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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  G03B
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  G03B
管理番号 1134313
異議申立番号 異議2002-71139  
総通号数 77 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2001-12-07 
種別 異議の決定 
異議申立日 2002-04-22 
確定日 2006-01-04 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3226520号「写真シール自動販売方法および写真シール自動販売機」の請求項1乃至4に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3226520号の請求項1乃至4に係る特許を取り消す。 
理由 1.手続の経緯
本件特許第3226520号の請求項1乃至4に係る発明についての出願は、平成12年7月17日に特許出願され(優先権主張 平成12年3月21日)、平成13年8月31日にそれらの発明について特許の設定登録がなされ、その後、その特許について、山口知子、井上容子及び重富與八郎より特許異議申立てがなされ、これを受けて平成14年7月5日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である平成14年9月17日に訂正請求書が提出された。
一方、本件特許について平成14年6月26日に無効審判請求(無効2002-35272)がなされ、それにともない、本件異議申立事件は平成15年2月18日付けで手続中止通知書が通知されたが、その後、前記無効審判請求は取り下げられ、平成17年10月31日付けで手続中止解除通知書が通知されたものである。

2.訂正事項及び訂正の適否
(1)訂正事項
特許明細書の段落【0020】及び【0021】を削除する。

(2)訂正の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
上記訂正事項は、特許明細書の段落【0020】及び【0021】に記載された「陰の方向と位置」の記載について、「方向と位置」の意味が不明瞭なので、明りょうでない記載の釈明を目的として、段落【0020】及び【0021】を削除するものである。
また、上記訂正事項は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。

(3)むすび
したがって、上記訂正は、特許法第120条の4第2項及び第3項で準用する第126条第2項及び第3項に適合するので、当該訂正を認める。

3.特許異議申立について
(1)本件発明
上記2.で示したように上記訂正は認められるから、本件特許の請求項1乃至4に係る発明(以下、「本件発明1」乃至「本件発明4」という。)は、本件訂正後の特許明細書の特許請求の範囲の請求項1乃至4に記載された次のとおりのものである。
「【請求項1】投入貨幣を処理する貨幣処理手段と、撮像や画像編集その他必要な操作を入力する入力手段と、被写体を連続して照明する連続照明手段と、プリント画像の撮像に同期して被写体をストロボ発光して照明するストロボ照明手段と、被写体を撮像するカメラと、撮像画像や編集画像その他必要事項を表示する表示手段と、撮像画像や編集画像の写真シールをプリントして放出するプリンタと、これら構成要素を制御する制御手段とを備え、
前記カメラの左右位置に前記ストロボ照明手段と連続照明手段との夫々を並設した状態で配置し、前記貨幣処理手段への貨幣投入に基づいてプレイ操作を許容し、カメラの左右に配置した連続照明手段の照光によって前記表示手段に撮像ポーズを表示すると共に撮像ポーズの確認を可能とし、連続照明手段とストロボ照明手段とで被写体を照光してカメラで撮像した後、前記表示手段に撮像画像を表示し、撮像後前記表示手段に表示された画像に画像編集を許容し、画像確定後プリンタで写真シールをプリントして放出する写真シール自動販売方法。
【請求項2】投入貨幣を処理する貨幣処理手段と、撮像や画像編集その他必要な操作を入力する入力手段と、被写体を連続して照明する連続照明手段と、プリント画像の撮像に同期して被写体をストロボ発光して照明するストロボ照明手段と、被写体を撮像するカメラと、撮像画像や画像編集その他必要事項を表示する表示手段と、撮像画像や編集画像の写真シールをプリントして放出するプリンタと、これら構成要素を制御する制御手段とを備え、
前記カメラの左右位置に前記ストロボ照明手段と連続照明手段との夫々を並設した状態で配置し、前記貨幣処理手段への貨幣投入に基づいてプレイ操作を許容し、カメラの左右に配置した連続照明手段の照光によって前記表示手段に撮像ポーズを表示すると共に撮像ポーズの確認を可能とし、連続照明手段とストロボ照明手段とで被写体を照光してカメラで撮像した後、前記表示手段に撮像画像を表示し、撮像後前記表示手段に表示された画像に画像編集を許容し、画像確定後プリンタで写真シールをプリントして放出すべく前記制御手段を設定した写真シール自動販売機。
【請求項3】前記ストロボ照明手段を、縦長のボックス状の箱体内に収納したストロボ照明装置と、該装置のストロボ発光を撮像領域側に反射する反射板と、ストロボ発光を撮像領域側に拡散する拡散板とで撮像領域側を照明する縦長のストロボ照明ボックス体に形成した請求項1または2に記載の写真シール自動販売方法または写真シール自動販売機。
【請求項4】前記左右のストロボ照明ボックス体の照明光の一部が撮像領域で重合するように照明光の方向を設定した請求項3に記載の写真シール自動販売方法または写真シール自動販売機。」

(2)取消理由通知の概要
平成14年7月5日付け取消理由通知書の概要は以下のとおりである。
A.本件出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
B.本件出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

A.特許法第29条第1項違反について
刊行物a:特願2000-77959号の出願書類(異議申立人井上容子が提出した甲第15号証)
刊行物b:本件特許の出願書類(同甲第16号証)
刊行物c:本件の出願経過で提出された手続補正書・意見書 (同甲第17号証)
刊行物d:月刊コインジャーナル5月号(平成12年4月30日発行)掲載広告「フラッシュショット」(同甲第18号証)
刊行物e:月刊コインジャーナル6月号(平成12年5月30日発行)掲載広告「フラッシュショット」(同甲第19号証)
刊行物f:オムロン株式会社コロンブス事業部ホームページのコピー (同甲第20号証)
<請求項1〜4に係る発明について>
異議申立人井上容子の提出した異議申立書第22〜25頁に記載のとおりである。

B.特許法第29条第2項違反について
刊行物1:特許第3000527号公報(異議申立人山口知子が提出した甲第1号証)
刊行物2:特表平4-506264号公報(異議申立人重富與八郎が提出した甲第1号証)
刊行物3:実用新案登録第3067486号公報 (異議申立人井上容子が提出した甲第1号証)
刊行物4:特開平7-298123号公報 (異議申立人山口知子が提出した甲第3号証)
刊行物5:特開平10-20370号公報 (同甲第4号証)
刊行物6:特開平10-48705号公報 (異議申立人山口知子が提出した甲第5号証、異議申立人井上容子が提出した甲第8号証、異議申立人重富與八郎が提出した甲第3号証)
刊行物7:特許第2829951号公報 (異議申立人山口知子が提出した甲第6号証)
刊行物8:特開平11-110636号公報 (異議申立人重富與八郎が提出した甲第2号証)
刊行物9:実用新案登録第3060896号公報 (同甲第4号証)
刊行物10:特開2000-69404号公報(異議申立人井上容子が提出した甲第5号証、異議申立人重富與八郎が提出した甲第5号証)
刊行物11:実願昭58-6851号(実開昭59-114556号)のマイクロフイルム (異議申立人井上容子が提出した甲第3号証、異議申立人重富與八郎が提出した甲第6号証)
刊行物12:株式会社日本カメラ社発行「写真用語辞典」第431頁最下段のモデリングランプ(異議申立人重富與八郎が提出した甲第7号証)
刊行物13:株式会社日本カメラ社発行「ストロボ撮影の達人」第168頁中段のモデリングライト(同甲第8号証)
刊行物14:日刊工業新聞1998年10月16日記事「証明用にも使用可能 シール写真自販機発売」(同甲第10号証)
刊行物15:日刊工業新聞1998年12月4日記事「デジカメ対応のプリントシステム」(同甲第11号証)
刊行物16:日刊工業新聞2000年2月21日記事「アイコンで簡単操作 証明写真用プリントシステム」(同甲第12号証)
刊行物17:株式会社幻光社発行「図解ファッションフォト・ライテイング」第67頁の下段の説明記事(同甲第13号証)
刊行物18:特表平10-503343号公報 (異議申立人井上容子が提出した甲第2号証)
刊行物19:特開平11-160785号公報 (同甲第4号証)
刊行物20:実用新案登録第3055836号公報(同甲第6号証)
刊行物21:実用新案登録第3062195号公報(同甲第7号証)
刊行物22:特開平9-288296号公報(同甲第9号証)
刊行物23:特開平10-142655号公報(同甲第10号証)
刊行物24:実願昭55-121798号(実開昭57-45631号)のマイクロフイルム(同甲第11号証)
刊行物25:特開平6-289461号公報(同甲第12号証)
刊行物26:特開平10-257518号公報(同甲第13号証)
刊行物27:特開昭59-187326号公報(同甲第14号証)
<請求項1〜4に係る発明について>
請求項1〜4に係る発明と、刊行物1、2、又は3に記載された発明とを対比すると、細部の構成が相違するが、そのようなことは刊行物1〜27に開示されている。

