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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G02F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G02F
管理番号 1139232
審判番号 不服2003-4742  
総通号数 80 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1998-02-20 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-03-24 
確定日 2006-07-06 
事件の表示 平成 8年特許願第202635号「液晶表示素子」拒絶査定不服審判事件〔平成10年 2月20日出願公開、特開平10- 48610〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
平成 8年 7月31日 特許出願
平成14年 3月 8日 拒絶理由通知
平成14年10月 2日 手続補正
平成14年11月28日 拒絶査定
平成15年 3月24日 審判請求
平成15年 3月24日 手続補正

第2.補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成15年3月24日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1.補正後の発明
平成15年3月24日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)により、特許請求の範囲の請求項1は下記のとおり補正された。



【請求項1】一対の基板間に液晶を封入し、一方の基板上に層間絶縁膜を介して縦横に交差状態でマトリクス状に配列したゲート配線およびソース配線とを形成し、前記ゲート配線およびソース配線に電気的に接続させて薄膜トランジスタを形成するとともに、前記ゲート配線と前記ソース配線とによって区画した領域に、前記薄膜トランジスタを覆うようにブラックマスクを形成し、前記薄膜トランジスタに電気的に接続させて画素電極を形成してなり、前記薄膜トランジスタをなすゲート電極と半導体能動層との間に介設したゲート絶縁膜は、該半導体能動層側の裾部がゲート電極より外側に広がっていて半導体部が該裾部の下方に延出しており、該ゲート絶縁膜の誘電率が前記層間絶縁膜の誘電率よりも大きいことを特徴とする液晶表示素子。

上記補正は、補正前の請求項1に係る発明に対し「前記薄膜トランジスタを覆うようにブラックマスクを形成し」という構成を付加するものであるから、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮に相当する。
そこで本件補正後の請求項1に記載された発明(以下、「補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に適合するか)について以下に検討する。

2.引用例の記載等
本願出願前に頒布され、原査定の拒絶の理由に引用された特開平6-124890号公報(以下、「引用例」という。)には、各図とともに以下の事項が記載されている。

