• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  H04M
管理番号 1137791
異議申立番号 異議2003-72820  
総通号数 79 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1998-12-22 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-11-19 
確定日 2004-08-19 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3408154号「携帯型コミュニケータ」の請求項1ないし3に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3408154号の請求項1ないし2に係る特許を取り消す。 
理由 第1 手続きの経緯
本件特許第3408154号の請求項1〜3に係る発明についての出願は、平成4年11月9日に出願した特願平4-298630号の一部を平成7年11月28日に新たな特許出願とした特願平7-309275号の一部を平成10年6月26日に新たな特許出願としたものであって、平成15年3月14日に特許の設定登録がなされ、その後、平成15年11月18日に異議申立人佐野正、細江利昭より、また、同年11月19日に異議申立人金子和弘、上野圭子、株式会社ラブロス、金森英彦より、それぞれ全請求項に係る発明について特許異議の申立てがなされ、これらにより、当審における合議の結果、平成16年2月5日付けで全請求項に係る特許について取消理由が通知され、その指定期間内である同年4月15日に特許異議意見書が提出され、同時に訂正請求が行われたものである。

第2 訂正の適否
1.訂正の内容
(1)訂正事項a
イ.特許請求の範囲の請求項1について、特許請求の範囲の減縮、誤記の訂正及び明りょうでない記載の釈明を目的として、
「公衆通信回線に無線によって接続され、該公衆通信回線を経由して音声とデータの発信、または受信を行う無線通信手段と、
該無線通信手段に対する制御指令の出力、上記無線通信手段を経由して上記公衆通信回線からデータを入力、または上記無線通信手段を経由して上記公衆通信回線にデータを送出する処理を行うコンピュータと、
該コンピュータによって所定の画像を表示する第1のディスプレイと、所定の画像を表示する第2のディスプレイと、
オン信号を出力するオンスイッチが操作された場合に上記第1のディスプレイと、上記コンピュータを含む全体に電源を供給して、該第1のディスプレイを利用した入出力が行われるアクティブ状態にし、オフ信号を出力するオフスイッチが操作された場合に、上記コンピュータと、上記無線通信手段とを含む所定の部分にのみ電源を供給して、上記第1のディスプレイを利用した入出力が行われることのない待機状態にする電源コントローラと、
上記無線通信手段と、上記コンピュータと、上記第1のディスプレイと、上記第2のディスプレイとを組み合わせた状態で保持する筺体とを備え、
上記コンピュータは、
上記オンスイッチと、上記オフスイッチの操作状態に拘わりなく、上記無線通信手段が受信を待機している受信待機中であるかを繰り返し判断する受信待機中判断手段と、
上記オンスイッチの操作がされることによりオン信号が出力されたときから、上記オフスイッチの操作がされることによりオフ信号が出力されるまで、受信待機中であるかどうかを含めた当該携帯型コミュニケータの動作状態を繰り返し調査する現況調査手段と、
上記受信待機中判断手段が受信待機中であると判断した場合に、上記第2のディスプレイに画像を用いて受信待機中の表示を行う受信待機中表示手段と、
上記現況調査手段が受信待機中であると判断した場合に、上記第1のディスプレイに受信待機中の表示をする手段と、
上記受信待機中表示手段による受信待機中の表示とは別に上記第2のディスプレイに画像を用いて蓄電池の電源容量表示をする手段と、
を備えることを特徴とする携帯型コミュニケータ。」と訂正する(訂正箇所には下線を付した)。

ロ.また、当該請求項1の訂正に伴い、特許明細書の段落[0006]において、「請求項1の発明の携帯型コミュニケータは、…を備えることを要旨とする。」とあったのを、明りょうでない記載の釈明を目的として、
「請求項1の発明の携帯型コミュニケータは、公衆通信回線に無線によって接続され、該公衆通信回線を経由して音声とデータの発信、または受信を行う無線通信手段と、該無線通信手段に対する制御指令の出力、上記無線通信手段を経由して上記公衆通信回線からデータを入力、または上記無線通信手段を経由して上記公衆通信回線にデータを送出する処理を行うコンピュータと、該コンピュータによって所定の画像を表示する第1のディスプレイと、所定の画像を表示する第2のディスプレイと、オン信号を出力するオンスイッチが操作された場合に上記第1のディスプレイと、上記コンピュータを含む全体に電源を供給して、該第1のディスプレイを利用した入出力が行われるアクティブ状態にし、オフ信号を出力するオフスイッチが操作された場合に、上記コンピュータと、上記無線通信手段とを含む所定の部分にのみ電源を供給して、上記第1のディスプレイを利用した入出力が行われることのない待機状態にする電源コントローラと、上記無線通信手段と、上記コンピュータと、上記第1のディスプレイと、上記第2のディスプレイとを組み合わせた状態で保持する筺体とを備え、上記コンピュータは、上記オンスイッチと、上記オフスイッチの操作状態に拘わりなく、上記無線通信手段が受信を待機している受信待機中であるかを繰り返し判断する受信待機中判断手段と、上記オンスイッチの操作がされることによりオン信号が出力されたときから、上記オフスイッチの操作がされることによりオフ信号が出力されるまで、受信待機中であるかどうかを含めた当該携帯型コミュニケータの動作状態を繰り返し調査する現況調査手段と、上記受信待機中判断手段が受信待機中であると判断した場合に、上記第2のディスプレイに画像を用いて受信待機中の表示を行う受信待機中表示手段と、上記現況調査手段が受信待機中であると判断した場合に、上記第1のディスプレイに受信待機中の表示をする手段と、上記受信待機中表示手段による受信待機中の表示とは別に上記第2のディスプレイに画像を用いて蓄電池の電源容量表示をする手段と、を備えることを要旨とする。」と訂正する(訂正箇所には下線を付した)。

(2)訂正事項b
イ.特許請求の範囲の請求項2について、特許請求の範囲の減縮、誤記の訂正及び明りょうでない記載の釈明を目的として、
「公衆通信回線に無線によって接続され、該公衆通信回線を経由して音声とデータの発信、または受信を行う無線通信手段と、
該無線通信手段に対する制御指令の出力、上記無線通信手段を経由して上記公衆通信回線からデータを入力、または上記無線通信手段を経由して上記公衆通信回線にデータを送出する処理を行うコンピュータと、
該コンピュータによって所定の画像を表示する第1のディスプレイと、所定の画像を表示する第2のディスプレイと、
オン信号を出力するオンスイッチが操作された場合に上記第1のディスプレイと、上記コンピュータを含む全体に蓄電池から電源を供給して、該第1のディスプレイを利用した入出力が行われるアクティブ状態にし、オフ信号を出力するオフスイツチが操作された場合に、上記コンピュータと、上記無線通信手段とを含む所定の部分にのみ上記蓄電池から電源を供給して、上記第1のディスプレイを利用した入出力が行われることのない待機状態にする電源コントローラと、
上記無線通信手段と、上記コンピュータと、上記第1のディスプレイと、上記第2のディスプレイとを組み合わせた状態で保持する筺体とを備え、
上記コンピュータは、
上記オンスイッチと、上記オフスイッチの操作状態に拘わりなく、上記蓄電池の電源容量を繰り返し検出する電源容量検出手段と、
上記オンスイッチの操作がされることによりオン信号が出力されたときから、上記オフスイッチの操作がされることによりオフ信号が出力されるまで、データ受信中かどうかを含めた当該携帯型コミュニケータの動作状態を繰り返し調査する現況調査手段と、
上記第2のディスプレイに、上記電源容量検出手段が検出した電源容量の表示を画像を用いて行う電源容量表示手段と、
上記現況調査手段がデータ受信中と判断した場合に、上記第1のディスプレイにデータ受信中の表示をする手段と、
を備えることを特徴とする携帯型コミュニケータ。」と訂正する(訂正箇所には下線を付した)。

ロ.また、当該請求項2の訂正に伴い、特許明細書の段落[0007]において、「請求項2の発明の携帯型コミュニケータは、…を備えることを要旨とする。」とあったのを、明りょうでない記載の釈明を目的として、
「請求項2の発明の携帯型コミュニケータは、公衆通信回線に無線によって接続され、該公衆通信回線を経由して音声とデータの発信、または受信を行う無線通信手段と、該無線通信手段に対する制御指令の出力、上記無線通信手段を経由して上記公衆通信回線からデータを入力、または上記無線通信手段を経由して上記公衆通信回線にデータを送出する処理を行うコンピュータと、該コンピュータによって所定の画像を表示する第1のディスプレイと、所定の画像を表示する第2のディスプレイと、オン信号を出力するオンスイッチが操作された場合に上記第1のディスプレイと、上記コンピュータを含む全体に蓄電池から電源を供給して、該第1のディスプレイを利用した入出力が行われるアクティブ状態にし、オフ信号を出力するオフスイッチが操作された場合に、上記コンピュータと、上記無線通信手段とを含む所定の部分にのみ上記蓄電池から電源を供給して、上記第1のディスプレイを利用した入出力が行われることのない待機状態にする電源コントローラと、上記無線通信手段と、上記コンピュータと、上記第1のディスプレイと、上記第2のディスプレイとを組み合わせた状態で保持する筺体とを備え、上記コンピュータは、上記オンスイッチと、上記オフスイッチの操作状態に拘わりなく、上記蓄電池の電源容量を繰り返し検出する電源容量検出手段と、上記オンスイッチの操作がされることによりオン信号が出力されたときから、上記オフスイッチの操作がされることによりオフ信号が出力されるまで、データ受信中かどうかを含めた当該携帯型コミュニケータの動作状態を繰り返し調査する現況調査手段と、上記第2のディスプレイに、上記電源容量検出手段が検出した電源容量の表示を画像を用いて行う電源容量表示手段と、上記現況調査手段がデータ受信中と判断した場合に、上記第1のディスプレイにデータ受信中の表示をする手段と、を備えることを要旨とする。」と訂正する(訂正箇所には下線を付した)。

(3)訂正事項c
イ.特許請求の範囲の減縮を目的として、特許請求の範囲の請求項3を削除する。

ロ.そして、当該請求項3の削除に伴い、特許明細書の段落[0008]全体、段落[0013]における「本発明の請求項3の携帯型コミュニケータは、…入出力が可能になる。」の部分、段落[0014]全体、段落[0015]全体、段落[0107]における「本発明の請求項3の携帯型コミュニケータは、…常時可能になる。」の部分、及び段落[0108]全体については、明りょうでない記載の釈明を目的として削除する。

2.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
(1)訂正事項aについて
上記訂正事項aは、請求項1に係る発明に対し、「無線通信手段」が「音声とデータ」の発信、または受信を行う旨、「第2のディスプレイ」が「所定の画像を表示する」旨、「受信待機中判断手段」が受信待機中であるかを「繰り返し」判断する旨、「現況調査手段」を備える旨、「受信待機中表示手段」が第2のディスプレイに「画像を用いて」受信待機中の表示を行う旨、「上記現況調査手段が受信待機中であると判断した場合に、上記第1のディスプレイに受信待機中の表示をする手段」を備える旨、及び、「上記受信待機中表示手段による受信待機中の表示とは別に上記第2のディスプレイに画像を用いて蓄電池の電源容量表示をする手段」を備える旨の限定を付加しようとするものである。これらの限定は、特許請求の範囲の減縮に該当する。
また、上記訂正事項aは、請求項1に係る発明において、「上記オンスイッチと、上記オフスイッチの操作状態に拘わりなく、」の部分の修飾先がその直後の「上記無線通信手段が…判断する受信待機中判断手段」における「判断する」の部分であることを明確にするため、「上記オンスイッチと、上記オフスイッチの操作状態に拘わりなく、」の部分の直後でなされていた改行をやめるとともに、当該部分の直前の部分で改行を行うものである。これは、誤記の訂正及び明りょうでない記載の釈明に該当する。
また、特許明細書の段落[0006]の訂正は、上記のように請求項1を訂正することに伴い、課題を解決するための手段の対応する部分を訂正する、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。
よって、これらの訂正は特許法第120条の4第2項(訂正の目的)の規定に適合する。

(2)訂正事項bについて
上記訂正事項bは、請求項2に係る発明に対し、「無線通信手段」が「音声とデータ」の発信、または受信を行う旨、「第2のディスプレイ」が「所定の画像を表示する」旨、「電源容量検出手段」が蓄電池の電源容量を「繰り返し」検出する旨、「現況調査手段」を備える旨、「電源容量表示手段」が第2のディスプレイに「画像を用いて」電源容量の表示を行う旨、及び、「上記現況調査手段がデータ受信中と判断した場合に、上記第1のディスプレイにデータ受信中の表示をする手段」を備える旨の限定を付加しようとするものである。これらの限定は、特許請求の範囲の減縮に該当する。
また、上記訂正事項bは、請求項2に係る発明において、「上記オンスイッチと、上記オフスイッチの操作状態に拘わりなく、」の部分の修飾先がその直後の「上記蓄電池の…検出する電源容量検出手段」における「検出する」の部分であることを明確にするため、「上記オンスイッチと、上記オフスイッチの操作状態に拘わりなく、」の部分の直後でなされていた改行をやめるとともに、当該部分の直前の部分で改行を行うものである。これは、誤記の訂正及び明りょうでない記載の釈明に該当する。
また、特許明細書の段落[0007]の訂正は、上記のように請求項2を訂正することに伴い、課題を解決するための手段の対応する部分を訂正する、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。
よって、これらの訂正は特許法第120条の4第2項(訂正の目的)の規定に適合する。

(3)訂正事項cについて
上記訂正事項cは、特許請求の範囲の請求項3を削除するものであり、これは、特許請求の範囲の減縮に該当する。
また、請求項3の削除に伴い、特許明細書の段落[0008]全体、段落[0013]における「本発明の請求項3の携帯型コミュニケータは、…入出力が可能になる。」の部分、段落[0014]全体、段落[0015]全体、段落[0107]における「本発明の請求項3の携帯型コミュニケータは、…常時可能になる。」の部分、及び段落[0108]全体を削除する。これは、明りょうでない記載の釈明に該当する。
よって、これらの訂正は特許法第120条の4第2項(訂正の目的)の規定に適合する。