3.当審の判断
(1)刊行物等に記載の事項
[刊行物1]
平成12年1月27日に頒布された刊行物1(特許第3000527号)には、以下の事項が記載されている。
(a1)「【0017】図示したものは、ハーフミラー8を介して表示されるディスプレイ12の画像情報に加え、座標入力装置付き液晶モニター4からも、前記ディスプレイ12と同一の画像情報が表示できる、いわゆるツインモニター方式の画像プリント供給装置であり、データを書き込むための入力ペン6のほか、コイン投入部5、照明7などが筐体2の外部に、また、PC(パーソナルコンピュータ)14、プリンタ13、コインセレクター(図示しない)などが、前記したハーフミラー8、撮影機9、ディスプレイ12などと共に筐体2の内部に設けられている。」(第3頁左欄段落【0017】)
(a2)「【0029】先ず、コイン投入部5に所定のコインを投入して、画像プリント供給装置の装置本体1を利用可能な状態にする。次に、座標入力装置付き液晶モニター4に表示された各種モードの中から、「全身モードオペレーション」の項目を備え付けの入力ペン6を用いて選択する。」(第4頁左欄段落【0029】)
(a3)「【0030】続いて、所望とする印刷の方向(縦横)とフレーム及び背景を選択すると、表情やポーズを決定するため、被写体たる利用者は装置本体1から離れ、全身撮影に適した図7のポジション(b)付近まで後退する。その際、遠隔操作手段26を備えており、離れたポジションからでも様々な指示制御ができるため、これを持って移動することで、所望のポジションに居ながらにして、装置本体1に各種指示を与えることができる。通常、全身撮影に適したポジションは、筐体2から延出したアーム10の先端から吊り下げられた力ーテン11に最も寄った位置となる。」(第4頁左欄段落【0030】)
(a4)「【0031】次いで、画面3をモニターしながら、遠隔操作手段26を用いて、基台17を図7の(ロ)付近の部位まで移動させると共に、撮影機9が保持される支持具15を自己の全身が写し出されるまで回転させ、更に、画像の大小をズーム調整することになる。なお、基台17の移動の際、それを載置し案内する案内片25が設けてあるため、基台17は案内片25上をスムース且つ安定的に移動することができる。また、被写体の撮影とその画像情報の表示をハーフミラー8を介して行うため、被写体となる利用者は常に画面3をモニターしながら、好みの表情やポーズを決定することができる。」(第4頁左欄段落【0031】)
(a5)「【0032】かくして、所望とする全身画像が写し出されるよう撮影機9の部位を調整し終えたら、遠隔操作手段26を用いて撮影を行う。次いで、撮影された画像が画面3に表示されるので、それが気に入った場合は「確定」を選択することで次の作業に移行するが、若し、気に入らなければ、「キャンセル」を選択することで図6(B)中の「カメラ遠隔操作」の前段階に戻り、再度、撮影機9の部位を調整して撮影し直すことになる。」(第4頁左欄段落【0032】)
(a6)「【0033】撮影された画像が気に入り、「確定」を選択した場合は、被写体たる利用者は装置本体1まで戻り、座標入力装置付き液晶モニター4上で入力ペン6によって所望とするメッセージや力ラーを選択し、且つ、好みの文字や図形等を書き込むことで、全ての工程が終了し、しばらくして所望とする画像プリントが供給されることになる。」(第4頁左欄段落【0033】)
(a7)照明7が画面3の両側と上に設けられた配置。(図1)
(a8)「シール印刷」との表示。(図6(A))

上記(a1)〜(a8)の記載からみて、刊行物1には、以下の発明が記載されている。
「 投入貨幣を処理する貨幣処理手段と、撮像や画像編集その他必要な操作を入力する入力ペン6及び遠隔操作手段26と、被写体を照明する照明手段と、被写体を撮像する撮影機9と、撮像画像や編集画像その他必要事項を表示する画面3と、撮像画像や編集画像の写真シールをプリントして放出するプリンタ13と、これら構成要素を制御手段とを備え、前記撮影機9の左右位置に照明手段を配置し、前記貨幣処理手段への貨幣投入に基づいてプレイ操作を許容し、撮影機9の左右に配置した照明手段の照光によって前記画面3に撮像ポーズを表示すると共に撮像ポーズの確認を可能とし、照明手段で被写体を照光して撮影機9で撮像した後、前記画面3に撮像画像を表示し、撮像後前記画面3に表示された画像に画像編集を許容し、画像確定後プリンタ13で写真シールをプリントして放出する写真シール自動販売方法」および「投入貨幣を処理する貨幣処理手段と、撮像や画像編集その他必要な操作を入力する入力ペン6及び遠隔操作手段26と、被写体を照明する照明手段と、被写体を撮像する撮影機9と、撮像画像や画像編集その他必要事項を表示する画面3と、撮像画像や編集画像の写真シールをプリントして放出するプリンタ13と、これら構成要素を制御するPC(パーソナルコンピュータ)14とを備え、前記撮影機9の左右位置に、照明手段を配置し、前記貨幣処理手段への貨幣投入に基づいてプレイ操作を許容し、撮影機9の左右に配置した照明の照光によって前記画面3に撮像ポーズを表示すると共に撮像ポーズの確認を可能とし、照明手段で被写体を照光して撮影機9で撮像した後、前記画面3に撮像画像を表示し、撮像後前記画面3に表示された画像に画像編集を許容し、画像確定後プリンタ13で写真シールをプリントして放出すべく前記PC(パーソナルコンピュータ)14を設定した写真シール自動販売機。」

[刊行物4]
刊行物4(特開平7-298123号公報)には、以下の事項が記載されている。
(b1)「【0020】図1は、この実施例の構成および構造を示す側面図であり、この図の1は被撮影者100が座るベンチ、2はベンチ1に座った被撮影者100の主に顔面部の映像を受像するビデオカメラ、3は各種処理を行うコンピュータ、4は画像を表示するCRT(ディスプレイ)、5はビデオカメラ2の受像に影響を与えずにCRT4の表示映像を被撮影者に対して反射するハーフミラー、6はビデオカメラ2の位置調整などを行う操作部、7は映像をカラー印刷するプリンタ、7aはプリンタ7から出力される印刷結果、8は撮影用の照明装置、9は室内照明、11は投入される貨幣を識別し、収納する料金ボックスである。この料金ボックス11は必要により設置されるものである。」(第3頁右欄段落【0020】)
(b2)「【0036】また、このとき、通常点灯している室内照明9(図1参照)が消され、照明装置8が点灯する。被撮影者は選択した背景画に対応して、この照明装置の色、光度を調整することができる。」(第4頁右欄段落【0036】)
(b3)「【0037】被撮影者は、さらに、上述したハーフミラー5に映し出されるCRT4の表示を見つつ、顔枠とその顔枠内に表示される自分の顔の位置およびサイズが一致するように、ジョイスティックレバー6a(図5参照)および映像ズーミングレバー6bを操作し、調整する(ステップSP7)。また、好みにより被撮影者を斜めから見た顔画像を映すこともでき、例えばジョイスティックレバー6aを右側に倒すと、ビデオカメラ2(図4参照)が被撮影者100を中心として右方向に移動する。なお、この場合でも、被撮影者は移動することなく、ハーフミラー5を正視しつつ操作を行うことができる。」(第4頁右欄段落【0037】)
(b4)「【0038】そして、ステップSP8において操作終了か否か、つまり確認スイッチ6cが押されたか否かを調べ、このスイッチが押された場合には次のステップSP9へ進み、押されない場合には上記ステップSP7の処理を繰り返す。」(第4頁右欄段落【0038】)
(b5)「【0044】また、この実施例は、観光地の記念撮影に限定されるものでなく、例えばゲームセンターなどに設置して記録達成記念用として用いたり、特定の証明書あるいは証明写真として利用してもよい。」(第5頁左欄段落【0044】)
(b6)「照明装置8がハーフミラー5の左右に設けられた配置」(図8)

