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審決分類 |
審判 全部無効 2項進歩性 A41G |
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管理番号 | 1136994 |
審判番号 | 無効2005-80188 |
総通号数 | 79 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1994-03-01 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2005-06-21 |
確定日 | 2006-02-06 |
事件の表示 | 上記当事者間の特許第2053754号発明「日本髪かつらとそれに装着する中差し及び笄ユニット」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 特許第2053754号の請求項1ないし8に係る発明についての特許を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 1.本件特許第2053754号の特許請求の範囲の請求項1ないし8に係る発明(以下、それぞれ「本件特許発明1ないし8」という。)は、平成4年8月11日に特許出願(特願平4-214357号)され、平成8年5月23日に特許権の設定登録がなされた。 2.これに対し、平成17年6月21日に、有限会社 アルタック(以下、「請求人」という。)により本件特許発明の特許を無効にすることについて審判請求がなされた。 3.その後、同年7月8日に、審判請求書の副本が、特許権者である被請求人 株式会社ファニー(以下、「被請求人」という。)に送達され、同年9月2日に被請求人より答弁書が提出された。 4.請求人、被請求人に、口頭審理陳述要領書の提出を求めたところ、平成17年11月4日に、請求人、被請求人双方から口頭審理陳述要領書が提出され、口頭審理期日である同年11月11日に口頭審理が実施された。 第2 請求人の主張 請求人は、「本件特許第2053754号の特許を無効にする。審判費用は被請求人の負担にする。」との審決を求め、その無効とする理由として、概略、次のように主張している。 本件特許発明1ないし8は、いずれも本件特許出願前に頒布された刊行物である、甲第1号証、甲第28号証ないし甲第35号証、甲第38号証ないし甲第43号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、あるいは、甲第3号証ないし甲第27号証、甲第36号証、甲第37号証により、本件特許出願前に日本国内において公然知られた発明、公然実施された発明であることが明らかな発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項に違反して特許されたものである。 したがって、本件特許発明1ないし8の特許は、いずれも特許法第123条第1項第2号の規定により無効とされるべきものである。 〈証拠方法〉 (1)甲第1号証 「美容技術」 1974年10月号 通巻175号 (2)甲第2号証 「国立国会図書館収蔵図書館資料に関する証明書」 (3)甲第3号証 製造番号等を確認できる被請求人の製造に係る日本髪かつらを撮影した写真資料 (4)甲第4号証 谷仲和子氏による、本件特許出願前に甲第3号証に係る日本髪かつらを譲り受けていた旨の陳述書 (5)甲第5号証 渡辺キヨ氏と谷仲和子氏とによる、本件特許の出願前に甲第3号証と同様の日本髪かつらのレンタルを受け使用していた旨の陳述書 (6)甲第6号証 窪田忠一氏による、被請求人が本件特許の出願前から写真資料に示す日本髪かつを製造、販売等を行っていたことの証明書 (7)甲第7号証 窪田忠一氏(有限会社仙寿閣)から請求人に甲第6号証の写真資料に係る日本髪かつらが納品されたことを示す納品書 (8)甲第8号証 熊倉智正氏による、被請求人が本件特許の出願前から写真資料に示す日本髪かつを製造、販売等を行っていたことの陳述書 (9)甲第9号証 「ANA CARGO」1991年7月号 No.14 (10)甲第10号証 野老晴海氏による、雑誌「ANA CARGO」に特集された日本髪かつらの構造についての陳述書 (11)甲第11号証 元コスモファニー株式会社従業員の千葉ひとみ氏による、図示の日本髪かつらが出願前から実施されていた旨の陳述書 (12)甲第12号証 元被請求人従業員の腰塚洋子氏による、図示の日本髪かつらが出願前から実施されていた旨の陳述書 (13)甲第13号証 元被請求人従業員の松本直行氏による、図示の日本髪かつらが出願前から実施されていた旨の陳述書 (14)甲第14号証 元被請求人従業員の斉藤トミ氏による、図示の日本髪かつらが出願前から実施されていた旨の陳述書 (15)甲第15号証 元被請求人従業員の折山茂子氏による、図示の日本髪かつらが出願前から実施されていた旨の陳述書 (16)甲第16号証 元コスモファニー株式会社従業員の川俣一美氏による、図示の日本髪かつらが出願前から実施されていた旨の陳述書 (17)甲第17号証 元被請求人従業員の西出栄子氏による、図示の日本髪かつらが出願前から実施されていた旨の陳述書 (18)甲第18号証 元被請求人従業員の津久井洋一氏による、図示の日本髪かつらが出願前から実施されていた旨の陳述書 (19)甲第19号証 元被請求人従業員の小林早苗氏による、図示の日本髪かつらが出願前から実施されていた旨の陳述書 (20)甲第20号証 元被請求人従業員の花島澄男氏による、図示の日本髪かつらが出願前から実施されていた旨の陳述書 (21)甲第21号証 佐竹美容室で花嫁の美容業に従事していた佐竹裕子氏による、構成要件「髷を支える根掛けの前側に、台金に固定される支持部材を介して備えられる中差し係止部材を設けた」点(以下、審判請求書の記載に即して「構成要件B”」という。)を備えた日本髪かつらが出願前から実施されていた旨の陳述書 (22)甲第22号証 長野厚生年金会館の美容室で花嫁の美容業に従事していた中村信子氏による、構成要件B”を備えた日本髪かつらが出願前から実施されていた旨の陳述書 (23)甲第23号証 サロンド絵里奈美容室で花嫁の美容業に従事していた高宮麗子氏による、構成要件B”を備えた日本髪かつらが出願前から実施されていた旨の陳述書 (24)甲第24号証 群馬厚生年金会館の美容部門で花嫁の美容業に従事していた小山桂子氏による、構成要件B”を備えた日本髪かつらが出願前から実施されていた旨の陳述書 (25)甲第25号証 群馬厚生年金会館の美容部門で花嫁の美容業に従事していた後藤三千代氏による、構成要件B”を備えた日本髪かつらが出願前から実施されていた旨の陳述書 (26)甲第26号証 結婚式場セレス西日暮里より花嫁美容の委託を受けていた佐竹房子氏による、構成要件B”を備えた日本髪かつらが出願前から実施されていた旨の陳述書 (27)甲第27号証 有限会社ビューティーサタケ美容室で花嫁の美容業に従事していた久下幸子氏による、構成要件B”を備えた日本髪かつらが出願前から実施されていた旨の陳述書 (28)甲第28号証 実開昭50-78487号全文明細書 (29)甲第29号証 特開昭50-85455号全文明細書 (30)甲第30号証 特開昭50-89165号全文明細書 (31)甲第31号証 実開昭50-84287号全文明細書 (32)甲第32号証 実開昭60-33901号全文明細書 (33)甲第33号証 「百日草のはなよめ」1989年7月号通巻163号 (34)甲第34号証 実開平2-98802号全文明細書 (35)甲第35号証 「美容技術」 1989年9月号 通巻354号 (36)甲第36号証 有限会社和工芸が本件特許の出願前に甲第34号証に係る中差し係止部材を株式会社川村かつら店に販売していたことを示す証明書 (37)甲第37号証 株式会社川村かつら店が本件特許の出願前に甲第34号証に係る中差し係止部材を有限会社和工芸から仕入れ、販売していたことを示す証明書 (38)甲第38号証 実開平3-50017号全文明細書 (39)甲第39号証 実開昭58-91303号全文明細書 (40)甲第40号証 実開昭58-68202号全文明細書 (41)甲第41号証 実開昭59-19004号全文明細書 (42)甲第42号証 実開昭61-54701号全文明細書 (43)甲第43号証 実開昭51-70697号全文明細書 なお、審判請求書第65頁の「8.証拠方法」(43)には、甲第43号証として、「実開昭50-70697号全文明細書」と記載されているが、添附された甲第43号証の記載からみて、この記載は、「実開昭51-70697号全文明細書」の誤りであることは明らかである。 また、今後、例えば、上記の「実開昭51-70697号全文明細書」を「実願昭49-143237号(実開昭51-70697号)のマイクロフィルム」のように読み替えるものとする。 第3 被請求人の主張 これに対して、被請求人は、「本件審判請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求め、請求人が主張する無効理由に対して、答弁書、口頭審理陳述要領書において、概略、次のように反論している。 1.甲第3号証ないし甲第8号証、甲第10号証ないし甲第27号証について 甲第3号証ないし甲第8号証、甲第10号証ないし甲第27号証は、いずれも、作成された時点あるいは図示された日本髪かつらの製造時点が不明であるか、あるいは証拠自体、信憑性に欠くものであるから、証拠としての信用性は極めて疑わしいものである。 2.