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審決分類 審判 全部申し立て 発明同一  A63F
審判 全部申し立て 5項1、2号及び6項 請求の範囲の記載不備  A63F
審判 全部申し立て 特36 条4項詳細な説明の記載不備  A63F
審判 全部申し立て 2項進歩性  A63F
管理番号 1134325
異議申立番号 異議2003-73536  
総通号数 77 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2001-02-06 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-12-25 
確定日 2006-02-01 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3456955号「弾球遊技機」の請求項1及び2に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3456955号の請求項1に係る特許を維持する。 
理由 第1.手続の経緯
本件特許第3456955号の発明は、平成2年8月16日に出願した特願平2-216827号の一部を平成11年1月22日に新たな特許出願とした特願平11-14226号の一部を平成11年11月29日に新たな特許出願とした特願平11-338089号の一部を平成12年1月4日に新たな特許出願とした特願2000-30号の一部を平成12年2月3日に新たな特許出願とした特願2000-26081号の一部を平成12年3月6日に新たな特許出願とした特願2000-59719号の一部を平成12年4月5日に新たな特許出願とした特願2000-103418号の一部を平成12年5月8日に新たな特許出願とした特願2000-135159号の一部を平成12年6月7日に新たな特許出願とした特願2000-170644号の一部を平成12年7月7日に新たな特許出願とした特願2000-206874号であって、平成15年8月1日に設定登録がなされ、その後、石川修より特許異議の申立てがなされ、平成16年11月12日付けで取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成17年1月17日付け(平成17年1月18日差出)で訂正請求がなされ(後日取り下げ)、平成17年11月8日付けで再度の取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成17年12月22日付けで訂正請求がなされたものである。

第2.訂正の適否についての判断
1.訂正の内容
平成17年12月22日付けの訂正請求は、以下のとおりのものである。
i.訂正事項a(下線部訂正箇所)
特許明細書の特許請求の範囲の請求項2を削除するとともに、請求項1を以下のように訂正する。
【請求項1】 遊技領域に打玉を打込んで遊技が可能であり、表示状態が変化可能な特別可変表示手段の表示結果が予め複数種類定められた特定の表示態様のうちの何れかとなったことを条件として遊技者にとって不利な第2の状態から遊技者にとって有利な第1の状態に変化可能な特別可変入賞球装置を備えた弾球遊技機であって、
表示状態が変化可能な普通可変表示手段と、
前記遊技領域に設けられ、打玉が進入可能な普通始動領域と、
前記遊技領域に設けられ、遊技者にとって有利な第1の状態と遊技者にとって不利な第2の状態とに変化可能な普通可変入賞球装置により構成された特別始動入賞領域と、
前記普通始動領域に打玉が進入した場合に前記普通可変表示手段の表示結果を導出表示させるための普通可変表示制御を行なうとともに、該普通可変表示手段の表示結果が所定の表示態様となった場合に前記普通可変入賞球装置を第1の状態に制御して前記特別始動入賞領域に打玉が進入しやすくし、該特別始動入賞領域に打玉が進入した場合に前記特別可変表示手段の表示結果を導出表示するための可変表示制御を行なった後該特別可変表示手段の表示結果を導出表示させる特別可変表示制御を行なう制御手段と、
当りはずれ決定用カウンタのカウント値に従って前記普通可変表示手段の表示結果を前記所定の表示態様にするか否かを決定する所定表示態様決定手段と、
前記特別可変表示手段の表示結果として前記特定の表示態様を表示させるときに、何れの種類の特定の表示態様を表示させるかを決定するための当り図柄決定用カウンタと、
前記特別可変表示手段の表示結果として前記特定の表示態様以外の外れ表示態様を表示させるときに、何れの種類の外れ表示態様を表示させるかを決定するための停止図柄決定用カウンタとを含み、
前記普通可変入賞球装置は、前記普通可変表示手段の表示結果が前記所定の表示態様にならない限り第1の状態にはならないように構成されており、
前記特別可変入賞球装置は、前記第1の状態になった後、所定時間の経過または所定個数の打玉の入賞のうちいずれか早い方の条件が成立することにより前記第2の状態になり、
前記普通始動領域は、打玉が進入しても景品玉が払出されることのない通過領域で構成されており、
前記制御手段は、
前記普通始動領域への打玉の進入のうち未だ前記普通可変表示制御に用いられていない打玉の進入を所定の上限数の範囲内で記憶し、該記憶を用いて前記普通可変表示制御を行なうとともに、前記特別始動入賞領域への打玉の進入のうち未だ前記特別可変表示制御に用いられていない打玉の進入を所定の上限数の範囲内で記憶し、該記憶を用いて前記特別可変表示制御を行ない、さらに、
プログラムに従って動作するマイクロコンピュータを有し、
該マイクロコンピュータは、前記プログラムを一通り実行する動作を一定時間毎に繰返すことにより、遊技制御を行ない、
前記プログラムは、前記マイクロコンピュータにより該プログラム中の前記一定時間内に処理されるステップに含まれる命令の処理が終了してから前記プログラムの次の回の実行が開始されるまでの間に処理される無限ループを含み、
該無限ループにより、前記停止図柄決定用カウンタのカウント値を更新し、
前記当りはずれ決定用カウンタは、前記無限ループ以外のプログラム部分に設けられたステップによりカウント動作を行なうことを特徴とする、弾球遊技機。
ii.訂正事項b
特許明細書の段落【0001】、【0006】、【0007】、【0011】、【0012】、【0084】乃至【0085】の記載を訂正明細書のとおりに訂正する。(詳細は省略する。)

2.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張変更の存否
上記訂正事項aは、特許明細書の特許請求の範囲を具体化し明確化しようとするものであるから、特許請求の範囲の減縮及び明りょうでない記載の釈明を目的とするものであり、また、上記訂正事項bは、前記特許請求の範囲の減縮及び明りょうでない記載の釈明に伴って、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを整合させるため、発明の詳細な説明の記載を訂正する、明りょうでない記載の釈明を目的とするものであり、これらの訂正事項a及びbは、特許明細書及び図面に記載された事項の範囲内において訂正するものであるから新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。

3.まとめ
したがって、上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書及び第2項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

第3.特許異議申立てについての判断
1.本件発明
特許第3456955号の請求項1及び2に係る発明は、訂正(請求項1を訂正、請求項2を削除)が認められるから、本件の訂正明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1(以下、「本件発明」という。)に記載された事項(前記第2.1.i.参照)により特定されるものである。

2.特許異議申立て理由の概要 〔特許法第29条の2違反〕
特許異議申立人・石川修は、下記の甲第1号証乃至甲第4号証を提出して、本件特許の請求項1及び2に係る発明は、先願である下記の甲第1号証に記載された発明と実質的に同一であるから、その特許は、特許法第29条の2の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである旨、主張している。
甲第1号証:特開平3-237989号公報(特願平2-35835号)
甲第2号証:特開昭61-284276号公報
甲第3号証:特開昭62-152491号公報
甲第4号証:特開平2-124191号公報

3.取消理由の概要
当審が平成16年11月12日付けで通知した取消理由は、取消理由1乃至3からなり、また、平成17年11月8日付けで通知した取消理由は、取消理由4からなり、それぞれ以下のとおりのものである。
(1)取消理由1〔特許法第29条の2違反〕
取消理由1は、異議申立人である石川修がなした上記特許異議申立て理由を踏襲したものである。(ただし、甲第1号証乃至甲第4号証を第1引用例乃至第4引用例と読み替える。)

(2)取消理由2(特許法第36条第3、4項違反)
本件特許の請求項1及び2に係る発明は、その特許請求の範囲及び発明の詳細な説明の記載において「無限ループ」及び「当りはずれ決定用カウンタ」に係る技術事項が不明瞭であるから、その特許は、特許法第36条第3項及び第4項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。

(3)取消理由3(特許法第29条第2項違反)
本件特許の請求項1の記載は、平成14年4月1日付けの手続補正により「無限ループ」が表示態様の決定に係る命令処理の範疇に含まれないリセット待ち時間を経過するために設けられているものとして規定されたことにより、その技術事項を変更するものと認められ、よって、本件特許出願は、平成6年改正前の特許法第40条の規定により前記補正に係る手続補正書を提出した日にしたものとみなされるから、本件特許の請求項1及び2に係る発明は、本件特許出願前の刊行物である下記の第5引用例に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであって、その特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
第5引用例:特開2001-29573号公報〔本件出願の公開公報〕

(4)取消理由4(特許法第36条第3、4項違反)
平成17年1月17日付け(平成17年1月18日差出)で訂正請求された本件特許の請求項1に係る発明は、上記取消理由2にて指摘した事項が依然として不明瞭であるとともに、普通可変入賞球装置にて設定される第1の時間及び第2の時間の技術的意義が不明であるから、その特許は、特許法第36条第3項及び第4項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。

