、当審において附された。以下、同様。

(イ)「(発明が解決しようとする問題点)
以上、第7図及び第8図により従来の画像処理装置における2値画像の取り扱いについて説明したが、従来の方式の2値画像の取り扱いでは、大別して3つの問題点がある。
第1の問題点は、処理結果あるいは被処理データとして2値画像が扱われるとき、2値画像を多値画像に拡張し、本来多値画像用の回路を2値画像用に兼用することによる問題点である。まず、2値画像用に画像メモリが大量に必要な場合に、容量が必要以上に大きな多値画像メモリを大量に増設せねばならず、不経済である。また、処理回路内でも2値画像は多値画像と同じビット幅で扱われるため、2値画像に対する特有の演算機能を効率よくハードウエア化できないという問題がある。さらに、同時に多くの2値画像を扱いたい場合、データバス全体の幅が大きくなってしまうため、データバスの本数を自由に増やせないという問題もある。
第2の問題点は、処理回路の演算機能切り換え用の2値画像メモリが処理回路に付帯的に配置されていることによる問題点である。まず、処理目的に応じて同様の処理回路を増設したい場合に、要不要に拘わらず2値画像メモリが配置されることになり、不経済であること。逆に、2値画像メモリを増設したい場合、2値画像メモリが処理回路に固有の回路であるため、自由に増設しにくいこと。また、処理回路と2値画像メモリの関係が閉じているので、ある処理回路の生成した2値画像で別の処理回路を制御させることは困難であり、別な処理回路に属する2値画像メモリの内容間での演算を行うことも困難であること、などの問題がある。
第3の問題は、2値画像の取り扱いが場合によって異なることによる問題点である。つまり、処理結果たる2値画像や今後処理を施される2値画像では、多値画像に拡張して、データバスB1、画像メモリM1を利用するのに対し、処理回路P1の演算機能切り換えに用いられる2値画像では、処理回路P1に付帯的に配置される2値画像メモリMpを利用するというように、同じ2値画像であっても性質の違いによって多値画像に拡張したりしなかったり、扱う場所を変えたりしなければならないという複雑さが問題である。2値画像は必ずしも一方の性質を持ったものではなく、例えば、2値画像メモリMp上の2値画像に対して演算を施したいという要求も当然発生する。このように、従来の装置は固定的な用途以外に2値画像を利用しにくい構成であった。
本発明は、前記問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、多値画像データと2値画像データが効率良く扱われるようなディジタル画像処理装置を提供することにある。」(第3頁下右欄第3行〜第4頁上右欄第15行)

(ウ)「(問題点を解決するための手段)
本発明は、前記目的を達成するためになされたもので、第1図に示すように、画像データを入出力するための画像入力回路2,3と、画像データを記憶するための画像メモリM1,M2と、画像データに対して処理を施すための処理回路P1,P2と、前記各ハードウエアを制御するための制御手段(ホストCPU1)と、前記各ハードウエア間で画像データを転送するための画像データバスB1,B2とを備えて成る画像処理装置において、前記画像メモリは、1画素につき複数ビットの情報量を持つ多値画像のデータを記憶する多値画像メモリM1と、1画素につき1ビットの情報量を持つ2値画像のデータを記憶する2値画像メモリM2とを別々に含み、前記処理回路は、多値画像を被処理画像とする多値画像処理回路P1と、2値画像を被処理画像とする2値画像処理回路P2とを別々に含み、且つ、前記データバスは、多値画像を取り扱う回路間で多値画像のデータを転送するための多値画像用データバスB1と、2値画像を取り扱う回路間で2値画像のデータを転送するための2値画像用データバスB2とを別々に含むことを特徴とするものである。
(作用)
以下、第1図により本発明の作用を説明する。多値画像メモリM1は、制御手段(ホストCPU1)の制御下で多値画像用データバスB1上の画像データを記憶し、又は、予め記憶した多値画像の画像データを多値画像用データバスB1上に出力する。2値画像メモリM2は、同じく制御手段の制御下で2値画像用データバスB2上の画像データを記憶し、又は、予め記憶した2値画像の画像データを2値画像用データバスB2上に出力する。多値画像処理回路P1は、制御手段の制御下で多値画像用データバスB1上の多値画像を被処理画像として入力して、多値画像又は2値画像を処理結果として出力する。2値画像処理回路P2は、同じく制御手段の制御下で2値画像用データバスB2上の2値画像を被処理画像として入力して、2値画像又は多値画像を処理結果として出力する。いずれの場合にも、処理結果が多値画像であるときには、多値画像用データバスB1に出力され、処理結果が2値画像であるときには、2値画像用データバスB2に出力される。なお、画像入出力回路2,3は、通常、多値画像用データバスB1に接続され、制御手段の制御下にて外部回路との間で多値画像の画像データの入出力を行う。
本発明は上述のような作用を有するので、2値画像の記憶、処理及び転送は、2値画像メモリM2、2値画像処理回路P2及び2値画像用データバスB2をそれぞれ用いて効率良く行うことができる。つまり、2値画像の記憶は、メモリ容量の大きな多値画像用の画像メモリM1を用いることなく、メモリ容量の小さな2値画像用の画像メモリM2を用いて効率良く行うことができる。また、2値画像の処理は、2値画像を多値画像に拡張することなく、2値画像に対する特有の演算機能を効率良くハードウエア化した2値画像用の処理回路P2を用いて2値画像のままで効率良く行うことができる。さらに、2値画像の転送は、複数のビット幅を有する多値画像のデータバスB1の全ビットを占有することなく、1枚の2値画像につき1本の2値画像用データバスB2を用いて効率良く行うことができる。
また、本発明は、単に多値画像と2値画像を全く別系統で取り扱うようにした点のみに特徴を有するのではなく、多値画像処理回路P1と2値画像処理回路P2及び多値画像メモリM1と2値画像メモリM2が多値画像用データバスB1又は2値画像用データバスB2を介して自由に連繋できるという点にも特徴がある。つまり、従来例にあっては、1つの処理回路P1に2値画像メモリMpが付帯的に配置されていたので、異なる2値画像メモリ間の演算を行ったり、第1の処理回路の生成した2値画像を第2の処理回路において使用したりすることはできなかったが、本発明ではそれが可能となる。また、このように、2値画像メモリM2は特定の処理回路に従属するものではないので、2値画像メモリの増設や処理回路の増設は自由に行うことができ、その際の設計変更も少なくて済む。さらに、2値画像メモリM2上の2値画像は、被処理データであるか処理結果データであるか制御データであるかを問わないので、データの性質の応じて格納場所を制約されることはなく、制御データに処理を加えるようなことも可能となる。」(第4頁上右欄第第16行〜第5頁下左欄第1行)