(4)上記訂正のうち、『「上記オンスイッチと、上記オフスイッチの操作状態に拘わりなく、」の部分の修飾先がその直後の「上記無線通信手段が…判断する受信待機中判断手段」における「判断する」の部分であることを明確にするため、「上記オンスイッチと、上記オフスイッチの操作状態に拘わりなく、」の部分の直後でなされていた改行をやめるとともに、当該部分の直前の部分で改行を行う』という訂正に関し、このような訂正を行った場合、当該「受信待機中判断手段」に関連する「受信待機中表示手段」の構成が変更されるか否かを検討するに、当該「受信待機中表示手段」が表示を行うのは「上記受信待機中判断手段が受信待機中であると判断した場合」であり、「上記受信待機中判断手段」は「上記オンスイッチと、上記オフスイッチの操作状態に拘わりなく、」判断を行うものであるから、当該「受信待機中表示手段」が「上記オンスイッチと、上記オフスイッチの操作状態に拘わりなく、」表示を行うものであることは明白である。したがって、上記訂正は「受信待機中表示手段」の構成を変更するものではない。
そして、この関係は請求項2の記載にかかる「電源容量表示手段」と「電源容量検出手段」の関係でも同じである。
したがって、上記訂正はいずれも、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
よって、上記訂正は特許法第120条の4第3項で準用する特許法第126条第2項(新規事項の有無)及び第3項(拡張・変更の存否)の規定に適合する。

3.結び
以上のとおり、上記訂正は、特許法第120条の4第2項及び第3項の規定に適合するから、当該訂正を認める。

第3 特許異議の申立てについて
1.申立ての概要
(1)本件特許異議申立人金子和弘の申立ての概要は以下の通りである。
本件の全請求項に係る発明はいずれも、本件の特許出願前に頒布された刊行物である下記の文献1(甲第2号証)及び文献2(甲第3号証)、文献13(甲第4号証)、文献3(甲第5号証)に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、それらの特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり、
本件の全請求項に係る発明はいずれも、本件の特許出願前に出願され、出願後に公開された下記の文献14(甲第1号証)に記載された発明と同一であるから、それらの特許は、特許法第29条の2の規定に違反してなされたものである。

(2)本件特許異議申立人上野圭子の申立ての概要は以下の通りである。
本件の全請求項に係る発明はいずれも、本件の特許出願前に頒布された刊行物である下記の文献10(甲第1号証)及び文献4(甲第2号証)、文献5(甲第3号証)、文献1(甲第4号証)に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、それらの特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである。

(3)本件特許異議申立人佐野正の申立ての概要は以下の通りである。
本件の全請求項に係る発明はいずれも、本件の特許出願前に頒布された刊行物である下記の文献16(甲第2号証)に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、それらの特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり、
本件の全請求項に係る発明はいずれも、本件の特許出願前に出願され、出願後に公開された下記の文献14(甲第1号証)に記載された発明と同一であるから、それらの特許は、特許法第29条の2の規定に違反してなされたものであり、
本件の全請求項に係る発明はいずれも、不明瞭であるから、それらの特許は、特許法第36条第5項の規定を満たしていない出願に対してなされたものである。

(4)本件特許異議申立人株式会社ラブロスの申立ての概要は以下の通りである。
本件の全請求項に係る発明はいずれも、本件の特許出願前に頒布された刊行物である下記の文献1(甲第1号証)及び文献11(甲第2号証)に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、それらの特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである。

(5)本件特許異議申立人金森英彦の申立ての概要は以下の通りである。
本件の全請求項に係る発明はいずれも、本件の特許出願前に頒布された刊行物である下記の文献12(甲第1号証)及び文献6(甲第2号証)、文献15(甲第4号証)に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、それらの特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり、
本件の全請求項に係る発明はいずれも、本件の特許出願前に出願され、出願後に公開された下記の文献14(甲第3号証)、文献12(甲第1号証)、文献1(甲第5号証)、文献8(甲第6号証)に記載された発明と同一であるから、それらの特許は、特許法第29条の2の規定に違反してなされたものであり、
本件の全請求項に係る発明はいずれも、不明瞭であるから、それらの特許は、特許法第36条第5項の規定を満たしていない出願に対してなされたものである。

(6)本件特許異議申立人細江利昭の申立ての概要は以下の通りである。
本件の全請求項に係る発明はいずれも、本件の特許出願前に頒布された刊行物である下記の文献7(甲第1号証)及び文献6(甲第2号証)、文献4(参考文献1)、文献9(参考文献2)に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、それらの特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである。

<証拠として提示された文献一覧>
文献1.特開平3-235116号公報
文献2.実願昭63-153716号の願書に添付された明細書と図面を撮 影したマイクロフィルム(実開平2-73865号参照)
文献3.特開平4-156051号公報
文献4.特開平3-184431号公報
文献5.特開昭60-203065号公報
文献6.特開平4-273639号公報
文献7.特開平4-259156号公報
文献8.特開平3-28914号公報
文献9.特開平4-72956号公報
文献10.特開平4-49746号公報
文献11.特開平3-27414号公報
文献12.特開平2-176921号公報
文献13.特公平3-34702号公報
文献14.特開平6-37697号公報
文献15.特開平6-197077号公報
文献16.特開平10-341290号公報

2.本件発明
上記したように本件は異議申立のなされた請求項の削除を含む訂正が認められるから、異議申立のなされた本件の請求項は1〜2に訂正され、当該訂正後の請求項1又は2に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」、「本件発明2」という。)は、前記訂正請求に係る訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1〜2に記載されたとおりの次の事項により特定されるものである。

「【請求項1】公衆通信回線に無線によって接続され、該公衆通信回線を経由して音声とデータの発信、または受信を行う無線通信手段と、
該無線通信手段に対する制御指令の出力、上記無線通信手段を経由して上記公衆通信回線からデータを入力、または上記無線通信手段を経由して上記公衆通信回線にデータを送出する処理を行うコンピュータと、
該コンピュータによって所定の画像を表示する第1のディスプレイと、所定の画像を表示する第2のディスプレイと、
オン信号を出力するオンスイッチが操作された場合に上記第1のディスプレイと、上記コンピュータを含む全体に電源を供給して、該第1のディスプレイを利用した入出力が行われるアクティブ状態にし、オフ信号を出力するオフスイッチが操作された場合に、上記コンピュータと、上記無線通信手段とを含む所定の部分にのみ電源を供給して、上記第1のディスプレイを利用した入出力が行われることのない待機状態にする電源コントローラと、
上記無線通信手段と、上記コンピュータと、上記第1のディスプレイと、上記第2のディスプレイとを組み合わせた状態で保持する筺体とを備え、
上記コンピュータは、
上記オンスイッチと、上記オフスイッチの操作状態に拘わりなく、上記無線通信手段が受信を待機している受信待機中であるかを繰り返し判断する受信待機中判断手段と、
上記オンスイッチの操作がされることによりオン信号が出力されたときから、上記オフスイッチの操作がされることによりオフ信号が出力されるまで、受信待機中であるかどうかを含めた当該携帯型コミュニケータの動作状態を繰り返し調査する現況調査手段と、
上記受信待機中判断手段が受信待機中であると判断した場合に、上記第2のディスプレイに画像を用いて受信待機中の表示を行う受信待機中表示手段と、
上記現況調査手段が受信待機中であると判断した場合に、上記第1のディスプレイに受信待機中の表示をする手段と、
上記受信待機中表示手段による受信待機中の表示とは別に上記第2のディスプレイに画像を用いて蓄電池の電源容量表示をする手段と、
を備えることを特徴とする携帯型コミュニケータ。

【請求項2】公衆通信回線に無線によって接続され、該公衆通信回線を経由して音声とデータの発信、または受信を行う無線通信手段と、
該無線通信手段に対する制御指令の出力、上記無線通信手段を経由して上記公衆通信回線からデータを入力、または上記無線通信手段を経由して上記公衆通信回線にデータを送出する処理を行うコンピュータと、
該コンピュータによって所定の画像を表示する第1のディスプレイと、所定の画像を表示する第2のディスプレイと、
オン信号を出力するオンスイッチが操作された場合に上記第1のディスプレイと、上記コンピュータを含む全体に蓄電池から電源を供給して、該第1のディスプレイを利用した入出力が行われるアクティブ状態にし、オフ信号を出力するオフスイツチが操作された場合に、上記コンピュータと、上記無線通信手段とを含む所定の部分にのみ上記蓄電池から電源を供給して、上記第1のディスプレイを利用した入出力が行われることのない待機状態にする電源コントローラと、
上記無線通信手段と、上記コンピュータと、上記第1のディスプレイと、上記第2のディスプレイとを組み合わせた状態で保持する筺体とを備え、
上記コンピュータは、
上記オンスイッチと、上記オフスイッチの操作状態に拘わりなく、上記蓄電池の電源容量を繰り返し検出する電源容量検出手段と、
上記オンスイッチの操作がされることによりオン信号が出力されたときから、上記オフスイッチの操作がされることによりオフ信号が出力されるまで、データ受信中かどうかを含めた当該携帯型コミュニケータの動作状態を繰り返し調査する現況調査手段と、
上記第2のディスプレイに、上記電源容量検出手段が検出した電源容量の表示を画像を用いて行う電源容量表示手段と、
上記現況調査手段がデータ受信中と判断した場合に、上記第1のディスプレイにデータ受信中の表示をする手段と、
を備えることを特徴とする携帯型コミュニケータ。」

3.引用発明および周知技術
(1)一方、当審の取消理由に引用した特開平3-235116号公報(例えば、異議申立人金森英彦が提出した甲第5号証、以下、「刊行物1」という。)には次の事項が記載されている。
イ.「データの通信手段を有する情報処理装置において、各種の情報を表示する表示画面を開閉自在にした第1の表示手段と、
上記第1の表示手段と独立してデータ通信の状態を表示する第2の表示手段と、
上記表示画面の開閉状態に応じて上記第1表示手段の表示制御を行うとともに、上記第2表示手段の表示制御は上記表示画面の開閉状態と無関係に行う制御手段を有することを特徴とする情報処理装置。」(公報1頁左下欄、特許請求の範囲)
ロ.「また右のヒンジM39にはディスプレイの開閉を検知するマイクロスイッチM44が配置され、ヒンジの部材M45に取り付けたアクチュエータM46がマイクロスイッチM44をディスプレイの回転位置に応じてON、OFFし開閉状態を検知する。」(公報3頁右上欄18行目〜左下欄3行目)
ハ.「M48、M49はそれぞれ赤、緑のLEDであって、緑はPOWERを、赤はスタンバイ状態、FAX受信などの表示をするものである。」(公報3頁左下欄19行目〜右下欄1行目)
ニ.「E116は公衆回線用の端子(モジュラ ジャック)である。この端子を用いて本機器を公衆回線に接続する。」(公報14頁右下欄8〜10行目)
ホ.「第28図から第53図は本発明の実施例のCPUE1の制御動作を示した図である。
第28図は本実施例のおけるソフトウェア構造である。S1-3のOS(オペレーティングシステム)は、FAXの送受信をバックグラウンドで行えるようにマルチタスクOSである。」(公報15頁右上欄11〜16行目)
へ.「アプリケーションは複数メモリ上に常駐し、それぞれイベント待ちの状態にある。イベント待ちとは、制御はマネージャの中にあり、あるイベントが発生するまでマネージャが監視している状態を言う。あるイベントが発生すると、そのイベントを待っているアプリケーションを起動する。マネージャによって起動されたアプリケーションは、制御が渡ると発生したイベントに応じた処理を行い、その後マネージャに制御を帰しイベントを待つ状態になる。」(公報15頁左下欄15〜右下欄5行目)
ト.「また、ディスプレイ自体が蓋の役目をしているので、ディスプレイを閉められると画面を消し、開けるとつける制御をする。」(公報16頁左上欄19〜右上欄2行目)
チ.「第29図のS2-6は電話アプリケーションである。・・・FAXアプリケーションと電話アプリケーションは、内部ではお互いに呼びあっているので、マネージャのイベント制御下では、1つのアプリケーションと見なされる。」(公報17頁左上欄12行目〜右上欄7行目)
リ.「以上の様に本発明によれば、表示画面を開閉自在にした情報処理装置においても表示画面の開閉状態に拘らずデータ通信状態を常時認識可能にできる。」(公報23頁右上欄2〜5行目)

上記刊行物1の記載及び添付図面ならびにこの分野の技術常識を勘案すると、上記「情報処理装置」は「FAXアプリケーションと電話アプリケーション」を備え、「公衆回線」に接続され、該公衆回線を経由して音声又はFAXデータの送受信を行う装置であり、該「公衆回線」はいわゆる「公衆通信回線」であるから、当該装置は「公衆通信回線に接続され、該公衆通信回線を経由して音声とデータの発信、または受信を行う通信手段」を備えた通信装置、即ち「コミュニケータ」である。
また、上記「情報処理装置」は「FAXの送受信をバックグラウンドで行う」OSで動作するイベント駆動型コンピュータ(即ち、前記「通信手段」に対する制御指令の出力、前記「通信手段」を経由して前記「公衆通信回線」からデータを入力、または前記「通信手段」を経由して前記「公衆通信回線」にデータを送出する処理を行うイベント駆動型コンピュータ)「CPUE1」を備えている。そして、「イベント駆動型コンピュータ」はイベント待ち(即ち、「イベント監視」)を繰り返すものである。
また、上記「マイクロスイッチ」は第1のディスプレイの開を検出してONする「オンスイッチ」の機能を有しており、閉を検出してOFFする「オフスイッチ」の機能を有している。
また、上記「第1表示手段」は、コンピュータによって所定の画像を表示するものであるから、「コンピュータによって所定の画像を表示する第1のディスプレイ」であり、「オン信号を出力するオンスイッチが操作された場合に上記第1のディスプレイの表示制御を行い、オフ信号を出力するオフスイッチが操作された場合に、第1のディスプレイの画面を消す制御を行う制御手段」を備え、上記「第2表示手段」は、コンピュータの制御により、前記オンスイッチと前記オフスイッチの操作状態に拘わりなく、スタンバイ状態即ち受信待機中及びFAX受信等のデータ通信状態を表示する「通信状態表示手段」と、当該通信状態表示手段とは別にPOWER即ち電源の表示を行う「電源表示手段」とからなっている。
また、上記「情報処理装置」は前記通信手段と、前記コンピュータと、前記第1のディスプレイと、前記第2のディスプレイとを組み合わせた状態で保持する「筺体」を備えている。
したがって、上記刊行物1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
「公衆通信回線に接続され、該公衆通信回線を経由して音声又はデータの発信、または受信を行う通信手段と、
該通信手段に対する制御指令の出力、上記通信手段を経由して上記公衆通信回線からデータを入力、または上記通信手段を経由して上記公衆通信回線にデータを送出する処理を行うコンピュータと、
該コンピュータによって所定の画像を表示する第1のディスプレイと、第2のディスプレイと、
オン信号を出力するオンスイッチが操作された場合に上記第1のディスプレイの表示制御を行い、オフ信号を出力するオフスイッチが操作された場合に、第1のディスプレイの画面を消す制御を行う制御手段と、
上記通信手段と、上記コンピュータと、上記第1のディスプレイと、上記第2のディスプレイとを組み合わせた状態で保持する筺体とを備え、
上記コンピュータは、
イベント監視を行い、
第2のディスプレイに受信待機中を表示する通信状態表示手段と、
第2のディスプレイに通信状態表示手段とは別に電源の表示を行う電源表示手段と、
を備えることを特徴とするコミュニケータ。」

