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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  B41J
管理番号 1132546
異議申立番号 異議2003-72264  
総通号数 76 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2003-09-09 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-09-10 
確定日 2005-12-12 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3385016号「画像プリント作成装置およびそれに用いる印刷媒体と記憶媒体の供給セットならびにその製造方法」の請求項1ないし8に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3385016号の請求項1に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
本件出願からの主だった経緯を箇条書きにすると次のとおりである。
・平成14年3月4日 特許権者により本件出願
・同年12月27日 特許第3385016号として設定登録(請求項1〜8)
・平成15年9月10日 特許異議申立人村戸良至より請求項1〜8に係る特許に対して特許異議申立
・同年15年12月5日付け 当審にて取消理由を通知
・平成16年2月13日 特許権者より意見書及び訂正請求書(後に取り下げ)提出
・同年3月4日付け 当審にて特許異議申立人に対して審尋
・同年4月14日 特許異議申立人より回答書提出
・平成17年10月25日付け 当審にて再度の取消理由を通知
・同年11月8日 特許権者より訂正請求書提出

第2 訂正の許否の判断
1.訂正の内容
平成17年11月8日付けの訂正請求は以下の訂正事項からなっている。
[訂正事項1]発明の名称を「画像プリント作成装置」と訂正する。
[訂正事項2]訂正前8項あった特許請求の範囲を単一の【請求項1】のみとし、次のように訂正する。
「撮影領域内に存在する使用者を含む被写体を撮影して撮影画像を生成する撮影手段と、
上記撮影画像と入力されたお絵描き画像とを合成する画像合成手段と、上記画像合成手段によって合成された合成画像を画像プリントとして印刷出力するプリンタと、上記撮影手段,画像合成手段およびプリンタを制御する制御装置とを備えた画像プリント作成装置であって、
上記プリンタで使用される印刷媒体とセットで供給される記憶媒体に当該印刷媒体の感度変動情報が記憶され、上記記憶媒体に当該印刷媒体の印刷可能枚数が併せて記憶され、上記プリンタに上記印刷媒体が装着される一方、上記記憶媒体が当該印刷媒体とは別に供されて上記感度変動情報および印刷可能枚数を読み取る読取手段と、
上記読み取られた感度変動情報に基づいてプリンタによる印刷状態が適正になるよう補正する補正手段と、
上記記憶媒体から読み取られた印刷可能枚数だけ印刷出力を可能として稼動を停止する出力制限手段とを有し、
上記補正手段は、上記撮影手段,画像合成手段およびプリンタを制御する制御装置に設けられ、プリンタに入力する画像データを補正することにより上記合成画像の印刷状態が適正になるように補正するものであることを特徴とする画像プリント作成装置。」(下線部が訂正箇所)と訂正する。
[訂正事項3]明細書の段落【0001】及び【0015】の「画像プリント作成装置およびそれに用いる印刷媒体と記憶媒体の供給セットならびにその製造方法」との記載を「画像プリント作成装置」と訂正する。
[訂正事項4]明細書の段落【0016】の記載を「【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の画像プリント作成装置は、
撮影領域内に存在する使用者を含む被写体を撮影して撮影画像を生成する撮影手段と、
上記撮影画像と入力されたお絵描き画像とを合成する画像合成手段と、上記画像合成手段によって合成された合成画像を画像プリントとして印刷出力するプリンタと、上記撮影手段,画像合成手段およびプリンタを制御する制御装置とを備えた画像プリント作成装置であって、
上記プリンタで使用される印刷媒体とセットで供給される記憶媒体に当該印刷媒体の感度変動情報が記憶され、上記記憶媒体に当該印刷媒体の印刷可能枚数が併せて記憶され、上記プリンタに上記印刷媒体が装着される一方、上記記憶媒体が当該印刷媒体とは別に供されて上記感度変動情報および印刷可能枚数を読み取る読取手段と、
上記読み取られた感度変動情報に基づいてプリンタによる印刷状態が適正になるよう補正する補正手段と、
上記記憶媒体から読み取られた印刷可能枚数だけ印刷出力を可能として稼動を停止する出力制限手段とを有し、
上記補正手段は、上記撮影手段,画像合成手段およびプリンタを制御する制御装置に設けられ、プリンタに入力する画像データを補正することにより上記合成画像の印刷状態が適正になるように補正するものであることを要旨とする。」と訂正する。

2.訂正の目的、新規事項追加の存否及び特許請求の範囲の拡張・変更の有無
訂正前の請求項1〜8に係る発明及び訂正後の請求項1に係る発明は、すべて「画像プリント作成装置」の発明であるから、訂正事項1,3は、誤記の訂正を目的とするものと認める。
訂正事項2のうち、補正手段が制御装置に設けられ、プリンタに入力する画像データを補正することにより印刷状態が適正になるよう補正することは、訂正前の請求項6の発明特定事項であったから、訂正後の請求項1は訂正前の請求項6に対応し、訂正前の請求項1〜5,7,8は削除された。訂正事項1は、さらに「撮影画像と入力されたお絵描き画像とを合成する画像合成手段」を有すること、「画像合成手段によって合成された合成画像画像を画像プリントとして印刷出力する」こと、及び「制御装置」が訂正前請求項6記載の「撮影手段やプリンタ」だけでなく「画像合成手段」をも制御することを限定したものであり、これらの訂正は特許請求の範囲の減縮を目的とするものと認める。
訂正事項2のうち、「上記プリンタに上記印刷媒体が装着される一方、上記記憶媒体が当該印刷媒体とは別に供されて」との事項については、明りようでない記載の釈明を目的とするものと認める。その理由は次のとおりである。
「印刷媒体」との用語は、通常用紙又はインクリボン等を意味するものであるから、これらを保持する部材は「印刷媒体」に含まれないと解する余地は十分ある。他方、特許異議申立人が提出した特開2000-355137号公報(甲第2号証)に、「印刷媒体に記憶手段を設ける」(1頁【要約】欄)、「印刷媒体は、・・・所定の制御データを記憶する記憶手段と・・・を具え」(【請求項1】)、「リボンカートリッジ11のサプライスプール21のつば部21Aの後面には、それぞれ環状のフレキシブル配線板51、保護フィルム52及び保護シート53を順次一体に積層してなるタグ50が貼り付けられている。」(段落【0034】)、「フレキシブル配線板51の一面には、・・・メモリICチップ55が実装されている。」(段落【0035】)及び「メモリICチップ55には、・・・リボンカートリッジ11のインクリボン20(図2)の種別や可能印画枚数及び実印画枚数などのデータが予め格納されたEEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)60・・・とが形成されている。」(段落【0038】)と記載されているところ、同文献では記憶媒体(メモリICチップ55)はサプライスプールのつば部に設けられており、これをもって「印刷媒体に記憶手段を設ける」と表現しているのだから、ここでの「印刷媒体」との用語は、用紙又はインクリボン等を保持する部材を含む意味で用いられていることが明らかである。そうすると、訂正前請求項1の「上記プリンタで使用される印刷媒体とセットで供給される記憶媒体」との記載だけでは、記憶媒体が用紙又はインクリボン等を保持する部材に設けられた場合を含むのかどうか明らかでなく、記憶媒体が印刷媒体とは別に供されるのかどうかも明らかでない。そこで、特許明細書の発明の詳細な説明を参酌すると、「印刷媒体15に記録された感度変動情報に基づいて、プリンタ装置内に備えた読取手段と補正手段により印刷品質を一定に保つ方法およびプリンタ装置が考案されている(特開2001-260406)。」