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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性  G01G
審判 全部無効 特29条の2  G01G
管理番号 1138846
審判番号 無効2004-80267  
総通号数 80 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2001-11-06 
種別 無効の審決 
審判請求日 2004-12-21 
確定日 2006-04-07 
事件の表示 上記当事者間の特許第3420212号発明「計量充填装置」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 第1 手続の経緯
本件特許第3420212号の請求項1ないし5に係る発明についての出願は、平成10年10月19日(パリ条約による優先権主張平成9年10月24日、フランス)を国際出願日とする出願であって、平成15年4月18日にその発明について特許権の設定登録がされたものである。
これに対して、請求人は、平成16年12月21日付けで、本件特許を無効とする、との審決を求め、本件特許の請求項1ないし5に係る発明は、特許法第29条第2項の規定又は第29条の2の規定により特許を受けることができないものであるから、その特許は無効とすべきであると主張し、証拠方法として甲第1ないし10号証を提出している。
そして、被請求人は、平成17年4月18日付けで答弁書を提出し、請求人は、平成17年7月20日付けで弁駁書を提出したものである。

第2 本件発明
本件特許第3420212号の請求項1ないし5に係る発明(以下、「本件発明1」ないし「本件発明5」という。)は、特許明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし5に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】 筒状の頸部(51)とその頸部のまわりに延びているカラー(52)とを備えた容器(50)を充填口(60)を用いて計量しつつ充填するための計量充填装置であって、計量装置を備えている計量充填装置において、前記計量装置が前記容器の前記カラー(52)のための支持体を形成する頂部表面(30)を備えた把持要素(21)を有しており、それにより、前記容器は前記充填口(60)の下方に垂直方向に延びると共に支持部材(11)から片持ちに突出するようになり、該支持部材(11)は構造体(1)から横方向に延びてその構造体に取り付けられると共に重量検出器に関連づけられており、該重量検出器は、前記構造体(1)に剛結された一端(7)と前記支持部材に連結された対向端とを備えた弾性変形可能なバー(5)を有しており、それにより、前記支持部材は該支持部材上に前記容器が存在するか否かに関わらずにほぼ水平方向に延びるようにしたことを特徴とする計量充填装置。
【請求項2】 前記支持部材(11)が、前記構造体(1)に対し軸(32)を中心に回転するように取付けられ、前記把持要素(21)の反対側に位置する支持部材の一部(14)が、前記変形可能なバー(5)の自由端(31)に対しヒンジ結合されていることを特徴とする請求項1に記載の計量充填装置。
【請求項3】 前記変形可能なバー(5)が細長い貫通スロット(9)を有し、前記把持要素(21)の反対側に位置する支持部材(11)の一端(14)が、前記バー(5)の自由端(31)に対し剛結されていることを特徴とする請求項1に記載の計量充填装置。
【請求項4】 前記把持要素が、当接部(23)を有する顎部(21)を備えたクランプを具備し、前記当接部(23)が当接するとき、前記顎部は、横方向寸法(E)が前記頸部(51)の直径(d)よりも大きく、前記カラー(52)の直径(D)よりも小さい開口を画定することを特徴とする請求項1に記載の計量充填装置。
【請求項5】 前記顎部(21)は、突出部がそれぞれ設けられた頂部表面(30)を有することを特徴とする請求項4に記載の計量充填装置。」

第3 請求人の主張の概要
1.第1の無効理由
本件発明1ないし5は、甲第1号証に開示された発明、及び、甲第3号証及び/又は周知慣用技術(甲第4ないし8号証)に基づいて容易に発明をすることができたものであるため、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、同法第123条第1項第2号の規定により、無効とすべきである。
2.第2の無効理由
本件発明1ないし5は、甲第2号証に開示された発明、及び、甲第3号証及び/又は周知慣用技術(甲第4ないし8号証)に基づいて容易に発明をすることができたものであるため、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、同法第123条第1項第2号の規定により、無効とすべきである。
3.第3の無効理由
本件発明1ないし5は、甲第3号証及び甲第9号証に開示された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるため、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、同法第123条第1項第2号の規定により、無効とすべきである。
4.第4の無効理由
本件発明1ないし5は、甲第10号証(先願明細書)に記載された発明と同一であるから、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができないものであり、同法第123条第1項第2号の規定により、無効とすべきである。
5.証拠方法
甲第1号証:特公平7-98521号公報
甲第2号証:実用新案登録第2509003号公報(平成8年8月28日発行)
甲第3号証:特開平8-26392号公報
甲第4号証:特開平5-278852号公報
甲第5号証:特開平6-135492号公報
甲第6号証:特開平9-216694号公報(平成9年8月19日発行)
甲第7号証:特表平5-503908号公報
甲第8号証:米国特許第4721138号明細書(1988年)
甲第9号証:実公平6-28408号公報
甲第10号証:先願(特願平9-219105号)に係る特開平11-49289号公報

第4 当審の判断
第4-1 第1の無効理由について
1.甲第1、3〜8号証刊行物
(1)甲第1号証:特公平7-98521号公報
本件優先日前に頒布された刊行物である甲第1号証(特公平7-98521号公報)には、次の事項が図面とともに記載されている。
ア.「第1図において、回転式重量充填装置は図示しない鉛直方向の主軸に取付けられて一方向に回転駆動される円筒状の回転体1を備えており、この回転体1の内部に複数のロバーバル型重量計(平行四辺形型重量計)2を収容している。各ロバーバル型重量計2は回転体1の外周壁3に近接した位置で、円周方向に沿った等間隔位置に複数個配設してあり、各ロバーバル型重量計2の水平方向に配設したビーム4を回転体1の半径方向に向けて配設するとともに、そのビーム4の半径方向内方端4aを上記外周壁3に固定した支持部材5を介して回転体1に固定している。上記ビーム4の半径方向外方の自由端4bには連結部材6を取付けてあり、この連結部材6を上記外周壁3に穿設した貫通孔7内に遊嵌貫通させてその先端を回転体1の外部に突出させている。そしてその連結部材6の突出端に、上記ロバーバル型重量計2に回転体1の外周壁3を挟んで水平方向に対向させて、容器8を支持する支持テーブル9を連結している。」(2頁左欄43行〜右欄11行)
イ.「上記ロバーバル型重量計2は、従来公知のように、基本的には上記ビーム4に設けたストレインゲージによってそのビーム4の自由端4bに加えられた重量を検出するものである」(2頁右欄15〜18行)
ウ.「次に、上記各支持テーブル9の上方には、その支持テーブル9上に供給される容器8内に充填液を充填する充填バルブ15をそれぞれ設けている。」(2頁右欄28〜31行)