(2)また、同じく当審の取消理由に引用した実願昭63-153716号の願書に添付された明細書と図面を撮影したマイクロフィルム(実開平2-73865号、異議申立人金子和弘が提出した甲第3号証、以下、「刊行物2」という。)には図面とともに次の事項が記載されている。
「操作入力した文書データを出力するワードプロセッサと、原稿を読み取った画像信号を出力するセンサと、受信の画像信号を記録するプリンタと、無線回線によって前記文書データと画像信号を送受信する無線機とを有することを特徴とするファクシミリ装置。」(明細書1頁、実用新案登録請求の範囲)

上記刊行物2の記載によれば、上記「ファクシミリ装置」はいわゆる「コミュニケータ」の一種であるから、「無線回線によってデータを送受信するコミュニケータ」は周知である。

(3)また、同じく当審の取消理由に引用した特開平4-156051号公報(異議申立人金子和弘が提出した甲第5号証、以下、「刊行物3」という。)には図面とともに次の事項が記載されている。
「携帯型ファクシミリや携帯型電話において、内蔵バッテリを使用した際の残り使用時間検出の従来例には、バッテリの電圧の変化を検出する方法がある。カドニカ電池に代表される内蔵バッテリの放電特性は第2図に示す曲線aのようになるため、電池電圧にしきい値THを設定しておき、電圧がしきい値TH以下になると、コンパレータなどで構成された検出回路が作動し、表示用ランプを点灯あるいはブザーを鳴らすなどの方法で、オペレータに知らせている。」(公報1頁右下欄4〜13行目)

上記刊行物3の記載を勘案すると、「携帯型ファクシミリにおいて、蓄電池の電源容量を検出する電源容量検出手段と、ディスプレイに、上記電源容量検出手段が検出した電源容量の表示を行う電源容量表示手段とを備える」ことは周知である。

(4)また、同じく当審の取消理由に引用した特開平3-184431号公報(異議申立人上野圭子が提出した甲第2号証、以下、「刊行物4」という。)には第4図とともに以下の事項イ.が記載されており、また、同じく当審の取消理由に引用した特開昭60-203065号公報(異議申立人上野圭子が提出した甲第3号証、以下、「刊行物5」という。)には図面とともに以下の事項ロ.が記載されている。
イ.「本発明の携帯電話機は、電話機本体の筺体の一部を構成する電池パックの背面に、電話機本体と同一平面となる部分と、この部分以外の部分に突設した突部を形成している。そして、この突部内にも2次電池を収納することで、高容量型電池パックを構成する。
この場合、突部の背面に電池残量を表示する表示部を設けることができる。」(2頁右下欄18行目〜3頁左上欄5行目)
ロ.「第1および第2の表示手段を設け、これらの表示手段のうち一方に入力部により入力された外部情報を表示し、かつ他方に装置本体より発せられた内部情報を表示するようにしたことを特徴とするファクシミリ装置の情報表示方式。」(1頁左下欄特許請求の範囲)

上記刊行物4,5の記載によれば、「通信装置(いわゆる「コミュニケータ」)にコンピュータによって所定の画像を表示する第2のディスプレイを設ける」構成は周知である。

(5)また、同じく当審の取消理由に引用した特開平4-259156号公報(異議申立人細江利昭が提出した甲第1号証、以下、「刊行物6」という。)には第1表とともに以下の事項が記載されている。
「【0015】上述したように、当該携帯電話機は、動作状態に応じて電力消費量を必要最小限に抑制しようとするものである。この実施例では、当該携帯電話機の動作状態をつぎの3つのモードにしている。第1のモードはアイドルモードであり、第2のモードはスタンバイモードであり、第3のモードはアクティブモードである。
【0016】アイドルモードは、着信があるかどうかを監視するモードであり、CPU22,入力インタフェース23およびRF受信部24の一部にB電源が供給されるようにセレクタ21が切り換えられる。セレクタ21のスイッチ21A〜21Fは、すべてオープン状態に切り換えられる。3つのモードの中、消費電力の最も少ないモードである。なお、着信があるかどうかの判定のためには、このようにRF受信部24の一部のみにB電源を供給すればよい。この着信があるかどうかを判定するための電力消費量は通話中の電力消費量に比較して1/5〜1/10程度になるので、一部にのみ電源を供給することにより、当該携帯電話機全体として消費電力を節約することができるからである。
【0017】スタンバイモードは、発信処理および着信処理が直ちに行えるモードであり、CPU22,入力インタフェース23,RF受信部24の残された一部,表示インタフェース26および音声インタフェース28にB電源が供給されるようにセレクタ21が切り換えられる。3つのモードの中、消費電力が2番目に少ないモードである。
【0018】アクティブモードは、通話可能な状態(通話状態)にあるモードであり、CPU22,入力インタフェース23,RF受信部24の全部,表示インタフェース26,RF送信部25,データ処理部27および音声インタフェース28等すべてのブロックにB電源が供給されている。3つのモードの中、最も消費電力の大きいモードである。
【0019】アイドルモード,スタンバイモードおよびアクティブモードにおける上述した電源供給のアルゴリズムを表1に示す。なお、さらに、細かく動作モードを分けることも可能である。
【0021】これらの動作モードは、当該携帯電話機が、図1に示すように、送話部3が開かれた状態になっているかまたは閉じられた状態になっているか等により、予め定められたアルゴリズムに基づき決定される。」(3頁3欄33行目〜4頁5欄28行目)

上記刊行物6の記載によれば、「送話部の開閉状態等により使用する機能を選択するとともに選択した機能に関連する部分にのみ電源を供給して省電力を計る」ことは単なる慣用手段である。

(6)また、例えば特開平4-134962号公報(以下、「周知例1」という。)には図面とともに以下の事項イ.が記載されており、また、例えば特開平3-177180号公報(以下、「周知例2」という。)には図面とともに以下の事項ロ.が記載されている。
イ.「まず、ファクシミリ受信処理の動作について説明する。
制御装置1は、操作部8からの入力を受けてファクシミリ受信待ち状態となると(ステップ20)、ファクシミリ入出力装置4を監視して受信データがあるか否かをチェックする(ステップ21)。そして、受信データが有る場合には、ファクシミリ入出力制御装置4を通じて発信元に関する情報を受信し(ステップ22)、これによりタイトル情報を作成して表示装置9の画面の所定領域に表示させる(ステップ23)。
・・・
制御装置1は、上述のとおり表示処理と見かけ上においては並行して、継続ページが有るか否かを確認し(ステップ28)、継続ページが有る場合には、ステップ24に戻り、同様の動作を繰り返す。一方、継続するページが無い場合には、受信データの登録が完了したことを後述する表示処理のステップ46へ報告する(ステップ29)。」(4頁左下欄2行目〜右下欄15行目)
ロ.「また第3図は,画像データ受信時のディスプレイ(2)における画面表示を例示したもので,(A)は画像データ受信開始時,(B)は画像データ受信中,(C)は画像データ受信終了時の表示をそれぞれ示す。」(3頁右下欄20行目〜4頁左上欄1行目)

上記周知例1、2の記載を勘案すると、「通信装置において、表示中の画面の一部に通信状況(例えば、通信中または受信中等)を示す表示を行うことは単なる慣用手段である。

4.本件発明1と引用発明との対比・検討
本件発明1と引用発明とを対比すると、本件発明1の「無線通信手段」、「所定の画像を表示する第2のディスプレイ」、「携帯型コミュニケータ」と引用発明の「通信手段」、「第2のディスプレイ」、「コミュニケータ」はそれぞれ「通信手段」、「第2のディスプレイ」、「コミュニケータ」であるという点で一致している。
また、本件発明1の「オン信号を出力するオンスイッチが操作された場合に上記第1のディスプレイと、上記コンピュータを含む全体に電源を供給して、該第1のディスプレイを利用した入出力が行われるアクティブ状態にし、オフ信号を出力するオフスイッチが操作された場合に、上記コンピュータと、上記通信手段とを含む所定の部分にのみ電源を供給して、上記第1のディスプレイを利用した入出力が行われることのない待機状態にする電源コントローラ」と引用発明の「オン信号を出力するオンスイッチが操作された場合に上記第1のディスプレイの表示制御を行い、オフ信号を出力するオフスイッチが操作された場合に、第1のディスプレイの画面を消す制御を行う制御手段」はいずれの構成も「オンオフ信号に伴う電源制御手段」であるという点で一致している。
また、本件発明1の「上記オンスイッチと、上記オフスイッチの操作状態に拘わりなく、上記無線通信手段が受信を待機している受信待機中であるかを繰り返し判断する受信待機中判断手段と、上記オンスイッチの操作がされることによりオン信号が出力されたときから、上記オフスイッチの操作がされることによりオフ信号が出力されるまで、受信待機中であるかどうかを含めた当該携帯型コミュニケータの動作状態を繰り返し調査する現況調査手段と、上記受信待機中判断手段が受信待機中であると判断した場合に、上記第2のディスプレイに画像を用いて受信待機中の表示を行う受信待機中表示手段と、上記現況調査手段が受信待機中であると判断した場合に、上記第1のディスプレイに受信待機中の表示をする手段と、上記受信待機中表示手段による受信待機中の表示とは別に上記第2のディスプレイに画像を用いて蓄電池の電源容量表示をする手段」を備える構成と引用発明の「イベント監視を行い、第2のディスプレイに受信待機中を表示する通信状態表示手段と、第2のディスプレイに通信状態表示手段とは別に電源を表示する電源表示手段」を備える構成は、いずれも「所定の判断をしたときに所定の表示を行う手段」を備えているという点で一致している。
したがって、本件発明1と引用発明は以下の点で一致し、また、相違している。
<一致点>
「公衆通信回線に接続され、該公衆通信回線を経由して音声とデータの発信、または受信を行う通信手段と、
該通信手段に対する制御指令の出力、上記通信手段を経由して上記公衆通信回線からデータを入力、または上記通信手段を経由して上記公衆通信回線にデータを送出する処理を行うコンピュータと、
該コンピュータによって所定の画像を表示する第1のディスプレイと、第2のディスプレイと、
オンオフ信号に伴う電源制御手段と、
上記通信手段と、上記コンピュータと、上記第1のディスプレイと、上記第2のディスプレイとを組み合わせた状態で保持する筺体とを備え、
上記コンピュータは、
所定の判断をしたときに所定の表示を行う手段と、
を備えることを特徴とするコミュニケータ。」

<相違点>
(1)「通信手段」と「コミュニケータ」に関し、本件発明1の「通信手段」と「コミュニケータ」はそれぞれ「無線通信手段」、「携帯コミュニケータ」であるのに対し、引用発明のそれらはそれぞれ単に「通信手段」、「コミュニケータ」である点。
(2)「第2のディスプレイ」に関し、本件発明1の「第2のディスプレイ」は「所定の画像を表示する第2のディスプレイ」であるのに対し、引用発明のそれは単に「第2のディスプレイ」である点。
(3)「オンオフ信号に伴う電源制御手段」に関し、本件発明1の手段は「オン信号を出力するオンスイッチが操作された場合に上記第1のディスプレイと、上記コンピュータを含む全体に電源を供給して、該第1のディスプレイを利用した入出力が行われるアクティブ状態にし、オフ信号を出力するオフスイッチが操作された場合に、上記コンピュータと、上記無線通信手段とを含む所定の部分にのみ電源を供給して、上記第1のディスプレイを利用した入出力が行われることのない待機状態にする電源コントローラ」であるのに対し、引用発明のそれは「オン信号を出力するオンスイッチが操作された場合に上記第1のディスプレイの表示制御を行い、オフ信号を出力するオフスイッチが操作された場合に、第1のディスプレイの画面を消す制御を行う制御手段」である点。
(4)「所定の判断をしたときに所定の表示を行う手段」に関し、本件発明1は「上記オンスイッチと、上記オフスイッチの操作状態に拘わりなく、上記無線通信手段が受信を待機している受信待機中であるかを繰り返し判断する受信待機中判断手段と、上記オンスイッチの操作がされることによりオン信号が出力されたときから、上記オフスイッチの操作がされることによりオフ信号が出力されるまで、受信待機中であるかどうかを含めた当該携帯型コミュニケータの動作状態を繰り返し調査する現況調査手段と、上記受信待機中判断手段が受信待機中であると判断した場合に、上記第2のディスプレイに画像を用いて受信待機中の表示を行う受信待機中表示手段と、上記現況調査手段が受信待機中であると判断した場合に、上記第1のディスプレイに受信待機中の表示をする手段と、上記受信待機中表示手段による受信待機中の表示とは別に上記第2のディスプレイに画像を用いて蓄電池の電源容量表示をする手段」を備える構成であるのに対し、引用発明は「イベント監視を行い、第2のディスプレイに受信待機中を表示する通信状態表示手段と、第2のディスプレイに通信状態表示手段とは別に電源を表示する電源表示手段」を備える構成である点。

そこで、まず、上記相違点(1)の「通信手段」と「コミュニケータ」について検討するに、上記刊行物2の記載によれば、「無線回線によってデータを送受信するコミュニケータ」は周知であり、当該周知技術を引用発明に適用する上での阻害要因は何ら見あたらないから、引用発明の「通信手段」を「無線」を介した「無線通信手段」とする程度のことは当業者であれば単なる設計的事項である。また、装置を無線化することにより「装置」が固定回線を必要としない「携帯型」となることは自明のことであり、「携帯型ファクシミリ」や「携帯型電話」自体も例えば上記刊行物3に記載されているように周知であるから、引用発明の「コミュニケータ」を「携帯型コミュニケータ」とする程度のことも当業者であれば設計的事項である。

ついで、上記相違点(2)の「第2のディスプレイ」について検討するに、上記刊行物4,5の記載によれば、「通信装置(いわゆる「コミュニケータ」)にコンピュータによって所定の画像を表示する第2のディスプレイを設ける」構成は周知であり、当該周知技術を引用発明に適用する上での阻害要因は何ら見あたらないから、引用発明の「第2のディスプレイ」を「所定の画像を表示する第2のディスプレイ」として構成する程度のことは当業者であれば、単なる設計的事項である。