(段落【0010】)と記載されているところ、ここに記載の特開2001-260406号公報は特許異議申立人が提出した甲第3号証であって、そこには「給紙カセットを装填すると、記録紙パッケージのバーコードから記録紙の製造年月日と各色毎の感度情報がバーコードスキャナー40で読み出される。」(1頁【要約】欄)及び「収納部材または巻芯等に少なくとも製造時の日付情報と感度情報とが記録された記録紙」(【請求項1】)等の記載があるから、特許明細書では収納部材または巻芯等の用紙保持部材を含める意味で「印刷媒体」との用語を用いていることが明らかである。実施例をみても、「巻芯26のバーコード27をバーコードリーダ28で読み取って、読み取った感度変動情報を自動的に記憶媒体14に入力して記憶させることが行なわれる。」(段落【0075】)及び「感度変動情報を読み取った印刷媒体15と、当該感度変動情報が記憶された記憶媒体14とが供給セットとして一緒に供給される。」(段落【0077】)等の記載があるとおり、記憶媒体が印刷媒体とは別に供されることが明らかである。したがって、「上記プリンタに上記印刷媒体が装着される一方、上記記憶媒体が当該印刷媒体とは別に供されて」とすることは、「上記プリンタで使用される印刷媒体とセットで供給される記憶媒体」との記載だけでは明りようとはいえない記載を明りようにするものである。
訂正事項4は訂正事項2に付随するものであるから、訂正事項2と目的は同一である。
訂正事項1〜4が、願書に添付した明細書若しくは図面に記載した事項の範囲内でされたこと、及び特許請求の範囲を実質上拡張・変更するものでないことは明らかである。

3.訂正の許否の判断の結論
以上のとおり、平成17年11月8日付け訂正請求は、平成15年改正前特許法120条の4第2項ただし書き、並びに同条3項で準用する同法126条2項及び3項の規定に適合する。よって、訂正を認める。

第3 特許異議申立についての判断
1.本件発明の認定
訂正が認められるから、本件の請求項1に係る発明(以下「本件発明」という。)は、訂正請求書に添付された訂正明細書の特許請求請求の範囲【請求項1】に記載された事項(訂正事項2)によって特定されるものであり、再掲すると次のとおりである。
「撮影領域内に存在する使用者を含む被写体を撮影して撮影画像を生成する撮影手段と、
上記撮影画像と入力されたお絵描き画像とを合成する画像合成手段と、上記画像合成手段によって合成された合成画像を画像プリントとして印刷出力するプリンタと、上記撮影手段,画像合成手段およびプリンタを制御する制御装置とを備えた画像プリント作成装置であって、
上記プリンタで使用される印刷媒体とセットで供給される記憶媒体に当該印刷媒体の感度変動情報が記憶され、上記記憶媒体に当該印刷媒体の印刷可能枚数が併せて記憶され、上記プリンタに上記印刷媒体が装着される一方、上記記憶媒体が当該印刷媒体とは別に供されて上記感度変動情報および印刷可能枚数を読み取る読取手段と、
上記読み取られた感度変動情報に基づいてプリンタによる印刷状態が適正になるよう補正する補正手段と、
上記記憶媒体から読み取られた印刷可能枚数だけ印刷出力を可能として稼動を停止する出力制限手段とを有し、
上記補正手段は、上記撮影手段,画像合成手段およびプリンタを制御する制御装置に設けられ、プリンタに入力する画像データを補正することにより上記合成画像の印刷状態が適正になるように補正するものであることを特徴とする画像プリント作成装置。」

2.特許異議申立理由
特許異議申立人の主張は次のとおりである。
請求項1〜6(訂正前である。以下省略。)に係る発明は、特開2000-231152号公報(甲第1号証)、甲第2号証、甲第3号証、特開2001-297342号公報(甲第4号証)及び特開2001-18507号公報(甲第5号証)に記載の発明に基づいて当業者が発明をすることができた。
請求項7に係る発明は、甲第1〜第5号証及び特開平5-286160号公報(甲第6号証)に記載の発明に基づいて当業者が発明をすることができた。
請求項8に係る発明は、甲第1〜第5号証及び特開平8-72273号公報(甲第7号証)に記載の発明に基づいて当業者が発明をすることができた。
したがって、請求項1〜8に係る特許は特許法29条2項の規定に違反してされた特許であるから、平成15年改正前特許法113条2号に該当するものとして取り消されるべきである。

3.特許異議申立理由の妥当性の判断
甲第1号証には、「印刷用紙の属性情報とは、プリカット用紙であるか否か、プリカット用紙であればそのカット形式、光沢紙か否か、光沢紙の品質、サイズ、製造日などの情報である。これらの属性情報は印刷用紙に予め付加しておくことを前提とする。付加の仕方については、被写体画像を印刷する面の裏面または外縁部にバーコードを印刷するとか、複数個からなる微細穴を明けておくなどの方法を採用する。」(段落【0007】)及び「印刷形式とは、被写体画像をn×m個の枠に印刷する様式の他に、光沢紙や普通紙に印刷する際の印刷濃度などを全て包含するものである。」(段落【0008】)との記載があり、段落【0007】記載の「属性情報」が本件発明の「感度変動情報」に対応することは認める。しかし、甲第1号証記載の「属性情報」は、「印刷する面の裏面または外縁部にバーコードを印刷するとか、複数個からなる微細穴を明けておくなどの方法」により形成されるのだから、属性情報が付された媒体という意味で「記憶媒体」に当たるものは印刷用紙自体であって「印刷媒体とは別に供され」るものではなく、「印刷媒体とセットで供給される」ものでもない。
特許異議申立人は「上記プリンタで使用される印刷媒体とセットで供給される記憶媒体に当該印刷媒体の感度変動情報が記憶され」との発明特定事項が、甲第2,3,5号証に記載されていると主張するので検討する(甲第4,6号証は、同発明特定事項が公知又は想到容易であることを立証するために提出された証拠ではないから、同発明特定事項の想到容易性を判断するに当たっては、検討する必要がない。)。
第2で述べたとおり、本件発明の「記憶媒体」及び「感度補正情報」に相当する甲第2号証記載のものは、「メモリICチップ55」及び「制御データ」であると認められるところ、「メモリICチップ55」はサプライスプールのつば部に設けられているのだから、「印刷媒体とは別に供され」るものではなく、「印刷媒体とセットで供給される」ものでもない。
同じく第2で述べたとおり、甲第3号証記載の「感度情報」は本件発明の「感度補正情報」に相当すると認められるものの、それは収納部材または巻芯等記録紙パッケージにバーコードとして記録されているのだから、本件発明の「記憶媒体」に対応するのは「記録紙パッケージ」であって、「印刷媒体とは別に供され」るものではなく、「印刷媒体とセットで供給される」ものでもない。
甲第5号証には、「消耗品の一部に電子データによる情報を格納する情報記憶手段を装備」(【請求項1】)、「消耗品情報における該消耗品の適性条件を示すマッチングパラメータに基づいて、該消耗品の特性に対応して各種調整機能を自動的に調整する」(【請求項7】)及び「第1の消耗品である前記インクカートリッジ3」(段落【0037】)等の記載がある。なるほど、用紙やインクリボン等は「消耗品」の一種であろうし、「インクカートリッジ」も「印刷媒体」といいうるかもしれない。しかし、「情報記憶手段」(本件発明の「記憶媒体」に相当する。)は「消耗品の一部に」装備されるのだから、「印刷媒体とは別に供され」るものではなく、「印刷媒体とセットで供給される」ものでもない。
以上のとおり、「上記プリンタで使用される印刷媒体とセットで供給される記憶媒体に当該印刷媒体の感度変動情報が記憶され」との発明特定事項が、甲第2,3,5号証に記載されているとの特許異議申立人の主張は誤りというよりない。また、印刷媒体が交換されれば、新たな印刷媒体について新たな感度変動情報を読み取らなければならず、記憶媒体を印刷媒体とは別に供するとの本件発明の発明特定事項を採用するならば、記憶媒体の装着し忘れのおそれもあるのだから、甲第2号証に記載されているように、印刷媒体を装着することにより、同時に記憶媒体も装着する方が、確実に感度変動情報を読み取る上では有利である。そうであるならば、わざわざ記憶媒体を印刷媒体とは別に供するとの発明特定事項に至るためには、現実に同発明特定事項が採用された公知例が存在するか、それとも同発明特定事項を採用する動機がなければならないが、特許異議申立人の提出した証拠からは、上記の意味での公知例の存在を認めることができず、また同発明特定事項を採用する動機があると認めることもできない。