(2)甲第3号証:特開平8-26392号公報
本件優先日前に頒布された刊行物である甲第3号証(特開平8-26392号公報)には、次の事項が図面とともに記載されている。
ア.「【0001】【産業上の利用分野】本発明は、たとえば洗剤およびその他の洗浄液を分配するためのディスペンサーに関するものである。」
イ.「【0005】【課題を解決するための手段】したがって本発明は、充填される容器の支持部、液の供給源、容器のへの液流を制御する切換え手段、および上記の支持部を上方に引き上げるように働く弾性手段を備え、しかもこの切換え手段は、支時部上の容器によって作動させられるが、スイッチは、空の容器が弾性手段によって上方に引き上げられことによって起動され、一方、容器が満たされてその重量が弾性手段の力に勝ったとき、活動しなくなる。【0006】支持部は高床状の台にし、その上部に容器を乗せるようにすることも可能だが、より望ましい支えは架台で、この架台は、容器の上部たとえばそのネックの部分でこの容器を保持し、容器の残りの大部分は、前記架台から吊り下げられることになる。 前出の装置では、液供給源と台との間隔によって、充填される容器の高さが決められるので、容器が変わる度に台の位置を変える必要が出てくるのに対し、後出の装置では、異なる様々な寸法の瓶を、一つのディスペンサーを用いてそのまま調整せずに、充填することができる。」
ウ.「【0010】【実施例】本発明を具体化した幾つかの実施例を、添付の図面を参照しながら任意の望ましい実例として、以下により詳細に説明する。【0011】図1に示されているディスペンサーには、分配ヘッド3を経由して容器2に液を充填するための架台1が備えられている。この架台1は、バネ4の作用も借りて、容器の重量を支えている。この架台1は水平軸5を旋回軸として取り付けられている。【0012】作動させるとき、ばね4の力に抗して、架台1は手で押し下げ、架台1に容器2を差し込む。ばね4の力で容器のネックは分配ヘッドに押し込められる。後により詳細に説明されるが、この動作によって、磁石7は上方に押し上げられる。通常用いられるコイルに代わって使用されている磁石は、電磁弁9に取り付けられており、弁心棒に沿ってこの電磁石が動くと、電磁弁9が開く。供給源(表示されていない)より送られる水はこのようにしてパイプ8を通り、電磁弁9を通過し、さらに逆流防止器10を通ってベンチュリ管11に達し、このベンチュリ管において水は、パイプ12を通って供給された濃縮化学物質を従来の方法で飛沫同伴する。次に、希釈された液は、充填ヘッド3を通って容器2に注入される。【0013】液が充填されるにつれて、容器の重量が増大すると、架台1と容器が下に下がり、その結果、弁のばね13によって押された磁石7によって、弁心棒を元のように降下させることができる。この動きにより、予め定められた点で弁は閉じられ、容器に送られる水と化学物質の流れが停止される。このようにして、容器の溢水を自動的に防ぐことができる。
【0014】充填を終了した容器は、架台1から手で取り外され、架台1はばね4により後ろに引かれるが、他の容器が設置されなれば、弁は働かない。」
エ.「【0021】図4(A)と4(B)には、電磁弁9の開閉が表示されている。図4(A)は、充填ヘッドから離れている位置、すなわち容器が空で、かつ架台が解放される前の位置、もしくは容器が満たされている場合の位置を示している。図4(B)は、容器が充填ヘッドに接触している位置、すなわち容器が充填中の位置を示している。・・・【0024】撓みダイアフラム96上に設置されている弁体95により、出口93は閉鎖される。弁体95には、出口に接続している中央口97があり、また入口からの水を受け入れる側口98がある。中央口97は、弱いコアスプリングにより上に押し上げられているコア部材99によって閉鎖される。【0025】弁体95は、水の圧力差によって出口93から離され、図4(B)に示されているように電磁弁9は閉じられる。容器2が押し上げられて充填ヘッド3に入るとき、環状部材22は図4Bに示されている位置にまで磁石7を押し上げる。この位置において、磁石7は、コア部材99を磁力で引きつけて、弁体95から引き離す。【0026】その結果、水は中央口97を通ることができ、弁体95の両側の圧力が等しくなり、水は出口93を通って移動することができるようになる。このようにして、上述のように水は弁を通過し、ベンチュリ管11に達する。【0027】容器が一杯になると、その重量が働き、コア部材99が解放され、再び弁が閉じられる。」
オ.「【0028】図5は、架台1により小さい容器2を設置する方法を示している。架台1は、前方延びている一組のアーム30、30’を備え、この両アーム間には隙間31がある。各アームの内側にショルダ32、32’があり、このショルダの一箇所にそれぞれ窪み33、33’が付けられている。この窪みは、隙間を挟んで互いに向き合うように作られ、上部に向かって外側に開いているほぼU字形をなしている。・・・【0031】容器2には、その両側、ショルダ36の下に弓形の窪み35がある(図5にはその片方のみが示されている)。窪み35によって生じる狭い部分の幅は、ショルダ32、32’間の間隔より、幾分小さめにする。各窪み35より突起37が下方に向かって突出している。・・・【0034】利用中、架台1は下がり、容器2は架台1に間隙31に沿って差し込まれ、滴受けトレイ15を後退させる。・・・容器2は、その突起37をショルダ32、32’の窪み33、33’に嵌め込まれて、架台1に吊り下げられる。・・・【0036】架台1が上方に向かって旋回するとき、また容器が満たされると再び下方に戻るとき、窪み33、33’の形状によって突起が旋回することが可能なため、容器は垂直な位置に保たれる。」
カ.「【0038】図6に示されているように、ネックの大きい容器では、弓形の窪み35、突起37およびスロット38は、ショルダの下ではなく、ネックのすぐ下に形成される。この点を除けば、容器の架台への取付けは、図5の説明と同様である。」
キ.「【0040】図7と8に示されている本発明の実施例では、容器の支持部が図1とは異なる配置になっている。後者の場合、容器は、架台から吊り下げられるが、図7では高床状の台の支持部上に置かれる。その他の点では、図7のディスペンサーは同様であるので、対応する部分には同じ参照番号が付されている。」