(エ)「本発明のさらに詳しい構成及び作用については、以下の実施例の説明において、一層明らかとなる。
(実施例)
第1図に本発明によるディジタル画像処理装置の構成を示す。図中、M2は2値画像メモリ、P2は2値画像処理回路、B2は2値画像専用のデータバスであり、その他の構成については第7図の構成と同じである。多値画像用の画像メモリM1及び処理回路P1と、2値画像用の画像メモリM2及び処理回路P2は共に必要に応じて増設可能である。また、2値画像専用のデータバスB2も1本に限らず必要に応じて本数を増やすことができる。
次に、本発明の画像処理装置における画像データの流れについて説明する。
まず、最初、画像データが画像入力回路2によって多値画像として取り込まれ、多値画像用データバスB1に出力される。データバスB1上の多値画像は多値画像メモリM1へ入力され蓄積される。場合によっては、データバスB1上の多値画像は多値画像処理回路P1に直接入力されて処理を施されてもよく、また画像出力回路3に直接入力されて、外部出力されてもよい。
多値画像メモリM1に格納された多値画像は、処理時には、再び、多値画像用データバスB1に出力され、多値画像処理回路P1に入力される。処理回路P1では、入力された多値画像に対して演算処理が施されるが、処理出力としては、多値画像が出力される場合と2値画像が出力される場合がある。多値画像が出力される場合には、多値画像用データバスB1に出力され、2値画像が出力される場合には、2値画像用データバスB2に出力される。処理回路P1からデータバスB1又はB2上に出力されたデータは、多値画像であれば多値画像メモリM1に、2値画像であれば2値画像メモリM2に格納される。
2値画像に対する演算処理は、2値画像メモリM2から2値画像用データバスB2に2値画像が読出され、データバスB2上の2値画像が2値画像処理回路P2に入力されることにより実現される。処理結果として得られる2値画像も再び2値画像用データバスB2に出力される。複数の2値画像間の処理を行う場合には、2値画像メモリM2が複数用意されており、処理回路P2に対して入出力される2値画像の枚数分の本数の2値画像用データバスB2が用意されておればよい。この時、処理される2値画像源は、2値画像メモリM2の読出しデータに限らず、多値画像処理回路P1からの2値画像出力であってもよく、また別の2値画像処理回路(図示せず)の処理出力であってもよい。
第2図は、本発明における多値画像処理回路とその周辺回路の接続関係を示すブロック図である。図中、第8図の回路と同一の機能を有する部分には同一の符号を付して重複する説明は省略する。ここでは、第8図における処理回路P1に付帯する2値画像メモリMpが省略され、その代わり新設された2値画像用のデータバスB2(B2a〜B2n)から入力される2値画像中の1つを選択し、ファンクションセレクタFSに与えるための2値画像入力回路20と、処理回路P1が生成する2値画像を所定の2値画像用データバスB2に出力するための2値画像出力回路30が、第8図従来例に対して追加されている。これらの追加と変更によって、ファンクションの切り換えが、2値画像用のデータバスB2上の一般的な2値画像によって行えるようになり、また、処理回路P1の出力する2値画像も2値画像用のデータバスB2へ出力可能となり、多目的に利用できるようになった。
第3図は、本発明で利用される2値画像処理回路とその周辺回路の接続関係を示すブロック図である。図中、P2は2つの2値画像入力に対する処理を行う処理回路、21,22は2値画像用データバスB2上の2値画像よりそれぞれ1つを選択し、処理回路P2に2つの被処理2値画像を与えるための2値画像入力回路、30は処理回路P2の2値画像出力を所定の2値画像用データバスB2へ出力するための2値画像出力回路である。
次に、以上に説明した多値画像処理回路P1と2値画像処理回路P2の具体的な動作状態を図によって説明する。
第4図は、多値画像処理回路P1と2値画像メモリM2a,M2bとの基本的な接続関係を示している。2値画像メモリM2aの読出しデータが2値画像用データバスB2aを経由し、多値画像処理回路P1のファンクションセレクト入力へ与えられる。正確には多値画像処理回路P1内の2値画像入力回路で2値画像用データバスB2から1つのデータバスB2aが選択され、選択された2値画像が多値画像処理回路P1内のファンクションセレクタに与えられるのである。処理回路P1へは、同時に多値画像用データバスB1a及びB1bより2系統の多値画像が入力される。この例では、データバスB2aより入力される2値画像に従って、データバスB1a,B1bから入力される多値画像に対して2種類の演算処理が画素単位にに切り換えて実行され、処理結果として2値画像が2値画像用データバスB2bへ出力される。データバスB2b上の2値画像は、2値画像メモリM2bに書き込まれる。以上のように、本発明によれば、多値画像処理回路P1の2値画像入出力は、従来のような処理回路P1に付帯して配置された2値画像メモリMpではなく、汎用的に利用される2値画像メモリM2a,M2bを対象として実行可能となった。
第5図は2つの多値画像処理回路P1a,P1bが2値画像用のデータバスB2aによって結合されている状態を示している。第1の処理回路P1aは多値画像用データバスB1のうち、図示されていないチャネルより多値画像を得て、その入力データに対して何等かの処理を施し、結果として得られる2値画像を2値画像用データバスB2aに出力する。第2の処理回路P1bは多値画像用データバスB1のうち2つのデータバスB1a,B1bより2系統の多値画像を得て、演算処理を施すが、そのとき、同時に、第1の処理回路P1aが出力している2値画像を2値画像用データバスB2aより得て、入力した2値画像により2種の演算機能を画素単位に切り換えている。第2の処理回路P1bによる多値画像の処理結果は、多値画像用のデータバスB1cに出力されている。以上のように、本発明によれば、多値画像処理回路P1の演算機能切り換え用の2値画像を2値画像メモリより得るだけでなく、他の処理回路が出力する2値画像を利用して切り換えることもできる。ここで、重要な点は、付帯的な2値画像メモリMpを利用する場合では、利用する2値画像が予め設定された、固定的なデータであるのに対し、第1の処理回路が出力する2値画像を第2の処理回路が利用する場合では、利用する2値画像が進行中の処理と同時刻に並列的に得られるデータであるという点である。つまり、従来複数フレームを必要としていた処理であっても、本発明によって実時間で実行できる可能性が広がったと言える。例えば、第5図の構成において、前述の最大値処理を行う場合には、第1の処理回路P1で各画素毎にボローデータを得て、そのボローデータに基づいて、第2の処理回路P2で2枚の画像データを画素単位で切り換えるようにすれば、従来、2フレームを必要としていた最大値処理を1フレームで実行できる。
以上の説明の中では、第1の処理回路として多値画像処理回路を用いているが、これは2値画像処理回路に置き換えが可能であることは言うまでもない。
第6図は、2値画像処理回路P2に入力される2値画像として多値画像処理回路P1により生成される2値画像を利用する場合の接続状態を示している。多値画像処理回路P1は多値画像用データバスB1のうちの2つのデータバスB1a,B1bより2系統の多値画像を得て、何等かの2値化処理を施し、その処理結果を2値画像用データバスB2bに出力する。一方、2値画像メモリM2は予め格納されていた2値画像を読み出し、2値画像用データバスB2aに出力する。2値画像用の処理回路P2は、2値画像メモリM2と多値画像処理回路P1が出力する2つの2値画像をそれぞれ2値画像用データバスB2a,B2bより得て、何等かの2値画像処理を施し、結果として得られる2値画像を2値画像用データバスB2cに出力する。なお、第6図においては、データバスB2c上の2値画像データの受け取り先が図示されていないが、別の2値画像メモリであっても良いし、多値画像用または2値画像用の別の処理回路に入力されても良い。
このように、本発明によれば、従来、2値画像メモリの読出しデータだけが対象だった2値画像処理の被処理データとして、他の処理回路が出力する2値画像をも利用することが可能となる。
以上、本発明によって可能となった、各回路の新しい接続関係を図によって示したが、説明した新しい接続関係及び従来より可能だった接続関係などを複合したより複雑な接続が可能であることは言うまでもない。 なお、以上の説明では用いなかったが、2値画像を入力し、多値画像を出力するタイプの処理回路を、本発明の画像処理装置に組み込んで、使用することも可能である。このタイプの処理としては、例えば、複数の孤立物体を含む2値画像に対して、画像中の各物体に番号付けを行い、その番号データを多値画像の画素値として出力するラベル付け処理や、2値画像データに対して複数のパターンマッチングを行い、それぞれのパターンに合致した画素に対してパターンに対応したコードを割り当てて、そのコードを多値画像の画素値として出力する形状ヒスとグラム処理などがある。」(第5頁下左欄第2行〜第第7頁下右欄第7行)