本件特許発明1について (1)請求人の主張は、要するに、請求項1の発明の構成要件A、B、Cは、甲第1号証ないし甲第38号証のそれぞれに開示される構成要件A’、B’、C’、あるいは、構成要件A’、B”、C”と略一致するので、甲第1号証ないし甲第38号証に記載された発明に基づいて容易に想到できるとする(審判請求書57頁)ものと思われる。 (2)まず、上記請求人の主張のうち、甲第1号証ないし甲第38号証のそれぞれに開示される構成要件A’、B’、C’と略一致するので、甲第1号証ないし甲第38号証に記載された発明に基づいて容易に想到できるとする点は、失当である。 すなわち、請求人の分説に基づけば、請求項1の構成要件Bは、「前記髷を支える根掛の前側に前記台金に固定された中差し係止部材を設けた」であるが、請求人が主張している構成要件B’は「前記髷を支える根掛の前側に固定された中差し係止部材を設けた」というものであり、両者を対比すると、「台金に固定された」という点において相違しており、この相違点についてはなんら証拠が提出されていない。 (3)次に、上記請求人の主張のうち、甲第1号証ないし甲第38号証のそれぞれに開示される構成要件A’、B”、C”と略一致するので、甲第1号証ないし甲第38号証に記載された発明に基づいて容易に想到できるとする点は、そもそも、請求人の主張する構成要件B’「前記髷を支える根掛の前側に、台金に固定される支持部材を介して備えられる中差し係止部材を設けた」については、甲第1号証ないし甲第38号証に記載されていないので、失当である。 3.本件特許発明2ないし本件特許発明4について 本件特許発明1との相違点に加え、甲第1号証発明には、「中差しはめ込み部材」の材質、性質については何ら特定されていない。 さらに、「剛性の高い支持部材」に相当する部材は、甲第34号証にも、他の証拠にも、なんらの記載も示唆もされていない。 4.本件特許発明5、本件特許発明6について 甲第41号証に開示されているこうがい棒11は長手方向に3分割されたものであり、中央の分割体11aが「中差しはめ込み部材」に相当する機能を有し、この分割体11aに差し込む両端の分割体11bに飾り部材を固定するものである。 また、甲第42号証と甲第43号証に開示されている中差し本体に相当する笄本体11あるいは柄部1は右半部と左半部に二分されたものではない。 これに対して、本件特許発明5、6のような構成とすることで、日本髪かつらに装着する際に左右から「中差し係止部材」に係止させるだけでよくなり、中差しの装着が容易で短時間で行うことができる。 また、甲第43号証における筒状基体3内の板バネ5は、柄部1とその両端部に嵌合させる筒状基体3との嵌合部に介在されるものであり、本件特許発明6のように中差し本体の右半部と左半部との嵌合部に介在されるものではないし、甲第41号証及び甲第42号証にも、同「バネ性を有する部材」に相当するような部材は記載されていない。 したがって、仮に認定された甲第1号証の発明を前提としても、本件特許発明5、6の構成は甲第40号証ないし甲第43号証に記載の発明に基づいて当業者が容易に想到し得るものではない。 5.本件特許発明7、本件特許発明8について 中差しと一対の後差しを組み合わせた笄ユニットに相当するものは、甲第34号証、甲第40号証ないし甲第43号証のいずれにも記載も示唆もされていない。 甲第34号証における「取付本体1」は本差しかんざし35と後差しかんざし36とを保持できるが、単なる保持部材であって、中差しと一対の後差しを組み合わせた笄ユニットではないし、中差し本体の右半部と左半部にそれぞれ後差しを一体に取り付けたものでもない。 また、甲第34号証における後差しかんざし36は、筒状の後差保持部20,21に伸縮あるいは回動可能に保持されるかもしれないが、後差し自体が伸縮又は相対回転可能に結合された少なくとも2つの部分からなるものではない。 しかも、中差し本体の右半部と左半部にそれぞれ一体に取り付けられてもいない。 したがって、仮に認定された甲第1号証の発明を前提としても、本件特許発明7、8の構成は甲第34号証、甲第40号証ないし甲第43号証に記載の発明に基づいて当業者が容易に想到し得るものではない。 第4 当審の判断 1.本件特許発明 本件特許発明1ないし8は、特許権の設定登録時の明細書及び図面(以下、「本件明細書」という。)の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし8に記載された、次のとおりのものと認められる。 「【請求項1】 台金に前髪,びん,髱,髷を取付けてなる日本髪かつらにおいて、前記髷を支える根掛の前側に前記台金に固定された中差し係止部材を設けたことを特徴とする日本髪かつら。 【請求項2】 請求項1記載の日本髪かつらにおいて、前記中差し係止部材が、前記台金に固定される剛性の高い支持部材に支持され、若干可撓性を有する材料によって中差しの一部を嵌入させる形状に形成されていることを特徴とする日本髪かつら。 