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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A23L |
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管理番号 | 1134236 |
審判番号 | 不服2004-17150 |
総通号数 | 77 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2003-11-11 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2004-08-18 |
確定日 | 2006-04-11 |
事件の表示 | 特願2003-130313「異性体濃縮共役リノール酸組成物の使用方法」拒絶査定不服審判事件〔平成15年11月11日出願公開、特開2003-319759〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願発明 本願は、平成11年3月17日(優先権主張1998年5月4日、米国)を国際出願日とする特願2001-383829号の一部を、特許法第44条第1項の規定により、平成15年5月8日に新たな特許出願としたものであって、その請求項2に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成17年1月31日付手続補正書にて補正された明細書の特許請求の範囲の請求項2に記載された次の事項により特定されるものである。 「約2:1より高い比率での10,12-リノール酸および9,11-リノール酸を含む動物の体脂肪を減少するための組成物。」 2.引用例 これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先権主張の日前に頒布された「国際公開第96/6605号パンフレット」(以下、「引用例」という。)には、下記(a)ないし(e)の事項が記載されている。 (a)「我々は、9,11-オクタデカジエン酸;10,12-オクタデカジエン酸;それらの混合物;およびそれらの無毒な塩(CLA)から選択された、体脂肪を減少させるのに有効な、化合物の安全な量を、動物に投与することを含む動物中の体脂肪を減少させる方法を見出した。」(2頁6〜10行) (b)「本発明の方法で用いる動物の餌および医薬組成物または獣医学的な組成物は、遊離共役リノール酸(CLA)、特に、9,11-オクタデカジエン酸および10,12-オクタデカジエン酸またはそれらの混合物を慣用の動物の餌、人の食物の補足物または認められた医薬的な食物と組み合わせた活性な形態で含むものである。」(7頁12行〜18行) (c)「CLAの活性な形態は、遊離酸に加えて、CLAの活性な異性体;それらの無毒な塩;それらの活性なエステルおよび他の活性で化学的な誘導体およびこれらの混合物を含む。」(7頁19行〜22行) (d)「CLAの遊離酸の形は、リノール酸を異性化することにより得られてよい。ここで用いられている用語「共役リノール酸」および「CLA」は9,11-オクタデカジエン酸、10,12-オクタデカジエン酸、それらの混合物および該酸の無毒な塩を含むものとする。遊離酸の無毒な塩は、遊離酸を無毒な塩基と反応させることによりつくることができるであろう。CLAを合成する好ましい方法は、例1に説明したものである。」(8頁6行〜14行) (e)「例2 8匹の豚(5kgの体重)に、0.5%のコーンオイルを含む標準対照食事を与え、同様に、0.5%のコーンオイルを0.5%のCLAで代えた同じ食事を与える。豚が15kgの重さとなるまで、食事は毎日自由に与える。給餌期間の後、豚を犠牲にして、死体の脂肪、タンパク質、水および灰分を分析する。CLA食事を与えられた豚の死体が、対照食事を与えられた豚よりも少ない脂肪を含んでいることが判明した。」(4頁13行〜22行) 3.当審の判断 本願発明と引用例に記載された発明とを対比すると、両者は、「10,12-リノール酸及び9,11-リノール酸を含む動物の体脂肪を減少するための組成物」である点で一致し、ただ、前者では、10,12-リノール酸と9,11-リノール酸とが約2:1より高い比率であるとの数値限定があるのに対し、後者ではそうでない点で相違する。 この相違点について検討するに、本願明細書の「実施例2」の「表1」の記載によると、「10,12-リノール酸:9,11-リノール酸」が「2:1」である「0.4:0.2」である場合の「脂肪%」の数値「3.088」は、「2:1」より低い比率である、例えば「0.1:0.2」、「0.2:0.2」及び「0.2:0.4」の場合の「脂肪%」の数値「7.922」、「7.115」及び「7.508」に比べて、若干効果が見られるものの、同じく「10,12-リノール酸:9,11-リノール酸」が「2:1」である「0.2:0.1」である場合の「脂肪%」の数値「7.306」は、「2:1」より低い比率である「0.1:0.2」、「0.2:0.2」及び「0.2:0.4」の場合の上記数値に比べて格別の差異があるとはいえない。 そうすると、本願発明に係る上記数値限定に臨界的意義があるとはいえず、上記数値限定は当業者が必要に応じ適宜決定し得る程度のものである。 そして、本願発明は、引用例に記載された発明に比べて格別の効果を奏するものとはいえない。 4.むすび そうすると、本願発明は、引用例に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本出願に係る他の請求項について検討するまでもなく、本出願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2005-11-14 |
結審通知日 | 2005-11-15 |
審決日 | 2005-11-30 |
出願番号 | 特願2003-130313(P2003-130313) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(A23L)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 鈴木 恵理子 |
特許庁審判長 |
田中 久直 |
特許庁審判官 |
河野 直樹 長井 啓子 |
発明の名称 | 異性体濃縮共役リノール酸組成物の使用方法 |
代理人 | 森下 夏樹 |
代理人 | 山本 秀策 |
代理人 | 安村 高明 |