(オ)「(発明の効果)
本発明にあっては、上述のように、多値画像の記憶、処理及び転送と、2値画像の記憶、処理及び転送を別系統で行うようにしたので、2値画像の記憶を少ない容量で効率良く行うことができ、また、2値画像に対する特有の演算機能を効率よくハードウエア化することができ、さらに、1枚の2値画像の転送は1本のデータバスのみで行うことができ、2値画像の記憶、処理及び転送の効率が飛躍的に向上するという効果がある。また、2値画像メモリは、従来例のように処理回路に付帯的に接続されているのではなく、2値画像用のデータバスを介して処理回路に接続されているので、特定の処理回路に2値画像メモリが従属することはなく、したがって、2値画像メモリの増設や処理回路の増設が容易であり、その際の設計変更も少なくて済むという効果があり、また、異なる処理回路間で演算したり、異なる処理回路間で2値画像を共用したりすることが可能となり、2値画像の活用範囲を広げることができるという効果がある。さらにまた、このように2値画像メモリが2値画像用のデータバスに接続されていることにより、2値画像メモリ上の2値画像を被処理データとしても処理結果データとしても制御データとしても扱うことができ、2値画像の性質に応じて2値画像の格納場所を変える必要はなく、2値画像の取り扱いの繁雑さが解消されるという効果がある。」(第7頁下右欄第8行〜第8頁上左欄第15行)