また、上記相違点(3)の「オンオフ信号に伴う電源制御手段」について検討するに、引用発明の「第1のディスプレイの表示制御を行う」ことは、ディスプレイをつける(動作させる、即ちアクティブにする)とともに、画面を含む装置の入出力に応じた表示制御を行う(即ち、コンピュータの少なくとも表示制御および入出力に関する機能等をアクティブにする)ことであり、この状態で装置が有する全機能が使用可能であるか否かは、当業者がその所望に応じていかようにも成し得る、単なる設計的事項であり、「第1のディスプレイの画面を消す」ことは必然的に第1のディスプレイを必要とする機能を使用不可とすることである。また、「送話部の開閉状態等により使用する機能を選択するとともに選択した機能に関連する部分にのみ電源を供給して省電力を計る」ことは、例えば上記刊行物6に開示されているように、単なる慣用手段である。そして、前記設計的事項や慣用手段を引用発明に適用することを阻害する要因は何ら見あたらないから、引用発明の「オン信号を出力するオンスイッチが操作された場合に上記第1のディスプレイの表示制御を行い、オフ信号を出力するオフスイッチが操作された場合に、第1のディスプレイの画面を消す制御を行う制御手段」を本件発明1のように「オン信号を出力するオンスイッチが操作された場合に上記第1のディスプレイと、上記コンピュータを含む全体に電源を供給して、該第1のディスプレイを利用した入出力が行われるアクティブ状態にし、オフ信号を出力するオフスイッチが操作された場合に、上記コンピュータと、上記無線通信手段とを含む所定の部分にのみ電源を供給して、上記第1のディスプレイを利用した入出力が行われることのない待機状態にする電源コントローラ」とする程度のことは容易なことである。

また、上記相違点(4)の「所定の判断をしたときに所定の表示を行う手段」について検討するに、引用発明が「受信待機中判断手段」を備えているかどうか不明であるが、引用発明の通信状態表示装置は、開閉状態と無関係に、イベント監視手段により繰り返し装置の状態を監視し、その結果スタンバイ状態即ち受信待機中を表示するものであるから、当該「イベント監視手段」は「オンスイッチと、オフスイッチの操作状態に拘わりなく、通信手段が受信を待機している受信待機中であるかを繰り返し判断する受信待機中判断手段」として機能している。一方、通信手段を無線通信手段に変更することは、上記相違点(1)で検討したとおり、単なる設計的事項であり、コミュニケータの第2のディスプレイを画像を表示するものに変更することも、上記相違点(2)で検討したとおり、単なる設計的事項である。したがって、引用発明の「イベント監視を行い、第2のディスプレイに受信待機中を表示する通信状態表示手段」を本件発明1のように「上記オンスイッチと、上記オフスイッチの操作状態に拘わりなく、上記無線通信手段が受信を待機している受信待機中であるかを繰り返し判断する受信待機中判断手段」を備え、「該受信待機中判断手段が受信待機中であると判断した場合に、上記第2のディスプレイに画像を用いて受信待機中の表示を行う」構成とする程度のことは上記刊行物1,2,4,5に基づいて、当業者であれば容易に想到し得たものである。
また、引用発明の第2のディスプレイは「受信待機中を表示する通信状態表示手段」と、「通信状態表示手段とは別に電源を表示する電源表示手段」を設けるものであるが、上記刊行物3には「携帯型ファクシミリにおいて、蓄電池の電源容量を検出する電源容量検出手段と、ディスプレイに、上記電源容量検出手段が検出した電源容量の表示を行う電源容量表示手段とを備える」構成が開示されており、また、上記刊行物4には「背面の(即ち、第2の)ディスプレイに画像を用いて蓄電池の電源容量表示をする」構成が開示されている。そして、当該いずれの周知技術も上記引用発明に適用できない理由は見いだせないから、引用発明の電源を「蓄電池」とするとともに電源表示手段を「上記受信待機中表示手段による受信待機中の表示とは別に上記第2のディスプレイに画像を用いて蓄電池の電源容量表示をする手段」に変更する程度のことは当業者であれば、上記刊行物1,3,4,5に基づいて、容易に想到し得たものである。
また、引用発明の「イベント監視」は第1のディスプレイを動作状態にしているとき、即ち、「オンスイッチの操作がされることによりオン信号が出力されたときから、上記オフスイッチの操作がされることによりオフ信号が出力されるまで」の間も行われており、その間、「受信待機中であるかどうかを含めた当該携帯型コミュニケータの動作状態を繰り返し調査」しており、当該機能は本件発明1の「現況調査手段」に相当するものである。したがって、「現況調査手段」を備える点については本件発明1と引用発明の間に実質的な差異はない。
一方、「通信装置において、表示中の画面の一部に通信状況(例えば、通信中または受信中等)を示す表示を行うこと」は上記周知例1、2に開示されているように従来から普通に行われていることであり、第2のディスプレイの他に、第1のディスプレイも表示中であるならば、当該第1のディスプレイでも通信状況の一例である「受信待機中表示」を行うように構成する程度のことは、当業者であれば、必要に応じて任意に採用し得る単なる設計的事項に過ぎないものである。
したがって、相違点(4)にかかる引用発明の「イベント監視を行い、第2のディスプレイに受信待機中を表示する通信状態表示手段と、第2のディスプレイに通信状態表示手段とは別に電源を表示する電源表示手段」を備える構成を、本件発明1のような「上記オンスイッチと、上記オフスイッチの操作状態に拘わりなく、上記無線通信手段が受信を待機している受信待機中であるかを繰り返し判断する受信待機中判断手段と、上記オンスイッチの操作がされることによりオン信号が出力されたときから、上記オフスイッチの操作がされることによりオフ信号が出力されるまで、受信待機中であるかどうかを含めた当該携帯型コミュニケータの動作状態を繰り返し調査する現況調査手段と、上記受信待機中判断手段が受信待機中であると判断した場合に、上記第2のディスプレイに画像を用いて受信待機中の表示を行う受信待機中表示手段と、上記現況調査手段が受信待機中であると判断した場合に、上記第1のディスプレイに受信待機中の表示をする手段と、上記受信待機中表示手段による受信待機中の表示とは別に上記第2のディスプレイに画像を用いて蓄電池の電源容量表示をする手段」を備える構成とする程度のことは当業者であれば容易なことである。
以上のとおり、本件発明1は、上記刊行物1〜6及び周知例1〜2に記載された発明および周知技術ないしは慣用手段を単に寄せ集めたに過ぎないものであり、その効果も個々の構成に基づいて予想される範囲内のものであるから、当業者であれば、上記刊行物1〜6及び周知例1〜2に記載された発明および周知技術ないしは慣用手段に基づいて、容易に想到し得たものである。

5.本件発明2と引用発明との対比・検討
本件発明2と引用発明とを対比すると、本件発明2の「無線通信手段」、「所定の画像を表示する第2のディスプレイ」、「携帯型コミュニケータ」と引用発明の「通信手段」、「第2のディスプレイ」、「コミュニケータ」はそれぞれ「通信手段」、「第2のディスプレイ」、「コミュニケータ」であるという点で一致している。
また、本件発明2の「オン信号を出力するオンスイッチが操作された場合に上記第1のディスプレイと、上記コンピュータを含む全体に電源を供給して、該第1のディスプレイを利用した入出力が行われるアクティブ状態にし、オフ信号を出力するオフスイッチが操作された場合に、上記コンピュータと、上記通信手段とを含む所定の部分にのみ電源を供給して、上記第1のディスプレイを利用した入出力が行われることのない待機状態にする電源コントローラ」と引用発明の「オン信号を出力するオンスイッチが操作された場合に上記第1のディスプレイの表示制御を行い、オフ信号を出力するオフスイッチが操作された場合に、第1のディスプレイの画面を消す制御を行う制御手段」はいずれの構成も「オンオフ信号に伴う電源制御手段」であるという点で一致している。
また、本件発明2の「上記オンスイッチと、上記オフスイッチの操作状態に拘わりなく、上記蓄電池の電源容量を繰り返し検出する電源容量検出手段と、上記オンスイッチの操作がされることによりオン信号が出力されたときから、上記オフスイッチの操作がされることによりオフ信号が出力されるまで、データ受信中かどうかを含めた当該携帯型コミュニケータの動作状態を繰り返し調査する現況調査手段と、上記第2のディスプレイに、上記電源容量検出手段が検出した電源容量の表示を画像を用いて行う電源容量表示手段と、上記現況調査手段がデータ受信中と判断した場合に、上記第1のディスプレイにデータ受信中の表示をする手段と」を備える構成と引用発明の「イベント監視を行い、第2のディスプレイに受信待機中を表示する通信状態表示手段と、第2のディスプレイに通信状態表示手段とは別に電源を表示する電源表示手段と」を備える構成は、いずれも「所定の判断をしたときに所定の表示を行う手段」を備えているという点で一致している。
したがって、本件発明2と引用発明は以下の点で一致し、また、相違している。
<一致点>
「公衆通信回線に接続され、該公衆通信回線を経由して音声とデータの発信、または受信を行う通信手段と、
該通信手段に対する制御指令の出力、上記通信手段を経由して上記公衆通信回線からデータを入力、または上記通信手段を経由して上記公衆通信回線にデータを送出する処理を行うコンピュータと、
該コンピュータによって所定の画像を表示する第1のディスプレイと、第2のディスプレイと、
オンオフ信号に伴う電源制御手段と、
上記通信手段と、上記コンピュータと、上記第1のディスプレイと、上記第2のディスプレイとを組み合わせた状態で保持する筺体とを備え、
上記コンピュータは、
所定の判断をしたときに所定の表示を行う手段と、
を備えることを特徴とするコミュニケータ。」

<相違点>
(1)「通信手段」と「コミュニケータ」に関し、本件発明2の「通信手段」と「コミュニケータ」はそれぞれ「無線通信手段」、「携帯コミュニケータ」であるのに対し、引用発明のそれらはそれぞれ単に「通信手段」、「コミュニケータ」である点。
(2)「第2のディスプレイ」に関し、本件発明2の「第2のディスプレイ」は「所定の画像を表示する第2のディスプレイ」であるのに対し、引用発明のそれは単に「第2のディスプレイ」である点。
(3)「オンオフ信号に伴う電源制御手段」に関し、本件発明2の手段は「オン信号を出力するオンスイッチが操作された場合に上記第1のディスプレイと、上記コンピュータを含む全体に電源を供給して、該第1のディスプレイを利用した入出力が行われるアクティブ状態にし、オフ信号を出力するオフスイッチが操作された場合に、上記コンピュータと、上記無線通信手段とを含む所定の部分にのみ電源を供給して、上記第1のディスプレイを利用した入出力が行われることのない待機状態にする電源コントローラ」であるのに対し、引用発明のそれは「オン信号を出力するオンスイッチが操作された場合に上記第1のディスプレイの表示制御を行い、オフ信号を出力するオフスイッチが操作された場合に、第1のディスプレイの画面を消す制御を行う制御手段」である点。
(4)「所定の判断をしたときに所定の表示を行う手段」に関し、本件発明2は「上記オンスイッチと、上記オフスイッチの操作状態に拘わりなく、上記蓄電池の電源容量を繰り返し検出する電源容量検出手段と、上記オンスイッチの操作がされることによりオン信号が出力されたときから、上記オフスイッチの操作がされることによりオフ信号が出力されるまで、データ受信中かどうかを含めた当該携帯型コミュニケータの動作状態を繰り返し調査する現況調査手段と、上記第2のディスプレイに、上記電源容量検出手段が検出した電源容量の表示を画像を用いて行う電源容量表示手段と、上記現況調査手段がデータ受信中と判断した場合に、上記第1のディスプレイにデータ受信中の表示をする手段」を備える構成であるのに対し、引用発明は「イベント監視を行い、第2のディスプレイに受信待機中を表示する通信状態表示手段と、第2のディスプレイに通信状態表示手段とは別に電源を表示する電源表示手段」を備える構成である点。

そこで、まず、上記相違点(1)〜(3)について検討するに、これらの点は前項の本件発明1と引用発明の相違点(1)〜(3)で検討したとおりである。

ついで、上記相違点(4)の「所定の判断をしたときに所定の表示を行う手段」について検討するに、引用発明の第2のディスプレイは「受信待機中を表示する通信状態表示手段」と、「通信状態表示手段とは別に電源を表示する電源表示手段」を設けるものであるが、引用発明の電源の表示が開閉状態と無関係に行われることは自明のことであり、また、上記刊行物3には「携帯型ファクシミリにおいて、蓄電池の電源容量を検出する電源容量検出手段と、ディスプレイに、上記電源容量検出手段が検出した電源容量の表示を行う電源容量表示手段とを備える」周知の構成が開示されており、また、上記刊行物4には「背面の(即ち、第2の)ディスプレイに画像を用いて蓄電池の電源容量表示をする」(即ち、電源容量を繰り返し検出し、その結果を表示する)周知の構成が開示されている。そして、前記いずれの周知技術も上記引用発明に適用できない理由は見いだせないから、引用発明の電源を「蓄電池」とするとともに「上記オンスイッチと、上記オフスイッチの操作状態に拘わりなく、蓄電池の電源容量を繰り返し検出する電源容量検出手段」を備え、電源表示手段を「第2のディスプレイに、上記電源容量検出手段が検出した電源容量の表示を画像を用いて行う電源容量表示手段」に変更する程度のことは当業者であれば、上記刊行物1,3,4、5に基づいて、容易に想到し得たものである。
また、引用発明の「イベント監視」は第1のディスプレイを動作状態にしているとき、即ち、「オンスイッチの操作がされることによりオン信号が出力されたときから、上記オフスイッチの操作がされることによりオフ信号が出力されるまで」の間も行われており、その間、「当該携帯型コミュニケータの動作状態を繰り返し調査」しており、当該機能は本件発明2の「現況調査手段」に相当するものである。
一方、「通信装置において、表示中の画面の一部に通信状況(例えば、通信中または受信中等)を示す表示を行うこと」は上記周知例1、2に開示されているように従来から普通に行われていることであり、第2のディスプレイの他に、第1のディスプレイも表示中であるならば、当該第1のディスプレイでも通信状況の一例である「データ受信中」の表示を行うように構成する程度のことは、当業者であれば、必要に応じて任意に採用し得る単なる設計的事項に過ぎないものである。また、当該「データ受信中」を表示するためには、「データ受信中」を検出する必要があることは自明のことであるから、上記「現況調査手段」で検出する内容を「データ受信中かどうかを含めた当該携帯型コミュニケータの動作状態」とする程度のことは、当業者であれば、当然に行うべき事項である。
したがって、相違点(4)にかかる引用発明の「イベント監視を行い、第2のディスプレイに受信待機中を表示する通信状態表示手段と、第2のディスプレイに通信状態表示手段とは別に電源を表示する電源表示手段」を備える構成を、本件発明2のような「上記オンスイッチと、上記オフスイッチの操作状態に拘わりなく、上記蓄電池の電源容量を繰り返し検出する電源容量検出手段と、上記オンスイッチの操作がされることによりオン信号が出力されたときから、上記オフスイッチの操作がされることによりオフ信号が出力されるまで、データ受信中かどうかを含めた当該携帯型コミュニケータの動作状態を繰り返し調査する現況調査手段と、上記第2のディスプレイに、上記電源容量検出手段が検出した電源容量の表示を画像を用いて行う電源容量表示手段と、上記現況調査手段がデータ受信中と判断した場合に、上記第1のディスプレイにデータ受信中の表示をする手段」を備える構成とする程度のことは当業者であれば容易なことである。
以上のとおり、本件発明2は、上記刊行物1〜6及び周知例1〜2に記載された発明および周知技術ないしは慣用手段を単に寄せ集めたに過ぎないものであり、その効果も個々の構成に基づいて予想される範囲内のものであるから、当業者であれば、上記刊行物1〜6及び周知例1〜2に記載された発明および周知技術ないしは慣用手段に基づいて、容易に想到し得たものである。

