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審決分類 審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 F24F
管理番号 1135407
審判番号 不服2003-8558  
総通号数 78 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2000-08-15 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-05-15 
確定日 2006-04-13 
事件の表示 平成11年特許願第 60580号「超音波振動力利用珊瑚セラミックの機能生理活性負イオン空気発生装置」拒絶査定不服審判事件〔平成12年 8月15日出願公開、特開2000-227239〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成11年2月2日に特許出願され、平成14年3月20日付けで通知された拒絶理由通知に対して、平成14年5月13日付けで手続補正がされたところ、「平成14年5月13日付けでした手続補正は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。」旨を理由とした最後の拒絶理由通知が平成14年6月13日付けでなされ、この通知に対して平成14年7月10日付けで手続補正がされたが、最後の拒絶理由通知書で示した拒絶の理由により平成15年4月10日付けで拒絶の査定がなされ、審判請求人はこの拒絶の査定を不服として、平成15年5月15日に審判請求したものである。
なお、平成14年7月3日付けの手続補正書に係る手続きは平成14年8月21日付けで手続却下の処分がなされた。

2.原査定の理由
原査定の拒絶の理由の概要は、次のとおりである。
平成14年5月13日付けでした手続補正は、下記の点で願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。

本願の請求項1乃至3及び発明の詳細な説明の段落0010には、「脱着水容器内で上記の珊瑚セラミックにその脱着水容器内の水につながる全ての水や器具を通じて超音波発振器の振動力を与え水と反応させアルカリイオン水の作成を増進させ」と記載されており、段落0031には「この測定によるイオン発生のデーターは、以下に述べるごとくに驚くほどに良好なものである。それは、上記のごとくに、まずその第1にそのイオン発生に使用した風化珊瑚粉を焼成して造成した珊瑚セラミック1aを使用したことにある。そして、その第2には、その脱着水容器2内で上記の珊瑚セラミック1aにその脱着水容器2内の水Wにつながる全ての水Wや器具を通じて上記の超音波発振器3の振動力を与え、上記の珊瑚セラミック1aの水Wへの反応を活発化させて大量のアルカリイオン水を作るようになっているためである。」と記載されているが、出願当初の明細書又は図面にはそのようなことは記載されておらず、当該補正は出願当初の明細書又は図面に記載した事項から直接的かつ一義的に導き出せたものではない。
そして、原査定は、平成14年7月10日付けで提出された手続補正書による補正を検討しても、先の最後の拒絶理由通知書で示した拒絶の理由が依然として解消されていないと判断したものである。

3. 当審の判断
平成14年6月13日付けの最後の拒絶理由通知で指摘された記載は、平成14年7月10日付けで提出された手続補正書では下記のアないしエの記載に補正された。
ア.「脱着水容器内の珊瑚セラミックに反応する水につながっている水(すなわち同一水域内の水、以下同じ)に上記の超音波発振器の振動力を与え」(請求項1の記載中)
イ.「脱着水容器内の珊瑚セラミックに反応する水につながっている水に上記の超音波発振器の振動力を与え」(請求項2及び3の記載中)
ウ.「脱着水容器内の珊瑚セラミックに反応する水につながっている水に超音波振動器の振動力を与え」(段落0010の記載中)
エ.「この測定によるイオン発生のデーターは、以下に述べるごとくに格段に良好なものである。これについては、この技術分野においての従来技術にはない上記のごとくの技術的構成要件を強調する。まず、その第1にそのイオン発生に使用した風化珊瑚粉を焼成して造成した珊瑚セラミック1aを使用したことにある。そして、その第2には、その脱着水容器2内の珊瑚セラミック1aに反応される水Wにつながっている水Wに上記の超音波発振器3の振動力を与えるようになっていることである。」(段落0031の記載中)

