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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B41J
管理番号 1142635
審判番号 不服2005-9576  
総通号数 82 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2004-09-02 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-05-20 
確定日 2006-08-25 
事件の表示 特願2004-166484「インクカートリッジ」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 9月 2日出願公開、特開2004-243781〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯・本願発明の認定
本願は、平成7年9月11日に出願(先の出願に基づく優先権主張 平成6年10月26日)された特願平7-258101号の一部を特許法44条1項の規定により新たな特許出願とした(上記先の出願に基づく優先権主張がされている)特願2002-195649号の一部を特許法44条1項の規定により新たな特許出願とした(上記先の出願に基づく優先権主張がされている)ものであって、平成17年4月15日付けで拒絶の査定がされたため、これを不服として同年5月20日付けで本件審判請求がされたものである。
本願の請求項1に係る発明は平成16年6月22日付けで補正された特許請求の範囲の【請求項1】に記載された事項によって特定される次のとおりのものと認める。
「インクジェット記録ヘッドを備えたキャリッジに着脱可能で、前記記録ヘッドに連通するインク供給針が挿抜されるインク供給口と、前記インク供給口に連通するインク収容領域を備えたインクカートリッジにおいて、
中心にインク流通用の通孔を有し、前記インク収容領域と前記インク供給口との間に配置された弾性変形可能な弾性体と、前記弾性体の前記通孔に対向して配置された封止部材とを備え、
前記弾性体は、前記記録ヘッドでインクが消費されて前記インク収容領域側と前記インク供給口側との差圧が所定の値以上となった状態では、前記弾性体が弾性変形して前記通孔を開放し、また、前記インク収容領域側と前記インク供給口側との差圧が所定の値以下及びインクの消費が行われない場合には前記弾性体が前記封止部材に弾接されて前記通孔を封止して前記インクの流通を阻止するインクカートリッジ。」

第2 当審の判断
1.引用刊行物
原査定の拒絶の理由に引用された特開昭62-231759号公報(以下「引用例1」という。)には、以下のア〜ケの記載が図示とともにある。
ア.「次の(イ)から(ニ)を設けてなるインクジェット・プリントヘッド。
(イ)貫通穴を有する弁体。
(ロ)前記弁体の片側に、前記貫通穴の一端にインクを供給するように接続されたインクだめ。
(ハ)前記弁体の、前記インクだめと反対側に、前記貫通穴の他端から供給される前記インクを貯蔵するための空洞を前記弁体とで構成するように装着された、印字用の前記インクを噴射するためのプリントヘッド。
(ニ)前記空洞内に設けられた、前記インクの流入を制御するための弁部材。」(1頁左下欄5〜16行)
イ.「本発明は、・・・通常の取り扱い及び使用時にオリフィス板からインクが漏れないようにしたインクだめを持つインクジェット・プリントヘッドに関する。」(1頁左下欄末行〜右下欄4行)
ウ.「使い捨てのインクジェット・プリントヘッドは使用しているときばかりではなく、取り扱っている間もインクを含んだ状態でなければならない。・・・オリフィス板でのインク漏れを防ぐための様々な技術が提案されている。・・・インクだめの中にインクを保持するのにスポンジ(foam)を用いたりもする。・・・しかしながら、スポンジを使用した場合の容積効率はたいていの場合、約60〜65%にすぎない。」(1頁右下欄6行〜2頁左上欄12行)