以上の記載から見て、引用例1には、次のような発明が記載されているものと認められる。

「画像データを入出力するための画像入力回路2,3と、画像データを記憶するための画像メモリM1,M2と、画像データに対して処理を施すための処理回路P1,P2と、前記各ハードウエアを制御するための制御手段すなわちホストCPU1と、前記各ハードウエア間で画像データを転送するための画像データバスB1,B2とを備えて成るディジタル画像処理装置であって、
前記画像メモリは、1画素につき複数ビットの情報量を持つ多値画像のデータを記憶する多値画像メモリM1と、1画素につき1ビットの情報量を持つ2値画像のデータを記憶する2値画像メモリM2とを別々に含み、
前記処理回路は、多値画像を被処理画像とする多値画像処理回路P1と、2値画像を被処理画像とする2値画像処理回路P2とを別々に含み、
前記データバスは、多値画像を取り扱う回路間で多値画像のデータを転送するための多値画像用データバスB1と、2値画像を取り扱う回路間で2値画像のデータを転送するための2値画像用データバスB2とを別々に含み、
多値画像メモリM1は、制御手段すなわちホストCPU1の制御下で多値画像用データバスB1上の画像データを記憶し、又は、予め記憶した多値画像の画像データを多値画像用データバスB1上に出力し、
2値画像メモリM2は、同じく制御手段の制御下で2値画像用データバスB2上の画像データを記憶し、又は、予め記憶した2値画像の画像データを2値画像用データバスB2上に出力し、
多値画像処理回路P1は、制御手段の制御下で多値画像用データバスB1上の多値画像を被処理画像として入力して、多値画像又は2値画像を処理結果として出力し、
2値画像処理回路P2は、同じく制御手段の制御下で2値画像用データバスB2上の2値画像を被処理画像として入力して、2値画像又は多値画像を処理結果として出力し、
多値2値いずれの場合にも、処理結果が多値画像であるときには、多値画像用データバスB1に出力され、処理結果が2値画像であるときには、2値画像用データバスB2に出力され、
画像入出力回路2,3は、通常、多値画像用データバスB1に接続され、制御手段の制御下にて外部回路との間で多値画像の画像データの入出力を行い、
以上の構成を採ることにより、多値画像と2値画像を全く別系統で取り扱うことができ、かつ、多値画像処理回路P1と2値画像処理回路P2及び多値画像メモリM1と2値画像メモリM2が多値画像用データバスB1又は2値画像用データバスB2を介して自由に連繋でき、そして、2値画像メモリの増設や処理回路の増設は自由に行うことができ、その際の設計変更も少なくて済み、また、多値画像用の画像メモリM1及び処理回路P1と、2値画像用の画像メモリM2及び処理回路P2は共に必要に応じて増設可能であり、そしてさらに、2値画像専用のデータバスB2も1本に限らず必要に応じて本数を増やすことができ、
その動作は、先ず最初に、画像データが画像入力回路2によって多値画像として取り込まれ、多値画像用データバスB1に出力され、データバスB1上の多値画像は多値画像メモリM1へ入力され蓄積され、場合によっては、データバスB1上の多値画像は多値画像処理回路P1に直接入力されて処理を施されてもよく、また場合によっては、画像出力回路3に直接入力されて、外部出力されてもよく、
次に、多値画像メモリM1に格納された多値画像は、処理時には、再び、多値画像用データバスB1に出力され、多値画像処理回路P1に入力され、処理回路P1では、入力された多値画像に対して演算処理が施されるが、処理出力としては、多値画像が出力される場合と2値画像が出力される場合があり、多値画像が出力される場合には、多値画像用データバスB1に出力され、2値画像が出力される場合には、2値画像用データバスB2に出力され、処理回路P1からデータバスB1又はB2上に出力されたデータは、多値画像であれば多値画像メモリM1に、2値画像であれば2値画像メモリM2に格納され、
次に、2値画像に対する演算処理は、2値画像メモリM2から2値画像用データバスB2に2値画像が読出され、データバスB2上の2値画像が2値画像処理回路P2に入力されることにより実現され、処理結果として得られる2値画像も再び2値画像用データバスB2に出力され、この時、処理される2値画像源は、2値画像メモリM2の読出しデータに限らず、多値画像処理回路P1からの2値画像出力であってもよく、また別の2値画像処理回路の処理出力であってもよいディジタル画像処理装置。」

3.対比
本願発明と引用例1に記載された発明とを対比すると、引用例1に記載された発明の「画像入力回路2」は、本願発明の「画像情報入力手段」に相当し、引用例1に記載された発明の「多値画像処理回路P1」は、本願発明の「第1の画像処理手段」に相当し、引用例1に記載された発明の「2値画像処理回路P2」は、本願発明の「第2の画像処理手段」に相当し、引用例1に記載された発明の「画像出力回路3、及び、外部の画像表示機器や画像記録機器」は、本願発明の「画像情報再現手段」に相当し、引用例1に記載された発明の「多値画像用の画像メモリM1、及び2値画像メモリM2」は、本願発明の「画像記憶手段」に相当し、引用例1に記載された発明の「ディジタル画像処理装置」は、本願発明の「画像処理装置」に相当することは、明らかである。

そして、引用例1には、
(i)「最初、画像データが画像入力回路2によって多値画像として取り込まれ、多値画像用データバスB1に出力される。データバスB1上の多値画像は多値画像メモリM1へ入力され蓄積される。」(第5頁下左欄第17〜20行)
との記載がなされており、この記載からみるに、本願発明と引用例1に記載された発明とは、
「画像情報を多値画像として入力するための画像情報入力手段」
を有する点で差異はない。

引用例1には、
(ii)「多値画像処理回路P1は、制御手段の制御下で多値画像用データバスB1上の多値画像を被処理画像として入力して、多値画像又は2値画像を処理結果として出力する。
2値画像処理回路P2は、同じく制御手段の制御下で2値画像用データバスB2上の2値画像を被処理画像として入力して、2値画像又は多値画像を処理結果として出力する。いずれの場合にも、処理結果が多値画像であるときには、多値画像用データバスB1に出力され、処理結果が2値画像であるときには、2値画像用データバスB2に出力される。なお、画像入出力回路2,3は、通常、多値画像用データバスB1に接続され、制御手段の制御下にて外部回路との間で多値画像の画像データの入出力を行う。」(第4頁下右欄第9行〜第5頁上左欄第2行)
(iii)「多値画像メモリM1に格納された多値画像は、処理時には、再び、多値画像用データバスB1に出力され、多値画像処理回路P1に入力される。処理回路P1では、入力された多値画像に対して演算処理が施されるが、処理出力としては、多値画像が出力される場合と2値画像が出力される場合がある。多値画像が出力される場合には、多値画像用データバスB1に出力され、2値画像が出力される場合には、2値画像用データバスB2に出力される。処理回路P1からデータバスB1又はB2上に出力されたデータは、多値画像であれば多値画像メモリM1に、2値画像であれば2値画像メモリM2に格納される。」(第5頁下右欄第5〜17行)
との記載がなされており、これらの記載からみるに、本願発明と引用例1に記載された発明とは、
「画像情報入力手段により多値画像として入力された画像情報に対して所定の画像処理を行うための第1の画像処理手段」
を有する点で差異はない。

