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審判番号(事件番号) データベース 権利
無効2007800236 審決 特許
不服200418369 審決 特許

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審決分類 審判 査定不服 特17 条の2 、4 項補正目的 特許、登録しない。 A23L
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A23L
管理番号 1140604
審判番号 不服2005-10220  
総通号数 81 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2004-04-08 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-05-31 
確定日 2006-07-27 
事件の表示 特願2002-271730「抗アレルギー成分を含有する機能性飲食品」拒絶査定不服審判事件〔平成16年4月8日出願公開、特開2004-105078〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由
1.手続の経緯

本件出願は、平成14年9月18日の特許出願であって、平成17年4月26日付で拒絶をすべき旨の査定がされ、これに対して同年5月31日に本件審判の請求がされるとともに、同年6月29日付で手続補正がなされたものである。

2.平成17年6月29日受付け手続補正(以下、「本件補正という」。)について

[補正却下の決定の結論]
平成17年6月29日付けの手続補正を却下する。

[理由]
本件補正は、補正前の特許請求の範囲の「【請求項6】前記GCG3”Me、EGCG4”Me、GCG4”Meの1つ以上の成分の一日当たりの摂取量が0.3mgから3000mgとなるものであることを特徴とする請求項1から5いずれか記載の機能性飲食品。」を、「【請求項1】「べにふうき」、「べにほまれ」、「べにふじ」、「青心大パン」、「青心烏龍」、及び「大葉烏龍」からなる群より選ばれる一以上の茶葉を70℃以上で抽出して得られた機能性飲料であって、エピガロカテキン-4-O-(4-O-メチル)ガレート(以下EGCG4”Meとする)、ガロカテキン-3-O-(3-O-メチル)ガレート(以下GCG3”Meとする)、ガロカテキン-4-O-(4-O-メチル)ガレート(以下GCG4”Meとする)及びストリクチニンを抗アレルギー有効成分とし、前記EGCG4”Me、GCG3”Me、GCG4”Me及びストリクチニンの1つ以上の成分が一日当たりの摂取量が0.3mgから3000mgとなるものである機能性飲料。
【請求項2】前記茶葉の抽出温度は、70℃から90℃である請求項1に記載の機能性飲料。」と補正するものである。
上記補正事項のうち、「茶葉を70℃以上で抽出して得られた」とする点に関しては、補正前の請求項6並びに当該請求項の引用する補正前の請求項1乃至5に何れにも、茶葉の抽出温度は全く記載されておらず、抽出温度は補正前の請求項6の発明特定事項とはいえないから、この補正は、補正前の発明特定事項を概念的により下位の発明特定事項とする補正とはいえないところ、特許法第17条の2第4項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当しない。
また、「【請求項2】前記茶葉の抽出温度は、70℃から90℃である請求項1に記載の機能性飲料。」を追加する補正も、請求項数を増加する補正であって、n項引用形式請求項の引用請求項を減少するものではないから、特許法第17条の2第4項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するとはいえない。
そして、これらが、誤記の訂正、不明りょうな記載の釈明を目的とするものに該当しないことは明らかである。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第4項の規定に違反するので、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.仮に、本件補正が特許法第17条の2第4項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するとした場合でも、下記のとおり、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、本件「補正発明」という。)は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものでないから、特許法第17条の2第5項において準用する特許法第126条第4項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で読み替えて準用する特許法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