エ.「インク漏れの問題を解決するために本発明の一実施例では穴のあいた弁体を備えている。インクだめは弁体の片側に結合され、前述の穴にインクを供給する。オリフィス板と基板から成る印字基板アセンブリが弁体のもう一方の端をふさぎ、穴付近の弁体と基板の間に小さな空洞をつくる。インクはこの空洞に注入される。
弾性的に負荷された弁部材は穴の空洞側端を封じている。弾性負荷により、弁を開口するための圧力はインクおよびインクだめに働く加速力に起因する予期される静水圧の最大値より大きくなる。プリントヘッドが動作し、インクを噴射するとインク注入空洞(ink prime cavity)の圧力は下がる。弁での圧力差異が弁を開口する圧力を越えるとインクがインク注入空洞に供給される。」(2頁右上欄15行〜左下欄9行)
オ.「第1図に本発明の一実施例を示す。図において、プリントヘッドは一体成形された、あるいは個別に固着された固定インクだめ3を持つ弁体1から成る。・・・弁体1内に作られた穴5は図から明らかなように弁体の上部面7および下部面9の間に伸びており、インクだめ3および印字基板アセンブリ11の間にインク流を供給する。印字基板アセンブリ11は下部面9から離れた所で弁体1の底部の開口端を封じ、小さい空洞10を定める。該空洞10は印字基板アセンブリが機能を正確に果し、印刷動作中に用紙13上にインクを噴射するようにインクで満たされていなければならない。プリントヘッド本体および用紙間の相対的な位置だけが示されており、印刷動作中には用紙およびプリントヘッド本体の両方がそれぞれ垂直方向に移動するのがわかる。プリントヘッドアセンブリは基板11aおよびオリフィス板11bから成る。」(2頁左下欄14行〜右下欄14行)
カ.「弁15を用いてインクだめ3および空洞10の間のインクの移動を制御する。図示した弁はゴム性隔壁型(rubber diaphragm type)の弁であり、空洞10にすきができるのを防ぐための制御弁として機能する。それは弾力性のかさ形隔壁15aから成り、その周辺エッジは弁体を通る穴5を囲み周辺シールとなる。」(3頁左上欄4〜10行)
キ.「印字基板アセンブリ11が用紙13にインクを噴射するごとに空洞内の圧力が減少する。隔壁弁15が開き、噴射されたインクを補充して、空洞10を満たす。」(3頁右上欄3〜6行)
ク.「重力によるオリフィスからのインク漏れの誘発防止にインクだめ内にスポンジを入れる必要も弾性に冨んだインク袋を使用する必要もない。」(3頁右上欄9〜11行)
ケ.「制御弁の1タイプだけをここに示す。しかしながら、閉じた位置に予め負荷した制御弁ならどんなタイプのものでも用いることができるということは評価できる。別のタイプの弁とはたとえばリード弁(read valves)、スプリングで押さえつけた玉弁(spring 1oaded ball valves)、およびアヒルのくちばし弁(duck billed valves)などいくらでもある。全ての場合において、開口圧力、あるいは亀裂圧力を引き出す弁の予負荷は製造公差を考慮して、適当な安全マージンだけ重力圧力を越えるように選び、プリントヘッドが始動するときに予負荷が大きすぎてインクの噴射を妨げることのないように選ぶ。」(3頁左下欄9行〜右下欄1行)

2.引用例1記載の発明の認定
記載アの「弁部材」は、記載エのとおり、穴の空洞側端を封じるように弾性的に負荷(このことを記載ケでは「閉じた位置に予め負荷」と表現している。)されていなければならず、実施例ではゴム性隔壁型の弁が用いられている。
記載オに「印刷動作中には用紙およびプリントヘッド本体の両方がそれぞれ垂直方向に移動する」とあることからみて、プリントヘッドはいわゆるシリアルタイプであり、キャリッジに搭載されて、キャリッジとともに移動することが明らかである。当然、プリントヘッドはキャリッジに着脱可能である。
記載アにおいて、「印字用の前記インクを噴射するためのプリントヘッド」とあるのは、記載オにおいて「印字基板アセンブリ」又は「プリントヘッドアセンブリ」と表現されているものであり、以下では「印字基板アセンブリ」と表現することにする。
したがって、引用例1には次のようなインクジェット・プリントヘッドが記載されていると認めることができる。