(3)甲第4号証:特開平5-278852号公報
本件優先日前に頒布された刊行物である甲第4号証(特開平5-278852号公報)には、次の事項が図面とともに記載されている。
ア.「【産業上の利用分野】本発明は全般的に1つ又は更に多くの処理部等へ並びに/又は処理部から、複数個の容器を移動させる運搬装置に関する。更に具体的に云えば、本発明は、びん又はその他の容器が、この容器にある環状頸部突起によって懸架されるように何れも略U字形の溝孔を限定した複数個の要素を持つ運搬装置に関する。」(1頁左欄下から2行〜右欄4行)
イ.「【従来の技術】びん詰め処理工場のような現在の容器処理工場は、広い範囲の種々の容器製品を取扱うことが要求される場合が多い。・・・キャッパ、充填装置およびラベラのような容器処理装置および機械は、現在では、寸法の異なる容器を使うために、容器の高さに合わせて上げ下げしなければならない。これは、容器をその底で輸送し、容器をコンベヤから処理機械へ移送すると云う標準的で万能的な方式のためである。さらに、容器をその底で移送するコンベヤを使うという標準的な習慣のため、各々の処理部に持ってくることができるようにするために、処理ライン全体に容器を持ってくるためには、幾つものコンベヤを利用することが必要になる場合が多い。その結果として、効率が悪く、高価で非常に大型になる。或る形式の公知のびん用コンベヤでは、びんに形成された環状頸部突起の下でびんを捕捉するように、半分のカラーとともに挾み装置又は旋回てこを使っている。各々の半分のカラーと挾み装置の1組の組合せが、個々の板の上に配置されていて、びんの頸部の円周の半分がカラーによって取囲まれ、旋回てこが円周の残りを塞いで、びんを半分のカラーに当てて押えるようになっている。個々の板をしっかりと接続して、直線的に移動することができるコンベヤを形成する。」(1頁右欄5〜32行)

(4)甲第5号証:特開平6-135492号公報
本件優先日前に頒布された刊行物である甲第5号証(特開平6-135492号公報)には、次の事項が図面とともに記載されている。
ア.「【0001】【産業上の利用分野】本発明は、充填装置に係り、特に、容器を支持して搬送する容器支持手段を水平移動させ、充填バルブ側を昇降させて充填を行うバルブ昇降式充填装置に関するものである。」
イ.「【0008】
【実施例】以下、図面に示す実施例により本発明を説明する。図1は本発明の一実施例に係るバルブ昇降式のガス詰め充填装置の縦断面図であり、2は内部に充填液を貯留し、かつ、その上部空間に圧力ガスを導入した回転体としてのフィラーボウル、4はこのフィラーボウル2の外周に水平に固定した円板状の充填機構取付けベース、6はこの取付けベース4の外周端に円周方向等間隔で取付けられた充填機構、8は上記取付けベース4の下方に支柱10を介して連結されて一体的に回転する回転テーブルである。支柱10には、充填機構6側に張出した容器支持部材12が設けられており、この容器支持部材12が容器14のネックを支持して搬送する。容器支持部材12に支持された容器14の口部(びん口)と上記充填機構6のノズルの上下の位置が一致しており、容器支持部材12に支持された容器14と充填機構6とが一体的に回転しつつ、充填機構6が下降して容器14内への充填を行う。上記フィラーボウル2内へは、下面に接続された給液管15を介して充填液が供給される。なお、容器14を支持搬送する手段は、上記のような容器14のネックをサポートするものに限らず、図1に想像線で示す容器台13上に容器14を載せて搬送するようにしてもよい。」

(5)甲第6号証:特開平9-216694号公報
本件優先日前に頒布された刊行物である甲第6号証(特開平9-216694号公報)には、次の事項が図面とともに記載されている。
ア.「【0001】【発明の属する技術分野】本発明は充填機における洗浄工程用の疑似ボトルに関する。」
イ.「【0011】【発明の実施の形態】図1を参照すると、参照番号1は容器を示し、公知の回転式充填機では、容器の口と蛇口との間にシールを設けずに充填バルブまたは蛇口2により容器1に液体を充填するため、充填中に容器から追い出された空気が外界へと逃げる。容器1は突出した首部24を備え、例えばフォークのような支持手段25により支持される。」