6.結び
以上のとおり、本件発明1〜2は、上記刊行物1〜6及び周知例1〜2に記載された発明ないし周知技術ないしは慣用手段に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明1〜2についての特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、上記結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
携帯型コミュニケータ
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】公衆通信回線に無線によって接続され、該公衆通信回線を経由して音声とデータの発信、または受信を行う無線通信手段と、
該無線通信手段に対する制御指令の出力、上記無線通信手段を経由して上記公衆通信回線からデータを入力、または上記無線通信手段を経由して上記公衆通信回線にデータを送出する処理を行うコンピュータと、
該コンピュータによって所定の画像を表示する第1のディスプレイと、所定の画像を表示する第2のディスプレイと、
オン信号を出力するオンスイッチが操作された場合に上記第1のディスプレイと、上記コンピュータを含む全体に電源を供給して、該第1のディスプレイを利用した入出力が行われるアクティブ状態にし、オフ信号を出力するオフスイッチが操作された場合に、上記コンピュータと、上記無線通信手段とを含む所定の部分にのみ電源を供給して、上記第1のディスプレイを利用した入出力が行われることのない待機状態にする電源コントローラと、
上記無線通信手段と、上記コンピュータと、上記第1のディスプレイと、上記第2のディスプレイとを組み合わせた状態で保持する筺体とを備え、
上記コンピュータは、
上記オンスイッチと、上記オフスイッチの操作状態に拘わりなく、上記無線通信手段が受信を待機している受信待機中であるかを繰り返し判断する受信待機中判断手段と、
上記オンスイッチの操作がされることによりオン信号が出力されたときから、上記オフスイッチの操作がされることによりオフ信号が出力されるまで、受信待機中であるかどうかを含めた当該携帯型コミュニケータの動作状態を繰り返し調査する現況調査手段と、
上記受信待機中判断手段が受信待機中であると判断した場合に、上記第2のディスプレイに画像を用いて受信待機中の表示を行う受信待機中表示手段と、
上記現況調査手段が受信待機中であると判断した場合に、上記第1のディスプレイに受信待機中の表示をする手段と、
上記受信待機中表示手段による受信待機中の表示とは別に上記第2のディスプレイに画像を用いて蓄電池の電源容量表示をする手段と、
を備えることを特徴とする携帯型コミュニケータ。
【請求項2】公衆通信回線に無線によって接続され、該公衆通信回線を経由して音声とデータの発信、または受信を行う無線通信手段と、
該無線通信手段に対する制御指令の出力、上記無線通信手段を経由して上記公衆通信回線からデータを入力、または上記無線通信手段を経由して上記公衆通信回線にデータを送出する処理を行うコンピュータと、
該コンピュータによって所定の画像を表示する第1のディスプレイと、所定の画像を表示する第2のディスプレイと、
オン信号を出力するオンスイッチが操作された場合に上記第1のディスプレイと、上記コンピュータを含む全体に蓄電池から電源を供給して、該第1のディスプレイを利用した入出力が行われるアクティブ状態にし、オフ信号を出力するオフスイッチが操作された場合に、上記コンピュータと、上記無線通信手段とを含む所定の部分にのみ上記蓄電池から電源を供給して、上記第1のディスプレイを利用した入出力が行われることのない待機状態にする電源コントローラと、
上記無線通信手段と、上記コンピュータと、上記第1のディスプレイと、上記第2のディスプレイとを組み合わせた状態で保持する筺体とを備え、
上記コンピュータは、
上記オンスイッチと、上記オフスイッチの操作状態に拘わりなく、上記蓄電池の電源容量を繰り返し検出する電源容量検出手段と、
上記オンスイッチの操作がされることによりオン信号が出力されたときから、上記オフスイッチの操作がされることによりオフ信号が出力されるまで、データ受信中かどうかを含めた当該携帯型コミュニケータの動作状態を繰り返し調査する現況調査手段と、
上記第2のディスプレイに、上記電源容量検出手段が検出した電源容量の表示を画像を用いて行う電源容量表示手段と、
上記現況調査手段がデータ受信中と判断した場合に、上記第1のディスプレイにデータ受信中の表示をする手段と、
を備えることを特徴とする携帯型コミュニケータ。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、携帯型コミュニケータの構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、携帯型の情報伝達装置として、無線呼出装置や無線電話装置が用いられている。
無線呼出装置は、呼出信号やメッセージを受信して、ビープ音を出力したり、或いはメッセージをディスプレイに表示する機能を有する。
【0003】
無線電話装置は、公衆通信回線を経由して発信、又は受信する機能を有する。
無線電話装置は、通話に用いられたり、或いはFAX装置や携帯型のパーソナルコンピュータに接続される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
この様な従来の情報伝達装置では、携帯して所望の情報伝達を行うことができなかった。例えば、無線電話装置を携帯すれば、電話の通話は可能であるが、ワードプロセッサーのデータやファクシミリのデータを送受する事は、できなかった。また、無線電話装置と、携帯型コンピュータと、携帯型ファクシミリ装置を持ち歩けばほぼ上記の情報の伝達は可能であるが、現実的ではなかった。
【0005】
本発明は、上記の問題を解決することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明の携帯型コミュニケータは、公衆通信回線に無線によって接続され、該公衆通信回線を経由して音声とデータの発信、または受信を行う無線通信手段と、該無線通信手段に対する制御指令の出力、上記無線通信手段を経由して上記公衆通信回線からデータを入力、または上記無線通信手段を経由して上記公衆通信回線にデータを送出する処理を行うコンピュータと、該コンピュータによって所定の画像を表示する第1のディスプレイと、所定の画像を表示する第2のディスプレイと、オン信号を出力するオンスイッチが操作された場合に上記第1のディスプレイと、上記コンピュータを含む全体に電源を供給して、該第1のディスプレイを利用した入出力が行われるアクティブ状態にし、オフ信号を出力するオフスイッチが操作された場合に、上記コンピュータと、上記無線通信手段とを含む所定の部分にのみ電源を供給して、上記第1のディスプレイを利用した入出力が行われることのない待機状態にする電源コントローラと、上記無線通信手段と、上記コンピュータと、上記第1のディスプレイと、上記第2のディスプレイとを組み合わせた状態で保持する筺体とを備え、上記コンピュータは、上記オンスイッチと、上記オフスイッチの操作状態に拘わりなく、上記無線通信手段が受信を待機している受信待機中であるかを繰り返し判断する受信待機中判断手段と、上記オンスイッチの操作がされることによりオン信号が出力されたときから、上記オフスイッチの操作がされることによりオフ信号が出力されるまで、受信待機中であるかどうかを含めた当該携帯型コミュニケータの動作状態を繰り返し調査する現況調査手段と、上記受信待機中判断手段が受信待機中であると判断した場合に、上記第2のディスプレイに画像を用いて受信待機中の表示を行う受信待機中表示手段と、上記現況調査手段が受信待機中であると判断した場合に、上記第1のディスプレイに受信待機中の表示をする手段と、上記受信待機中表示手段による受信待機中の表示とは別に上記第2のディスプレイに画像を用いて蓄電池の電源容量表示をする手段と、を備えることを要旨とする。
【0007】
請求項2の発明の携帯型コミュニケータは、公衆通信回線に無線によって接続され、該公衆通信回線を経由して音声とデータの発信、または受信を行う無線通信手段と、該無線通信手段に対する制御指令の出力、上記無線通信手段を経由して上記公衆通信回線からデータを入力、または上記無線通信手段を経由して上記公衆通信回線にデータを送出する処理を行うコンピュータと、該コンピュータによって所定の画像を表示する第1のディスプレイと、所定の画像を表示する第2のディスプレイと、オン信号を出力するオンスイッチが操作された場合に上記第1のディスプレイと、上記コンピュータを含む全体に蓄電池から電源を供給して、該第1のディスプレイを利用した入出力が行われるアクティブ状態にし、オフ信号を出力するオフスイッチが操作された場合に、上記コンピュータと、上記無線通信手段とを含む所定の部分にのみ上記蓄電池から電源を供給して、上記第1のディスプレイを利用した入出力が行われることのない待機状態にする電源コントローラと、上記無線通信手段と、上記コンピュータと、上記第1のディスプレイと、上記第2のディスプレイとを組み合わせた状態で保持する筺体とを備え、上記コンピュータは、上記オンスイッチと、上記オフスイッチの操作状態に拘わりなく、上記蓄電池の電源容量を繰り返し検出する電源容量検出手段と、上記オンスイッチの操作がされることによりオン信号が出力されたときから、上記オフスイッチの操作がされることによりオフ信号が出力されるまで、データ受信中かどうかを含めた当該携帯型コミュニケータの動作状態を繰り返し調査する現況調査手段と、上記第2のディスプレイに、上記電源容量検出手段が検出した電源容量の表示を画像を用いて行う電源容量表示手段と、上記現況調査手段がデータ受信中と判断した場合に、上記第1のディスプレイにデータ受信中の表示をする手段と、を備えることを要旨とする。
【0009】
【作用】
本発明の請求項1の携帯型コミュニケータは、オンスイッチが操作された場合に、電源が無線通信手段と、コンピュータと、第1のディスプレイと、第2のディスプレイとを組み合わせた状態で保持する筺体の全体に供給される。これにより、第1のディスプレイと、コンピュータと、無線通信手段とを含む全体がアクティブ状態になって、無線通信手段が公衆通信回線に無線によって接続され、この公衆通信回線を経由して音声とデータの発信、または受信が行われ、コンピュータがその無線通信手段に対する制御指令の出力、無線通信手段を経由して公衆通信回線からデータを入力、または無線通信手段を経由して公衆通信回線にデータを送出する処理を行い、第1のディスプレイと、第2のディスプレイとが、コンピュータによって所定の画像を表示する。これによって、第1のディスプレイを利用した入出力が可能になる。
【0010】
このアクティブ状態は、オフスイッチが操作されることで、終了する。
オフスイッチが操作された場合、或いはオンスイッチが操作されるまでは、コンピュータと、無線通信手段とを含む所定の部分にのみ電源が供給される。これにより、第1のディスプレイを利用した入出力が行われることのない待機状態になるが、コンピュータが備える受信待機中判断手段によって、無線通信手段が受信を待機している受信待機中であると判断された場合に、受信待機中表示手段によって第2のディスプレイに受信待機中の表示が行われる。
【0011】
これにより、筺体の全体に電源が供給されることのない待機状態でも受信待機中の確認が可能になり、携帯型コミュニケータの動作状態のモニタが常時可能になる。
本発明の請求項2の携帯型コミュニケータは、オンスイッチが操作された場合に、蓄電池から供給を受けた電源が無線通信手段と、コンピュータと、第1のディスプレイと、第2のディスプレイとを組み合わせた状態で保持する筺体の全体に供給される。これにより、第1のディスプレイと、コンピュータと、無線通信手段とを含む全体がアクティブ状態になって、無線通信手段が公衆通信回線に無線によって接続され、この公衆通信回線を経由して音声とデータの発信、または受信が行われ、コンピュータがその無線通信手段に対する制御指令の出力、無線通信手段を経由して公衆通信回線からデータを入力、または無線通信手段を経由して公衆通信回線にデータを送出する処理を行い、第1のディスプレイと、第2のディスプレイとが、コンピュータによって所定の画像を表示する。これによって、第1のディスプレイを利用した入出力が可能になる。
【0012】
このアクティブ状態は、オフスイッチが操作されることで、終了する。
オフスイッチが操作された場合、或いはオンスイッチが操作されるまでは、コンピュータと、無線通信手段とを含む所定の部分にのみ蓄電池から供給を受けた電源が供給される。これにより、第1のディスプレイを利用した入出力が行われることのない待機状態になるが、電源容量検出手段が検出した蓄電池の電源容量が電源容量表示手段によって、第2のディスプレイに表示される。
【0013】
これにより、筺体が保持する全体に蓄電池からの電源が供給されることのない待機状態でも、電源容量の確認が可能になり、携帯型コミュニケータの動作状態のモニタが常時可能になる。
【0016】
【実施例】次の本発明の一実施例を説明する。図1、図2は、パーソナルコミュニケータ1の斜視図、図3は、そのブロック図である。
パーソナルコミュニケータ1は、ペン入力デバイス3と、本体5と、無線電話装置7とを備えている。ペン入力デバイス3は、収容枠9に保持されており、収容枠9と本体5とは、連結部11で矢印YY方向に開閉可能に連結されている。収容枠9と、本体5との間には、図1に示す開いた状態の保持と、図2に示す閉じた状態の保持とを行なう図示しない保持機構が設けられている。
【0017】
収容枠9には、マイク13と、ディスプレイ15と、オンスイッチ17と、オフスイッチ19とがペン入力デバイス3の近傍に取り付けられている。マイク13の近傍には、「マイク」レタリング13Aが施されており、オンスイッチ17の近傍には「オン」レタリング17A、オフスイッチ19の近傍には「オフ」レタリング19Aが施されている。オンスイッチ17と、オフスイッチ19とは、各々2個のスイッチパネル17AA、17BB、19AA、19BBを備えている。これらは、収容枠9の表面より3ミリメートル凹状態で配設されている。スイッチパネル17AAと、17BBとは、両方ともほぼ同時に操作された場合にオン信号を出力する。スイッチパネル19AAと、19BBとは、両方ともほぼ同時に操作された場合に、オフ信号を出力する。これにより、携帯時に誤って手などが触れることによる誤操作が防止される。
【0018】
無線電話装置7と、本体5とは、収容箱21に収容されている。収容箱21には、CPU23と、音声解析プロセッサ24と、ROM25と、RAM27と、EEPROM29と、ペン入力コントローラユニット31と、入力インタフェース33と、蓄電池35と、電源ソケット37、39と、電話コントローラ41と、音声信号発生ユニット43と、入出力コントローラ45と、イヤー通話コントローラ47と、イヤー通話器49と、スピーカ51と、スピーカオンスイッチ52と、ディスプレイコントローラ53と、入力ペン55と、入力ペン収納孔57と、ペン取り出しボタン59と、出力インタフェース61と、モニタランプ63と、モニタスピーカ65と、アッテネータ66と、電話出力コントローラ67と、電話出力コネクタ69と、データ入出力コントローラ71と、データ入出力コネクタ73と、内蔵アプリケーションコネクタ74と、カードコネクタ75、77と、カード収納部79と、電源コントローラ81と、スピーカ収納部83と、イヤー通話器収納具85と、足87と、無線電話ユニット89と、アンテナ91と、アンテナ収納部93とが備えられている。
【0019】
内蔵アプリケーションコネクタ74には、アプリケーションソフトウエアROM94が差し込まれる。アプリケーションソフトウエアROM94には、ワードプロセッサソフトと、データベースソフトと、コミュニケータセンタソフトとが格納されている。これらは、後述する。