【請求項3】 請求項1又は2記載の日本髪かつらに装着する中差しであって、両端部付近に飾り部材を取り付ける棒状あるいはパイプ状の中差し本体の長手方向の略中央部に、前記中差し係止部材と係合して該中差しを前記かつらに保持させる係合部材を設けたことを特徴とする中差し。 【請求項4】 請求項3記載の中差しにおいて、前記係合部材がバネ性を有し、前記係止部材を前記中差し本体との間に挾持するクリップ片であることを特徴とする中差し。 【請求項5】 請求項3又は4記載の中差しにおいて、前記中差し本体がその長手方向の中間部で2分されて着脱自在に嵌合する右半部と左半部とからなり、その少くとも一方に前記係合部材を有し、この右半部と左半部にそれぞれ前記飾り部材を固定してなることを特徴とする中差し。 【請求項6】 請求項5記載の中差しにおいて、前記中差し本体の右半部と左半部との嵌合部にバネ性を有する部材を介在させたことを特徴とする中差し。 【請求項7】 請求項5又は6記載の中差しと一対の後差しとを組み合わせた笄ユニットであって、前記中差し本体の右半部と左半部にそれぞれ後差しを一体に取り付けてなることを特徴とする笄ユニット。 【請求項8】 請求項7記載の笄ユニットにおいて、前記一対の後差しが、それぞれ伸縮又は相対回動可能に結合された少くとも2つの部分からなることを特徴とする笄ユニット。」 2.各甲号証に記載された発明 成立に争いのない甲第1号証、甲第34号証、甲第40号証、甲第41号証及び甲第43号証には、それぞれ次のような発明が記載されているものと認められる。 (1)甲第1号証に記載された発明 甲第1号証である「美容技術」(1974年10月号 通巻175号)には、図面とともに次の事項が記載されている。 (a)第4枚目下段の「髱、前髪、髷の取付け方」の欄 (a-1)髱金が台金に固定してあること。 (a-2)両鬢、前髪をネジで止めること。 (a-3)髷を台金の中からネジで止めること。 (b)第5枚目中段の「附属品の取付け場所」の欄の図 髷により形成される空間内において、中差をはめ込むこと。 本件明細書段落【0002】に記載された従来技術、甲第28号証ないし甲第35号証、及び甲第38号証ないし甲第43号証等を総合的に勘案すると、甲第1号証に記載された日本髪かつらも、台金に前髪,びん、髱、髷を取付けたものといえ、髷を構成する部品のうち、請求人が、第5枚目中段の「附属品の取付け場所」の欄の図に「根掛」と図示した部分は、その構造からみて、髷を支持するものであり、請求人の図示どおり根掛と称することができ、台金の中からネジに止められる部分ということができる。 甲第1号証には、中差しをどのようにはめ込むかについて、具体的に記載されていないが、第5枚目中段の「附属品の取付け場所」の欄の図、さらには、通常の技術常識に照らして、髷により形成される空間内において、根掛の前側に位置するように中差をはめ込み、これを支持するなんらかの部材(以下、「中差しはめ込み部材」という。)が設けられていることは明白である。 以上を総合すると、甲第1号証には、次のような発明(以下、甲第1号証発明」という。)が記載されているものと認められる。 「台金に前髪,びん,髱,髷を取付けてなる日本髪かつらにおいて、 前記髷を支える根掛の前側に、中差しはめ込み部材を配置した日本髪かつら。」 (2)甲第34号証に記載された発明 甲第34号証である実願平1-5013号(実開平2-98802号)のマイクロフィルムには、簡易かんざし取付装置に関して、図面とともに次の事項が記載されている。 (a)「本考案の構成は、凹状に設けた薄板材の中央に開口部を有した取付本体の後部に設けた連結部を上方に折曲げ、連結部に連続する後部片をU字状に折返した折返片と、前記連結部の両側に位置して後部片に連続して設けた一対の下部片とで弾力性を有したU字状の本差保持部を設け、柔軟で偏平な保持筒を有した左右対称形の後差保持部を取付本体の前部両側に枢動可能に取付け、たぼ部取付用のゴム紐を取付本体に具えることを特徴とするものである。」(明細書第3頁5〜14行) (b)「取付本体1は、断面が略円形な日本髪のたぼ部32の上側に取付け易くするため、断面を湾曲させたり(第2図)、又は取付本体の両側を下方に折曲げて全体を凹状に形成し、たぼ部32の上面に載置してゴム紐25でたぼ部32を環回して取り付ける。・・・(中略)・・・ 12、13は左右対称形に略L字型に形成した可動片で、先端に設けた孔15と取付本体1の各小孔3とを合致させて止ピン16で枢動可能に止着し、さらに各可動片12、13には夫々U字状切込みを形成して設けた複数の止部片18に、柔軟材からなる扁平な保持筒19をそれぞれ固着して、後差保持部20、21を形成する。 22は、取付本体1に設けた掛止片4と掛止する掛止孔23を有した止片で、取付本体1の穴5と掛止片22に設けた取付穴24とをゴム紐25と連結してある。 