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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04Q 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H04Q |
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管理番号 | 1142772 |
審判番号 | 不服2003-6285 |
総通号数 | 82 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2000-10-17 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2003-04-14 |
確定日 | 2006-08-25 |
事件の表示 | 平成11年特許願第504061号「ホームネットワーク自動ツリー生成器に対する方法及び装置」拒絶査定不服審判事件〔平成10年12月30日国際公開、WO98/59479、平成12年10月17日国内公表、特表2000-513916〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、1998年6月24日(パリ条約による優先権主張外国庁受理1997年6月25日、1997年9月22日、米国)を国際出願日とする出願であって、平成14年12月27日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成15年4月14日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年5月14日付けで手続補正がなされたものである。 2.平成15年5月14日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成15年5月14日付けの手続補正を却下する。 [理由] (1)補正後の請求項1に係る発明 本件手続補正により、特許請求の範囲の請求項1は、 「ホームネットワークに現在連結された家電機器をアクセスするためのインタフェースを提供する方法において、 (a)ホームネットワークに現在連結された家電機器を識別する家電機器リンクファイルを発生する段階と、 (b)前記家電機器リンクファイルで識別された対応する家電機器に対して、少なくとも一つのグラフィカルあるいはテキスチュアル表現を有する家電機器リンクページを生成する段階と、 (c)家電機器の表現に関連される家電機器によって提供される家電機器の機能又は状態情報を表現するウェブページにリンクを提供するハイパーテキストリンクと前記家電機器の表現のそれぞれとを関連付ける段階と、 (d)家電機器に基づくブラウザー上に前記家電機器リンクページをディスプレーする段階とを含むことを特徴とする方法。」 と補正された。 上記補正は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「(c)家電機器の表現に関連される家電機器に含まれているウェブページにリンクを提供するハイパーテキストリンクと前記家電機器の表現のそれぞれとを関連付ける段階」を「(c)家電機器の表現に関連される家電機器によって提供される家電機器の機能又は状態情報を表現するウェブページにリンクを提供するハイパーテキストリンクと前記家電機器の表現のそれぞれとを関連付ける段階」と限定するもの(下線部が補正箇所)であって、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件手続補正後の上記請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に適合するか)について、以下に検討する。 (2)引用例 原査定の拒絶の理由に引用された特開平7-44477号公報(以下、「引用例1」という。)、及び特開平9-146973号公報(以下、「引用例2」という。)には、それぞれ、図面とともに次の事項が記載されている。 (引用例1) A.「【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、文字・音声・静止画・動画等の各種情報を取り扱うマルチメディア機器のシステム制御に用いて好適なものである。 【0002】 【従来の技術】従来アナログ技術を中心としていたオーディオ・ビデオ・TV等のAV機器においては、近年急速にデジタル化が進んできている。また、文字・静止画情報のデジタル化の普及と合わせて、いわゆるマルチメディアとして文字・音声・静止画・動画情報がコンピュータの中で統括的に取り扱われるようになってきた。 【0003】 【発明が解決しようとしている課題】しかしながら、現在マルチメディア機器(デジタルカメラ、CD-ROMプレーヤ、スキャナ、サウンドボード、ビデオボード等の音声入出力機器、映像入出力機器等)をコンピュータで利用する場合、それを駆動する専用のアプリケーションソフトまたはデバイスドライバというソフトウェアをコンピュータにインストールしなければならなかった。 