したがって、本件発明が甲第1〜第5号証記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたと認めることもできない。

第4 むすび
以上によれば、特許異議申立人の主張する理由及び提出した証拠によっては、請求項1に係る特許を取り消すことはできない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
画像プリント作成装置
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】撮影領域内に存在する使用者を含む被写体を撮影して撮影画像を生成する撮影手段と、上記撮影画像と入力されたお絵描き画像とを合成する画像合成手段と、上記画像合成手段によって合成された合成画像を画像プリントとして印刷出力するプリンタと、上記撮影手段,画像合成手段およびプリンタを制御する制御装置とを備えた画像プリント作成装置であって、
上記プリンタで使用される印刷媒体とセットで供給される記憶媒体に当該印刷媒体の感度変動情報が記憶され、上記記憶媒体に当該印刷媒体の印刷可能枚数が併せて記憶され、上記プリンタに上記印刷媒体が装着される一方、上記記憶媒体が当該印刷媒体とは別に供されて上記感度変動情報および印刷可能枚数を読み取る読取手段と、
上記読み取られた感度変動情報に基づいてプリンタによる印刷状態が適正になるよう補正する補正手段と、
上記記憶媒体から読み取られた印刷可能枚数だけ印刷出力を可能として稼動を停止する出力制限手段とを有し、
上記補正手段は、上記撮影手段,画像合成手段およびプリンタを制御する制御装置に設けられ、プリンタに入力する画像データを補正することにより上記合成画像の印刷状態が適正になるよう補正するものであることを特徴とする画像プリント作成装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主としてゲームセンター等に設置され、硬貨等が投入されることにより使用者を含む被写体を撮影し、得られた撮影画像をプリントして出力する画像プリント作成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、ゲームセンター等において、写真を撮影してシールプリント等にする写真自販機が数多く設置されている。このような写真自販機としては、一般に、図9に示すようなものが用いられている。このものは、内部および前面に各種の装置が設けられた筐体1と、上記筐体1の上下から被写体2の背後まで達するように突き出された支柱3とを備えている。
【0003】
そして、上記両支柱3の先端部分に、撮影の際の背景となるカーテン5が吊設され、上記筐体1,支柱3,カーテン5で囲まれた空間が、被写体2の撮影用ブースを形成している。上側の支柱3には、撮影用ブース内の被写体2を照射する2つのライト4が取り付けられている。
【0004】
上記筐体1の内部には、被写体2を撮影するカメラ6が設けられている。上記筐体1のカメラ6の被写体2側に位置する面には、透明板10が嵌め込まれている。また、上記筐体1の内部には、上記カメラ6から画像データを受信して画像合成等の処理を行なうコンピュータ装置7が設けられている。また、上記筐体1の被写体2側には、上記コンピュータ装置7から送信された合成画像等の画像信号を受信して画像を表示するディスプレイ8が設けられている。
【0005】
さらに、上記筐体1の正面には、コンピュータ装置7から送信された画像データを受信し、この画像を印刷媒体15に印刷するプリンタ9が設けられている。このプリンタ9で印刷された印刷媒体15は、筐体1の前面に形成された送出口19から送出されるようになっている。
【0006】
さらに、上記筐体1の前面にはタッチペン12を備えた操作パネルが設けられ、使用者2が上記タッチペン12の先端をディスプレイ8の表面に接触させて文字や図形等を描いて入力しうるようになっており、手書き入力された文字・図形等の画像データやスタンプ画像等が、カメラ6で撮影された被写体2の撮影画像と合成されてディスプレイ8に表示され、印刷媒体15に印刷されるようになっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、プリンタ9やそれに用いる印刷媒体15の種類によっては、印刷媒体15の製造時からの経時変化や製造時バラツキ等の要因で、印刷媒体15の発色や感度等に変動が生じる場合がある。このような発色や感度に変動があると、適正な色調の印刷結果が得られず、赤や音響の特定の原色が本来の色調より強く現れたり、濃度が正常に現れなかったりする不都合が生じることとなる。
【0008】
このような印刷媒体15の特性変動は、製造されてからの経時変化や製造ロット間のバラツキであることが多いことから、印刷媒体15といっしょに色調や濃度の補正情報が記載された補正指示書が同梱され、印刷媒体15の使用前に上記補正指示書にしたがって特性変動を調整することで適正な印刷を実現することができる。
【0009】
ところが、上記補正はプリンタ9の設定等を人手によって調整したり、画像プリント作成装置をメンテナンスモードにして調整したりする必要がある。このため、ゲームセンター等において管理される画像プリント作成装置の場合、印刷媒体15の消費量も多くて補充も頻繁であることから、煩雑な調整作業を徹底するのが現実的ではなく、上記のような手作業による補正作業はほとんど行なわれていなかったのが実情である。
【0010】
ここで、印刷媒体15に記録された感度変動情報に基づいて、プリンタ装置内に備えた読取手段と補正手段により印刷品質を一定に保つ方法およびプリンタ装置が考案されている(特開2001-260406)。
【0011】
ところが、プリンタ装置に読取手段や補正手段を設けることからプリンタ装置そのもののコストが極めて高くなってしまい、結果的に写真自販機のコストを引き上げてしまう。また、コストだけでなく、流通等を含む他の要因により上記プリンタ装置を写真自販機に適用できない場合も現実には少なからず生じてくる。
【0012】
しかも、上記プリンタ装置では、補正手段がプリンタ装置に内蔵されたものであり、写真自販機として求められる印刷品質に対応した補正が容易に行なえない。例えば、写真自販機としては、肌色が健康的に見えるような色調で印刷を行ないたいというような特有のニーズがあるが、上記プリンタ装置では標準的な補正を行なうに留まり、上述したようなニーズに合わせた補正は行なえない。
【0013】
一方、従来の写真自販機では、装置の供給元の利益を確保するため、店舗が独自に入手した印刷媒体の使用を制限することが行なわれることが多い。このような印刷媒体をプロテクトする方法としては、印刷媒体そのものにプロテクト情報を持たせる方法と、プロテクト情報を記憶媒体に持たせ、装置に上記記憶媒体の読取装置を設けるとともに、印刷媒体と記憶媒体をセットで供給する方法がある。
【0014】
記憶媒体を用いた印刷媒体のプロテクトは、記憶媒体に印刷可能枚数が記憶され、この記憶媒体が装置に装着されることを条件として印刷が可能となっており、1枚印刷することに上記印刷可能枚数が1枚ずつ減るようになっている。このように、上記記憶媒体は、印刷媒体のプロテクトのためにだけ用いられてきた。
【0015】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、供給する印刷媒体の特性に応じて自動的に印刷状態を適正に補正しうる画像プリント作成装置の提供を目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の画像プリント作成装置は、
撮影領域内に存在する使用者を含む被写体を撮影して撮影画像を生成する撮影手段と、上記撮影画像と入力されたお絵描き画像とを合成する画像合成手段と、上記画像合成手段によって合成された合成画像を画像プリントとして印刷出力するプリンタと、上記撮影手段,画像合成手段およびプリンタを制御する制御装置とを備えた画像プリント作成装置であって、