(1) 「【0001】【産業上の利用分野】本発明は、400℃以下の低温で絶縁基板上に特性がよく信頼性の高い絶縁ゲイト型半導体装置およびそれらが多数形成された集積回路を歩留りよく形成する方法に関する。本発明による半導体装置は、液晶ディスプレー等のアクティブマトリクスやイメージセンサー等の駆動回路、あるいはSOI集積回路や従来の半導体集積回路(マイクロプロセッサーやマイクロコントローラ、マイクロコンピュータ、あるいは半導体メモリー等)における薄膜トランジスタとして使用されるものである。」
(2) 「【0032】〔実施例2〕 ソーダガラス基板上にTFTを形成し、アクティブマトリクス型の液晶表示素子を作製した例を示す。基板201としてはソーダガラス基板(厚さ1.1mm、300×400mm)を使用した。ソーダガラスは多量のナトリウムを含有するので、このナトリウムがTFT中に拡散しないようにプラズマCVD法で全面に厚さ5〜50nm、好ましくは5〜20nmの窒化珪素膜202を形成した。このように、基板を窒化珪素または酸化アルミニウムの皮膜でコーティングしてこれをブロッキング層とする技術は、本発明人等の出願である特願平3-238710、同3-238714に記述されている。
【0033】ついで下地酸化膜203(酸化珪素)を形成した後、LPCVD法もしくはプラズマCVD法でシリコン膜204(厚さ30〜150nm、好ましくは30〜50nm)を形成し、400℃で1時間脱水素化を行った後、これをパターニングして島状の半導体領域(TFTの活性層)を形成した。さらにテトラ・エトキシ・シラン(TEOS)を原料として、酸素雰囲気中のプラズマCVD法によって、酸化珪素のゲイト絶縁膜(厚さ70〜120nm、典型的には100nm)205を形成した。基板温度はガラスの縮みやソリを防止するために400℃以下、好ましくは200〜350℃とした。しかしながら、この程度の基板温度では、酸化膜中には多量の炭化水素基が含まれ、多くの再結合中心が存在し、例えば、界面準位密度は1012cm-2以上でゲイト絶縁膜としては使用できないレベルのものであった。
【0034】そこで、図2(A)に示すようにKrFレーザー光またはそれと同等の強光を照射して、このシリコン膜204の結晶性を改善せしめると同時にゲイト酸化膜205の再結合中心(トラップセンター)を減少させ、ゲイト酸化膜205の特性の改善を図った。すなわち、本工程では、実施例1においては2つの工程に分けてなされていた、シリコン膜の結晶化と、ゲイト酸化膜の改善という2つの作用を1つの工程でおこなった。また、この場合において、強光を用いるのであれば、赤外光(例えば波長1.3μmのハロゲン光)を用いたアニール法が効果的である。
【0035】好ましくはこのレーザー照射は10torr以下の酸素過剰雰囲気の減圧下で行われる。なぜならば、減圧状態の方が酸化膜中の炭素原子の離脱が容易であるからである。酸素分圧は、例えば1〜10torrとした。このときにはレーザー光のエネルギー密度は250〜300mJ/cm2と設定し、また、ショット数も10回とした。好ましくは、温度を150〜400℃、代表的には300℃に保つと良い。レーザー照射の装置としては図3(B)に示すものを用いた。その結果、シリコン膜204は結晶性が改善され、また、ゲイト酸化膜の界面準位密度も1011cm-2以下に減少した。
【0036】次に、実施例1と同じ要領でアルミニウムのゲイト電極208(当審注:「208」は「206」の誤記である。)を形成し、基板ごと電解溶液に浸漬して、これを陽極として通電し、ゲイト電極等のアルミニウム配線表面に陽極酸化物の被膜209を厚さ206nm形成した。このような陽極酸化の技術は本発明人等の出願である特願平4-30220、同4-38637、および同4-54322に記述されている。この工程の完了した様子を図2(B)に示す。また、陽極酸化工程が終了した後に、逆に負の電圧、例えば-100〜-200Vの電圧を0.1〜5時間印加してもよい。このときには、基板温度は100〜250℃、代表的には150℃とすることが好ましい。この工程によって、酸化珪素中あるいは酸化珪素とシリコン界面にあった可動イオンがゲイト電極(Al)に引き寄せられる。このように、陽極酸化後、もしくは陽極酸化中にゲイト電極に負の電圧を印加する技術は、本発明人等の出願の特願平4-115503(平成4年4月7日出願)に記述されている。
【0037】その後、P型の不純物として、硼素をイオンドーピング法でシリコン層に自己整合的に注入し、TFTのソース/ドレイン208、209を形成し、さらに、図2(C)に示すように、これにKrFレーザー光を照射して、このイオンドーピングのために結晶性の劣化したシリコン膜の結晶性を改善せしめた。このときにはレーザー光のエネルギー密度は250〜300mJ/cm2と設定した。このレーザー照射によって、このTFTのソース/ドレインのシート抵抗は300〜800Ω/□となった。またこの工程において、強光、好ましくは赤外光の照射によるアニールを行うことも有用である。
【0038】その後、ポリイミドによって層間絶縁物210を形成し、さらに、画素電極211をITOによって形成した。そして、コンタクトホールを形成して、TFTのソース/ドレイン領域にクロム/アルミニウム多層膜で電極212、213を形成し、このうち一方の電極213はITOにも接続するようにした。クロム/アルミニウム多層膜は、下層にクロム膜20〜200nm、典型的には100nm、上層にアルミニウム膜100〜2000nm、典型的には500nmが堆積されてできている。これらは連続的にスパッタ法にて形成することが望まれる。最後に、水素中で200〜300℃で2時間アニールして、シリコンの水素化を完了した。このようにして、TFTが完成した。同時に作製した多数のTFTをマトリクス状に配列せしめてアクティブマトリクス型液晶表示装置とした。」
(3) 「【0028】その後、厚さ200nm〜5μmのアルミニウム膜を電子ビーム蒸着法によって形成して、これをパターニングし、図1(C)に示すようにゲイト電極107、108を形成した。このとき、アルミニウムは後のレーザー照射に耐える必要があるので、電子ビーム蒸着によって形成した反射率の高いアルミニウム膜を用いた。電子ビーム蒸着で形成したアルミニウム膜では光学顕微鏡では粒の存在が確認できないほど表面が平坦であった。電子顕微鏡によって観測した結果、粒の大きさは200nm以下であった。すなわち、使用するレーザーの波長よりも小さな粒径となるようにしなければならない。」

以上の摘記事項から見て、引用例には以下の発明が記載されている(以下、「引用発明」という。)。

「同時に作製した多数のTFTをマトリクス状に配列せしめたアクティブマトリクス型の液晶表示素子であって、基板201上に、シリコン膜204からなるTFTの活性層、酸化珪素からなるゲイト絶縁膜205、アルミニウムのゲイト電極206、TFTのソース208、TFTのドレイン209、ポリイミドからなる層間絶縁物210、ITOからなる画素電極211、TFTのソース領域に形成したクロム/アルミニウム多層膜からなる電極212、及び、TFTのドレイン領域に形成したクロム/アルミニウム多層膜からなる電極213を、図2(A)ないし(D)とともに摘記事項(2)の方法で作成した、アクティブマトリクス型の液晶表示素子。」

