• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部無効 特36 条4項詳細な説明の記載不備  B65B
審判 全部無効 2項進歩性  B65B
審判 全部無効 判示事項別分類コード:83  B65B
管理番号 1143687
審判番号 無効2005-80209  
総通号数 83 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1996-12-24 
種別 無効の審決 
審判請求日 2005-07-06 
確定日 2006-08-30 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第3581875号発明「袋の封鎖装置」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 訂正を認める。 特許第3581875号の請求項1に係る発明についての特許を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。 
理由 1.手続の経緯
本件特許無効審判被請求人オービーエンジニアリング株式会社は、下記(1)記載の特許の特許権者であり、本件手続経緯概要は下記(2)のとおりである。
(1)特許第3581875号「袋の封鎖装置」
特許出願 平成7年6月13日
出願番号 特願平7-170236号
設定登録 平成16年8月6日
(2)平成17年7月6日 無効審判請求 請求項1
(無効2005-80209号)
請求人:ニューロング株式会社
平成17年9月22日 被請求人 訂正請求書、審判答弁書提出
平成18年1月20日 請求人 口頭審理陳述要領書提出
平成18年1月20日 口頭審理
平成18年2月20日 請求人 回答書提出
平成18年2月22日 被請求人 訂正請求書、
審判答弁書(第二回)提出
平成18年3月22日 請求人 上申書提出
平成18年3月23日 被請求人 審判上申書提出




2.被請求人が請求した訂正
(1)被請求人は、平成17年9月22日に訂正請求書を提出して訂正を求めた後、平成18年2月22日に訂正請求書を提出して訂正を求めた。
この訂正により、先の訂正請求は、取り下げられたものとみなされるので、被請求人が請求する訂正の内容は、本件特許の願書に添付した明細書を平成18年2月22日付け訂正請求書に添付した全文訂正明細書のとおりに訂正するものであり、訂正事項は、以下のとおりである。

・訂正事項a
特許請求の範囲の
「【請求項1】
収納物充填後の袋を口を上にした状態で懸吊状に挟持して搬送する前後一対の無端状のキャリヤチェーンと、このキャリヤチェーンで搬送される袋の上端部を馬形状にテーピングするテーピング機構とを備えた袋の封鎖装置において、上記テーピング機構の前段の装置本体位置に袋の上端部を折返す折返し機構が設けられ、この折返し機構が、袋の上端部に折返し用の筋目を水平状に付ける前後一対のローラと、このローラで付けられた筋目を介して袋の上端部を折返す折曲げホーマーと、キャリヤチェーンに連動して前後一対のローラを回転させる伝動機構とを備えて形成され、上記のローラが、周面にエッジが鍔状に形成された一方のローラと、このローラの上記エッジが係合する溝が周面に環状に形成された他方のローラとでなることを特徴とする袋の封鎖装置。」を、
「【請求項1】
収納物充填後の袋の封鎖後開封される口を上にした状態で懸吊状に挟持して搬送する前後一対の無端状のキャリヤチェーンと、このキャリヤチェーンで搬送される袋の上端部を馬蹄形状にテーピングするテーピング機構とを備えた袋の封鎖装置において、
上記テーピング機構の前段の装置本体位置に、袋の上端部を前後一対の押圧ローラで押圧しながら不要部分をカットするトリミングカッター機構と、袋の上端部を1回折返す折返し機構とが前後して設けられ、
この折返し機構が、袋の上端部に折返し用の筋目を水平状に付ける前後一対のローラと、このローラで付けられた筋目を介して袋の上端部を1回折返す折曲げホーマーと、キャリヤチェーンに連動して前後一対のローラを回転させる伝動機構とを備えて形成され、
上記一対のローラは、周面にエッジが鍔状に形成された一方のローラと、このローラの上記エッジが係合する溝が周面に環状に形成された他方のローラとでなり、
上記袋の上端部を1回折返す折曲げホーマーは、取付枠とこれに取り付けられた傾斜庇片と立下げ片とを有するホーマー本体と、該ホーマー本体の立下げ片と取付枠との間に納まるよう配設された立上がり片を有する補助用ホーマーとから構成され、ホーマー本体の立下げ片と取付枠と補助用ホーマーの立上がり片とが、協働して袋の上端部を一対のローラで付けられた筋目を介して袋の上端部を1回折返すものであり、 上記前後一対の無端状のキャリヤチェーンは、搬送時に袋の側面に当接するプレート片を側部に多数備え、上記トリミングカッター機構、上記折返し機構及び上記テーピング機構に亘って無端状に掛け廻されていることを特徴とする袋の封鎖装置。」と訂正する。

・訂正事項b
段落0002と段落0016の「馬形」を「馬蹄形」と訂正する。

訂正事項c
段落0006の
「【0006】
即ち本発明は、収納物充填後の袋1を口を上にした状態で懸吊状に挟持して搬送する前後一対の無端状のキャリヤチェーン2と、このキャリヤチェーン2で搬送される袋1の上端部1aを馬形状にテーピングするテーピング機構14とを備えた袋の封鎖装置において、上記テーピング機構14の前段の装置本体位置に袋1の上端部1aを折返す折返し機構11が設けられ、この折返し機構11が、袋1の上端部1aに折返し用の筋目1bを水平状に付ける前後一対のローラ12と、このローラ12で付けられた筋目1bを介して袋1の上端部1aを折返す折曲げホーマー13と、キャリヤチェーン2に連動して前後一対のローラ12を回転させる伝動機構15とを備えて形成され、上記のローラ12が、周面にエッジ12aが鍔状に形成された一方のローラ12Aと、このローラ12Aの上記エッジ12aが係合する溝12bが周面に環状に形成された他方のローラ12Bとでなることを特徴とする。」を、
「【0006】
即ち本発明は、収納物充填後の袋1の封鎖後開封される口を上にした状態で懸吊状に挟持して搬送する前後一対の無端状のキャリヤチェーン2と、このキャリヤチェーン2で搬送される袋1の上端部1aを馬蹄形状にテーピングするテーピング機構14とを備えた袋の封鎖装置において、上記テーピング機構14の前段の装置本体位置に、袋1の上端部1aを前後一対の押圧ローラで押圧しながら不要部分をカットするトリミングカッター機構7,8と、袋1の上端部1aを1回折返す折返し機構11とが前後して設けられ、この折返し機構11が、袋1の上端部1aに折返し用の筋目1bを水平状に付ける前後一対のローラ12と、このローラ12で付けられた筋目1bを介して袋1の上端部1aを1回折返す折曲げホーマー13と、キャリヤチェーン2に連動して前後一対のローラ12を回転させる伝動機構15とを備えて形成され、上記一対のローラ12は、周面にエッジ12aが鍔状に形成された一方のローラ12Aと、このローラ12Aの上記エッジ12aが係合する溝12bが周面に環状に形成された他方のローラ12Bとでなり、上記袋の上端部を1回折返す折曲げホーマー13は、取付枠16とこれに取り付けられた傾斜庇片13aと立下げ片13bとを有するホーマー本体13Aと、該ホーマー本体13の立下げ片13bと取付枠16との間に納まるよう配設された立上がり片13cを有する補助用ホーマー13Bとから構成され、ホーマー本体の立下げ片13bと取付枠16と補助用ホーマーの立上がり片13cとが、協働して袋の上端部を一対のローラ12で付けられた筋目を介して袋の上端部を1回折返すものであり、上記前後一対の無端状のキャリヤチェーン2は、搬送時に袋1の側面に当接するプレート片2aを側部に多数備え、上記トリミングカッター機構7,8、上記折返し機構11及び上記テーピング機構14に亘って無端状に掛け廻されていることを特徴とする。」と訂正する。

・訂正事項d
段落0007の「折返され、」を、「一回折返され、」と、
段落0012の「折返す」を、「1回折返す」と、
段落0023の「折返される。」を、「一回折返される。」と、
段落0025の「折返した」を、「一回折返した」と訂正する。

・訂正事項e
段落0014及び段落0020の「歯合」を、「噛合」と訂正する。




(3)訂正請求についての判断
(3)-1 訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
訂正事項a
・a-1
本件特許の請求項1の「袋を口を上にした」を、「袋の封鎖後開封される口を上にした」に限定する訂正は、本件特許の願書に添付した明細書または図面(以下、「明細書等」という。)の段落0025に、「以上説明したように本発明は、収納物充填後の袋の上端部を折返し機構で折返した後、テーピングするよう形成したものである。
従って本発明によれば、従来品のようにミシン糸で縫合するものではないから、開封時に糸層等が侵入することを防止でき、又ミシン糸を切断する作業を伴うことなく開封できるから開封作業を簡便迅速にでき、しかも折返した状態でテーピングする為、堅固且つ確実に封鎖でき、封鎖状態の低下を来すこともないという優れた効果を奏する。」と記載されていることから、明細書等に記載された事項によって、請求項1に記載される袋の「口」を明細書等に袋の「口」に係る技術的事項として記載される事項により限定するものであるから、明細書等に記載される範囲で行う、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正であり、この訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

・a-2
本件特許の請求項1の「上記テーピング機構の前段の装置本体位置に袋の上端部を折返す折返し機構が設けられ」を、「上記テーピング機構の前段の装置本体位置に、袋の上端部を前後一対の押圧ローラで押圧しながら不要部分をカットするトリミングカッター機構と、袋の上端部を1回折返す折返し機構とが前後して設けられ」とする訂正に関連して、明細書等の段落0010には、「7(図1A、図4参照)は、袋1の上端部1aを前後一対の押圧ローラ8で押圧しながら、不要部分をカットするトリミングカッターである。」と記載され、明細書等の段落0022には、「先ず本発明装置では、袋1がキャリヤチェーン2で搬送されながら、プレヒータ4で加熱され、ローラ5、8で袋1の上端部1aが押圧されながらトリミングカッター7で不要な上部がカットされる。」と記載され、テーピング機構の前段の装置本体位置に、トリミングカッター機構と、折返し機構が前後して設けられていることが、図1、4に示されている。このように袋の封鎖が一連の流れとして記載されており、この訂正は、請求項1に記載される袋の封鎖について、袋の封鎖に係る一連の流れとして明細書等に記載される技術的事項を付加するものであるから、明細書等に記載される範囲で行う訂正であり、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正であり、この訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。


これに対して、
請求人は、口頭陳述要領書において、訂正が認められるべきでない旨、以下の主張をなしている。
『訂正前の請求項1に係る発明の「袋の封鎖装置」には、上記トリミングカッター機構の点の構成要件、およびこの点の構成要件を示唆する記載が全くないので、訂正前の請求項1に係る発明は、上記トリミングカッター機構の点の構成要件を具備していない「袋の封鎖装置」と判断できます。
このため、訂正前の請求項1に係る発明では、袋の上端部がカットされていない、換言すると上端部が切り揃えられていない袋の封鎖装置であったものが、訂正後の請求項1に係る発明では、袋の上端部の不要部分がカットされ、切り揃えられている袋の封鎖装置となるため、訂正後の請求項1に係る発明の「袋の封鎖装置」による袋の封鎖部分の構造は、訂正前の請求項1に係る発明の「袋の封鎖装置」による袋の封鎖部分の構造と異なったものになります。
このことから、訂正事項aは、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてなされるものでありますが、訂正前の請求項1に係る発明の「袋の封鎖装置」の技術的範囲を実質的に変更し、実質上特許請求の範囲を変更するものであります。』

しかしながら、上述のとおり、この訂正は、本件特許の請求項1に記載される袋の封鎖に係る一連の流れに対して、袋の封鎖に係る構成として記載される一連の流れの一部要件を直列的に付加するものであって、本件特許発明の内容、殊に目的、範囲、性質などを実質上拡張又は変更するものではなく、請求人の主張は採用出来ない。