上記プリンタで使用される印刷媒体とセットで供給される記憶媒体に当該印刷媒体の感度変動情報が記憶され、上記記憶媒体に当該印刷媒体の印刷可能枚数が併せて記憶され、上記プリンタに上記印刷媒体が装着される一方、上記記憶媒体が当該印刷媒体とは別に供されて上記感度変動情報および印刷可能枚数を読み取る読取手段と、
上記読み取られた感度変動情報に基づいてプリンタによる印刷状態が適正になるよう補正する補正手段と、
上記記憶媒体から読み取られた印刷可能枚数だけ印刷出力を可能として稼動を停止する出力制限手段とを有し、
上記補正手段は、上記撮影手段,画像合成手段およびプリンタを制御する制御装置に設けられ、プリンタに入力する画像データを補正することにより上記合成画像の印刷状態が適正になるよう補正するものであることを要旨とする。
【0017】
すなわち、本発明の画像プリント作成装置は、上記プリンタで使用される印刷媒体の感度変動情報が記憶された記憶媒体の上記感度変動情報を読み取る読取手段と、上記読み取られた感度変動情報に基づいてプリンタによる印刷状態が適正になるよう補正する補正手段とを有している。このため、供給された印刷媒体に感度の変動があったとしても、上記感度変動情報を記憶媒体から読み取ってプリンタによる印刷状態が適正になるよう補正できる。したがって、印刷媒体が製造時から期間が経過して感度に経時変化が現れたり製造ロットごとの感度バラツキがあったりしても適正な印刷を実現でき、従来のように色調や濃度が正常に現れないという不都合が発生しない。しかも、印刷状態の補正を自動的に行なえることから、従来のようにプリンタの設定を人手によって調整したり、画像プリント作成装置自体をメンテナンスモードにして調整したりするような手作業による補正作業の必要がなくなる。
【0018】
本発明の画像プリント作成装置において、上記感度変動情報が印刷媒体の製造時バラツキに対応したものである場合には、例えば製造ロットごとの感度バラツキを適正に補正できる。例えば、製造ロットごとに感度バラツキが生じ、印刷媒体におけるY(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン)の各色に対応して基準値に比べてどの色を強くあるいは弱く発色させるかという補正値が製造ロットごとに生じる場合、感度変動情報として上記補正値を記憶媒体に記憶させておき、それに基づいて適正な印刷に補正できる。
【0019】
本発明の画像プリント作成装置において、上記感度変動情報が印刷媒体の製造時からの経時変化に対応したものである場合には、製造時から期間が経過して印刷媒体の感度に経時変化が現れても適正に補正できる。例えば、製造日からの経過時間によって感度バラツキが生じ、印刷媒体におけるY(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン)の各色に対応して基準値に比べてどの色を強くあるいは弱く発色させるかという補正値が経過時間に応じて生じる場合、感度変動情報として上記補正値を記憶媒体に記憶させておき、それに基づいて適正な印刷に補正できる。あるいは、感度変動情報として上記製造日を記憶媒体に記憶させておき、製造日からの経過時間を算出してそれに基づいて適正な印刷に補正できる。
【0020】
本発明の画像プリント作成装置において、上記感度変動情報が補正手段に対する補正指示情報である場合には、補正指示情報を読み取って直接補正することができる。上記補正指示情報とは、例えば、印刷媒体におけるY(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン)の各色に対応して基準値に比べてどの色を強くあるいは弱く発色させるかという補正値の情報である。
【0021】
本発明の画像プリント作成装置において、上記補正手段がプリンタに設けられ、読取手段から入力された補正指示情報に基づいた補正により印刷状態が適正になるよう補正するものである場合には、補正手段を備えたプリンタに対して補正指示情報を直接入力することにより適正な印刷を実現できる。この場合において、上記補正手段による補正は、例えば、印刷媒体におけるY(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン)の各色に対応して基準値に比べてどの色を強くあるいは弱く発色させるかという補正値の情報が補正指示情報として入力された場合に、プリンタの印刷ヘッドの駆動条件等を変更して上記補正を実現することにより行なうことができる。
【0022】
本発明の画像プリント作成装置において、上記補正手段が撮影手段やプリンタを制御する制御装置に設けられ、プリンタに入力する画像データを補正することにより印刷状態が適正になるよう補正するものである場合には、補正手段をもたないプリンタを用いた場合でも、感度変動情報に応じてプリンタに入力する画像データを補正することにより、適正な補正を実現できる。例えば、印刷媒体におけるY(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン)の各色に対応して基準値に比べてどの色を強くあるいは弱く発色させるかという補正値の情報を感度変動情報として記憶媒体から読み取った場合、YMC系の補正値を画像データで用いられるRGB系における補正値に換算し、上記換算後の補正値による補正がなされたRGB系の画像データをプリンタに入力することにより適正な印刷を実現することができる。
【0023】
本発明の画像プリント作成装置において、上記補正手段による補正が、濃度補正とカラーバランス補正のうち少なくともいずれかを含む場合には、濃度補正やカラーバランスを適正に補正した印刷を実現できる。
【0024】
本発明の画像プリント作成装置において、上記プリンタがサーモオートクローム方式のものである場合には、サーモオートクローム方式のプリンタで用いられる印刷媒体において、印刷媒体の製造時からの経時変化による感度変動や、製造ロットごとの感度バラツキが発生しやすいことから本発明の効果が顕著で効果的である。
【0025】
本発明の画像プリント作成装置において、上記記憶媒体が当該記憶媒体とセットで供給される印刷媒体の印刷可能枚数が併せて記憶されたものであり、上記記憶媒体から読み取られた印刷可能枚数だけ印刷出力を可能として稼動を停止する出力制限手段を備えている場合には、上記記憶媒体を、セットで供給される印刷媒体の感度変動情報だけでなく、当該印刷媒体の印刷可能枚数を記憶させ、上記印刷可能枚数だけ印刷出力を可能として稼動を停止することにより、感度変動情報を持たない印刷媒体が画像プリント装置で使用されるのを防止できる。この結果、印刷媒体の感度変動に対する補正が行なわれないままプリントが印刷出力されるのが防止され、色調や濃度が正常に現れないプリントの出力を確実に防止できる。このように、ゲームセンター等が独自に入手した印刷媒体が使用されるのを防止でき、確実に適正な印刷出力を行なうことができる。
【0026】
また、本発明の印刷媒体と記憶媒体の供給セットは、撮影領域内に存在する使用者を含む被写体を撮影して撮影画像を生成する撮影手段と、上記撮影画像を画像プリントとして印刷出力するプリンタと、上記プリンタで使用される印刷媒体の情報を記憶媒体から読み取る読取手段とを備えた画像プリント作成装置に供給される印刷媒体と記憶媒体の供給セットであって、上記記憶媒体には、上記プリンタによる印刷状態が適正になるよう補正するための印刷媒体の感度変動情報が記憶され、上記記憶媒体に当該印刷媒体の印刷可能枚数が併せて記憶されていることを要旨とする。
【0027】
このため、供給された印刷媒体に感度の変動があったとしても、上記感度変動情報を記憶媒体から読み取ってプリンタによる印刷状態が適正になるよう補正できる。したがって、印刷媒体が製造から期間が経過して感度に経時変化が現れたり製造ロットごとの感度バラツキがあったりしても適正な印刷を実現でき、従来のように色調や濃度が正常に現れないという不都合が発生しない。しかも、印刷状態の補正を自動的に行なえることから、従来のようにプリンタの設定を人手によって調整したり、画像プリント作成装置自体をメンテナンスモードにして調整したりするような手作業による補正作業の必要がなくなる。また、この場合において、印刷媒体と記憶媒体とが同梱されている場合、配送や移動・保管等の際に印刷媒体と記憶媒体とがバラバラにならず、取り違え等のトラブルが防止され、管理も容易になる。
【0028】