引用例1には、
(iv)「多値画像処理回路P1は、制御手段の制御下で多値画像用データバスB1上の多値画像を被処理画像として入力して、多値画像又は2値画像を処理結果として出力する。
2値画像処理回路P2は、同じく制御手段の制御下で2値画像用データバスB2上の2値画像を被処理画像として入力して、2値画像又は多値画像を処理結果として出力する。いずれの場合にも、処理結果が多値画像であるときには、多値画像用データバスB1に出力され、処理結果が2値画像であるときには、2値画像用データバスB2に出力される。なお、画像入出力回路2,3は、通常、多値画像用データバスB1に接続され、制御手段の制御下にて外部回路との間で多値画像の画像データの入出力を行う。」(第4頁下右欄第9行〜第5頁上左欄第2行)
(v)「2値画像に対する演算処理は、2値画像メモリM2から2値画像用データバスB2に2値画像が読出され、データバスB2上の2値画像が2値画像処理回路P2に入力されることにより実現される。処理結果として得られる2値画像も再び2値画像用データバスB2に出力される。複数の2値画像間の処理を行う場合には、2値画像メモリM2が複数用意されており、処理回路P2に対して入出力される2値画像の枚数分の本数の2値画像用データバスB2が用意されておればよい。この時、処理される2値画像源は、2値画像メモリM2の読出しデータに限らず、多値画像処理回路P1からの2値画像出力であってもよく、また別の2値画像処理回路(図示せず)の処理出力であってもよい。」(第5頁下右欄第18行〜第6頁上左欄第12行)
(vi)「第1の処理回路が出力する2値画像を第2の処理回路が利用する場合では、利用する2値画像が進行中の処理と同時刻に並列的に得られるデータであるという点である。つまり、従来複数フレームを必要としていた処理であっても、本発明によって実時間で実行できる可能性が広がったと言える。」(第7頁上左欄第9〜15行)
(vii)「第6図は、2値画像処理回路P2に入力される2値画像として多値画像処理回路P1により生成される2値画像を利用する場合の接続状態を示している。」(第7頁上右欄第7〜10行)
との記載がなされており、これらの記載からみるに、本願発明と引用例1に記載された発明とは、
「第1の画像処理手段により所定の画像処理が施された画像情報に対して、異なる2値画像として所定の画像処理を行うための第2の画像処理手段」
を有する点で差異はない。

引用例1には、入力された多値画像は、多値画像処理回路P1で演算処理が施されるが、処理出力としては、多値画像が出力される場合と2値画像が出力される場合があり、多値画像であれば多値画像メモリM1に、2値画像であれば2値画像メモリM2に格納されることが記載されており(前記(iii)、(iv)参照。)、また、2値画像処理回路P2で処理される2値画像源は、2値画像メモリM2の読出しデータに限らず、多値画像処理回路P1からの2値画像出力であってもよく、また別の2値画像処理回路(図示せず)の処理出力であってもよいことが記載されており(前記(v)参照。)、そして、2値画像処理回路P2に入力される2値画像として多値画像処理回路P1により生成される2値画像を利用することが記載されており(前記(vii)参照。)、そして、引用例1には、
(viii)「画像データの出力は、画像メモリM1から読み出された画像データが画像データバスB1、画像出力回路3を介して、外部の画像表示機器や画像記録機器などに出力されることにより達成される。」(第2頁下左欄第9〜12行)
との記載がなされており、これらの記載からみるに、本願発明と引用例1に記載された発明とは、
「第1の画像処理手段もしくは第2の画像処理手段により所定の処理が施された画像情報を画像として再現するための画像情報再現手段」
を有する点で差異はない。

引用例1には、
(ix)「画像データの出力は、画像メモリM1から読み出された画像データが画像データバスB1、画像出力回路3を介して、外部の画像表示機器や画像記録機器などに出力されることにより達成される。
以上の他、画像データバスB1の内部構成によっては、画像入力回路2より得られる画像データを処理回路P1に直接導くこともできるし、あるいは、処理回路P1の出力するデータを画像出力回路3へ直接導くこともできる。このように、画像データバスB1を介した各回路の接続関係によって画像入力、画像処理、画像出力などの動作状態が決定される。」(第2頁下左欄第9〜20行)
(x)「多値画像処理回路P1は、制御手段の制御下で多値画像用データバスB1上の多値画像を被処理画像として入力して、多値画像又は2値画像を処理結果として出力する。
2値画像処理回路P2は、同じく制御手段の制御下で2値画像用データバスB2上の2値画像を被処理画像として入力して、2値画像又は多値画像を処理結果として出力する。いずれの場合にも、処理結果が多値画像であるときには、多値画像用データバスB1に出力され、処理結果が2値画像であるときには、2値画像用データバスB2に出力される。なお、画像入出力回路2,3は、通常、多値画像用データバスB1に接続され、制御手段の制御下にて外部回路との間で多値画像の画像データの入出力を行う。」(第4頁下右欄第9行〜第5頁上左欄第2行)
との記載がなされており、これらの記載からみるに、本願発明と引用例1に記載された発明とは、
「画像情報再現手段は第1の画像処理手段に接続され」
ている点で差異はない。

引用例1には、
(xi)「また、本発明は、単に多値画像と2値画像を全く別系統で取り扱うようにした点のみに特徴を有するのではなく、多値画像処理回路P1と2値画像処理回路P2及び多値画像メモリM1と2値画像メモリM2が多値画像用データバスB1又は2値画像用データバスB2を介して自由に連繋できるという点にも特徴がある。つまり、従来例にあっては、1つの処理回路P1に2値画像メモリMpが付帯的に配置されていたので、異なる2値画像メモリ間の演算を行ったり、第1の処理回路の生成した2値画像を第2の処理回路において使用したりすることはできなかったが、本発明ではそれが可能となる。また、このように、2値画像メモリM2は特定の処理回路に従属するものではないので、2値画像メモリの増設や処理回路の増設は自由に行うことができ、その際の設計変更も少なくて済む。」(第5頁上左欄第20行〜同頁上右欄第第16行)
(xii)「第1図に本発明によるディジタル画像処理装置の構成を示す。図中、M2は2値画像メモリ、P2は2値画像処理回路、B2は2値画像専用のデータバスであり、その他の構成については第7図の構成と同じである。多値画像用の画像メモリM1及び処理回路P1と、2値画像用の画像メモリM2及び処理回路P2は共に必要に応じて増設可能である。また、2値画像専用のデータバスB2も1本に限らず必要に応じて本数を増やすことができる。」(第5頁下左欄第5〜14行)
(xiii)「以上、本発明によって可能となった、各回路の新しい接続関係を図によって示したが、説明した新しい接続関係及び従来より可能だった接続関係などを複合したより複雑な接続が可能であることは言うまでもない。
なお、以上の説明では用いなかったが、2値画像を入力し、多値画像を出力するタイプの処理回路を、本発明の画像処理装置に組み込んで、使用することも可能である。」(第7頁下左欄第11〜19行)
(xiv)「また、2値画像メモリは、従来例のように処理回路に付帯的に接続されているのではなく、2値画像用のデータバスを介して処理回路に接続されているので、特定の処理回路に2値画像メモリが従属することはなく、したがって、2値画像メモリの増設や処理回路の増設が容易であり、その際の設計変更も少なくて済むという効果があり、また、異なる処理回路間で演算したり、異なる処理回路間で2値画像を共用したりすることが可能となり、2値画像の活用範囲を広げることができるという効果がある。」(第7頁下右欄第第17行〜第8頁上左欄第8行)
との記載がなされており、これらの記載からみるに、引用例1に記載の発明は、多値画像と2値画像を互いに分離独立して全く別系統で取り扱うようにしており、そして引用例1に記載された発明でいう「増設可能」と本願発明でいう「追加可能」とは同じことであるから、本願発明と引用例1に記載された発明とは、
「第2の画像処理手段は第1の画像処理手段に対し追加可能な異なる構成部品として分割構成されている」
点で差異はない。
なお、原審が拒絶の理由に引用した特開平5-68121号公報にも、各種画像処理を行う回路をその機能毎に複数の処理ボード(回路基板)に別々にユニット構成し、各処理ボードの増設を自由に行い,さまざまな動作形態に簡単に対応できる画像形成装置を提供することが記載されている。