[刊行物5]
刊行物5(特開平10-20370号公報)には、以下の事項が記載されている。
(c1)「各ライト5〜8は、図4にその横断面を示すように、ストロボ用のキセノン管11とモデリングランプ12とを円筒面の一部に開口部13aを形成した円筒状のカバー13内に収納したバーライト10を光源部としている。」(第3頁左欄第23〜27行)
(c2)「その他のサブサイドライト7及びフットライト8は、図6にその断面形状を示すように、バーライト10の開口部13a側に乳白色の樹脂板からなるほぼ円筒状の拡散板18を配設したものである。」(第3頁左欄第44〜47行)
(c3)「左右両側に同一の一対のサイドライトを設け、コントローラ部によりそれぞれの明るさを変更することも可能である。」(第3頁左欄第39〜41行)
(c4)「そして、各ライトがいずれも同一のバーライトを有するようにすると、光源部の種類を増やすことなくその付属部品を取り換えるだけで各種の照明効果を得ることができ、バーライトの開口部、キセノン管、モデリングランプをほぼ同一直線上に配設することにより、両光源が被写体を同一位置から照射することができて好都合である。」(第4頁左欄段落【0027】)

[刊行物6]
刊行物6(特開平10-48705号公報)には、以下の事項が記載されている。
(d1)「光源は、銀塩写真の場合は、ストロボとモデリングライトを対にした光源が望ましい。また、デジタルカメラの場合は、ハロゲンランプ等を使用する。」(第3頁左欄第13〜16行)
(d2)「【0011】第1サイド光源1、2は、第1サイド光源室11、12の前方に設けられた断面略円弧状の反射板25、25’に光を反射させて、拡散板26、26’で光を拡散させて椅子19に座っている人の上半身にサイド前方から光を当てるようにしてある。拡散板26、26’は第1サイド光源室11、12を仕切る仕切壁27、27’の開口部に取り付けられている。
【0012】第2サイド光源4、5は、第2サイド光源室の前方に設けられた反射板28、28’及び側方に設けられた反射板29、29’に光を反射させ、拡散板30、30’で光を拡散させて椅子19に座っている人の上半身にサイドから光を当てるようにしてある。・・・
【0013】第3サイド光源6、7は、第3サイド光源室の中央部やや上方に設けられた凹面を有する反射板32、32’に光を反射させ、拡散板33、33’で光を拡散させて、椅子に座っている人の上半身にサイドやや後方から光を当てるようにしてある。」(第3頁左欄第17〜35行)
(d3)「プッシュスイッチを押すと、対応するモデリングライトが点灯する。」(第3頁右欄第45〜47行)
(d4)「図2の例では足元に設置された足踏みスイッチ38を踏み込むと、カメラのシャッターを切られると同時に、プッシュスイッチが押されているストロボが発光し、選択したライティング見本に近い写真が撮影できる。」(第4頁左欄第5〜9行)

[刊行物7]
刊行物7(特許第2829951号公報)には、以下の事項が記載されている。
(e1)「各固体発光素子17は、他の固体発光素子の光照射で生ずる被撮像物体1の影を打ち消して消失するような配列方法で配設されるもので、図示例では撮像装置3の光軸を中心とする仮想円1に沿ってリング状かつ密に配列されている。なお固体発光素子17の配列方法は、これに限らず、均一照明を実現できる配列、すなわち被撮像物体1の影を発生させないような配列であれば、いかなる配列方法であってもよい。」(第3頁左欄第16〜24行)
(e2)「第4図は、第2、3図に示すストロボ発光部5による光照射面18の照度分布19を示している。図中、17a、17bは撮像装置3の光軸に対し対角位置にある固体発光素子であって、前記照度分布19は各固体発光素子17a、17bによる照度分布20a、20bを合成した形となる。同図によれば、各固体発光素子17a、17bをある高さhに位置させたときの照度分布19は中央部分において平坦な形状、すなわち均一照明状態となっている。」(第3頁左欄第31〜38行)

(2)対比・判断(特許法第29条第2項違反について)
[本件発明1について]
ア.本件発明1と刊行物1に記載の発明との対比
.本件発明1と刊行物1に開示された発明とを対比すると、後者の「入力ペン6、遠隔操作手段26」、「画面3」、「撮影機9」、「プリンタ13」、「PC(パーソナルコンピュータ)14」は、夫々前者の「入力手段」、「表示手段」、「カメラ」、「プリンタ」、「制御手段」に相当する。
そうすると、本件発明1と刊行物1に記載の発明は、「投入貨幣を処理する貨幣処理手段と、撮像や画像編集その他必要な操作を入力する入力手段と、被写体を照明する照明手段と、被写体を撮像するカメラと、撮像画像や編集画像その他必要事項を表示する表示手段と、撮像画像や編集画像の写真シールをプリントして放出するプリンタと、これら構成要素を制御する制御手段とを備え、前記カメラの左右位置に、前記照明手段を配置し、前記貨幣処理手段への貨幣投入に基づいてプレイ操作を許容し、カメラの左右に配置した照明手段の照光によって前記表示手段に撮像ポーズを表示すると共に撮像ポーズの確認を可能とし、照明手段で被写体を照光してカメラで撮像した後、前記表示手段に撮像画像を表示し、撮像後前記表示手段に表示された画像に画像編集を許容し、画像確定後プリンタで写真シールをプリントして放出する写真シール自動販売方法。」である点で一致し、次の点で相違すると認められる。
相違点1;
. 本件発明1は、プリント画像の撮像に同期して被写体をストロボ発光して照明するストロボ照明手段を有するのに対して、刊行物1に記載の発明は、そのような記載がない点。
相違点2;
. 本件発明1は、ストロボ照明手段と連続照明手段とを並設したのに対して、刊行物1に記載の発明は、そのような記載がない点。
相違点3;
. 本件発明1は、連続照明手段とストロボ照明手段とで被写体を照光してカメラで撮像したのに対して、刊行物1に記載の発明は、そのような記載がない点。
イ.相違点の検討
相違点1について;
刊行物5の(c1)の「ストロボ用のキセノン管11」との記載、刊行物6の(d1)に「ストロボ」との記載に例示されているように、写真撮影(撮像)時の照明手段としてストロボ照明手段を用いることは常套手段であり、また、画像の撮像に同期して被写体をストロボ発光して照明することもストロボ照明手段が有する当然の機能であるから、相違点1の構成は従来周知の技術手段に過ぎない。
相違点2について;
刊行物5の(c1)に「各ライト5〜8は、図4にその横断面を示すように、ストロボ用のキセノン管11とモデリングランプ12とを円筒面の一部に開口部13aを形成した円筒状のカバー13内に収納したバーライト10を光源部としている。」と記載され、刊行物5の(c3)に「左右両側に同一の一対のサイドライトを設け」と記載され、刊行物6の(d1)に「光源は、銀塩写真の場合は、ストロボとモデリングライトを対にした光源が望ましい。」と記載されているように、上記相違点2の構成は従来周知の技術手段に過ぎない。
相違点3について;
一般に、被写体撮影時に連続照明とストロボ照明とをどのように組み合わせて用いるかというようなことは、当業者が適宜決定できる設計的な事項にすぎない。
また、刊行物6の(d3)の「プッシュスイッチを押すと、対応するモデリングライトが点灯する。」との記載、及び刊行物6の(d4)の「図2の例では足元に設置された足踏みスイッチ38を踏み込むと、カメラのシャッターを切られると同時に、プッシュスイッチが押されているストロボが発光し、選択したライティング見本に近い写真が撮影できる。」との記載から、モデリングライトとストロボとで発光したことが刊行物6に開示されている。
そして刊行物1と刊行物6とは、非常に近接した技術分野に属するものであるから、当業者であれば、刊行物6に開示された事項を刊行物1に適用することは容易であると言え、また、当該適用によって格別顕著な作用効果が生ずるものでもない
ウ.まとめ
よって、本件発明1は、刊行物1、刊行物6及び従来周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