3.対比
そこで、補正発明と引用発明を比較すると、以下のとおりである。
(1) 引用発明の「基板201」「層間絶縁物210」「TFT」「画素電極211」「ゲイト電極206」「TFTの活性層」「ゲイト絶縁膜205」及び「液晶表示素子」は、それぞれ、補正発明の「基板」「層間絶縁膜」「薄膜トランジスタ」「画素電極」「ゲート電極」「半導体能動層」「ゲート絶縁膜」及び「液晶表示素子」に相当する。
(2) 引用発明は「同時に作製した多数のTFTをマトリクス状に配列せしめたアクティブマトリクス型の液晶表示素子」であり、また、「図2(A)ないし(D)とともに摘記事項(2)の方法で作成された」ものであるから、引用発明の液晶表示素子が「一対の基板間に液晶を封入し、一方の基板上に層間絶縁膜を介して縦横に交差状態でマトリクス状に配列したゲート配線およびソース配線とを形成し、前記ゲート配線およびソース配線に電気的に接続させて薄膜トランジスタを形成するとともに、前記ゲート配線と前記ソース配線とによって区画した領域に、前記薄膜トランジスタに電気的に接続させて画素電極を形成して」なるものであることは、当業者において明らかである(なお、ゲート配線やソース配線などの構成について必要ならば、特開平7-140485号公報、特開平8-43859号公報を参照。)。
(3) 引用発明のゲート絶縁膜は酸化珪素からなり、層間絶縁膜はポリイミドからなるから、「ゲート絶縁膜の誘電率が層間絶縁膜の誘電率よりも大きい」と言える(なお、この組み合わせは、本願明細書の段落【0015】にも例示されている。)。

したがって、補正発明と引用発明は、
「一対の基板間に液晶を封入し、一方の基板上に層間絶縁膜を介して縦横に交差状態でマトリクス状に配列したゲート配線およびソース配線とを形成し、前記ゲート配線およびソース配線に電気的に接続させて薄膜トランジスタを形成するとともに、前記ゲート配線と前記ソース配線とによって区画した領域に、前記薄膜トランジスタに電気的に接続させて画素電極を形成してなり、該ゲート絶縁膜の誘電率が前記層間絶縁膜の誘電率よりも大きい、液晶表示素子。」の点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点1)
補正発明はゲート配線とソース配線とによって区画した領域に「薄膜トランジスタを覆うようにブラックマスクを形成」した構成を有するのに対して、引用発明はこれが明らかでない点。

(相違点2)
補正発明は「薄膜トランジスタをなすゲート電極と半導体能動層との間に介設したゲート絶縁膜は、該半導体能動層側の裾部がゲート電極より外側に広がっていて半導体部が該裾部の下方に延出して」いる構成を有するのに対して、引用発明はこの構成を有さない点。

4.判断
(1) 相違点1について
アクティブマトリクス型液晶表示素子において、ゲート配線とソース配線とによって区画した領域に「薄膜トランジスタを覆うようにブラックマスクを形成」することは、光によるTFTのリーク電流を防止するために必要かつ周知であって、例えば、特開昭60-45219号公報、特開平8-62579号公報、特開平8-167719号公報、特開平8-160409号公報、特開平7-128685号公報に記載されている。
引用発明においてこのような構成を採用することは、引用発明がアクティブマトリクス型液晶表示素子に関するものであり上記周知技術と産業上の利用分野が共通している点を考慮すれば、当然のことである。

(2) 相違点2について
アクティブマトリクス型液晶表示装置の薄膜トランジスタにおいて、「薄膜トランジスタをなすゲート電極と半導体能動層との間に介設したゲート絶縁膜は、該半導体能動層側の裾部がゲート電極より外側に広がっていて半導体部が該裾部の下方に延出して」いる構成は周知であって、例えば、特開平5-55573号公報、特開平8-148688号公報、特開平6-120249号公報に記載されている。
引用発明においてこのような構成を採用することは、引用発明がアクティブマトリクス型の液晶表示素子に関するものであり上記周知技術と産業上の利用分野が共通している点を考慮すれば、当業者が容易にできることである。

