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審決分類 |
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 B41M 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 B41M |
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管理番号 | 1138608 |
審判番号 | 不服2003-17117 |
総通号数 | 80 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2000-08-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2003-09-04 |
確定日 | 2006-06-22 |
事件の表示 | 平成11年特許願第 38016号「パターン形成方法」拒絶査定不服審判事件〔平成12年 8月29日出願公開、特開2000-233560〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成11年2月17日の出願であって、平成15年7月28日付で拒絶査定がなされ、これに対し同年9月4日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年10月6日付で審判請求書についての手続補正がなされ、同日付で明細書についての手続補正(以下、「本件補正」という)がなされたものである。 第2 平成15年10月6日付の明細書についての手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成15年10月6日付の明細書についての手続補正を却下する。 [理由] 1.補正事項 本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、 「印刷版を貫通する開口部に印刷材を充填し、該印刷材を被印刷体に印刷することによってパターンを形成する方法であって、前記印刷版がシート状の磁性体又は帯磁体からなり、前記印刷版を磁力によって被印刷体に密着させた状態で印刷することを特徴とするパターン形成方法。」 から 「磁力によって印刷版を被印刷体に密着させ、前記印刷版を貫通する開口部に印刷材を充填し、該印刷材を被印刷体に印刷することによってパターンを形成する方法であって、前記印刷版として電気メッキにより形成された金属シートを用いることを特徴とするパターン形成方法。」 と補正された。 本件補正は、補正前請求項1の「印刷版がシート状の磁性体又は帯磁体からなり」の点を「印刷版として電気メッキにより形成された金属シート」と補正する事項(以下「本件補正事項」という)を含むものである。 2.補正目的違反 本件補正事項が「請求項の削除」(特許法第17条の2第4項第1号)又は、「誤記の訂正」(同3号)のいずれを目的としたものでないことは明らかである。 そこで本件補正事項が「特許請求の範囲の限縮」(特許法第17条の2第4項第2号)を目的としたものかを検討する。 本件補正事項における「印刷版として電気メッキにより形成された金属シート」には、本件補正前の「磁性体又は帯磁体からなる」点が規定されていない。 本件補正事項の「印刷版として電気メッキにより形成された金属シート」とともに、本件補正後の請求項1には「磁力によって印刷版を被印刷体に密着させ」との記載が認められる(本件補正前では「印刷版を磁力によって被印刷体に密着させ」と記載されているが、単なる表現の相違に過ぎず実質的内容に変更はない)。 両者の記載を勘案すると、例えば非磁性体である「印刷版として電気メッキにより形成された金属シート」を別の一組の磁性体又は帯磁体で印刷版の印刷面反対側と被印刷体の印刷面反対側から挟む等して「磁力によって印刷版を被印刷体に密着させる」と解することもでき、本件補正事項の「印刷版として電気メッキにより形成された金属シート」は非磁性体であるものも包含する。 よって、前記の「磁力により印刷版を被印刷体に密着させ」るという事項のみで、本件補正事項による「印刷版」が「磁性体又は帯磁体」であると解釈することはできない。 なお、本件補正事項により「印刷版」を「電気メッキにより形成された金属シート」とした点は限定的限縮と認められるものの、「印刷版」として「磁性体又は帯磁体」でないものも包含するものであるから、本件補正事項は限定的限縮を目的としたものとはいえない。 してみれば、本件補正事項は特許法第17条の2第4項第2号の「特許請求の範囲の限縮」を目的としたものと認めることはできない。 また、補正前の請求項1について明瞭でない記載についての拒絶の理由は通知されていないことから、本件補正事項は拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてする特許法第17条の2第4項第4号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的としたものとも認められない。 3.