・a-3
本件特許の請求項1の「折返す折返し機構」及び「折返す折曲げホーマー」を、「1回折返す折返し機構」及び「1回折返す折曲げホーマー」とする訂正は、明細書等の段落0015に、「上記の折曲げホーマー13は、図4〜図7に示される如く、袋1の移動につれてその上端部1aを下方に折り曲げる傾斜庇片13aが形成されたホーマー本体13Aと、このホーマー本体13Aと協働して袋1の上端部1aを折返す補助用ホーマー13Bとで形成されている。補助用ホーマー13Bは、図7に示される如く、ホーマー本体13Aの立下げ片13bと取付枠16との間に立上がり片13cが納まるよう配設されている。」と記載され、ホーマーによって、袋の上端部が1回折返されていることが、図7に示されていることから、明細書等に記載される範囲で行う、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正であり、この訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

・a-4
本件特許の請求項1の「ローラが」を、「一対のローラは」とする訂正は、ローラが対をなすことは必然であり、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

・a-5
本件特許の請求項1に、「上記袋の上端部を1回折返す折曲げホーマーは、取付枠とこれに取り付けられた傾斜庇片と立下げ片とを有するホーマー本体と、該ホーマー本体の立下げ片と取付枠との間に納まるよう配設された立上がり片を有する補助用ホーマーとから構成され、ホーマー本体の立下げ片と取付枠と補助用ホーマーの立上がり片とが、協働して袋の上端部を一対のローラで付けられた筋目を介して袋の上端部を1回折返すものであり、」を追加する訂正は、明細書等の段落0015に、「上記の折曲げホーマー13は、図4〜図7に示される如く、袋1の移動につれてその上端部1aを下方に折り曲げる傾斜庇片13aが形成されたホーマー本体13Aと、このホーマー本体13Aと協働して袋1の上端部1aを折返す補助用ホーマー13Bとで形成されている。補助用ホーマー13Bは、図7に示される如く、ホーマー本体13Aの立下げ片13bと取付枠16との間に立上がり片13cが納まるよう配設されている。」と記載されていることから、明細書等に記載される範囲で行う、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正であり、この訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

・a-6
本件特許の請求項1に、「上記前後一対の無端状のキャリヤチェーンは、搬送時に袋の側面に当接するプレート片を側部に多数備え、上記前後一対の無端状のキャリヤチェーンは、上記トリミングカッター機構、上記折返し機構及び上記テーピング機構に亘って無端状に掛け廻されている」を追加する訂正は、明細書等の段落0008に、「1は収納物充填後の袋、2はこの袋1を口を上にした状態で懸吊状に挾持して搬送する前後一対の無端状のキャリヤチェーンである。このキャリヤチェーン2は、図5等に示される如く、搬送時に袋1の側面に当接するプレート片2aを側部に多数備えて形成されている。」と記載され、同段落0022乃至0024に、「次にこの実施例の作用を説明する。先ず本発明装置では、袋1がキャリヤチェーン2で搬送されながら、プレヒータ4で加熱され、ローラ5、8で袋1の上端部1aが押圧されながらトリミングカッター7で不要な上部がカットされる。・・・次に前後一対のローラ12の間に袋1の上端部1aが送り込まれると、・・・袋1の上端部1aは、この筋目1bから折曲げホーマー13で折返される。・・・その後、袋1が更に搬送されると、・・・その下端で紙テープ18を切断する。その後、袋1がヒータ21に送られると、このヒータ21で紙テープ18の内面にコーティングされている熱融着性樹脂が溶け、次いで圧着ローラ22で袋1の上端部1aに圧着され、テーピング作業が終了する。」と記載され、一対の無端状のキャリヤチェーンが、トリミングカッター機構、折返し機構及びテーピング機構に亘って無端状に掛け廻されていることが、図1A及び図1Bに示されていることから、明細書等に記載される範囲で行う、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正であり、この訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

よって、上記訂正事項aは、特許請求の範囲の減縮及び誤記の訂正を目的とするものであり、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

・訂正事項b及び訂正事項e
この訂正は、誤記の訂正を目的とするものであり、明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。

・訂正事項c及び訂正事項d
これらの訂正は、訂正事項aに付随的に生じる不明瞭な記載を解消するものであって、明りょうでない記載の釈明を目的とした明細書の訂正に該当するものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(3)-2 むすび
従って、上記訂正は、特許請求の範囲の減縮、明りょうでない記載の釈明を目的とし、いずれも、願書に添付した明細書又は図面に記載されている事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
以上のとおりであるから、上記訂正は、平成6年改正前特許法第134条第2項ただし書に適合し、特許法134条の2第5項において準用する平成6年改正前第126条第2項の規定に適合するので、当該訂正を認める。




3.請求人の主張の概要
(1)請求人は、審判請求書において、本件特許の請求項1に係る発明について特許を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、

甲第1号証として、「米国特許第3381448号明細書」、
甲第2号証として、「実公平5-44291号公報」及び
甲第3号証として、「実公昭40-27346号公報」を提出して、

甲第1号証には、収納物充填後の袋を口を上にした状態で懸吊状に挟持して搬送する前後一対の搬送帯を備えた袋の封鎖装置において、袋の上端部を折返す折返し機構が設けられ、この折返し機構が、袋の上端部に折返し用の筋目を水平状に付ける前後一対のローラと、このローラで付けられた筋目を介して袋の上端部を折返す折曲げホーマーと、搬送帯に連動して前後一対のローラを回転させる伝動機構とを備えて形成され、上記のローラが、周面にエッジが鍔状に形成された一方のローラと、このローラの上記エッジが係合する溝が周面に環状に形成された他方のローラとでなることを特徴とする袋の封鎖装置の発明が記載され、
甲第2号証には、充填後の開封口となる袋の上端部を、1回又は2回折り曲げた後、その上に該折り曲げ部分を完全に覆うように馬形状の当て紙を貼着して袋の上端部を封鎖する発明が記載され、
甲第3号証には、袋の開口部即ち袋口を、馬形状の接着剤が塗布された紙テープをかぶせて加熱接着して封緘する自動熱封緘装置の発明が記載されているから、
本件特許の請求項1に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内において頒布された甲第1号証、甲第2号証及び甲第3号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明できたものであって、その効果も各甲号証から予測できる範囲のものであり格別なものではないから特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができず、同法第123条第1項第2号の規定により無効とされるべきものであるという旨主張した。

(2)請求人は、被請求人の訂正請求に対して、口頭審理陳述要領書において、被請求人が請求する訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるから、被請求人が請求する訂正は認められるべきではないという旨の上述の主張をした。

そして、仮に、被請求人が訂正請求する訂正が認められるとしても、

甲第4号証として、「実公昭60-16485号公報」、
甲第5号証として、「特開昭57-153831号公報」、
甲第6号証として、「米国特許第4507906号明細書」、
甲第7号証として、「西独国実用新案第1980148号明細書」及び
甲第8号証として、「実公昭39-34580号公報」を提出して、

日常生活での封筒等の紙袋を用いた書類管理等において、紙袋の上端部の開口部から収納物を充填し、充填後はその開口部を折返して閉鎖し、収納物を取り出す時にはその開口部の閉鎖部分を開封して行うことは、広く行われている慣用技術であり、
甲第4号証及び甲第5号証に例示されているように、袋の封鎖装置において、収納物充填後の袋の封鎖後開封される口を上にして搬送することは、周知の技術であり、
甲第6号証には、種々の商品、すなわち収納物を充填した後の袋の口を上にした状態で懸吊状に挟持して搬送する前後一対の無端状のキャリアチェーンを用いる袋の閉鎖装置において、袋の上端部を折返す折返し機構の前方部に、袋の口の不要部分を切断除去するトリミングカッター機構を設ける発明が記載され、
甲第7号証には、袋の上端部を前後一対の押圧ローラで押圧しながら不要部分をカットするトリミングカッター機構の発明が記載され、
甲第8号証に例示されているように、収納物を充填した後の袋の口部を挟持して搬送する無端状の搬送装置を具備する袋の封止装置において、無端状の搬送装置を一対の無端状のキャリヤチェーンで構成し、各キャリヤチェーンに多数の平板を設け、この平板を袋の側面に当接させることで袋の口部を挟持して搬送することは周知の技術であるから、
訂正した本件特許の請求項1に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において頒布された甲第1号証乃至甲第3号証、甲第6号証、甲第7号証に記載された発明、および慣用技術、甲第4号証、甲第5号証、甲第8号証に例示される周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであって、その効果も甲第1号証乃至甲第3号証、甲第6号証、甲第7号証および上記慣用技術、甲第4号証、甲第5号証、甲第8号証に例示される周知技術から予測できる範囲内のものであり格別なものではないから特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができず、同法第123条第1項第2号の規定により無効とされるべきであるという旨主張した。

(3)請求人は、口頭審理における求釈明に対して、回答書において、

甲第9号証として、「特公昭39-21490号公報」を提出して、

甲第9号証には、本件特許の実施例に係る折曲げホーマーの発明が記載されているという旨、
甲第6号証の図1には、パッケージマシーンの装置としての構成が明確に記載されているという旨、
甲第2号証には、充填後の開封口となる紙袋の上端部を1回又は2回折り曲げて形成した折り曲げ部分の上にこの折り曲げ部分を完全に覆うように馬蹄形状に当て紙を貼着してなる紙袋の上端部の封鎖構造、およびこの封鎖構造の作成工程として、充填後の開封口となる紙袋の上端部を1回又は2回折り曲げた後、この折り曲げ部分の上に折り曲げ部分を完全に覆うように馬蹄形状に当て紙を貼着することが明確に記載されているという旨、
甲第1号証及び甲第6号証に例示されているように、袋の封鎖装置において、前後一対のコンベアーで袋の上端部を懸吊状に挟持しながら搬送し、この搬送工程中に配設した各種の封鎖のための処理機構で、袋の上端部の挟持位置を変更することなく逐次処理することは周知の事項であり、甲第1号証、あるいは甲第6号証に記載されたフォルダブレード、あるいは第1の折り畳みステーション38の後部に甲第3号証に記載の紙テープを馬蹄形状にかぶせて加熱接着して封緘する構成を適用して、本件特許のテーピング機構とすることは容易に創作できる程度のことであるから、甲第1号証、あるいは甲第6号証に記載の、袋の上端部を懸吊状に挟持しながら搬送する前後一対のベルト52、55、あるいは前後一対の第1のエンドレスキャリアチェーン10、第2のエンドレスチェーン20を、上記テーピング機構に亘って無端状に掛け廻すことは、当業者であればごく自然に思い付く程度のことであるという旨、それぞれ主張した。

(4)請求人は、被請求人の答弁書(第二回)に対して、上申書において、被請求人の各主張には根拠がなく、甲第1号証乃至同9号証に記載された公知の技術を組み合わせたものに過ぎないので、
再度訂正した本件特許の請求項1に係る発明は、甲第1号証乃至同9号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明できたものであり、その効果も各甲号証に記載のものから予測できる程度の効果であって格別の効果ではないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができず、無効とすべきものであるという旨主張した。




4.被請求人の主張の概要
(1)被請求人は、請求した訂正を前提として、審判答弁書において、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、
その理由として、甲第1号証に記載された発明の袋の封鎖装置に、甲第2号証に記載された発明の目的を援用しても、封鎖後開封される袋の口を封鎖するため、本件発明の、テーピング機構の前段の装置位置に、封鎖後開封される袋の上端部を1回折返す折返し機構を設けることを想起することすら不可能というべきであり、甲第1号証に記載された発明に、甲第3号証を記載された発明を結合したとしても、本件発明のトリミングカッター機構、折返し機構及びテーピング機構に亘って無端状に掛け廻されたキャリヤチェーンを備えることに想到することは不可能であるから、
訂正した本件特許の請求項1に係る発明は、本件特許の出願前に頒布された甲第1号証、甲第2号証及び甲第3号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明できたものとすることはできない、その効果も甲各号証から予測できない格別のものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものではなく、同法第123条第1項第2号の規定に該当するものではなく、無効とされるべきものではない旨主張した。

