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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F21S 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 F21S |
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管理番号 | 1133453 |
審判番号 | 不服2003-8655 |
総通号数 | 77 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2000-08-15 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2003-05-15 |
確定日 | 2006-03-23 |
事件の表示 | 平成11年特許願第 29565号「蛍光ランプ」拒絶査定不服審判事件〔平成12年 8月15日出願公開、特開2000-228101号〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成11年2月8日の出願であって、平成15年4月7日付け(発送日:平成15年4月15日)で拒絶査定がされ、これに対し、平成15年5月15日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同日付けで手続補正がなされたものである。 2.平成15年5月15日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成15年5月15日付けの手続補正を却下する。 [理由] (1)補正後の本件発明 本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、 「3本または4本あるいは5本のU字管を接合した蛍光管と、前記蛍光管を保持したホルダと、前記蛍光管を点灯するための点灯回路基板と、前記点灯回路基板を収納したケースを備え、前記点灯回路基板を二分した一方の面の周縁に、外側に向かうにしたがって幅広となる4つの切り欠き溝を形成し、前記切り欠き溝の内側の幅狭の部分近傍に前記蛍光管のリード線と接続された4つの接続端子を有し、前記4つの接続端子は、前記4つの接続端子を結ぶ線が弧を描くように隣り合って設けられていることを特徴とする蛍光ランプ。」と補正された(下線は補正箇所)。 上記補正は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「切り欠き溝」が「4つの」ものであるとの限定を付加したものであって、特許法17条の2第4項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成15年改正前特許法17条の2第5項において準用する同法126条4項の規定に適合するか)について以下に検討する。 (2)引用例 原査定の拒絶の理由に引用された特開平10-275592号公報(以下、「引用例」という。)には、図面と共に、以下の記載がされている。 (a) 「【0027】・・・電球形蛍光ランプ11は、例えばPBT樹脂などの耐熱性合成樹脂製のカバー12を備え、このカバー12の一端(図3中上端)には円筒部が一体に形成されている。」(段落0027) (b)「【0036】そして、図1,図4,図5に示すように、仕切板15のフランジ部17には外方(図5では上方)に向けてV字状に拡開する保持溝であるV溝25を各ランプ取付孔21,22の両側にてそれぞれ形成している。各V溝25のうちの少なくとも1つずつが仕切板15の中心を通る対角線上に配置される。各V溝25は後述する蛍光ランプ31の各リードワイヤー35をV字状先細先端部内で直径方向で弾性的に挟持して仮保持するように構成され、外方に向けて拡開しているので、リードワイヤー35を挿入し易い。」(段落0036) (c)「【0038】インバータ回路26aは、仕切板15を介してカバー12にて覆われる空間内に配置されており、・・・点灯回路基板26はその外周面上に、仕切板15の各ランプ取付孔21,22の位置に対応する箇所を挟むように、その近傍にて接続端子である2本一対のラッピングピン28,28を一対ずつ立設している。これら各ラッピングピン28は断面が多角形の角棒よりなり、インバータ回路26aに電気的に接続されている。 【0039】また、図4〜図7にも示すように、点灯回路基板16はその外周面に、各ラッピングピン28の近傍にて、V溝25と同様の形状と作用を有し、リードワイヤー35を弾性的に保持する保持溝29をそれぞれ形成している。」(段落0038〜0039) (d)「【0040】・・・蛍光ランプ31は、屈曲形成されたガラス製の1本のバルブ32を備えている。