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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G09B
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G09B
管理番号 1142062
審判番号 不服2003-18904  
総通号数 82 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2001-08-03 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-09-25 
確定日 2006-08-18 
事件の表示 特願2000- 14965「コンピュータ適応型テスト装置、コンピュータ適応型テストシステム、コンピュータ適応型テスト方法およびコンピュータ適応型テストプログラムを格納する記録媒体」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 8月 3日出願公開、特開2001-209297〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成12年1月24日の出願であって、平成15年8月26日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年9月25日付けで拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年10月23日付けで明細書についての手続補正(以下、「本件補正」という。)がなされたものである。

第2 補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成15年10月23日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1.本件補正の内容及び目的
本件補正前後の【請求項1】の記載を比較すると、本件補正は、補正前の【請求項1】の「受検者の能力を評価するためにテストを実行するコンピュータ適応型テスト装置」を「受検者の能力を評価するために、当該受検者の能力レベルを示す初期値を取得するための第1テストを実行し、前記第1テストを実行することによって取得された初期値に基づいて前記受検者の能力レベルの水準値を取得するための第2テストを実行するコンピュータ適応型テスト装置」として、受験者能力を評価するテストが、二段階に行われることの限定、かつ、「受検者に対して初期に出題する複数のテスト項目からなり、かつそれぞれにセット番号が付与された初期テスト項目群」を「前記第1テストとして受検者に対して出題可能な複数のテスト項目からなり、セット番号が割り当てられている初期テスト項目群が複数記憶されているデータベース」として、「初期テスト項目群」がデータベースに記憶されていることの限定、さらに、「前記受検者に付与された固有番号に一致する前記セット番号が付与された前記初期テスト項目群を選択し、かつ前記選択された初期テスト項目群に所属する前記複数のテスト項目を、前記受検者の能力レベルを表わす初期値を設定するために出題する初期値設定部」と「前記固有番号は、前記受検者のテスト開始時に生成される」を「前記データベースに記憶されている複数の初期テスト項目群から、前記第1テスト開始時刻の秒に基づいて生成する固有番号に一致するセット番号が割り当てられている初期テスト項目群を選択し、かつ選択した前記初期テスト項目群を構成する複数のテスト項目を、第1テストとして出題する初期値設定部」として、「初期値設定部」が第1テストの出題を行うものであることの限定、及び「固有番号」の生成手法の限定、を含むものであり、本件補正は特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の限定的減縮を目的とするものと認められる。

2.補正発明の認定
本件補正後の請求項1に係る発明は、本件補正により補正された明細書の特許請求の範囲【請求項1】に記載された次の通りのものと認める。
「【請求項1】 受検者の能力を評価するために、当該受検者の能力レベルを示す初期値を取得するための第1テストを実行し、前記第1テストを実行することによって取得された初期値に基づいて前記受検者の能力レベルの水準値を取得するための第2テストを実行するコンピュータ適応型テスト装置において、
前記第1テストとして受検者に対して出題可能な複数のテスト項目からなり、セット番号が割り当てられている初期テスト項目群が複数記憶されているデータベースと、
前記データベースに記憶されている複数の初期テスト項目群から、前記第1テスト開始時刻の秒に基づいて生成する固有番号に一致するセット番号が割り当てられている初期テスト項目群を選択し、かつ選択した前記初期テスト項目群を構成する複数のテスト項目を、第1テストとして出題する初期値設定部とを備える、ことを特徴とするコンピュータ適応型テスト装置。」
(以下、「補正発明」という。)

3.補正発明の独立特許要件の判断
以下、補正発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものかどうか(平成15年改正前特許法第17条の2第5項において読み替えて準用する同法第126条第4項の規定に適合するか)を検討する。

3-1.引用例記載の発明
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願の日前である特開平5-282283号公報(以下、「引用例1」という。)には、次の事項が図示とともに記載されている。