【0004】したがつてこの方法では、新しいマルチメディア機器に対しては新たなアプリケーションソフトまたはデバイスドライバをコンピュータごとにあるいはOS(Operating System)ごとに用意しなければないため、ソフトウェアの開発負荷が大きく、効率的かつ高速の制御が不可能であるという問題があった。 【0005】またこの方法では、一般的にはLANに接続された他のコンピュータから、そのマルチメディア機器を透過的に使用することが出来ないため、LANを介して各コンピユータから各周辺機器にアクセスできるようなマルチメデイアシステムのコンセプトを実現することができないものであつた。 【0006】本発明の課題は、上述の問題点を解決することにあり、これらのマルチメデイア機器において、上記アプリケーシヨンソフトやデバイスドライバ等の特別なソフトウエアを必要とせず、またLANを介して他のコントローラから透過的に共通的にマルチメデイア機器を利用できる環境を提供し、特にマルチメデイア機器間でデータの送受信を行う際に利用者に簡易なユーザーインターフエースをもつてマルチメデイア機器間のデータ送受信関係を構築できるようにし、実際のデータ送受信の際には、コントローラを介さずに、マルチメデイア機器間のみでデータ送受信を行うことを目的とする。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明は上述の課題を解決するためになされたもので、その特徴とするところは、複数のマルチメディア機器及びこれらを制御するための制御機器がネットワーク上に接続され、該ネットワークを介して前記複数のマルチメディア機器及び制御装置が互いにオブジェクト指向に基づいたメッセージ及びデータの送受信が可能なシステムにおいて、前記制御装置には表示手段及びポインティング手段が付随し、前記表示手段により、前記複数のマルチメディア機器それぞれを象徴する図柄が表示され、利用者が該ポインティング手段により、これらの図柄の間にリンクを張ることによりマルチメディア機器間のデータの入出力関係を指定するように構成したマルチメディア機器の制御システムにある。」(第2頁右欄第26行〜第3頁左欄第32行) B.「【0113】図31は本実施例でのマルチメディアコントローラ322、VTR機器338及びデジタルカメラ機器339の内部のオブジェクトの構成と、各機器の接続状況を示すものである。各機器内のオブジェクトは全て、互いにメッセージ及びデータを送受信することができる。また、各機器の通信手段336、406、407により、LANを介して、他の機器内に存在するオブジェクトともメッセージを送受信することができるので、図31内のオブジェクトは全て、他の任意のオブジェクトとメッセージ及びデータの送受信を行うことができる。 【0114】図31に図示されるのオブジェクト同士の包含関係は前記オブジェクトの基本構造における所属オブジェクトIDにより表現されるものである。323は前記システムディレクターオブジェクトである。システムディレクターオブジェクト323はそのメソッド部に、機器間のデータ入出力の際、データ入出力の整合性を判断するための手段(データ入出力管理手段)324を有する。接続機器代理オブジェクト格納部335 は前述の接続機器代理オブジェクト初期化手段によりシステム立ち上げ時及び所定の時間毎にLAN341に接続されている各機器から初期化に必要な所定の情報を読み込んで作成される各機器の代理オブジェクトを格納する部分である。 【0115】本実施例ではLAN337上に接続されているデジタルVTR機器338、デジタルカメラ機器339及び図31に図示されていない他の機器よりの初期化情報を読み込んでデジタルVTR代理オブジェクト326、デジタルカメラ代理オブジェクト331及び図31に図示されていない他の機器のオブジェクトを作成するものとする。325はデジタルVTRデータ入力代理オブジェクトでありデジタルVTR機器のデータ入力に関する問い合わせに対する返答手段を有する。330のデジタルカメラデータ出力代理オブジェクトはデジタルカメラ機器のデータ出力に関する問い合わせに対する返答手段を有する。デジタルVTR機器コントローラオブジェクト340は他のオブジェクトからのメッセージに対応して、デジタルVTR機器のハードウェアを制御する。デジタルカメラ機器コントローラオブジェクト341は他のオブジェクトからのメッセージに対応して、デジタルカメラ機器のハードウェアを制御する。デジタルVTR機器入力オブジェクト408はデータ受信手段を有し、自身のオブジェクトIDに送信されてくるデータを受信することができる。デジタルカメラ出力オブジェクト409はデータ送信手段を有し、図示されていないデジタルカメラ機器内の再生装置が再生したデータにデータ送信先ID等の情報を付加して通信手段407よりデータを送信するものである。通信手段336、406及び407はLAN上に接続されている各機器との通信を行うための通信手段である。 【0116】図11はシステムディレクターオブジェクトの構造を示している。処理検索手段342は、利用者の入力によって機器間にリンクが張られたことを通知するメッセージをWindowServerより受け取ると、データ入出力管理手段343を起動する。