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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B42D
管理番号 1135101
審判番号 不服2003-9391  
総通号数 78 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1995-03-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-05-23 
確定日 2006-04-19 
事件の表示 平成 5年特許願第251079号「カード用紙」拒絶査定不服審判事件〔平成 7年 3月28日出願公開、特開平 7- 81277〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成5年9月14日の出願であって(以下、平成5年9月14日を「本願出願日」という。)、その出願からの主だった経緯を箇条書きにすると以下のとおりである。
・平成 5年 9月14日 本件出願
・平成13年 8月 3日付け 原審にて拒絶理由の通知
・平成13年10月29日付け 意見書・手続補正書の提出
・平成14年 5月24日付け 原審にて拒絶理由の通知
・平成14年 8月16日付け 意見書の提出
・平成15年 3月31日付け 原審にて拒絶査定の通知
・平成15年 5月23日 本件審判請求
・平成15年 6月23日付け 審判請求書に係る手続補正書及び明細書に 係る手続補正書の提出

第2 本願発明の認定
本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。
「シート状基材に、正規の特定所有者によって使用される真正な正カードを剥離可能に接合したフィルムを介して接着するとともに、前記特定所有者又は前記特定所有者に関連する所持者によって使用される適宜枚数の各種一般カードを剥離可能に接合したフィルムを介して接着したことを特徴とするカード用紙。」

第3 当審の判断
1.引用刊行物の記載事項
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願の日前である昭和59年4月9日に頒布された実願昭57-148792号(実開昭59-53977号公報)のマイクロフィルム(以下、「引用例」という。)には、次の事項が記載されている。
(1)「本考案は、クレジツトカード、キヤツシユカード、IDカード等のプラスチツクカード発行者が顧客へ郵送等の手段により送付するためのカード送付用連続帳票に関する。」(第1頁第15行目〜同頁第18行目参照。)
(2)「近年、クレジツトカード、キヤツシユカード、IDカード等のプラスチツクカード(以下「カード」という)が広く用いられるようになつた。」(第1頁第19行目〜同頁第21行目参照。)
(3)「本考案のカード送付用連続帳票1は、基材3の上に粘着剤5が塗布され更に該粘着剤5の上に剥離紙7が積層された単位帳票9が切離し用ミシン目11を介して多数連接し、両側端には移送用孔13が一定間隔で穿設されて構成されている。」(第3頁第19行目〜第4頁第3行目参照。)
(4)「単位帳票9は、切離し用ミシン目11と平行して刻設された折り畳み用ミシン目15を介してカード貼付片17と情報記録片19とが連接して構成されている。」(第4頁第4行目〜同頁第7行目参照。)
(5)「カード貼付片17の離型紙7には、カード貼付部形成用の切込み線21,23が刻設されている。該切込み線21,23はコの字状或いは逆コの字状を呈しており、各々連続帳票の端部にまで伸びている。従つて連続帳票の両側端をスリツタートンボ25の位置から切離すと、切込み線21,23に囲まれた離型紙の部分を完全に取去ることができる。」(第4頁第12行目〜同頁第19行目参照。)
(6)「更に本実施例では、2枚のカードを貼付して送付するための連続帳票を示しているので切込み線を2箇所に形成しているが、本考案はこれに限定されるものではなく、貼付すべきカードの枚数に応じて1箇所或いはそれ以上の箇所に切込み線を設けることもできる。」(第5頁第4行目〜同頁第9行目参照。)
(7)「カード貼付片17の切込み線21,23の下方を矢印Dの方向へ押下げて離型紙を剥離し、粘着剤5を露出させる。その部分へ第8図示の如く、カード31を押しあてて貼着させ、折り畳み用ミシン目15から矢印Eの如く折り畳んで二つ折りにする。最後に情報記録欄27が外部から見えるような窓孔を設けた封筒に上記二つ折りした単位帳票9を挿入し封緘して、送付する。」(第6頁第19行目〜第7頁第6行目参照。)

2.引用例記載の発明の認定
上記記載事項を含む引用例の全記載及び図示によれば、引用例には、下記の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「基材3の上に、粘着剤5、離型紙7を順次積層すると共に、複数のカード貼付部形成用の切込み線21、23に囲まれた離型紙の部分を取去って粘着剤5を露出させた部分に、クレジットカード、キャッシュカード、IDカード等のカードを複数枚数貼付させた単位帳票9。」

3.本願発明と引用発明との一致点及び相違点の認定
引用発明の「基材」及び「単位帳票9」はそれぞれ、本願発明の「シート状基材」及び「カード用紙」に相当する。
また、引用発明の「クレジットカード、キャッシュカード、IDカード等のカード」は「正規の特定所有者によって使用される真正な正カード」といえるから、本願発明と引用発明とは、正規の特定所有者によって使用される真正な正カードを含む複数枚数のカードを接着したカード用紙である点で共通している。
さらに、引用例には明示されていないが、引用発明においても「カード31」は「単位帳票9」(カード用紙)に剥離可能に接着されるものであることは明らかである。このことは、粘着剤の一般的意味(【粘着剤】接着剤の一。一時的な接着に用い、後で剥がすことができる。合成樹脂系・合成ゴム系などがある。(広辞苑第五版))からも裏付けられる。
したがって、本願発明と引用発明を対比すると、両者は、
「シート状基材に、正規の特定所有者によって使用される真正な正カードを含む複数枚数のカードを剥離可能に接着したカード用紙。」である点で一致し、以下の各点で相違する。
(1)相違点1
複数枚数のカードに、本願発明では特定所有者又は前記特定所有者に関連する所持者によって使用される適宜枚数の各種一般カード、要するに、適宜枚数の各種一般カードが含まれるのに対し、引用発明ではその点が定かでない点。
(2)相違点2
シート状基材とカード相互を剥離可能に接着するのに、本願発明では、剥離可能に接合したフィルムを介して接着させるのに対して、引用発明では離型紙を部分的に取去って粘着剤を露出させた部分によって接着させている点。

4.相違点についての判断
(1)相違点1について
引用例には正規の特定所有者によって使用される真正な正カードを含む複数枚数のカードを接着することが示されており、当該正カードと適宜枚数の各種一般カードを併せて接着することに格別阻害要因がないから、引用発明において相違点1に係る構成を備えるのは想到容易である。
(2)相違点2について
シート状基材に、カードを剥離可能に接合したフィルムを介して接着することは、本願出願日前に周知の技術(実願平1-36657号(実開平2-126878号)のマイクロフィルム、実願平1-36658号(実開平2-126879号)のマイクロフィルム及び特開平5-96885号公報)であるから(以下、「周知技術」という。)、本願発明は、引用発明に前記周知技術を適用し、カードに接合したフィルムを介して接着することにより、当業者が容易に想到し得るものである。

5.本願発明の進歩性の判断
上記各相違点に係る本願発明の特定事項を採用することは、当業者にとって容易に想到し得るものであり、これら発明特定事項を採用したことによる格別の作用効果を認めることができない。
したがって、本願発明は、引用発明及び上記周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

第4 むすび
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-01-10 
結審通知日 2006-01-31 
審決日 2006-02-13 
出願番号 特願平5-251079
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B42D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 平井 聡子  
特許庁審判長 番場 得造
特許庁審判官 藤本 義仁
藤井 靖子
発明の名称 カード用紙  
代理人 千葉 太一  

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