(2)被請求人は、再度、請求した訂正を前提として、審判答弁書(第二回)において、 甲第6号証発明の袋の封鎖装置を本件発明の袋の封鎖装置とするためには、甲第6号証発明の封鎖装置を甲第5号証発明の封鎖装置に変更した上で更に、変更後の封鎖装置のテーピング装置のみを甲第3号証発明のものに変更する必要があるが、甲第5号証と甲第3号証には、そのような選択的変更をすべき合理的理由が開示されていない、折曲げホーマーが、ホーマー本体の立下げ片と取付枠との間に納まるよう配設された立上がり片を有する補助用ホーマーを具備する点については、甲第1乃至5号証及び甲第7乃至8号証をみても、全く記載されておらず、示唆するものもない、テーピング機構を具備しない甲第6号証発明にテーピング機構を具備する甲第5号証発明を結合すると、前後一対の無端状のキャリヤチェーンは、トリミングカッター機構と折返し機構に亘って無端状に掛け廻され、この前後一対の無端状のキャリヤチェーンとは別系統のキャリヤチェーンがテーピング機構に無端状に掛け廻されることとなるから、甲第6号証発明に甲第5号証発明を結合したとしても、本件発明に想到することは不可能という他ないから、
再度訂正した本件特許の請求項1に係る発明は、本件特許の出願前に頒布された甲第1号証乃至甲第8号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明できたものとすることはできない。
その効果も甲各号証から予測できない格別のものであるから、本件特許は特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものではなく、同法第123条第1項第2号の規定に該当するものではないという旨主張した。

(3)被請求人は、審判上申書において、甲第6号証には、トリミングカッター機構が、袋の上端部を前後一対の押圧ローラで押圧しながら不要部分をカットするものであるの点何ら開示するところがない、甲第6号証発明は、袋の封鎖装置が、折返し機構の後段に、無端帯で搬送される袋の上端部を馬蹄形状にテーピングするテーピング機構を具備するものではない、甲第9号証には、取付枠とこれに取り付けられた傾斜庇片と立下げ片とを有するホーマー本体の構成は、示されていないと解すべきであり、甲第6号証に記載された改良された折り畳みアッセンブリは、袋が封鎖操作中の包装装置を輸送される際に、180°(1折り畳み)または360°(2折り畳み)を袋の開放頂部に導入するための改良された折り畳みアッセンブリであって、本件発明のテーピング機構に相当する封鎖装置まで含むものではないので、袋の上部を折り畳みかつ封止するのに必要な各種の処理を袋の上部の把持位置を変更することなく行っているものではないから、
再度訂正した本件特許の請求項1に係る発明は、本件特許の出願前に頒布された甲第1乃至甲第9号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明できたものとすることはできない。
その効果も甲各号証から予測できない格別のものであるから、本件特許は特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものではなく、同法第123条第1項第2号の規定に該当するものではないという旨主張した。




5.請求された無効の理由の判断
(1)訂正後の本件特許の請求項1に係る発明
訂正は認められたので、本件特許の請求項1に係る発明(以下、「本件発明」という。)は、平成18年2月22日付け訂正請求書に添付された全文訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。

「【請求項1】
収納物充填後の袋の封鎖後開封される口を上にした状態で懸吊状に挟持して搬送する前後一対の無端状のキャリヤチェーンと、このキャリヤチェーンで搬送される袋の上端部を馬蹄形状にテーピングするテーピング機構とを備えた袋の封鎖装置において、
上記テーピング機構の前段の装置本体位置に、袋の上端部を前後一対の押圧ローラで押圧しながら不要部分をカットするトリミングカッター機構と、袋の上端部を1回折返す折返し機構とが前後して設けられ、
この折返し機構が、袋の上端部に折返し用の筋目を水平状に付ける前後一対のローラと、このローラで付けられた筋目を介して袋の上端部を1回折返す折曲げホーマーと、キャリヤチェーンに連動して前後一対のローラを回転させる伝動機構とを備えて形成され、
上記一対のローラは、周面にエッジが鍔状に形成された一方のローラと、このローラの上記エッジが係合する溝が周面に環状に形成された他方のローラとでなり、
上記袋の上端部を1回折返す折曲げホーマーは、取付枠とこれに取り付けられた傾斜庇片と立下げ片とを有するホーマー本体と、該ホーマー本体の立下げ片と取付枠との間に納まるよう配設された立上がり片を有する補助用ホーマーとから構成され、ホーマー本体の立下げ片と取付枠と補助用ホーマーの立上がり片とが、協働して袋の上端部を一対のローラで付けられた筋目を介して袋の上端部を1回折返すものであり、
上記前後一対の無端状のキャリヤチェーンは、搬送時に袋の側面に当接するプレート片を側部に多数備え、上記トリミングカッター機構、上記折返し機構及び上記テーピング機構に亘って無端状に掛け廻されていることを特徴とする袋の封鎖装置。」




(2)甲第6号証、甲第1号証乃至甲第3号証及び甲第5号証並びに甲第7乃至9号証に記載される事項

本件出願日前に頒布された刊行物である甲第6号証、甲第1号証乃至甲第3号証及び甲第5号証並びに甲第7乃至9号証には、それぞれ以下の記載が認められる。

(2)-1 甲第6号証(米国特許第4507906号明細書)

甲第6号証には、請求人の翻訳文が添付され、被請求人も審判答弁書(第二回)において翻訳文を記載している。
そして、両者翻訳文の間で互いに相反する内容は認められず、それら翻訳文によれば、甲第6号証には、以下の記載が認められる。

甲第6号証には、図面と共に下記の事項が記載されている。
a-1.「1.発明の分野
本発明は概してパッケージマシーンに関し、より具体的には、バッグが封止動作中に該パッケージマシーンを介して輸送される際に180°(等倍)または360°(2倍)をバッグの開放上部に導入するための改良された折り畳みアセンブリに関する。」(第1欄第5〜11行)
a-2.「本発明のバッグ上部折り畳みに関する構造的特徴および動作的特徴を詳細に説明する前に、本発明を使用する装置のタイプを説明することが有用であると思われる。この点に関して、図1の概略機械図を参照する。上部つまり平面図によって、種々の商品がパッケージされてもよいペーパーバッグの上部を折り畳みかつ封止するために使用されるパッケージマシーンの部分を示すことを目的としている。マシーン全体が、相対的に直線のフライト18を画定するために一連のスプロケットホイール12、14および16の周りに置かれている第1のエンドレスキャリアチェーン10を含むものとして示されている。同様に、第2のエンドレスチェーン20がスプロケットホイール22、24および26を中心に置かれており、スプロケット22と26の間に第2の直線フライト28を形成する。スプロケットホイールは各々、垂直アクセスを中心とする回転のために、フレーム上に配置されている(Journeyed)。スプロケットホイールは、フライト18および28が平行かつ近接して、しかし相互に接触しないように維持されるように、相互に位置決めされている。スプロケットホイール12および22は、キャリアチェーンのフライト18および28が同一速度で同一方向に共に移動するように、反対方向に駆動される。このように説明されている装置は、送入端から送出端に矢印30および32で示された方向に充填されペーパーバッグを輸送するためのコンベヤを備えている。平行なフライト18および28の間の近接空間ゆえに、バッグの上部は2つのフライト間にしっかりと把持されており、開放端はコンベヤの上方に突出し、中身を含むバッグの残りの部分はコンベヤの下方に配置されている。
示された方向にパッケージマシーンを介して移動する際に、バッグの開放端はトリミングステーション34を通過することによって、バッグの上部は、コンベヤの平面の上方に正確な所定の高さとなるようにトリミングされる。次に、キャリアチェーンの上方に暴露されたバッグの部分は折り目アセンブリ36を通過し、これはその周辺表面から突出する円形のナイフ状縁を有する1対の近接したホイールを備えていてもよく、該ホイールは、2つのホイール間を通過するバッグ材料が、バッグ材料の折り曲げまたは折り畳みに対して好ましい位置をのちに形成する細いインデントライン(図2a)で印を付けられるように駆動される。
折り目アセンブリ36を出る時、バッグは第1の折り畳みステーション38へと通過し、そこを通過する時に、バッグの上部は、まず図2(b)に示されるように、次いで図2(c)に示されるように折り目ラインに沿って折り畳まれる。
第1の折り畳みステーション38を出る時に、バッグは第2の折り目デバイス44を通過して、図2(d)に示された位置で折り目ラインを形成する。これに続いて、ホットメルト糊または他の感熱接着剤が、糊付けステーション42で表面40(図2c)に塗布されてもよい。
次に、バッグは第2の折り畳みステーションに進み、そこでバッグの上部は、まず図2(e)に示されたように、次いで図2(f)に示されたように折り目ラインに沿って再び折り畳まれる。表面40が接着剤を塗布されている点において、バッグが図2(f)のように折り畳まれると、接着剤は、パッケージマシーンを出る際に折り畳み位置にバッグを保持するように作用する。」(第3欄第15〜4欄10行)
a-3.「折り畳み部材80は、コンベアーを通過するバッグ頂部を90°折り畳むよう設計されており、折り畳み部位はバッグに刻された折り目ラインに位置する。バッグ頂部が90°折り曲げられた後、バッグ頂部は第2の90°の折り畳みを行う作用面を有する付加的な折り畳み部材102へと進む。前記第2の90°の折り畳みは、第1の折り畳みステーション38(図1)を出るときに、バッグ頂部は図2(c)に示されるように折り畳まれる。
折り畳み部材102は、トッププレート58及びベースプレート52の先端縁から垂下する三角形状のサイドプレート106を有するプレート104を備える。」(第5欄第22〜34行)
a-4.FIG.1には、概略機械図が示され、第1のキャリアチェーン10、第2のキャリア20が無端状であること、第1及び第2の一対のキャリアチェーンは、トリミングステーション34、折り目アセンブリ36、第1の折り畳みステーション38及び第2の折り目デバイス44、糊付けステーション42、第2の折り畳みステーションに亘って無端状に掛け廻されていることが示されている。
a-5.FIG.2a乃至fには、折り畳まれる種々の段階にある袋を説明する図面が示されている。