また、この場合において、上記記憶媒体が当該記憶媒体とセットで供給される印刷媒体の印刷可能枚数が併せて記憶されたものであり、画像プリント作成装置として、記憶媒体から読み取られた印刷可能枚数だけ印刷出力を可能として稼動を停止する出力制限手段を備えたものを使用した場合には、上記記憶媒体に対し、セットで供給される印刷媒体の感度変動情報だけでなく、当該印刷媒体の印刷可能枚数を記憶させ、上記印刷可能枚数だけ印刷出力を可能として稼動を停止することにより、感度変動情報を持たない印刷媒体が画像プリント装置で使用されるのを防止できる。この結果、印刷媒体の感度変動に対する補正が行なわれないままプリントが印刷出力されるのが防止され、色調や濃度が正常に現れないプリントの出力を確実に防止できる。このように、ゲームセンター等が独自に入手した印刷媒体が使用されるのを防止でき、確実に適正な印刷出力を行なうことができる。
【0029】
また、本発明の印刷媒体と記憶媒体の供給セットの製造方法は、撮影領域内に存在する使用者を含む被写体を撮影して撮影画像を生成する撮影手段と、上記撮影画像を画像プリントとして印刷出力するプリンタと、上記プリンタで使用される印刷媒体の情報を記憶媒体から読み取る読取手段とを備えた画像プリント作成装置に供給される印刷媒体と記憶媒体の供給セットの製造方法であって、上記記憶媒体に、上記プリンタによる印刷状態が適正になるよう補正するための印刷媒体の感度変動情報を記憶させるとともに、上記記憶媒体に当該印刷媒体の印刷可能枚数を併せて記憶させることを要旨とする。
【0030】
このため、上記感度変動情報に応じてプリンタによる印刷状態を適正に補正しうる印刷媒体と記憶媒体の供給セットを容易に得ることができる。
【0031】
本発明の印刷媒体と記憶媒体の供給セットの製造方法において、印刷媒体の感度変動情報を、印刷媒体に付属する補正指示情報に基づいて上記記憶媒体に記憶させる場合には、印刷媒体に付属する補正指示情報に基づいて適正な補正指示情報を記憶させ、適正な補正結果を得ることができる。
【0032】
本発明の印刷媒体と記憶媒体の供給セットの製造方法において、印刷媒体の感度変動情報を、印刷媒体,その収納部材,巻芯等に、バーコードや磁気で記録された補正指示情報を読み取って、この読み取った補正指示情報に基づいて上記記憶媒体に記憶させる場合には、バーコードから読み取った補正指示情報を記憶媒体に記憶させる作業を自動的に行なえる。
【0033】
本発明の印刷媒体と記憶媒体の供給セットの製造方法において、印刷媒体をサンプル印刷し、その印刷結果から補正指示情報を決定し、決定した補正指示情報を記憶媒体に記憶させるようにした場合には、実際の印字サンプルから補正指示情報を決定できるため、より細やかで適切な補正が実現できる。また、例えば「肌色が綺麗に見えるような印刷結果が欲しい」というような細かなニーズに応じた補正指示情報を記憶媒体に記憶させ、印刷結果に反映することができる。
【0034】
【発明の実施の形態】
つぎに、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
【0035】
図1および図2は、本発明の画像プリント作成装置を写真自販機に適用した一実施の形態を示す図である。
【0036】
上記画像プリント作成装置は、内部および前面に各種の装置が設けられた筐体1と、上記筐体1の上下から被写体2の背後まで達するように突き出された支柱3とを備え、上記両支柱3の先端部分に被写体2の後部に位置する後壁13が設けられている。上記後壁13の被写体2側には、撮影の際にバックとなるカーテン5が吊設されている。以下、筐体1の被写体2側を筐体1の「前」、その反対側を「後」、被写体2から見て右側を筐体1の「右」、その反対側を「左」という。
【0037】
また、筐体1の前面には、対価としての硬貨を投入する硬貨投入口20が設けられ、筐体1内部の硬貨投入口20に隣接した位置に、投入された硬貨を検出して筐体1内部に設けられたコンピュータ装置7に対して検出信号を送信する硬貨検出部17が設けられている。上記硬貨検出部17で硬貨の投入が検知されると、後述する撮影プレイやお絵描きプレイ等の処理が開始される。また、筐体1前面の適所には、コンピュータ装置7から音声信号を受信して操作指示メッセージやBGM等の音声を出力するスピーカ(図示せず)が設けられている。
【0038】
上記筐体1,支柱3,後壁13およびカーテン5で囲まれた空間が、被写体2の撮影用ブースを形成している。上側の支柱3には、撮影用ブース内の被写体2を照射する蛍光灯等のライト4が取り付けられている。
【0039】
上記筐体1の内部には、被写体2を撮影するカメラ6が設けられ、このカメラ6の前側には透明板10が嵌め込まれている。上記カメラ6は、被写体を撮影してその動画を生成しうるものであり、具体的にはデジタルビデオカメラやビデオカメラ等が用いられる。すなわち、上記カメラ6は被写体2を撮影するものであり、内部に光の強さを電荷の量(電圧)に変換するCCDを有し、アナログ値である電圧をA/Dコンバータ等でデジタル値に変換し、その変換された値を画像の輝度(レベル)とするようになっている。また、上記CCDにはカラーフィルタがかぶせられ、RGBそれぞれの輝度を得るようになっている。また、上記カメラ6は、所定のシャッタタイミングで被写体2の静止画としての撮影画像を撮影するようになっている。さらに、上記筐体1には、上記カメラ6によるシャッタタイミングと同調して被写体2に閃光を照射するストロボ11が設けられている。
【0040】
また、上記筐体1の内部には、上記カメラ6から画像データを受信して画像合成等の処理を行なうコンピュータ装置7が設けられ、上記筐体1の前部には、上記コンピュータ装置7から送信された撮影画像や合成画像等の画像信号を受信して画像を表示する第1および第2ディスプレイ8a,8bが設けられている。
【0041】
上記第2ディスプレイ8bは、カメラ6に視線を合わせて撮影を行なう被写体2から目視されやすいようカメラ6の近傍に設けられている。上記第2ディスプレイ8bにはCRTモニタや液晶ディスプレイ等が用いられ、カメラ6で撮像されている動画としての撮像映像をリアルタイムに表示して、撮影の際の表情やポーズあるいはフレーミング等を確認しうるようになっている。
【0042】
このようにすることにより、リアルタイム表示される動画を見ながら、動きを含めたポーズや構図の確認を行なうことができ、例えば、ピッチングフォームやダンス等の一連の動作を行ないながらのポーズ決定等に便利である。また、上記第2ディスプレイ8bには、カメラ6で撮影された静止画としての撮影画像も表示され、使用者2にプレビュー確認させうるようになっている。
【0043】
上記第1ディスプレイ8aは、被写体2に向かって画面が斜め上を向くよう左右に2つ並べて設けられている。この第1ディスプレイ8aには、カメラ6で撮影された複数の静止画である撮影画像を表示して、撮影画像の表情やポーズあるいはフレーミング等をプレビュー確認しうるようになっている。
【0044】
上記第1ディスプレイ8aには表面にタッチパネル等の入力部35(図3参照)を有した液晶タブレット等が用いられ、2つの第1ディスプレイ8aそれぞれにタッチペン12が1つずつ付属して操作パネルを兼ねている。すなわち、上記第1ディスプレイ8aには操作指示とともに各種の操作ボタン等が表示され、上記操作指示に従って、第1ディスプレイ8aに表示された操作ボタンをタッチペン12の先端でタップ(軽く触れる)等することにより、タッチパネルに各種の操作信号が入力され、上記操作信号がコンピュータ装置7に送られてシャッタ操作等の各種の操作が行なわれるようになっている。
【0045】
また、上記タッチペン12は、その先端を第1ディスプレイ8aの表面に接触させて文字や図形等を描いて入力しうるようになっており、手書き入力された文字・図形やスタンプ画像等のお絵描き画像が、コンピュータ装置7においてカメラ6で撮影された被写体2の撮影画像と合成され、第1ディスプレイ8aに表示されるとともに、その合成画像が印刷媒体15に印刷されるようになっている。
【0046】
上記画像プリント作成装置では、2つの第1ディスプレイ8aそれぞれにタッチペン12が1つずつ備えられ、複数人でプレイする際に複数の使用者2がペン入力画像を入力等する際に2つの画面でお絵描き操作ができてみんなが満足のいくプレイを楽しむことができる。なお、タッチペン12を1つの第1ディスプレイ8aに対して複数ずつ付属させ、1つの第1ディスプレイ8aに対して複数のタッチペン12で入力操作を行ないうるようにすることもできる。