3.1 明細書の記載要件について

補正後の本件請求項1に係る発明は、「「べにふうき」、「べにほまれ」、「べにふじ」、「青心大パン」、「青心烏龍」、及び「大葉烏龍」からなる群より選ばれる一以上の茶葉を70℃以上で抽出して得られた機能性飲料であって、エピガロカテキン-4-O-(4-O-メチル)ガレート(以下EGCG4”Meとする)、ガロカテキン-3-O-(3-O-メチル)ガレート(以下GCG3”Meとする)、ガロカテキン-4-O-(4-O-メチル)ガレート(以下GCG4”Meとする)及びストリクチニンを抗アレルギー有効成分とし、前記EGCG4”Me、GCG3”Me、GCG4”Me及びストリクチニンの1つ以上の成分が一日当たりの摂取量が0.3mgから3000mgとなるものである機能性飲料。」であって、EGCG4”Me、GCG3”Me、GCG4”Me及びストリクチニンを全て必須成分として含有する機能性飲料に関するものである。
一方、本件明細書の発明の詳細な説明欄には、段落【0019】乃至【0021】に、「前記EGCG3”Me、GCG3”Me、EGCG4”Me、GCG4”Me、の1つ以上の成分(以下これらの物質を「メチルカテキン」と総称する)及びストリクチニンは、茶、特には「べにふうき」もしくは「べにほまれ」、「べにふじ」といったおもに紅茶用のアッサム雑種、「青心大パン」、「青心烏龍」、「大葉烏龍」等の中国種から水溶性成分として抽出できる。その抽出量は煎じ出す水の温度に相関し、水温50℃、70℃、90℃と高温になるほど抽出量も多くなる(図1)。図1中EGCG3”Meがメチルカテキンである。すなわち、煎じ温度を制御することによって成分含量の調節が可能である。含量はHPLCにより測定できる。この際、溶媒には水及び水アルコール等食品に提供されて、効率よく抽出可能なものであれば特にこだわらない。またストリクチニンの挙動はメチルカテキンに順ずる。」と記載され、段落【0029】乃至【0031】に、「[実施例1]「べにふうき」1番茶・・・原料とし、・・・抽出を行った。得られた・・・茶抽出液に含まれるメチルカテキンの基礎的分析を実施し、評価を行った。カフェイン、カテキン類の分析はHPLCを、またタンニンの分析は酒石酸鉄法を用いて分析した。カテキン標準サンプルにはフナコシ(株)社を、EGCG3”Meはナカハラ科学(株)より得たものを用いた。目的となるEGCG3”Meは常法で容易に分離、測定が可能であった。また、その含有量には抽出温度依存性が見られた。抽出温度が高いほど、抽出量は多く濃くなった(図1)。これはその他のカテキン類にもみられた。」と、段落【0034】乃至【0036】に「[実施例2]「べにふうき」抽出物粉末を用いて、ハードキャンディーを作製した。同抽出物粉末中には2.7%のメチルカテキンが含まれており、ハードキャンディー一粒当たり3mgのメチルカテキンを含有するように設計した。その結果、ハードキャンディー製造中のメチルカテキンの変性はなく、メチルカテキンの回収量は104%であった。ストリクチニンについても、同様に安定であった。また、味的にも苦味はほとんどなく、常用できる美味しさであった。[実施例3] アレルギー患者46人に「べにふうき」2g入りティーバッグ1ないし2パック(1日あたり)を投与した。・・・[実施例4] べにふうき、べにふじ、べにほまれ各10gずつを原料とし、30倍量の純水を用いて、90℃で抽出を行った。・・・」と記載されており、図1によれば、茶抽出液には、カフェイン、EGC、C、EC、EGCG、EGCG3”Me、ECGが含有されていることが示されている。
しかしながら、図1には、茶抽出液にGCG3”Me、EGCG4”Me、GCG4”Meが含有されることは示されておらず、また、本件明細書の発明の詳細な説明欄を精査しても、GCG3”Me、EGCG4”Me、GCG4”Meを含有する機能性飲料は、具体的には全く記載されていないし、また、これらの成分のすべてが、「べにふうき」等の茶葉を70℃以上で抽出することにより得られることが、本件出願時に技術常識であったともいえない。
したがって、GCG3”Me、EGCG4”Me、GCG4”Meを含有する機能性飲料についての発明が、本件明細書に当業者が実施可能なように記載されているとはいえないし、また、GCG3”Me、EGCG4”Me、GCG4”Meを含有する機能性飲料についての発明が、発明の詳細な説明欄に記載されているとはいえないから、本件出願は、明細書及び図面の記載が、特許法第36条第4項及び第6項第1号に規定する要件を満たしていない。

3.2 特許法第29条第1項3号について

本件出願日前に頒布された刊行物である特開2000-159670号公報(以下、「引用例A」という。)には、3-O-メチルガロイルエピガロカテキンおよび/または4-O-メチルガロイルエピガロカテキンが、‘青心大ぱん’、‘べにほまれ’、‘べにふじ’、‘べにふうき’などの茶葉を抽出して得られるポリフェノール画分から採取することができること(段落【0011】参照)、抽出温度は、通常は室温〜常圧下で溶剤の沸点の範囲であること(段落【0012】参照)、3-O-メチルガロイルエピガロカテキンおよび/または4-O-メチルガロイルエピガロカテキンを主体とする茶抽出物を含む飲食物を日常的に摂取することにより、アレルギー反応による症状の予防や軽減に役立つこと(段落【0042】参照)、飲食物としては制限がなく、前記カテキン誘導体を含む茶葉抽出物をそのままの形で、あるいはエキス,粉末化して用いる他、一般に用いられている飲食物素材や飲食物製造上許容される担体等と組み合わせて、飲料等各種飲食物とすることができること(段落【0015】参照)、飲食物として用いる場合は、有効成分である上記カテキン誘導体を含むポリフェノール画分として1日に5〜300mg/kg、好ましくは20〜100mg/kgの範囲で用いること(段落【0018】参照)が記載されている。
これらの記載から、引用例Aには、‘青心大ぱん’、‘べにほまれ’、‘べにふじ’、‘べにふうき’などの茶葉を室温〜常圧下で溶剤の沸点の範囲で抽出して得られ、エピガロカテキン-4-O-(4-O-メチル)ガレート等のカテキン誘導体を1日に5〜300mg/kg用いる抗アレルギー機能性飲料が記載されているといえる。(以下、「引用例発明A」という。)
本件補正発明と引用例発明Aを対比すると、両者は、「‘青心大ぱん’、‘べにほまれ’、‘べにふじ’、‘べにふうき’からなる群より選ばれる一以上の茶葉を70℃以上で抽出して得られた機能性飲料であって、エピガロカテキン-4-O-(4-O-メチル)ガレート等のカテキン誘導体を抗アレルギー有効成分とし、抗アレルギー成分が一日当たりの摂取量が5〜300mgとなるものである機能性飲料。」である点で一致しており、抗アレルギー成分であるカテキン誘導体について、前者が「GCG3”Me、GCG4”Me及びストリクチニン」を含有すると特定しているのに対して、後者にそのような特定がない点で相違している。
しかしながら、後者も同じ種類の茶葉を同じ抽出温度で抽出しているのであるから、後者も前者と同じ抽出成分を含有することは明らかであり、この点は相違点とはいえない。
したがって、本件補正発明は、機能性食品自体としては引用例発明Aと同一であり、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