4.特許異議申立理由及び当審取消理由の存否の判断
(1)特許異議申立て理由〔特許法第29条の2違反〕について
i.甲第1号証に記載の発明
先願である甲第1号証〔特開平3-237989号公報(特願平2-35835号)〕には、以下の事項が記載されている。
「上記説明では、パチンコ、アレンジパチンコのいずれも図柄表示装置が一つであったが、ゲーム内容に変化をつけ、面白さを増すために、第7図に示すように大当り役物を直接起動する主図柄表示装置(2)の他に、副図柄表示装置(8)を設け、副作動口(9)への入球により副図柄表示装置(8)の図柄変動を開始し、変動停止時に所定の確率でその図柄が所定のものになったとき、主作動口役物(10)を開動作させ、主作動口役物(10)への入球により主図柄表示装置(2)を起動し、主図柄表示装置(2)の図柄が揃ったとき大当り役物(3)を開動作させるようにしたものもある。」(第2頁右上欄第7〜19行)、
「上記パチンコの制御回路A1 において、作動口(1)に入球すると、その入球検出センサ(11)がこれを検出して図柄表示装置(2)が図柄変動を開始する。これは確率変更スイッチ(18)によって確率が指定された確率発生部(17)の大当り確率によって、電子回路(16)が表示器(15)に図柄の変動表示をさせ、変動後所定秒数の経過後または図柄変動停止スイッチ(19)を押した後に、図柄変動を停止させ、この停止したときの図柄が、例えば7.7.7のように所定の大当り表示であったとき、アクチュエータ(20)を駆動して大当り役物(3)又は(4)を所定秒数だけ開動作させる。」(第3頁左下欄第15行〜右下欄第7行)、
「次に第2の発明の構成例について、第2図(a)(b)について説明する。第2図(a)は第7図に示すパチンコ機の制御回路A2 、第2図(b)はアレンジパチンコの制御回路B2 であるが、第1図(a)(b)の制御回路との違いは、夫々、副図柄表示装置を主図柄表示装置に加えて設けたこと、副図柄表示装置の当り発生によって開動作し、入球により主図柄表示装置を作動させる作動口役物と、副図柄表示装置の当り確率を自動変更する回路を加えたことである。そこで、同一部分には同一符号を付して説明を省略し、この追加部分について説明する。副図柄表示装置(8)は、副作動口(9)への入球があったとき、その電子回路(30)によって、副表示器〔例えば1桁の数字表示器〕(31)に図柄変動〔例えば0、1、・・・9の数字変動〕を開始させ、所定時間経過後に停止した図柄が当りの図柄〔例えば7〕であったとき、主作動口役物(10)を、アクチュエータ(32)によって開動作させるものである。開いて入球し易くなった主作動口役物(10)への入球が入球検出センサ(33)によって検出されると、主図柄表示装置(2)の図柄変動を開始させるのである。」(第4頁左下欄第5行〜右下欄第7行)。

ii.本件発明と甲第1号証に記載された発明との対比、判断
本件発明と、甲第1号証に記載された発明(以下、「先願発明」という。)とを対比すると、先願発明における、「主図柄表示装置(2)」、「大当り役物(3)」、「副図柄表示装置(8)」、「副作動口(9)」、「主作動口役物(10)」、「電子回路(30)を含む制御回路」は、それぞれ、本件発明における、「特別可変表示手段」、「特別可変入賞球装置」、「普通可変表示手段」、「普通始動領域」、「普通可変入賞球装置により構成された特別始動入賞領域」、「マイクロコンピュータを有する制御手段」に相当する。
しかしながら、先願発明には、本件発明における特別可変表示手段及び普通可変表示手段の表示態様が「当りはずれ決定用カウンタ」、「当り図柄決定用カウンタ」、「停止図柄決定用カウンタ」により決定されること、「当りはずれ決定用カウンタは、無限ループ以外のプログラム部分に設けられたステップによりカウント動作を行なうこと」、「無限ループにより、停止図柄決定用カウンタのカウント値を更新」することに係る構成について何ら開示されておらず、また、甲第2号証乃至甲第4号証を含めて、前記各構成が自明あるいは周知慣用の事項であるとも認められない。
そして、本件発明は、前記各構成により、当りはずれ決定用カウンタのカウント値の更新がプログラムの途中で確実になされることで設計通りの確率で動作することが保証されるとともに、停止図柄決定用カウンタのカウント値の更新がリセット待ち時間中に繰り返しなされることでランダム性が向上されるという作用効果を奏するものであることが明らかである。
よって、本件発明は、甲第1号証に記載された先願発明と実質的に同一であるということができないから、その特許は、特許法第29条の2の規定に違反してされたものではない。

(2)取消理由1〔特許法第29条の2違反〕について
当審が通知した取消理由1は、異議申立人である石川修がなした上記特許異議申立て理由を踏襲したものであるところ、前記(1)に示したように該特許異議申立て理由は理由がないものとなったことにより、当審が通知した取消理由も理由がないものとなったから、本件発明の特許は、取消理由1に係る特許法の規定に違反してされたものではない。

(3)取消理由2乃至取消理由4(特許法第36条第3、4項違反、特許法第29条第2項違反)について
当審が通知した取消理由2乃至4は、平成17年12月22日付けの訂正請求により、本件発明の構成が明確に規定されたことによりその取消理由2乃至4が解消されたものであるから、本件発明の特許は、取消理由2及び4に係る特許法第36条第3項及び第4項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものではなく、また、取消理由3に係る特許法第29条第2項の規定に違反してされたものでもない。