データ入出力管理手段343は利用者がリンクを張った機器間でのデータの整合性を判断するための一連の処理を行う。 【0117】図32はデータ入出力管理手段の処理手順を示すフローチャートである。利用者が機器Aより、機器Bへと、図30のようなユーザインターフェースよりリンクを張ると、Window Server は機器Aより機器Bへとリンクが張られた事を示すメッセージ(Linked Message)をシステムディレクターオブジェクト(図11の205)に対して通知する。この通知を受けた処理検索手段(図11の342)はメソッド部よりデータ入出力管理手段を起動する。」(第13頁左欄第46行〜第14頁左欄第8行) C.「【0118】以下、利用者が機器Aより機器Bへとリンクを張った際の、データ入出力管理手段による処理手順を図32のフローチャートを用いて説明する。 【0119】まず、S1では、機器Aの出力代理オブジェクトに対して、整合ファイルタイプを問い合わせる(整合ファイルタイプが複数あるときには、そのリストが返答される)。 【0120】次にS2では機器Bの入力代理オブジェクトに対して、整合ファイルタイプを問い合わせる。機器Bの整合ファイルタイプ(整合フォーマット)が複数ある時には、機器Bの入力代理オブジェクトは各ファイルタイプの優先順位を示す情報も同時に通知する。ここで、優先順位は利用者または機器B製造元によって指定された機器Bが入力するのに好ましいファイルタイプの順を示し、この優先順位の最も高いファイルタイプを機器Bの最優先ファイルタイプと呼ぶことにする。次に、S3では機器Bの優先順位に従って、機器Aの整合ファイルタイプ(または整合ファイルタイプリスト)をサーチする。つまり、S1で読み込んだ機器A持つ整合ファイルタイプの中で、機器Bの優先順位の最も高いファイルタイプを探す。この処理によって得られたファイルタイプを機器Aと機器Bとの最適整合ファイルタイプと呼ぶことにする。 【0121】S4では、S3でのサーチに失敗した時には(機器A整合ファイルタイプリストと機器B整合フィイルタイプリストに同一のファイルタイプが存在しなかった時)S8へ、成功した時にはS5へ処理を進める。 【0122】S5では、S3で得られた最適整合ファイルタイプのデータ属性が機器Bの最優先ファイルタイプのデータ属性と一致しているかを判断し、一致している時にはS6へと処理を進める。 【0123】S6では、当リンクが有効と判断し、システムディレクターオブジェクト内部データ部に存在する機器間リンク情報管理データ(図11中344)に機器Aより機器Bへと有効なリンクが張られたこと、及び当リンクのデータ属性とファイルタイプを保存する。 【0124】S7では、LinkedMessage 送信元オブジェクト、機器Aの出力代理オブジェクト及び機器Bの入力代理オブジェクトに、機器Aから機器Bへと有効リンクが張られたこと、及び当リンクのファイルタイプを通知して、(各機器内の入力代理オブジェクト及び出力オブジェクトへの通知も書かなければ)一連の処理を終了する。 【0125】また、S4にて、整合ファイルタイプの一致が得られずS8へと処理が進むと、当リンクは無効と判断され、LinkedMassage 送信元オブジェクトに対し、共通フォーマットがない為リンクが無効であることを通知する。S11では、LinkedMessage 送信元オブジェクトに対してリンクの消去を要求するメッセージを通知し処理を終了する。 【0126】また、S5にて、最適整合ファイルタイプと最優先ファイルタイプのデータ属性が一致しなかった時にはS9にて、警告表示の要求を示すメッセージをLinkedMessage 送信元オブジェクトに対して通知する。この警告の内容は、最適整合ファイルタイプのデータ属性でのデータ送受信で利用者が満足するか否かを、利用者に対して問い合わせる内容のものであり、当リンクの接続を続行するかキャンセルするかを利用者が入力するのを待つイベントループとなる。S10では利用者が続行の指示をした時にはS6へ、キャンセルの指示をした時にはS11へと処理を進め、リンクの消去要求メッセージを通知した後、一連の処理を終了する。」(第14頁左欄第9行〜右欄第20行) D.「【0127】以下、図30、図11、図33を用いて、利用者がデジタルカメラコントロールパネル(図30(a)の301)よりデジタルVTRコントロールパネル(図30(a)の310)間にリンクを張った際のマルチメディアコントローラ内の処理手順について、より具体的に説明する。 【0128】利用者が図30のごときユーザーインターフェース上で、図30(b)のように、デジタルカメラコントロールパネルより、デジタルVTRコントロールパネルへとリンク321を張ると、WindowServerはデジタルカメラコントロールパネルより、デジタルVTRコントロールパネルへとリンクが張られたことを通知するメッセージを図11のシステムディレクターオブジェクトへと送る。 【0129】システムディレクターオブジェクト内の処理検索手段342はこのメッセージを受け取ると、メソッド部よりデータ入出力管理手段343を起動する。データ入出力管理手段343は図33のフローチャートのように処理を行いデジタルカメラコントロールパネル、デジタルVTR コントロールパネル間に張られたリンクの有効/無効判断処理行う。」