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審決分類 |
審判 査定不服 発明同一 取り消して特許、登録 B41M 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 B41M 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 B41M |
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管理番号 | 1135377 |
審判番号 | 不服2003-17580 |
総通号数 | 78 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1997-08-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2003-09-11 |
確定日 | 2006-05-16 |
事件の表示 | 平成 8年特許願第 28968号「インクジェット被記録材」拒絶査定不服審判事件〔平成 9年 8月26日出願公開、特開平 9-220852、請求項の数(1)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
(1)補正の却下の決定について 本願明細書について、平成15年3月17日付けと、平成15年7月24日付けの2つの手続補正書が提出されたが、これらの手続補正書による補正に対して、平成15年8月18日付けで平成15年改正前特許法第53条第1項の規定による補正の却下の決定がなされている。 このうち、平成15年3月17日付け手続補正書による補正は、同法第17条の2第1項第1号の場合においてした補正であり、所謂、最後の拒絶理由に対してしたものではない。 したがって、平成15年3月17日付けの手続補正書による補正に対する補正の却下の決定は、適法なものではないから、該決定は取り消すべきものである。 次に、平成15年7月24日付けの手続補正書による補正の内容について検討する。 該補正は、特許請求の範囲の記載を、「【請求項1】 ホログラム性を有する支持体上に、無機顔料と結着剤を含有する水性インク受容層を設けてなり、該水性インク受容層中の無機顔料と結着剤の含有比(無機顔料/結着剤)が重量比で1/1〜10/1であることを特徴とするインクジェット被記録材。 【請求項2】 該水性インク受容層のJIS K 71 05で規定される曇価が60以下であることを特徴とする請求項1記載のインクジェット被記録材。」と補正すると共に、【0009】段落の記載を当該補正後の特許請求の範囲の記載と整合させるべく補正するものである。 それに対して、補正の却下の決定の理由の趣旨は、願書に最初に添付された明細書中には、水性インク受容層中の無機顔料と結着剤の含有比(無機顔料/結着剤)を重量比で1/1〜10/1の範囲とする根拠が全く示されていないから、その旨を加える上記の補正は、新規事項の追加となるため、特許法第17条の2第3項の規定に違反するというものである。 この点について検討するに、願書に最初に添付された明細書には、水性インク受容層が無機顔料から形成されていること(請求項4)、無機顔料から形成されていることの態様として、各種の無機顔料を主成分とすること(段落【0020】)、無機顔料によってインク受容層を形成する場合に、インク受容層のひび割れを防止する目的で、各種のポリマー等の適切な結着剤を少量併用できること、およびそのために使用されるポリマー物質の例(段落【0021】)が記載されていることからすれば、上記水性インク受容層は、無機顔料と結着剤とを含有すること、それらは特定の含有比率で含まれるのではなく、ある範囲の連続性をもった比率にわたって含まれていることは明白である。 そして、その上で、実施例1、12ないし14には、無機顔料/結着剤の重量比が、1/1、7/1および10/1である塗液を塗布乾燥してインクジェット被記録材を作製した例が明示されているのであるから、上記水性インク受容層の無機顔料/結着剤の重量比が、1/1ないし10/1の範囲を含む連続したある範囲であることが推察される。 ところで、段落【0020】には、インク受容層の構成を「無機顔料を主成分とする」と明記しており、主成分とする以上は、無機顔料以外の成分が、多くとも50%を超えることは包含されないから、最大限の50%、すなわち、上記補正後の請求項1に係る発明における水性インク受容層の無機顔料/結着剤の重量比の一方の限界を1/1とする根拠は、実施例1に加えてこの記載からも認められる。 また、特許請求の範囲に規定された数値限定の範囲について、先行技術との重複を回避する目的で、明細書に記載された具体的数値をもって限界とすることで、減縮された新たな限定範囲とすることは、審査の運用上、許容されている事項である。本願においては、拒絶理由通知に示された引用文献9に、無機顔料/結着剤の比が15/1であるものが開示されており、それを回避するために、上記補正後の請求項1に係る発明における水性インク受容層の無機顔料/結着剤の重量比のもう一方の限界を10/1とすることにも、違法性はない。 したがって、平成15年7月24日付け手続補正書による補正は、願書に最初に添付された明細書に記載された事項の範囲内で明細書の記載を補正するものであるから、これを、新規事項の追加を理由に却下した原審の判断は妥当なものではない。 よって、平成15年7月24日付け手続補正書による補正に対する補正の却下の決定は、取り消すべきものである。 (2)本願について 本願は、平成 8年 2月16日の出願であって、その請求項1に係る発明は、平成15年3月17日付け手続補正書、平成15年7月24日付け手続補正書及び平成18年4月10日付け手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものであると認める。 そして、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2006-04-28 |
出願番号 | 特願平8-28968 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(B41M)
P 1 8・ 161- WY (B41M) P 1 8・ 113- WY (B41M) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 赤木 啓二 |
特許庁審判長 |
岡田 和加子 |
特許庁審判官 |
阿久津 弘 山口 由木 |
発明の名称 | インクジェット被記録材 |