5.むすび
以上のとおり、特許異議申立ての理由及び証拠によっては本件発明についての特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。
したがって、本件発明についての特許は拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものと認めない。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
弾球遊技機
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】遊技領域に打玉を打込んで遊技が可能であり、表示状態が変化可能な特別可変表示手段の表示結果が予め複数種類定められた特定の表示態様のうちの何れかとなったことを条件として遊技者にとって不利な第2の状態から遊技者にとって有利な第1の状態に変化可能な特別可変入賞球装置を備えた弾球遊技機であって、
表示状態が変化可能な普通可変表示手段と、
前記遊技領域に設けられ、打玉が進入可能な普通始動領域と、
前記遊技領域に設けられ、遊技者にとって有利な第1の状態と遊技者にとって不利な第2の状態とに変化可能な普通可変入賞球装置により構成された特別始動入賞領域と、
前記普通始動領域に打玉が進入した場合に前記普通可変表示手段の表示結果を導出表示させるための普通可変表示制御を行なうとともに、該普通可変表示手段の表示結果が所定の表示態様となった場合に前記普通可変入賞球装置を第1の状態に制御して前記特別始動入賞領域に打玉が進入しやすくし、該特別始動入賞領域に打玉が進入した場合に前記特別可変表示手段の表示結果を導出表示するための可変表示制御を行なった後該特別可変表示手段の表示結果を導出表示させる特別可変表示制御を行なう制御手段と、
当りはずれ決定用カウンタのカウント値に従って前記普通可変表示手段の表示結果を前記所定の表示態様にするか否かを決定する所定表示態様決定手段と、
前記特別可変表示手段の表示結果として前記特定の表示態様を表示させるときに、何れの種類の特定の表示態様を表示させるかを決定するための当り図柄決定用カウンタと、
前記特別可変表示手段の表示結果として前記特定の表示態様以外の外れ表示態様を表示させるときに、何れの種類の外れ表示態様を表示させるかを決定するための停止図柄決定用カウンタとを含み、
前記普通可変入賞球装置は、前記普通可変表示手段の表示結果が前記所定の表示態様にならない限り第1の状態にはならないように構成されており、
前記特別可変入賞球装置は、前記第1の状態になった後、所定時間の経過または所定個数の打玉の入賞のうちいずれか早い方の条件が成立することにより前記第2の状態になり、
前記普通始動領域は、打玉が進入しても景品玉が払出されることのない通過領域で構成されており、
前記制御手段は、
前記普通始動領域への打玉の進入のうち未だ前記普通可変表示制御に用いられていない打玉の進入を所定の上限数の範囲内で記憶し、該記憶を用いて前記普通可変表示制御を行なうとともに、前記特別始動入賞領域への打玉の進入のうち未だ前記特別可変表示制御に用いられていない打玉の進入を所定の上限数の範囲内で記憶し、該記憶を用いて前記特別可変表示制御を行ない、さらに、
プログラムに従って動作するマイクロコンピュータを有し、
該マイクロコンピュータは、前記プログラムを一通り実行する動作を一定時間毎に繰返すことにより、遊技制御を行ない、
前記プログラムは、前記マイクロコンピュータにより該プログラム中の前記一定時間内に処理されるステップに含まれる命令の処理が終了してから前記プログラムの次の回の実行が開始されるまでの間に処理される無限ループを含み、
該無限ループにより、前記停止図柄決定用カウンタのカウント値を更新し、
前記当りはずれ決定用カウンタは、前記無限ループ以外のプログラム部分に設けられたステップによりカウント動作を行なうことを特徴とする、弾球遊技機。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、パチンコ遊技機やコイン遊技機等で代表される弾球遊技機に関し、詳しくは、遊技領域に打玉を打込んで遊技が可能であり、表示状態が変化可能な特別可変表示手段の表示結果が予め複数種類定められた特定の表示態様のうちの何れかとなったことを条件として遊技者にとって不利な第2の状態から遊技者にとって有利な第1の状態に変化可能な特別可変入賞球装置を備えた弾球遊技機に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の弾球遊技機において、従来から一般的に知られているものに、たとえば、打玉の始動入賞に伴って可変表示装置を可変表示し、その可変表示装置の表示結果が予め定められた特定の表示態様(たとえば777)になったことを条件として、可変入賞球装置を遊技者にとって有利な第1の状態に制御して大当り状態が発生し、その可変入賞球装置内に形成されている特定入賞領域に打玉が入賞した場合に、前記可変入賞球装置をその第1の状態が終了して第2の状態になった後再度第1の状態にする繰返し継続制御が行なわれるように構成されたものがあった。
【0003】
そして、従来の弾球遊技機においては、可変入賞球装置を遊技者にとって有利な第1の状態に制御するに際し、前記可変表示装置を可変表示させてその表示結果が所定の表示態様になったことを条件として、遊技者が、可変入賞球装置が第1の状態に制御されるかもしれないという期待感を持ちながら可変表示装置の可変表示を楽しむことができるように構成されていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この従来の弾球遊技機においては、可変表示装置が1つしかないために、その1つの可変表示装置の可変表示しか楽しむことができず、遊技の興趣をそれほど高めることができないという欠点を有していた。
【0005】
一方、可変表示装置の表示結果が特定の表示態様となったことを条件として可変入賞球装置が遊技者にとって有利な第1の状態となるタイプの弾球遊技機においては、その可変表示装置を可変開始させるための条件である打玉の始動入賞率が重要となる。その始動入賞率が高すぎた場合には遊技場の不利益が大きくなり過ぎる不都合が生ずる一方、始動入賞率が低過ぎた場合には遊技者へのサービスが低下して客離れが生ずるという不都合が生ずる。
本発明は、係る実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、1つの可変表示装置しか有しない従来の弾球遊技機が提供し得る遊技場の面白味の限界を打ち破り、斬新な遊技により新たな面白味を創出し得ながらも、前述した始動入賞率を適正な大きさに維持しやすい弾球遊技機を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の本発明は、遊技領域に打玉を打込んで遊技が可能であり、表示状態が変化可能な特別可変表示手段の表示結果が予め複数種類定められた特定の表示態様のうちの何れかとなったことを条件として遊技者にとって不利な第2の状態から遊技者にとって有利な第1の状態に変化可能な特別可変入賞球装置を備えた弾球遊技機であって、
表示状態が変化可能な普通可変表示手段と、
前記遊技領域に設けられ、打玉が進入可能な普通始動領域と、
前記遊技領域に設けられ、遊技者にとって有利な第1の状態と遊技者にとって不利な第2の状態とに変化可能な普通可変入賞球装置により構成された特別始動入賞領域と、
前記普通始動領域に打玉が進入した場合に前記普通可変表示手段の表示結果を導出表示させるための普通可変表示制御を行なうとともに、該普通可変表示手段の表示結果が所定の表示態様となった場合に前記普通可変入賞球装置を第1の状態に制御して前記特別始動入賞領域に打玉が進入しやすくし、該特別始動入賞領域に打玉が進入した場合に前記特別可変表示手段の表示結果を導出表示するための可変表示制御を行なった後該特別可変表示手段の表示結果を導出表示させる特別可変表示制御を行なう制御手段と、
当りはずれ決定用カウンタのカウント値に従って前記普通可変表示手段の表示結果を前記所定の表示態様にするか否かを決定する所定表示態様決定手段と、
前記特別可変表示手段の表示結果として前記特定の表示態様を表示させるときに、何れの種類の特定の表示態様を表示させるかを決定するための当り図柄決定用カウンタと、
前記特別可変表示手段の表示結果として前記特定の表示態様以外の外れ表示態様を表示させるときに、何れの種類の外れ表示態様を表示させるかを決定するための停止図柄決定用カウンタとを含み、
前記普通可変入賞球装置は、前記普通可変表示手段の表示結果が前記所定の表示態様にならない限り第1の状態にはならないように構成されており、
前記特別可変入賞球装置は、前記第1の状態になった後、所定時間の経過または所定個数の打玉の入賞のうちいずれか早い方の条件が成立することにより前記第2の状態になり、
前記普通始動領域は、打玉が進入しても景品玉が払出されることのない通過領域で構成されており、
前記制御手段は、
前記普通始動領域への打玉の進入のうち未だ前記普通可変表示制御に用いられていない打玉の進入を所定の上限数の範囲内で記憶し、該記憶を用いて前記普通可変表示制御を行なうとともに、前記特別始動入賞領域への打玉の進入のうち未だ前記特別可変表示制御に用いられていない打玉の進入を所定の上限数の範囲内で記憶し、該記憶を用いて前記特別可変表示制御を行ない、さらに、
プログラムに従って動作するマイクロコンピュータを有し、
該マイクロコンピュータは、前記プログラムを一通り実行する動作を一定時間毎に繰返すことにより、遊技制御を行ない、
前記プログラムは、前記マイクロコンピュータにより該プログラム中の前記一定時間内に処理されるステップに含まれる命令の処理が終了してから前記プログラムの次の回の実行が開始されるまでの間に処理される無限ループを含み、
該無限ループにより、前記停止図柄決定用カウンタのカウント値を更新し、