バルブ32は、図4に示すように、両端に封止端部33を備え、この両封止端部33間に同一方向に向けてほぼU字形に屈曲された3本のU字状部34が形成され、これらU字状部34が互いに離間してほぼ平行に並設されている。 【0041】また、バルブ32の各封止端部33の内部には図示しない電極がそれぞれ封装され、この各電極に接続された一対のリードワイヤー35が各封止端部33から外部へ導出されている。」(段落0040〜0041) (e)【0043】電球形蛍光ランプ11は、このように構成されているので、これを組み立てる場合は、まず、蛍光ランプ31の各封止端部33を仕切板15の各ランプ取付孔21,22内に、仕切板15の下から差し込み、これら封止端部33とランプ取付孔21,22との間に充填されたシリコーン系などの熱硬化性接着剤によって仕切板15に固定する。(段落0043) (f)「【0048】また、このように点灯回路基板26を仕切板15に固定したときに、さらに各リードワイヤー35を点灯回路基板26のV字状の各保持溝29内に挿入して保持させることにより、点灯回路基板26と仕切板15と蛍光ランプ31とを正しい組立位置で高精度に仮固定することができる。 【0049】さらに、各保持溝29が各ラッピングピン28の近傍にあるので、各保持溝29に仮止めされた各リードワイヤー35を各ラッピングピン28の外周に巻き付けて電気的に接続させるラッピング作業の容易性を向上させることができるうえに、固く巻き付けることができる。また、各ラッピングピン28が角棒であるので、リードワイヤー35を固く巻き付けることができると共に、緩みを低減することができる。」(段落0048〜0049) (g)図4には、保持溝29が点灯回路基板26の周縁に設けられていることが示されている。 上記引用例に記載された事項(a)ないし(f)(以下「引用例記載事項(a)ないし(f)」という。)及び図示された事項(g)を総合すると、引用例には、 「屈曲されたガラス製の1本のバルブからなる蛍光ランプ(31)と、前記蛍光ランプ(31)を保持した仕切板(15)と、前記蛍光ランプ(31)を点灯するための点灯回路基板(26)と、前記点灯回路基板(26)を収納したカバー(12)を備え、前記点灯回路基板(26)の周縁に、外側に向かうにしたがって幅広となる4つの保持溝(29)を形成し、前記保持溝(29)の内側の幅狭の部分近傍に前記蛍光ランプ(31)のリードワイヤー(35)と接続された4つのラッピングピン(28)を有している電球形蛍光ランプ。」(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 (3)対比 本件補正発明と引用発明を対比する。 引用発明の「蛍光ランプ(31)」は、その技術的意義から見て、本件補正発明の「蛍光管」に相当し、以下同様に、引用発明の「仕切板(15)」、「点灯回路基板(26)」、「カバー(12)」、「保持溝(29)」、「リードワイヤー(35)」、「ラッピングピン(28)」、及び「電球形蛍光ランプ」は、それぞれ本件補正発明の「ホルダ」、「点灯回路基板」、「ケース」、「切り欠き溝」、「リード線」、「接続端子」、及び「蛍光ランプ」に相当する。 そうすると、両者は、 「屈曲されたバルブからなる蛍光管と、前記蛍光管を保持したホルダと、前記蛍光管を点灯するための点灯回路基板と、前記点灯回路基板を収納したケースを備え、前記点灯回路基板の周縁に、外側に向かうにしたがって幅広となる4つの切り欠き溝を形成し、前記切り欠き溝の内側の幅狭の部分近傍に前記蛍光管のリード線と接続された4つの接続端子を有している蛍光ランプ。」の点で一致し、以下の点で相違する。 相違点1 蛍光管の構造について、本件補正発明は「3本または4本あるいは5本のU字管を接合した蛍光管」であるのに対し、引用発明は屈曲されたガラス製の1本のバルブからなる蛍光ランプ(31)である点。 相違点2 外側に向かうにしたがって幅広となる4つの切り欠き溝の配置に関し、本件補正発明は、「点灯回路基板を二分した一方の面の周縁」に形成されるのに対し、引用発明は点灯回路基板の周縁ではあるものの、「点灯回路基板を二分した一方の面の周縁」ではなく、更に、4つの接続端子の配置に関し、両者は、4つの切り欠き溝の内側の幅狭の部分近傍に設けられる点の限りでは共通するものの、本件補正発明は、「4つの接続端子を結ぶ線が弧を描くように隣り合って設けられている」のに対し、引用発明ではそのような構成になっていない点。 (4)当審の判断 まず上記相違点1について検討する。 蛍光管の構造として、3本または4本あるいは5本のU字管を接合したものは、特開昭61-296604号公報、及び実願昭61-166880号(実開昭63-72805号)のマイクロフィルム等に記載の如く周知であり、本件補正発明の蛍光ランプが、上記周知の3本または4本あるいは5本のU字管を接合した蛍光管を用いたことによって、全体として格別の作用効果を奏する等の事情は見当らない。したがって、上記相違点1は当業者による単なる選択的事項である。 