【0020】
カード収納部79には、アプリケーションソフトウエアカード95、97が収納される。アプリケーションソフトウエアカード95、97は、カードコネクタ75、77に接続される。電話出力コネクタ69には、電話ケーブル99が接続される。電話ケーブル99は、ファクシミリ装置101に接続される。データ入出力コネクタ73には、データ出力ケーブル103が接続される。データ出力ケーブル103は、パーソナルコンピュータ105に接続される。
【0021】
無線電話装置7は、無線電話ユニット89と、イヤー通話コントローラ47と、入出力コントローラ45と、イヤー通話器49と、スピーカ51と、マイク13と、アンテナ91とから構成されており、図示しない無線電話網との間で、発信、及び受信を行う機能を有する。電話コントローラ41は、CPU23からの指令に基づいて、入出力コントローラ45と、無線電話ユニット89とを制御する。音声信号発生ユニット43は、CPU23からの指令に基づいて所定の音声を合成し、入出力コントローラ45を経由して無線電話ユニット89に出力する。
【0022】
入力インタフェース33は、蓄電池35の電圧を検出する。電源コントローラ81は、オンスイッチ17が操作された場合には、パーソナルコミュニケータ1全体に電源を供給してアクティブ状態にし、オフスイッチ19が操作された場合には、パーソナルコミュニケータ1の所定の部分にのみ電源を供給して、待機状態にする。
【0023】
ペン入力デバイス3は、液晶ディスプレイ3Aと、センサ層3Bとを備えている。液晶ディスプレイ3Aは、ペン入力コントローラ31と接続されており、表示面3Cに所定の画像データを表示する。センサ層3Bは、ペン入力コントローラ31に接続されており、液晶ディスプレイ3Aの下に配設されて、入力ペン55のペン先55Aの位置を検出する。入力ペン55は、ペン先55Aの近傍に図示しないコイルが設けられている。入力ペン55は、クリック/ドラッグ用のボタン55Bを備えている。ペン入力デバイス3と、入力ペン55とは、周知の電磁授受方式によって、ペン入力での位置を検出する。ペン入力デバイス3は、ROM25内に格納されているペン入力デバイスによって、キーボードを用いることなく文字入力の機能と、ポインティングデバイスの機能とを有する。
【0024】
スピーカ51は、図1に示すように、スピーカ本体51Aと、支持部材51Bと、連結部材51Cとを備えている。スピーカ本体51Aと、支持部材51Bとは、連結部材51Cによって矢印YA、YB方向に回動可能に連結されている。スピーカ本体51Aと、支持部材51Bとは、矢印YC方向に押されることによって、スピーカ収納部83に収納される。また、スピーカ51は、スピーカオンスイッチ52に接続されており、矢印YD方向に引き出されると、「オフ」状態から「オン」状態に切り替わる。支持部材51Bは、図示しない排出機構に連結されており収納状態で、「押」レタリング部51Dを矢印YC方向に押し込むと、スピーカ本体51Aを使用位置まで飛び出させる。図示しない排出機構には、スピーカオンスイッチ52の図示しない操作リンクが取り付けられている。
【0025】
イヤー通話器49は、使用しない場合には、イヤー通話器収納具85に収納されている。また、使用する場合には、引き出されて使用される。これは、使用後、指掛け孔85Bに指を掛けて、矢印85Aに従ってイヤー通話機収納具85を回動すると、収納される。
【0026】
アンテナ91は、通常、アンテナ収納部93に収納されている。また、特に電波状態を向上させる場合には、引き出して用いる。このため、矢印YE、YF方向の移動自由度と、矢印YH、YG方向への回動性とを備えている。
入力ペン55は、図2に示すように、使用しない場合は、入力ペン収納孔57内に格納されている。ペン取り出しボタン59は、押し込まれると、入力ペン55を飛び出させる図示しない排出機構に連結されている。
【0027】
ROM25は、制御プログラムや変数テーブルを格納している。EEPROM29は、設定値や指定値などを保持する。
次にCPU23によって実行される制御を説明する。
図4は、ディスプレイ15の表示状態の説明図、図5は、ディスプレイ制御の説明図、図6は、ディスプレイ制御処理ルーチンのフローチャートである。
【0028】
図4の(A)に示すように、ディスプレイ15の表示面15Aは、電源残量表示領域15Bと、動作状態表示領域15Cとを備えている。電源残量表示領域15Bは、「電源」表示15Dと、「0%」表示15Eと、「100%」表示15Fと、残量表示15Gとを備えている。残量表示15Gは、蓄電池35の残量を棒グラフ表示する。動作状態表示領域15Cは、図5に示す(A)〜(K)のような種類の表示態様を有する。
【0029】
図6に示すディスプレイ制御処理はCPU23によって所定時間毎に実行される。まず、電源容量検出が行われる(ステップ100、以後ステップをSと記す)。電源容量は、入力インタフェース33を介して入力した蓄電池35の電圧に基づいて検出する。次いで、電源容量表示を行う(S110)。表示は、残量表示15Gにより行う。例えば、電源容量が100%であれば、図4の(A)に示すように表示し、80%であれば、図4の(B)に示すように表示する。
【0030】
次に、受信待機中かを判断する(S120)。受信待機中は、RAM27の所定エリアに設定される受信待機中フラグのセット状態によって判断する。受信待機中でなければそのまま次の処理に移行し、受信待機中であれば受信待機中表示を行う(S130)。受信待機中表示では、ディスプレイ15に図5の(A)、又は(I)、(J)、(K)に示した表示を行う。
【0031】
次いで、FAX受信中かの判断を行う(S140)。FAX受信中は、FAX受信中フラグによって行う。FAX受信中であれば、FAX受信中表示を行う(S150)。FAX受信中表示は、図5の(B)に示すように行う。
以後、同様にデータ受信中であれば(S160)、図5の(C)のようなデータ受信中表示(S170)、FAX送信中であれば(S180)、図5の(D)のようなFAX送信中表示(S190)、呼出中であれば(S200)、図5の(E)のような呼出中表示(S210)、データ送信中であれば(S220)、図5の(F)のようなデータ送信中表示(S230)、通話中であれば(S240)、図5の(G)のような通話表示(S250)、留守録中であれば(S260)、図5の(H)のような留守録中表示(S270)を行なう。
【0032】
次に、データ格納量を検出する(S280)。データ格納量としては、留守録のデータ格納量と、受信FAXのデータ格納量と、受信データのデータ格納量とを検出する。次いで、データ格納量表示を行う(S290)。留守録の格納量は、図5の(I)に示すように、FAXの格納量は、図5の(J)に示すように、受信データの格納量は、図5の(K)で示すように行う。
【0033】
以上のディスプレイ制御は、オンスイッチ17、オフスイッチ19の操作状態に拘りなく常時行われる。これにより、パーソナルコミュニケータ1の動作状態を常時モニタすることができる。
図7はモニタ制御処理ルーチンのフローチャートである。CPU23によって所定時間毎に実行される。まず、受信中かの判断を行う(S300)。受信中であれば、受信表示を行う(S310)。受信表示は、モニタランプ63をグリーン点灯させるとともに、モニタスピーカ65に受信音を出力させる。受信音の音量は、アッテネータ66によって調整される。
【0034】
次いで、送信中の判断を行なって(S320)、送信中であれば送信表示を行う(S330)。送信表示は、モニタランプ63をレッド点灯させるとともに、モニタスピーカ65に送信音を出力させる。
次に、異常であるかを判断し(S340)、異常であれば異常表示を行う(S350)。異常は、メモリがフルの状態や蓄電池35の電圧低下などの各種異常を検出する。表示は、モニタランプ63をグリン、レッド交互点灯するとともに、モニタスピーカ65に警報音を出力させる。
【0035】
以上に説明したモニタ制御により、パーソナルコミュニケータ1の作動状態をモニタすることができる。
図8は、パーソナルコミュニケータ1の待機、及び充電状態の使用状態図である。これに示す状態で使用している場合に、モニタランプ63とモニタスピーカ65とによって、パーソナルコミュニケータ1の状況を一瞬で把握することができる。パーソナルコミュニケータ1は、足87を下にして、図8に示すように台110上に立てての待機状態、及び外部電源装置111による充電電力の供給を受ける。
【0036】
図9は、コミュニケータ制御処理ルーチンのフローチャート、図10は、現況報告画面の説明図である。
コミュニケータ制御処理ルーチンは、オンスイッチ17からオン信号が出力されたときCPU23によって起動され、次にオフスイッチ19からオフ信号が出力されるまで繰り返し実行される。まず、現況調査が行われ(S400)、次いで現況報告画面表示が実行される(S410)。図10がペン入力デバイス3の表示面3Cに表示される現況報告画面の一例である。現況報告画面には、現況報告表示121と、動作状態表示領域123と、メモリ残量表示125と、FAXデータ格納量表示127と、データ格納量表示129と、留守録格納量表示131と、FAXメニュー表示133と、データメニュー表示135と、電話メニュー表示137と、アプリケーションメニュー表示139と、設定メニュー表示141とが表示されている。動作状態表示領域123には、「受信待機中」、「FAX受信中」、「データ受信中」、「FAX送信中」、「呼出中」、「データ送信中」、「通話」、または「留守録中」の何れかが表示される。
【0037】
メモリ残量表示125では、FAX、データ、留守録の格納可能メモリ残量をパーセント表示する。
次いで判断を行う(S420)。判断では、入力ペン55による項目の選択を待機する。
【0038】
ここで、FAXメニュー表示133が選択された場合には、次にFAX処理を行う(S430)。各処理については、後述する。電話メニュー表示137が選択された場合には、電話処理を行う(S440)。データメニュー表示135が選択された場合には、データ処理を行う(S450)。アプリケーションメニュー表示139が選択された場合には、アプリケーション処理を行う(S460)。設定メニュー表示141が選択された場合には、設定処理を行う(S470)。
【0039】
図11は、FAX処理ルーチンのフローチャート、図12は、文書入力画面の説明図である。
図11のFAX処理ルーチンは、図9のS430の内容を示す。FAX処理ルーチンが起動されると、まず文書入力画面が表示される(S500)。文書入力画面は、図12に一例を示すように、メニュー領域151と、文書入力領域153とを備えている。メニュー領域151には、FAXメニュー表示155と、FAX送信表示157と、受信FAX表示表示159と、中止表示161とが表示されている。文書入力領域153は、始めは無地状態である。
【0040】
文書入力画面の表示後、判断が行われる(S510)。判断では、文字入力が選択されたか、FAXメニュー表示155が選択されたか、FAX送信表示157が選択されたか、受信FAX表示表示159が選択されたか、あるいは中止表示161が選択されたかを見る。ここで、文字入力の選択とは、図12に示すように、入力ペン55によって、文書入力領域153を選択した場合である。
【0041】
文字入力が選択された場合には、次に文書処理が行われる(S520)。文書処理は、ペン入力コンピュータの文書入力機能の主要部分を占めるものであって、まず入力ペン55によって指示された点、例えば点162に、カーソル163を表示する。次いで、ペン入力領域枠165の表示を行う。ペン入力領域枠165の表示後、ペン入力を待機する。ここで、図12に示すように、例えば平仮名入力があれば、それをなぞってペン入力領域枠165内に表示する。この後、入力ペン55によって、変換表示167が選択されるのを待って、辞書変換を行い、その変換後の文章をカーソル163の位置に表示する。また、再度、変換表示167が選択された場合には、第2候補の辞書変換を行う。変換文章は、次のペン入力があると確定される。また、削除表示169が選択されると、文書入力領域153内の文字やペン入力の軌跡を削除する処理が行われる。軌跡表示171が選択されると、文書入力領域153における入力ペン55の軌跡がそのまま入力される。文書入力領域153に表示されている画像は、RAM27内のFAXデータメモリ27Aに格納されている。
【0042】
S510の判断において、FAXメニュー表示155が選択された場合には、次にFAXメニュー処理を行い(S530)、FAX送信表示157が選択された場合には、次にFAX送信処理を行い(S540)、受信FAX表示表示159が選択された場合には、次に受信FAX表示処理を行う(S550)。詳細は後述する。また、中止表示161が選択された場合には、本ルーチンをそのまま一旦終了する。
【0043】
図13は、FAXメニュー処理ルーチンのフローチャート、図14は、FAXメニュー画面の説明図である。
FAXメニュー処理が起動されると、まずFAXメニュー画面の表示が行われる(S600)。FAXメニュー画面は、図14に一例を示すように、メニュー領域181と、文書選択領域183とを備えている。メニュー領域181には、次ページ表示185と、FAX送信表示187と、受信FAX表示表示189と、中止表示191と、削除表示193とが表示されている。文書選択領域183には、文書一覧195が設けられており、文書一覧195には、文書名表示197が表示されている。
【0044】
FAXメニュー画面の表示後、判断が行われる(S610)。判断では、文書選択が行われたか、あるいは次ページ表示185が選択されたか、FAX送信表示187が選択されたか、受信FAX表示表示189が選択されたか、中止表示191が選択されたか、削除表示193が選択されたかを判断する。
【0045】
ここで、文書選択、つまり何れかの文書名表示197が選択された場合には、次に文書処理を行う(S630)。文書処理では、まず図12に示した、文書入力画面を表示するとともに、選択された文書名表示197の文書ファイル27Bに格納されている文書データを文書入力領域153に表示する。文書ファイル27Bは、RAM27内に設定されている。以後、この表示された文書データに対して、既述したS520とほぼ同様の文書処理が行われる。つまり、予め用意していた文章を編集して、用いることができる。
【0046】
S610の判断で、次ページ表示185が選択された場合には、ページ変更処理が実行される。ページ変更処理では、文書一覧195が次ページに変更される。
判断で、FAX送信表示187が選択された場合には、FAX送信処理が実行され(S640)、受信FAX表示表示189が選択された場合には、受信FAX表示処理が実行され(S650)、削除表示193が選択された場合には、削除処理が実行される(S660)。また、中止表示191が選択された場合には、本ルーチンは、そのまま一旦終了される。
【0047】
図15は、FAX送信処理ルーチンのフローチャート、図16は、FAX送信画面の説明図である。FAX送信処理が起動されると、まずFAX送信画面の表示が行われる(S700)。FAX送信画面は、図16に一例を示すように、メニュー領域201と、送信条件選択領域203とを備えている。メニュー領域201には、設定表示205と、中止表示207とが表示されている。送信条件選択領域203には、送信先選択表示209と、送信時間選択表示211と、送信先一覧213と、送信時間一覧215とが設けられており、送信先一覧213には、送信先名217が表示され、送信時間一覧215には、送信時間名219が表示されている。
【0048】
FAX送信画面の表示後、判断が行われる(S710)。判断では、送信先選択が行われたか、送信時間選択が行われたか、設定表示205の選択が行われたか、あるいは中止表示207の選択が行われたかを判断する。ここで送信先選択、すなわち、何れかの送信先名217が選択された場合には、次に送信番号設定処理を実行する(S720)。送信番号設定処理では、まず選択された送信先名217に設定されている電話番号を、RAM27内の送信番号メモリ27Cにセットする処理を行う。セット後、判断処理に戻る。