図中、30は文金高島田などの日本髪かつらで、本結を巻回して形成したたぼ部32の上方に空間34を有している。」(明細書第5頁1行〜第6頁3行) (c)「ついで、両端に装飾片37を有した本差35を日本髪かつら30の空間34内に挿通し、該本差35の中間部分を本差保持部10の入口部10aから圧入して取付ける。この場合、取付本体1の中央に開口部2を有しているためたぼ部(32)に開口部が掛止し、取付本体1がずれたり移動したりすることなく安定して取付けることができる。 ・・・(中略)・・・ また、止ピン16を支点にして後差保持部20、21を第6図矢印方向に枢動させることにより、日本髪かつら30を頭に付けた女性の顔の形や大きさ等に応じて後差36の取付角度、すなわちたぼ部32の両側に丁度よい角度に任意に調整できる。 本差35や後差36は日本髪に直接差し込まないため、かつらを何回使用しても髪を崩したり乱したりすることがなく、美容師はかんざしを別なものに取り替えたりして技量を十分に発揮することができるものである。 」 (明細書第6頁下から2行〜第8頁1行) 以上の記載及び図面を総合すると、甲第34号証には、次のような発明が記載されているものと認められる。 「本結を巻回して形成されたたぼ部(32)に、弾力性を有する材料により、本差(35)の一部を圧入させるU字状に形成された本差保持部(10)を取り付けた日本髪かつら。」(以下、「甲第34号証発明A」という。)、及び 「取付本体(1)に、本差保持部(10)と、左右にそれぞれ枢動可能な後差保持部(20,21)とを設けた簡易かんざし取付装置。」(以下、「甲第34号証発明B」という。) (3)甲第40号証に記載された発明 甲第40号証である実願昭56-161800号(実開昭58-68202号)のマイクロフィルムには、図面とともに次の事項が記載されている。 (a)「一方にくつべら状の髪支え(1)と長方形の差込孔を有する筒L字型板(2)を介して、一体成形した止め板と、一面に支えばね(4)をねじ(5)(5’)にて固定した中差し(3)とを組合せて使用する事を特徴とする笄止め。」(明細書第1頁5〜9行) (b)特に第三図、第四図を参照すると、支えばね(4)が中差し(3)の長手方向略中央部に設けられていることが確認できる。 以上の記載及び図面を総合すると、甲第40号証には、次のような発明(以下、「甲第40号証発明」という。)が記載されているものと認められる。 「中差(3)の長手方向略中央部に中差しを支える支えばね(4)を設けた笄止め。」 (4)甲第41号証に記載された発明 甲第41号証である実願昭57-115925号(実開昭59-19004号)のマイクロフィルムには、図面とともに次の事項が記載されている。 (a)「1.こうがい棒とこれに付属するアクセサリーとから成り、そのこうがい棒を髪に差込み使用可能な複数の分割体から着脱自在に接続一体化したことを特徴とする日本髪かつら用のこうがい。 2.こうがい棒を中央と左右一対の3分割体から形作り、その中央分割体には前方向へ、同じく左右一対の両分割体には横方向へ各々突出する差込みピンを設けたことを特徴とする実用新案登録請求の範囲・第1項記載の日本髪かつら用のこうがい。 3.こうがい棒の分割体にアクセサリーを一体形成するか、又は別体のアクセサリーを固着するか若しくは着脱自在に取付けたことを特徴とする実用新案登録請求の範囲・第1項又は第2項記載の日本髪かつら用のこうがい。」(明細書第1頁5〜19行) (b)「又、髪への取付け固定に当つても、その接続状態又は分解状態の如何を問わず、差込ピン(14)(17)によつてこうがい棒(11)を常に差込むのみで足るため、既に結い上げられたまげ部(3)などを形崩れさせたり、不安定化させるおそれがなく、しかも熟練を要さずに誰れもが所謂ワンタツチ操作のもとで、確実に且つ自由自在に取付け固定することができる。」(明細書第8頁15行〜第9頁2行) 以上の記載及び図面を総合すると、甲第41号証には、次のような発明(以下、「甲第41号証発明」という。)が記載されているものと認められる。 「笄棒(11)を、髪に差込み使用可能な複数の分割体を着脱自在に接続して一体化するとともに、笄棒(11)にアクセサリーを取り付けた日本髪かつら用の笄。」 (5)甲第43号証に記載された発明 甲第43号証である実願昭49-143237号(実開昭51-70697号)のマイクロフィルムには、図面とともに次の事項が記載されている。 (a)「柄部1の両端に対し着脱自在に嵌合する飾り4,4付筒状基体3,3の内部に、上向き弧状を呈する板バネ5,5を、該筒状基体3,3の開口側端部寄り下面に対しその一端を固定する如く成して収装した事を特徴とする髪飾り用中差し。」