前記当りはずれ決定用カウンタは、前記無限ループ以外のプログラム部分に設けられたステップによりカウント動作を行なうことを特徴とする。
【0007】
【0008】
【0009】
【0010】
【0011】
【作用】
請求項1に記載の本発明によれば、遊技領域に設けられた普通始動領域に打玉が進入した場合に普通可変表示手段の表示結果を導出表示させるための普通可変表示制御が行なわれるとともに、その普通可変表示手段の表示結果が所定の表示態様となった場合に、特別始動入賞領域を構成している普通可変入賞球装置が遊技者にとって有利な第1の状態に制御されて特別始動入賞領域に打玉が進入しやすくなり、その特別始動入賞領域に打玉が進入した場合に特別可変表示手段の表示結果を導出表示するための特別可変表示制御が行なわれた後特別可変表示手段の表示結果を導出表示させる特別可変表示制御が行なわれる。所定表示態様決定手段の働きにより、当りはずれ決定用カウンタのカウント値に従って普通可変表示手段の表示結果を前記所定の表示態様にするか否かの決定が行なわれる。特別可変表示手段の表示結果として特定の表示態様を表示させるときに、何れの種類の特定の表示態様を表示させるかを決定するための当り図柄決定用カウンタと、特別可変表示手段の表示結果として特定の表示態様以外の外れ表示態様を表示させるときに、何れの種類の外れ表示態様を表示させるかを決定するための停止図柄決定用カウンタとが、設けられている。普通可変入賞球装置は、前記普通可変表示手段の表示結果が前記所定の表示態様にならない限り第1の状態にはならないように構成されている。前記特別可変入賞球装置は、前記第1の状態になった後、所定時間の経過または所定個数の打玉の入賞のうちいずれか早い方の条件が成立することにより前記第2の状態になり、前記普通始動領域は、打玉が進入しても景品玉が払出されることのない通過領域で構成されている。前記制御手段は、前記普通始動領域への打玉の進入のうち未だ前記普通可変表示制御に用いられていない打玉の進入を所定の上限数の範囲内で記憶し、該記憶を用いて前記普通可変表示制御を行なうとともに、前記特別始動入賞領域への打玉の進入のうち未だ前記特別可変表示制御に用いられていない打玉の進入を所定の上限数の範囲内で記憶し、該記憶を用いて前記特別可変表示制御を行ない、さらに、プログラムに従って動作するマイクロコンピュータを有している。そのマイクロコンピュータは、プログラムを一通り実行する動作を一定時間毎に繰返すことにより遊技制御を行なう。そのプログラムは、マイクロコンピュータによりプログラム中の前記一定時間内に処理されるステップに含まれる命令の処理が終了してから前記プログラムの次の回の実行が開始されるまでの間に処理される無限ループを含んでいる。そして、その無限ループにより、前記停止図柄決定用カウンタのカウント値を更新し、前記当りはずれ決定用カウンタは、その無限ループ以外のプログラム部分に設けられたステップによりカウント動作を行なう。
【0012】
【0013】
【0014】
【0015】
【0016】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本実施の形態では弾球遊技機の一例としてパチンコ遊技機を取り上げて説明するが、本発明はこれに限らず、コイン遊技機等打玉を弾発して遊技を行なうものであればすべて含まれる。
【0017】
図1は、パチンコ遊技機における遊技領域に配設された各種機器や装置を示す正面図である。
【0018】
遊技領域223には図示しない打球装置によりパチンコ玉が1つずつ打込まれる。この遊技領域223には、複数種類の識別情報が可変表示可能な普通可変表示装置2と、複数種類の識別情報が可変表示可能な特別可変表示装置1と、可動部材4a,4bが開閉することにより打玉が入賞しやすい遊技者にとって有利な第1の状態と打玉が入賞しにくいまたは入賞しない遊技者にとって不利な第2の状態とに変化する普通可変入賞球装置4とが一体的に設けられている。さらに遊技領域223の下方位置には、開閉板51が開閉することにより打玉が入賞しやすい遊技者にとって有利な第1の状態と打玉が入賞しにくいまたは入賞しない遊技者にとって不利な第2の状態とに変化する特別可変入賞球装置3と、特別始動入賞口9a,9bとが一体的に設けられている。さらに遊技領域223には、普通始動通過口7や打込まれたパチンコ玉がいずれの入賞領域や入賞球装置にも入賞しなかった場合にアウト玉として回収するアウト口50等が設けられている。
【0019】
遊技領域223に打込まれたパチンコ玉が特別始動入賞口9a,9bのいずれかに入賞すれば、始動入賞玉検出器11a,11bのうちの対応する始動入賞玉検出器により検出され、その検出出力に基づいて前記特別可変表示装置1が可変表示を開始する。この特別可変表示装置1は、左図柄,中図柄,右図柄の3つの図柄をそれぞれ可変表示する特別可変表示器1a,1b,1cを含み、前記特別始動入賞口9a,9bへのパチンコ玉の入賞に伴ってすべての特別可変表示器1a,1b,1cが一斉に可変表示を開始し、所定時間の経過によりまず向かって左の図柄が停止され、さらに所定時間経過した後に中央の図柄が停止され、さらに所定時間経過した後に右の図柄が停止される。なお、この停止順序は左,中央,右以外の順序であってもよい。
【0020】
パチンコ玉が普通始動通過口7を通過すればその通過玉が始動通過玉検出器8により検出され、その検出出力に基づいて普通可変表示装置2が可変表示を開始する。この普通可変表示装置2は、左図柄,右図柄の2つの図柄をそれぞれ可変表示する普通可変表示器2a,2bを含む。この普通可変表示器2a,2bは、前記始動通過玉検出器8からの検出出力に基づいて一斉に可変表示を開始し、所定時間の経過によりまず向かって左の普通可変表示器2aが停止されさらに所定時間が経過することにより向かって右の普通可変表示器2bが停止制御される。なお、この普通可変表示装置2は1つまたは3つ以上の普通可変表示器からなるものであってもよく、特別可変表示装置1は1つまたは2つあるいは4つ以上の特別可変表示器からなるものであってもよい。
【0021】
さらに、これら可変表示装置1,2は、常時可変表示させておき、始動入賞(始動通過)により改めて可変開始するものであってもよい。その場合には、始動入賞(始動通過)により可変表示の明るさや速さを切換えて可変開始を報知するように構成することが望ましい。さらに、本実施の形態では7セグLEDにより可変表示する可変表示装置1,2を示すが、その他に、回転ドラム式可変表示装置、液晶表示式可変表示装置、ドットマトリックス式可変表示装置、エレクトロルミネッセンスを用いた可変表示装置、複数のランプが点灯走行して可変表示を行なうルーレット式可変表示装置、回転ディスク式可変表示装置等であってもよい。
【0022】
特別可変表示器1a,1b,1cや普通可変表示器2a,2bは、0〜9の10種類の数字を可変表示するものであり、特別可変表示装置1の表示結果が、図1に示す横3行および斜め対角線上に2列の合計5列のラインにたとえば777が揃えば大当り状態となり、ソレノイド16が励磁されて開閉板51が開成される。この開閉板51の開成は、所定時間(たとえば30秒間)の経過または打玉の所定個数(たとえば10個)の入賞のうち早い方の条件が成立するまで継続される。図中52は特定入賞領域(Vポケット)であり、この特定入賞領域52にパチンコ玉が入賞すれば特定入賞玉検出器12によりその入賞玉が検出される。また、この特別可変入賞球装置3内に入賞したすべてのパチンコ玉は入賞個数検出器13により検出され、その入賞個数検出器13による入賞玉のカウント数が入賞個数表示器14により表示される。
【0023】
開閉板51が開成して第1の状態となっている特別可変入賞球装置3内に進入したパチンコ玉が前記特定入賞領域52内に入賞すれば、特別可変入賞球装置3がその第1の状態が終了して一旦第2の状態となった後再度開閉板51が開成されて第1の状態に繰返し継続制御される。この繰返し継続制御の上限回数はたとえば16回に定められている。この特定入賞玉検出器12により、前記特別可変入賞球装置内に設けられた特定の入賞領域に入賞した特定入賞玉を検出する特定入賞玉検出手段が構成されている。
【0024】
特別可変表示装置1が可変表示中などにパチンコ玉が特別始動入賞口9a,9bに入賞すればその始動入賞が記憶されるのであり、その記憶値が始動入賞記憶表示器6により表示されるのである。その特別始動入賞の記憶の上限値はたとえば4に定められている。普通可変表示装置2の可変表示中などにパチンコ玉が普通始動通過口7を通過すればその始動通過が記憶されるのであり、その始動通過の回数が始動通過記憶表示器5により表示される。この始動通過記憶の上限値はたとえば4に定められている。さらにこの普通始動通過口7にパチンコ玉が1個が通過したことに基づいて普通可変表示装置2の可変表示を開始するのに代えて、所定個数のパチンコ玉が普通始動通過口7を通過して初めて普通可変表示装置2の可変表示が開始されるように制御してもよい。
【0025】
この普通始動通過口7により打玉の入賞により前記普通可変表示装置を可変表示させるように定められた普通始動入賞領域が構成されている。始動通過玉検出器8により、前記普通始動入賞領域に入賞した入賞玉を検出する普通始動入賞玉検出手段が構成されている。この普通始動通過口7にパチンコ玉が通過して可変表示された普通可変表示装置2の停止時の表示結果が所定の識別情報(たとえば77)となれば、ソレノイド15を励磁させて普通可変入賞球装置4を比較的長い所定時間(たとえば6秒間)開成制御する。一方、普通可変表示装置2の表示結果がたとえば「33」となればチューリップソレノイド15を励磁させて普通可変入賞球装置4を比較的短い所定時間(たとえば3秒間)開成させる。
【0026】