(6)甲第7号証:特表平5-503908号公報
本件優先日前に頒布された刊行物である甲第7号証(特表平5-503908号公報)には、次の事項が図面とともに記載されている。
ア.「1.本発明は容器、特にびんをその開口の下の部分のカラーの部分で正しい位置に設置して容器を保持する容器保持装置と、少なくとも1個の処理ユニットとを具える回転構造の容器処理機において、容器のカラー(5)を支持する支持部材(2)と、容器の開口部に圧着することができ前記支持部材に対し距離を変化させ得る心決め素子(3)とを具え、処理すべき容器(4)を容器保持装置(1)に導入した後、この容器(4)をそのカラー(5)と開口(6)との間で軸線方向に対しクランプし心決めすることを特徴とする容器処理機。」(1頁左下欄2〜10行)
イ.「この機械の送り装置内に第1図に示す位置にこの装置を位置させる。この機械に導入すべき容器4を、静止配置した案内板上に滑らせ、この際容器4のカラー5の上側が支持部材2の上側に一線になるようにする。この機械に同期して駆動され容器本体に掛合する送り星形ユニットによって、上記案内板(図示せず)から支持部材2のU字状凹所内に容器を導入し、容器のカラー5を支持部材2の上側に静止させる。・・・次の段階で、カムローラ22と、移動台18と、それに緊締した支持部材2とをばね弾性素子19による動的作用によって上方に動かすことができ、その直後に容器4の開口6が心決め素子3の開口10に掛合するように、制御カム23の輪郭を定める。・・・ばね素子17の動的作用によって、検査すべき容器4をカラー5と開口6との間に不確定に形状合致の状態にクランプする。」(4頁左上欄19行〜左下欄2行)

(7)甲第8号証:米国特許第4721138号明細書
本件優先日前に頒布された刊行物である甲第8号証(米国特許第4721138号明細書)には、連続回転式ボトル充填装置に関し、概ね次の事項が図面とともに記載されている。
ア.「連続回転式ボトル充填装置は、中に液体貯留部12を有する回転ヘッド10と、図示のごとくヘッドの下側に下向きに伸びた複数の充填機構14とから成る。・・・環状スリーブ22は、上下動できるようにフランジ18に摺動自在に取り付けられており、かつ、下端部側に朝顔形状部24を有しており、これにより容器28が上昇して充填機構14と係合したとき、容器28の上縁26に係合し上縁26を案内して環状のシール部材30で密封係合できるものである。・・・ボトル把持装置44は、容器28のネックを把持するためにタペット40の下端に設けられている。・・・容器28を上昇させて充填機構14と係合させるために、上向き曲線の端面カム52を有するカム板50が、ボトル充填装置に固定されている。各タペット40は、回転ヘッド10が固定カム板50に対して回転したとき端面カム52と係合するローラ54を備えている。ローラ54が上向き曲線の端面カム52に従動すると、タペット40及びそれに支持された容器28は、FIG.1に図示の初期ボトル把持位置からFIG.2に図示の充填位置に上昇し、容器の上縁は充填機構14に密封係合する。」(2欄39行〜3欄25行)
イ.図面のFIG.1、FIG.2には、容器28のネック部に突出するカラーが描かれており、このカラーを下側からボトル把持装置44の上面で支持するごとく描かれている。

2.対比・判断
(1)本件発明1について
本件発明1と甲第1号証に記載された回転式重量充填装置を対比する。甲第1号証記載の「回転式重量充填装置」が、本件発明1の「計量装置を備えている計量充填装置」に相当し、同じく「充填バルブ15、容器8」が、「充填口、容器」に相当する。さらに、甲第1号証には「各ロバーバル型重量計2は回転体1の外周壁3に近接した位置で、円周方向に沿った等間隔位置に複数個配設してあり、各ロバーバル型重量計2の水平方向に配設したビーム4を回転体1の半径方向に向けて配設するとともに、そのビーム4の半径方向内方端4aを上記外周壁3に固定した支持部材5を介して回転体1に固定している。上記ビーム4の半径方向外方の自由端4bには連結部材6を取付けてあり、この連結部材6を上記外周壁3に穿設した貫通孔7内に遊嵌貫通させてその先端を回転体1の外部に突出させている。そしてその連結部材6の突出端に、上記ロバーバル型重量計2に回転体1の外周壁3を挟んで水平方向に対向させて、容器8を支持する支持テーブル9を連結している。」(上記摘記事項ア参照)と記載されており、ロバーバル型重量計2として、「従来公知のように、ビーム4に設けたストレインゲージによってそのビーム4の自由端4bに加えられた重量を検出するもの」(上記摘記事項イ参照)を採用した場合を考えると、甲第1号証記載の「ロバーバル型重量計2、ビーム4、内方端4a、自由端4b」が、本件発明1の「重量検出器、弾性変形可能なバー、一端、対向端」に相当する。そして、甲第1号証記載の「回転体1及び外周壁及び支持部材5」は、一体であるから、本件発明1の「構造体」に相当する。そうすると、甲第1号証記載のものにおいても、ビーム4の内方端4aが、いわゆる構造体に固定され、自由端4bには、連結部材6が取り付けられ、連結部材6の突出端に、支持テーブル9が連結されているから、連結部材6及び支持テーブル9は、支持テーブル9上に容器8が存在するか否かに関わらずにほぼ水平に延びるように構成されていることが明らかである。
そこで、請求人は、甲第1号証に記載の回転式重量充填装置における支持テーブル9に代えて、甲第3〜8号証記載のいわゆる容器頸部のまわりに延びているカラーのための支持体を形成する頂部表面を備えた把持要素を適用することにより、本件発明1の構成に至ることは当業者にとって容易である旨主張している。
しかしながら、甲第1号証記載のものと、甲第3〜8号証記載のものとは、容器底部を支持するものと容器頸部のカラーを支持するものとして、その基本的構造が異なるというべきであるから、容器底部支持用の支持テーブル9をカラーのための把持要素に置き換えても用をなさないことが明らかである。しかも、甲第1号証記載の容器8は、第1、2図を参照すれば頸部にカラーを有しないものであることが明らかであり、さらに、甲第3号証に記載の「アーム30、30’を有する架台1」は、液の充填による重量の増加に伴い、水平軸5を旋回軸として旋回するものであるから、ほぼ水平に延びる甲第1号証記載の支持テーブル9に組み合わせる動機付けがないというべきである。また、甲第4〜8号証記載の充填装置は、重量計量と関連しないものであるから、甲第4〜8号証記載のカラーのための把持要素を甲第1号証記載の支持テーブル9に組み合わせる動機付けもないというべきである。
したがって、甲第1、3〜8号証記載のものにおいては、本件発明1の発明特定事項の各部分につき、断片的にこれを開示すると解し得る記載があるものの、これらは、本件発明1の「計量装置が容器のカラーのための支持体を形成する頂部表面を備えた把持要素を有しており、それにより、前記容器は前記充填口の下方に垂直方向に延びると共に支持部材から片持ちに突出するようになり、該支持部材は構造体から横方向に延びてその構造体に取り付けられると共に重量検出器に関連づけられており、該重量検出器は、前記構造体に剛結された一端と前記支持部材に連結された対向端とを備えた弾性変形可能なバーを有しており、それにより、前記支持部材は該支持部材上に前記容器が存在するか否かに関わらずにほぼ水平方向に延びるようにした」点の事項を想起させるものではなく、また、前記各甲号証を組み合わせて上記事項に想到することも当業者にとって容易であるとはいうことができない。
よって、本件発明1は、甲第1、3〜8号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。
(2)本件発明2〜5について
本件発明2〜4は、本件発明1を引用してさらに限定事項を追加したものであり、本件発明5は本件発明4を引用してさらに限定事項を追加したものであるから、本件発明2〜5は、本件発明1の発明特定事項を全て備えさらに他の特定事項を付加したものに相当する。そして、上記のとおり、本件発明1は甲第1、3〜8号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできないから、本件発明1の発明特定事項を全て備えさらに他の特定事項を付加したものに相当する本件発明2〜5は、本件発明1と同様の理由により、甲第1、3〜8号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

