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審決分類 審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 G09B
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G09B
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G09B
管理番号 1134022
審判番号 不服2003-5695  
総通号数 77 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1998-10-23 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-04-04 
確定日 2006-04-06 
事件の表示 平成 9年特許願第 83020号「地図提供システム、同システムの動作方法及び地図提供サーバ」拒絶査定不服審判事件〔平成10年10月23日出願公開、特開平10-282879〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は平成9年4月1日の出願であって、平成15年3月5日付けで拒絶の査定がされたため、これを不服として同年4月4日付けで本件審判請求がされるとともに、同年5月1日付けで明細書についての手続補正(平成14年改正前特許法17条の2第1項3号の規定に基づく手続補正であり、以下「本件補正」という。)がされたものである。

第2 補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成15年5月1日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1.補正事項
本件補正は、補正前【請求項1】,同【請求項4】,同【請求項5】及び同【請求項6】における「位置修正情報」を「方角及び距離に係わる情報を含む位置修正情報」と限定する(以下、これを「補正事項」という。)ものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものと認める。

2.新規事項追加又は独立特許要件欠如その1
(1)まず、「方角及び距離に係わる情報」との文言が、「方角及び距離」という2つの情報の趣旨であるのか、「方角及び距離」を割り出すことができる情報であればよいのか明確でない。次に、「方角及び距離に係わる情報を含む」とあるから、「方角及び距離に係わる情報」以外の情報があってもよいことになるが、その情報が何であるのか明確でないと同時に、発明の詳細な説明を参酌しても理解できない。したがって、本件補正後の【請求項1】,【請求項4】,【請求項5】及び【請求項6】(並びにこれら請求項を引用する請求項)の記載は、平成14年改正前特許法36条4項及び6項2号に規定する要件を満たしていない。
すなわち、本件補正後の【請求項1】,【請求項4】,【請求項5】及び【請求項6】(並びにこれら請求項を引用する請求項)に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができない(平成15年改正前特許法17条の2第5項で準用する同法126条4項違反)。

(2)「方角及び距離に係わる情報」との文言が、「方角及び距離」という2つの情報、すなわち、極座標表示した位置修正情報の趣旨であるとすれば、新規事項追加に当たる。その理由は次のとおりである。
願書に最初に添付した明細書(以下、添付図面を含めて「当初明細書」という。)には、「方角及び距離に係わる情報」との文言は記載されていない。
当初明細書には「指定設備の位置情報と前記位置修正情報とに基づいて、目標地点の地図上の座標値を決定する」(【請求項2】)との記載があるから、「位置修正情報」が「指定設備の位置情報」から「目標地点の地図上の座標値」を得るのに必要な情報であることは理解でき、「地図上の座標値」は通常2次元座標であるから、必要な情報が2つであることも理解できる。
当初明細書には、位置修正情報の例として「北へ50メートル」(段落【0013】ほか)との記載があり、「北」が方角の一例であり、「50メートル」が距離の一例であることは認める。
しかし、地図上の座標値(2次元座標)は、東西及び南北方向を2軸とする直交座標で表現することが多いから、上記例だけでは、「方角及び距離」でもって位置補正情報を指定すると認定することはできない。なぜなら、東西南北以外の方角であれば、例えば「北東へ141(≒100×√2)m」と指定するのか、それとも「東へ100mかつ北へ100m」と指定するのか、当初明細書の記載からは特定できないからである。
したがって、補正事項は当初明細書に記載された事項でも、当初明細書の記載から自明な事項でもない。すなわち、本件補正は特許法17条の2第3項の規定に違反している。

