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審決分類 審判 一部無効 利害関係、当事者適格、請求の利益  H01L
管理番号 1137671
審判番号 無効2005-80109  
総通号数 79 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1993-08-27 
種別 無効の審決 
審判請求日 2005-04-06 
確定日 2006-06-07 
事件の表示 上記当事者間の特許第3203731号発明「半導体素子基板および実装方法、柱状端子付き基板およびその製造方法」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求を却下する。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 第1.手続の経緯
本件特許第3203731号発明は、平成4年2月5日に出願され、平成13年6月29日に特許権の設定の登録がなされ、平成17年4月6日に請求人:正林国際特許商標事務所より本件特許無効審判が請求されたものである。
その後、平成17年8月5日付けで被請求人より答弁書及び訂正請求書が提出され、平成17年9月30日付けで請求人より弁駁書が提出され、平成18年2月23日付けで請求人に対して審尋がなされ、これに対して、平成18年3月14日付けで請求人より回答書が提出された。

第2.本件特許無効審判請求について
請求人は、本件審判請求書において、請求の趣旨を「特許第3203731号の請求項4、請求項5、請求項6に係る発明についての特許を無効とする。」としている。

第3.当審の判断
請求人適格について
(a)経緯
被請求人は、答弁書において、「正林国際特許商標事務所」は請求人適格がないと主張し、これに対して、請求人は、弁駁書において、正林国際特許商標事務所は法人格はないものの、社団性を有するので、請求人適格があると主張している。
これについて、上記審尋において、請求人に対して「審判請求人である「正林国際特許商標事務所」が、特許法第6条第1項の規定でいう、法人でない社団であって、代表者又は管理人の定めがあるもの、に該当すると主張する理由を、必要な証拠を提示して詳しく説明されたい。」との審尋を行い、これに対して、請求人は、回答書において、甲第2号証〜甲第13号証を添付して提出するとともに、正林国際特許商標事務所は、「法人でない社団であって、代表者又は管理人の定めがあるもの」に該当し、特許法第6条第1項に規定する要件を満足するものである旨回答している。

(b)判断
(i)特許法第6条第1項の規定によれば、法人でない社団であって、代表者又は管理人の定めがあるものは、その名において、特許無効審判を請求することができるとされているところ、判例・学説上、法人でない社団といいうるためには、団体としての組織をそなえ、多数決の原則が行なわれ、構成員の変更にかかわらず団体が存続し、その組織において代表の方法、総会の運営、財産の管理等団体としての主要な点が確定していることを要する、とされる(最判昭和39年10月15日)。
ここで、甲第3号証(「正林国際特許商標事務所 規約」平成14年4月1日制定、平成17年6月1日改訂、平成17年11月30日改訂)の「9.当事務所の資産及び会計」の(4)項には、次のとおり規定されている。
「(4)代表者は、毎営業年度の終において、次に掲げる書類を各構成員に提出して、その承認を求めなければならない
一 財産目録
二 貸借対照表
三 営業報告書
四 損益計算書 」
当該(4)項の規定は、法人でない社団としての上記要件のうち、財産の管理についての規定であるといえる。
そこで、これについて検討すると、甲第3号証の規約は、本件特許無効審判請求後の平成17年11月30日に改訂されたものであって、本件特許無効審判請求時の規約ではなく、そして、本件特許無効審判請求時の規約に該当する、平成14年4月1日制定時の規約の提示はない。したがって、甲第3号証を見ても、上記(4)項が、本件特許無効審判請求時の規定であると直ちに認めることはできず、また、これを立証する他の証拠の提示もない。
したがって、本件特許無効審判請求時に、正林国際特許商標事務所において、財産の管理が確定していることが立証されているとすることはできない。

(ii)また、上記(4)項によれば、財産目録、貸借対照表、営業報告書、及び、損益計算書の提出及び承認が必要である旨規定されている。
しかし、請求人からは、上記(4)項に規定する事項が本件特許無効審判請求時に実行され、規約どおりの運営がなされていることを立証する、上記財産目録、貸借対照表、営業報告書、及び、損益計算書の提示はない。
したがって、本件特許無効審判請求時に、正林国際特許商標事務所において、財産の管理が確定していることが立証されているとすることはできない。

(iii)また、上記(i)項及び(ii)項に記載した事項のほか、正林国際特許商標事務所において、本件特許無効審判請求時、法人でない社団として財産の管理が確定していることを立証すると認め得るに足る証拠は見当たらない。

以上、(i)〜(iii)項に記載したとおりであるから、正林国際特許商標事務所は、本件特許無効審判請求当時、少なくとも、財産の管理の確定の点において、法人でない社団としての要件を充足していると認めることはできない。
したがって、請求人の主張に拘わらず、正林国際特許商標事務所は、本件特許無効審判請求当時、特許法第6条第1項の規定でいう、法人でない社団であって、代表者又は管理人の定めがあるものに該当するとはいえず、よって、本件特許無効審判の請求は、同法第6条第1項第2号に規定する特許無効審判の請求をすることができる場合に該当しない。

第4.まとめ
以上のとおりであるから、本件特許無効審判の請求は、特許法第123条第2項の規定に違反する不適法なものであり、また、その補正をすることができないものであるから、特許法第135条の規定により却下すべきものである。

また、審判に関する費用については、特許法第169条第2項において準用される民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-04-03 
結審通知日 2006-04-07 
審決日 2006-04-21 
出願番号 特願平4-19766
審決分類 P 1 123・ 02- X (H01L)
最終処分 審決却下  
前審関与審査官 川真田 秀男  
特許庁審判長 池 田 正 人
特許庁審判官 大 嶋 洋 一
岡 和 久
登録日 2001-06-29 
登録番号 特許第3203731号(P3203731)
発明の名称 半導体素子基板および実装方法、柱状端子付き基板およびその製造方法  
代理人 正林 真之  
代理人 特許業務法人池内・佐藤アンドパートナーズ  

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