「キャリッジに着脱可能であり、次の(イ)から(ニ)を設けてなるインクジェット・プリントヘッド。
(イ)貫通穴を有する弁体。
(ロ)前記弁体の片側に、前記貫通穴の一端にインクを供給するように接続されたインクだめ。
(ハ)前記弁体の、前記インクだめと反対側に、前記貫通穴の他端から供給される前記インクを貯蔵するための空洞を前記弁体とで構成するように装着された、印字用の前記インクを噴射するための印字基板アセンブリ。
(ニ)前記空洞内に設けられ、前記インクの流入を制御するために、前記貫通穴の空洞側端を封じるように前記弁体側に弾性的に負荷されているゴム性隔壁型の弁部材。」(以下「引用発明1」という。)

3.本願発明と引用発明1との一致点及び相違点の認定
引用発明1の「インクだめ」は本願発明の「インク収容領域」に相当し、「インク収容領域」等と印字基板アセンブリが一体化されたものも「インクカートリッジ」と称されるから、「インクカートリッジ」である限度で、本願発明と引用発明1は一致する。ただし、本願発明は「インクジェット記録ヘッドを備えたキャリッジに着脱可能」であるから、記録ヘッド(引用発明1の「印字基板アセンブリ」がこれに相当する。)と一体化されておらず、この点は相違点となる。
引用発明1の「空洞」は、記録ヘッドへインクを供給する部分であるから、本願発明の「インク供給口」に相当する(厳密には、弁部材と弁体が当接した状態で、弁部材よりも印字基板アセンブリ寄りの空間が「インク供給口」に相当し、以下では同部分のみを「空洞」ということにする。)。ただし、「記録ヘッドに連通するインク供給針が挿抜される」かどうかは相違点となる。
引用発明1の「ゴム性隔壁型の弁部材」は本願発明の「弾性体」に相当する。引用発明1の「弁体」及び本願発明「封止部材」は、弁部材(弾性体)と協働して、インクだめ(インク収容領域)から空洞(インク供給口)へのインクの流入を制御するために設けられている部材である点で一致し、この一致する限度で、弁機構の通常の用語を用いて「弁座」ということにする。なお、この用語は本願明細書中の用語とは一致しない。
引用発明1においては、「前記貫通穴の空洞側端を封じるように前記弁体側に弾性的に負荷されている」ことにより、「インクを噴射するとインク注入空洞(ink prime cavity)の圧力は下がる。弁での圧力差異が弁を開口する圧力を越えるとインクがインク注入空洞に供給される。」(記載エ)のであり、「弁での圧力差異」は本願発明の「前記インク収容領域側と前記インク供給口側との差圧」にほかならないから、インクを噴射(消費に等しい。)して、弁を開口するように弁部材は弾性変形し、インクをインク供給口に流通させている。そして、インクを噴射しなければ、空洞内の圧力が低下する要因がないから、弁体側に弾性的に負荷されているゴム性隔壁型の弁部材は貫通穴の空洞側端を封じ、インクの流通を阻止している。また、引用発明1では、「ゴム性隔壁型の弁部材」の周辺部が弾性変形可能となっており、同部が変形した際に弁体との間に隙間がこの隙間がインク通路となるのであるから、本願発明において「通孔を開放」又は「通孔を封止」することとは、弾性体の弾性変形によりインク通路を形成又は封鎖する点で一致する。すなわち、「前記弾性体は、前記記録ヘッドでインクが消費されて前記インク収容領域側と前記インク供給口側との差圧が所定の値以上となった状態では、前記弾性体が弾性変形してインク通路を形成し、また、前記インク収容領域側と前記インク供給口側との差圧が所定の値以下及びインクの消費が行われない場合には前記弾性体が前記弁座に弾接されてインク通路を封鎖して前記インクの流通を阻止する」点では、本願発明と引用発明1に相違はない。
したがって、本願発明と引用発明1とは、
「キャリッジに着脱可能で、インク供給口と、前記インク供給口に連通するインク収容領域を備えたインクカートリッジにおいて、
前記インク収容領域と前記インク供給口との間に配置された弾性変形可能な弾性体と、前記弾性体に対向して配置された弁座とを備え、