また、補正発明の効果は、引用発明及び周知技術から予測し得ない顕著なものとは言えない。

したがって、補正発明は、引用例に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

なお、審判請求人は審判請求書において、以下のとおり主張している。
「特開平5-55573号にはゲート絶縁膜の半導体層側がゲート電極より広く形成されており、本願発明において最初の拒絶理由に対する補正後の請求項の発明と類似であると言えます。しかしながら本拒絶査定に対する補正後の請求項の発明はブラックマスクを形成することを追加したものであり、これは本願明細書の段落0012、0017、0018に記載されており、段落0012には図1及び図2を用いて「透明の基板本体36の上面に、多数のソース配線S・・・とゲート配線G・・・と薄膜トランジスタTの各領域を隠すためのブラックマスク37が形成され」と記載されています。さらに段落0018にはブラックマスク37の上に、下部層間絶縁膜40を形成し、次いでブラックマスク37の各延出部37a上に半導体準備膜を形成し、前記下部層間絶縁膜上にゲート絶縁膜を介してゲート配線Gを、さらにゲート絶縁膜を介してゲート電極をフォトレジスト法で形成することが記載されています。従ってブラックマスク上に薄膜トランジスタが形成されるため、半導体層に照射される光を遮断し、かつ段差被覆性の良い膜を形成できることが解ります。しかしながら上記周知技術文献および各引用文献の課題、解決方法からは当業者であっても本発明を想到することができないと思われます。」
しかしながら、既に述べたとおり、薄膜トランジスタを覆うブラックマスクの構成については、アクティブマトリクス型液晶表示素子において光によるTFTのリーク電流を防止するために周知の構成である。
また、ソース配線とゲート配線を覆うブラックマトリクスの構成は特許請求の範囲に記載されていない。

さらにまた、「段落0018にはブラックマスク37の上に、下部層間絶縁膜40を形成し、次いでブラックマスク37の各延出部37a上に半導体準備膜を形成し、前記下部層間絶縁膜上にゲート絶縁膜を介してゲート配線Gを、さらにゲート絶縁膜を介してゲート電極をフォトレジスト法で形成することが記載されています。従ってブラックマスク上に薄膜トランジスタが形成されるため、半導体層に照射される光を遮断し、かつ段差被覆性の良い膜を形成できることが解ります。」という主張は補正発明が「ブラックマスク37の上に下部層間絶縁膜40を形成し、次いでブラックマスク37の各延出部37a上に半導体準備膜を形成し、前記下部層間絶縁膜上にゲート絶縁膜を介してゲート配線Gを、さらにゲート絶縁膜を介してゲート電極をフォトレジスト法で形成する」との構成を有していることを前提にした主張であるが、補正発明はこの構成を有するものではないから、特許請求の範囲の記載に基づいたものではない。
したがって、審判請求人の主張は、いずれも採用できない。

5.補正の却下の決定の結び
本件補正は、特許法等の一部を改正する法律(平成15年法第律47号)附則第2条第7項の規定によりなお従前の例によるものとされた同法第1条の規定による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に違反するので、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


第3.本願発明
1.本願発明
平成15年3月24日付けの手続補正は上記「第2.補正の却下の決定」のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は平成14年10月2日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし5に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、その請求項1に係る発明は下記のものである(以下、「本願発明」という。)。



【請求項1】一対の基板間に液晶を封入し、一方の基板上に層間絶縁膜を介して縦横に交差状態でマトリクス状に配列したゲート配線およびソース配線とを形成し、前記ゲート配線およびソース配線に電気的に接続させて薄膜トランジスタを形成するとともに、前記ゲート配線と前記ソース配線とによって区画した領域に前記薄膜トランジスタに電気的に接続させて画素電極を形成してなり、前記薄膜トランジスタをなすゲート電極と半導体能動層との間に介設したゲート絶縁膜は、該半導体能動層側の裾部がゲート電極より外側に広がっていて半導体部が該裾部の下方に延出しており、該ゲート絶縁膜の誘電率が前記層間絶縁膜の誘電率よりも大きいことを特徴とする液晶表示素子。

2.引用例の記載等
原査定の拒絶の理由に引用された引用例及びその記載事項は、上記「第2.補正の却下の決定」の「2.引用例の記載等」に記載したとおりである。

3.対比及び判断
本願発明は「第2.補正の却下の決定」で検討した補正発明から「前記薄膜トランジスタを覆うようにブラックマスクを形成し」という事項を省いたものである。
そうすると、本願発明の特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する補正発明が、「第2.補正の却下の決定」に記載したとおり引用例に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により引用例及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明することができたものである。

4.むすび
以上のとおり、本願発明は引用例に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-12-20 
結審通知日 2006-01-17 
審決日 2006-01-31 
出願番号 特願平8-202635
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G02F)
P 1 8・ 121- Z (G02F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山口 裕之藤岡 善行  
特許庁審判長 向後 晋一
特許庁審判官 鈴木 俊光
樋口 信宏
発明の名称 液晶表示素子  
代理人 小林 義教  
代理人 園田 吉隆  

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