これらa-1乃至a-5の記載によれば、甲第6号証には、
種々の商品がパッケージされてもよいペーパーバッグの上部を折り畳みかつ封止する、
バッグの上部は2つのフライト間にしっかりと把持されており、開放端はコンベヤの上方に突出し、中身を含むバッグの残りの部分はコンベヤの下方に配置され、
送入端から送出端に矢印30および32で示された方向に充填されペーパーバッグを輸送し、
直線のフライト18を画定するために置かれている第1のエンドレスキャリアチェーン10、第2のエンドレスチェーン20が第2の直線フライト28を形成し、
第1のキャリアチェーン10、第2のキャリア20が無端状であり、
バッグは第2の折り目デバイス44を通過して、折り目ラインを形成し、これに続いて、接着剤が、糊付けステーション42で表面40に塗布され、次に、バッグは第2の折り畳みステーションに進み、そこでバッグの上部は、折り目ラインに沿って再び折り畳まれ接着剤は、パッケージマシーンを出る際に折り畳み位置にバッグを保持するように作用し、
折り目アセンブリ36を出る時、バッグは第1の折り畳みステーション38へと通過し、
示された方向にパッケージマシーンを介して移動する際に、
バッグの開放端はトリミングステーション34を通過することによって、バッグの上部は、コンベヤの平面の上方に正確な所定の高さとなるようにトリミングされ、
次に、キャリアチェーンの上方に暴露されたバッグの部分は折り目アセンブリ36を通過し、折り目アセンブリ36を出る時、バッグは第1の折り畳みステーション38へと通過し、そこを通過する時に、バッグの上部は、折り目ラインに沿って折り畳まれ、
キャリアチェーンの上方に暴露されたバッグの部分は折り目アセンブリ36を通過し、これはその周辺表面から突出する円形のナイフ状縁を有する1対の近接したホイールを備え、該ホイールは、2つのホイール間を通過するバッグ材料が、バッグ材料の折り曲げまたは折り畳みに対して好ましい位置をのちに形成する細いインデントラインで印を水平状に付けられるように駆動され、
マシーン全体が、相対的に直線のフライト18を画定するために、第1のエンドレスキャリアチェーン10を含むものとして示され、同様に、第2のエンドレスチェーン20が、第2の直線フライト28を形成し、
キャリアチェーンのフライト18および28が同一速度で同一方向に共に移動し、
このように説明されている装置は、送入端から送出端に矢印30および32で示された方向に充填されペーパーバッグを輸送し、
第1及び第2の一対のキャリアチェーンは、トリミングステーション34、折り目アセンブリ36、第1の折り畳みステーション38及び第2の折り目デバイス44、糊付けステーション42、第2の折り畳みステーションに亘って無端状に掛け廻されていること
が記載されているものと認められる。

ここで、甲第6号証には、「印を水平状に付けられる」ことについて、明示的記載はない。
しかし、a-2における「折り目アセンブリ36を通過し、これはその周辺表面から突出する円形のナイフ状縁を有する1対の近接したホイール」との記載及び同「インデントライン(図2a)で印を付けられるように駆動される。
折り目アセンブリ36を出る時、バッグは第1の折り畳みステーション38へと通過し、そこを通過する時に、バッグの上部は、まず図2(b)に示されるように・・・折り目ラインに沿って折り畳まれる。」との記載から、1対の近接したホイールで付けられる印は、水平状になることが明らかであるから、「印を水平状に付けられる」ことは、甲第6号証に記載されているに等しい事項である。

そうすると、甲第6号証には、以下の発明が開示されているものと認める。
種々の商品を中身として含ませた後のバッグの封止後開封される開放端を上にした状態で開放端はコンベヤの上方に突出し中身を含むバッグの残りの部分はコンベヤの下方に配置され2つのフライト間にしっかりと把持して輸送する前後一対の無端状のキャリアチェーンと、
このキャリアチェーンで輸送されるバッグの上部を折り目ラインを形成し接着剤を塗布し折り目ラインに沿って折り畳み接着剤で折り畳み位置にバッグを保持する第2の折り目デバイスと、糊付けステーションと、第2の折り畳みステーションとを備えたバッグのパッケージマシーンにおいて、
第2の折り目デバイスと、糊付けステーションと、第2の折り畳みステーションとの前段のパッケージマシーン本体位置に、バッグの開放端を正確な所定の高さとなるようにトリミングするトリミングステーションと、バッグの上部を1回折り畳む、折り目アセンブリ及び第1の折り畳みステーションとが前後して設けられ、
この折り目アセンブリ及び第1の折り畳みステーションが、キャリアチェーンの上方に暴露されたバッグの部分にバッグ材料の折り曲げまたは折り畳みに対して好ましい位置をのちに形成する細いインデントラインで印を水平状に付ける前後一対のホイールと、
このホイールで付けられた折り目ラインに沿ってバッグの上部を1回折り畳む第1の折り畳みステーションを備えて形成され、
上記一対のホイールは、折り目アセンブリの周辺表面から円形のナイフ状縁が突出して形成された一対のホイールでなり、
上記前後一対の無端状のキャリアチェーンは、上記トリミングステーション、上記折り目アセンブリ、上記第1の折り畳みステーション及び上記第2の折り目デバイス、上記糊付けステーション、上記第2の折り畳みステーションに亘って無端状に掛け廻されていることを特徴とするパッケージマシーン。(以下「甲第6号証発明」という)




(2)-2 甲第1号証(米国特許第3381448号明細書)

甲第1号証には、請求人の翻訳文が添付されており、その翻訳文によれば、甲第1号証には、以下の記載が認められる。

甲第1号証には、図面と共に下記の事項が記載されている。
a-6.「要約 折りロールによってバッグの段付き端部を逐次搬送するコンベヤベルト内部ランと、前記バー部分を垂直から水平状態に逐次折畳み、バッグの隣接部分に下向きに当接するフォルダブレードと、圧縮ロールとを有するバッグ閉鎖/封止装置。フォルダブレードの中央部分は、熱い空気を排出して水平方向に延びているバッグ部分に接着剤を塗布するノズル上に横方向に延びている。シューがノズルに搭載されて、前記バッグ部分を折畳む際にフォルダブレードと共働する。スプリングスチールプレートは、ベルトガイドプレートをその上に配置し、相互に隣接している内部ランを保持するように弾性的に付勢される。」(第1欄第10〜24行)
a-7.「左折りローラドライブプーリ47はシャフト45の下端に回転可能に搭載されているのに対して、右折りローラドライブプーリ48は垂直シャフト51の下端に回転可能に搭載されている。シャフト51の上端はブロック36に固定されている。プーリ47、48の各々は、左折りローラ49と右折りローラ50がそれぞれ取り付けられている上向きに延びる環状フランジを有している。図4から分かるように、ローラ50は環状溝50aを有しているのに対して、ローラ49は、通常溝50a内に延びている上部環状折りフランジ49aを有している。
通常まっすぐな内部ラン52aを有するベルト52がシャフト29のプーリシーブ33を中心に延びているため、プーリシーブ47と係合して後方に、かつシャフト23のプーリシーブ25に対して後方に内部ランを延ばしている。そしてベルト52はシーブ25を中心に延び、プーリ47と係合して前方に、かつシャフト29のプーリシーブの方に延びる外部ラン52bを有している。シャフト53はそれに合わせてブロック36に固定され、ベルト52の外部ランの中間プーリ47と左フロントプーリシーブ33を担持するようにアイドルプーリ57を適所に回転可能に搭載すると、ベルトの外部ランはプーリ47の実質的な環状部分を担持してプーリ47を駆動する。」(第3欄第59行〜4欄10行)
a-8.「本発明の装置を使用して、段付き端バッグ15は製品で充填され、バッグの上部が折畳まれ、バッグのまちの上部と側壁は製品の上方に垂直に延びているが、側壁126は側壁125に密接している。コンベヤ17上のこのように充填されているバッグの状態で、バッグは搬送されて、先端135はベルト52、55のエントリニップ内に移動することによって、ベルトは、壁126の上縁より下ではあるがバッグ内の製品より上方に実質的距離で側壁125、126を搬送可能に係合する。この時、内部ラン55aは側壁125の上部に当接しているのに対して、内部ラン52aは側壁126の上部に当接することによって、ベルト52、55の内部ランは、相互にまたは隣接するまちパネルに当接して側壁125、126を支持するように保持し、またそれぞれのセットのパネル127、128の上部を表面を当接して保持している。従ってバッグは矢印137の方向に搬送され、先端部分を折りロール49、50間のエントリニップに入れ、これはバッグの上部がロール49、50間を移動すると折り目ライン(折畳みラインとも称される)129に沿ってバッグの上部に折り目をつける。図11から分かるように、折り目ラインは側壁126の上縁よりも低い仰角である。折りロールフランジ49aと溝50aの形状ゆえに、折り目ライン129の上方のバッグの上部は折り曲げられて、左方向に上向きかつ横向きに傾く。バッグ上部の折り目部分が折りローラの出口ニップを出ると、部分的に折りローラ48に重複し、かつ折りローラ48の上から傾斜するフォワード部分88に当接する部分に長手方向に移動して、ベルトの内部ラン52a、55aの左上に上方かつ横方向に延び、バッグがさらに矢印137の方向に進むとほぼ横方向に折り目部分を漸次折畳む。折りローラの出口ニップの向こうのバッグの先端部分の直線方向のさらなる動きによって、フォルダブレード部分86aとシュー部分108aによって形成されたスロートに先端部分を移動させる。シューは、折りローラによって形成された折り目ライン129とほぼ同じ仰角で水平上縁を有しており、従って、折畳みシューはバッグの上部をシューの上縁によって形成された全身軸を中心に折畳む。つまり、バッグの上部が中央部分87の下に行き、実質的に、図11で折り目ライン129の上に示されているバッグの部分は図6に示されているようなほぼ水平状態に折畳まれる。バッグのさらなる動きによって、バッグの折畳まれた縁部は中央部分87の下になり、ノズル104の上になる関係となる。バッグ上部の折畳まれた部分がノズル104の上に移動すると、熱い空気は開口107を通って排出され、折畳み部分と接着剤に作用して接着剤を塗布し、中央部分87に隣接する水平方向に折畳まれた部分を保持する。接着剤は、バッグがノズル後方に長手方向に進む時に塗布され、バッグの先端部分がシュー108の後端部分に進むと、後プレート部90が折り目ライン129を中心にバッグ上部をさらに折畳み始め、バッグがフォルダブレードの後端を出ると、接着剤ストリップ131、132および133は折り目ライン129の下の部分で側壁126と係合するように押し付けられている。バッグの先端部分がフォルダブレードの後縁90aを出た直後に、先端部分はベルト114、115間のエントリニップに入り、圧縮ロール間を通過する。圧縮ロールはベルト114、115の内部ランを極めて緊密に保持して、接着剤ストリップを有するバッグの折畳み部分は、折り目ライン129の下の部分で側壁126にしっかりと押し付けられ、しっかりと封止されたバッグ上部の封鎖を形成する。バッグの上部がベルト114、115間の出口ニップを出るまでに、接着剤が充分に固定し、バッグ上部を折畳まれかつ封止された状態に保つ。」(第7欄第22〜8欄23行)
a-9.FIG4には、左折りローラ49の上部周面に設けた環状のフランジ49aのエッジを鍔状に形成して右折りローラ50の環状溝50a内に係合するように突出させること、及び左折りローラ49、右折りローラ50は、ベルト52、55に連動して回転するプーリ47、48の回転によって互いに反対方向に駆動されることが示されている。

これらa-6乃至a-9の記載によれば、甲第1号証には、以下の発明が開示されているものと認められる。
収納物充填後の袋の封鎖後開封される口を上にした状態で懸吊状に挟持して搬送する前後一対の無端状のベルトを備えた袋の封鎖装置において、
袋の上端部を1回折返す折返し機構とが設けられ、
この折返し機構が、袋の上端部に折返し用の筋目を水平状に付ける前後一対のローラと、このローラで付けられた筋目を介して袋の上端部を1回折返す折曲げホーマーと、ベルトに連動して前後一対のローラを回転させる伝動機構とを備えて形成され、
上記一対のローラは、周面にエッジが鍔状に形成された一方のローラと、このローラの上記エッジが係合する溝が周面に環状に形成された他方のローラとでなることを特徴とする袋の封鎖装置。(以下「甲第1号証発明」という)




(2)-3 甲第2号証(実公平5-44291号公報)