3.第1の無効理由についてのむすび
したがって、請求人の主張する第1の無効理由は採用することができない。

第4-2 第2の無効理由について
1.甲第2、3〜8号証刊行物
(1)甲第2号証:実用新案登録第2509003号公報
本件優先日前に頒布された刊行物である甲第2号証(実用新案登録第2509003号公報)には、次の事項が図面とともに記載されている。
ア.「[産業上の利用分野]本考案は容器処理装置に装備されて容器の保持およびセンタリングを行う容器把持装置に関するものである。」(1頁左欄下から2行〜右欄1行)
イ.「[実施例]以下、図示実施例に基づいて本考案を説明する。第1図は本考案の一実施例に係る容器把持装置を適用した定重量充填装置の容器給排部を概略的に示す平面図、第2図はその要部を拡大して一部を断面で示す平面図、第3図はその側面図であり、図中(1)は円筒形の袴(2)に収容された容器(3)の搬送コンベヤ、(4)はこのコンベヤ(1)によって搬送されて来た袴付容器(3)を定重量充填装置(5)へ導入するための供給スターホイール、(6)は上記定重量充填装置(5)で処理された上記袴付容器(3)を上記コンベヤ(3)上へ排出する排出スターホイール、(7)はスターホイール(4)、(6)間に配置した袴用ガイド部材、(8)は各スターホイール(4)、(6)にそれぞれ沿わせて上記袴用ガイド部材(7)上部に配設された一対の容器用ガイド部材、(9)は上記各スターホイール(4)、(6)と定重量充填装置(5)の容器移送経路との間にそれぞれ配設された一対の渡り板、(10)は上記充填装置の容器移送経路上に等間隔毎に複数配置された容器載置台であって、それぞれ充填装置本体に設置された充填物重量検出用のロードセル(13)に支持されるようになっている。然して、(11)、(12)は充填装置本体の容器載置位置のそれぞれに、支軸(14)、(14)を介し、設置高さ位置を異ならせて装置されたグリッパで、下方に位置するものが袴用グリッパ(12)を、また上方に位置するものが容器用グリッパ(11)をそれぞれ構成しており、袴付容器(3)の把持、および該容器(3)の装置台(10)上でのセンタリングを行なう機能を有する。上記容器用グリッパ(11)は、各支軸(14)、(14)に基端部が取付けられたアーム取付部材(15)と、この取付部材(15)の下部両側に形成した鍔部(15a)、(15a)にそれぞれ基端部が載置されるとともに先端部に容器形状に沿う切欠部(16a)、(16a)が形成された一対のアーム(16)、(16)と、上記取付部材(15)に設けた横貫通穴(15b)を挿通させた両端が上記両アーム基端部の孔内(16b)、(16b)内にそれぞれ植設したピン(17)、(17)に止着された引張ばね(18)とを有し、各アーム(16)、(16)が独立して水平方向および上方向へ揺動できるようになっている。また、袴用グリッパ(12)も上記容器用グリッパ(11)同様に、各支軸(14)、(14)にアーム取付部材(19)が取付けられ、この取付部材両側の鍔部(19a)、(19a)の上に配置した一対のアーム(20)、(20)が該取付部材(19)に対し上記同様の引張ばね(21)によって弾圧保持されるようになっている。」(2頁左欄27行〜右欄22行)
ウ.「モータ(26)を作動させると、歯車(27)から歯車(25)を介し回転軸(23)が、また同時に上記歯車(25)から歯車(24)を介し回転軸(22)がそれぞれ駆動され、各スターホイール(4)、(6)充填装置(5)が回動して袴付容器(3)の給排動作が開始され、充填装置において各グリッパ(11)、(12)の拡縮動作により、載置台(10)上での容器(3)のセンタリングが行なわれ、ノズルAによる液の充填が開始される。そして、各スターホイール(4)、(6)と充填装置(5)との間の容器受け渡し部において、容器の破損等による事故が発生しグリッパ(11)又は(12)に異常な負荷が加わった場合には、各アーム(16)、(16)又は(20)、(20)が独立して負荷を逃がす方向(水平および上方向)へ揺動し、容器(3)の噛込みが防止され、載置台(10)を支持するロードセル(13)等の破損事故を回避することができる。」(2頁右欄29〜44行)