3.独立特許要件欠如その2
以下では、「発明を特定するための事項」という意味で「構成」との用語を用いることがある。
(1)補正発明の認定
本件補正後の請求項4に係る発明(以下「補正発明」という。)は、本件補正により補正された明細書の特許請求の範囲【請求項4】に記載された事項によって特定される次のとおりのものである。
「全体地図を保有するサーバと、
前記サーバと通信可能であって、前記全体地図から抽出された部分地図を前記サーバから受信する地図受信装置と、
指定された設備の固有名称又は識別コードと方角及び距離に係わる情報を含む位置修正情報とを前記サーバへ通知する設備通知装置とを備え、
前記サーバが、
前記全体地図がカバーする地域に存在する多数の設備の位置情報を格納した位置情報データベースと、
前記通知された指定設備の位置情報を、位置情報データベースから検索する位置情報検索手段と、
前記位置修正情報を、緯度及び経度の修正値に変換する変換手段と、
前記検索された指定設備の位置情報から得られる指定設備の緯度及び経度に、前記変換手段において位置修正情報から変換された緯度及び経度の修正値を加算することによって目標地点の緯度及び経度を決定する緯度経度決定手段と、
前記決定された緯度及び経度に対応する前記目標地点の地図上の座標値に基づいて、前記目標地点の地図上の座標値が地図抽出範囲の中心に位置するように地図抽出範囲を決定する地図抽出範囲決定手段と、
前記全体地図から、前記地図抽出範囲の部分地図を抽出して前記地図受信装置へ送信する地図抽出手段と、
を有する地図提供システム。」

(2)引用刊行物記載の発明の認定
原査定の拒絶の理由に引用された特開平8-274900号公報(以下「引用例」という。)には、「電話システムに加入している電話機加入者の所在位置情報と各電話機の所在位置情報の地図情報を蓄積したデータベースとを通信網に接続したものにおいて、信号受信機能を持つ応答回路と制御装置からなる自動案内装置を前記通信網に接続しておき、前記通信網につながる第一の前記加入者電話機の電話番号から入力される目的地に所在する第二の加入者の電話機の電話番号と前記第一の前記加入者電話機から入力した前記第二の加入者電話番号近辺の一般に良く知られた施設の電話番号を前記自動案内装置で受信し、その受信した電話番号を基に前記データベースを検索して前記電話番号の電話機の所在位置と地図情報を知り、これを前記通信網を介して前記第一の前記加入者電話番号へ送り、前記電話機に付属して設置されている表示装置に表示することを特徴とする地図サービスシステム。」(【請求項1】)との発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。

(3)補正発明と引用発明との一致点及び相違点の認定
引用発明の「自動案内装置」は補正発明の「サーバ」に相当し、第一の加入者電話番号へ送られるのは、データベース内の部分地図であることが明らかであるから、「自動案内装置」は「全体地図を保有」している。
補正発明の「地図受信装置」及び「設備通知装置」に相当する構成が、引用発明の「第一の加入者電話機」に備わっていることは明らかである。
引用発明の「第一の前記加入者電話機から入力した前記第二の加入者電話番号近辺の一般に良く知られた施設」及びその「電話番号」は、補正発明の「指定された設備」及びその「固有名称又は識別コード」にそれぞれ相当し、引用発明の「第二の加入者の電話機の電話番号」と補正発明の「方角及び距離に係わる情報を含む位置修正情報」とは、「指定された設備の固有名称又は識別コード」とは別の情報である点で一致する。
引用発明は「データベースを検索して前記電話番号の電話機の所在位置と地図情報を知」るのだから、「データベース」に「全体地図がカバーする地域に存在する多数の設備の位置情報を格納した位置情報データベース」が含まれること、並びに「自動案内装置」(サーバ)が「通知された指定設備の位置情報を、位置情報データベースから検索する位置情報検索手段」及び「全体地図から、地図抽出範囲の部分地図を抽出して地図受信装置へ送信する地図抽出手段」を有することは明らかである。
補正発明の「地図提供システム」と引用発明の「地図サービスシステム」が、単なる用語の相違でしかないことはいうまでもない。
したがって、補正発明と引用発明とは、
「全体地図を保有するサーバと、
前記サーバと通信可能であって、前記全体地図から抽出された部分地図を前記サーバから受信する地図受信装置と、
指定された設備の固有名称又は識別コードとそれとは別の情報とを前記サーバへ通知する設備通知装置とを備え、
前記サーバが、
前記全体地図がカバーする地域に存在する多数の設備の位置情報を格納した位置情報データベースと、
前記通知された指定設備の位置情報を、位置情報データベースから検索する位置情報検索手段と、
地図抽出範囲を決定する地図抽出範囲決定手段と、
前記全体地図から、前記地図抽出範囲の部分地図を抽出して前記地図受信装置へ送信する地図抽出手段と、
を有する地図提供システム。」である点で一致し、以下の各点で相違する。
〈相違点1〉指定された設備の固有名称又は識別コードとは別の情報につき、補正発明では「方角及び距離に係わる情報を含む位置修正情報」としているのに対し、引用発明では「第二の加入者の電話機の電話番号」としている点。
〈相違点2〉補正発明の「サーバ」が「前記位置修正情報を、緯度及び経度の修正値に変換する変換手段」及び「前記検索された指定設備の位置情報から得られる指定設備の緯度及び経度に、前記変換手段において位置修正情報から変換された緯度及び経度の修正値を加算することによって目標地点の緯度及び経度を決定する緯度経度決定手段」を有し、地図抽出範囲決定に当たって「前記決定された緯度及び経度に対応する前記目標地点の地図上の座標値に基づいて、前記目標地点の地図上の座標値が地図抽出範囲の中心に位置するように地図抽出範囲を決定する」のに対し、引用発明がこれら構成を有するとはいえない点。