(2)-3-1 甲第2号証には、図面と共に下記の事項が記載されている。
a-10.「(従来の技術)
従来、一般に内容物充填前に予め閉鎖された一端側(従って内容物充填時には底部)が充填後の開封口とされる多層の紙袋において」(第1頁左欄第21〜24行)
a-11.「第5図のように一回だけの折り曲げでは袋主体の一端側底部の開口が外側に露出するため開封時に当て紙5を引き破った際その切り屑がその開口より袋生体内に入り内容物に混入する恐れがあるためであった。」(第1頁右欄第24〜2頁左欄2行)
a-12.「第4図に示されるように紙袋の有効必要長さをLとし、一回の折り返し長さをlとすれば、2度折りするために一層分についての袋主体の長さはL+2lでなければならない。そのため、前述したような閉鎖構造は切り屑混入防止に対しては有効であるが、使用紙量が多くなる分だけコストが高くなり、特に複数層の紙袋になると全層について紙量が増加するためコストの上昇は著しいものがある、という欠点があった。」(第2頁左欄第6〜14行)
a-13.「他端側閉鎖部の強度上の問題からみれば、他端側において突出した外層端部をその突出部について一回折り曲げ、この折り曲げ部に当て紙を当てて一端側の底部と同様に閉鎖しても十分な強度を維持できる。」(第3頁右欄第22〜26行)
a-14.第4図には、従来の多層紙袋の形成過程における袋主体を示す平面図が、第5図は第4図に示される袋主体の一端を一回だけ折り曲げた状態を示す断面図が示されている。

(2)-3-2
ここで、甲第2号証には、「袋の上端部を1回折り返して馬蹄形状にテーピングすること」について、明示的記載はない。
しかし、甲第2号証には、a-13の記載にあるように、多層紙袋の上端側を他端側と同様に閉鎖することが記載されているから、第4図に示された従来の多層紙袋においても、上端側を他端側と同様に閉鎖することは、甲第2号証に記載されているに等しい事項である。

(2)-3-3
そして、被請求人は、審判上申書において、『「開封時に不純物が侵入することを防止でき、開封作業を簡便迅速にできながら、封鎖状態も堅固且つ確実にできるよう形成した袋の封鎖装置を提供すること」(段落0004)を技術的課題とする本件発明と対比すると、甲第2号証の多層紙袋には、「開封作業を簡便迅速にでき」ること、という本件発明に特異の課題が存しない。』(第3頁第21〜25行)という旨主張している。

思うに、本件発明は、本件訂正明細書に、「従来のこの種装置の場合は、上記の如くテーピングと縫合作用とで封鎖するのが通例であったから、従来品によると開封時等にミシン糸を引き抜く際、ほつれた糸屑が袋内に侵入するのを避けられないという問題点があった。
又従来装置の場合は、上記の如く、テーピングとミシン糸とで封鎖する為、袋の封鎖状態は堅固であるが、反面、開封時にミシン糸を例えば断続的に切って引き抜く等の作業を伴う結果、従来品によると袋の開封作業が面倒で簡便迅速にできないという問題点があった。
【0004】
本発明は、このような従来品の問題点を解消しようとするものである。」(【発明が解決しようとする課題】)と記載されているように、テーピングとミシン糸とで封鎖していた上記従来のこの種の装置の問題点を解決して、上記「開封作業を簡便迅速にでき」るということを課題とするものであって、その課題の解決手段として、テーピングのみを採用したものである。
故に、甲第2号証発明も、テーピングをしている以上、上記「開封作業を簡便迅速にでき」るという課題を内在しているものである。
よって、甲第2号証発明には、「開封作業を簡便迅速にでき」るという本件発明に特有の課題が存しないという旨の被請求人の主張は採用出来ない。

(2)-3-4
加えて、被請求人は、審判上申書において、(甲2号証には)「これらの記載によれば、開封される一端側底部については、突出部のみを最初に折り曲げて最外層の壁面に重ね且つこの重ね合わせ部を含めて全層をもう一度折り曲げる、2回折り曲げ構造しか開示されていない」(第4頁第28〜5頁2行)という旨主張している。
しかし、上述のとおり、a-10乃至a-14の記載から、「袋の上端部及び下端部を1回折り返して馬蹄形状にテーピングすること」が開示されているから、上記主張は採用出来ない。




(2)-4 甲第5号証(特開昭57-153831号公報)

甲第5号証には、以下の事項が図面とともに記載されている。
a-15.「本発明は接着テープを用いて包装容器の開封及びシールをするための方法及び装置に関し」(第3頁右上欄第12〜13行)
a-16.「包装容器の頂部を包装容器B1 によって示されているようを折り目を付けた閉鎖状態に維持する為に、ひだ付ステーションから去ろうとする移動中の包装容器はその首部を、チェーン8 と同じ速度で駆動される一対の無端案内ゴムベルト16,18間に挟持されこれによってチェーン8 と共に移動する。包装容器を挟持している状態は第2,3図に最も良く示されている。追加ベルト20は包装容器の外側に支持されて、ステーションP,Cを通って進行する包装容器が倒れないように保持している。第2図に最も良く示されているように、ステ-ションCで、容器の頂部、即ち首部Nはばね付勢アイドラローラ24上のO形ゴムリンク22間に挟持され、首部Nの頂部はこのアイドラローラ24によって2つの相互係合切断ディスク26のはさみ部に導かれる。このディスク26は容器が折りたたみステーションFへ入る時に容器の頂部を水平に切り落して容器の頂部が全て同じ高さになるようにする。」(第5頁右下欄第5〜6頁左上欄3行)
a-17.「第1図を参照すると、クッキーやコーヒーあるいはペットフード等の製品を適当な高さまで満たした開放容器Bはコンベヤ2 とターンテーブル4 とによって運搬されて、ひだ付きステーションP、切断ステーションC、折りたたみステーションF、密封ステーションSを通る楕円形通路に沿って駆動される無端チェーン8 上に取付けられた連続キャリヤ6 へ送られ、そこから後は、密封包装容器B5 がコンベヤ10へ排出される。・・・閉鎖操作の進行状態をより明らかに説明するために、第1図には各ステーションP、C、F、Sに於ける包装容器B1 、B2 、B3 、B4 の斜視図を図示している。」(第5頁左下欄第1〜16行)
a-18.「折りたたみ部材48と50は第3図に示された位置、そして第4図では実線で示された位置から始動する。この部材50はこのように破線で示された下方位置まで降下して、その上方へ曲折した先端部が容器の首部Nをばね付勢プラテン70に対抗して保持し、そこで部材48が第4図に示した位置から左回りに回転して首部の頂部を部材50の先端上に
折り曲げる。」(第6頁右上欄第4〜11行)
a-19.「第1図及び12図から最もよくわかるように、完成した包装容器は首部Nで一度だけ折りたたまれ、テープ80によって固定されシールされている。・・・テープ82は、このようにテープ80の下部を持ち上げて容器の首部からはがすためのつまみ部として使えるであろう。このように、首部の折りたたみ部Nを解放して容器を開くことができる。」(第7頁左下欄第8〜17行)
a-20.第1図には、装置の簡略化した斜視略細図が示され、収納物充填後の包装容器の封鎖後開封される口を上にして搬送することが記載されている。

そうすると、これらa-17乃至a-22の記載によれば、甲第5号証には、以下の発明が開示されているものと認められる。
収納物充填後の袋の封鎖後開封される口を上にした状態で挟持して搬送される袋の上端部をテーピングするテーピング機構とを備えた袋の封鎖装置において、
上記テーピング機構の前段の装置本体位置に、袋の上端部を前後一対の押圧ローラで押圧しながら不要部分をカットするトリミングカッター機構と、袋の上端部を1回折返す折返し機構とが前後して設けられた袋の封鎖装置。(以下「甲第5号証発明」という)




(2)-5 甲第7号証(西独国実用新案第1980148号明細書)

甲第7号証には、請求人の翻訳文が添付されており、その翻訳文によれば、甲第7号証には、以下の記載が認められる。

甲第7号証には、以下の事項が図面とともに記載されている。
a-21.「請求の範囲
1.プラスチック箔、紙またはその種材料の切断のための、特に充填された小型または大型のプラスチック製袋の上方に突き出た縁の切断のための装置であって、充填袋(9)をそのファスナー縫目近辺(10)の領域で捕捉する搬送素子(2)、および搬送素子(2)と同期切換のなされる、袋の上方突出縁(8)を捕捉する2つのフィーダ(3)が、充填袋(9)を固定設置された切断刃(4)へと誘導して、そこで切り離しを行うことを特徴とする装置。

2.フィーダ(3)が送りロールとして形成されていて、切断された帯片(8)が切断と同時に切断装置から離されるように、ベルト伝動装置と組み合わされていることを特徴とする、請求項1に記載の装置。

3.固定設置された切断刃(4)が送りロール(3)の噛合い領域に配置されていることを特徴とする、請求項1および2に記載の装置。

4.切断刃(4)が搬送ベルト(2)の上方、送りロール(3)の下方に配置されていることを特徴とする、請求項3に記載の装置。

5.送りロール(3)と転向ロール(5、6)で形成されているベルト伝動装置が切断装置に連動していることを特徴とする、請求項1から4に記載の装置。」(第7頁第1〜8頁12行)
a-22.図面には、搬送ベルト(2)、(2)を前後一対のもので構成し、充填袋(9)をファスナー縫目近辺(10)で懸吊状に挟持して搬送すること、充填袋(9)の上方突出縁(8)は、前後に対抗上に配置した2つの送りロール(3)、(3)の間で捕捉、すなわち押圧されながら、切断刃(4)でカットすることが示されている。

そうすると、これらa-23乃至a-24の記載によれば、甲第7号証には、以下の発明が開示されているものと認められる。
収納物充填後の袋を上にした状態で懸吊状に挟持して搬送する前後一対の無端状のキャリヤチェーンを備え、
袋の上端部を前後一対の押圧ローラで押圧しながら不要部分をカットするトリミングカッター機構を備えたもの。(以下「甲第7号証発明」という)




(2)-6 甲第8号証(実公昭39-34580号公報)

甲第8号証には、以下の事項が図面とともに記載されている。
a-23.「前記ヘッド13はまた一対の連続チェイン36、37を有する。このチェイン36、37は平行に向いてかつ前記帯24、25の下に配置されかつ遊びスプロケット38、39と駆動スプロケット40の周りに沿う。チェイン36、37は実質的に直線状の走路36a、37aを有す。この走路36a、37aは互に向き合っていてかつ前記袋を支持しまた密封作業のために前記帯24と25の間を通過するフイルム状の部分を支持するために前記袋Bの上端Eを協力的に押さえつける。前記チェイン36、37はその上に添附した平板42を有す。この板42はその堅固な面に前記フイルム材料を係合しかつ前記フイルム材料を破ることなしにあるいはさもなければ否ませることなしにその材料をしめつける。前記チェイン36、37もまた矢印Aの方向に徐々に動きかつそのチェインは前記帯の間を移動する前記フイルム材料に適当に支持するように前記帯の速度と等しい速度で動くことが分かる。」(第2頁左欄第14〜31行)
a-24.第4図には、ある部品を詳細に示す拡大平面図が示され、袋Bの上端Eを、チェイン36、37に添附した多数の平板42で挟持しながら搬送することが示されている。

そうすると、これらa-25及びa-26の記載によれば、甲第8号証には、以下の発明が開示されているものと認められる。
収納物充填後の袋の封鎖後開封される口を上にした状態で懸吊状に挟持して搬送する前後一対の無端状のキャリヤチェーンを備えた袋の封鎖装置において、
上記前後一対の無端状のキャリヤチェーンは、搬送時に袋の側面に当接するプレート片を側部に多数備えていることを特徴とする袋の封鎖装置。(以下「甲第8号証発明」という)




(2)-7 甲第9号証(特公昭39-21490号公報)

