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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G01D
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G01D
管理番号 1138782
審判番号 不服2003-19618  
総通号数 80 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2001-01-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-10-07 
確定日 2006-06-19 
事件の表示 平成11年特許願第192039号「データ格納表示装置」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 1月26日出願公開、特開2001- 21385〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続きの経緯
本願は、平成11年7月6日の出願であって、平成15年9月29日付け(発送日;同年10月1日)で拒絶査定がなされ、これに対して、同年10月7日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同日付けで手続補正がなされたものである。

2.平成15年10月7日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成15年10月7日付けの手続補正を却下する。
[理由]
(1)補正後の本願発明
本件補正は、補正前の特許請求の範囲
「【請求項1】記録紙の代わりに2次元表示器を用いたデータ格納表示装置において、
表示画面は管理情報表示領域と測定情報表示領域に分割され、
前記管理情報表示領域には、測定情報表示領域がどのような画面に切り替えられても常に装置全体の動作状況を把握するための共通情報を表示することを特徴とするデータ格納表示装置。
【請求項2】 請求項1記載のデータ格納表示装置において、装置全体の動作状況を把握するための共通情報として、画面の名称、現在の年月日時刻、メモリへのデータ記録状況を示すアイコン、メモリの使用量を示すバーグラフ、メモリに取り込み可能な残り時間、装置に装着されている外部メモリの種別とその使用量を示すアイコン、演算処理中を知らせるアイコン、キーロックを示すアイコン、アラーム発生の有無を知らせるアイコンの少なくともいずれか一つを表示することを特徴とするデータ格納表示装置。」

「【請求項1】記録紙の代わりに2次元表示器を用いたデータ格納表示装置において、
表示画面は装置の動作管理に必要な情報を表示する管理情報表示領域と測定値の変化状態を所望の表示形態で逐次表示する測定情報表示領域に分割され、
前記管理情報表示領域には、測定情報表示領域がどのような画面に切り替えられても常に装置全体の動作状況を把握するための共通情報として、画面の名称、現在の年月日時刻、メモリへのデータ記録状況を示すアイコン、メモリの使用量を示すバーグラフ、メモリに取り込み可能な残り時間、装置に装着されている外部メモリの種別とその使用量を示すアイコン、演算処理中を知らせるアイコン、キーロックを示すアイコン、アラーム発生の有無を知らせるアイコンの少なくともいずれか一つを表示することを特徴とするデータ格納表示装置。」
と補正する内容を含むものである。
なお、アンダーラインは、補正個所を示すために付したものである。
上記補正は、補正前の請求項2を削除するとともに、補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「管理情報表示領域」及び「測定情報表示領域」について、上記アンダーラインで示されるような限定を付加し請求項1としたものである。
したがって、上記手続補正は、請求項の削除及び特許請求の範囲の減縮を目的とするものと認められ、特許法等の一部を改正する法律(平成15年法律第47号)附則第2条第7項の規定によりなお従前の例によるものとされた同法[第1条の規定]による改正前の特許法(以下、「平成15年改正前特許法」という。)第17条の2第4項第1号及び第2号の規定に該当するものである。

そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成15年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に適合するか)について、以下検討する。

(2)引用刊行物
原査定の拒絶の理由に引用された本願出願前に頒布された刊行物である特開平10-253401号公報(以下、「引用刊行物」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。
1a.「【0014】本発明は、従来のサーボレコーダの問題点のみならずこれら現状のペーパーレスレコーダの問題点にも着目したものであり、その目的は、より高い画面の識別性と、より高い画面自由度と、操作性のより優れたペーパーレスレコーダを提供することにある。」
1b.「【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図により説明する。図1および図2は本発明に係わるペーパーレスレコーダの表示画面例図であって、説明のためにすべての画面構成要素を表示させた状態を表している。図1は時間軸が水平方向にスクロールする横向き画面であり、測定状態における表示画面の時間軸は矢印で示すように右から左に向かってスクロールする。図2は垂直方向に時間軸がスクロールする縦向き画面であり、測定状態における表示画面の時間軸は矢印で示すように上から下に向かってスクロールする。なお、このような2次元表示器としては例えばカラー液晶表示器を用いるが、CRTやELやプラズマ表示装置などでもよい。
【0021】これら図1および図2において、Aは測定信号の変化状態を線分としてグラフ的に表す波形であり、6系統(6チャンネル)の測定結果を予め割り当てられた所定の色で表示する例を示している。なお各波形の表示線幅は所望の線幅が選択できるようになっている。Bは測定データを格納する内部メモリの残り容量を測定可能時間で表しているメモリ残量表示、Cは測定データを格納する内部メモリの残り容量をバーグラフで表しているメモリ残量表示であり、これらの表示から現時点での残り連続測定可能時間を視覚的に把握できる。Dは測定時刻表示であり、時間目盛グリッドEおよびスケール目盛Fとともに測定時間の経過に応じてスクロール表示される。Gは現在の時刻表示である。Hは5角形状のポインタであり、各波形の表示色と同色であって各ポインタHには割り当てられたチャンネル番号が付けられている。これらポインタHは波形の変化に連動して移動する。なおポインタHは複数個が同一位置に重なった場合にも一部が識別できるように時間軸上の基準位置に対して互いに異なるオフセット量が与えられている。Iは表示画面上
の各チャンネル毎の最新測定値であり、各領域の背景色は各波形の表示色と同色になっている。Jは各チャンネルの下・左スケール値、Kは各チャンネルの上・右スケール値であり、これらスケール値の表示色は各波形の表示色と同色になっている。Lは測定値が警報設定値に対して異常状態になったときに点灯表示されるアラーム表示である。」
1c.図面の図1から、バーグラフで表しているメモリ残量表示C、現在の時刻表示G、アラーム表示Lが表示画面の右端部に表示され、表示画面のその左の部分に波形表示がなされていること、また、図2から、それらの表示に加え、測定可能時間で表しているメモリ残量表示Bが画面の上端部に表示され、表示画面のその下の部分に波形表示がなされていることが、それぞれ読み取れる。