この普通可変入賞球装置4に入賞したパチンコ玉は始動入賞玉検出器10により検出され、その検出出力に基づいて特別可変表示装置1が可変表示される。またこの可変入賞球装置4にパチンコ玉が入賞すれば1個の入賞玉に基づき比較的少ない所定個数(たとえば7個)の景品玉が払出される。この普通可変入賞球装置4は、普通可変表示装置2の表示結果次第で開成時間が変化するように構成されている。たとえば、普通可変表示装置2の停止時の表示結果が「77」であった場合には比較的長い所定時間(たとえば6秒間)普通可変入賞球装置4を開成させ、普通可変表示装置2の停止時の表示結果が「33」であった場合には比較的短い所定時間(3秒間)普通可変入賞球装置4を開成させる。
【0027】
その際に、普通可変表示装置2の停止時の表示結果が「77」になれば、その後普通可変表示装置が「33」の表示結果になる確率を向上させて普通可変入賞球装置4の開成が続出するように制御してもよい。あるいは「77」になった後には、「11」「55」「99」でも開成されるようにするなど、普通可変入賞球装置4を開成させる表示結果の組合せ数を増加させるようにしてもよい。この普通可変入賞球装置4と前記特別始動入賞口9a,9bとによって、前記遊技領域に設けられ、遊技者にとって有利な第1の状態と遊技者にとって不利な第2の状態とに変化可能な普通可変入賞球装置により構成された特別始動入賞領域が構成されている。始動入賞玉検出器10により、前記普通可変入賞球装置に入賞した普通入賞玉を検出する普通入賞玉検出手段が構成されている。
【0028】
始動入賞玉検出器10,11a,11bにより、前記特別始動入賞領域に入賞した入賞玉を検出する特別始動入賞玉検出手段が構成されている。なお、普通可変入賞球装置4の第1の状態としては、開成状態に代えて連続して繰返し開閉するようにしてもよい。また、普通可変入賞球装置4を第2の状態に切換えるにおいて、普通可変入賞球装置4内に所定個数の入賞玉が入賞したこと、または、所定個数の入賞玉の入賞と所定時間の経過とのうちいずれか早い方の条件が成立したことを切換条件としてもよい。図中81はランプであり、大当り発生時に点灯または点滅して遊技者に大当りが発生したことを表示するためのものである。
【0029】
普通始動通過口7が上方が進入したパチンコ玉を下方に通過させて再度遊技盤面に戻る通過口で構成されているために、パチンコ玉が通過したとしても景品玉を払出す必要がないために釘調整等を行なってパチンコ玉が頻繁に普通始動通過口7に通過するように調整し頻繁に普通可変表示装置2を可変表示させて遊技者に頻繁に普通可変表示装置の可変表示に伴う面白味を提供できるという利点がある。またそのようにしたとしても、普通可変表示装置2の停止時の表示結果に基づいて即座に特別可変入賞球装置3が第1の状態に駆動制御されるわけではないために、遊技場にとっても大きな不利益を被ることがない。なお、この普通始動通過口7は、パチンコ玉が入賞して遊技盤裏面側に導かれて所定個数(たとえば15個)の景品玉が遊技者に払出される入賞口で構成してもよい。また、普通始動通過口7をチューリップで構成してもよい。
【0030】
なお、本発明でいう「入賞」とは、「通過」をも含む広い概念である。また本実施の形態では普通可変表示装置を可変表示させるに際し、パチンコ玉が普通始動通過口7を通過することを条件としたが、その他に、たとえば、特別可変入賞球装置3内に所定個数のパチンコ玉が入賞することや、特定入賞領域52内にパチンコ玉が入賞すること、さらには特別可変表示装置1の表示結果が所定の表示結果になること等を条件として普通可変表示装置2の可変表示を開始させるように制御してもよい。
【0031】
前記普通始動通過口7により、前記遊技領域に設けられ、打玉が進入可能な普通始動領域が構成されている。この普通始動領域は、打玉が進入しても景品玉が払出されることのない通過領域で構成されている。前記始動通過玉検出器8により、前記普通始動領域に進入した玉を検出する普通始動玉検出手段が構成されている。前記普通可変入賞球装置4を単なる通常の入賞領域として構成し、パチンコ玉の入賞に伴って特別可変表示装置1を可変表示するのではなく単に所定個数(たとえば15個)の景品玉を払出すのみのものにしてもよい。つまり、普通可変入賞球装置4に入賞した入賞玉を入賞玉検出機構や入賞玉検出器で検出し、その検出に基づいて景品玉払出機構を作動させて所定個数(たとえば15個)の景品玉を払出す。
【0032】
前記特別可変表示器1a〜1cにより、表示状態が変化可能な特別可変表示部が構成されている。前記普通可変表示器2a,2bにより、表示状態が変化可能な普通可変表示部が構成されている。
【0033】
図2は、パチンコ遊技機に用いられる制御回路を示すブロック図である。
マイクロコンピュータ60は以下に述べるような各種機器の動作を制御する機能を有する。このため、マイクロコンピュータ60は、たとえば数チップのLSIで構成されており、その中には制御動作を所定の手順で実行することのできるMPU61と、MPU61の動作プログラムデータを格納するROM62と必要なデータの書込および読出ができるRAM63とを含む。
【0034】
さらに、マイクロコンピュータ60は入力信号を受けてMPU61に入力データを与えるとともにMPU61からの出力データを受けて外部に出力する入出力回路64と、MPU61から音データを受けるサウンドジェネレータ69と、電源投入時にMPU61にリセットパルスを与えるパワーオンリセット回路65と、MPU61にクロック信号を与えるクロック発生回路66と、クロック発生回路66からのクロック信号を分周してリセットパルスを定期的(たとえば2msec毎)にMPU61に与えるパルス分周回路(定期リセット回路)67と、MPU61からのアドレスデータをデコードするアドレスデコード回路68とを含む。
【0035】
アドレスデコード回路68はMPU61からのアドレスデータをデコードし、ROM62,RAM63,入出力回路64,サウンドジェネレータ69にそれぞれチップセレクト信号を与える。
【0036】
なお、この実施の形態では、ROM62は、その内容の書換え、すなわち、必要が生じた場合には、その中に格納されたMPU61のためのプログラムデータを変更することができるようにプログラマブルROMが用いられる。そして、MPU61がこのROM62内に格納されたプログラムデータに従ってかつ以下に述べる各制御信号の入力に応答して、種々の機器に対し制御信号を与える。
【0037】
マイクロコンピュータ60は、入力信号として、次のような信号が与えられる。
【0038】
まず、パチンコ玉が普通可変入賞球装置4内に入賞すればその入賞玉が始動入賞玉検出器10により検出され、その検出信号が検出回路70を介してマイクロコンピュータ60に与えられる。パチンコ玉が特別始動入賞口9a,9bに入賞すればその入賞玉が始動入賞玉検出器11a,11bにより検出されその検出信号が検出回路70を介してマイクロコンピュータ60に与えられる。パチンコ玉が普通始動通過口7を通過すればその通過玉が始動通過玉検出器8により検出され、その検出信号が検出回路71を介してマイクロコンピュータ60に与えられる。パチンコ玉が特別可変入賞球装置3内に進入して特定入賞領域52内に入賞すればその入賞玉が特定入賞玉検出器12により検出されその検出信号が検出回路72を介してマイクロコンピュータ60に与えられる。特別可変入賞球装置3内に入賞したパチンコ玉はすべて入賞個数検出器13により検出されその検出信号が検出回路73を介してマイクロコンピュータ60に与えられる。
【0039】
次に、マイクロコンピュータ60は以下の回路および装置に制御信号を与える。
【0040】
まず、ソレノイド駆動回路74を介してアタッカソレノイド16に特別可変入賞球装置駆動用制御信号を与える。ソレノイド駆動回路74を介してチューリップソレノイド15に普通可変入賞球装置駆動用制御信号を与える。7セグLED駆動回路75を介して、特別可変表示器1a,1b,1cならびに普通可変表示器2a,2bに可変表示制御信号を与える。つまり、前述したように、始動入賞玉検出器10,11a,11bの検出出力に基づいて特別可変表示装置を可変表示させるための制御信号を導出し、所定の停止条件の成立に基づいて特別可変表示装置を停止制御させるための制御信号を導出する。さらに、前述したように、始動通過玉検出器8からの検出信号に基づいて普通可変表示装置を可変表示させる制御信号を導出し、所定の停止条件の成立に基づいて普通可変表示装置を停止制御させるための制御信号を導出する。
【0041】
この7セグLED駆動回路75とマイクロコンピュータ60とにより、前記特別始動入賞玉検出手段の検出出力に基づいて前記特別可変表示装置を可変表示させ、所定の停止条件の成立に基づいて前記特別可変表示装置を停止制御させる特別可変表示制御手段が構成されている。さらに、この7セグLED駆動回路75とマイクロコンピュータ60とにより、前記普通始動入賞玉検出手段の検出出力に基づいて前記普通可変表示装置を可変表示させ、所定の停止条件の成立に基づいて前記普通可変表示装置を停止制御させる普通可変表示制御手段が兼用構成されている。一方、マイクロコンピュータ60は、後述するように、パチンコ玉の始動入賞のタイミングに基づいて特別可変表示装置や普通可変表示装置の停止時の表示結果が予め定める所定の識別情報になるように停止制御するか否かを決定し、それに基づいて特別可変表示装置や普通可変表示装置の停止制御信号を導出するのであり、特別可変表示装置を予め定める所定の識別情報になるような停止制御信号を導出すれば、前述したように、マイクロコンピュータ60はソレノイド駆動回路74を介してアタッカソレノイド16に特別可変入賞球装置を第1の状態に駆動制御させるための制御信号を導出する。
【0042】