(明細書第1頁5〜10行) (b)「本案は以上の様な構成を有するものであって、本案品の装着に際しては、柄部1のみを人体髪に対し差込み、又は、柄部1に対し髪を巻回する事に依つて、該柄部1を髪の所定位置に安定させる。然る後、柄部1の両端に形成する膨大部2,2に対し、飾り4,4具有の筒状基体3,3を嵌着すれば、該筒状基体3,3は板バネ5,5の圧接力に基き確固たる安定状態に保持される事となる。」(明細書第3頁16行〜第4頁4行) 以上の記載及び図面を総合すると、甲第43号証には、次のような発明(以下、「甲第43号証発明」という。)が記載されているものと認められる。 「柄部(1)の両端に対し着脱自在に嵌合する飾り(4、4)付筒状基体(3、3)の内部に、上向き弧状の板バネ(5、5)を該筒状基体(3、3)の開口側端部寄り下面に対して、その一端を固定するように収装した髪飾り用中差し。」 3.本件特許発明1ないし8と各甲号証発明との対比 そこで、本件特許発明1ないし8と各甲号証発明とを対比する。 (1)本件特許発明1について 本件特許発明1と甲第1号証発明とを対比すると、甲第1号証発明の「中差しはめ込み部材」は、その機能からみて、本件特許発明1の「中差し係止部材」に相当する。 また、甲第1号証発明において「前記髷を支える根掛の前側に、中差しはめ込み部材を配置した」ことと、本件特許発明1において「前記髷を支える根掛の前側に前記台金に固定された中差し係止部材を設けた」こととは、「前記髷を支える根掛の前側に、中差し係止部材を配置した」限りで一致する。 したがって、本件特許発明1と甲第1号証発明との一致点、相違点は次のとおりである。 〈一致点〉 「台金に前髪,びん,髱,髷を取付けてなる日本髪かつらにおいて、 前記髷を支える根掛の前側に、中差し係止部材を配置した日本髪かつら。」 〈相違点1〉 本件特許発明1においては、「中差し係止部材」が台金に固定されているのに対して、甲第1号証発明においては、「中差しはめ込み部材」がどのような態様で、根掛の前側に配置されているのか明確ではない点。 (2)本件特許発明2について 本件特許発明2は、本件特許発明1と同様に、日本髪かつらに関するものであり、請求項2は、請求項1を引用するものであるから、本件特許発明2と甲第1号証発明とを対比すると、一致点は、上述のとおりであり、また相違点は、上記相違点1に加え、次のとおりである。 〈相違点2〉 本件特許発明2においては、「前記中差し係止部材が、前記台金に固定される剛性の高い支持部材に支持され」ているのに対して、甲第1号証発明においては、「中差しはめ込み部材」がどのような態様で、根掛の前側に配置されているのか明確ではない点。 〈相違点3〉 本件特許発明2においては、「中差し係止部材」が「若干可撓性を有する材料によって中差しの一部を嵌入させる形状に形成されている」のに対して、甲第1号証発明においては、「中差しはめ込み部材」がどのような形状で形成されているのか明確ではない点。 (3)本件特許発明3ないし8と各甲号証発明との対比 本件特許発明3ないし8は、本件特許発明1または2の日本髪かつらに装着する中差し、あるいはこの中差しと一対の後差しと組み合わせた笄ユニット(以下、「中差し等」という。)に関するもので、装着される日本髪かつらについての一致点、相違点は、上記(1)及び(2)のとおりであり、中差し等について、本件特許発明3ないし8が、それぞれ、次のような中差し等であるのに対して、甲第1号証発明においては装着される「中差し」がどのような構造をしているのか明確ではない点で相違する。 (3-1)本件特許発明3 本件特許発明3においては、「中差し」が、「両端部付近に飾り部材を取り付ける棒状あるいはパイプ状の中差し本体の長手方向の略中央部に、前記中差し係止部材と係合して該中差しを前記かつらに保持させる係合部材を設けた」ものである点。 (3-2)本件特許発明4 本件特許発明4においては、本件特許発明3の「中差し」の「係合部材」が「バネ性を有し、前記係止部材を前記中差し本体との間に挾持するクリップ片である」点。 (3-3)本件特許発明5 本件特許発明5においては、本件特許発明3又は4における「中差し本体」が「その長手方向の中間部で2分されて着脱自在に嵌合する右半部と左半部とからなり、その少くとも一方に前記係合部材を有し、この右半部と左半部にそれぞれ前記飾り部材を固定してなる」ものである点。 (3-4)本件特許発明6 本件特許発明6においては、本件特許発明5の「中差し」の「前記中差し本体の右半部と左半部との嵌合部にバネ性を有する部材を介在させた」ものである点。 (3-5)本件特許発明7 本件特許発明7においては、本件特許発明5又は6の「中差し」と「一対の後差しとを組み合わせた笄ユニット」が「前記中差し本体の右半部と左半部にそれぞれ後差しを一体に取り付けてなる」ものである点。 (3-6)本件特許発明8 本件特許発明8においては、本件特許発明7の「笄ユニット」が、「前記一対の後差しが、それぞれ伸縮又は相対回動可能に結合された少くとも2つの部分からなる」ものである点。 