[本件発明2について]
ア.本件発明2と刊行物1に記載の発明との対比
.本件発明2と刊行物1に開示された発明とを対比すると、後者の「入力ペン6、遠隔操作手段26」、「画面3」、「撮影機9」、「プリンタ13」、「PC(パーソナルコンピュータ)14」は、夫々前者の「入力手段」、「表示手段」、「カメラ」、「プリンタ」、「制御手段」に相当する。
そうすると、本件発明1と刊行物1に記載の発明は、「投入貨幣を処理する貨幣処理手段と、撮像や画像編集その他必要な操作を入力する入力手段と、被写体を照明する照明手段と、被写体を撮像するカメラと、撮像画像や編集画像その他必要事項を表示する表示手段と、撮像画像や編集画像の写真シールをプリントして放出するプリンタと、これら構成要素を制御する制御手段とを備え、前記カメラの左右位置に、前記照明手段を配置し、前記貨幣処理手段への貨幣投入に基づいてプレイ操作を許容し、カメラの左右に配置した照明手段の照光によって前記表示手段に撮像ポーズを表示すると共に撮像ポーズの確認を可能とし、照明手段で被写体を照光してカメラで撮像した後、前記表示手段に撮像画像を表示し、撮像後前記表示手段に表示された画像に画像編集を許容し、画像確定後プリンタで写真シールをプリントして放出すべく前記制御装置を設定した写真シール自動販売機。」である点で一致し、次の点で相違すると認められる。
相違点1;
. 本件発明2は、プリント画像の撮像に同期して被写体をストロボ発光して照明するストロボ照明手段を有するのに対して、刊行物1に記載の発明は、そのような記載がない点。
相違点2;
. 本件発明2は、ストロボ照明手段と連続照明手段とを並設したのに対して、刊行物1に記載の発明は、そのような記載がない点。
相違点3;
. 本件発明2は、連続照明手段とストロボ照明手段とで被写体を照光してカメラで撮像したのに対して、刊行物1に記載の発明は、そのような記載がない点。
イ.相違点の検討
相違点1について;
刊行物5の(c1)の「ストロボ用のキセノン管11」との記載、刊行物6の(d1)に「ストロボ」との記載に例示されているように、写真撮影(撮像)時の照明手段としてストロボ照明手段を用いることは常套手段であり、また、画像の撮像に同期して被写体をストロボ発光して照明することもストロボ照明手段が有する当然の機能であるから、相違点1の構成は従来周知の技術手段に過ぎない。
相違点2について;
刊行物5の(c1)に「各ライト5〜8は、図4にその横断面を示すように、ストロボ用のキセノン管11とモデリングランプ12とを円筒面の一部に開口部13aを形成した円筒状のカバー13内に収納したバーライト10を光源部としている。」と記載され、刊行物5の(c3)に「左右両側に同一の一対のサイドライトを設け」と記載され、刊行物6の(d1)に「光源は、銀塩写真の場合は、ストロボとモデリングライトを対にした光源が望ましい。」と記載されているように、上記相違点2の構成は従来周知の技術手段に過ぎない。
相違点3について;
一般に、被写体撮影時に連続照明とストロボ照明とをどのように組み合わせて用いるかというようなことは、当業者が適宜決定できる設計的な事項にすぎない。
また、刊行物6の(d3)の「プッシュスイッチを押すと、対応するモデリングライトが点灯する。」との記載、及び刊行物6の(d4)の「図2の例では足元に設置された足踏みスイッチ38を踏み込むと、カメラのシャッターを切られると同時に、プッシュスイッチが押されているストロボが発光し、選択したライティング見本に近い写真が撮影できる。」との記載から、モデリングライトとストロボとで発光したことが刊行物6に開示されている。
そして刊行物1と刊行物6とは、非常に近接した技術分野に属するものであるから、当業者であれば、刊行物6に開示された事項を刊行物1に適用することは容易であると言え、また、当該適用によって格別顕著な作用効果が生ずるものでもない
ウ.まとめ
よって、本件発明1は、刊行物1、刊行物6及び従来周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
ウ.まとめ
よって、本件発明2は、刊行物1、刊行物6及び従来周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

[本件発明3について]
本件発明3は、本件発明1または2のストロボ照明手段を、「縦長のボックス状の箱体内に収納したストロボ照明装置と、該装置のストロボ発光を撮像領域側に反射する反射板と、ストロボ発光を撮像領域側に拡散する拡散板とで撮像領域側を照明する縦長のストロボ照明ボックス体に形成した」と限定したものであるが、刊行物5の(c1)に「各ライト5〜8は、図4にその横断面を示すように、ストロボ用のキセノン管11とモデリングランプ12とを円筒面の一部に開口部13aを形成した円筒状のカバー13内に収納したバーライト10を光源部としている。」と記載され、刊行物5(c2)に「その他のサブサイドライト7及びフットライト8は、図6にその断面形状を示すように、バーライト10の開口部13a側に乳白色の樹脂板からなるほぼ円筒状の拡散板18を配設したものである。」と記載され、刊行物5に開示された発明の「カバー13」、「キセノン管11」、「拡散板18」が、夫々本件発明3の「箱体」、「ストロボ照明装置」、「拡散板」に相当し、また、刊行物5(c4)に「バーライトの開口部、キセノン管、モデリングランプをほぼ同一直線上に配設することにより、両光源が被写体を同一位置から照射することができ」と記載され、「カバー13」の内面が反射機能を有することが推測できるから、上記限定事項が刊行物5に実質的に開示されている。
また、刊行物6の(d2)に「第1サイド光源1、2は、第1サイド光源室11、12の前方に設けられた断面略円弧状の反射板25、25’に光を反射させて、拡散板26、26’で光を拡散させて椅子19に座っている人の上半身にサイド前方から光を当てるようにしてある。拡散板26、26’は第1サイド光源室11、12を仕切る仕切壁27、27’の開口部に取り付けられている。」と記載され、刊行物6に開示された発明の「第1サイド光源室11、12」、「第1サイド光源1、2」、「反射板25、25’」、「拡散板26、26’」が、夫々本件発明3の「箱体」、「ストロボ照明装置」、「反射板」、「拡散板」に相当するから、上記限定事項の大部分が刊行物5に実質的に開示されており、「第1サイド光源室11、12」をボックス体に形成するようなことは、設計的な事項に過ぎない。
そして刊行物1と刊行物5、6とは、非常に近接した技術分野に属するものであるから、当業者であれば、刊行物5、6に開示された事項を刊行物1に適用することは容易であると言え、また、当該適用によって格別顕著な作用効果が生ずるものでもない。
したがって、刊行物1、刊行物5、刊行物6及び従来周知技術に基づいて本件発明3を推考することは、当業者なら容易になし得たと認められる。
[本件発明4について]
本件発明4は、本件発明3を「前記左右のストロボ照明ボックス体の照明光の一部が撮像領域で重合するように照明光の方向を設定した」と限定するものであるが、一般に、光源が複数あり、これらの光源が一つの被写体を照明する場合(例えば、刊行物4の撮影用の照明装置8、刊行物5のサイドライト6、7、刊行物6のサイド光源1、2、4〜7に、照光の一部が被写体、すなわち、撮像領域で重合するのは自明である。
また、刊行物7(e2)に「第4図は、第2、3図に示すストロボ発光部5による光照射面18の照度分布19を示している。図中、17a、17bは撮像装置3の光軸に対し対角位置にある固体発光素子であって、前記照度分布19は各固体発光素子17a、17bによる照度分布20a、20bを合成した形となる。同図によれば、各固体発光素子17a、17bをある高さhに位置させたときの照度分布19は中央部分において平坦な形状、すなわち均一照明状態となっている。」と記載され、上記限定事項が刊行物7に開示されている。
そして刊行物1と刊行物7とは、非常に近接した技術分野に属するものであるから、当業者であれば、刊行物7に開示された事項を刊行物1に適用することは容易であると言え、また、当該適用によって格別顕著な作用効果が生ずるものでもない。
したがって、刊行物1、刊行物5乃至7及び従来周知技術に基づいて本件発明4を推考することは、当業者なら容易になし得たと認められる。

