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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1133624
審判番号 不服2002-21640  
総通号数 77 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2002-02-15 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-11-07 
確定日 2006-03-09 
事件の表示 特願2000-233126「懸賞システムおよび懸賞方法」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 2月15日出願公開、特開2002- 49721〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続きの経緯
本願は、平成12年8月1日の出願であって、平成14年6月21日付の拒絶理由通知に対して同年8月30日付で意見書および手続補正書が提出されたが、同年9月26日付で拒絶査定がなされ、これに対し、 同年11月7日に拒絶査定に対する審判請求がなされたものである。

2.本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下、本願発明)は、平成14年8月30日付けの手続補正書によって補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認められる。
「有線および/または無線の通信回線に接続された情報通信端末を利用して懸賞を行うシステムであって、
賞品に関する情報のデータを蓄積した賞品データベースと、
情報通信端末に、賞品に関する情報を表示させる手段と、
情報通信端末を操作するユーザに対して、少なくともメールアドレスを含む当該ユーザの個人情報の入力を促す手段と、
前記入力されたユーザの個人情報を記憶する手段と、
情報通信端末を操作するユーザに対して、所望の賞品に対する応募の入力を促す手段と、
所定の賞品に対して応募の入力がなされた場合に、当該賞品に対して応募がなされたことを、当該ユーザの個人情報と関連付けて記憶する手段と、
賞品に関する情報の提供を希望するか否かを問う画面を、情報通信端末に表示させる手段と、
賞品に関する情報の提供を希望する入力がなされた場合に、当該希望がなされたことを、当該ユーザの個人情報と関連付けて記憶する手段と、
賞品に関する情報の提供を希望したユーザのメールアドレスに、賞品に関する情報を含む電子メールを送信する手段と、
前記電子メールに対して返信メールが出された場合に、当該返信メールの受信を、当該情報提供された賞品に対する応募の入力と判断する手段と
を備えたことを特徴とする懸賞システム。」

3.引用例記載の発明
(1)原査定の拒絶理由に引用された『城井田勝仁,「当たる!ネット懸賞の法則」,日本,オーム社,2000年 3月23日,第1版第1刷,6-157頁』(以下、引用例1)には、「ネット懸賞」に関して、次の事項が図面と共に記載されている。

(a)「はがきによるオープン懸賞の場合は、(略)手間がかかります。インターネットの場合は懸賞実施のホームページを表示して、住所などのわずかな情報入力とクリックを行うだけですから、その手軽さには大きな開きがあります。」(第8頁第9行〜同頁第12行)
(b)「全員プレゼント(略)キャンペーンによる全員プレゼントもあります。これは先着に限らず、必ずプレゼントをもらえるものですが、全員登録などの条件がつきます。もっとも、インターネットでの会員登録のほとんどは無料です。その代わりに、定期的な製品情報などの配信を受けることになるのが一般的です。たいていはEメールでその情報配信が行われるので、メールボックスに十分な容量(もしくは無制限)があるのなら、どんどん会員登録してしまってもかまわないでしょう。」(第11頁第11行〜同頁第21行)
(c)「インターネット懸賞では、メールアドレスの有無は重要です。Eメールが連絡手段として主に使われるからです。また、インターネット懸賞の中には、Eメールを使って応募するものがあります。その中にはメール送信機能を自動的に利用する応募システムもあります。(略)メールソフトは、最近のパソコンにはたいてい標準装備されていますから、メールソフトそのものを特に用意する必要はなく、それを利用できる状態にしておけばOKです。」(第14頁第13行〜第15頁第4行)
(d)「2.3懸賞に応募する インターネット懸賞の応募は、懸賞の実施されているホームページで行います。そのページをブラウザソフトで表示して、専用のフォームなどを使って応募します。」(第16頁第18行〜同頁第20行)
(e)「懸賞によって得られたデータは、ホームページの運営に何らかの形で活用されるのが普通です。」(第25頁第18行〜同頁第19行)
(f)「定期的な懸賞を実施するサイトからの情報配信メールは、必ず受け取ろう インターネットで懸賞を実施するサイトの中には、Eメールによる情報配信サービスを行っているところが少なくありません。このサービスを受けるのも受けないのも自由ですが、インターネット懸賞募集のためには、メール配信サービスを受けた方が有利です。特に、定期的な懸賞を実施するサイトからのメール配信は、その実施時期や懸賞品を、ホームページにアクセスすることなく確認できるという点で重宝します。」(第68頁第3行〜69頁第3行)
また、第17頁の図2.4「インターネット懸賞はこのようなフォームを使って応募することが多い」には、応募フォームが示されており、当該フォームには応募者のメールアドレスを含む個人情報を入力することが示され、また、画面の左下には送信を行うためのクリック箇所も示されている。

そして、引用例1記載のようなインターネットを利用した懸賞システムにおいては、例えば、(f)の記載からも明白なように、イ.懸賞品に関する情報のデータを蓄積した懸賞品データベース、および、ロ.ユーザー側パソコンに懸賞品に関する情報を表示させる手段が存在していることは、自明である。
また、(e)の記載、第17頁図2.4の応募フォームの入力事項、および、応募を受け付けた場合には、応募された懸賞品と当該応募者の個人情報を関連付けて記憶させることは当然のことであるので、引用例1記載のようなネット懸賞において、「イ.応募者の個人情報を記憶する手段、および、ロ.所定の懸賞品に対して応募の入力がなされた場合に、当該懸賞品に対して応募がなされたことを、当該ユーザの個人情報と関連付けて記憶する手段」が存在することも自明である。
更に、(b)や(f)において、懸賞品や製品情報などの配信を受けるためにインターネットで会員登録を行う場合、懸賞品や製品情報の提供を希望するか否かを問う画面がユーザーのパソコンに表示され、登録希望者が当該画面上から関連情報を入力すること、また、会員登録された場合には、関連する情報を希望する旨を個人情報とを関連付けて記憶させることは、いずれも自明である。