【0047】
さらに、上記筐体1の内部には、上記コンピュータ装置7から送信された合成画像等の画像データを受信し、この画像を画像プリントとして印刷媒体15に印刷出力するプリンタ9が設けられている。このプリンタ9で印刷された印刷媒体15は、筐体1の前面に形成された送出口19から送出される。
【0048】
そして、この画像プリント作成装置には、上記プリンタ9で使用される印刷媒体15の感度変動情報が記憶された記憶媒体14がセットされ、その記憶媒体14から感度変動情報を読み取る読取手段16が設けられている。上記読取手段16で読み取られた感度変動情報はコンピュータ装置7に送られて、当該感度変動情報に基づいて、プリンタ9に設けられた補正手段18によりプリンタ9による印刷状態が適正になるよう補正するようになっている。
【0049】
この画像プリント作成装置では、上記プリンタ9として、サーモオートクローム方式のものが用いられている。サーモオートクローム方式のプリンタで用いられる印刷媒体15は、基材の表面に、Y(イエロー)を感熱発色させるY発色層と、M(マゼンタ)を感熱発色させるM発色層と、C(シアン)を感熱発色させるC発色層の3層の発色層が設けられ、それぞれの発色層が感熱発色することによりカラー印刷が実現される。
【0050】
ところが、上記サーモオートクローム方式の印刷媒体15には、印刷媒体15の製造時からの経時変化による感度変動や、製造ロットごとの感度バラツキが発生しやすい。このような感度変動や感度バラツキが生じた場合、同じ画像データを用いて印刷を行なったとしても、濃度やカラーバランスに変化が生じて適正な印刷結果が得られない。
【0051】
本発明では、印刷媒体15におけるY(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン)の各色に対応して基準値に比べてどの色を強くあるいは弱く発色させるかという補正値等の感度変動情報を記憶媒体14に記憶させておき、当該記憶媒体14と印刷媒体15とをセットで画像プリント作成装置に供給する。そして、上記印刷媒体15をプリンタ9に装着するときに、記録媒体14を読取手段16に挿入し、上記感度変動情報を読み取って、それに基づいて適正な印刷を行なうよう補正でき、適正な印刷結果が得られるのである。
【0052】
感度情報を読み取るタイミングは、印刷媒体15をプリンタ9に装着した時点でもよいが、装置の起動時や印刷動作開始の直前でもよい。このようにすることにより、印刷媒体15を装着してから日数が経過したときでも、それに応じた適正な補正が実現できる。
【0053】
また、印刷媒体15の装着日時をコンピュータ装置7で記憶しておき、印刷時に上記記憶された装着日時と、記憶媒体14から読み取った感度変動情報との差から新たな補正値を演算することもできる。このようにすることにより、印刷媒体15の梱包開封から実際に印刷されるまでの期間を反映した補正が可能となり、より細やかで適切な補正が実現できる。
【0054】
上記記憶媒体14に記憶された補正情報は、YMC系の補正値以外に、印刷媒体15の製造時の情報(例えば、製造日,製造ロット番号,製造工場,製造時の温湿度等)や、YMC系で利用されるクロ,ライトシアン,ライトマゼンダ,ダークイエローや、RGB、色相,彩度,明度,コントラスト等、画像を補正しうるものであれば特に限定するものではない。
【0055】
つぎに、上記コンピュータ装置7を含むシステム構成について詳しく説明する。
【0056】
上記コンピュータ装置7は、カメラ6やプリンタ7を制御する制御装置として機能するもので、図3に示すように、上記コンピュータ装置7は、タッチペン12により第1ディスプレイ8aにおける入力部35に入力された各種の操作信号を受信し、受信した操作信号に応じて各種制御を行なう制御手段31を備えている。上記制御手段31は、硬貨検出部17からの検出信号を受信することにより、撮影プレイ等の制御を開始するようになっている。
【0057】
上記第1ディスプレイ8aには、タッチペン12によって手書き画像等のお絵描き画像や操作信号が入力される入力部35と、画像等を表示する表示部36とが設けられている。上記入力部35としては例えばタッチパネル等が用いられ、上記表示部36としては例えば液晶表示装置が用いられる。
【0058】
上記タッチペン12によって入力された操作信号は、制御手段31に送られ、シャッタ操作等の各種制御が行なわれる。また、上記タッチペン12で入力された手書き画像等のお絵描き画像は、後述するように画像合成手段38に送られ、ここでカメラ6で撮影された静止画である撮影画像との合成処理が行なわれる。
【0059】
カメラ6で撮影された静止画としての撮影画像は、第1ディスプレイ8aの表示部36に表示されて使用者2に対してお絵描きプレイ前のプレビュー確認等をさせるようになっている。そして、第1ディスプレイ8aには、プレビューを確認させた静止画像について撮りなおしを希望するか否かの選択を促す画面を表示し、使用者2が撮りなおしを希望する場合は、タッチペン12でキャンセル操作を行なって再度シャッタ操作を行ないうるようになっている。
【0060】
さらに、上記コンピュータ装置7には画像合成手段38が設けられ、カメラ6で撮影された撮影画像に、タッチペン12によってディスプレイ8aの入力部35に入力された文字や図形等の手書き画像等を合成するようになっている。上記画像合成手段38で合成された合成画像は、第1ディスプレイ8aの表示部36にお絵描きの進行にしたがってリアルタイム表示される。
【0061】
また、上記コンピュータ装置7は、プリンタ9による印刷を制御する印刷制御部34を備えている。この印刷制御部34は、上記合成画像の画像データ等をプリンタ9に送り、所定のシートレイアウトにより印刷媒体15に合成画像を印刷するよう制御する。
【0062】
さらに、上記コンピュータ装置7は、読取手段16で記憶媒体14から読み取られた各種の情報を受信して後述する出力枚数の制限やプリンタ9における印刷状態の補正等のための処理を行なうようになっている。
【0063】
上記記憶媒体14は、印刷媒体15とセットで画像プリント作成装置に供給されるものであり、セットで供給される印刷媒体15の感度変動情報や印刷可能枚数等の情報が記憶されている。
【0064】
上記感度変動情報は、印刷媒体15が印刷される際に適正な印刷を実現し得る基準の状態からの感度変動に関する情報である。上記感度変動情報としては、例えば、印刷媒体の製造時バラツキに対応したものや、印刷媒体の製造時からの経時変化に対応したもの等があげられる。
【0065】
すなわち、製造時バラツキにより感度変動が生じた場合、製造ロットごとに印刷媒体におけるY(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン)の各色に対応して基準値に比べてどの色を強くあるいは弱く発色させるかという補正指示情報である補正値が製造ロットごとに生じる。
【0066】
この場合、感度変動情報としてその印刷媒体15の製造ロットに応じた補正値を記憶媒体14に記憶しておいてそれを読取手段16で読み取り、読み取った補正値を印刷制御部34を介して画像データとともにプリンタ9に入力する。プリンタ9では、入力された画像データと補正値に基づいて補正手段18により濃度補正やカラーバランス補正を行い、印刷状態が適正になるよう補正する。
【0067】
また、製造日からの経過時間によって感度バラツキが生じた場合、印刷媒体15におけるY(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン)の各色に対応して基準値に比べてどの色を強くあるいは弱く発色させるかという補正指示情報である補正値が経過時間に対応して変化する。
【0068】
この場合、感度変動情報として上記補正値を記憶媒体14に記憶しておいてそれを読取手段16で読み取り、読み取った補正値を印刷制御部34を介して画像データとともにプリンタ9に入力する。プリンタ9では、入力された画像データと補正値に基づいて補正手段18により濃度補正やカラーバランス補正を行い、印刷状態が適正になるよう補正する。
【0069】