4.まとめ
以上のとおりであるから、本件請求項1乃至4に係る発明の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり、同法第113条第2号の規定に該当するから、その余の取消理由について判断するまでもなく、取り消されるべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
写真シール自動販売方法および写真シール自動販売機
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】投入貨幣を処理する貨幣処理手段と、撮像や画像編集その他必要な操作を入力する入力手段と、被写体を連続して照明する連続照明手段と、プリント画像の撮像に同期して被写体をストロボ発光して照明するストロボ照明手段と、被写体を撮像するカメラと、撮像画像や編集画像その他必要事項を表示する表示手段と、撮像画像や編集画像の写真シールをプリントして放出するプリンタと、これら構成要素を制御する制御手段とを備え、
前記カメラの左右位置に前記ストロボ照明手段と連続照明手段との夫々を並設した状態で配置し、
前記貨幣処理手段への貨幣投入に基づいてプレイ操作を許容し、カメラの左右に配置した連続照明手段の照光によって前記表示手段に撮像ポーズを表示すると共に撮像ポーズの確認を可能とし、
連続照明手段とストロボ照明手段とで被写体を照光してカメラで撮像した後、前記表示手段に撮像画像を表示し、
撮像後前記表示手段に表示された画像に画像編集を許容し、
画像確定後プリンタで写真シールをプリントして放出する
写真シール自動販売方法。
【請求項2】投入貨幣を処理する貨幣処理手段と、撮像や画像編集その他必要な操作を入力する入力手段と、被写体を連続して照明する連続照明手段と、プリント画像の撮像に同期して被写体をストロボ発光して照明するストロボ照明手段と、被写体を撮像するカメラと、撮像画像や画像編集その他必要事項を表示する表示手段と、撮像画像や編集画像の写真シールをプリントして放出するプリンタと、これら構成要素を制御する制御手段とを備え、
前記カメラの左右位置に前記ストロボ照明手段と連続照明手段との夫々を並設した状態で配置し、
前記貨幣処理手段への貨幣投入に基づいてプレイ操作を許容し、カメラの左右に配置した連続照明手段の照光によって前記表示手段に撮像ポーズを表示すると共に撮像ポーズの確認を可能とし、
連続照明手段とストロボ照明手段とで被写体を照光してカメラで撮像した後、前記表示手段に撮像画像を表示し、
撮像後前記表示手段に表示された画像に画像編集を許容し、
画像確定後プリンタで写真シールをプリントして放出すべく前記制御手段を設定した
写真シール自動販売機。
【請求項3】前記ストロボ照明手段を、縦長のボックス状の箱体内に収納したストロボ照明装置と、該装置のストロボ発光を撮像領域側に反射する反射板と、ストロボ発光を撮像領域側に拡散する拡散板とで撮像領域側を照明する縦長のストロボ照明ボックス体に形成した
請求項1または2に記載の写真シール自動販売方法または写真シール自動販売機。
【請求項4】前記左右のストロボ照明ボックス体の照明光の一部が撮像領域で重合するように照明光の方向を設定した
請求項3に記載の写真シール自動販売方法または写真シール自動販売機。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】
この発明は、例えば、娯楽施設(例えば、ゲームセンタ)において、デジタルカメラで撮像した画像をカラープリンタでシール紙出力するような写真シール自動販売方法および写真シール自動販売機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、上述例の娯楽施設(例えば、ゲームセンタ)に備えられた写真シール自動販売機は、デジタルカメラで被写体を撮像するときに使用する照明手段に蛍光灯や白熱灯を使用していた。これは被写体の画像をモニタ(ディスプレイ)に表示しながら被写体であるプレイヤ(利用者)が撮像ポーズを思案し、この後撮像するために、撮像までの間連続照明が必要であるためであり、撮像時の照明手段はこの蛍光灯や白熱灯だけであった。
【0003】
そのために、デジタルカメラでの撮像照明には十分な光量が得られず、デジタルカメラの性能を十分に引き出すことができない問題点を有し、また、プリントになる画像の明るさを補正するにはソフトウエア処理で行なう必要があるが、この処理の操作をプレイアが行なうと不慣れ故に、最高の照明状態に円滑にできないという問題点を有している。
【0004】
また、上述のように、プリントしたシールの画像の明るさをソフトウエア処理で調整し得たとしても、撮像ポーズの確認時のイメージと、実際に撮像してプリントしたシールのイメージとが極端に変わるという問題点があり、撮像ポーズの確認時にも実際のシールとして出来上がる明度の照明状態が得られることが要望される。
【0005】
また、単に撮像時にストロボ照明装置によりストロボ発光を使用する場合、撮像前にプレイヤ(利用者)が撮像ポーズを思案する時に充分な光量の照明がないので、ポーズの確認が取りにくい問題点がある。
【0006】
さらにまた、複数人での撮影を可能にするためには、複数人がそれぞれポーズを取ることができる撮像スペースとカメラの視野、および領域に対して良好な光学条件を提供する光源が必要である。しかし、複数人で撮影するときに、特にピースなどのように何人かが指や腕をカメラに向かって突き出したとき、その指や腕の陰が他人の顔にかかることがあり、また被写体間の位置関係次第では、一方の被写体の陰が他方の被写体の顔にかかって陰を作ることもあるので、これらの陰を無くすような照明が要望される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、複数人がポーズを取ることができる撮像スペースとカメラの視野、および領域に対して均一で十分な光学条件を提供して、品質の良好な写真シールを提供するすることが可能なうえ、さらに、上述の光学条件を小型コンパクトな構成で提供することができ、撮像ポーズの確認時のイメージと、実際に撮像しプリントして出来上がった写真シールのイメージとを一致させることが容易にできる、写真シール自動販売方法および写真シール自動販売機の提供を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明は、投入貨幣を処理する貨幣処理手段と、撮像や画像編集その他必要な操作を入力する入力手段と、被写体を連続して照明する連続照明手段と、プリント画像の撮像に同期して被写体をストロボ発光して照明するストロボ照明手段と、被写体を撮像するカメラと、撮像画像や編集画像その他必要事項を表示する表示手段と、撮像画像や編集画像の写真シールをプリントして放出するプリンタと、これら構成要素を制御する制御手段とを備え、前記カメラの左右位置に前記ストロボ照明手段と連続照明手段との夫々並設して配置し、前記貨幣処理手段への貨幣投入に基づいてプレイ操作を許容し、カメラの左右に配置した連続照明手段の照光によって前記表示手段に撮像ポーズを表示すると共に撮像ポーズの確認を可能とし、連続照明手段とストロボ照明手段とで被写体を照光しカメラで撮像した後、前記表示手段に撮像画像を表示し、撮影後前記表示手段に表示された画像に画像編集を許容し、画像確定後プリンタで写真シールをプリントして放出する写真シール自動販売方法またはその自動販売機であることを特徴とする。
【0009】
上記の構成によれば、カメラの左右の位置に、ストロボ照明手段と連続照明手段の夫々を並設した状態で配置したので、これらの照明手段のしかも左右からの照明による十分な光量によって被写体であるプレイヤ(利用者)の撮像ポーズを照射して撮像し写真シールをプリントアウトして販売することができる。
【0010】
さらに、ストロボ照明手段と連続照明手段の夫々を相互が並設した状態でカメラの左右に配置されているので、プレイヤが撮像ポーズの確認をとるときの連続照明手段の照明方向と、プリント画像を撮像するときのストロボ照明手段の照明方向とがほぼ同じ方向になり、このため撮像前に確認した撮像ポーズと出来上がった写真シールとのイメージが殆ど齟齬のない状態にすることができる。
【0011】
前記連続照明手段は、通常の蛍光灯や白熱灯などの常時点灯する照明器具を含み、縦長に形成することができる。
【0012】
前記カメラは、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ等が含まれる。
【0013】
前記プリンタは、モノトーンプリンタ、カラープリンタも含まれる。
【0014】