(第14頁右欄第21〜41行) 上記A〜Dの記載及び関連する図面を参照すると、引用例1には、次の発明が記載されているものと認められる。(以下、「引用例1記載の発明」という。) 「LANに現在連結されたマルチメディア機器をアクセスするためのインタフェースを提供する方法において、 (a)LANに現在連結されたマルチメディア機器を識別するリンクファイルを発生する段階と、 (b)前記リンクファイルで識別された対応するマルチメディア機器に対して、少なくとも一つのグラフィカルあるいはテキスチュアル表現を有する情報を生成する段階と、 (d)前記情報をディスプレーする段階とを含む方法。」 (引用例2) E.「【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、ネットワークに接続された複数のクライアントワークステーションと複数のサーバワークステーションを備えた分散システムにおいて、複数の利用者がクライアントの分散ハイパーテキスト・ビューワを用いてサーバに格納されているハイパーテキスト・データをその時点の局面に応じて同時に共有したり、個々独立にアクセスすることを自由に切換えて操作する分散ハイパーテキストシステムに用いられる装置に関するものである。」(第2頁右欄第29〜38行) F.「【0019】 【発明の実施の形態】 実施の形態1.本実施の形態は、教師と複数の生徒の関係のように、説明者と聴講者といった関係の利用者間で分散ハイパーテキストを用いて共同作業を行う場合に、ハイパーテキストの連動状態と個々独立の操作が行える非連動状態を連続的に切換えることができる分散ハイパーテキストシステムを示す。本実施の形態を図1〜図14を用いて説明する。 【0020】図1は、本実施の形態のシステムの概要構成図である。図において、27は、連動状態のときに分散ハイパーテキスト・ビューワ2の操作指示を行う操作指示クライアント、28は、操作指示クライアント27の指示を受け取り、その指示に従って分散ハイパーテキスト・ビューワ2を動作させる被操作指示クライアントである。29は、被操作指示クライアント28の起動及び終了を指示する手段、30は、操作指示クライアント27の該指示を受け取り、被操作指示クライアント28の分散ハイパーテキスト・ビューワ2を起動及び終了させる手段、31は、操作指示クライアント27が被操作指示クライアント28の分散ハイパーテキスト・ビューワ2を連動させて動作させる連動指示手段、32は、被操作指示クライアント28において該連動指示を受け取り、この指示に従い分散ハイパーテキスト・ビューワ2を動作させる連動手段、33は、操作指示クライアント27が被操作指示クライアント28の分散ハイパーテキスト・ビューワ2の連動状態を中止し、該分散ハイパーテキスト・ビューワ2をクライアント毎に独立に動作させる非連動指示手段、34は、被操作指示クライアント28において該非連動指示を受け取り、該指示に従い分散ハイパーテキスト・ビューワ2をクライアント毎に独立に動作させる手段、35は、操作指示クライアント27がこの連動状態と非連動状態を選択的に切換えるための状態選択手段を示している。 【0021】次に、この実施の形態1における動作の概要を図1〜図3に基づいて説明する。図2は、操作指示クライアント27による被操作指示クライアント28の起動及び終了処理の概要の流れ図を、図3は、操作指示クライアント27と被操作指示クライアント28の連動状態と非連動状態の動的な切換え処理の概要の流れ図を示したものである。 【0022】図2において、操作指示クライアント27の利用者が、その分散ハイパーテキスト・ビューワ2を起動した後、何らかのユーザインタフェースにより他の利用者が使用している複数の被操作指示クライアント28に対して起動指示を出す。これによって、内部的には操作指示クライアント27の起動・終了指示手段29により通信手段3及びネットワーク6を介して全ての被操作指示クライアント28に起動指示が出される(ステップS101)。次に、この起動指示を被操作指示クライアント28が通信手段を介して受け取り、起動・終了手段30に通知し、自分の分散ハイパーテキスト・ビューワ2を起動する(ステップS102)。終了についても同様である(ステップS101,S102)。 【0023】次に、仮に現在の状態が非連動状態とする。図3において、操作指示クライアント27の利用者である教師が、例えば、分散ハイパーテキストを被操作指示クライアント28の利用者である生徒に提示しながら行う講義を開始する場合、まず、教師は、操作指示クライアント27のユーザインタフェースを利用して、連動状態を選択する。これによって内部的には、状態選択手段35により連動指示を選択する(ステップS104、S105)。次に、操作指示クライアント27の連動指示手段31により、通信手段3及びネットワーク6を介して全ての被操作指示クライアント28に対して連動指示を出す(ステップS106)。説明者からの上記指示を受けて聴講者の被操作指示クライアント28は、その通信手段3を介して連動手段32がこの連動指示を受け取り、自分の分散ハイパーテキスト・ビューワ2を連動状態にする(ステップ107)。 