(4)相違点についての判断
〈相違点1について〉
引用発明では、第二の加入者の電話機の所在位置(以下「第2位置」という。)及び第二の加入者電話番号近辺の一般に良く知られた施設の所在位置(以下「第1位置」という。)を含む地図範囲が抽出されるのであるが、2つの所在位置をともに含む地図を抽出するに当たっては、その中間点(典型的には中点)を表示中心とすることが周知である(例えば、特開平5-181413号公報に「19は現在地-目的地間距離計算部で計算された距離LX が基準距離LC 以下になったか判定する判定部、20は表示中心地点計算部であり、・・・判定部で距離LX が基準距離LC 以下となったと判定されたときは、車両現在地から車両進行方向へLX /2だけ離れた地点を計算して表示中心地点として、表示中心地点データを地図描画制御部13へ出力する。」(段落【0022】)と、特開平7-4979号公報に「表示画面上での移動体位置P(x,y)表示(P点)と目標位置Q(x,y)表示(Q点)との間が何ドット離れているかが判る。・・・中心点A点の座標を計算する。105中の中心点の計算1(審決注;実際の表記は丸数字の1である。)の式は、P点とQ点との相加平均であり、P点とQ点との中間点を求める演算である。・・・A(x,y)を中心とする場合に関連する地図情報をCD-ROMディスクDKから読出す。」(段落【0026】〜【0027】)と、及び特開平8-226825号公報に「現在位置Iと交点gとの間の中点eを表示中心としたり、現在位置Iと次回変針点Dtとの間の中点fを表示中心とするといったことである。」(段落【0047】)と、それぞれ記載されているとおりである。)。
そして、引用発明では第1位置及び第2位置が把握されるのだから、これら2つの位置の中間点(典型的には中点)を算出することに何の困難性もなく、上記周知技術を採用することは設計事項というべきである。その場合、「第二の加入者の電話機の電話番号」は第2位置を得るための情報であり、ひいては第1位置を同位置と第2位置の中間点に修正させるための「位置修正情報」と捉えることができる。しかしながら、その「位置修正情報」は「方角及び距離に係わる情報を含む」とはいえないので、なお検討をすすめる。
引用発明は「公共物あるいは一般に良く知られた建物の場所から目的地への道順の地図が入手出来る地図サービスシステム」(引用例の段落【0001】)であり、目的地(第2位置)の電話番号が判明しているときには利便性の高いシステムであろうが、あらゆる場合に目的地の電話番号が判明していると限らないことはいうまでもなく、「公共物あるいは一般に良く知られた建物の場所」を基準として、基準場所との位置関係(例えば、「○○駅から東へ100メートルの辺り」)が目的地までの手掛かりとして判明している場合が少なからずあることは常識というべきである。その場合には、判明している手掛かりをもとに地図を入手しなければならないから、手掛かりである基準場所との位置関係を「第一の加入者電話機」から「自動案内装置」に通知するように構成することは当業者にとって想到容易である。
そして、手掛かりである基準場所との位置関係の代表例は、上記例示のとおり「○○駅から東へ100メートルの辺り」といったものであるから、「○○駅」(良く知られた施設であり、この位置は自動案内装置が電話番号に基づいて取得している。)との関係に当たる「東へ100メートル」(方角及び距離に係わる情報)を、「指定された設備の固有名称又は識別コードとは別の情報」である「位置修正情報」とすることは当業者にとって想到容易である。