これに対し、本願の願書に最初に添付した明細書又は図面(以下「本願当初明細書」という。)において、超音波発信器の振動力を与えることに関連すると認められる記載は、次のaないしfに摘示する記載である。
a.「脱着水容器内で上記の珊瑚セラミックを水と反応させ作られたアルカリイオン水に超音波発振器の振動力を与える超音波発振器」(請求項1ないし3の記載中)
b.「該超音波発振器により放出された負イオン空気(アルカリイオン化した水分子を含んだ空気)」(請求項2の記載中)
c.「焼成風化珊瑚粉でアルカリイオン化した水を超音波振動力で分裂し、機能生理活性負イオン空気を発生させる装置に関するものである。」(段落0001の記載中)
d.「風化珊瑚粉を焼成して造成した珊瑚セラミックを水と反応させ、超音波発振器の振動力により、微細水滴化の機能生理活性負イオン空気を特徴として発生させる装置とした。そして、その請求項2においては、超音波振動と風力で、アルカリイオン水を分裂させ、機能生理活性負イオン空気を特徴として発生させる装置としたものである。」(段落0009の記載中)
e.「このアルカリイオン化した水Wは、除菌用銀膜珊瑚セラミックカートリッジ4を有する水流通路5を通じてイオン空気室Hの底部に送られる。さらに、超音波発振器6がある。この超音波発振器6は、上記の脱着水容器2内で上記の珊瑚セラミッタ(審決注:「セラミック」の誤記と認める。)1aを水Wと反応させ作られたアルカリイオン水にその振動力を与えるものである。」(段落0029の記載中)
f.「かようにして、この機能生理活性負イオン空気の発生装置は、珊瑚セラミックカトリッジ1を装着した脱着式容器2と、開閉が可能であるスプリング式水流入口3と、除菌性の銀膜珊瑚セラミックカートリッジ4と、振動力を与える超音波発振器6(1.6〜2.8MHz)と、超音波振動力により分裂した水分子を回転送風するファン7から成る。」(段落0030の記載中)

上記aないしfの記載によれば、本願当初明細書が開示する発明は、脱着水容器内で水が珊瑚セラミックと反応してアルカリイオン水が作られ、このアルカリイオン水に超音波発振器が振動を与えることにより、アルカリイオン水を分裂し、負イオン空気を発生させるものと認められる。また、上記e及びfの記載並びに図2が図示するところによれば、珊瑚セラミックカトリッジ1を装着した脱着水容器2は、開閉が可能であるスプリング式水流入口3と除菌用銀膜珊瑚セラミックカートリッジ4を有する水流通路5を介して、底部に超音波発振器が設置されたイオン空気室Hに連結されているものである。
これに対し、平成14年7月10日付けの手続補正書により補正された上記アないしエの記載、特にアの記載は、脱着水容器内の珊瑚セラミックに反応する水につながっている水、すなわち脱着水容器内の珊瑚セラミックに反応する水と同一水域内の水に超音波発振器の振動力を与えるものであって、同一水域内の水である以上、超音波発振器からの振動力は、脱着水容器内の水にも波及して該容器内において負イオンを発生させる場合を含める補正である。
そうすると、本願当初明細書の特に図2が図示するところによれば、水流通路内の水が脱着水容器内の水につながっているように見えなくもないが、開閉するスプリング式水流入口を介するものであって、該水流入口が閉じている状態でも、イオン空気室内にアルカリイオン水が存在すれば、超音波発振器からの振動力により負イオン空気を発生させるという本願発明の作用効果を奏するものと認められるから、本願当初明細書には、脱着水容器内の珊瑚セラミックに反応する水につながっている水、すなわち、脱着水容器内の水と同一水域内の水が記載も示唆もされていないし(スプリング式水流入口を介する以上、水流通路内の水を脱着水容器内の水と同一水域内の水とみることはできない。)、まして、上記した超音波発振器からの振動力が脱着水容器内の水にも波及して該容器内において負イオンを発生させるような場合の記載も示唆もない。

4. むすび
したがって、平成14年7月10日付けで提出された手続補正書による補正は、本願当初明細書に記載した事項の範囲内でなされた補正であるとは認められないので、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2004-12-13 
結審通知日 2004-12-21 
審決日 2005-01-05 
出願番号 特願平11-60580
審決分類 P 1 8・ 561- Z (F24F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 青木 良憲近藤 裕之  
特許庁審判長 橋本 康重
特許庁審判官 岡本 昌直
井上 哲男
発明の名称 超音波振動力利用珊瑚セラミックの機能生理活性負イオン空気発生装置  
代理人 宮本 隆司  

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