4.相違点についての検討及び判断 (1)本件特許発明1について 甲第1号証発明において、髷を支える根掛の前側に中差しはめ込み部材を配置するにあたり、はめ込んだ中差しが簡単に落下したり、あるいは、向きが安易に変化するようなことがあってはならないことは、日本髪かつらの使用態様からみて、当業者が当然考慮すべき課題である。 してみると、甲第1号証発明においても、中差しはめ込み部材は、髷を支える根掛の前側に配置されるよう、相応の強度、剛性を備えた箇所に、中差しを確実に保持できるよう固定されていると解すべきである。 ところで、甲第1号証発明において、根掛は、ネジにより台金に固定される部分と解されることから、髷全体を支え、かつら装着時に髷がずれたりしないよう、相応の強度、剛性を備えているものというべきである。 また、台金は、前髪、びん、髱、髷が取付けられ、日本髪かつら全体の部品を支持するものであるから、当然のことながら、相応の強度、剛性を備えているものといえる。 そうすると、甲第1号証発明において、髷を支える根掛の前側に配置されるよう、中差しはめ込み部材を髷により形成される空間内に固定するにあたり、根掛の前側あるいは台金の根掛取付部周辺のいずれかをその固定箇所として選択することは、当業者がごく自然に想起し得ることというべきである。 ところで、一の部品を固定するにあたり、例えば、次のような態様は、設計上広く行われていることといえる。 (a)一の部品を直接固定する。 (b)一の部品を、支持部材を介して固定する。 (c)一の部品を既に固定されている他の部品に固定する。 そして、強度、部品点数の多少等の観点からみて、それぞれの態様の利点、欠点も、当業者に広く知られた事項であり、このような態様の中から最適なものを選択することは、まさに、設計上適宜なし得る事項と解される してみると、甲第1号証発明において、中差しはめ込み部材を、髷により形成される空間内に固定するにあたり、固定箇所として台金を選定し、本件特許発明1の相違点1に係る構成とすることは、これを妨げる特段の事情も見当たらず、当業者が容易に想到し、かつ採用し得ることである。 したがって、本件特許発明1は、甲第1号証発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (2)本件特許発明2について 相違点1については既に検討したので、相違点2及び相違点3について検討する。 〈相違点2について〉 前述のように、一の部品に他の部品を固定するにあたり、他の部品に固定した支持部材を介して固定することは、設計上適宜なし得る事項である。 したがって、甲第1号証発明において、中差しはめ込み部材を、髷により形成される空間内に固定するにあたり、固定箇所として台金を選定し、中差しを確実に保持できるよう、中差しはめ込み部材を台金に固定される剛性の高い支持部材に支持することにより、本件特許発明の相違点2に係る構成とすることは、これを妨げる特段の事情も見当たらず、当業者が容易に想到し、かつ採用し得ることである。 〈相違点3について 〉 一般に部品を係止する手段として、種々のクリップにみられるような、若干可撓性を有する材料によって部品の一部を嵌入させる形状に形成されたものは、本願出願前より広く知られた事項であると解されるところ、中差し等を係止するものとして、若干可撓性を有する材料によってその一部を圧入、嵌入させる形状に形成した係止部材は、甲第34号証発明Aのほか、甲第39号証等にみられるように、本願出願前より周知の技術である。 してみると、甲第1号証発明における中差しはめ込み部材として、若干可撓性を有する材料によって中差しの一部を嵌入させる形状に形成されたものを採用し、本件特許発明2の相違点3に係る構成とすることは、これを妨げる特段の事情も見当たらず、当業者が容易に想到し、かつ採用し得ることである。 したがって、本件特許発明2は甲第1号証発明及び上述した周知の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (3)中差し等に関する本件特許発明3ないし8について (3-1)本件特許発明3及び4について 甲第40号証発明によれば、中差し(3)の長手方向略中央に中差しを支える支えばね(4)を設けることが示されており、この支えばね(4)は、日本髪かつらに設けられた差込み孔を有する筒(2)に差し込むものであるから、かつらのいずれかの箇所に保持させる係合部材といい得るものであり、また、バネ性を有し、差込み孔を有する筒(2)を中差し(3)の本体との間に挾持するクリップ片ということもできる。 してみると、これまでに検討した相違点に加え、甲第1号証発明に装着する中差しを、甲第40号証発明に示されるような支えばねを設けたものとして、本件特許発明3及び4に係る中差しの構成とすることは、当業者が容易に想到し、かつ採用し得ることである。 