〈相違点2について〉
地図提供システムにあっては、特定位置の絶対位置である緯度・経度情報を地図座標に変換することは周知である(例えば、特開平5-242162号公報、特開平7-6299号公報、特開平4-128606号公報又は特開平8-43117号公報を参照。)。したがって、引用発明において、「通知された指定設備の位置情報を、位置情報データベースから検索する」に当たり、その位置情報を緯度及び経度とする(電話番号と緯度及び経度の関係をデータベースに格納しておく。)こと、及び位置情報たる緯度及び経度をそれとは別の地図上の座標値に変換することは設計事項というべきである。
引用発明において、第1位置と第2位置の中間点(典型的には中点)を表示中心とする(その場合、中間点が補正発明の「目標地点」に相当する。)ことが設計事項であり、「第二の加入者の電話機の電話番号」が第1位置を同位置と第2位置の中点に修正させるための「位置修正情報」と捉えられることは既に述べたとおりである。また、地図提供システムにあっては、地図上の位置を地図座標として定めておくことが普通であり、特定点を表示中心とする地図を抽出するためには、特定点の地図座標を中心とする緯度方向及び経度方向に適宜の範囲(縮尺や表示画面の大きさで定まる)を抽出することは、当業者であれば難なく思いつくことである。そして、上記中間点を表示中心とするためには、上記中間点の地図座標を取得する必要があるところ、そのためには、第1位置及び第2位置の各地図座標を求めてからその中間点を求める第1の手法、第1位置及び第2位置の各緯度経度を求め、中間点の緯度経度を算出した後、中間点の地図座標を求める第2の手法が直ちに想起でき、どちらの手法も設計事項である。補正発明は第2の手法を採用したものであるが、そのこと自体には何の進歩性も認めることができない。また、中間点と第1位置との緯度経度の差は、補正発明の「緯度及び経度の修正値」に相当するものであり、中間点の緯度経度を求める過程で「緯度及び経度の修正値」を求めること(「位置修正情報を、緯度及び経度の修正値に変換する変換手段」を有することに相当し、同手段を有する場合には当然「変換手段において位置修正情報から変換された緯度及び経度の修正値を加算することによって目標地点の緯度及び経度を決定する緯度経度決定手段」も有することになる。)にも困難性はない。そればかりか、相違点1に係る補正発明の構成を採用した場合には、「位置修正情報」が基準位置たる第1位置に対する「方角及び距離に係わる情報を含む」情報であるから、基準位置からの緯度及び経度の修正量を決定した後、同修正量を基準位置の緯度及び経度に加算することは、誰もが思いつくことである。
そして、このように求められた目標地点(第1位置と第2位置の中間点)の緯度及び経度が決定された以上、上記周知技術にしたがい「前記決定された緯度及び経度に対応する前記目標地点の地図上の座標値に基づいて、前記目標地点の地図上の座標値が地図抽出範囲の中心に位置するように地図抽出範囲を決定する」ことも設計事項というべきである。
以上のとおりであるから、相違点2に係る補正発明の構成をなすことも当業者にとって想到容易である。