ア.特許請求の範囲「【請求項1】 コンピュータを用いて適応試験を作成するための項目選択方法であって、(A) 項目選択の初期化を行う工程と、(B) 次の(i)から(v)までの工程を備えて次項目を選択する工程と、(i) 能力予測許容誤差を設定する工程(ii) 能力の最大確度予測値を算出する工程(iii) 停止条件が成立していない場合、次の(a)から(e)までの工程によって項目を選択する工程(a) 以前の項目を記録する工程(b) θの予測値に最も近いθ位置を検出する工程(c) 現在のブロックに基づいて集合の有効範囲を設定する工程(d) n個の最良項目を識別する工程(e) n個の項目の中から無作為に選択する工程(iv) 停止条件が成立している場合、試験の終了を示す信号を発生する工程(v) ブロックの有効範囲を設定する工程(C) 停止条件が成立するまで前記(B)の工程を反復する工程とを備えたことを特徴とするコンピュータを用いて適応試験を作成するための項目選択方法。」

イ.段落【0001】「【産業上の利用分野】この発明は、コンピュータ化された適応試験の構成に関するもので、特に、適応試験の作成において熟練者の試験開発手順を用いる新規な方法に関するものである。」

ウ.段落【0017】「《適応試験の構成》初期のモンテカルロ(Monte Carlo) の適応試験のアルゴリズムの検討は、主として精神測定的性質に集約されている(例えば、ロード、1970年、1971年a、1971年b参照)。こうした検討は、最終的にIRTに基づくアルゴリズムを、迅速で、効率的で、精神測定的に見て論理的なものとした。ワイナー等(Wainer et al.) (1990年、第5章)及びロード(1980年、第9章)によって、最も高い頻度で使用されるアルゴリズムの検討が行われた。これらの従来のアルゴリズムの底流にある基本的な哲学は、以下の通りである。」

エ.段落【0018】「1) 初期項目は、何らかの基礎に基づいて選択され、受験者に与えられる。
2) 最初の項目に対する受験者の解答に基づいて、第2の項目が選択され、設問される。受験者の最初の2つの項目に対する解答に基づいて、第3の項目が選択され、設問される等。一般的な例としては、受験者の前項の項目に対する解答が、各項目についての解答毎に更新される習熟度の評価に反映される。
3) 各項目の解答後に更新される習熟度の評価により、項目の選択が、ある終了条件が成立するまで継続される。
4) 受験者の最終得点は、すべての項目の設問を終了した後の習熟度の評価値となる。」

以上の記載には、項目選択方法が記載されているのみともいえるが、その名称「コンピュータを用いて適応試験を作成するための項目選択方法」に明らかなように、コンピュータを用いることを前提とし、その際にどのような項目選択方法を採用するかの詳細が開示されていることから、当業者であればコンピュータ適応型テスト装置の構成が直ちに想定し得ることであって、引用例1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「受験者の能力を評価するためにテストを実行するコンピュータ適応型テスト装置において、
受験者に対して出題する複数のテスト項目群を用意し、
前記受験者に出題する項目を何らかの基礎に基づいて選択し、設問され、
最初の項目に対する受験者の回答に基づいて、次の項目が選択され、設問され、
受験者の前項の項目に対する解答が、各項目についての解答毎に更新される習熟度の評価に反映されるコンピュータ適応型テスト装置。」

3-2.補正発明と引用発明との対比
補正発明と引用発明を対比すると、引用発明の「受験者」が、補正発明の「受検者」に相当することは明らかである。
また、引用発明の「習熟度」は、テストする対象に係る受験者の能力レベルを表す表現であると直ちに理解可能であることからすれば、引用発明における「受験者の習熟度の評価」とは、補正発明における「受検者の能力レベルの水準値を取得する」ことと等価であると認められる。

してみれば、両者の一致点及び相違点は、次のとおりである。

<一致点>
「受検者の能力を評価するためにテストを実行するコンピュータ適応型テスト装置において、
受検者に対して出題する複数のテスト項目群を用意し、
前記受検者に出題する項目を何らかの基礎に基づいて選択し、設問され、
受検者の前項の項目に対する解答が、各項目についての解答に応じて受検者の能力レベルの水準値を取得するコンピュータ適応型テスト装置。」

<相違点1>
テストの実施に関して、
補正発明においては、「受検者の能力を評価するために、当該受検者の能力レベルを示す初期値を取得するための第1テストを実行し、前記第1テストを実行することによって取得された初期値に基づいて前記受検者の能力レベルの水準値を取得するための第2テストを実行する」と特定されるのに対して、
引用発明ではかかる特定を有さず、選択して設問した項目毎に、受検者の能力レベルが評価されている点。