したがって、本件特許発明3、4は、甲第1号証発明、甲第40号証発明及び上述した周知の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (3-2)本件特許発明5及び6について 甲第41号証発明、甲第43号証発明によれば、複数の分割体を着脱自在に接続して笄棒を一体化することや、柄部の両側に飾りを着脱することにより、装着を容易にすることが示されており、例えば、甲第41号証発明において、分割の態様を2分割とするか3分割とするかなどは、設計上の選択事項にすぎないものである。 また、甲第43号証発明において、「上向き弧状を呈する板バネ(5、5)」は、柄部1の両端と筒状基体(3、3)との嵌合部に介在させたバネ性を有する部材ということができる してみると、これまでに検討した相違点に加え、中差し本体を、その長手方向の中間部で2分されて着脱自在に嵌合する右半部と左半部で形成し、それぞれに飾りを固定して、本件特許発明5に係る中差しの構成とすること、また、その嵌合部にバネ性を有する部材を介在させて、本件特許発明6に係る中差しの構成とすることは、当業者が容易に想到し、かつ採用し得ることである。 したがって、本件特許発明5、6は、甲第1号証発明、甲第40号証発明、甲第41号証発明、甲第43号証発明及び上述した周知の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (3-3)本件特許発明7、8について 装飾性あるいはデザイン性の観点から、中差しに様々な飾りを種々の形態で組み合わせることは、当業者が、設計上適宜なし得ることと解されるところ、甲第34号証発明Bによれば、取付本体に、本差保持部と揺動可能な後差保持部を設けて、本差と後差を一体化することが示されており、後差を取付本体の後差保持部に取り付けるか、本差自体に取り付けるかは、上述のとおり、設計上適宜なし得ることである。 また、甲第34号証発明Bには、取付本体に、後差保持部を枢動可能、すなわち相対回動可能に結合することが示されている。 したがって、これまでに検討した相違点に加え、中差し本体の右半部と左半部にそれぞれ後差しを一体に取り付けたものを採用し、本件特許発明7に係る笄ユニットの構成とすること、また、その際に、後差しを相対回動可能に結合して、本件特許発明8に係る笄ユニットの構成とすることは、当業者が容易に想到し、かつ採用し得ることである。 したがって、本件特許発明7、8は、甲第1号証発明、甲第34号証発明B、甲第40号証発明、甲第41号証発明、甲第43号証発明及び上述した周知の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (4)相違点についての検討及び判断のむすび 本願特許発明1ないし8を全体構成でみても、上記した各甲号証発明及び周知の技術から予測できる作用効果以上の顕著な作用効果を奏するものではない。 したがって、本件特許発明1ないし8は、甲第1号証発明、甲第34号証発明A、甲第34号証発明B、甲第40号証発明、甲第41号証発明、甲第43号証発明及び上述した周知の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 5.むすび 以上のとおりであるから、本件特許発明1ないし8は、その特許出願前に、当業者が日本国内に頒布された刊行物に記載された発明に基いて、容易に発明をすることができたものであるから、本件特許発明1ないし8についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。 審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人が負担すべきものとする。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2005-12-01 |
結審通知日 | 2005-12-06 |
審決日 | 2005-12-19 |
出願番号 | 特願平4-214357 |
審決分類 |
P
1
113・
121-
Z
(A41G)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 増沢 誠一、藤田 豊比古 |
特許庁審判長 |
石原 正博 |
特許庁審判官 |
柳 五三 稲村 正義 |
登録日 | 1996-05-23 |
登録番号 | 特許第2053754号(P2053754) |
発明の名称 | 日本髪かつらとそれに装着する中差し及び笄ユニット |
代理人 | 大澤 敬 |
代理人 | 山田 智重 |
代理人 | 山田 克巳 |
代理人 | 山田 博重 |
代理人 | 山田 勝重 |
代理人 | 稲本 富保 |