前記弾性体は、前記記録ヘッドでインクが消費されて前記インク収容領域側と前記インク供給口側との差圧が所定の値以上となった状態では、前記弾性体が弾性変形してインク通路を形成し、また、前記インク収容領域側と前記インク供給口側との差圧が所定の値以下及びインクの消費が行われない場合には前記弾性体が前記弁座材に弾接されてインク通路を封鎖して前記インクの流通を阻止するインクカートリッジ。」である点で一致し、以下の各点で相違する。
〈相違点1〉本願発明は「インクジェット記録ヘッドを備えたキャリッジに着脱可能」であり、「インク供給口」は「記録ヘッドに連通するインク供給針が挿抜される」ものであるの対し、引用発明1は印字基板アセンブリ(記録ヘッド)と一体であるから、インクジェット記録ヘッドを備えたキャリッジには着脱可能でなく、「インク供給口」は「記録ヘッドに連通するインク供給針が挿抜される」ものではない点。
〈相違点2〉弾性体(弁部材)及び弁座の関係につき、本願発明の弾性体(弁部材)が「中心にインク流通用の通孔を有」し、弁座が「通孔に対向して配置された封止部材」とされているのに対し、引用発明1の弁座(弁体)は貫通穴を有し、その貫通穴の空洞側端を封じるように弾性体(弁部材)が設けられている点。なお、本願発明において「前記弾性体は、前記記録ヘッドでインクが消費されて前記インク収容領域側と前記インク供給口側との差圧が所定の値以上となった状態では、前記弾性体が弾性変形して前記通孔を開放し、また、前記インク収容領域側と前記インク供給口側との差圧が所定の値以下及びインクの消費が行われない場合には前記弾性体が前記封止部材に弾接されて前記通孔を封止して前記インクの流通を阻止する」とあるうちの下線部については、上記相違点2に係る構成を採用した結果にすぎないから、別途独立した相違点とはしない。

4.相違点についての判断及び本願発明の進歩性の判断
(1)相違点1について
本件出願日(進歩性を議論しているから、先の出願の日のことである。)当時、引用発明1のように印字基板アセンブリ(記録ヘッド)と一体化されたインクカートリッジも、本願発明のように「記録ヘッドに連通するインク供給針が挿抜されるインク供給口」を備えた(当然記録ヘッドと一体化されていない。)インクカートリッジも例をあげるまでもなく周知である。
ところで、引用例1の記載ウ,クにあるように、スポンジを用いないことが引用発明1の課題及び作用効果であるが、このような課題及び作用効果は記録ヘッドと一体化されているかどうかには無関係である。
そうである以上、引用発明1における印字基板アセンブリ(記録ヘッド)とそれ以外の部分を分離し、「記録ヘッドに連通するインク供給針が挿抜されるインク供給口」を備えたインクカートリッジに変更することは設計事項というべきである。記録ヘッドが分離されれば、「インクジェット記録ヘッドを備えたキャリッジに着脱可能」となることはいうまでもない。
以上のとおり、相違点1に係る本願発明の構成を採用することは設計事項にすぎない。

(2)相違点2について
原査定の拒絶の理由に引用された特開昭57-6777号公報(以下「引用例2」という。)には、「流体制御手段の第2の実施例は第4図(a)に示すように、弾性体から成るドーナツ形の円板弁401が固定部403にて弁座404に密着固定されており、またインクの流れがないときは可動部405も弁座406に密着し、インク流出口402を遮蔽している。」(6頁左上欄9〜15行)との記載があり、第4図(a),(c)からは、弁部材である円板弁401が中心に通孔を有すること、及び弁座404が同通孔を封止する部材であり、封止部(第4図(a),(c)の符番406の部分)が同通孔に対向していることが読み取れる。
すなわち、相違点2に係る本願発明の構成は、弁部材及び弁座の構成(形状)としては、引用例2に記載された構成(形状)そのものである。
もっとも、引用発明1では、弁部材を弁体(弁座)側に弾性的に負荷されなければならないところ、引用例2記載のものが、そのように負荷されているとまでは認めることができないから、引用例2記載のものを引用発明1に適用できるかどうかについてはさらに検討をすすめる。