引用例1には、
(xv)(問題点を解決するための手段)
本発明は、前記目的を達成するためになされたもので、第1図に示すように、画像データを入出力するための画像入力回路2,3と、画像データを記憶するための画像メモリM1,M2と、画像データに対して処理を施すための処理回路P1,P2と、前記各ハードウエアを制御するための制御手段(ホストCPU1)と、前記各ハードウエア間で画像データを転送するための画像データバスB1,B2とを備えて成る画像処理装置において、前記画像メモリは、1画素につき複数ビットの情報量を持つ多値画像のデータを記憶する多値画像メモリM1と、1画素につき1ビットの情報量を持つ2値画像のデータを記憶する2値画像メモリM2とを別々に含み、前記処理回路は、多値画像を被処理画像とする多値画像処理回路P1と、2値画像を被処理画像とする2値画像処理回路P2とを別々に含み、且つ、前記データバスは、多値画像を取り扱う回路間で多値画像のデータを転送するための多値画像用データバスB1と、2値画像を取り扱う回路間で2値画像のデータを転送するための2値画像用データバスB2とを別々に含むことを特徴とするものである。
(作用)
以下、第1図により本発明の作用を説明する。多値画像メモリM1は、制御手段(ホストCPU1)の制御下で多値画像用データバスB1上の画像データを記憶し、又は、予め記憶した多値画像の画像データを多値画像用データバスB1上に出力する。2値画像メモリM2は、同じく制御手段の制御下で2値画像用データバスB2上の画像データを記憶し、又は、予め記憶した2値画像の画像データを2値画像用データバスB2上に出力する。多値画像処理回路P1は、制御手段の制御下で多値画像用データバスB1上の多値画像を被処理画像として入力して、多値画像又は2値画像を処理結果として出力する。2値画像処理回路P2は、同じく制御手段の制御下で2値画像用データバスB2上の2値画像を被処理画像として入力して、2値画像又は多値画像を処理結果として出力する。いずれの場合にも、処理結果が多値画像であるときには、多値画像用データバスB1に出力され、処理結果が2値画像であるときには、2値画像用データバスB2に出力される。なお、画像入出力回路2,3は、通常、多値画像用データバスB1に接続され、制御手段の制御下にて外部回路との間で多値画像の画像データの入出力を行う。
本発明は上述のような作用を有するので、2値画像の記憶、処理及び転送は、2値画像メモリM2、2値画像処理回路P2及び2値画像用データバスB2をそれぞれ用いて効率良く行うことができる。つまり、2値画像の記憶は、メモリ容量の大きな多値画像用の画像メモリM1を用いることなく、メモリ容量の小さな2値画像用の画像メモリM2を用いて効率良く行うことができる。また、2値画像の処理は、2値画像を多値画像に拡張することなく、2値画像に対する特有の演算機能を効率良くハードウエア化した2値画像用の処理回路P2を用いて2値画像のままで効率良く行うことができる。さらに、2値画像の転送は、複数のビット幅を有する多値画像のデータバスB1の全ビットを占有することなく、1枚の2値画像につき1本の2値画像用データバスB2を用いて効率良く行うことができる。」(第4頁上右第16行〜第5頁上左第19行)
(xvi)「多値画像メモリM1に格納された多値画像は、処理時には、再び、多値画像用データバスB1に出力され、多値画像処理回路P1に入力される。処理回路P1では、入力された多値画像に対して演算処理が施されるが、処理出力としては、多値画像が出力される場合と2値画像が出力される場合がある。多値画像が出力される場合には、多値画像用データバスB1に出力され、2値画像が出力される場合には、2値画像用データバスB2に出力される。処理回路P1からデータバスB1又はB2上に出力されたデータは、多値画像であれば多値画像メモリM1に、2値画像であれば2値画像メモリM2に格納される。
2値画像に対する演算処理は、2値画像メモリM2から2値画像用データバスB2に2値画像が読出され、データバスB2上の2値画像が2値画像処理回路P2に入力されることにより実現される。処理結果として得られる2値画像も再び2値画像用データバスB2に出力される。複数の2値画像間の処理を行う場合には、2値画像メモリM2が複数用意されており、処理回路P2に対して入出力される2値画像の枚数分の本数の2値画像用データバスB2が用意されておればよい。この時、処理される2値画像源は、2値画像メモリM2の読出しデータに限らず、多値画像処理回路P1からの2値画像出力であってもよく、また別の2値画像処理回路(図示せず)の処理出力であってもよい。」(第5頁下右欄第5行〜第6頁第12行)
との記載がなされており、これらの記載からみるに、本願発明と引用例1に記載された発明とは、
「第2の画像処理手段には、画像情報が記憶可能な画像記憶手段が接続され」
ている点で差異はない。