補正却下の決定のむすび 本件補正事項は特許法第17条の2第4項第1号から第4号のいずれを目的としたものでないから、特許法第17条の2第4項の規定に違反しており特許法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本件審判請求についての当審の判断 1.本願発明の認定 平成15年10月6日付の手続補正書は上記の通り却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という)は出願当初の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下の通りのものである。 「印刷版を貫通する開口部に印刷材を充填し、該印刷材を被印刷体に印刷することによってパターンを形成する方法であって、前記印刷版がシート状の磁性体又は帯磁体からなり、前記印刷版を磁力によって被印刷体に密着させた状態で印刷することを特徴とするパターン形成方法。」 2.引用例 原査定の拒絶の理由に引用された特開平2-127086号公報(以下、「引用例1」という)には、次の事項が記載又は図示されている。 (ア)「特許請求の範囲(1)所定の厚さのメタル板に、パターン形状を開口させてメタルマスクを形成し、該メタルマスクを被転写体に密着させ、次いでペースト状のパターン形成材料を該メタルマスク上面より均一に塗布して前記メタルマスクの開口部に充填させた後、前記メタルマスクを被転写体から剥離することにより被転写体上にパターンを形成するパターン形成方法において、メタルマスクと被転写体との密着に磁石を使用することを特徴とするパターン形成方法。(2)上記メタルマスクの材料が磁性材料である請求項1記載のパターン形成方法。」(公報第1頁左下欄第4〜16行目) (イ)「特に、本発明はプラズマディスプレイにおける電極およびスペーサー、障壁等の厚膜形成時に適用されるパターンを形成するものとして適しており、そのパターン形成材料の材質との関係でメタル板の厚さは60〜200μmが望ましい。」(公報第2頁左下欄第15〜20行目) (ウ)「第1図に示すメタル板2としては、外形200mm×150mm、厚さ0.1mmのインバー材の板を用い、パターン領域160mm×110mmで開口部線幅100μm、非開口部線幅100μmのラインパターンを有するメタルマスクをエッチング加工で作製した。」(公報第3頁右上欄第6〜11行目) 以上の記載(ア)〜(ウ)を含む引用例の全記載及び図示からみて、引用例1には以下の発明が記載されているものと認める(以下、「引用発明」という。)。 「メタル板にパターン形状に開口されたメタルマスクの開口部にペースト状のパターン形成材料を充填し、該ペースト状のパターン形成材料を被転写体に印刷することによってパターンを形成する方法であって、前記メタル板が外形200mm×150mm、厚さ60〜200μm好ましくは0.1mmの磁性材料からなり、磁石を使用して磁力により前記メタルマスクと被転写体との密着させてパターンを形成することを特徴とするパターン形成方法。」 3.一致点、相違点の認定及び本願発明の新規性、進歩性の判断 本願発明と引用発明を対比する。 引用発明の「メタルマスク」「ペースト状のパターン形成材料」「磁性材料」「磁石を使用して磁力により」は本願発明の「印刷版」「印刷材」「磁性体」「磁力によって」にそれぞれ相当する。また、引用発明における「メタル板が外形200mm×150mm、厚さ60〜200μm好ましくは0.1mm」であることは、その寸法関係から実質的に本願発明の「印刷版がシート状」であることに相当する。 してみれば両者の間に実質的な構成上の差異はなく、本願発明と引用発明とは同一であるので、特許法第29条第1項第3号の規定に該当し、特許を受けることができない。 なお、原審において通知された拒絶の理由は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、とするが、前記「引用例1」についての認定は原審と当審とで変わるところはなく、実質的に特許法第29条第1項第3号の規定による拒絶の理由が通知されているものと認める。 第4 むすび 本件補正は補正却下されなければならず、本願発明は上記引用例1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願のその余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶を免れない。 よって結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2006-04-18 |
結審通知日 | 2006-04-25 |
審決日 | 2006-05-10 |
出願番号 | 特願平11-38016 |
審決分類 |
P
1
8・
113-
Z
(B41M)
P 1 8・ 572- Z (B41M) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 國田 正久 |
特許庁審判長 |
酒井 進 |
特許庁審判官 |
藤本 義仁 島▲崎▼ 純一 |
発明の名称 | パターン形成方法 |
代理人 | 大島 泰甫 |
代理人 | 稗苗 秀三 |
代理人 | 後藤 誠司 |
代理人 | 阪本 英男 |