したがって、引用例1には、「有線および/または無線の通信回線に接続されたパソコンを利用して懸賞を行うシステムであって、
懸賞品に関する情報のデータを蓄積した賞品データベースと、
パソコンに、懸賞品に関する情報を表示させる手段と、
パソコンを操作するユーザに対して、少なくともメールアドレスを含む当該ユーザの個人情報の入力を促す手段と、
前記入力されたユーザの個人情報を記憶する手段と、
パソコンを操作するユーザに対して、所望の懸賞品に対する応募の入力を促す手段と、
所定の懸賞品に対して応募の入力がなされた場合に、当該懸賞品に対して応募がなされたことを、当該ユーザの個人情報と関連付けて記憶する手段と、
懸賞品に関する情報の提供を希望するか否かを問う画面を、パソコンに表示させる手段と、
懸賞品に関する情報の提供を希望する入力がなされた場合に、当該希望がなされたことを、当該ユーザの個人情報と関連付けて記憶する手段と、
懸賞品に関する情報の提供を希望したユーザのメールアドレスに、懸賞品に関する情報を含む電子メールを送信する手段と、
を備えたことを特徴とする懸賞システム。」に関する発明(以下、引用例1記載の発明という。)が記載されている。

また、(c)から明らかなように、引用例1には、「インターネット懸賞には、Eメールを使って応募するものがある。」ことも記載されている。

4.対比
本願発明と引用例1記載の発明を対比すると、引用例1記載の発明の「パソコン」および「懸賞品」は、本願発明の「情報通信端末」および「賞品」にそれぞれ相当する。

したがって、本願発明と引用例1記載の発明とは、
「有線および/または無線の通信回線に接続された情報通信端末を利用して懸賞を行うシステムであって、
賞品に関する情報のデータを蓄積した賞品データベースと、
情報通信端末に、賞品に関する情報を表示させる手段と、
情報通信端末を操作するユーザに対して、少なくともメールアドレスを含む当該ユーザの個人情報の入力を促す手段と、
前記入力されたユーザの個人情報を記憶する手段と、
情報通信端末を操作するユーザに対して、所望の賞品に対する応募の入力を促す手段と、
所定の賞品に対して応募の入力がなされた場合に、当該賞品に対して応募がなされたことを、当該ユーザの個人情報と関連付けて記憶する手段と、
賞品に関する情報の提供を希望するか否かを問う画面を、情報通信端末に表示させる手段と、
賞品に関する情報の提供を希望する入力がなされた場合に、当該希望がなされたことを、当該ユーザの個人情報と関連付けて記憶する手段と、
賞品に関する情報の提供を希望したユーザのメールアドレスに、賞品に関する情報を含む電子メールを送信する手段と、
を備えたことを特徴とする懸賞システム。」という点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点)
本願発明では、(賞品に関する情報の提供を希望したユーザのメールアドレスに、賞品に関する情報を含む電子メールを送信した後、)「当該電子メールに対して返信メールが出された場合に、当該返信メールの受信を、当該情報提供された賞品に対する応募の入力と判断する手段」を設けている。
一方、引用例1記載の発明では、「賞品に関する情報の提供を希望したユーザのメールアドレスに、賞品に関する情報を含む電子メールを送信する手段」は設けてはいるが、そのメール自体が懸賞募集の役割も果たしているのか、それとも、メールは単に懸賞品等に関する情報のみを送信しているのか明確でなく、そして、「前記電子メールに対して返信メールが出された場合に、当該返信メールの受信を、当該情報提供された賞品に対する応募の入力と判断する手段」は記載されていない点。

5.当審の判断
上記相違点について検討する。

(相違点)について
一般に、商品を販売/購入する場合に、顧客が商品に自らアクセスして希望する商品を購入することも、また、販売者が登録した顧客に対して商品を提示して、提示された商品の中から顧客が希望する商品を購入すること(例えば、DMを利用した商品販売)も、いずれもビジネスの慣行として周知のことである。
そして、メールに対する回答として返信メールを利用することは周知のことであり、また、引用例1には、インターネット懸賞においてEメールを使って応募することが記載されている。
したがって、引用例1記載の懸賞システムにおいても、ユーザが懸賞募集にアクセスする(つまり、ユーザが懸賞のホームページにアクセスする)ことに加え、懸賞を募集する側から登録したユーザーに対して懸賞募集を行うこととし、そのため、ユーザのメールアドレスに送信される懸賞品に関する情報を含む電子メールに懸賞募集の役割を持たせ、そして、その回答(すなわち、懸賞への応募)として返信メールを用いること(すなわち、「当該電子メールに対して返信メールが出された場合に、当該返信メールの受信を、当該情報提供された賞品に対する応募の入力と判断する」こと)は、当業者が容易に考え得ることと認められる。

また、本願請求項1に係る発明の効果についてみても、上記引用例1記載の発明および周知技術から当然に予測される程度のものにすぎず、格別顕著なものではない。

6.むすび
したがって、本願発明は、引用例1記載の発明および周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
 
審理終結日 2005-02-23 
結審通知日 2005-03-01 
審決日 2005-03-15 
出願番号 特願2000-233126(P2000-233126)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 竹中 辰利  
特許庁審判長 山下 弘綱
特許庁審判官 大野 弘
深沢 正志
発明の名称 懸賞システムおよび懸賞方法  
代理人 早川 裕司  

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