【0049】
判断処理で、送信時間選択、すなわち、何れかの送信時間名219が選択さている場合には、次に送信時間設定処理を実行する(S730)。送信時間設定処理では、まず選択された送信時間名219に設定されている送信時間をRAM27内の送信時間メモリ27Dにセットする処理を行う。
【0050】
セット後、次に設定された送信時間が即時かを判断し(S740)、即時でなければ、そのまま本ルーチンを一旦終了する。送信時間が即時であれば、次にFAX送信を実行する(S750)。FAX送信処理は、無線電話装置7によって、RAM27内のFAXデータメモリ27Aに格納されているFAXデータを、送信番号メモリ27Cに設定されている送信先に、ファクシミリ送信する処理を行う。これにより、ペン入力デバイス3によって入力した、文章や画像を、その場で、所望の先方にファクシミリ送信することができる。なお、即時送信でない場合は、後述する。
【0051】
S710の判断で、設定表示205が選択された場合には、次にFAX設定処理が実行される(S760)。FAX設定処理では、用紙の大きさ、ファクシミリの規格、送信先の追加、変更、送信時間の追加、変更を、図示しないFAX設定処理ルーチンによって、行う。つまり、予め設定しておくべき送信条件が設定される。
【0052】
判断で、中止表示207が選択された場合には、本ルーチンをそのまま一旦終了する。
図17は、受信FAX表示処理ルーチンのフローチャート、図18は、受信FAX一覧画面の説明図である。受信FAX表示処理が起動されると、まず受信FAX一覧画面表示が行われる(S800)。受信FAX一覧画面は、図18に一例を示すように、メニュー領域221と、受信FAX選択領域223とを備えている。メニュー領域221には、データ出力表示225と、中止表示227とが示されている。受信FAX選択領域223には、受信FAX一覧表示229と、受信FAX一覧231とが設けられており、受信FAX一覧231には、受信FAX名233が表示されている。
【0053】
受信FAX一覧画面の表示後、判断が行われる(S810)。判断では、選択が行われたか、データ出力表示225が選択されたか、あるいは中止表示227が選択されたかを判断する。
ここで何れかの受信FAX名233が選択された場合には、次に受信FAX表示処理を実行する(S820)。受信FAX表示処理では、受信FAX名233に対応する受信FAXデータメモリ27Eの格納内容を、ペン入力デバイス3に画像表示する。
【0054】
判断で、データ出力表示225が選択された場合には、データ出力処理を実行する(S830)。データ出力処理では、図示しないデータ出力画面を表示して、出力方法の選択を求め、選択された方法で受信FAXデータメモリ27Eの格納内容を出力する。例えば、電話出力コネクタ69を経由して、他のファクシミリ装置に出力したり、データ入出力コネクタ73を経由して、他のコンピュータ装置に出力する。ファクシミリ装置に出力することにより、用紙への印刷が実行される。
【0055】
判断で、中止表示227が選択された場合には、本ルーチンは、そのまま一旦終了する。
以上に説明した受信FAX表示処理により、無線電話装置7を経由して受信し、受信FAXデータメモリ27Eに格納されている受信FAXデータを、表示したり、外部に出力して印刷したりすることができる。
【0056】
図19は、削除処理ルーチンのフローチャートである。削除処理ルーチンが起動されると、まずFAX一覧画面の表示が行われる(S900)。図示しないFAX一覧画面には、FAXデータメモリ27Aの格納内容と、受信FAXデータメモリ27Eの格納内容とを示すデータ名が表示される。次いで、選択されたFAXを削除する処理を行う(S910)。選択されたFAXを削除する処理では、図示しないFAX一覧画面上で、入力ペン55によって選択されたデータ名に対応する格納データを削除する処理を行う。
【0057】
本削除処理により、送信用、又は受信したFAXデータで、不要になったものを削除することができる。
以上に説明した図9のコミュニケータ制御のFAX処理(S430)により、FAXの送信データの作成、送信、表示を入力ペン55の操作だけで行うことができる。
【0058】
図20は、電話処理ルーチンのフローチャート、図21は、電話メニュー画面の説明図、図22は、メッセージ選択画面の説明図、図23は、設定処理ルーチンのフローチャート、図24は、留守録表示処理ルーチンのフローチャートである。
【0059】
電話処理が起動されると、まず電話メニュー画面の表示が行われる(S1000)。電話メニュー画面は、図21に一例を示すように、メニュー領域241と、発信選択領域243とを備えている。メニュー領域241には、設定表示245と、留守録表示表示247と、中止表示249とが表示されている。発信選択領域243には、発信先選択(次ページ)表示251と、発信先一覧253と、発信条件表示254と、発信条件一覧255とが設けられており、発信先一覧253には、発信先名257が表示されており、発信条件一覧255には、発信条件名259が表示されている。
【0060】
電話メニュー画面の表示後、次に判断を行う(S1010)。判断では、何れかの発信先名257が選択されたか、設定表示245が選択されたか、留守録表示表示247が選択されたか、中止表示249が選択されたかを判断する。
ここで、何れかの発信先名が選択された場合には、次の判断を行う(S1020)。この判断では、発信条件名259の中から、即時表示261が選択されたか、メッセージ送信表示263が選択されたか、あるいは設定表示245、留守録表示表示247、中止表示249が選択されたかを判断する。ここで、即時表示261が選択された場合には、電話発信が行われる(S1030)。電話発信では、S1010で選択された発信先に電話を発信する。これにより、先方との通話が可能になる。
【0061】
判断において、メッセージ送信表示263が選択された場合には、次にメッセージ選択画面を表示する(S1040)。メッセージ選択画面は、図22に一例を示すように、メニュー領域271と、メッセージ選択領域273とが表示されている。メニュー領域271には、電話発信表示275と、中止表示277とが表示されている。メッセージ選択領域273には、メッセージ選択表示279と、メッセージ一覧281とが設けられており、メッセージ一覧281には、メッセージ名283が表示されている。
【0062】
メッセージ選択画面の表示後、次に判断を行う(S1050)。判断では、中止表示277が選択されたか、あるいは何れかのメッセージ名283が選択されたかを判断する。ここで、中止表示277が選択された場合には、本ルーチンを一旦終了し、何れかのメッセージ名283が選択された場合には、次に選択されたメッセージ名283に対応する内容を表示する。ここでの表示画面の図示は省略する。表示される内容は、RAM27内のメッセージデータメモリ27Fに格納されている。メッセージデータメモリ27Fの内容は、図示しないメッセージ内容追加、変更ルーチンによって、入力ペン55を用いて、予め格納される。
【0063】
内容の表示後、判断が行われる(S1070)。判断で、図示しない電話発信表示が選択された場合には、電話発信を行う(S1030)。ここでの電話発信では、先方への接続後、選択されたメッセージが音声で、自動的に出力される。ここで、先方から応答があった場合には、その音声データが受信電話録音メモリ27Gに、格納される。この内容は、図示しない受信電話録音再生処理により、再生される。
【0064】
判断で、図示しない中止表示が選択された場合には、そのまま本ルーチンを一旦終了する。これにより、メッセージ送信は、中止される。
電話メニュー画面の表示状態において、設定表示245が選択された場合には、次に設定処理が行われる(S1080)。設定処理は、図23に示すように、まず設定画面が表示される(S1100)。設定画面は、図示は省略するが、留守録実行表示と、留守録キャンセル表示と、中止表示と、音声モード表示と、音声文字変換モード表示とを備えている。この設定画面の表示後、判断が行われる。
【0065】
判断で、留守録実行表示が選択された場合には、次に留守録処理が行われる(S1120)。留守録処理では、無線電話装置7を経由して受信した電話の留守録を実行するセットを行う。以後、受信した電話に対して、自動的に応答し、受信内容を留守録メモリ27Hに格納する処理が自動的に行われる。
【0066】
一方、判断で、留守録キャンセル表示が選択された場合には、留守録キャンセル処理が行われる(S1130)。この処理により、受信した電話を留守録する処理が停止される。また、判断で、中止表示が選択された場合には、そのまま本ルーチンを一旦終了する。
【0067】
判断で、音声モード表示が選択された場合には、文字変換キャンセル処理が実行される(S1140)。文字変換キャンセル処理では、次に説明する文字変換作動をキャンセルする。
判断で、音声文字変換モード表示が選択された場合には、文字変換作動処理を行う(S1150)。文字変換作動処理では、RAM27内の受信電話録音メモリ27Gに格納された留守録音声を、音声解析プロセッサ24により、文字データに変換して、受信電話文字メモリ27Iに格納する処理を行う。また、留守録以外の場合には、無線電話装置7を経由して受信した音声信号を、リアルタイムで、文字データに変換して、ペン入力デバイス3に文字表示する処理を行う。これにより、受信した電話通話を、音声で聞くことに加えて、あるいは音声で聴くことに替えて、文字データで確認することができる。
【0068】
以上の、設定処理により、留守録を行うか否かを簡単に設定することができる。また、電話通話を文字データに変換して、認識することから、音を発することができない場面の電話通話に便利であり、あるいは聾唖者用の電話装置として活用できる。
【0069】
電話メニュー画面の表示状態において、留守録表示表示247が選択された場合には、次に留守録表示処理が行われる(S1090)。
留守録表示処理は、図24に示すように、まず留守録一覧画面が表示される(S1200)。留守録一覧画面は、図示は省略するが、留守録一覧と、留守文字一覧と、削除表示と、中止表示とを備えている。この判断で、留守録一覧、又は留守文字一覧の中から、何れかの留守録、又は留守文字が選択された場合には、次にそれを再生する(S1220)。再生は、留守録の場合では、RAM27内の受信電話録音メモリ27Gの中から留守録データを呼び出して、イヤー通話機49、又はスピーカ51によって、行なう。また、留守文字の場合では、RAM27内の受信電話文字メモリ27Iの中から留守文字データを呼び出して、ペン入力デバイス3により、行なう。
【0070】
判断で、削除であるとされた場合には、次に削除処理を行う(S1230)。削除処理は、留守録一覧の中、又は留守文字一覧の中から入力ペン55によって、選択された留守録音を受信電話録音メモリ27Gの中から削除する処理、又は受信電話文字メモリ27Iの中から削除する処理を行う。
【0071】
判断で、中止が選択された場合には、そのまま本ルーチンを一旦終了する。
以上に説明した留守録表示処理により、留守録した音声データを再生することと、文字データの型式で留守録したデータを表示することができる。
図25は、データ処理ルーチンのフローチャート、図26は、データ入力画面の説明図、図27は、伝送条件設定処理ルーチンのフローチャート、図28は、データ送信処理ルーチンのフローチャートである。
【0072】
図25のデータ処理が起動されると、まずデータ入力画面の表示が行われる(S1300)。データ入力画面は、図26に示すように、メニュー領域291と、データ入力領域293とを備えている。メニュー領域291には、伝送条件設定表示295と、データ送信表示297と、受信データ表示表示299と、中止表示301とが設けられている。データ入力領域293は、始めは無地状態である。
【0073】
データ入力画面の表示後、判断が行われる(S1310)。判断では、データ入力が選択されたか、伝送条件設定表示295が選択されたか、データ送信表示297が選択されたか、受信データ表示表示299が選択されたか、中止表示301が選択されたかを見る。ここで、データ入力の選択とは、入力ペン55によって、データ入力領域293を選択した場合である。
【0074】
データ入力が選択された場合には、次にデータ入力処理が行われる(S1320)。データ入力処理では、まず入力ペン55によって指示された点、例えば図26に示すように点303に、カーソル305を表示するとともに、ペン入力領域枠307を表示する。次いで、入力されたデータを送信データデータメモリ27Jに格納する処理を行う。
【0075】
判断で、伝送条件設定表示295が選択された場合には、次に伝送条件設定処理を行う(S1330)。詳細は後述する。また、判断で、データ送信表示297が選択された場合には、次にデータ送信処理を実行し(S1340)、受信データ表示表示299が選択された場合には、受信データ表示処理を実行し(S1350)、中止表示301が選択された場合には、本ルーチンをそのまま一旦終了する。
【0076】
S1330の伝送条件設定処理では、図27に示すように、まず伝送条件設定画面表示を行う(S1400)。伝送条件設定画面は、図示を省略するが、選択表示と、中止表示と、終了表示とを備えている。
ここで、選択表示が選択された場合には、次に伝送条件変更処理が行われる(S1420)。伝送条件変更処理では、まず図示しない伝送条件変更画面を表示する。この伝送条件変更画面には、終了表示と、中止表示と、およびBPS表示、キャラクタ長表示、パリティチェック表示、ストップビット数表示、Xパラメータ表示などのデータ伝送を行う場合の伝送条件選択表示とが表示されている。次いで、画面上で選択された情報を入力する処理を行う。
【0077】
この伝送条件変更画面、又は伝送条件設定画面の状態で、終了表示が選択されると、伝送条件変更処理の内容が確定される。また、中止表示が選択されると、伝送条件変更処理の変更が中止される。つまり、従前の内容は、変更されることはない。
【0078】
本伝送条件設定処理により、コンピュータ間のデータ伝送の規格を設定することができる。
図25のS1310でデータ送信表示297が選択された場合には、図28のデータ送信処理に示すように、まずデータ送信画面表示が行われる(S1500)。データ送信画面は、図示を省略するが、送信先選択表示と、送信時間選択表示と、設定表示と、中止表示とを備えている。表示後判断が行われる(S1510)。
【0079】
ここで、送信先選択表示が選択されたと判断した場合には、次に送信番号設定処理が実行される(S1520)。
送信番号設定処理では、まず図示しない送信番号選択画面が表示される。送信番号選択画面には、送信番号一覧と、新規番号追加表示とが設けられている。送信番号一覧には、送信番号表示が複数設けられている。新規番号追加表示は、これが選択されると、ペン入力領域枠が表示され、新規の送信先番号が入力される。ここで、所望の送信番号の選択を待って、選択があったらこの番号をデータ送信番号メモリ27Kに設定する。
【0080】
判断で、送信時間選択表示が選択された場合には、つぎに送信時間設定処理を行う(S1530)。送信時間設定処理では、まず図示しない送信時間選択画面が表示される。送信時間選択画面には、送信時間入力表示と、即時表示とが設けられている。送信時間入力表示が選択されると、ペン入力領域枠が表示され、ペン入力による日時データがデータ送信時間メモリ27Lに格納される。また、即時表示が選択されると、即時データが格納される。
【0081】
日時のデータが格納されて後、次に即時かの判断が行われる(S1540)。即時でないと判断されれば、本ルーチンをそのまま一旦終了する。一方、即時であると判断された場合には、次にデータ送信処理を実行する(S1550)。