この発明の一実施形態として、前記ストロボ照明手段を、縦長のボックス状の箱体内に収納したストロボ照明装置と、該装置のストロボ発光を撮像領域側に反射する反射板と、ストロボ発光を撮像領域側に拡散する拡散板とで撮像領域側を照明する縦長のストロボ照明ボックス体に形成することができる。
【0015】
前記ストロボ照明ボックス体の拡散板は複数枚設けることも含まれる。
【0016】
さらに、前記左右のストロボ照明ボックス体の照明光の一部が撮像領域で重合するように照明光の方向を設定することができる。
【0017】
この発明は、写真シール自動販売方法、またはその自動販売機のプリンタでプリントする、またはプリントした写真シール自動販売用写真シールであることを特徴とする。
【0018】
この発明の以上説明した構成要素は可能な限り組合わせることができる。
【0019】
【発明の作用・効果】
この発明によれば、カメラの左右の位置に、ストロボ照明手段と連続照明手段を夫々並設した状態で配置したので、被写体であるプレイヤ(利用者)が撮像ポーズをいろいろと思案している間中、連続照明手段の左右方向からの照明による十分な光量によって表示手段には鮮明な画像を表示することができ、また、撮像時には連続照明手段に加えてほぼ同方向からのストロボ照明手段で照射して撮像し、写真シールをプリントアウトして販売するので、出来上がった写真シールは充分な光量で鮮明な画像が得られ、品質の良好な写真シールを提供することができる。
【0020】
【0021】
【0022】
さらに、プリント画像(写真シールにするための画像)の撮像に同期して被写体を照明するストロボ照明手段を、ストロボ照明装置と、反射板と、拡散板とによる特徴的な縦長のストロボ照明ボックス体に形成しているので、十分な光量で均一な光線を作り出すことができ、一般にスタジオで使用される傘状の反射手段と比較すると、大幅に小型化ができ、これに伴い写真シール自動販売機もコンパクトになり、ローコスト化が可能となる。併せて、設置面積もより小さくなるため、設置場所の制約が減少される。
【0023】
さらに、前述のようにストロボ照明ボックス体が十分な光量で均一な光線を作り出すので、複数人が撮像ポーズを取ることができる撮像スペースとカメラの視野、および領域に対して均一で十分な光量の光学条件を提供するすることができ、複数人相互間の影の影響が少なくなり、高品質の写真シールを提供することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
この発明の一実施態様を図面と共に説明する。
【0025】
図面は、例えば、娯楽施設(例えば、ゲームセンタ)において設置されるような写真シール自動販売機を示し、図1、図2、図3において、該写真シール自動販売機10は、幅方向での中央の上部と中間部との位置に2台のデジタルカメラ11a,11bを載置しており、上部のデイジタルカメラ11aは上半身又は顔面用の撮像に使用し、中間部のデイジタルカメラ11bは全身用の撮像に使用される。
【0026】
写真シール自動販売機10の上下方向の中間位置の斜面パネルの中央部分で前記デジタルカメラ11bの直下位置の傾斜パネルには陰極管からなるディスプレイ12を傾斜状に配設し、該ディスプレイ12は撮像画像の表示の他、操作手順の表示、撮像画像に重ねる落書き等の編集画像の表示などを行うと共に、その表面にはタッチパネルによる入力装置を重ね合わせて、画像の表示に対応して入力操作が可能に設けている。
【0027】
さらに、ディスプレイ12の下部のパネル部分には料金(硬貨)を投入する貨幣投入口13と写真シールを放出する写真シール放出口14を配設し、また、貨幣投入口13の下部の垂直パネル部分には貨幣の返却口15を配設している。
【0028】
上述のデジタルカメラ11(11a,11b)の左右の位置には、該カメラ11によるプリント画像の撮像に同期して被写体を照明する照明手段として縦長のストロボ照明ボックス体17(17a,17b)と、さらに、この外側に常時連続して被写体を照明する補助照明手段としての蛍光灯又は白熱灯16,16を近接した状態で並設し、さらに、カメラ11の前方の撮像領域Aの上部であって、その左右の位置に、被写体を上方から照明する補助照明手段としての蛍光灯18,18を配設している。なお、この上部の蛍光灯18,18は撮像領域Aを形成するためのフレーム19に取付けている。
【0029】
図4、図5は、前述のストロボ照明ボックス体17のうちの17aを示し、ボックス状の箱体21の内部でその底部にはストロボ光を発光するストロボ照明装置22を収納して、適宜の取り付け手段を介して固定している。
【0030】
上述のストロボ照明装置22のストロボ球22aは内側(奥側)に第1の傾斜角α(例えば約角30度)の角度で、さらに、内側(デジタルカメラ11の存在する側)に第2の傾斜角β(例えば約5度)の角度で発光方向を傾斜して取り付けてられ、その上部にはストロボ光を拡散する第1の拡散板23を配置し、適宜の取り付け手段を介して固定している。
【0031】
上述のストロボ照明装置22の上部の奥には垂直な第1の反射板24a、その上部に若干前方に上部が傾斜した第2の反射板24b、さらに、その上部に上部がさらに前方に傾斜した第3の反射板24cを設けている。なお、これらの反射板24は平面板の板状体であって、反射面を順次傾斜して形成したがであるが、他の手段として、1枚の板(合成樹脂板)を曲線状に湾曲して設けることもできる。
【0032】
上述の反射板24(24a,24b,24c)の反射面、および箱体21の内壁(ことに側壁)25は白色の塗装により反射面を形成している。しかし、この反射面は銀色(銀幕)の塗装であるもよい。
【0033】
前述の箱体21の前面、すなわち、上述の反射板24の前面には反射板からのストロボ光の反射光を均一に拡散する縦長の第2の拡散板26を配置して箱体21に適宜の取り付け手段を介して固定している。
【0034】
このように構成したストロボ照明ボックス体17aはその照明方向を撮像領域Aの中心側に向かうようになる。また、他方のストロボ照明ボックス体17bに収納されるストロボ照明装置22の発光方向(第2の傾斜角β)がデジタルカメラ11を中心として対称に配設されるので、その結果、図6に示すように、左右のストロボ照明ボックス体17a,17bの照明方向は撮像領域Aの中心部に向けられ、それぞれの照明が撮像領域Aの中心部で重合して、被写体に対して左右から均一で十分な光量で照明することができる。
【0035】
なお、前述のストロボ照明ボックス体17において、ストロボ照明装置22を下部(底部)に配設することにより、第2の拡散板26との距離が十分に得られるので、均一な光量が得られる。
【0036】
図7は、ストロボ照明ボックス体17の他の例を示し(機能が同一の要素には同じ符号を付す)、この例では、ストロボ照明装置22のストロボ球22aを箱体21の上下方向の中心部に配設し、該装置22の上下にそれぞれ反射板24a,24b,24cを配置して略曲面を形成し、ストロボ球22aの前面の拡散板26の背面に、該ストロボ球22aのストロボ光が強い範囲に対応させた大きさの反射板24dを取り付け(例えば、接着)、該反射板24dは銀色塗装にしてストロボ球22aの強い光をこれで乱反射させて、第2の拡散板26の光の拡散作用を均一にするように設けている。このようにストロボ照明ボックス体17を構成するもよい。
【0037】
図8は、写真シール自動販売機10の制御回路を示し、制御装置30は、例えば、演算処理や制御処理を行うCPU、プログラムを格納するROM、動作に必要なデータを記憶するRAM等で構成して、各回路装置を駆動制御する。
【0038】
ストロボ照明装置22は、前述のストロボ球22aをストロボ起動信号の入力に基づいて点灯する。
【0039】
デジタルカメラ11は、前述の上半身又は顔面用11aと全身用11bであって、プレイヤが指定した方のカメラに対して撮像動作を行い。対応するカメラにシャッタ信号が入力されると撮像(撮影)して、その撮像した画像信号(撮像データ)を出力する。
【0040】
ディスプレイ12は、撮像画像の表示の他、操作手順の表示、撮像画像に重ねる落書き等の編集画像の表示などを行う。
【0041】
入力装置31は、タッチパネルで構成して上述のディスプレイ12に重合配置し、画像の表示に対応してプレイヤが入力操作を行う。なお、入力装置はキーボードで構成することもできる。
【0042】
プリンタ32は、確定した撮像画像、あるいは、編集された撮像画像をカラープリントで写真シールをプリントして放出する。
【0043】