引用例1には、
(a)画像データが画像入力回路2によって多値画像として取り込まれ、多値画像メモリM1へ入力され蓄積され(前記(i)参照。)、
(b)多値画像メモリM1に格納された多値画像は、処理時には、多値画像処理回路P1に入力され、多値画像処理回路P1で、所定の演算処理が施され、その演算結果は、多値画像または2値画像として出力され、多値画像の場合は多値画像メモリM1へ格納され、2値画像の場合は2値画像メモリM2へ格納され(前記(ii)、(iii)参照。)、
(c)2値画像処理回路P2で処理される2値画像源は、2値画像メモリM2の読出しデータに限らず、多値画像処理回路P1からの2値画像出力であってもよく、また別の2値画像処理回路(図示せず)の処理出力であってもよく(前記(v)、(vii)参照。)、
(d)画像データの出力は、画像メモリM1から読み出された画像データが画像出力回路3を介して、外部の画像表示装置や画像記録機器などに出力されることにより達成され(前記(viii)、(ix)参照。)、また画像入出力回路2,3は、通常は、多値画像用データバスB1に接続され、制御手段の制御下にて外部回路との間で多値画像の画像データの入出力を行う(前記(x)参照。)ことが記載されているから、本願発明と引用例1に記載された発明とは、
「画像情報入力手段により入力された画像情報は第1の画像処理手段により所定の画像処理が施され画像情報再現手段により画像として再現されるとともに、さらに第2の画像処理手段を追加することにより2値画像として所定の画像処理が施され」
る点で差異はない。

そうすると、本願発明と引用例1に記載された発明とは、
(一致点)
「画像情報を多値画像として入力するための画像情報入力手段と、
上記画像情報入力手段により多値画像として入力された画像情報に対して所定の画像処理を行うための第1の画像処理手段と、
上記第1の画像処理手段により所定の画像処理が施された画像情報に対して、異なる2値画像として所定の画像処理を行うための第2の画像処理手段と、
上記第1の画像処理手段もしくは第2の画像処理手段により所定の処理が施された画像情報を画像として再現するための画像情報再現手段とからなり、
上記画像情報再現手段は上記第1の画像処理手段に接続され、
上記第2の画像処理手段は上記第1の画像処理手段に対し追加可能な異なる構成部品として分割構成されており、
上記第2の画像処理手段には、画像情報が記憶可能な画像記憶手段が接続され、
上記画像情報入力手段により入力された画像情報は上記第1の画像処理手段により上記所定の画像処理が施され上記画像情報再現手段により画像として再現されるとともに、さらに上記第2の画像処理手段を追加することにより2値画像として所定の画像処理が施されることを特徴とする画像処理装置。」
である点で一致する。

(相違点の認定に先立って)
相違点の認定に先立って、先に、引用例1の記載から摘記した事項を、今再び書き記すと以下のとおりである。。
(ii)「多値画像処理回路P1は、制御手段の制御下で多値画像用データバスB1上の多値画像を被処理画像として入力して、多値画像又は2値画像を処理結果として出力する。
2値画像処理回路P2は、同じく制御手段の制御下で2値画像用データバスB2上の2値画像を被処理画像として入力して、2値画像又は多値画像を処理結果として出力する。いずれの場合にも、処理結果が多値画像であるときには、多値画像用データバスB1に出力され、処理結果が2値画像であるときには、2値画像用データバスB2に出力される。なお、画像入出力回路2,3は、通常、多値画像用データバスB1に接続され、制御手段の制御下にて外部回路との間で多値画像の画像データの入出力を行う。」(第4頁下右欄第9行〜第5頁上左欄第2行)
(iii)「多値画像メモリM1に格納された多値画像は、処理時には、再び、多値画像用データバスB1に出力され、多値画像処理回路P1に入力される。処理回路P1では、入力された多値画像に対して演算処理が施されるが、処理出力としては、多値画像が出力される場合と2値画像が出力される場合がある。多値画像が出力される場合には、多値画像用データバスB1に出力され、2値画像が出力される場合には、2値画像用データバスB2に出力される。処理回路P1からデータバスB1又はB2上に出力されたデータは、多値画像であれば多値画像メモリM1に、2値画像であれば2値画像メモリM2に格納される。」(第5頁下右欄第5〜17行)
(v)「2値画像に対する演算処理は、2値画像メモリM2から2値画像用データバスB2に2値画像が読出され、データバスB2上の2値画像が2値画像処理回路P2に入力されることにより実現される。
(中略)
この時、処理される2値画像源は、2値画像メモリM2の読出しデータに限らず、多値画像処理回路P1からの2値画像出力であってもよく、また別の2値画像処理回路(図示せず)の処理出力であってもよい。」(第5頁下右欄第18行〜第6頁上左欄第12行)
(vii)「第6図は、2値画像処理回路P2に入力される2値画像として多値画像処理回路P1により生成される2値画像を利用する場合の接続状態を示している。」(第7頁上右欄第7〜10行)
(viii)「画像データの出力は、画像メモリM1から読み出された画像データが画像データバスB1、画像出力回路3を介して、外部の画像表示機器や画像記録機器などに出力されることにより達成される。」(第2頁下左欄第9〜12行)
(ix)「画像データの出力は、画像メモリM1から読み出された画像データが画像データバスB1、画像出力回路3を介して、外部の画像表示機器や画像記録機器などに出力されることにより達成される。
以上の他、画像データバスB1の内部構成によっては、画像入力回路2より得られる画像データを処理回路P1に直接導くこともできるし、あるいは、処理回路P1の出力するデータを画像出力回路3へ直接導くこともできる。このように、画像データバスB1を介した各回路の接続関係によって画像入力、画像処理、画像出力などの動作状態が決定される。」(第2頁下左欄第9〜20行)
(xiii)「以上、本発明によって可能となった、各回路の新しい接続関係を図によって示したが、説明した新しい接続関係及び従来より可能だった接続関係などを複合したより複雑な接続が可能であることは言うまでもない。
なお、以上の説明では用いなかったが、2値画像を入力し、多値画像を出力するタイプの処理回路を、本発明の画像処理装置に組み込んで、使用することも可能である。」(第7頁下左欄第11〜19行)
以上の記載からみて、引用例1に記載された発明は、画像入力回路2によって取り込んだ多値画像データを、多値画像用データバスB1に出力し、多値画像メモリM1へ格納し、処理時には再び、多値画像メモリM1から読み出し、多値画像用データバスB1に出力して多値画像処理回路P1に入力し、そして、多値画像処理回路P1での処理結果が多値画像であれば多値画像用データバスB1を介して多値画像メモリM1に格納し、処理結果が2値画像であれば2値画像用データバスB2を介して2値画像メモリM2に格納し、次に、2値画像メモリM2に格納されている2値画像または多値画像処理回路P1からの2値画像出力を、バスB2を介して2値画像処理回路P2に入力し、処理結果が2値画像であればバスB2を介して2値画像メモリM2に格納し、処理結果が多値画像であればバスB1を介して多値画像メモリM1に格納し、その後、メモリM1に格納されている処理済みの画像データを、画像出力回路3を介して画像表示機器や画像記録機器により画像として再現するものである。