【0024】この連動状態では、操作指示クライアント27の利用者である教師が分散ハイパーテキスト・ビューワ2を操作すると、従来例1で示したように複数のサーバ4に格納されているハイパーテキスト・データ5を自分自身でアクセスし、その結果を表示するとともに、全ての被操作指示クライアント28の分散ハイパーテキスト・ビューワ2がその操作に連動し、被操作指示クライアントの28自身が、サーバ4の同じハイパーテキスト・データ5をアクセスし、分散ハイパーテキスト・ビューワ2が同じ結果を表示する(ステップS108)。教師は、この連動状態で自分の分散ハイパーテキスト・ビューワ2を操作し、生徒と同じハイパーテキストの画面を共有しながら授業を進める。 【0025】次に、一通りある単元の講義が終了した後、その講義の最後に表示した分散ハイパーテキスト画面(ノードデータ)を起点として、生徒の能力に応じた演習を分散ハイパーテキストを用いて行わせることを考える。このとき、教師は、操作指示クライアント27のユーザインタフェースを利用して、非連動状態を選択する。これによって内部的には、状態選択手段35により非連動指示を選択する(ステップS109、S110)。次に、操作指示クライアント27の非連動指示手段33により、通信手段3及びネットワーク6を介して全ての被操作指示クライアント28に対して非連動指示を出す(ステップS111)。そして、被操作指示クライアント28の通信手段3を介して、非連動手段32がこの非連動指示を受け取り、自分の分散ハイパーテキスト・ビューワ2を非連動状態にする(ステップ112)。 【0026】この非連動状態では、操作指示クライアント27の利用者である教師と全ての被操作指示クライアント28の利用者である生徒は、講義の最後に使用された分散ハイパーテキスト・ビューワ2に表示されている画面(ノード)を起点として、継続的に、個々独立した操作を行うことができる(ステップ113)。この非連動状態から連動状態に移るときは、ステップS104からの操作を繰り返す。」(第5頁左欄第32行〜第6頁左欄第38行) 上記E,Fの記載及び関連する図面を参照すると、引用例2には、次の事項が記載されているものと認められる。 「分散ハイパーテキストビューワを備えた複数の装置をネットワークに接続して、各装置においてウェブページへのリンクを行い、リンクページの表示を行うこと。」 (3)対比 本願補正発明と引用例1記載の発明とを対比すると、まず、引用例1記載の発明における「マルチメディア機器」は、「デジタルVTR機器」や「デジタルカメラ機器」等の家電機器であるので、本願補正発明における「家電機器」に相当する。 また、引用例1記載の発明における「LAN」は、上記「マルチメディア機器」、すなわち「デジタルVTR機器」や「デジタルカメラ機器」等の家電機器を接続するネットワークであるので、本願補正発明における「ホームネットワーク」に相当するということができ、引用例1記載の発明における「LANに現在連結されたマルチメディア機器を識別するリンクファイル」は、本願補正発明における「ホームネットワークに現在連結された家電機器を識別する家電機器リンクファイル」に相当するということができる。 そして、本願補正発明における「家電機器リンクページ」も、家電機器に関連する「情報」であることには変わりない。 よって、本願補正発明と引用例1記載の発明とは、ともに、 「ホームネットワークに現在連結された家電機器をアクセスするためのインタフェースを提供する方法において、 (a)ホームネットワークに現在連結された家電機器を識別する家電機器リンクファイルを発生する段階と、 (b)前記家電機器リンクファイルで識別された対応する家電機器に対して、少なくとも一つのグラフィカルあるいはテキスチュアル表現を有する情報を生成する段階と、 (d)前記情報をディスプレーする段階とを含む方法。」 である点で一致し、次の点で相違する。 相違点:本願補正発明は、「(c)家電機器の表現に関連される家電機器によって提供される家電機器の機能又は状態情報を表現するウェブページにリンクを提供するハイパーテキストリンクと前記家電機器の表現のそれぞれとを関連付ける段階」を有し、「家電機器リンクファイルで識別された対応する家電機器に対して生成する、少なくとも一つのグラフィカルあるいはテキスチュアル表現を有する情報」が「家電機器リンクページ」であり、「情報をディスプレーする段階」が「家電機器に基づくブラウザー上に家電機器リンクページをディスプレーする段階」であるのに対し、引用例1記載の発明は、上記(c)の段階を有しておらず、「家電機器リンクファイルで識別された対応する家電機器に対して生成する、少なくとも一つのグラフィカルあるいはテキスチュアル表現を有する情報」は「家電機器リンクページ」ではなく、「情報をディスプレーする段階」は「家電機器に基づくブラウザー上に家電機器リンクページをディスプレーする段階」ではない点。 (4)判断 そこで、上記相違点について検討する。 上記引用例2に見られるように、一般に、ネットワークに接続した装置において、各装置にハイパーテキストビューワを備えるようにし、各装置においてウェブページへのリンクを行い、リンクページの表示を行うようにすることは、広く行われていることである。 