甲第9号証には、以下の事項が図面とともに記載されている。
a-25.「本発明は封袋装置に関するものである。本発明の目的は物を入れてから所謂摘み形(pinched-type)の多重壁紙袋を簡単且能率的に密封封止する装置を提供することなし、又前記接着剤上に前記袋の上部の部分を折りたたむ折たたみ器が装着される。」(第1頁左欄第28〜32行)
a-26.「案内板20及び20´は夫々装着板10,10´上に固着され、装着板の縁の所でスロット12に隣設されていて袋22の上端部をスロット12内に案内する役割を果す。」(第1頁右欄第17〜20行)
a-27.「接着剤塗布装置の直ぐ後には折りたたみ器38が配設され、スロット12に隣設する装着板10´の縁に沿って装着せられたこの折りたたみ器は袋がその真下を通過するとき袋の上部が90度折り曲げられて更に180度折り曲げられ第2図Bに示される如く塗布頭23から少くとも一方の細長片に接着剤の塗布せられた袋の側面に向って折りたたまれるように彎曲した金属鈑から成る。案内板20の上縁の突堤部47は折りたたみ操作の間折りたたみ器38と協働する心棒として役立つ。」(第2頁左欄第15〜23行)
a-28.第1図には、封袋機の斜視図が示され、第2図 Bには、袋の上端部を重折する場合の斜面図が示され、第4図には、封止装置の正面図が示され、第7図には、重折部の詳細正面図が示され、第8図には、第7図に示す重折部の詳細正面図が示されている。
そして、第1図には、収納物充填後の袋の封鎖後開封される口を上にした状態で搬送される袋が示され、
図1、図2 B、図4及び図7からは、折りたたみ器が、装着板10´上に固着した案内板20´の上縁に取り付けられた傾斜庇片と立ち下げ片と有することが示され、
図7及び図8には、装着板10上に立設した案内板20の上端の突堤部47は、傾斜庇片の立ち下げ片と案内板20´との間に納まるように配置されることが示されている。
なお、第4図と第8図とで、図面番号20、20´が逆に入れ換わって示されている。
しかし、甲第9号証の明細書及び他の図面から、正しくはその逆であることが明らかである。

そうすると、これらa-27乃至a-30の記載によれば、甲第9号証には、以下の発明が開示されているものと認められる。
収納物充填後の袋の封鎖後開封される口を上にした状態で搬送される袋の封鎖装置において、
袋の上端部を1回折返す折返し機構とが前後して設けられ、
この折返し機構が、袋の上端部を1回折返す折曲げホーマーと、
上記袋の上端部を1回折返す折曲げホーマーは、取付枠とこれに取り付けられた傾斜庇片と立下げ片とを有するホーマー本体と、該ホーマー本体の立下げ片と取付枠との間に納まるよう配設された立上がり片を有する補助用ホーマーとから構成され、ホーマー本体の立下げ片と取付枠と補助用ホーマーの立上がり片とが、協働して袋の上端部を1回折返すものであるもの。(以下「甲第9号証発明」という)


ここで、被請求人は、審判上申書において、「請求人は・・・案内板20は本件発明の取付枠に相当するとしているが、この折りたたみ器は、スロット12に隣接する装置版10´の縁に沿って装着せられていることからみて、装置版10´が訂正後の発明(以下「本件発明」という。)のホーマー本体の取付枠に相当するものと解されるから、本件発明の、取付枠とこれに取り付けられた傾斜庇片と立下げ片とを有するホーマー本体の構成は、示されていないと解すべきである。・・・この封袋装置は、袋の上端部に折返し用の筋目を水平状に付ける前後一対のローラを有していないから、この折りたたみ器は、筋目を介して袋の上端部を1回折返すものではない。」(第2頁第13〜23行)と主張している。
確かに、請求人の主張の通り、「案内板20は本件発明の取付枠に相当する」とした被請求人の主張は採用出来ない。
しかし、甲第9号証では、甲装着板10´とその上に固着された案内板20´とを併せたものが、本件訂正発明におけるホーマー本体の取付枠に相当すると認められるのであり、この取付枠に、取り付けられた傾斜庇片と立下げ片とを有する折りたたみ器がホーマー本体に相当するものとして示されていると認められる。
よって、「装置版10´が訂正後の発明(以下「本件発明」という。)のホーマー本体の取付枠に相当するものと解される」とした被請求人の主張は採用出来ない。




6.対比判断
(1)本件発明と甲第6号証発明とを対比すると、
甲第6号証発明の「種々の商品を中身として含ませた後のバッグの封止後開封される開放端を上にした状態で開放端はコンベヤの上方に突出し中身を含むバッグの残りの部分はコンベヤの下方に配置され2つのフライト間にしっかりと把持して輸送する前後一対の無端状のキャリアチェーン」は、本件発明の「収納物充填後の袋の封鎖後開封される口を上にした状態で懸吊状に挟持して搬送する前後一対の無端状のキャリヤチェーン」に相当し、
甲第6号証発明の「このキャリアチェーンで輸送されるバッグの上部を」は、本件発明の「このキャリヤチェーンで搬送される袋の上端部を」に相当し、
甲第6号証発明の「バッグ」は、本件発明の「袋」に相当し、
甲第6号証発明の「バッグのパッケージマシーンにおいて」は、本件発明の「袋の封鎖装置において」に相当し、
甲第6号証発明の「パッケージマシーン本体位置に」は、本件発明の「装置本体位置に」に相当し、
甲第6号証発明の「バッグの開放端を正確な所定の高さとなるようにトリミングするトリミングステーション」は、本件発明の「袋の上端部の不要部分をカットするトリミングカッター機構」に相当し、
甲第6号証発明の「バッグの上部を1回折り畳む、折り目アセンブリ及び第1の折り畳みステーションとが前後して設けられ、
この折り目アセンブリ及び第1の折り畳みステーションとが」は、本件発明の「袋の上端部を1回折り返す折り返し機構とが前後して設けられ、
この折り返し機構が」に相当し、
甲第6号証発明の「キャリアチェーンの上方に暴露されたバッグの部分にバッグ材料の折り曲げまたは折り畳みに対して好ましい位置をのちに形成する細いインデントラインで印を水平状に付ける」は、本件発明の「袋の上端部に折り返し用の筋目を水平状に付ける」に相当し、
甲第6号証発明の「折り目ラインに沿ってバッグの上部を1回折り畳む第1の折り畳みステーション」は、本件発明の「筋目を介して袋の上端部を1回折返す折曲げホーマー」に相当し、
甲第6号証発明の「上記トリミングステーション、上記折り目アセンブリ、上記第1の折り畳みステーション」は、本件発明の「上記トリミングカッター機構、上記折返し機構」に相当し、
甲第6号証発明の「パッケージマシーン」は、本件発明の「袋の封鎖装置」に相当する。

そうすると、甲第6号証発明は、「収納物充填後の袋の封鎖後開封される口を上にした状態で懸吊状に挟持して搬送する前後一対の無端状のキャリヤチェーンと、このキャリヤチェーンで搬送される袋の上端部を折り目ラインを形成し接着剤を塗布し折り目ラインに沿って折り畳み接着剤で折り畳み位置に袋を保持する第2の折り目デバイスと、糊付けステーションと、第2の折り畳みステーションとを備えた袋の封鎖装置において、
第2の折り目デバイスと、糊付けステーションと、第2の折り畳みステーションとの前段の装置本体位置に、袋の上端部の不要部分をカットするトリミングカッター機構と、袋の上端部を1回折り返す折り返し機構とが前後して設けられ、
この折り返し機構が、袋の上端部に折り返し用の筋目を水平状に付ける前後一対のホイールと、このホイールで付けられた筋目を介して袋の上端部を1回折返す折曲げホーマーとを備えて形成され、
上記一対のホイールは、折り目アセンブリの周辺表面から円形のナイフ状縁が突出して形成された一対のホイールでなり、
上記前後一対の無端状のキャリヤチェーンは、上記トリミングカッター機構、上記折返し機構及び上記第2の折り目デバイス、上記糊付けステーション、上記第2の折り畳みステーションに亘って無端状に掛け廻されていることを特徴とする袋の封鎖装置。」と認定できる。

よって、両発明は、「収納物充填後の袋の封鎖後開封される口を上にした状態で懸吊状に挟持して搬送する前後一対の無端状のキャリヤチェーンを備えた袋の封鎖装置において、
袋の上端部の不要部分をカットするトリミングカッター機構と、袋の上端部を1回折返す折返し機構とが前後して設けられた袋の封鎖装置。」の発明である点で一致し、以下の相違点1〜4の点で両発明は、相違している。




[相違点1]
本件発明では、袋の上端部を馬蹄形状にテーピングするテーピング機構を備え、
上記テーピング機構の前段の装置本体位置に、袋の上端部の不要部分をカットするトリミングカッター機構と、袋の上端部を1回折返す折返し機構とが前後して設けられ、
上記キャリヤチェーンは、トリミングカッター機構、折返し機構及びテーピング機構に亘って無端状に掛け廻されているのに対して、

甲第6号証発明では、袋の上端部を馬蹄形状にテーピングするテーピング機構を備えておらず、
上記テーピング機構の前段の装置本体位置に、袋の上端部の不要部分をカットするトリミングカッター機構と、袋の上端部を1回折返す折返し機構とが前後して設けられておらず、
上記キャリヤチェーンは、トリミングカッター機構、折返し機構及びテーピング機構に亘って無端状に掛け廻されておらず、

甲第6号証発明は、袋の上端部を折り目ラインを形成し接着剤を塗布し折り目ラインに沿って折り畳み接着剤で折り畳み位置に袋を保持する第2の折り目デバイスと、糊付けステーションと、第2の折り畳みステーションとを備え、
第2の折り目デバイスと、糊付けステーションと、第2の折り畳みステーションとの前段の装置本体位置に、袋の上端部の不要部分をカットするトリミングカッター機構と、袋の上端部を1回折返す折返し機構とが前後して設けられ、
上記前後一対の無端状のキャリヤチェーンは、上記トリミングカッター機構、上記折返し機構及び上記第2の折り目デバイスと、上記糊付けステーションと、上記第2の折り畳みステーションに亘って無端状に掛け廻されている点。




[相違点2]
本件発明では、袋の上端部を前後一対の押圧ローラで押圧しながら不要部分をカットするトリミングカッター機構が設けられているのに対して、

甲第6号証発明では、袋の上端部を前後一対の押圧ローラで押圧しながら不要部分をカットするトリミングカッター機構は設けられておらず、

袋の上端部の不要部分をカットするトリミングカッター機構が設けられている点。




[相違点3]
本件発明では、折返し機構が、袋の上端部に折返し用の筋目を水平状に付ける前後一対のローラと、このローラで付けられた筋目を介して袋の上端部を1回折返す折曲げホーマーと、キャリヤチェーンに連動して前後一対のローラを回転させる伝動機構とを備えて形成され、
上記一対のローラは、周面にエッジが鍔状に形成された一方のローラと、このローラの上記エッジが係合する溝が周面に環状に形成された他方のローラとでなり、
上記袋の上端部を1回折返す折曲げホーマーは、取付枠とこれに取り付けられた傾斜庇片と立下げ片とを有するホーマー本体と、該ホーマー本体の立下げ片と取付枠との間に納まるよう配設された立上がり片を有する補助用ホーマーとから構成され、ホーマー本体の立下げ片と取付枠と補助用ホーマーの立上がり片とが、協働して袋の上端部を一対のローラで付けられた筋目を介して袋の上端部を1回折返すものであるのに対して、