そうすると、本願発明と引用例1に記載された発明は、次の点で相違する。
(相違点1)
本願発明は、第2の画像処理手段が、外部から通信回線を介して送られてきた画像情報を受け入れるための入力部を備え、該入力部から入力された画像情報を2値画像として処理し、そして前記入力部により外部から通信回線を介して送られてきた画像情報を第2の画像処理手段に接続された画像記憶手段に記憶しているのに対し、
引用例1に記載された発明は、2値画像処理回路P2(第2の画像処理手段に相当)が、ディジタル画像処理装置内部の画像データを受け入れ、2値画像として処理し、そしてディジタル画像処理装置内部の画像データを2値画像処理回路P2に接続された2値画像メモリM2に記憶するものではあるが、外部から通信回線を介して送られてきた画像データを受け入れ2値画像として処理し、そして外部から通信回線を介して送られてきた画像データを2値画像処理回路P2に接続された2値画像メモリM2に記憶するとは明記しない点。

(相違点2)
本願発明は、第2の画像処理手段が、外部から通信手段を介して送られてきた画像情報に対しても2値画像としての所定の画像処理を施し、該第2の画像処理手段で2値画像処理された画像情報を、再現手段により画像として再現しているのに対し、
引用例1に記載された発明は、2値画像処理回路P2(第2の画像処理手段に相当)が、ディジタル画像処理装置内部の画像データに対して2値画像としての所定の画像処理を施し、該2値画像処理回路P2で2値画像処理された画像データを、画像出力回路3を介して画像表示機器や画像記録機器により画像として再現するものではあるが、通信回線を介して外部の画像データから受信した画像データに2値画像としての所定の画像処理を施し、処理後の画像データを画像表示機器や画像記録機器により画像として再現するとは明記しない点。

4.当審の判断
(相違点1について)
前記相違点について判断するに、
(i)引用例1には、
(i.a)「この時、処理される2値画像源は、2値画像メモリM2の読出しデータに限らず、多値画像処理回路P1からの2値画像出力であってもよく、また別の2値画像処理回路(図示せず)の処理出力であってもよい。」(第6頁上左欄第7〜12行)
(i.b)「第1の処理回路が出力する2値画像を第2の処理回路が利用する場合では、利用する2値画像が進行中の処理と同時刻に並列的に得られるデータであるという点である。つまり、従来複数フレームを必要としていた処理であっても、本発明によって実時間で実行できる可能性が広がったと言える。」(第7頁上左欄第9〜15行)
との記載がなされており、これらの記載からみるに、引用例1に記載された発明は、入力回路2に取り込まれる画像データが、外部から通信回線を介して入力される画像データであることを排除するものではない。
(ii)画像情報を、インターネット等の通信回線を介して互いに送受し合い、受信した画像情報を記憶装置に格納し、その後記憶装置から画像情報を読み出して表示又は印刷し、そして該画像情報に対して所定の処理をし編集することは、当業者のみならず、一般のパーソナルコンピュータのユーザが、従来より行っている周知技術事項である。
(iii)処理装置に設けられたスキャナ(画像読取手段)を用い、処理装置の外部にある画像情報を読み取り、処理装置内部のメモリに読み込み、その後メモリから画像情報を読み出し、通信回線を介して他の処理装置に送信すること等は、当業者のみならずパーソナルコンピュータのユーザ及びファクシミリ装置のユーザが従来より行っている周知技術事項である。
(iv)画像処理系30としての多値画処理系31及び2値画処理系18、更に画像処理に必要なMPU等も含む他の機能を1チップ上に集積した画像処理装置において、
(iv.a)センサ17(画像読取手段)により外部の画像情報を取り込み、該取り込んだ画像情報に対して多値画像処理を施し、さらに2値画像処理をも施すこと、
(iv.b)外部から通信回線を介して送られてきた2値画像情報を受信し、該画像情報を2値画像処理系18で処理することは、例えば、当審が拒絶の理由で引用した特開平8-110885号公報にその旨が開示されているように、当業者には周知な技術事項である。
したがって、前記(ii)〜(iv)に示される周知技術事項を引用例1に記載された発明に適用して、本願発明の如く、画像処理装置内部の画像情報だけに限らず、外部から通信回線を介して受信した画像情報に対しても、第2の画像処理手段により2値画像としての処理を施すことは、当業者が適宜なし得ることである。

(相違点2について)
前記相違点2について判断するに、
(i)先に述べたように、引用例1には、入力回路2にて取り込んだ画像データを、多値画像処理回路P1で多値画像処理し、更に2値画像処理回路P2で2値画像処理し、その後画像出力回路3を介して画像表示機器や画像記録機器に再現することが記載されている。
(ii)画像処理装置内部の画像情報を表示手段及び記録手段により再現することは、当業者が従来より行っている周知な技術事項であり、また、通信回線を介して受信した画像情報を、表示手段や記録手段により画像として再現することも当業者が従来より行っている周知な技術事項である。
(iii)モノクロ多値画像スキャナー1により読み込んだ装置外部にある2値または多値画像データに対して多値画像処理または2値画像処理を施し、処理後の2値または多値の画像データをモノクロ多値出力プリンタ11を用いて、2値画像または多値画像として再現することは、当審が拒絶の理由で引用した特開平4-151976号公報にその旨が開示されているように、当業者には周知な技術事項である。
したがって、引用例1に記載された発明に前記(ii)、(iii)に示される周知技術事項を適用して、本願発明の如く、画像処理装置内部の画像情報に限らず、外部から通信回線を介して受信した画像情報についても第2の画像処理手段により2値画像としての処理を施し画像として再現するようにすることは、当業者が適宜なし得ることである。

5.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例1に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、他の請求項について検討するまでもなく、本願は特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-11-28 
結審通知日 2005-11-29 
審決日 2005-12-12 
出願番号 特願平9-285390
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 白石 圭吾  
特許庁審判長 関川 正志
特許庁審判官 岡本 俊威
佐藤 敬介
発明の名称 画像処理装置  
代理人 高野 明近  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