引用例1には、「閉じた位置に予め負荷した制御弁ならどんなタイプのものでも用いることができるということは評価できる。・・・スプリングで押さえつけた玉弁・・・などいくらでもある。」(記載ケ)との記載があり、ここに記載の「スプリング」は予め負荷するための部材、すなわち弁部材を弁体(弁座)側に弾性的に負荷するための部材である。さらに、実願昭61-60765号(実開昭62-172869号)のマイクロフィルム(以下「周知例1」という。)に「一般に逆止弁には逆流防止効果を確実にするためリターンスプリングを設けてある」(2頁9〜10行)及び「負圧のため弁体26は第2図左半分に示すようにリターンスプリング28に抗して上方へ撓み、弁体26は弁座23aを開く。」(6頁14〜16行)と、並びに実願昭61-2784号(実開昭62-115575号)のマイクロフィルムに「ダイヤフラム形弁体は、流入口側の弁室から受ける液圧が一定の圧力以下にあるときには、それ自体のもつ弾力作用またはそれに共同させたスプリング作用もしくはその双方によって、その連通開口が前記弁座に押圧されて閉成状態に保持され、前記液圧が一定の圧力以上になったときに連通開口が弁座から離れて開放状態にされる」(1頁9〜16行)とそれぞれ記載されているとおり、流入口側(本願発明及び引用発明では「インク収容領域」)の圧力が流出口側(同「インク供給口」)の圧力よりも一定以上大きいことを条件として開弁させるために、スプリングを利用することは周知である。
そればかりか、前掲周知例1に、「第8図は逆止弁Aの第3実施例を示し、この場合は弁体50として樹脂製又は金属製ダイヤフラムスプリングを使用し、弁体自身のばね力により本体51の上面に形成された弁座51aに圧接するようにしたものである。また、弁体50の中央に形成した流通孔50a・・・」(11頁19行〜12頁4行)との記載があり、第8図には中央に流通孔を有するダイヤフラムスプリングが、弁座と当接する位置よりも流入側で固定されることにより、弁体自身にばね力が与えられる様子が図示されている。同様のことは、特公昭53-30954号公報第2図、及び実願昭54-150093号(実開昭56-67465号)のマイクロフィルム第1図,第2図にも図示されているとおりであるから、弁部材及び弁座の配置関係によって、弁部材に弾性力を与え、もって弁部材を弁体(弁座)側に弾性的に負荷することも周知である。
そうである以上、引用例2記載の弁部材及び弁座が、弁部材を弁体(弁座)側に弾性的に負荷していないとしても、引用例1の記載ケ又は上記周知技術に従い、別途のスプリングを用いるか、あるいは弁部材及び弁座の配置関係を工夫することによって弁部材を弁体(弁座)側に弾性的に負荷できるのだから、引用発明1の弁部材及び弁座の構成(形状)を引用例2記載のものに変更することを妨げる理由はなく、そのようにすることは当業者にとって想到容易である。
すなわち、相違点2に係る本願発明の構成を採用することは、当業者にとって想到容易である。

(3)本願発明の進歩性の判断
相違点1,2に係る本願発明の構成を採用することは、設計事項又は当業者にとって想到容易であり、これら構成を採用したことによる格別の作用効果を認めることもできない。
したがって、本願発明は引用発明1、引用例2記載の技術及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

第3 むすび
本願発明が特許を受けることができない以上、本願のその余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶を免れない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-06-27 
結審通知日 2006-06-28 
審決日 2006-07-11 
出願番号 特願2004-166484(P2004-166484)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B41J)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 門 良成  
特許庁審判長 津田 俊明
特許庁審判官 長島 和子
國田 正久
発明の名称 インクカートリッジ  
代理人 木村 勝彦  

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