甲第6号証発明では、折返し機構が、袋の上端部に折返し用の筋目を水平状に付ける前後一対のローラと、このローラで付けられた筋目を介して袋の上端部を1回折返す折曲げホーマーと、キャリヤチェーンに連動して前後一対のローラを回転させる伝動機構とを備えて形成されておらず、
上記一対のローラは、周面にエッジが鍔状に形成された一方のローラと、このローラの上記エッジが係合する溝が周面に環状に形成された他方のローラとでなっておらず、
上記袋の上端部を1回折返す折曲げホーマーは、取付枠とこれに取り付けられた傾斜庇片と立下げ片とを有するホーマー本体と、該ホーマー本体の立下げ片と取付枠との間に納まるよう配設された立上がり片を有する補助用ホーマーとから構成されておらず、ホーマー本体の立下げ片と取付枠と補助用ホーマーの立上がり片とが、協働して袋の上端部を一対のローラで付けられた筋目を介して袋の上端部を1回折返すものではなく、

折返し機構が、袋の上端部に折返し用の筋目を水平状に付ける前後一対のホイールと、このホイールで付けられた筋目を介して袋の上端部を1回折返す折曲げホーマーとを備えて形成されている点。

ここで、請求人は、回答書において、「ホーマー本体13Aに設けられた傾斜庇片13aと立下げ片13bとはどのような関連構造であるのかを明確に理解することができない。」(第2頁第18〜20行)という旨主張する一方で、「補助用ホーマー13Bは、ホーマー本体13Aと協働して袋1の上端部1aを折返すためのものであるから、一応、ホーマー本体13Aの立下げ片13bは、袋1の上端部1aを下方に折り曲げる傾斜庇片13aが垂直方向に変形して形成されていると理解した。」(第2頁第20〜23行)と主張しており、本件明細書は、このように理解することが出来ると認められる。
よって、請求人の主張の通り、ホーマー本体13Aの立下げ片13bは、袋1の上端部1aを下方に折り曲げる傾斜庇片13aが垂直方向に変形して形成されているものであるから、本件発明は、特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものである。
故に、相違点の認定は、上記の通りである。




[相違点4]
本件発明では、前後一対の無端状のキャリヤチェーンは、搬送時に袋の側面に当接するプレート片を側部に多数備えているのに対して、
甲第6号証発明では、前後一対の無端状のキャリヤチェーンは、搬送時に袋の側面に当接するプレート片を側部に多数備えていない点。




(2)各相違点について検討する。
(2)-1
[相違点1]について検討する。
甲第5号証発明の「収納物充填後の袋の封鎖後開封される口を上にした状態で挟持して搬送される袋の上端部をテーピングするテーピング機構」は、そのテーピングする機能から見て、本件発明のテーピング機構に相当するものであり、
しかも、甲第6号証発明における「キャリヤチェーンで搬送される袋の上端部を折り目ラインを形成し接着剤を塗布し折り目ラインに沿って折り畳み接着剤で折り畳み位置にバッグを保持する第2の折り目デバイスと、糊付けステーションと、第2の折り畳みステーション」は、
袋の上端部を折返す折返し機構の後に設けられて、袋の上端部を封鎖するものであるから、甲第5号証発明における「収納物充填後の袋の封鎖後開封される口を上にした状態で挟持して搬送される袋の上端部をテーピングするテーピング機構」、つまり、袋の上端部を1回折返す折返し機構の後に設けられて、袋の上端部をテーピングして封鎖するものを採用可能な構成である。
更に、テーピングの形状として馬蹄形状は、甲第2号証にもあるように周知のテーピングの形状であり、テーピングするにあたり、その形状として、周知の形状より適宜選択することは、慣用される設計手法の1つというべきである。
よって、甲第6号証発明における袋の上端部を1回折返す折返し機構の後に設けられて、袋の上端部を更に1回折返し接着し封鎖する部分を、甲第6号証発明と関連する技術分野に属し、置換可能な技術手段を有する甲第5号証における袋の上端部をテーピングして封鎖するもので置換して、
甲第6号証発明に、キャリヤチェーンで搬送される袋の上端部をテーピングするテーピング機構を備えさせ、上記テーピング機構の前段の装置本体位置に、袋の上端部の不要部分をカットするトリミングカッター機構と、袋の上端部を1回折返す折返し機構とを前後して設け、
そのテーピングの形を、周知の馬蹄形状を単に採用し、
上記キャリヤチェーンを、トリミングカッター機構、折返し機構及び置換されたテーピング機構に亘って無端状に掛け廻して、
[相違点1]に係る本件発明の構成となすことは、甲第6号証発明並びに甲第2号証発明及び甲第5号証発明から、当業者が容易に想到し得たものである。

そして、[相違点1]に基づく、本件発明と、甲第6号証発明並びに甲第2号証発明及び甲第5号証発明との作用効果上の差異は、甲第6号証発明並びに甲第2号証発明及び甲第5号証発明から当業者が十分予測し得たものに過ぎない。


ここで、被請求人は、上申書において、甲第6号証について、「ホットメルト糊または他の感熱接着剤が、糊付けステーション42で表面40(図2c)に塗布されてもよい。
・・・同甲号証に記載された改良された折り畳みアッセンブリは、接着剤の塗布を必須のものとしていないことからみて、その処理の範囲は袋の折り畳み処理に留まるものである。
すなわち、この折り畳みアッセンブリは、あくまでも、袋が封鎖操作中の包装装置を輸送される際に、180°(1折り畳み)または360°(2折り畳み)を袋の開放頂部に導入するための改良された折り畳みアッセンブリであって、本件発明のテーピング機構に相当する封鎖装置まで含むものではない。」という旨主張している。
しかし、「ホットメルト糊または他の感熱接着剤が、糊付けステーション42で表面40(図2c)に塗布されてもよい」と記載されているので、接着剤の塗布を必須のものとしてはいないが、接着剤が塗布される場合も記載することとなり、「その処理の範囲は袋の折り畳み処理に留まるもの」ではなく、「テーピング機構に相当する封鎖装置まで含む」技術概念を開示するというべきであり、被請求人の主張は採用出来ない。




(2)-2
[相違点2]について検討する。
甲第6号証発明における「袋の上端部を不要部分をカットするトリミングカッター機構」は、その不要部分をカットする機能から見て、本件発明の「トリミングカッター機構」に相当するものであり、
しかも、甲第7号証発明における「袋の上端部を前後一対の押圧ローラで押圧しながら不要部分をカットするトリミングカッター機構」は、不要部分をカットする機能を有するものである。
そして、甲第6号証発明の上端部を不要部分をカットする機能を有する技術思想を具体的な装置として設計するにあたり、公知の同様な機能技術の採用を設計者は当然に試みるべきところ、甲第7号証発明は、甲第6号証発明と同一の袋の封鎖装置の技術分野に属しており、かつ、甲第6号証発明への適用を阻害する格別の事情は認められない。
よって、甲第6号証発明における袋の上端部の不要部分をカットするトリミングカッター機構に、甲第6号証発明と関連する技術分野に属し、置換可能な技術手段である甲第7号証発明を適用して、
袋の上端部を前後一対の押圧ローラで押圧しながら不要部分をカットするトリミングカッター機構となして、
[相違点2]に係る本件発明の構成となすことは、甲第6号証発明及び甲第7号証発明から、当業者が容易に想到し得たものである。

そして、[相違点2]に基づく、本件正発明と、甲第6号証発明及び甲第7号証発明の作用効果上の差異は、甲第6号証発明及び甲第7号証発明から当業者が十分予測し得たものに過ぎない。


ここで、被請求人は、審判答弁書第二回において、「本件発明はこの構成と後述する相違点オに係る構成とが相俟って、袋の上端部の高さと折返し長さを正しく揃えられるから、テーピング機構の袋の封鎖強度を正確に標準化でき、確実に堅固且つ確実に封鎖できるものである。
よって、相違点イのこの点における構成の変更についての評価は、相違点オに係る構成とあわせて行うべきものであって、この構成要件単独で評価することはできない。」(第9頁第22〜10頁1行)という旨主張している。

思うに、相違点イに係る構成である押圧ローラで押圧しながら不要部分をカットするトリミングカッター機構と相違点ロに係る構成である補助用ホーマーを有する折曲げホーマーとは、技術的に不可分の関係にない。
その上、相違点イに係る構成と相違点ロに係る構成とが相俟うのであれば、相違点イに係る構成と相違点ロに係る構成とを併せたものの生じる作用・効果が、相違点イに係る構成単独で生じる作用・効果と相違点ロに係る構成単独で生じる作用・効果とを足し合わせたものより、格別なものとなっているはずであるが、上記「袋の上端部の高さと折返し長さを正しく揃えられるから、テーピング機構の袋の封鎖強度を正確に標準化でき、確実に堅固且つ確実に封鎖できる」という観点から両者を比較しても、格別な相違は認められない。
よって、相違点イに係る構成と相違点ロに係る構成は、技術的にも作用・効果の観点からも、相俟うものではなく、相違点イ及び相違点ロにおける構成の変更についての評価は、それぞれ単独で評価することのできないものではないから、被請求人の主張は、採用できない。




(2)-3
[相違点3]について検討する。
甲第6号証発明における「前後一対のホイール」と、「1回折返す折曲げホーマー」とは、その袋に筋目を付ける機能及び袋を折り返す機能から見て、本件発明の「ローラ」と、「折曲げホーマー」に相当するものであり、
しかも、甲第1号証発明における「前後一対のローラ」及び「伝導機構」と、甲第9号証発明の「ホーマ本体」及び「補助用ホーマー」とは、その袋に筋目を付け及び袋を折り返す機能を有するものである。
してみれば、甲第6号証発明の「前後一対のホイール」、「1回折返す折曲げホーマー」と同様の機能が期待される甲第1号証及び甲第9号証発明を、甲第6号証発明に適用することに格別の困難性があるとすることはできず、甲第1号証及び甲第9号証発明を甲第6号証発明に適用して、
甲第6号証発明に、袋の上端部に折返し用の筋目を水平状に付け、周面にエッジが鍔状に形成された一方のローラと、このローラの上記エッジが係合する溝が周面に環状に形成された他方のローラとでなる前後一対のローラとを備えさせ、甲第6号証発明のキャリヤチェーンに連動して前後一対のローラを回転させる伝動機構を備えさせ、
甲第6号証発明の袋の上端部を1回折返す折曲げホーマーを、取付枠とこれに取り付けられた傾斜庇片と立下げ片とを有するホーマー本体と、該ホーマー本体の立下げ片と取付枠との間に納まるよう配設された立上がり片を有する補助用ホーマーとから構成させ、ホーマー本体の立下げ片と取付枠と補助用ホーマーの立上がり片とが、協働して袋の上端部を1回折返すものであるようにさせ、
甲第6号証発明における袋の上端部を1回折返す折返し機構を、そのような前後一対のローラと折曲げホーマーと伝動機構とを備えて形成させ、
[相違点3]に係る本件発明の構成となすことは、甲第6号証発明及び甲第1号証発明並びに甲第9号証発明から、当業者が容易に想到し得たものである。

そして、[相違点3]に基づく、本件発明と、甲第6号証発明及び甲第1号証発明と甲第9号証発明との作用効果上の差異は、甲第6号証発明及び甲第1号証発明から当業者が十分予測し得たものに過ぎない。




(2)-4
[相違点4]について検討する。
甲第6号証発明と、甲第8号証発明は、両者とも、袋の封鎖装置の技術分野に属しているから、技術分野の関連性を有する。
そして、甲第8号証発明における「プレート片を側部に多数備えた前後一対の無端状のキャリヤチェーン」は、そのキャリヤ機能から見て、本件発明の「前後一対の無端状のキャリヤチェーンは、搬送時に袋の側面に当接するプレート片を側部に多数備え」、「無端状に掛け廻されている」ものに相当するものであり、
しかも、甲第6号証発明における「前後一対の無端状のキャリヤチェーン」は、キャリヤ機能を有するものである。
よって、甲第6号証発明における前後一対の無端状のキャリヤチェーンに、甲第6号証発明と関連する技術分野に属し、置換可能な技術手段を有する甲第8号証における搬送時に袋の側面に当接するプレート片を側部に多数備えた前後一対の無端状のキャリヤチェーンを適用して、[相違点4]に係る本件発明の構成となすことは、甲第6号証発明及び甲第8号証発明から、当業者が容易に想到し得たものである。