さらに、普通可変表示装置を予め定める所定の識別情報にするような停止制御信号が導出されれば、マイクロコンピュータ60はソレノイド駆動回路74を介してチューリップソレノイド15に対し普通可変入賞球装置4を第1の状態に駆動制御させるための制御信号を導出する。このソレノイド駆動回路74とマイクロコンピュータ60とにより、前記特別可変表示装置の停止時の表示結果が予め定める特定の識別情報になった場合に、所定の規制条件が成立するまで特別可変入賞球装置を前記第1の状態に駆動する特別駆動制御手段が構成されている。さらに、前述したように、第1の状態にある特別可変入賞球装置内に進入したパチンコ玉が特定入賞領域52内に入賞して特定入賞玉検出器12から検出信号が導出されれば、マイクロコンピュータ60は、アタッカソレノイド16に対し、特別可変入賞球装置をその第1の状態が終了して第2の状態になった後再度第1の状態に駆動制御する繰返し継続制御を行なうための制御信号を導出する。このソレノイド駆動回路74とマイクロコンピュータ60とにより、前記特定入賞玉検出手段の検出出力に基づいて、前記特別可変入賞球装置を前記第1の状態が終了して第2の状態になった後再度第1の状態にする繰返し継続制御手段が兼用構成されている。
【0043】
マイクロコンピュータ60はさらに7セグLED駆動回路75を介して入賞個数表示器14に対し入賞個数表示用制御信号を与える。マイクロコンピュータ60はLED駆動回路76を介して、始動入賞記憶表示器6および始動通過記憶表示器5に対しそれぞれ記憶表示制御信号を与える。さらにマイクロコンピュータ60は、ランプ駆動回路77を介してランプ81にランプ点灯用制御信号を与える。またアンプ78を介してスピーカ79に音発生用制御信号を与える。なお、前記各種機器および制御回路には電源回路80から所定の直流電流が供給される。
【0044】
図3〜図11は、図2に示した制御回路の動作を説明するためのフローチャートである。
【0045】
図3はメインルーチンを示し、たとえば2msec毎に1回実行される。まずステップS(以下単にSという)1では、RAMエラーがあったか否かの判断がなされ、ない場合にはS3に進むが、プログラムの暴走や電源投入時等にはYESの判断がなされてS2に進み、初期データがセットされた後にS3に進む。S3およびS4でスイッチチェック処理が行なわれ、S5に進み、音・ランプ・LEDコントロール処理が行なわれ、S6に進みアタッカソレノイドコントロール処理が行なわれ、S7に進み、チューリップソレノイドコントロール処理が行なわれ、S8に進み、特別図柄LEDコントロール処理が行なわれ、S9に進み、普通図柄LEDコントロール処理が行なわれ、S10に進み、前記S3ないしS9の処理によってセットされたデータを出力する処理が行なわれる。
【0046】
次にS11に進み、当り外れ決定用カウンタを「1」インクリメントする処理が行なわれる。このメインルーチンがたとえば2msec毎に実行されるごとにS11により当り外れ決定用カウンタが「1」ずつインクリメントされる。この当り外れ決定用カウンタの上限値はたとえば「219」に定められている。次にS12に進み、当り外れ決定用カウンタが「220」に達したか否かの判断がなされ、達していない場合にはそのままS14に進むが、達している場合にはS13に進み、当り外れ決定用カウンタをクリアして「0」にした後S14に進む。このように、当り外れ決定用カウンタは「0」からカウントアップされて220に達すればクリアされて再度「0」からカウントアップし直すのである。そして、当り外れ決定用カウンタが「0」の場合に特別可変表示装置1の可変表示において大当りが発生するように定められている。その結果、実際のプログラム上の大当りの発生確率は1/220となる。一方、大当りが発生する図柄は、特別可変表示装置1(図1参照)によって表示される3つの図柄のうち横3行および斜め対角線上に2列の合計5ライン上に「777」が揃った場合であり、その結果見かけ上の大当りの発生確率は、5/103=1/200となる。
【0047】
次にS14では、当り図柄決定用カウンタを「1」インクリメントする処理がなされ、S15に進み、当り図柄決定用カウンタが「5」であるか否かの判断がなされ、「5」でなければそのままS17に進むが、「5」になっている場合にはS16に進み、当り図柄決定用カウンタをクリアした後にS17に進む。つまり、前述したように、大当りの図柄は、横3行および斜め対角線上に2列の合計5ライン上に「777」が揃う合計5種類の識別情報の組合せになるために、当り図柄決定用カウンタのカウント値も0〜4の5種類用意し、当り外れ決定用カウンタの値により当りが決定された場合には後述するように当り図柄決定用カウンタのカウント値に基づいて特別可変表示装置を当りの識別情報の組合せになるように停止制御するのである。
【0048】
次にS17に進み、停止図柄決定用カウンタの1桁目に「3」を加算する処理が行なわれる。この停止図柄決定用カウンタとは、当り外れ決定用カウンタのカウント値に基づいて外れであることが決定された場合に特別可変表示装置の停止時の横中央ラインの識別情報を決定するためのものであり、前記10種類の図柄に対応した値をカウントするものであり、1桁目とは左図柄用の特別可変表示器1a(図1参照)によって表示される図柄である。そして、停止図柄決定用カウンタの値が「0」ないし「9」の場合にはそれぞれ「0」ないし「9」の図柄が表示される。また、横中央ラインの識別情報が決定されれば、横上ライン,横下ラインの識別情報は、横中央ラインの識別情報に対しそれぞれ「+1」,「-1」した値に決定されることになる。
【0049】
次に、S18に進み、1桁目が「10」以上であるか否かの判断がなされ、以上でない場合には再びS17に進み停止図柄決定用カウンタの1桁目に「3」が加算される処理がなされる。一方、S18により1桁目が「10」以上であると判断された場合にはS19に進み、1桁目のカウント値から「10」を減算する処理がなされるとともに停止図柄表示用カウンタの2桁目に「1」を加算する処理がなされる。次にS20に進み、停止図柄表示用カウンタの2桁目が「10」か否かの判断がなされ、「10」でない場合には再びS17に戻るが、「10」である場合にはS21に進み、2桁目のカウント値から「10」を減算する処理を行ない、停止図柄表示用カウンタの3桁目に「1」を加算する。
【0050】
次にS22に進み、3桁目が「10」か否かの判断がなされ、「10」でない場合には前記S17に戻るが、「10」である場合にはS23に進み、3桁目のカウント値から「10」を減算する。このS17ないしS23による処理は、前記S1ないしS16の処理を行なった後に残っているリセット待ち時間の間繰返して行なわれるのであり、パルス分周回路67(図2参照)からのリセットパルスが入力された段階でS17ないしS23の処理を終了させてS1に戻る。本実施の形態の場合には、2msec毎にリセットパルスが出力されるために、2msecから前記S1ないしS16までの処理時間を減算した残り時間を利用してS17ないしS23の処理が繰返し行なわれる。
【0051】
図4は、図3のS3,S4によって定義されたサブルーチンプログラムを示すフローチャートである。
【0052】
まず、S24によりカウントスイッチ(入賞個数検出器13)のチェック処理が行なわれ、S25によりVスイッチ(特定入賞玉検出器12)のチェック処理が行なわれ、S26により始動入賞スイッチA(始動入賞玉検出器11a)のチェック処理が行なわれ、S27により始動入賞スイッチB(始動入賞玉検出器11b)のチェック処理が行なわれ、S28により始動入賞スイッチC(始動入賞玉検出器10)のチェック処理が行なわれ、次にS29に進み始動通過スイッチ(始動通過玉検出器8)のチェック処理が行なわれてサブルーチンプログラムが終了する。なお、前記S24ないしS27のチェック処理の詳細な説明は省略する。なお、S26,S27の詳細は図5に示すフローチャートと同様である。
【0053】
図5は、図4のS28により示したチェック処理のサブルーチンプログラムを示すフローチャートである。
【0054】
まず、S30により、始動入賞スイッチC(始動入賞玉検出器10)がONになっているか否かの判断がなされる。そしてパチンコ玉が普通可変入賞球装置4(図1参照)に入賞すれば、S30によりYESの判断がなされて、S32に進み、始動入賞スイッチCチェックカウンタが最大か否かの判断がなされる。この始動入賞スイッチCチェックカウンタは、この始動入賞スイッチCチェックカウンタサブルーチンプログラムが実行される毎にS33により「1」ずつ加算されるものであり、その最大値はたとえば「255」である。そして未だに最大に達していない場合にはS33に進み、始動入賞スイッチCチェックカウンタが「1」インクリメントされ、S34に進み、始動入賞スイッチCチェックカウンタ=「2」であるか否かの判断がなされる。
【0055】
そして未だに「2」に達していない場合にはそのままサブルーチンプログラムが終了するが、「2」に達している場合にはS35に進み、始動入賞記憶カウンタ=「4」であるか否かの判断がなされる。始動入賞記憶カウンタの上限が「4」であるため、既にその上限値である「4」に達している場合にはそのままサブルーチンプログラムが終了するのであるが、未だに「4」に達していない場合にはS36に進み、始動入賞が発生したことに伴う始動入賞記憶カウンタの「1」の加算処理がなされる。次にS37に進み、当り外れ決定用カウンタのカウント値が「0」であるか否かの判断がなされる。この当り外れ決定用カウンタは、前述したようにS11により「1」ずつ加算され、S13によりクリアされるものである。
【0056】
そして、当り外れ決定用カウンタが「0」である場合にはS38に進み、始動入賞記憶カウンタの値に対応するデータ記憶エリアに大当りデータを記憶させる処理がなされてサブルーチンプログラムが終了する。一方、当り外れ決定用カウンタが「0」でなかった場合にはS39に進み、始動入賞記憶カウンタの値に対応するデータ記憶エリアに外れデータを記憶させる処理がなされてサブルーチンプログラムは終了する。たとえば、始動入賞記憶カウンタが「1」の場合には、データ記憶エリアのエリア1に大当りデータまたは外れデータが記憶され、始動入賞記憶カウンタが「2」の場合にはデータ記憶エリアのエリア2に大当りデータまたは外れデータが記憶され、始動入賞記憶カウンタが「3」の場合にはエリア3に、始動入賞記憶カウンタが「4」の場合にはエリア4にそれぞれ記憶されることになる。