貨幣処理装置33は、前述の貨幣投入口13および返却口15と接続されていて、投入された貨幣の真偽および金種を判定してその処理信号を出力し、制御装置30では、処理信号に基づいて投入金額が所定の料金であるとき操作を許容し、また、釣銭や返却貨幣がある時はこれらを返却口15に放出する。なお、貨幣は硬貨の他、紙幣を取扱うこともできる。
【0044】
前述の制御装置30には明るさ調整機能34と、ストロボ寿命検知機能35とを備えている。
【0045】
上述の明るさ調整機能34は、デジタルカメラ11が撮像した画像の全体の明るさを変更して出力する機能であり、この明るさの変更にはプレイヤが指示入力して変更する機能と、制御装置30側で自動的に変更して調整する機能とを備え、さらに、自動調整では、プレイヤがポーズを確認してる時の蛍光灯16,18による照明時(ストロボ照明より暗い状態)にディプレイ12には写真シールをプリントアウトするときの明るさに調整する機能と、ストロボ発光時に該光量を調整する機能とを有する。
【0046】
上述の明るさの変更は、例えば、RGB値(光りの3原色の値)が256階調で管理されている画像に対して、元画像の階調値を増減して変更する処理であって、例えば、元画像+10階調値とするような変更調整であり、プレイヤが明るさを指示して変更する場合は、この階調値に対応する入力であり、また、明るさ指示値が任意の段階で設定される場合には、段階値に応じた明るさ調整パラメータを予め設定しておき、この調整パラメータを元に変更することができる。
【0047】
明るさを自動変更する場合、標準(例えば、プリントアウトするときの明るさ)となる階調値を設定し、この標準階調値と撮像した画像(ポーズの確認時の画像と、プリントアウト時の画像)の階調値とを比較して、標準階調値に対する撮像画像の階調値の過不足を増減して調整する。なお、プリントアウトの撮像画像の階調値が低下する原因の1つにはストロボ球22aの光量不足があるので、撮像画像の明るさを階調値で監視することにより、ストロボ球22aの寿命を監視することができる。なお、前述の調整パラメータや上述の基準階調値は制御装置30に内蔵の記憶部(例えばRAM)に記憶することができ、また、後述の外部記憶装置36に記憶することもできる。
【0048】
前述のストロボ寿命検知機能35は、ストロボ照明装置22のストロボ球22aの光量不足で機能が低下して写真シールの所定の品質(例えば、設定した高品質)が保持できない状態をその寿命として検知して検知信号を出力する機能であり、この寿命の検知には、ストロボ球22aの寿命と判定される発光回数を発光累積回数で検知する方法と、ストロボ球22aの寿命と判定される光量を設定し、この設定光量と撮像時の発光光量とを比較して検知する方法と、前述した撮像画像の全体の明るさのRGB値の階調で検知する方法とがあり、この実施例では、発光累積回数で検知する方法を示している。
【0049】
すなわち、ストロボ寿命検知機能35にはストロボ発光回数を計数するカウンタ機能を有し、該カウンタ機能は制御装置30が出力するシャッタ信号に基づいてストロボ発光回数を計数し、この計数したストロボ発光回数の累積値を外部記憶装置36の所定のエリア(記憶部)に記憶する。
【0050】
上述の外部記憶装36には、ストロボ球22aの発光が寿命と判定する発光回数のストロボ寿命回数と、このストロボ寿命回数に到達する前であって、ストロボ球22aの寿命が近付いてきてその交換を警告するために設定したストロボ交換警告回数とを所定のエリア(記憶部)に記憶している。
【0051】
前述のストロボ寿命検知機能35は、累積ストロボ発光回数と、ストロボ交換警告回数とを比較して、累積ストロボ発光回数がストロボ交換警告回数に達した時は、ストロボ交換警告信号を出力し、また、上述の累積ストロボ発光回数がストロボ寿命回数に達した時は、プレイ続行不可能信号を出力する。これらの出力信号は制御装置30がストロボ交換警告、あるいは、ストロボ寿命をディスプレイ12に表示制御したり、また、これらの交換警告や寿命をディスプレイ12に表示すると共に、入力装置31によるプレイ操作の禁止などの処理を実行することになる。
【0052】
上述のように構成した写真シール自動販売機10の制御装置30が実行する写真シール放出処理の動作を図9のフローチャートを参照して説明する。
【0053】
プレイヤが貨幣投入口13に所定の料金を投入すると、貨幣処理装置33からの処理信号に基づいて適性料金かを判定し、料金の適性を判定すると、入力装置31によるプレイ操作を許容する(ステップn1)。
【0054】
プレイヤが、上半身、または顔面、あるいは全身の撮影モードを選択すると(ステップn2)、次ぎに、プレーヤは撮像領域Aでポーズを確認する(ステップn3)。
【0055】
このポーズ確認では、照明が前面の蛍光灯16,16と、上部の蛍光灯18,18であるため、プリントアウト時のストロボ発光とは明かるさにおいて暗いので、明るさ調整機能34が動作して、ディスプレイ12にはプリントアウト時と等価な明るさで画像を表示する。そのため、プレイヤはプリントアウトのイメージでポーズを確認することができる。
【0056】
ポーズの確定が終了すると、シール撮像のためにプレイヤはシャッタ信号を出力するための操作を入力装置31に行なう。
【0057】
前述の撮影モードの選択および上述のシャッタ信号の入力により、選択に対応したデジタルカメラ11a,11bの起動を決定して、該決定したデジタルカメラ11にシャッタ信号を出力する。
【0058】
デジタルカメラ11はシャッタ信号に基づいてカメラのシャッタを駆動すると共に、ストロボ起動信号をストロボ照明装置22に出力し、該装置22はストロボ球22aをシャッタ信号と同期して発光させる(ステップn4)。
【0059】
上述のシャッタ信号と同期したデジタルカメラ11の画像信号(画像データ)が制御装置30に入力されると、該画像信号はディスプレイ12に出力されて撮像画像が表示される。同時に、撮像した画像全体の明るさを後述する動作でチェックし(ステップn5)、さらに、ストロボ球22aの寿命を後述の動作でチェックする(ステップn6)。
【0060】
ついで、プレイヤはこの表示された画像に対して図形、文字など希望する落書きをタッチパネルである入力装置31から入力する。同時に、撮像画面全体の明るさ(階調)の変更が入力されたときは、この明るさ変更に対応した画像を表示する(ステップn7)。
【0061】
プレイヤが画像を確定して入力装置31からこの確定を入力すると(ステップn8)、プリンタ32を起動させて写真シールをプリントアウトして、これを写真シール放出口14に放出し、処理を終了する(ステップn9)。
【0062】
前述のステップn5の画像の明るさのチェックは次ぎのように実行される。
図10に示すように、デジタルカメラ11で撮像された画像が明るさ調整機構34に取り込まれると、該元画像の階調を解析し、この階調と外部記憶装置36(または内蔵のRAM)に記憶された標準階調値とを比較して、標準階調値に対する元画像の階調値の過不足を判定し、判定した過不足量を増減調整して、調整後の画像を出力する。この調整処理は、プレイヤがポーズを確認するときの蛍光灯16,18の照明下においても同様に行なわれる。
【0063】
なお、上述の増減データを保存し、この累積保存データから元画像を明るく補正する状況を監視することにより、ストロボ球22aの光量低下を監視することもできる。
【0064】
前述のステップn7の落書き挿入時において、プレイヤが画像全体の明るさの変更を設定したときは、次ぎのように、変更処理を実行する。
【0065】
図11に示すように、外部記憶装置36(または内蔵のRAM)には予め段階値に応じた階調の調整パラメータを記憶しておき、プレイヤが明るさを変更する段階の指示値を入力装置31から入力すると、この指示値に対応する明るさ調整パラメータを読出し、これを元にして階調を変更して、変更後の画像を出力する。
【0066】
前述のステップn6のストロボの寿命のチェックは次ぎのように実行される。すなわち、図12に示すように、外部記憶装置36の所定のエリア36bには、ストロボ球22aの発光回数を計数したストロボ発光回数の累積値を記憶しており、さらに、所定のエリア36aには、ストロボ球22aの寿命と判定するストロボ寿命:回数と、ストロボ球22aの寿命が近付いてその交換を警告するために設定したストロボ交換警告回数とを記憶している。
【0067】