(3)対比・判断
引用刊行物には、上記(2)の「1a.」乃至「1c.」の記載から、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
「2次元表示器を用いたペーパーレスレコーダにおいて、表示画面の上端部又は右端部にバーグラフで表しているメモリ残量表示C、現在の時刻表示G、アラーム表示Lが表示されるとともに、表示画面の残部に波形表示がなされるもの。」
本願補正発明(前者)と引用発明(後者)とを対比する。
・後者の「2次元表示器」、「ペーパーレスレコーダ」は、それぞれ、前者の「2次元表示器」、「データ格納表示装置」に相当する。
・後者の「表示画面」は、その表示領域が分割され、一方に、バーグラフで表しているメモリ残量表示C、現在の時刻表示G、アラーム表示Lが表示されるとともに、他方に、波形が表示されるものであり、後者の一方の表示領域に含まれる「バーグラフで表しているメモリ残量表示C」、「現在の時刻表示G」は、前者の「管理情報表示領域」に含まれる「メモリの使用量を示すバーグラフ」、「現在の年月日時刻」に相当し、後者の「波形」を表示する他方の表示領域は、前者の「測定値の変化状態を所望の表示形態で逐次表示する表示領域」に相当するものである。
したがって、両者は、
「記録紙の代わりに2次元表示器を用いたデータ格納表示装置において、
表示画面は装置の動作管理に必要な情報を表示する管理情報表示領域と測定値の変化状態を所望の表示形態で逐次表示する測定情報表示領域に分割され、
前記管理情報表示領域には、現在の年月日時刻、メモリの使用量を示すバーグラフの少なくともいずれか一つを表示することを特徴とするデータ格納表示装置。」
の点の構成で一致し、以下の点で相違する。
[相違点]
前者の管理情報表示領域には、測定情報表示領域がどのような画面に切り替えられても常に装置全体の動作状況を把握するための共通情報が表示されるのに対し、後者には、この点の記載がない点。
そこで、上記相違点について検討すると、画面の名称等の情報を常に画面の上部所定の領域に表示するとともに、その下部領域に時間とともに推移する情報を所望の表示形態で表示することは、例えば、特開平8-309008号公報に示されており、また、現在の年月日時刻を含む表示エリアを常に画面の所定の右端部に設け、その表示エリア内でアイコンで警告表示を行うようにするとともに、その表示エリアの左の表示エリアで状況表示を行うことも、例えば、特開平9-65453号公報に示されているところであるから、上記相違点に係る構成は、従来周知の事項と認められる。
したがって、このような従来周知の技術事項を引用発明に適用して本願補正発明のように構成とすることは、当業者が格別の推考力を要することなくなし得る程度のことと認められる。
そして、本願補正発明による効果も、引用刊行物の記載及び上記周知事項から当業者が予測しうる範囲内のものにすぎない。
以上のとおりであるから、本願補正発明は、引用発明及び上記周知事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(4)むすび
以上のとおり、本件補正は、平成15年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法126条第4項の規定に違反するものであるから、特許法159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明について
平成15年10月7日付けの手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1及び2に係る発明は、平成15年8月26日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項により特定されるとおりのものと認められる。(「2.(1)」の補正前の特許請求の範囲参照。以下、請求項2に係る発明を、「本願発明」という。)。

4.引用刊行物
原査定の拒絶の理由に引用された引用刊行物及びその記載事項は、前記「2.(2)」に記載したとおりのものである。

5.対比・判断
本願発明は、前記「2.」で検討した本願補正発明から、発明を特定するために必要な事項である「管理情報表示領域」について「装置の動作管理に必要な情報を表示する」との限定を省くとともに、「測定情報表示領域」について「測定値の変化状態を所望の表示形態で逐次表示する」との限定を省いたものである。
そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、更に他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「2.(3)」に記載したとおり、引用発明及び周知事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明及び周知事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
そして、請求項1に係る発明の構成要件を全て含み、更に他の構成要件を付加したものに相当する本願発明が、上記のとおり、引用発明及び周知事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1に係る発明も、同様の理由により、引用発明及び周知事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

6.むすび
以上のとおりであるから、本願の請求項1及び2に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-04-27 
結審通知日 2006-04-28 
審決日 2006-05-09 
出願番号 特願平11-192039
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G01D)
P 1 8・ 121- Z (G01D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 樋口 信宏白石 光男  
特許庁審判長 上田 忠
特許庁審判官 後藤 時男
下中 義之
発明の名称 データ格納表示装置  

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