<相違点2>
補正発明においては、
「前記第1テストとして受検者に対して出題可能な複数のテスト項目からなり、セット番号が割り当てられている初期テスト項目群が複数記憶されているデータベース」を備えていることが特定されているのに対して、
引用発明ではかかる特定を有さず、該当するデータベースを有するとの記載はない点。

<相違点3>
補正発明においては、
「前記データベースに記憶されている複数の初期テスト項目群から、前記第1テスト開始時刻の秒に基づいて生成する固有番号に一致するセット番号が割り当てられている初期テスト項目群を選択し、かつ選択した前記初期テスト項目群を構成する複数のテスト項目を、第1テストとして出題する初期値設定部とを備える」と特定されるのに対して、
引用発明ではかかる特定を有さず、テスト項目の選択にあたり、固有番号を用いることの記載はない点。

3-3.相違点の判断及び補正発明の進歩性の判断
(1) 相違点1について
一般に適応テストを行うに際し、予め受検者の能力レベルについて概ね把握ができていれば、その能力を認定するに適したテスト内容の選択が可能となることは明らかである。
ここで、本願の出願前に頒布されたことが明らかな、情報処理学会論文誌 Vol.34 No.7 July 1993 P.P.1527-1539「指導計画立案支援のための教材モデル」には、学習者に学習させる際に、教材をどのように準備すべきか、また、学習者の能力レベルに応じた教材が選択されるべきであること、学習者個々人に合った教授指導を実施する上では、学習者の応答や状況に従って動的な修正・変更が重要であることなどが指摘されており、これにおいては、予め準備した教材をモデル化して、これから適切な教材群を選択するようになすことが求められており、コンピュータを用いた教授プロセスにおいて、これらの課題を解決するための手法を検討することが、従来からも行われていることが指摘されている。
また、予め受検者の概ねの能力レベルを把握するための簡易なテストを行った後に、詳細なテストを行うことは、コンピュータを用いない場合においても、常識的に採用されている手法である。
してみれば、引用発明において、受検者の能力レベルを概ね把握すべき第1テストを行った後に、当該受検者の能力レベルを詳細に把握すべき第2テストを行うようになすことは、当業者であれば容易になし得る程度のことである。

(2) 相違点2について
当該相違点2は、テスト項目がデータベースに記憶させてある点と、記憶させているテスト項目が第1テストに係る点を含むものである。
しかし、コンピュータを用いるに際して扱うテスト項目をデータベース化して記憶させておくことは慣用されていることであって、格別なこととはいえない。
また、前記相違点1において検討したように、受検者の能力レベルを把握する上で、第1テストと第2テストを行うことは、一般的な手法であって、これも格別なものとはいえない。
また、当該相違点2に関しては、データベースに記憶した複数の初期テスト項目群に、セット番号を割り当てることが特定されるも、複数準備した項目を識別する上で、何らかの識別記号を割り当てることは通常行なわれていることである。
よって、相違点2については、当業者であれば必要に応じて容易になし得た程度のことである。

(3) 相違点3について
当該相違点3は、第1テストに用いる初期テスト項目をどのように選択するかに係る手法を特定しているものである。
ここで、予め複数準備されたテスト項目から適切なものを選択することが、受検者の能力レベルを把握する上で重要なことは論を待たない。
ところで、当該相違点3において、第1テスト開始の時刻の秒に基づいて固有番号が生成されること、そして、この固有番号に一致するセット番号が選択されるとされる。
この場合、当該固有番号は、予め受検者について想定した能力レベルに応じた複数テスト項目群のうちから適宜のセットを選択するために用いられているものであって、受検者の能力レベルとの直接的な関係はないものと解される。
引用発明においては、最初に設問される項目に対する受験者の回答に応じて、それ以降の項目が選択されることが開示されているものの、これらの項目選択がどのようにして行われるかの詳細は明らかでない。
しかしながら、前記のように、補正発明における固有番号は、単に準備された複数セットのどれを用いるかをランダムに設定する程度のものであって、特段受検者の能力レベルとの関係がないものであるし、コンピュータでの出題に際し、適宜なセットを選択する上でランダム選択を採用することが一般的であることに鑑みれば、当該相違点3については、当業者が必要に応じて、採用し得た程度のことといわざるを得ない。
なお、コンピュータを用いた処理を行うに際して、無作為な選択を期待して確率的な処理を行うために、いわゆる乱数を用いること、そして、乱数取得に際して現在時点の時刻を用いることは、いずれも従来から周知慣用されている(特開平11-219281号公報、特開2000-10840号公報、或いは特開平9-162859号公報など参照。)ことである。
してみれば、相違点3についても、当業者が必要に応じて適宜なし得た程度のことといわざるを得ない。