4 本件発明について

1)本件発明

平成17年6月29日付けの補正は、上記のとおり却下されたので、本件出願の請求項1乃至12に係る発明は、平成17年3月22日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて特許請求の範囲の請求項1乃至12に記載された事項により特定されるものであるところ、本件出願の請求項1に係る発明は、以下のとおりのものである。(以下、「本件発明」という。)
「【請求項1】エピガロカテキン-4-O-(4-O-メチル)ガレート(以下EGCG4”Meとする)又はストリクチニンの少なくともどちらか一種の成分と、 ガロカテキン-3-O-(3-O-メチル)ガレート(以下GCG3”Meとする)又はガロカテキン-4-O-(4-O-メチル)ガレート(以下GCG4”Meとする)の少なくともどちらか一種の成分と、を有効成分として抗アレルギー有効量含む機能性飲食品。」

2)引用例記載の発明

本件発明は、前記のとおり、具体的には、「べにふうき」茶葉を50,70,90℃の熱水抽出した飲料或いはその茶抽出物粉末を用い一粒当たり3mgのメチルカテキンを含有するハードキャンディーであり、「べにふうき」茶抽出物は、図1によれば、カフェイン、EGC、C、EC、EGCG、EGCG3”Me、ECGが含有することが示されているが、GCG3”Me、EGCG4”Me、GCG4”Meを含有することは示されていない。
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された本件出願日前に頒布された刊行物である.Nippon Shokuhin Kagaku Kogaku Kaishi,Vol.48,No.1(2001),p.64-68(以下、「引用例1」という。)には、抗アレルギー作用の強いエピガロカテキン-3-O-(4-O-メチル)ガレート(EGCG4”Me)及びエピガロカテキン-3-O-(3-O-メチル)ガレート(EGCG3”Me)を茶葉中に見出したこと、EGCG3”Me及びEGCG4”Meは,I型アレルギー試験において強い抑制作用を有すること、EGCG3”Meは、‘べにほまれ’その後代である‘べにふじ’、‘べにふうき’で最も高い含量を示したこと(第65頁参照)、EGCG3”Meを摂取するためには、紅茶に製造するのではなく、緑茶もしくは包種茶に製造するとよいこと(第67頁参照)が記載され、同じく、バイオサイエンスとインダストリー,Vol.57,No.10(1999),p.691-692.(以下、「引用例2」という。)には、べにほまれ包種茶のポリフェノール画分からえられた抗アレルギー物質は新規カテキン類のエピガロカテキン-3-O-(4-O-メチル)ガレート及びエピガロカテキン-3-O-(3-O-メチル)ガレートであること、I型アレルギーに対して低濃度で効果があること、今後エピガロカテキン-3-O-(4-O-メチル)ガレート及びエピガロカテキン-3-O-(3-O-メチル)ガレートを多く含む品種の改良を行い、「抗アレルギー茶」として商品開発し普及させることを期待していることが記載されている。

3)特許法第29条第1項3号について

引用例1には、EGCG3”Me,GCG3”Me等のカテキンを含有する‘べにふうき’茶葉を緑茶にすると抗アレルギー作用の強いEGCG3”Meを摂取できることが記載されており、緑茶は通常熱水抽出して飲料に供されることから、引用例1には、べにふうきを熱水抽出した抗アレルギー性茶飲料が記載されているといえる。(以下、「引用例発明1」という。)
本件発明と、引用例発明1を対比すると、両者は、「べにふうき茶葉を熱水抽出して得られた機能性飲食品であって、ガロカテキン-3-O-(3-O-メチル)ガレート等のカテキン誘導体を含む抗アレルギー機能性飲食品。」である点で一致しており、前者が、エピガロカテキン-4-O-(4-O-メチル)ガレート又はストリクチニンの少なくともどちらか一種を有効成分として更に含有しこれらの有効成分を抗アレルギー有効量含むと特定しているのに対して、後者にそのような特定がない点で相違している。
しかしながら、後者も、同じ種類の茶葉を同様の抽出温度で抽出しているのであるから、後者も、前者と同じ抽出成分を含有することは明らかであり、この点は相違点とはいえない。
したがって、本件発明は、機能性飲食品自体としては引用例発明1と同一であり、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