データ送信処理では、送信データメモリ27Mに格納されている内容を即刻送信する。送信は、S1330で設定された伝送条件で、S1520で設定された送信番号に送られる。
【0082】
S1510の判断で、中止表示が選択された場合は、本ルーチンをそのまま一旦終了する。
設定表示が選択された場合には、次にデータ設定処理を実行する(S1560)。データ設定処理では、まず図示しないデータ設定画面が表示される。このデータ設定画面には、データ入力対象表示、入力型式選択表示が設けられている。データ入力対象表示には、たとえばデータ入出力コネクタ73、カードコネクタ75、カードコネクタ77が表示されている。入力型式選択表示には、テキスト、バイナリ、MMRデータ、RS232C等が表示される。
【0083】
本データ送信処理によりデータを入力して送信するための設定が行われる。
図25のS1310の判断で、受信データ表示表示299が選択された場合には、受信データ表示処理が実行される(S1350)。受信データ表示処理では、図示しない受信データ表示一覧画面を表示して、選択を求め、選択された受信データを、画像表示する。また、外部出力の選択があった場合には、選択されたポートから出力する。
【0084】
判断(S1310)で、中止表示301が選択された場合には、本ルーチンをそのまま一旦終了する。
以上に説明したデータ処理により、先方のコンピュータに直接データを送信したり、先方から送られてきたデータを表示したりすることができる。
【0085】
図29は、アプリケーション処理ルーチンのフローチャート、図30は、アプリケーション選択画面の説明図である。
図9のS420の判断で、アプリケーションメニュー表示139が選択された場合には、次にアプリケーション処理が実行される(S460)。アプリケーション処理では、図29に示すように、まずアプリケーション選択画面が表示される(S1600)。アプリケーション選択画面には、図30に示すように、メニュー領域311と、アプリケーション選択領域313とが設けられている。
【0086】
メニュー領域311には、入替表示315と、全ページ表示317と、次ページ表示319と、中止表示321と、実行表示323とが設けられている。
アプリケーション選択領域313には、アプリケーション一覧325が設けられている。アプリケーション一覧325には、利用可否表示327が設けられている。利用可否表示327は、白丸表示の利用可表示329と、黒丸表示の利用不可表示331とが設けられている。利用不可表示331の場合は、カード収納部79に、アプリケーションソフトウエアカードがセットされていない状態を示す。
【0087】
アプリケーション一覧325には、アプリケーション表示333が設けられている。
アプリケーション選択画面の表示後、次に判断を行う(S1610)。判断では、アプリケーション選択画面の何れが選択されたかを判断する。ここで、メニュー領域311内の選択があった場合には、選択の処理が実行され、中止表示321が選択された場合には、本ルーチンをそのまま一旦終了する。また、アプリケーション選択領域313内の処理が選択された場合には、次にアプリケーション実行を行う(S1620)。アプリケーション実行では、選択されたアプリケーションルーチンに処理を移行する。アプリケーションの例は、後述する。
【0088】
図31は、アプリケーションメニュー登録処理ルーチンのフローチャート、図32は、コミュニケータセンタメニュー登録処理ルーチンのフローチャートである。
図31のアプリケーションメニュー登録処理は、所定時間毎に起動される。まず、新規のアプリケーションソフトウエアカードの挿入かを判断する。この判断は、まずカードコネクタ75、77にアプリケーションソフトウエアカード95、97が挿入されているかを検出し、挿入されていればそのカードが既にアプリケーション登録されているものか否かを判断することにより行う。
【0089】
新規のカードが挿入されていなければ、そのまま本ルーチンを一旦終了する。挿入されていれば、登録データの入力を行う(S1710)。登録データは、所定のデータが入力される。次いで、アプリケーション登録を行う(S1720)。アプリケーション登録は、EEPROM29内のアプリケーション登録エリア29Aに行う。アプリケーション登録を行うと、図30に示したアプリケーション選択画面のメニュー領域311内に表示される。
【0090】
図32のコミュニケータセンタメニュー登録処理は、所定時間毎に起動され、まずコミュニケータセンタ391と通信中かを判断する(S1800)。通信中でなければ、本ルーチンをそのまま一旦終了する。
コミュニケータセンタ391と通信中であれば、次にコミュニケータセンタメニューの読込を行う(S1810)。コミュニケータセンタメニューは、詳細は後述するがコミュニケータセンタ391との通信データに含まれて送信されてくる。読込後、コミュニケータセンタメニューに変更があるか否かを判断し(S1820)、変更がなければ、本ルーチンをそのまま一旦終了する。変更があれば、コミュニケータセンタメニュー登録を行う(S1830)。コミュニケータセンタメニュー登録は、EEPROM29内のコミュニケータセンタメニューエリア29B内に行う。これにより、コミュニケータセンタメニュが適宜修正される。
【0091】
図33は、コミュニケータセンタ呼出処理ルーチンのフローチャート、図34〜図36は、コミュニケータセンタ呼出処理の説明図、図37は、コミュニケータセンタ391の説明図である。
コミュニケータセンタ391は、図37に示すように、無線電話センタ393に接続されている。無線電話センタ393は、公衆通信回線395に接続されるとともに、所定無線電話サービスエリア毎に配置されており、パーソナルコミュニケータ1などの無線電話装置と双方向通信を行う。コミュニケータセンタ391は、チケットセンタ397、銀行コンピュータセンタ399、証券会社401などに接続されている。
【0092】
図33のコミュニケータセンタ呼出処理は、図29のS1610において、図30の「11コミュニケータセンタ呼出・オンライン」表示341が選択された場合に起動される処理である。まず、利用項目の表示が行われる(S1900)。利用項目の表示は、図34に示すように、選択を求める表示351と、利用項目一覧353とを備えている。利用項目一覧353には、利用項目名355が表示されている。この表示の後、判断が行われて(S1910)、選択された利用項目名355の項目別メニューの表示が行われる(S1920)。
【0093】
項目別メニューは、図35に示すように、選択を求める表示361と、選択一覧363とを備えている。選択一覧363は、選択名365を備えている。項目別メニューの表示後、判断を行って(S1930)、選択された選択名365の個別処理画像を表示する(S1940)。個別処理画像は、図36に示すように、所定のデータの入力や選択を求めるものである。ここでは、チケットの予約の例を示す。
【0094】
図36に示す画面には、個別処理の表題表示371と、入力を求める内容の表示373、377、381と、入力欄375、379と、選択欄383と、ペン入力領域枠385とが表示されている。
この個別処理画像に入力が完了すると、次に個別処理実行が行われる(S1950)。個別処理実行では、まず、コミュニケータセンタ391に接続される。次いで、個別処理画像によって入力されたデータが、コミュニケータセンタ391に送信され、所定の手順によるチケットの予約処理が実行される。
【0095】
以上に説明したコミュニケータセンタ391は、パーソナルコミュニケータ1と共働する事により、チケットの予約や各種の情報サービスを効率よく、かつ確実に間違いなく行うことができる。
また、アプリケーション処理機能を有することにより、パーソナルコミュニケータ1に殆ど無限の利用範囲を提供する。
【0096】
図38は、設定処理ルーチンのフローチャート、図39は、設定対象選択画面の説明図である。
図9のS420で設定メニュー表示141が選択された場合には、次に図38の設定処理が実行される。まず、設定対象選択画面が表示される(S2000)。設定対象選択画面には、図39に示すように、設定対象選択表示411と、設定対象一覧413と、中止表示417とが設けられている。設定対象一覧413には、設定対象名表示415が表示されている。
【0097】
設定対象選択画面の表示後、次に判断を行う(S2010)。判断で、中止表示417が選択された場合には、本ルーチンをそのまま一旦終了する。一方、設定対象一覧413の何れかが選択された場合には、次の設定処理を実行する。
FAX送信表示421が選択された場合には、FAX送信設定処理が実行される(S2020)。FAX受信表示423が選択された場合には、FAX受信設定処理(S2030)、データ送信表示425が選択された場合には、データ送信設定処理(S2040)、データ受信表示427が選択された場合には、データ受信設定処理(S2045)、電話発信表示429が選択された場合には、電話発信設定処理(S2050)、電話受信表示431が選択された場合には、電話受信設定処理(S2060)が実行される。
【0098】
S2020〜S2060の各設定処理では、所定の手順に従って、所定の内容の設定が行われる。
以上に説明したコミュニケータ制御により、使用者のデータの入出力や設定が行われる。
【0099】
図40は、FAX送信時間モニタ処理ルーチンのフローチャート、図41は、データ送信時間モニタ処理ルーチンのフローチャートである。これは、CPU23によって所定時間毎に起動される。図40のFAX送信時間モニタ処理が起動されると、まず送信待があるか否かを判断する(S2100)。送信待は、FAXデータメモリ27A内に、FAXデータが格納されているか否かで判断する。ここで、送信待でないと判断した場合には、本ルーチンをそのまま一旦終了する。一方、送信待があれば、次に送信時間か否かを判断する(S2110)。送信時間は、送信時間メモリ27Dに設定されている送信時間を現在時刻と対比することにより行う。
【0100】
ここで、送信時間でなければ、本ルーチンをそのまま一旦終了する。送信時間であれば、次にFAX送信を行う(S2120)。
以上に説明したFAX送信時間モニタ処理により、FAXの予約送信が行われる。
【0101】
図41のデータ送信時間モニタが起動されると、まず送信待ちがあるかが判断される(S2200)。送信待は、送信データメモリ27M内に、データが格納されているか否かで判断する。ここで、送信待でないと判断した場合には、本ルーチンをそのまま一旦終了する。一方、送信待があれば、次に送信時間か否かを判断する(S2210)。送信時間は、データ送信時間メモリ27Lに設定されている送信時間を現在時刻と対比することにより行う。
【0102】
ここで、送信時間でなければ、本ルーチンをそのまま一旦終了する。送信時間であれば、次にデータ送信を行う(S2220)。
以上に説明したデータ送信時間モニタ処理により、データの予約送信が行われる。
【0103】
以上に説明したパーソナルコミュニケータ1は、電話通話、FAX通信、データ通信、各種アプリケーション処理などを、キーボード操作を行うことなく行なうことができるとともに、これらの全てを一式携帯することができる。
この結果、利便性が高い情報交換装置が得られるという極めて優れ効果を奏する。
【0104】
なお、本発明は上記の実施例に限定されるものでなく本発明の要旨を変更しない範囲で様々な態様の実施が可能である。
【0105】
【発明の効果】
本発明の請求項1の携帯型コミュニケータは、全体に電源が供給されることのない待機状態でも受信待機中の確認が可能になり、携帯型コミュニケータの動作状態のモニタが常時可能になる。
【0106】
この結果、高い利便性が得られると言う極めて優れた効果を奏する。
本発明の請求項2の携帯型コミュニケータは、全体に蓄電池からの電源が供給されることのない待機状態でも電源容量の確認が可能になり、携帯型コミュニケータの動作状態のモニタが常時可能になる。
【0107】
この結果、高い利便性が得られると言う極めて優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】
パーソナルコミュニケータ1の斜視図である。
【図2】
パーソナルコミュニケータ1の斜視図である。
【図3】
パーソナルコミュニケータ1のブロック図である。
【図4】
ディスプレイ15の表示状態の説明図である。
【図5】
ディスプレイ制御の説明図である。
【図6】
ディスプレイ制御処理ルーチンのフローチャートである。
【図7】
モニタ制御処理ルーチンのフローチャートである。
【図8】
パーソナルコミュニケータ1の待機、及び充電状態の使用状態図である。
【図9】
コミュニケータ制御処理ルーチンのフローチャートである。
【図10】
現況報告画面の説明図である。
【図11】
FAX処理ルーチンのフローチャートである。
【図12】
文書入力画面の説明図である。
【図13】
FAXメニュー処理ルーチンのフローチャートである。
【図14】
FAXメニュー画面の説明図である。
【図15】
FAX送信処理ルーチンのフローチャートである。
【図16】
FAX送信画面の説明図である。
【図17】
受信FAX表示処理ルーチンのフローチャートである。
【図18】
受信FAX一覧画面の説明図である。
【図19】
削除処理ルーチンのフローチャートである。
【図20】
電話処理ルーチンのフローチャートである。
【図21】
電話メニュー画面の説明図である。
【図22】
メッセージ選択画面の説明図である。
【図23】
設定処理ルーチンのフローチャートである。
【図24】
留守録表示処理ルーチンのフローチャートである。
【図25】
データ処理ルーチンのフローチャートである。
【図26】
データ入力画面の説明図である。
【図27】
伝送条件設定処理ルーチンのフローチャートである。
【図28】
データ送信処理ルーチンのフローチャートである。
【図29】
アプリケーション処理ルーチンのフローチャートである。
【図30】
アプリケーション選択画面の説明図である。
【図31】
アプリケーションメニュー登録処理ルーチンのフローチャートである。
【図32】
コミュニケータセンタメニュー登録処理ルーチンのフローチャートである。
【図33】
コミュニケータセンタ呼出処理ルーチンのフローチャートである。
【図34】
コミュニケータセンタ呼出処理の説明図である。
【図35】
コミュニケータセンタ呼出処理の説明図である。
【図36】
コミュニケータセンタ呼出処理の説明図である。
【図37】
コミュニケータセンタ391の説明図である。
【図38】
設定処理ルーチンのフローチャートである。
【図39】
設定対象選択画面の説明図である。
【図40】
FAX送信時間モニタ処理ルーチンのフローチャートである。
【図41】
データ送信時間モニタ処理ルーチンのフローチャートである。
【符号の説明】
1…パーソナルコミュニケータ
3…ペン入力デバイス
5…本体
7…無線電話装置
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2004-06-29 
出願番号 特願平10-180964
審決分類 P 1 651・ 121- ZA (H04M)
最終処分 取消  
前審関与審査官 大塚 良平川嵜 健山田 洋一  
特許庁審判長 佐藤 秀一
特許庁審判官 望月 章俊
浜野 友茂
登録日 2003-03-14 
登録番号 特許第3408154号(P3408154)
権利者 エイディシーテクノロジー株式会社
発明の名称 携帯型コミュニケータ  
代理人 足立 勉  
代理人 大塚 住江  
代理人 中辻 史郎  
代理人 草野 浩一  
代理人 川崎 隆二  
代理人 足立 勉  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