(2)甲第3〜8号証
甲第3〜8号証刊行物及びその記載事項は、上記「第4-1 1.」の(2)〜(7)に記載したとおりである。

2.対比・判断
(1)本件発明1について
本件発明1と甲第2号証に記載された定重量充填装置を対比する。甲第2号証には、「(10)は上記充填装置の容器移送経路上に等間隔毎に複数配置された容器載置台であって、それぞれ充填装置本体に設置された充填物重量検出用のロードセル(13)に支持されるようになっている。」(上記摘記事項イ参照)と記載されており、図面の第3図を参照すれば、ロードセル(13)に支持された容器載置台(10)は、容器載置台上に容器(3)が存在するか否かに関わらずにほぼ水平に延びるように構成されていることが明らかである。
そこで、請求人は、上記第1の無効理由と同様に、甲第2号証に記載の定重量充填装置におけるに容器載置台(10)代えて、甲第3〜8号証記載のいわゆる容器頸部のまわりに延びているカラーのための支持体を形成する頂部表面を備えた把持要素を適用することにより、本件発明1の構成に至ることは当業者にとって容易である旨主張している。
しかしながら、甲第2号証記載のものは、甲第1号証記載のものと同じく、容器底部を支持するものであるから、甲第3〜8号証記載のものとはその基本的構造が異なるというべきであり、上記「第4-1 第1の無効理由について」で検討したのと同様の理由により、甲第2〜8号証記載のものにおいては、本件発明1の発明特定事項の各部分につき、断片的にこれを開示すると解し得る記載があるものの、これらは、本件発明1の「計量装置が容器のカラーのための支持体を形成する頂部表面を備えた把持要素を有しており、それにより、前記容器は前記充填口の下方に垂直方向に延びると共に支持部材から片持ちに突出するようになり、該支持部材は構造体から横方向に延びてその構造体に取り付けられると共に重量検出器に関連づけられており、該重量検出器は、前記構造体に剛結された一端と前記支持部材に連結された対向端とを備えた弾性変形可能なバーを有しており、それにより、前記支持部材は該支持部材上に前記容器が存在するか否かに関わらずにほぼ水平方向に延びるようにした」点の事項を想起させるものではなく、また、前記各甲号証を組み合わせて上記事項に想到することも当業者にとって容易であるとはいうことができない。
よって、本件発明1は、甲第2〜8号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

(2)本件発明2〜5について
本件発明2〜4は、本件発明1を引用してさらに限定事項を追加したものであり、本件発明5は本件発明4を引用してさらに限定事項を追加したものであるから、本件発明2〜5は、本件発明1の発明特定事項を全て備えさらに他の特定事項を付加したものに相当する。そして、上記のとおり、本件発明1は甲第2〜8号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできないから、本件発明1の発明特定事項を全て備えさらに他の特定事項を付加したものに相当する本件発明2〜5は、本件発明1と同様の理由により、甲第2〜8号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

3.第2の無効理由についてのむすび
したがって、請求人の主張する第2の無効理由は採用することができない。

第4-3 第3の無効理由について
1.甲第3、9号証刊行物
(1)甲第3号証:特開平8-26392号公報
甲第3号証の記載事項については、上記「第4-1 1.」の(2)に記載したとおりである。

(2)甲第9号証:実公平6-28408号公報
本件優先日前に頒布された刊行物である甲第9号証(実公平6-28408号公報)には、次の事項が図面とともに記載されている。
ア.「<産業上の利用分野>この考案は、定量袋詰機、特にロードセルを用いて重量秤量を行って袋詰めを行う装置における袋支持装置に関する。」(1頁2〜5行)
イ.「<実施例>第1図及び第2図において、ロードセル24の固定端24aは、第4図に示した回転体10にL字形の固定金具31によって取付けられ、その荷重印加端24bには荷重受金具32が設けられている。ロードセル24は、荷重受金具32に、第1図において上下方向の荷重が加わったとき、その大きさを検出する。荷重受金具32からは、上述の荷重印加方向に垂直な方向(第1図における水平方向)にスライドアーム33が伸延し、これにL字形の袋支持腕取付金具34が、スライドベアリング35によって、摺動可能に支持されている。荷重受金具32からは更にガイドピン36が伸延し、その周囲に巻回された離間発条37は、袋支持腕取付金具34の頂部に設けた発条受金具38と荷重受金具32との間に介在して、袋支持腕取付金具34を荷重受金具32から遠ざかるように押圧している。袋支持腕取付金具34の下部には、スライドアーム33に平行に伸延する袋支持腕25が固定されている。袋支持腕25は、先端に固定顎39を有し、かつこれと協働する可動顎40を一端に有する顎部材41が、ピン42によって軸止されている。43は袋支持腕25に大略平行して設けた開閉部材で、その一端はリンク44を介して袋支持腕25に連結され、その先端は顎部材41の他端にピン45によって軸止されている。袋支持腕25の取付端側からは、これにほぼ平行に発条ガイド46が伸延し、その周囲に巻回された閉鎖発条47は、開閉部材43から側方へ突出した発条受部48を押圧し、これにより可動顎40を固定顎39へ向けて押圧する。開閉部材43からは下方へ向って開顎カム49が突出する。50は固定金具31の下面に設けたストッパで、これに袋支持腕取付金具34の一部分が、小間隙52を隔てて対峙する。また、開顎カム49には矢印方向に移動する開閉制御部材53が対峙している。上述の装置において、開閉制御部材53が開顎カム49を押しながら矢印方向に移動すると、袋支持腕取付金具34は、離間発条37に逆らってスライドアームに沿い摺動しながら移動し、部分51がストッパ50に当接する。このとき、ロードセル24に加わる力は、発条37の反力に相当する極めて小さなものがある。開閉制御部材53がなおも移動を続けると、開閉部材43は第2図に点線で示すように移動し、可動顎40を開くと、この間に、第4図のステップ1における空の袋20の取付け、またはステップ8における充填及びシールを完了した袋20の送出を行う。この間も、ロードセル24には発条37の反力を越える力は加わらない。開閉制御部材53が後退すると、可動顎40は再び閉じ、固定顎39との間に袋20が挾在している場合は、閉鎖発条47の力によりこれを協力にくわえる。」(2頁右欄40行〜3頁左欄)