【0057】
次にS30により始動入賞スイッチCがONになっていないと判断された場合にS31に進み、始動入賞スイッチCチェックカウンタをクリアしてそのままサブルーチンプログラムが終了する。結局、この始動入賞スイッチCチェックサブルーチンプログラムが2回実行されてその2回とも始動入賞スイッチCがONになっている場合にのみS34によりYESの判断がなされて、S35以降の処理がなされるのであり、遊技場に発生するノイズ等により瞬間的に始動入賞スイッチCがONになったとしても直ちにS35以降の処理が行なわれないようにし、ノイズによる誤動作を極力防止し得るように構成されている。
【0058】
図6は、図4のS29により定義されている始動通過スイッチチェックのサブルーチンプログラムを示すフローチャートである。この始動通過スイッチチェックサブルーチンプログラムは、前述した図5に示した始動入賞スイッチCチェックサブルーチンプログラムと大半が共通しており、その共通部分については説明を省略し相違点を主に説明する。
【0059】
S45により始動通過記憶カウンタが未だに「4」になっていないと判断された場合にはS46に進み、始動通過記憶カウンタが「1」インクリメントされ、S47に進み、当り外れ決定用カウンタが「6」以下であるか否かの判断がなされ、「6」以下であった場合にはS49に進み、始動通過記憶カウンタの値に対応するデータ記憶エリアに大当りデータを記憶させてサブルーチンプログラムが終了する。つまり、始動通過記憶に基づいた普通可変表示装置の可変制御は、当り外れ決定用カウンタが0〜6の場合に大当りの識別情報の組合せ(たとえば77)になるように停止制御される。つまり、大当りになる確率は7/220≒3.2/100となる。次に、当り外れ決定用カウンタが「6」よりも大きな値であった場合にはS48に進み、当り外れ決定用カウンタが「21」以下であるか否かの判断がなされ、「21」以下である場合にはS50に進み、始動通過記憶カウンタの値に対応するデータ記憶エリアに中当りデータが記憶されてサブルーチンプログラムが終了する。
【0060】
つまり、始動通過時の当り外れ決定用カウンタの値が7〜21の範囲のものであった場合には、普通可変表示装置が中当りになるような識別情報の組合せ(たとえば33)で停止制御される。つまり、中当りになる確率は15/220≒6.8/100となる。一方、始動通過時の当りは外れ決定用カウンタの値が「21」よりも大きな値であった場合にはS54に進み、始動通過記憶カウンタの値に対応するデータ記憶エリアに外れデータが記憶されてサブルーチンプログラムが終了する。
【0061】
S47の「6」やS48の「21」の値を遊技場において変更設定(たとえば6段階に変更設定)できるようにし、当りが発生する確率を変更設定できるようにしてもよい。
【0062】
図7は、図3のS7で定義されたチューリップソレノイドコントロール処理のサブルーチンプログラムを示すフローチャートである。まずS51により、チューリップソレノイドタイマが終了したか否かの判断がなされ、既に終了している場合にはS53に進み、チューリップソレノイドをOFFに制御して普通可変入賞球装置を閉成状態すなわち第2の状態にしてサブルーチンプログラムが終了する。一方、前記S49により大当りデータが記憶されることにより、後述するように普通可変表示装置が大当りの識別情報の組合せ(たとえば77)で停止制御されるのであり、その大当りになる識別情報の組合せで停止制御されたことに基づいてチューリップソレノイドタイマが計時を開始し、比較的長い所定時間(たとえば6秒間)によりタイムアップする。
【0063】
そしてそのチューリップソレノイドタイマがタイムアップするまでの前記比較的長い所定時間(たとえば6秒間)の間S51によりNOの判断がなされ続け、S52により普通可変入賞球装置4(図1参照)がその間開成制御される。一方、前記S50により中当りデータが記憶されれば、普通可変表示装置が中当りになる識別情報の組合せ(たとえば33)で停止制御されることになるのであり、その中当りになる識別情報の組合せで停止制御されたことに基づいてチューリップソレノイドタイマが計時を開始し、比較的短い所定時間(たとえば3秒間)計時したことに基づいてタイムアップする。そのチューリップソレノイドタイマがタイムアップするまでの比較的短い所定時間の間S52によりチューリップソレノイドがONになり続け、普通可変入賞球装置4(図1参照)がその間開成制御される。
【0064】
図8ないし図11は、図3のS8により定義された特別図柄LEDコントロール処理のサブルーチンプログラムを示すフローチャートである。
【0065】
S55ないしS57によりそれぞれ、右図柄停止フラグがセットされているか否か、中図柄停止フラグがセットされているか否か、左図柄停止フラグがセットされているか否かの判断が行なわれ、すべての図柄停止フラグがセットされていない場合にS58に進む。前記左図柄停止フラグは後述するS71によりセットされS78によりクリアされ、中図柄停止フラグは後述するS78によりセットされS81によりクリアされ、右図柄停止フラグは後述するS81によりセットされS87によりクリアされる。次にS58では、大当りフラグがセットされているか否かの判断が行なわれる。この大当りフラグは、後述するS86によりセットされるものである。そして大当りフラグがセットされている場合にはそのままサブルーチンプログラムが終了するが、大当りフラグがセットされていない場合にはS59に進み、始動入賞記憶カウンタが「0」であるか否かの判断がなされ、「0」である場合にはそのままサブルーチンプログラムが終了するが、「0」でない場合にはS60に進む。
【0066】
S60では、外れインターバルタイマが終了しているか否かの判断がなされる。この外れインターバルタイマは、後述するS85によりセットされる0.6秒程度の短い時間を計時するタイマであり、可変表示装置の表示結果が外れの場合にその外れた事実を遊技者に視認させるために必要なものである。この外れインターバルタイマが終了していない場合にはそのままサブルーチンプログラムが終了するが、終了している場合にはS62に進み、データ記憶エリア(S38,S39参照)のエリア1のデータを呼出す処理がなされる。次にS63に進み、始動入賞記憶カウンタを1減算し、S64に進み、データ記憶エリアの記憶データをそっくりエリア4からエリア1の方向へ1つずつシフトさせる処理がなされる。
【0067】
たとえば今までデータ記憶エリアのエリア2に記憶されていた当り,外れデータがこのS64の処理がなされるとデータ記憶エリアのエリア1に記憶されることとなる。次にS65に進み、前記S62により呼出したデータが大当りのデータであるか否かの判断がなされ、大当りのデータであった場合にはS66に進み、当り図柄決定用カウンタの現在値に対応する大当り図柄(たとえば「0」の場合「777」,「1」の場合「666」,「2」の場合「888」,「3」の場合「678」,「4」の場合「876」)を今回の予定停止図柄として記憶する処理がなされてS71に進む。
【0068】
次に、呼出したデータが大当りでなかった場合にはS67に進み、停止図柄決定用カウンタの現在値が大当りに対応する値(たとえば「777」,「666」,「888」,「678」,「876」)か否かの判断がなされ、大当りに対応する値でない場合にはS68に進み、停止図柄決定用カウンタの現在値をそのまま今回の予定停止図柄として記憶する。しかし大当りに対応する値である場合には、現在値をそのまま今回の予定停止図柄として記憶すれば可変表示装置が大当りとなる図柄の組合せで停止してしまうためにそれを回避するべくS69に進み、停止図柄決定用カウンタの現在値の3桁目を+3した値を今回の予定停止図柄として記憶させてS71に進む。つまり、S69により強制的に右の図柄を「3」だけずらせて停止制御させるのである。
【0069】
そしてS71に進み、基本タイマがセットされて、左図柄停止フラグがセットされてサブルーチンプログラムが終了する。この基本タイマは、それぞれ図柄表示LEDを順番どおり停止させる際の最初の図柄表示LEDの停止までの基本時間を定めるものであり、たとえば5秒程度の時間がセットされる。
【0070】
この図8に示す図柄LEDコントロールサブルーチンプログラムの次回の実行に際しては、前記S71により左図柄停止フラグがセットされているために、S57によりYESの判断がなされて図9のS75に進む。S75では、左図柄LED変動処理,中図柄LED変動処理ならびに右図柄LED変動処理がなされて、S76に進む。S76では、前記基本タイマが終了しているか否かの判断がなされ、終了していない場合にはその図柄LEDコントロールサブルーチンプログラムがそのまま終了する。一方、基本タイマが終了している場合にはS77に進み、左図柄が予定停止図柄か否かの判断が行なわれる。そして、左図柄が予定停止図柄でなかった場合にはそのままサブルーチンプログラムが終了する。そしてこの図柄LEDコントロールサブルーチンプログラムが繰返し実行されてS77の判断が繰返し行なわれるのであり、その間に左図柄LEDが変動して左図柄が予定停止図柄となった場合にはS77によりYESの判断がなされてS78に進み、左図柄停止フラグがクリアされ、中図柄停止フラグがセットされてサブルーチンプログラムが終了する。
【0071】
次回の図柄LEDコントロールサブルーチンプログラムが実行されるに際し、前記S78により中図柄停止フラグがセットされているためにS56によりYESの判断がなされS79に進み、中図柄LEDの変動処理および右図柄LEDの変動処理が行なわれる。その結果、左図柄LEDの変動処理は行なわれないために左図柄は停止制御されることになる。S80では、中図柄が予定停止図柄か否かの判断が行なわれ、予定停止図柄でない場合にはそのままサブルーチンプログラムが終了し、予定停止図柄になった段階でS80によりYESの判断がなされ、S81に進み、中図柄停止フラグがクリアされ、右図柄停止フラグがセットされてサブルーチンプログラムが終了する。