4)特許法第29条第2項について

引用例2には、‘べにほまれ’抽出物に存在する、I型アレルギーに対し効果があるエピガロカテキン-3-O-(4-O-メチル)ガレート及びエピガロカテキン-3-O-(3-O-メチル)ガレートを抗アレルギー茶に供することが期待されることが記載されているといえる。(以下、「引用例発明2」という。)
本件発明と引用例発明2とを対比すると、両者は、エピガロカテキン-4-O-(4-O-メチル)ガレートを有効成分として含む抗アレルギー機能性飲食品に関するものである点で一致し、
(1)前者が抗アレルギー成分として、ガロカテキン-3-O-(3-O-メチル)ガレート又はガロカテキン-4-O-(4-O-メチル)ガレートの少なくともどちらか一種の成分を有効成分として更に含有しこれらの有効成分を抗アレルギー有効量含むと特定しているのに対して、後者はその旨記載のない点
(2)前者が機能性飲食品であるのに対して、後者は機能性飲食品に供
することを示唆しているものの、実際に機能性食品としたものではない点
で相違している。
そこで、これら相違点について検討する。
相違点(1)
引用例1のTable1によれば、‘べにほまれ’、‘べにふじ’、‘べにふうき’茶葉中には、GCG3”Meが含有されることが示されていることから、GCG3”Meもカテキン類であることから,GCG3”Meに抗アレルギー性を期待して,GCG3”Meを抗アレルギー機能性飲食品の有効成分
とすることは当業者が適宜なし得ることである。
そして、前記のとおり、本件明細書においては、「べにふうき」茶抽出物が、GCG3”Me又はGCG4”Meを含有することは示されていないし、その抗アレルギー性に関するデータもないから、GCG3”Me又はGCG4”Meを機能性食品の有効成分とすることにより格別の効果を奏するものとも認められない。

相違点(2)
引用例1には、 EGCG3”Meを摂取するためには、緑茶に製造することが記載され、またEGCG4”Me及びEGCG3”MeはI型アレルギーに有効なことが記載されているから、引用例発明2において、I型アレルギーに有効なこと及び嗜好性を確認して抗アレルギー性機能性飲食品とすることも当業者が容易になし得るところである。
したがって、本件発明は、その出願前日本国内において頒布された上記刊行物1乃至2に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

なお、審判請求人は、審判請求書において、「本願発明は飲料に係る発明であり、カテキン類の抗アレルギー効果を十分奏するような条件で飲料を製造しただけでなく、パネリスト10名の官能評価による嗜好性も検討している。」と主張しているので検討する。
前記のとおり、出願人が本件明細書中において具体的に製造した機能性飲食品は、茶葉を50,70,90℃の熱水抽出した飲料や、その抽出物を用いたハードキャンディーであり、「べにふうき」2g入りティーバッグ投与により抗アレルギー効果を確認しただけある。
本件発明の茶葉の抽出条件は、通常、お茶を抽出して飲用する際の抽出方法と同様であり、アレルギー効果を十分奏するように特別な抽出工程を工夫しているものでもないことから、引用例1乃至2に基づいて、抗アレルギー作用を持つことが知られる茶を熱水抽出して飲料を得、その抗アレルギー効果及び嗜好性を確認することに何等困難性は見出せず、審判請求人の主張は採用できない。

5) むすび

以上のとおり、本件出願の請求項1に係る発明は、その出願前日本国内において頒布された上記刊行物1に記載された発明であって、特許法第29条第1項3号該当し、また、その出願前日本国内において頒布された上記刊行物1乃至2に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、請求項2乃至12に係る発明については判断するまでもなく、本件出願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-05-24 
結審通知日 2006-05-30 
審決日 2006-06-12 
出願番号 特願2002-271730(P2002-271730)
審決分類 P 1 8・ 57- Z (A23L)
P 1 8・ 121- Z (A23L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 ▲高▼ 美葉子鈴木 恵理子  
特許庁審判長 河野 直樹
特許庁審判官 鵜飼 健
種村 慈樹
発明の名称 抗アレルギー成分を含有する機能性飲食品  
代理人 正林 真之  
代理人 正林 真之  
代理人 正林 真之  
代理人 正林 真之  

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