2.対比・判断
(1)本件発明1について
本件発明1と甲第3号証に記載されたディスペンサーを対比する。甲第3号証の記載「図1に示されているディスペンサーには、分配ヘッド3を経由して容器2に液を充填するための架台1が備えられている。この架台1は、バネ4の作用も借りて、容器の重量を支えている。この架台1は水平軸5を旋回軸として取り付けられている。」(上記摘記事項ウ参照)、「図5は、架台1により小さい容器2を設置する方法を示している。架台1は、前方延びている一組のアーム30、30’を備え、この両アーム間には隙間31がある。各アームの内側にショルダ32、32’があり、このショルダの一箇所にそれぞれ窪み33、33’が付けられている。この窪みは、隙間を挟んで互いに向き合うように作られ、上部に向かって外側に開いているほぼU字形をなしている。・・・容器2には、その両側、ショルダ36の下に弓形の窪み35がある・・・各窪み35より突起37が下方に向かって突出している。・・・容器2は架台1に間隙31に沿って差し込まれ、・・・容器2は、その突起37をショルダ32、32’の窪み33、33’に嵌め込まれて、架台1に吊り下げられる。」(上記摘記事項オ参照)からみて、甲第3号証記載のディスペンサーにおいても、容器2の弓形の窪み35の突起37のための支持体を形成する上面の窪み33、33’を備えたアーム30、30’を有しており、それにより容器2は下方に垂直方向に延びると共に架台1から突出するものであることが明らかである。
そこで、請求人は、甲第3号証記載のディスペンサーにおいて、ばね4が架台1を固定部に対して所定のばね力により旋回可能に支持した点に、甲第9号証記載の袋支持腕25に連結されたロードセル24の構成を適用することにより、本件発明1の構成に至ることは当業者にとって容易である旨主張している。
しかしながら、甲第3号証に記載の架台1は、液の充填時に重量が増大するとばね4が延びることに伴い、水平軸5を旋回軸として旋回し、容器2が下に下がり、その動きにより弁を作動させるものである。一方、甲第9号証記載のロードセル24は弾性変形可能なバーからなり、端部に連結された袋支持腕25は水平方向に延びているものの、甲第9号証記載のロードセル24は、大きな変形はしないものであるから、甲第3号証記載のものと、甲第9号証記載のものとは、対象物が容器と袋で異なるばかりでなく、水平軸5を旋回軸として旋回する動きを利用するものと動きを利用しないロードセル24によるものとして、その基本的構造が異なるというべきであり、ばね4と旋回軸による支持構造をロードセル24に置き換えても用をなさないことが明らかであり、両者を組み合わせる動機付けもない。
したがって、甲第3、9号証記載のものにおいては、本件発明1の発明特定事項の各部分につき、断片的にこれを開示すると解し得る記載があるものの、これらは、本件発明1の「計量装置が容器のカラーのための支持体を形成する頂部表面を備えた把持要素を有しており、それにより、前記容器は前記充填口の下方に垂直方向に延びると共に支持部材から片持ちに突出するようになり、該支持部材は構造体から横方向に延びてその構造体に取り付けられると共に重量検出器に関連づけられており、該重量検出器は、前記構造体に剛結された一端と前記支持部材に連結された対向端とを備えた弾性変形可能なバーを有しており、それにより、前記支持部材は該支持部材上に前記容器が存在するか否かに関わらずにほぼ水平方向に延びるようにした」点の事項を想起させるものではなく、また、前記各甲号証を組み合わせて上記事項に想到することも当業者にとって容易であるとはいうことができない。
よって、本件発明1は、甲第3、9号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

(2)本件発明2〜5について
本件発明2〜4は、本件発明1を引用してさらに限定事項を追加したものであり、本件発明5は本件発明4を引用してさらに限定事項を追加したものであるから、本件発明2〜5は、本件発明1の発明特定事項を全て備えさらに他の特定事項を付加したものに相当する。そして、上記のとおり、本件発明1は甲第3、9号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできないから、本件発明1の発明特定事項を全て備えさらに他の特定事項を付加したものに相当する本件発明2〜5は、本件発明1と同様の理由により、甲第3、9号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