(4) 補正発明の進歩性の判断
相違点1乃至相違点3に係る補正発明の構成を採用することは当業者にとって想到容易であり、これら構成を寄せ集めて採用したことにより格別の作用効果が生じるとも認めることができない。
したがって、補正発明は、引用発明並びに周知慣用技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

3-4.まとめ
以上のとおり、補正発明は、特許法第29条第2項の規定により特許をすることができないものであるから、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

[補正の却下の決定のむすび]
本件補正前の請求項1を限定的に減縮した補正発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないから、本件補正は、平成15年改正前特許法第17条の2第5項において読み替えて準用する同法126条第4項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、補正の却下の結論のとおり決定する。

第3 本件審判請求についての当審の判断

1.本願発明の認定
本件補正が却下されたから、本願の各請求項に係る発明は、平成15年6月23日付け手続補正により補正された明細書の特許請求の範囲に記載されたとおりのものである。
そして、当該特許請求の範囲の請求項18及び請求項19には、以下のとおりに記載されている。

「【請求項18】 受検者の能力を評価するためにテストを実行するコンピュータ適応型テスト装置において、
画面に表示された問題文に対するマウスによるドラッグ操作による書き込みを検出した場合、ドラッグ操作に応じた書き込み結果を前記問題文上に表示する測定部を具備する
ことを特徴とするコンピュータ適応型テスト装置。
【請求項19】 受検者の能力を評価するためにテストを実行するコンピュータ適応型テスト装置において、
前記受検者が選択可能な選択肢に対するクリックに応じて、当該選択肢の表示状態を変更する測定部を具備する
ことを特徴とするコンピュータ適応型テスト装置。」
(以下、「本願発明1」及び「本願発明2」という。)

2.本願発明と引用発明との対比
引用発明は、前記で認定したように、
「受験者の能力を評価するためにテストを実行するコンピュータ適応型テスト装置において、
受験者に対して出題する複数のテスト項目群を用意し、
前記受験者に出題する項目を何らかの基礎に基づいて選択し、設問され、
最初の項目に対する受験者の回答に基づいて、次の項目が選択され、設問され、
受験者の前項の項目に対する解答が、各項目についての解答毎に更新される習熟度の評価に反映されるコンピュータ適応型テスト装置。」
であり、これには、本願発明1に特定される
「画面に表示された問題文に対するマウスによるドラッグ操作による書き込
みを検出した場合、ドラッグ操作に応じた書き込み結果を前記問題文上に表示する測定部を具備する」点、或いは本願発明2に特定される
「前記受検者が選択可能な選択肢に対するクリックに応じて、当該選択肢の表示状態を変更する測定部を具備する」点の特定はない。
しかしながら、コンピュータを用いたテスト装置においては、ディスプレイに表示された問題文を視認して、これに対する回答をマウスを用いて入力するインターフェースを備えていることは、きわめて一般的なものであって周知慣用の技術に属するものである。
また、マウスを用いて回答を入力した場合に、マウス操作による書き込みを検出し、書き込まれた結果を、ディスプレイに表示して、回答入力した者が、自分の書き込んだ結果を確認可能なものとすることも、同じくきわめて一般的なものであって周知慣用の技術に属するものである。
してみれば、これら本願発明1及び本願発明2は、は、引用発明及び周知慣用技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。

第4 むすび
本件補正は却下されなければならず、本願請求項18或いは19に係る発明が特許を受けることができない以上、その他の請求項に係る発明を検討するまでもなく、本願は拒絶を免れない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-06-09 
結審通知日 2006-06-14 
審決日 2006-06-29 
出願番号 特願2000-14965(P2000-14965)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G09B)
P 1 8・ 575- Z (G09B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 宮本 昭彦  
特許庁審判長 酒井 進
特許庁審判官 國田 正久
長島 和子
発明の名称 コンピュータ適応型テスト装置、コンピュータ適応型テストシステム、コンピュータ適応型テスト方法およびコンピュータ適応型テストプログラムを格納する記録媒体  
代理人 沢田 雅男  
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