(5)補正発明の独立特許要件の判断その2
相違点1,2に係る補正発明の構成を採用することは当業者にとって想到容易であり、これら構成を採用したことによる格別の作用効果を認めることもできない。
したがって、補正発明は引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許出願の際独立して特許を受けることができない(平成15年改正前特許法17条の2第5項で準用する同法126条4項違反)。

[補正の却下の決定のむすび]
以上のとおり、本件補正は特許法(平成15年改正前)17条の2第3項及び同条5項で準用する同法126条4項の規定に違反しているから、同法159条1項で読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下されなければならない。
よって、補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本件審判請求についての当審の判断
1.本願発明の認定
本件補正が却下されたから、本願の請求項に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成14年12月6日付け手続補正により補正された明細書の特許請求の範囲【請求項4】に記載された事項によって特定される次のとおりのものと認める。
「全体地図を保有するサーバと、
前記サーバと通信可能であって、前記全体地図から抽出された部分地図を前記サーバから受信する地図受信装置と、
指定された設備の固有名称又は識別コードと位置修正情報とを前記サーバへ通知する設備通知装置とを備え、
前記サーバが、
前記全体地図がカバーする地域に存在する多数の設備の位置情報を格納した位置情報データベースと、
前記通知された指定設備の位置情報を、位置情報データベースから検索する位置情報検索手段と、
前記位置修正情報を、緯度及び経度の修正値に変換する変換手段と、
前記検索された指定設備の位置情報から得られる指定設備の緯度及び経度に、前記変換手段において位置修正情報から変換された緯度及び経度の修正値を加算することによって目標地点の緯度及び経度を決定する緯度経度決定手段と、
前記決定された緯度及び経度に対応する前記目標地点の地図上の座標値に基づいて、前記目標地点の地図上の座標値が地図抽出範囲の中心に位置するように地図抽出範囲を決定する地図抽出範囲決定手段と、
前記全体地図から、前記地図抽出範囲の部分地図を抽出して前記地図受信装置へ送信する地図抽出手段と、
を有する地図提供システム。」

2.本願発明と引用発明との一致点及び相違点の認定
本願発明と引用発明とは、「第2[理由]3(3)」で述べた一致点において一致し、相違点2及び次の相違点1’で相違する(相違点2については、「補正発明」を「本願発明」と読み替える。)。
〈相違点1’〉指定された設備の固有名称又は識別コードとは別の情報につき、補正発明では「位置修正情報」としているのに対し、引用発明では「第二の加入者の電話機の電話番号」としている点。

3.相違点についての判断及び本願発明の進歩性の判断
(1)相違点1’について
引用発明において、第1位置と第2位置を中間点を表示中心とすることが設計事項であること、及びその場合「第二の加入者の電話機の電話番号」は第2位置を得るための情報であり、ひいては第1位置を同位置と第2位置の中間点に修正させるための「位置修正情報」と捉えられることは「第2[理由]3(4)」で述べたとおりである。
したがって、相違点1’に係る本願発明の構成を採用することは設計事項というべきである。

(2)相違点2について
相違点2に係る本願発明の構成を採用することが当業者にとって想到容易であることは、「第2[理由]3(4)」で述べたとおりである(「補正発明」を「本願発明」と読み替える。)。

(3)本願発明の進歩性の判断
相違点1’,2に係る本願発明の構成を採用することは設計事項であるか、当業者にとって想到容易であり、これら構成を採用したことによる格別作用効果を認めることもできない。
したがって、本願発明は引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

第4 むすび
本件補正は却下されなければならず、本願発明が特許を受けることができない以上、本願のその余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶を免れない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-02-06 
結審通知日 2006-02-07 
審決日 2006-02-20 
出願番号 特願平9-83020
審決分類 P 1 8・ 561- Z (G09B)
P 1 8・ 121- Z (G09B)
P 1 8・ 575- Z (G09B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 平井 聡子木村 史郎  
特許庁審判長 津田 俊明
特許庁審判官 藤本 義仁
國田 正久
発明の名称 地図提供システム、同システムの動作方法及び地図提供サーバ  
代理人 志賀 正武  
代理人 村山 靖彦  
代理人 青山 正和  

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