【0072】
次回の図柄LEDコントロールサブルーチンプログラムが実行されるに際し、前記S81により右図柄停止フラグがセットされているために、S55によりYESの判断がなされ、S82に進む。S82では、右図柄LEDの変動処理が行なわれる。その結果、左図柄LEDと中図柄LEDの変動処理が行なわれないために、左図柄LEDと中図柄LEDは停止制御される。次にS83に進み、右図柄が予定停止図柄か否かの判断が行なわれ、予定停止図柄でない場合にはそのままサブルーチンプログラムが終了し、予定停止図柄になった段階でS83によりYESの判断がなされ、S84に進む。
【0073】
S84では、予定停止図柄が大当りであるか否かの判断がなされ、大当りでない場合にはS85に進み外れインターバルタイマがセットされ、大当りである場合にはS86に進み、大当りフラグがセットされるとともに大当りインターバルタイマがセットされる。大当りインターバルタイマは、特別可変表示装置の停止結果が大当りの図柄の組合せとなった後実際に特別可変入賞球装置が開成されるまでのインターバル時間を計時するためのものであり、たとえば4秒程度の時間がセットされる。この大当りのインターバル時間により、遊技者に期待感を持たせることができ大当りの興奮をより一層盛り上げることができる。次にS87に進み、右図柄停止フラグがクリアされた後にサブルーチンプログラムが終了する。
【0074】
図3のS9に示された普通図柄LEDコントロール処理のサブルーチンプログラムは、前述した特別図柄LEDコントロール処理のサブルーチンプログラムとほとんど同様であるためにここでは詳細な説明の繰返しを省略する。主な相違点といえば、普通可変表示器が2つしかないために停止フラグも右図柄停止フラグと左図柄停止フラグとの2つである。さらに、大当りフラグの他に中当りフラグがある。そして、前記S65以降に示したように、呼出したデータが大当りの場合には前述と同様の制御を行ない、呼出したデータが大当りでなかった場合には呼出したデータが中当りであるか否かの判断が行なわれ、中当りの場合には、中当りとなる値(たとえば33)を今回の予定停止図柄として記憶させる処理がなされる。そして呼出したデータが大当りでもなく中当りでもなかった場合には前述したS46以降と同様の処理が行なわれる。前記S30〜S39,S55〜S87により、前記普通入賞玉検出手段の検出出力に基づいて前記特別可変表示装置を可変表示する普通入賞対応型特別表示制御手段が構成されている。
【0075】
本発明では、所定の有価価値を特定可能な情報が記録されたカード等の記録媒体を用いて遊技が可能な弾球遊技機であってもよい。
【0076】
前記マイクロコンピュータ60,7セグLED駆動回路75により、前記普通始動領域に打玉が進入した場合に前記普通可変表示手段(普通可変表示装置2)の表示結果を導出表示させるための普通可変表示制御を行なうとともに、該普通可変表示手段の表示結果が所定の表示態様(たとえば77)となった場合に前記普通可変入賞球装置(普通可変入賞球装置4)を第1の状態に制御して前記特別始動入賞領域に打玉が進入しやすくし、該特別始動入賞領域に打玉が進入した場合に前記特別可変表示手段(特別可変表示装置1)の表示結果を導出表示するための可変表示制御を行なった後該特別可変表示手段の表示結果を導出表示させる制御手段が構成されている。
【0077】
【0078】
【0079】
前記制御手段は、プログラムに従って動作するマイクロコンピュータ(マイクロコンピュータ60)を有している。
【0080】
前記マイクロコンピュータは、前記プログラムを一通り実行する動作を一定時間毎(定期的「たとえば2msec毎」)に繰返すことにより、遊技制御を行なう(図3のメインルーチン)。
【0081】
前述したように、普通可変入賞球装置4は、前記普通可変表示手段(普通可変表示装置2)の表示結果が前記所定の表示態様にならない限り第1の状態にはならないように構成されている。
【0082】
また、大元の原出願(特願平2-216827号)の第30頁第12行〜第31頁第2行、第3A図にも記載されているように、前記プログラムは、前記マイクロコンピュータにより該プログラム中の前記一定時間内に処理されるステップ(S1〜S16)に含まれる命令の処理が終了してから前記プログラムの次の回の実行が開始されるまでの間(2msecから前記S1ないしS17までの処理時間を減算した残り時間)に処理される無限ループ(S17〜S23)を含んでいる。そして、前記当りはずれ決定用カウンタは、前記無限ループ以外のプログラム部分に設けられたステップ(S11)によりカウント動作を行なう。
S37、S38、S39により、前記特別可変表示手段の表示結果を前記特定の表示態様にするか否かを決定する特定表示態様決定手段が構成されている。該特定表示態様決定手段も、前記特定の表示態様にするか否かの決定に、前記無限ループ以外のプログラム部分に設けられたステップ(S11)によりカウント動作されたカウント値を用いる(S37)。
【0083】
【発明の効果】
請求項1に記載の本発明によれば、遊技者に特別可変入賞球装置が第1の状態になるかも知れないという期待感を持たせながら普通可変表示手段の可変表示の面白味と特別可変表示手段の可変表示の面白味とを提供でき、1つの可変表示手段しか有さない従来の弾球遊技機が提供し得る面白味の限界を打ち破り、斬新な遊技により新たな面白味を創出し得る弾球遊技機を提供し得るに至った。しかも、普通可変表示手段の表示結果が所定の表示態様にならない限り普通可変入賞球装置が第1の状態とはならず、普通可変表示手段の可変表示により遊技者の注目を集めた状態でその表示結果が所定の表示態様になることにより遊技者に普通可変入賞球装置が第1の状態となる条件が成立したことをより確実に認識させることができ、遊技者にとってわかりやすい遊技となる。
【0084】
さらに、特別可変表示手段の表示結果が特定の表示態様となった場合に特別可変入賞球装置が遊技者にとって有利な第1の状態に変化するタイプの弾球遊技機の場合には、特別可変表示手段の表示結果を導出表示させるための可変表示の開始条件である特別始動入賞領域への打玉の入賞率を適正な大きさに維持することが、遊技場にとって重要課題となっている。本発明の場合には、この特別始動入賞領域が、普通可変表示手段の表示結果が所定の表示態様にならない限り第1の状態にはならないように構成されており、その普通可変表示手段の表示結果を決定するのに用いられる当りはずれ決定用カウンタが、プログラムの無限ループ以外のプログラム部分に設けられたステップによりカウント動作を行なうために、ノイズ等による暴走等が原因で前記無限ループにまで制御が到達しなかった場合であっても、プログラムの途中ステップ部分でカウント動作が行なわれ、カウント動作が行なわれないまま同じカウント値を用いて普通可変表示手段の表示結果を決定することを極力防止することができる。その結果、設計通りの確率となるように前記普通可変表示手段の表示結果を導出表示しやすくなり、前記普通可変入賞球装置への打玉の入賞率も所望の大きさに維持しやすく、始動入賞率が高すぎる場合の遊技場の不利益の増大と始動入賞率が低過ぎる場合の遊技者へのサービスの低下による客離れの不都合を、極力防止できる。
【0085】
【0086】
【0087】
【0088】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る弾球遊技機の一例のパチンコ遊技機の遊技領域およびその遊技領域に設けられた各種装置を示す正面図である。
【図2】パチンコ遊技機に用いられる制御回路を示すブロック図である。
【図3】図2に示した制御回路の動作を説明するためのフローチャートである。
【図4】図2に示した制御回路の動作を説明するためのフローチャートである。
【図5】図2に示した制御回路の動作を説明するためのフローチャートである。
【図6】図2に示した制御回路の動作を説明するためのフローチャートである。
【図7】図2に示した制御回路の動作を説明するためのフローチャートである。
【図8】図2に示した制御回路の動作を説明するためのフローチャートである。
【図9】図2に示した制御回路の動作を説明するためのフローチャートである。
【図10】図2に示した制御回路の動作を説明するためのフローチャートである。
【図11】図2に示した制御回路の動作を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
7は普通始動入賞領域の一例の普通始動通過口、8は普通始動入賞玉検出手段の一例の始動通過玉検出器、2は普通可変表示装置、1は特別可変表示装置、4は普通可変入賞球装置、15はチューリップソレノイド、16はアタッカソレノイド、3は特別可変入賞球装置、52は特定入賞領域、12は特定入賞玉検出器、13は入賞個数検出器、60はマイクロコンピュータである。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2006-01-13 
出願番号 特願2000-206874(P2000-206874)
審決分類 P 1 651・ 534- YA (A63F)
P 1 651・ 531- YA (A63F)
P 1 651・ 121- YA (A63F)
P 1 651・ 161- YA (A63F)
最終処分 維持  
前審関与審査官 山崎 仁之▲吉▼川 康史  
特許庁審判長 二宮 千久
特許庁審判官 川島 陵司
渡部 葉子
登録日 2003-08-01 
登録番号 特許第3456955号(P3456955)
権利者 株式会社三共
発明の名称 弾球遊技機  
代理人 塚本 豊  
代理人 森田 俊雄  
代理人 塚本 豊  
代理人 深見 久郎  
代理人 深見 久郎  
代理人 森田 俊雄  
代理人 中田 雅彦  
代理人 中田 雅彦  

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