図13に示すように、上述の累積ストロボ発光回数(累積値)と、ストロボ寿命回数(寿命値)とを比較して、累積ストロボ発光回数(累積値)がストロボ寿命回数(寿命値)を上回ると、光量不足で高品質の写真シールの発行維持ができないと判定して、プレイ続行不可能信号を出力し、プリントの確定の入力を受理しない(禁止)ようにして、ディスプレイ12に、プレイ続行不可能の情報、例えば、「ストロボを交換して下さい。ストロボ交換後にプレイ再開可能です。」の表示を行う。この表示によりプレイヤは係員に通達してストロボ球22aを交換してもらい、係員が入力装置31からストロボ交換の完了を入力すると、この入力に基づいて記憶している累積ストロボ発光回数(累積値)はリセットされ、スタートにリターンしてプレイの再開が許容される(ステップn11,n12,n13)。
【0068】
また、上述の比較判定で、累積ストロボ発光回数(累積値)がストロボ寿命回数(寿命値)に達していない時は、つづいて、累積ストロボ発光回数(累積値)がストロボ交換警告回数(警告値)に達したか否かを判定し(ステップn14)ストロボ交換警告回数(警告値)に達した時は、ストロボ交換警告信号を出力し、交換用のストロボを予め準備させる目的で、ディスプレイ12に、ストロボ交換準備の情報、例えば「ストロボが寿命に近付いています。交換用のストロボを準備して下さい。」の表示を行う。この表示によりプレイヤは係員に交換用ストロボの準備を通達する(ステップn14,n15)。
【0069】
上述のストロボ交換準備の情報は、ストロボの発光回数がストロボ寿命回数(寿命値)に達するまで、プレイヤがプレイの都度毎に表示されるので、この情報の表示中にストロボを交換することも可能である。
【0070】
もし、ストロボ球22aの交換がないときは、ストロボ発光回数を加算して次ぎのステップn7に移行する(ステップn16,n17)。
【0071】
前述のストロボ交換準備の情報を表示している時に、ストロボ球22aが交換され、係員が入力装置31からストロボ交換の完了を入力すると、この入力に基づいて記憶部36bに記憶している累積ストロボ発光回数(累積値)はリセットされ(ステップn18)、次ぎのステップn7に移行する。
【0072】
このようにしてストロボ照明装置22のストロボ球22aの寿命が検知されるので、その光量が低下して光量不足の照明のまま写真シールを発行することがなくなり、長期に渡って品質の良い写真シールを提供することができる。
【0073】
なお、ストロボ球22aの寿命や、交換警告をディスプレイ12に表示して報知しているが、例えば、係員にモニタや、ランプで直接報知するように構成してもよい。
【0074】
図14は、ストロボ照明装置22を起動するための他の例を示し、デジタルカメラ11には内蔵ストロボ41を備え、また、ストロボ発光装置22側には内蔵ストロボ41の発光を受光してストロボ照明装置22にストロボ起動信号を出力する受光センサ42を備え、制御装置30からのシャッタ信号で該内蔵ストロボ41が発光すると、この発光を受光センサ42が受光してストロボ照明装置22を起動してストロボ球22aを発光する。
【0075】
このようにしてストロボ照明装置22の起動を行うこともできる。
【0076】
図15は、前述の図9のステップn6のストロボの寿命のチェックの他の例を示し、この実施例では、ストロボ球22aの寿命と判定される光量を設定し、この設定光量と撮像時の発光光量とを比較して検知する方法を示している。
【0077】
この例では、ストロボ球22aの発光光量を検知する受光センサ43を設けて、この受光で検知したストロボ球22aの電流値の信号をストロボ寿命検知機能35に出力するように設けている。
【0078】
図16にも示すように、上述のストロボ寿命検知機能35には電流値の比較判定機能を備え、また、外部記憶装置36の所定のエリア36cには、ストロボ球22aの寿命と判定する電流値(寿命値)と、ストロボ球22aの交換を警告する電流値(警告値)とを記憶している。
【0079】
図17に示すように、ストロボ寿命検知機能35は、受光センサ43で検知したストロボ球22aの電流値(センサ値)の信号と、ストロボ球22aの寿命と判定する電流値(寿命値)とを比較判定し、センサ値が寿命値より下回ると(ステップn21)、光量不足で高品質の写真シールの発行維持ができないと判定して、プレイ続行不可能信号を出力し、プリントの確定の入力を受理しない(禁止)ようにして、ディスプレイ12にプレイ続行不可能の情報を表示し(ステップn22)、例えば、「ストロボを交換して下さい。ストロボ交換後にプレイ再開可能です。」の表示を行う。この表示によりプレイヤは係員に通達してストロボ22aを交換してもらい、係員が入力装置31からストロボ交換の完了を入力すると(ステップn23)、スタートにリターンしてプレイの再開が許容される。
【0080】
前述のステップn21の受光センサ43で検知したストロボ球22aの電流値(センサ値)の信号と、ストロボ球22aの寿命と判定する電流値(寿命値)との比較判定で、センサ値が寿命値より上回っているときは、今回の撮像は可能と判断して、次ぎに、上述のセンサ値とストロボ球22aの交換を警告する電流値(警告値)とを比較判定し(ステップn24)、センサ値が警告値より下回ると、ストロボ交換警告信号を出力し、交換用のストロボを予め準備させる目的で、ディスプレイ12に、ストロボ交換準備の情報を表示し(ステップn25)、例えば「ストロボが寿命に近付いています。交換用のストロボを準備して下さい。」の表示を行う。この表示によりプレイヤは係員に交換用ストロボの準備を通達する(ステップn14,n15)。
【0081】
このように、ストロボの発光光量を検知して、その寿命をチェックすることができる。
【0082】
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、
貨幣処理手段は、貨幣処理装置33に対応し、
以下同様に、
入力手段は、入力装置31に対応し、
連続照明手段は、蛍光灯、白熱灯16に対応し、
ストロボ照明手段は、ストロボ照明ボックス体17,17a,17bに対応し、
カメラは、デジタルカメラ11a,11b、デジタルビデオカメラに対応し、
表示手段は、ディスプレイ12に対応し、
制御手段は、制御装置30に対応するも、この発明は、実施例の構成に限定されるものではなく、多くの実施態様を得るえることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
写真シール自動販売機の斜視図
【図2】
写真シール自動販売機の正面図。
【図3】
写真シール自動販売機の一部断面側面図。
【図4】
ストロボ照明ボックスの断面側面図。
【図5】
ストロボ照明ボックスの一部断面正面図。
【図6】
ストロボ照明ボックスの照明状態を示す平面説明図。
【図7】
ストロボ照明ボックスの他の例を示す断面側面図。
【図8】
写真シール自動販売機の制御回路ブロック図。
【図9】
写真シールの放出処理を示すフローチャート。
【図10】
明るさ調整機能の自動処理のブロック説明図。
【図11】
明るさ調整機能の明るさ指定による処理のブロック説明図。
【図12】
ストロボ寿命検知機能の処理のブロック説明図。
【図13】
ストロボ寿命チェックの処理を示すフローチャート。
【図14】
ストロボ照明装置の他の起動例を示す部分制御回路ブロック図。
【図15】
ストロボ寿命チェックの他の例を示す部分制御回路ブロック図。
【図16】
図15のストロボ寿命チェック処理のブロック説明図。
【図17】
図15のストロボ寿命チェック処理を示すフローチャート。
【符号の説明】
10…写真シール自動販売機
11…デジタルカメラ
12…ディスプレイ
16,18…蛍光灯
17…ストロボ照明ボックス
21…箱体
22…ストロボ照明装置
22a…ストロボ球
23,26…拡散板
30…制御装置
31…入力装置
32…プリンタ
33…貨幣処理装置
34…明るさ調整機能
35…ストロボ寿命検知機能
36…外部記憶装置
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2005-11-14 
出願番号 特願2000-215513(P2000-215513)
審決分類 P 1 651・ 121- ZA (G03B)
P 1 651・ 113- ZA (G03B)
最終処分 取消  
特許庁審判長 鹿股 俊雄
特許庁審判官 前川 慎喜
上野 信
登録日 2001-08-31 
登録番号 特許第3226520号(P3226520)
権利者 オムロン株式会社
発明の名称 写真シール自動販売方法および写真シール自動販売機  
代理人 西山 雅也  
代理人 石田 敬  
代理人 西山 雅也  
代理人 樋口 外治  
代理人 南條 博道  
代理人 伊坪 公一  
代理人 石田 敬  
代理人 鶴田 準一  
代理人 鶴田 準一  
代理人 樋口 外治  
代理人 伊坪 公一  

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