あるいは、実際に印刷媒体15が製造されてから使用されるまでの経過時間は、印刷媒体15の保管期間等によって必ずしも一定しないことから、感度変動情報として製造年月日を記憶媒体14に記憶しておくことも有効である。そして、コンピュータ装置7には、読取手段16で読み取られた製造年月日を受信して、印刷媒体15がプリンタ9に装着された現時点の年月日と対比して製造日からの経過時間を演算するとともに、経過時間と補正値とのテーブルから補正値を換算する補正条件演算部32が設けられる。
【0070】
そして、演算された補正値を印刷制御部34を介して画像データとともにプリンタ9に入力する。プリンタ9では、入力された画像データと補正値に基づいて補正手段18により濃度補正やカラーバランス補正を行い、印刷状態が適正になるよう補正する。
【0071】
一方、上記記憶媒体14には、当該記憶媒体14とセットで供給される印刷媒体15の印刷可能枚数が併せて記憶されている。そして、上記コンピュータ装置7には、記憶媒体14に記憶され読取手段16で読み取られた印刷可能枚数を受信して印刷制御部34による出力枚数を制限し、印刷可能枚数だけ印刷出力を可能として稼動を停止する出力枚数制限部33が設けられている。上記記憶媒体14に記憶された印刷可能枚数は、1枚印刷出力される毎に1枚ずつ減ぜられる。
【0072】
このように、記憶媒体14に、セットで供給される印刷媒体15の印刷可能枚数を記憶させ、上記印刷可能枚数だけ印刷出力を可能として稼動を停止することにより、感度変動情報を持たない印刷媒体15が画像プリント装置で使用されるのを防止できる。この結果、印刷媒体15の感度変動に対する補正が行なわれないままプリントが印刷出力されるのが防止され、色調や濃度が正常に現れないプリントの出力を確実に防止でき、ゲームセンター等が独自に入手した印刷媒体15が使用されるのを防止でき、確実に適正な印刷出力を行なうことができる。
【0073】
ここで、上記記憶媒体14としては、各種のものを適用することができるが、非接触型のICカードやコイン型ICチップ等を好適に用いることができる。例えば、基盤となるシリコンウェハ全体に精密鋳造により均一厚さの精密アンテナを直接実装したもの(日立マクセル社製コイル・オン・チップRFIDシステム)を用いることができる。このものによれば、アンテナ接続工程がないため、接点劣化や機械的ストレスによる不良障害がなく、偽造も困難であるため、ゲームセンターが独自に入手した印刷媒体15が使用されるのを有効に防止し、本発明の画像プリント作成装置の記憶媒体14として好適である。
【0074】
上述したように、上記画像プリント作成装置では、印刷媒体15と記憶媒体14とがセットにされ、供給セットとして供給される。
【0075】
上記供給セットは、例えば、つぎのようにしてつくることができる。すなわち、図4(a)に示すように、印刷媒体15が巻芯26にロール状に巻き取られたロール紙の場合、印刷媒体15の製造年月日や補正値等の感度変動情報が、巻芯26の端面にバーコード27で記録されていることがある。この場合、上記巻芯26のバーコード27をバーコードリーダ28で読み取って、読み取った感度変動情報を自動的に記憶媒体14に入力して記憶させることが行なわれる。
【0076】
また、図4(b)に示すように、印刷媒体15が巻芯26にロール状に巻き取られたロール紙であり、印刷媒体15の製造年月日や補正値等の感度変動情報が、巻き取られた印刷媒体15の端部近傍にバーコード27で記録されていることがある。この場合、上記バーコード27をバーコードリーダ28で読み取って、読み取った感度変動情報を自動的に記憶媒体14に入力して記憶させることが行なわれる。
【0077】
そして、感度変動情報を読み取った印刷媒体15と、当該感度変動情報が記憶された記憶媒体14とが供給セットとして一緒に供給される。
【0078】
なお、上述した例では、印刷媒体15や巻芯26にバーコード27で感度変動情報が記録された例を示したが、これに限定するものではなく、印刷媒体15の収納箱や収納袋等のパッケージ類等にバーコード27で記録するようにしてもよいし、バーコード27だけでなく磁気で記録するようにしてもよい。
【0079】
また、上記供給セットのつくりかたとしては、上述したものに限定するものではなく、例えば、印刷媒体15に付属する補正指示書に記載された補正指示情報に基づいてキーボード等の入力装置を用いてデータ入力し、記憶媒体14に記憶させることもできるし、印刷媒体15の感度変動情報が巻き取られた印刷媒体15の端部近傍に補正指示書のように記載され、この補正指示情報に基づいてキーボード等の入力装置を用いてデータ入力し、記憶媒体14に記憶させることもできる。
【0080】
さらに、上記供給セットのつくりかたとして、印刷媒体15をサンプル印刷し、その印刷結果から補正指示情報を決定し、決定した補正指示情報を記憶媒体に記憶させるようにしてもよい。このようにすることにより、実際の印字サンプルから補正指示情報を決定できるため、より細やかで適切な補正が実現できる。また、例えば「肌色が綺麗に見えるような印刷結果が欲しい」というような細かなニーズに応じた補正指示情報を記憶媒体14に記憶させ、印刷結果に反映することができる。
【0081】
つぎに、上記画像プリント作成装置の動作の一例について説明する。
【0082】
まず、第1および第2ディスプレイ8a,8bにデモ画面が表示されているなか、使用者2が硬貨投入口20に必要なコインを投入すると、カメラ6による被写体2の撮像と撮像された動画の第2ディスプレイ8bへのリアルタイム表示が開始される。
【0083】
つぎに、使用者2が第2ディスプレイ8bの表示画像を見ながら被写体2の位置やポーズを決めた後に、タッチペン12を用いて画面の指示に従ってシャッタ操作の操作信号を入力したり、所定のカウントダウン後に自動シャッタを切ったりすることにより、所定の瞬間の撮像映像が静止画として記録される。
【0084】
ついで、カウンタ(図示せず)で所定の撮影回数に達しているか否かが確認され、規定の撮影回数に達していなければ撮影ステップに戻り、カウントが所定の撮影回数に達するまで撮影が繰り返される。
【0085】
一方、所定の撮影回数に達していれば、手書き画像23等を入力するお絵描きプレイが開始される。このお絵描きプレイでは、固定された静止画像を第1ディスプレイ8aの表示部36に表示して、タッチペン12を操作することによる手書き画像23等の入力が開始される。ここで、手書き画像23の入力画面の一例を図5に示す。この手書き画像入力画面において、21a,21b,21cは、それぞれ手書きペン,スタンプ画像,アルファベット等の文字を入力する際にタッチペン12でタップするアイコンである。
【0086】
手書き画像23を入力する際には、手書きペンのアイコン21aをタッチペン12の先端でタップしてから、タッチペン12の先端を、第1ディスプレイ8aに表示された撮影画像22の上に接触させて絵や文字を描くことにより、手書き画像23の入力が行なわれる。
【0087】
スタンプ画像24を入力する際には、スタンプ画像24のアイコン21bをタッチペン12の先端でタップしてから、タッチペン12の先端を、第1ディスプレイ8aに表示された撮影画像22の上に接触させることにより、スタンプ画像24の入力が行なわれる。
【0088】
アルファベット等の文字を入力する際には、アルファベット文字のアイコン21cをタッチペン12の先端でタップしてから、タッチペン12の先端を、第1ディスプレイ8aに表示された撮影画像22の上に接触させることにより、アルファベット文字の入力が行なわれる。
【0089】
このようにして、図6に示すように、手書き画像23やスタンプ画像24等が入力され、表示された撮影画像22の上に合成される。
【0090】
そして、上記手書き画像23等の入力は、タイマ(図示せず)の計測時間があらかじめ設定された所定の入力可能時間(例えば90秒等)に達するまで続けられる。上記タイマが規定の入力可能時間に達すると、手書き画像23等の入力が停止され、印刷の際のシートレイアウトが選択される。ここでのシートレイアウトの選択は、第1ディスプレイ8aの表示部36にシートレイアウトの見本画面が表示され、タッチペン12の操作により所望のシートレイアウトを選択することが行なわれる。
【0091】