また、家電機器に関連する情報をウェブページ上で表現することも、例えば、国際公開第97/18636号パンフレット等に見られるような周知の事項にすぎず、家電機器に関連する情報を表現するウェブページを「家電機器の機能又は状態情報を表現するウェブページ」とすることも、ごく普通に考えられることにすぎない。 さらに、テレビ等の家電機器でウェブページを見られるようすることも、例えば、特開平9-9160号公報に見られるような周知の事項にすぎない。 してみると、引用例1記載の発明において、「(c)家電機器の表現に関連される家電機器によって提供される家電機器の機能又は状態情報を表現するウェブページにリンクを提供するハイパーテキストリンクと前記家電機器の表現のそれぞれとを関連付ける段階」を有するようなものとし、「家電機器リンクファイルで識別された対応する家電機器に対して生成する、少なくとも一つのグラフィカルあるいはテキスチュアル表現を有する情報」を「家電機器リンクページ」とし、「情報をディスプレーする段階」を「家電機器に基づくブラウザー上に家電機器リンクページをディスプレーする段階」とすることは、当業者が適宜に設計できる事項にすぎないものと認められる。 そして、本願補正発明の構成によってもたらされる効果も、引用例1,2に記載の発明及び上記周知の事項から当業者ならば容易に予測することができる程度のものであって、格別のものとはいえない。 したがって、本願補正発明は、引用例1,2に記載の発明及び上記周知の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 (5)むすび よって、本件手続補正は、特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第4項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。 3.補正却下の決定を踏まえた検討 (1)本願発明 平成15年5月14日付けの手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、平成13年12月14日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの次のものと認める。(以下、「本願発明」という。) 「ホームネットワークに現在連結された家電機器をアクセスするためのインタフェースを提供する方法において、 (a)ホームネットワークに現在連結された家電機器を識別する家電機器リンクファイルを発生する段階と、 (b)前記家電機器リンクファイルで識別された対応する家電機器に対して、少なくとも一つのグラフィカルあるいはテキスチュアル表現を有する家電機器リンクページを生成する段階と、 (c)家電機器の表現に関連される家電機器に含まれているウェブページにリンクを提供するハイパーテキストリンクと前記家電機器の表現のそれぞれとを関連付ける段階と、 (d)家電機器に基づくブラウザー上に前記家電機器リンクページをディスプレーする段階とを含むことを特徴とする方法。」 (2)引用例及び周知例 これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された引用例1,2の記載事項は、上記2.(2)に記載したとおりである。 (3)対比・判断 本願発明は、上記2.で検討した本願補正発明における「(c)家電機器の表現に関連される家電機器によって提供される家電機器の機能又は状態情報を表現するウェブページにリンクを提供するハイパーテキストリンクと前記家電機器の表現のそれぞれとを関連付ける段階」を上位概念の「(c)家電機器の表現に関連される家電機器に含まれているウェブページにリンクを提供するハイパーテキストリンクと前記家電機器の表現のそれぞれとを関連付ける段階」としたもの(下線部が補正箇所)である。 そうすると、本願発明の構成要件に限定を施したものに相当する本願補正発明が、上記2.(4)に記載したとおり、引用例1,2に記載の発明及び上記周知の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである以上、本願発明も、同様に、引用例1,2に記載の発明及び上記周知の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (4)むすび 以上のとおり、本願発明は、引用例1,2に記載の発明及び上記周知の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2005-06-07 |
結審通知日 | 2005-06-14 |
審決日 | 2005-06-28 |
出願番号 | 特願平11-504061 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(H04Q)
P 1 8・ 575- Z (H04Q) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 萩原 義則 |
特許庁審判長 |
山本 春樹 |
特許庁審判官 |
長島 孝志 望月 章俊 |
発明の名称 | ホームネットワーク自動ツリー生成器に対する方法及び装置 |
代理人 | 伊東 忠彦 |