3.第3の無効理由についてのむすび
したがって、請求人の主張する第3の無効理由は採用することができない。

第4-4 第4の無効理由について
1.甲第10号証に係る先願明細書
本件優先日より前の他の特許出願であって本件出願後に出願公開公報が発行された甲第10号証に係る特願平9-219105号(特開平11-49289号公報参照)の願書に最初に添付した明細書及び図面(以下、「先願明細書」という。)には、次の事項が図面とともに記載されている。
(1)「【0001】【発明の属する技術分野】本発明はロードセルによって重量を計測しつつ充填する重量式充填装置に係り、特に、シリンジ等のように自立させて搬送することが不可能な容器に充填を行なう重量式充填装置に関するものである。」
(2)「【0002】【従来の技術】シリンジのように自立させて搬送することができない容器に液体を充填する場合には、通常は、キャリアと呼ばれる容器保持具内に収容して搬送し充填を行なう。・・・この装置では、シリンジ1を正立させた状態、すなわち予めトップキャップが打栓された注射針取付け口1bを下側に向け、本体の大径筒状部1aの開口側1cを上方に向けた状態で、キャリア40内に収容し、キャリア40ごと搬送して充填機44に供給する。充填機44内では、キャリア40に保持されているシリンジ1の上方開口部1cから充填ノズルを挿入して、このシリンジ1内に薬液を注入する。【0003】前記のようにキャリア内にシリンジ等の容器を収容して搬送する構成では、シリンジをキャリア内に挿入する装置やキャリア内からシリンジを抜き取る装置が必要であり、構造が複雑になるとともにコスト高である。・・・従って、キャリアを使わずに容器を搬送し充填を行なうことが好ましい。」
(3)「【0004】キャリアを使用せずに、シリンジのような自立できない容器を搬送し、充填を行なう方法として、いわゆるネック搬送が行なわれている。例えばシリンジの場合には、プランジャロッド挿入側に形成されているフランジを下側から引っ掛けて吊下げた状態で搬送を行なう。このようなネック搬送で、ロードセルによって重量を計測しつつ充填する重量充填を行なう場合には、従来は、シリンジのネック(フランジ)を引っ掛けるネックガイドにロードセルを連結している。【0005】【発明が解決しようとする課題】前述のように、シリンジ等の容器を保持するネックガイドにロードセルを連結する構成では、各ネックガイドにそれぞれ対応してロードセルを設ける必要がありコスト高であるという問題があり、また、ネックガイドとロードセルとが一体の構成の場合には、この充填機内にキャッパ等の別の装置を組み込むことは不可能であった。」
(4)「【0009】【発明の実施の形態】以下、図面に示す実施の形態により本発明を説明する。・・・図3はこの重量式充填装置によって薬液が充填されるシリンジ1の一例を示す正面図である。シリンジ1は、円筒状の長い本体部1aと、その先端部(図の左端部)に設けられた細い筒状の開口を有する注射針取付口1bと、後に注射器として使用する際にプランジャロッドが挿入される大径開口部1cとを有しており、このプランジャロッド挿入側の開口部1cの周囲にフランジ1dが形成されている。」

2.対比・判断
(1)本件発明1について
先願明細書の段落【0004】、【0005】には、「【0004】・・・自立できない容器を搬送し、充填を行なう方法として、いわゆるネック搬送が行なわれている。例えばシリンジの場合には、プランジャロッド挿入側に形成されているフランジを下側から引っ掛けて吊下げた状態で搬送を行なう。このようなネック搬送で、ロードセルによって重量を計測しつつ充填する重量充填を行なう場合には、従来は、シリンジのネック(フランジ)を引っ掛けるネックガイドにロードセルを連結している。【0005】【発明が解決しようとする課題】前述のように、シリンジ等の容器を保持するネックガイドにロードセルを連結する構成では、・・・という問題があり、また、ネックガイドとロードセルとが一体の構成の場合には、・・・不可能であった。」(上記摘記事項(3)参照)と記載されている。この記載からみて、ネックガイドはフランジを下側から引っ掛けて吊下げた状態に保持するものであるから、ネックガイドは、フランジのための支持体を形成する頂部表面を備えた把持要素を有しているといえ、さらに、ネックガイドは、ロードセルと連結又は一体の構成であるから、ロードセルと関連づけられており、ロードセルによって重量を計測しつつ充填する重量充填を行なうものである。そして、ロードセルが、重量検出器であって、弾性変形可能な部材を有することも明らかである。したがって、先願明細書記載の「ネックガイド」、「ロードセル」が、それぞれ本願発明1の「支持部材」、「重量検出器」に相当する。
しかしながら、請求人が自ら弁駁書において『そもそも、請求人は、第4の無効理由として、甲第10号証の「従来の技術」を説明する欄である段落[0004]及び段落[0005]の記載のみを根拠として、この甲第10号証の先願明細書には、本件発明1が実質的に開示されていると主張したものである。』と主張しているとおり、先願明細書には、他に本願発明1の発明特定事項と関連する記載はないから、ネックガイド(「支持部材」に相当)の具体的取付構造、ロードセル(「重量検出器」に相当)の具体的形状及び取付構造、ネックガイドとロードセルを関連づける具体的構造が示されてない。したがって、先願明細書には、本件発明1の発明特定事項である「支持部材は構造体から横方向に延びてその構造体に取り付けられると共に、重量検出器は、前記構造体に剛結された一端と前記支持部材に連結された対向端とを備えたバーを有しており、それにより、前記支持部材は該支持部材上に前記容器が存在するか否かに関わらずにほぼ水平方向に延びるようにした」点が記載されておらず、この点を構成上の微差ということもできない。
したがって、本件発明1は、甲第10号証に係る先願明細書に記載された発明と同一であるとすることはできない

(2)本件発明2〜5について
本件発明2〜4は、本件発明1を引用してさらに限定事項を追加したものであり、本件発明5は本件発明4を引用してさらに限定事項を追加したものであるから、本件発明2〜5は、本件発明1の発明特定事項を全て備えさらに他の特定事項を付加したものに相当する。そして、上記のとおり、本件発明1は甲第10号証に係る先願明細書に記載された発明と同一であるとすることはできないから、本件発明1の発明特定事項を全て備えさらに他の特定事項を付加したものに相当する本件発明2〜5は、本件発明1と同様の理由により、甲第10号証に係る先願明細書に記載された発明と同一であるとすることはできない。

3.第4の無効理由についてのむすび
したがって、請求人の主張する第4の無効理由は採用することができない。

第5 むすび
以上のとおりであるから、請求人が主張する理由及び提出した証拠によっては、本件発明1ないし5の特許を無効とすることはできない。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-12-22 
結審通知日 2006-01-04 
審決日 2006-02-24 
出願番号 特願2000-518256(P2000-518256)
審決分類 P 1 113・ 16- Y (G01G)
P 1 113・ 121- Y (G01G)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 杉野 裕幸
特許庁審判官 山川 雅也
山口 敦司
登録日 2003-04-18 
登録番号 特許第3420212号(P3420212)
発明の名称 計量充填装置  
代理人 弟子丸 健  
代理人 大塚 文昭  
代理人 宍戸 嘉一  
代理人 井野 砂里  
代理人 石田 敬  
代理人 熊倉 禎男  
代理人 村社 厚夫  
代理人 倉澤 伊知郎  
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