次に上記相違点2について検討する。 一般的に、蛍光管のリード線と接続する点灯回路基板上の接続端子の配置を調整することは、点灯回路基板の電気回路の構成や、蛍光管自体の全体構造を考慮して適宜行われることである。 一方、引用例記載事項(f)には、「各保持溝はラッピングピンの近傍にあるので、各保持溝29に仮止めされた各リードワイヤー35を各ラッピングピン28の外周に巻き付けて電気的に接続させるラッピング作業の容易性を向上させることができる」と記載されており、即ち、各保持溝(切り欠き溝)とラッピングピン(接続端子)は、電気的接続の作業性向上のため近接して配置することが記載されている。 更には、3本または4本あるいは5本のU字管を接合した蛍光管の両端部の電極が隣り合っている構成のものは、上記蛍光管の構造を示す周知例として挙げた特開昭61-296604号公報の第1図、及び実願昭61-166880号(実開昭63-72805号)のマイクロフィルム等の第3図に示されているように周知である。 そうすると、上記周知の3本または4本あるいは5本のU字管を接合した蛍光管の両端部の電極が隣り合っている構成の蛍光管を、引用発明の蛍光ランプ(31)に替えて用いた場合に、引用発明に記載された、点灯回路基板の周縁に形成された4つの保持溝(切り欠き溝)を、「点灯回路基板を二分した一方の面の周縁」に形成すること、更には、これらの4つの切り欠き溝の内側の幅狭の部分近傍に設けられる4つの接続端子を、「4つの接続端子を結ぶ線が弧を描くように隣り合って設けられている」ように配置することは、上述したように点灯回路基板の電気回路の構成や、蛍光管自体の全体構造、及び電気的接続の作業性向上を考慮し、そもそも、点灯回路基板が円板形状であることにかんがみれば、当業者が容易になし得ることである。 そして、上記のように4つの保持溝や接続端子を配置したことによって、点灯回路基板上の半月状のデッドスペースが削減できる、リード線を短縮できる、組立作業性が向上する等の、出願人が審判請求の理由で主張する作用効果は、当業者が当然予測し得る範囲のものである。 上記相違点1および2の点を総合して判断しても、本件補正発明が当業者が予測できない格別の効果を奏するものとは認められない。 したがって、本件補正発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 (5)むすび 以上のとおり、本件補正は、平成15年改正前特許法17条の2第5項で準用する同法126条4項の規定に違反するものであり、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。 3.本願発明について (1)本願発明 平成15年5月15日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成14年12月10日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。 「3本または4本あるいは5本のU字管を接合した蛍光管と、前記蛍光管を保持したホルダと、前記蛍光管を点灯するための点灯回路基板と、前記点灯回路基板を収納したケースを備え、前記点灯回路基板を二分した一方の面の周縁に、外側に向かうにしたがって幅広となる切り欠き溝を形成し、前記切り欠き溝の内側の幅狭の部分近傍に前記蛍光管のリード線と接続された4つの接続端子を有し、前記4つの接続端子は、前記4つの接続端子を結ぶ線が弧を描くように隣り合って設けられていることを特徴とする蛍光ランプ。」 (2)引用例 原査定の拒絶の理由に引用された引用例及びその記載事項は、上記「2.(2)」に記載したとおりである。 (3)対比 本願発明は、上記2.で検討した本件補正発明の「4つの切り欠き溝」について「4つの」との限定を省いたものである。 そうすると、本願発明の構成要件をすべて含み、更に他の構成要件を付加したものに相当する本件補正発明が、前記2.(4)に記載したとおり、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (4)むすび 以上のとおり、本願発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2006-01-18 |
結審通知日 | 2006-01-24 |
審決日 | 2006-02-08 |
出願番号 | 特願平11-29565 |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(F21S)
P 1 8・ 121- Z (F21S) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 寺澤 忠司 |
特許庁審判長 |
石原 正博 |
特許庁審判官 |
川本 真裕 稲村 正義 |
発明の名称 | 蛍光ランプ |
代理人 | 永野 大介 |
代理人 | 内藤 浩樹 |
代理人 | 岩橋 文雄 |