ついで、シートレイアウトの選択が終了すると、合成画像の画像データが読取手段16で記憶媒体14から読み取られた補正値とともにプリンタ9に送られ、選択されたシートレイアウトにより印刷が開始される。このとき、プリンタ9の補正手段18は、上記補正値に基づいて印刷状態が適正になるように補正を行なう。具体的には、例えば、印刷媒体15のY発色層,M発色層,C発色層をそれぞれ感熱発色させる印刷ヘッドの駆動条件を、入力された画像データに対してどの色を強くあるいは弱く発色させるかという補正値に基づいて補正することが行なわれる。
【0092】
印刷が終了すると、印刷された印刷媒体15(写真プリント)が出力される。ここで、シートレイアウトの一例を図7に示す。この例では、写真プリントとしてシールプリントに出力した例を示しており、符号25は写真シールである。
【0093】
このように、上記画像プリント作成装置によれば、供給された印刷媒体15に感度の変動があったとしても、上記感度変動情報を記憶媒体14から読み取ってプリンタ9による印刷状態が適正になるよう補正できる。したがって、印刷媒体15が製造時から期間が経過して感度に経時変化が現れたり製造ロットごとの感度バラツキがあったりしても適正な印刷を実現でき、従来のように色調や濃度が正常に現れないという不都合が発生しない。しかも、印刷状態の補正を自動的に行なえることから、従来のようにプリンタの設定を人手によって調整したり、画像プリント作成装置自体をメンテナンスモードにして調整したりするような手作業による補正作業の必要がなくなる。
【0094】
図8は、本発明の第2の実施の形態を示す。この画像プリント作成装置は、プリンタ9に補正手段18が設けられていない。そして、制御装置としてのコンピュータ装置7に、補正手段として、読取手段16で読み取られた感度変動情報に基づいてプリンタ9に入力する画像データを補正する画像データ補正手段37が設けられている。それ以外は、上記第1の実施の形態と同様であり同様の部分には同じ符号を付している。
【0095】
この実施の形態によれば、補正手段18をもたないプリンタ9を用いた場合でも、感度変動情報に応じてプリンタ9に入力する画像データを補正することにより、印刷状態が適正になるよう補正されて適正な印刷結果が得られる。例えば、印刷媒体15におけるY(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン)の各色に対応して基準値に比べてどの色を強くあるいは弱く発色させるかという補正値を記憶媒体14から読み取った場合、上記YMC系の補正値を画像データで用いられるRGB系における補正値に換算し、上記換算後の補正値による補正がなされたRGB系の画像データをプリンタ9に入力することにより適正な印刷を実現することができる。それ以外は上記第1の実施の形態と同様の作用効果を奏する。
【0096】
上記各実施の形態の画像プリント作成方法は、コンピュータ装置において実行させるプログラムにより実現され、上記プログラムはコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶されて提供されたり通信回線を介してオンラインで提供されたりする。
【0097】
なお、上記各実施の形態の画像プリント作成装置において、合成画像を印刷するかわりに、送受信手段により通信回線を介して外部に出力し、外部のサーバに格納したり端末装置等に出力して表示したり、あるいは外部で印刷したりすることもできる。
【0098】
また、上記各実施の形態では、プリンタ9としてサーモオートクローム方式のものを用いたが、これに限定するものではなく、印刷媒体15に経時変化や製造時バラツキ等による感度変動が生じ得るものであれば、各種の方式のプリンタを適用することができる。特に、熱,紫外線,空気中の酸素や水分等の雰囲気などに影響されて品質が変動する印刷媒体が用いられるプリンタにおいて絶大な効果が得られる。また、プリンタ9からの印刷媒体15の送出口19は、筐体1の前面以外に設けることもできる。
【0099】
また、上記各実施の形態では、出力する写真プリントがシールプリントである例を示したが、これに限定するものではなく、カード等として出力するものも含む趣旨であり、印刷媒体15の構成を限定する趣旨ではない。
【0100】
また、上記各実施の形態では、硬貨の投入により撮影を開始するようにしたが、これに限定するものではなく、紙幣,プリペイドカード,メダル,クレジットカード,キャッシュカード等、撮影の対価として支払いうるものであれば、各種の態様を含む趣旨である。また、これらは、単独で用いる場合だけでなく、組み合わせて用いる場合も含む趣旨である。また、本発明は、対価の支払を要求しない態様の画像プリント作成装置も含む趣旨である。
【0101】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、供給された印刷媒体に感度の変動があったとしても、上記感度変動情報を記憶媒体から読み取ってプリンタによる印刷状態が適正になるよう補正できる。したがって、印刷媒体が製造時から期間が経過して感度に経時変化が現れたり製造ロットごとの感度バラツキがあったりしても適正な印刷を実現でき、従来のように色調や濃度が正常に現れないという不都合が発生しない。しかも、印刷状態の補正を自動的に行なえることから、従来のようにプリンタの設定を人手によって調整したり、画像プリント作成装置自体をメンテナンスモードにして調整したりするような手作業による補正作業の必要がなくなる。
また、上記記憶媒体を、セットで供給される印刷媒体の感度変動情報だけでなく、当該印刷媒体の印刷可能枚数を記憶させ、上記印刷可能枚数だけ印刷出力を可能として稼動を停止することにより、感度変動情報を持たない印刷媒体が画像プリント装置で使用されるのを防止できる。この結果、印刷媒体の感度変動に対する補正が行なわれないままプリントが印刷出力されるのが防止され、色調や濃度が正常に現れないプリントの出力を確実に防止できる。このように、ゲームセンター等が独自に入手した印刷媒体が使用されるのを防止でき、確実に適正な印刷出力を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の画像プリント作成装置の一実施の形態を示す縦断面図である。
【図2】
上記画像プリント作成装置の筐体を示す正面図である。
【図3】
上記画像プリント作成装置のシステム構成図である。
【図4】
本発明の印刷媒体と記憶媒体の供給セットの製造方法の一工程を示す説明図である。
【図5】
手書き画像等の入力画面の一例を示す図である。
【図6】
手書き画像等の入力状態の一例を示す図である。
【図7】
合成画像をシールプリントに出力した状態の一例を示す図である。
【図8】
本発明の画像プリント作成装置の第2の実施の形態を示すシステム構成図である。
【図9】
従来例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 筐体
2 被写体/使用者
3 支柱
4 ライト
5 カーテン
6 カメラ
7 コンピュータ装置
8 ディスプレイ
8a 第1ディスプレイ
8b 第2ディスプレイ
9 プリンタ
10 透明板
11 ストロボ
12 タッチペン
13 後壁
14 記憶媒体
15 印刷媒体
16 読取手段
17 硬貨検出部
18 補正手段
19 送出口
20 硬貨投入口
21a アイコン
21b アイコン
21c アイコン
22 撮影画像
23 手書き画像
24 スタンプ画像
25 写真シール
26 巻芯
27 バーコード
28 バーコードリーダ
31 制御手段
32 補正条件演算部
33 出力枚数制限部
34 印刷制御部
35 入力部
36 表示部
37 画像データ補正手段
38 画像合成手段
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2005-11-18 
出願番号 特願2002-57051(P2002-57051)
審決分類 P 1 651・ 121- YA (B41J)
最終処分 維持  
特許庁審判長 津田 俊明
特許庁審判官 酒井 進
藤井 勲
登録日 2002-12-27 
登録番号 特許第3385016号(P3385016)
権利者 株式会社メイクソフトウェア
発明の名称 画像プリント作成装置  
代理人 森本 直之  
代理人 森本 直之  

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