そして、[相違点4]に基づく、本件発明と、甲第6号証発明及び甲第8号証発明との作用効果上の差異は、甲第6号証発明及び甲第8号証発明から当業者が十分予測し得たものに過ぎない。

(2)-5
さらに、本件発明がその全体的構成において奏する効果は、甲第6号証発明及び甲第1、2、5乃至9号証発明から予測される以上の格別のものとは認められない。

(2)-6
よって、本件発明は、甲第6号証発明及び甲第1、2、5乃至9号証発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められるので、本件発明についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである。

7.むすび
以上の説示のとおり、本件請求項1に係る発明に対する特許は、特許法第123条第1項第2号の規定により無効とすべきものである。
よって結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
袋の封鎖装置
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納物充填後の袋の封鎖後開封される口を上にした状態で懸吊状に狭持して搬送する前後一対の無端状のキャリヤチェーンと、このキャリヤチェーンで搬送される袋の上端部を馬蹄形状にテーピングするテーピング機構とを備えた袋の封鎖装置において、
上記テーピング機構の前段の装置本体位置に、袋の上端部を前後一対の押圧ローラで押圧しながら不要部分をカットするトリミングカッター機構と、袋の上端部を1回折返す折返し機構とが前後して設けられ、
この折返し機構が、袋の上端部に折返し用の筋目を水平状に付ける前後一対のローラと、このローラで付けられた筋目を介して袋の上端部を1回折返す折曲げホーマーと、キャリヤチェーンに連動して前後一対のローラを回転させる伝動機構とを備えて形成され、
上記一対のローラは、周面にエッジが鍔状に形成された一方のローラと、このローラの上記エッジが係合する溝が周面に環状に形成された他方のローラとでなり、
上記袋の上端部を1回折返す折曲げホーマーは、取付枠とこれに取り付けられた傾斜庇片と立下げ片とを有するホーマー本体と、該ホーマー本体の立下げ片と取付枠との間に納まるよう配設された立上がり片を有する補助用ホーマーとから構成され、ホーマー本体の立下げ片と取付枠と補助用ホーマーの立上がり片とが、協働して袋の上端部を一対のローラで付けられた筋目を介して袋の上端部を1回折返すものであり、
上記前後一対の無端状のキャリヤチェーンは、搬送時に袋の側面に当接するプレート片を側部に多数備え、上記トリミングカッター機構、上記折返し機構及び上記テーピング機構に亘って無端状に掛け廻されていることを特徴とする袋の封鎖装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、袋の封鎖装置に関し、更に詳しくは例えば粉末状や粒状の収納物を充填した袋を封鎖する装置の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来この種装置としては、例えば収納物充填後の袋を口を上にした状態で懸吊状に挾持して搬送する前後一対の無端状のキャリヤチェーンと、このキャリヤチェーンで搬送される袋の上端部を馬蹄形状にテーピングするテーピング機構と、このテーピング機構の例えば後段の装置本体位置に配置されてテーピングされた袋の上端部を縫う縫合機構とを備えて形成されたものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところでこの種装置では、開封時等に不純物が袋内に入ることを防止でき、又開封作業を不便にすることなく封鎖状態を堅固且つ確実にできるのが望ましい。なぜなら不純物が侵入すると、充填物が例えば食品や化学薬品等の場合に衛生上の問題や品質の低下の問題をきたすからであり、又封鎖状態が脆弱であると、運搬時や保管時等に生じる振動や衝撃等で充填物が漏出するという問題を生じるからである。
しかるに従来のこの種装置の場合は、上記の如くテーピングと縫合作用とで封鎖するのが通例であったから、従来品によると開封時等にミシン糸を引き抜く際、ほつれた糸屑が袋内に侵入するのを避けられないという問題点があった。
又従来装置の場合は、上記の如く、テーピングとミシン糸とで封鎖する為、袋の封鎖状態は堅固であるが、反面、開封時にミシン糸を例えば断続的に切って引き抜く等の作業を伴う結果、従来品によると袋の開封作業が面倒で簡便迅速にできないという問題点があった。
【0004】
本発明は、このような従来品の問題点を解消しようとするものである。従って本発明の技術的課題は、開封時に不純物が侵入することを防止でき、開封作業を簡便迅速にできながら、封鎖状態も堅固且つ確実にできるよう形成した袋の封鎖装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の課題を解決するために次のような技術的手段を採る。
【0006】
即ち本発明は、収納物充填後の袋1の封鎖後開封される口を上にした状態で懸吊状に挟持して搬送する前後一対の無端状のキャリヤチェーン2と、このキャリヤチェーン2で搬送される袋1の上端部1aを馬蹄形状にテーピングするテーピング機構14とを備えた袋の封鎖装置において、上記テーピング機構14の前段の装置本体位置に、袋1の上端部1aを前後一対の押圧ローラで押圧しながら不要部分をカットするトリミングカッター機構7,8と、袋1の上端部1aを1回折返す折返し機構11とが前後して設けられ、この折返し機構11が、袋1の上端部1aに折返し用の筋目1bを水平状に付ける前後一対のローラ12と、このローラ12で付けられた筋目1bを介して袋1の上端部1aを1回折返す折曲げホーマー13と、キャリヤチェーン2に連動して前後一対のローラ12を回転させる伝動機構15とを備えて形成され、上記一対のローラ12は、周面にエッジ12aが鍔状に形成された一方のローラ12Aと、このローラ12Aの上記エッジ12aが係合する溝12bが周面に環状に形成された他方のローラ12Bとでなり、上記袋の上端部を1回折返す折曲げホーマー13は、取付枠16とこれに取り付けられた傾斜庇片13aと立下げ片13bとを有するホーマー本体13Aと、該ホーマー本体13の立下げ片13bと取付枠16との間に納まるよう配設された立上がり片13cを有する補助用ホーマー13Bとから構成され、ホーマー本体の立下げ片13bと取付枠16と補助用ホーマーの立上がり片13cとが、協働して袋の上端部を一対のローラ12で付けられた筋目を介して袋の上端部を1回折返すものであり、上記前後一対の無端状のキャリヤチェーン2は、搬送時に袋1の側面に当接するプレート片2aを側部に多数備え、上記トリミングカッター機構7,8、上記折返し機構11及び上記テーピング機構14に亘って無端状に掛け廻されていることを特徴とする。
【0007】
【作用】
本発明装置では、収納物充填後の袋1がキャリヤチェーン2で搬送されながら、先ず折返し機構11で袋1の上端部1aが筋目1bから一回折返され、次にこの袋1の上端部1aがテーピング機構14でテーピングされるものである。
【0008】
【実施例】
以下、本発明の好適な一実施例を添付図面に従って説明する。
1は収納物充填後の袋、2はこの袋1を口を上にした状態で懸吊状に挾持して搬送する前後一対の無端状のキャリヤチェーンである。このキャリヤチェーン2は、図5等に示される如く、搬送時に袋1の側面に当接するプレート片2aを側部に多数備えて形成されている。尚3(図1参照)はこのキャリヤチェーン2の駆動源としての減速機付きモータであり、2b(図2参照)はキャリヤチェーン2の入口側に設けられた前後一対のガイド枠である。
【0009】
4は、前後一対のプレヒータである。このプレヒータ4は、袋1の上端部1aを通す隙間をあけて平行且つ水平に配置されている。
又5は、上記のプレヒータ4で加熱した袋1の上端部1aを押圧する前後一対のローラである。このローラ5は、この実施例では減速機付きモータ6で回転するよう形成されている。
【0010】
7(図1A、図4参照)は、袋1の上端部1aを前後一対の押圧ローラ8で押圧しながら、不要部分をカットするトリミングカッターである。9は、キャリヤチェーン2に連動して押圧ローラ8を回転させる前後一対の伝動機構である。
【0011】
又10は、上記のカッター7で切断したカット片を加圧空気で強制的に除去する為の送風機である。10aは、この送風機10からの加圧空気を導く通風管である。この通風管10aの排出口10bは、装置本体の前方側に開口されている。
【0012】
11は、袋1の上端部1aを1回折返す折返し機構である。この折返し機構11は、袋1の上端部1aに折返し用の筋目1bを水平状に付ける前後一対のローラ12と、このローラ12で付けられた筋目1bを介して袋1の上端部1aを1回折返す折曲げホーマー13とで形成され、後述するテーピング機構14の前段の装置本体位置に設けられている。
【0013】
上記のローラ12は、図5等に示される如く、周面にエッジ12aが鍔状に形成された一方のローラ12Aと、このローラ12Aの上記エッジ12aが係合する溝12bが周面に環状に形成された他方のローラ12Bとでなる。尚この実施例では、エッジ12aと溝12bとがローラ12A、12Bの上下位置に夫々形成され、上端部1aの二回折りにも対応できるよう形成されている。
【0014】
15(図4、図5参照)は、キャリヤチェーン2に連動して上記前後一対のローラ12を回転させる伝動機構である。この伝動機構15は、キャリヤチェーン2に噛合されたスプロケット15aと、このスプロケット15aと軸15bを介して一体且つ同心状に設けられた上部スプロケット15cと、このスプロケット15cと他方のローラ12Bに同心状に設けられたスプロケット15dとの間に装架されたチェーン15eと、又互いに噛合された歯車15f・15gとで形成されている。この歯車15f・15gは、上記のローラ12B、12Aに一体且つ同心状に設けられている。
【0015】
上記の折曲げホーマー13は、図4〜図7に示される如く、袋1の移動につれてその上端部1aを下方に折り曲げる傾斜庇片13aが形成されたホーマー本体13Aと、このホーマー本体13Aと協働して袋1の上端部1aを折返す補助用ホーマー13Bとで形成されている。補助用ホーマー13Bは、図7に示される如く、ホーマー本体13Aの立下げ片13bと取付枠16との間に立上がり片13cが納まるよう配設されている。
【0016】
14(図1参照)は、袋1の上端部1aを馬蹄形状にテーピングするテーピング機構である。このテーピング機構14は、ロール状の紙テープ18と、この紙テープ18を袋1の上端部1aに馬蹄形に装着させる装着枠19と、この装着枠19で袋1の上端部1aに装着された紙テープ18を袋1の横幅に応じて切断するカッター機構20と、このカッター機構20でカットされた紙テープ18を加熱する前後一対のヒータ21と、更にこの紙テープ18を押圧して袋1の上端部1aに熱融着させる前後一対の圧着ローラ22とを備えてなる。
【0017】
上記の紙テープ18は、内面がラミネート加工され熱融着式に形成されている。
上記の装着枠19は、図8〜図10に示される如く、内側に袋1の上端部1aを案内して通す断面逆U字状の案内枠19aを備えてなる。
【0018】
又上記のカッター機構20は、図11、図12に示される如く、袋1の通過を検出する検出杆20aと、この検出杆20aの回動作用でオンオフするリミットスイッチ20bと、このリミットスイッチ20bがオンになると駆動するソレノイド20cと、このソレノイド20cが駆動すると作動杆20dを介して回転ローラ20eに押し付けられるローラ20fと、又ソレノイド20cのオフによって動作するカッター用ソレノイド20gと、このソレノイド20gによって紙テープ18をカットするカッター20hとを備えてなる。尚20iは、検出杆20aを常時牽引するバネ、20j(図12参照)はカッター20hの枢着部である。
【0019】
上記の回転ローラ20eは、キャリヤチェーン2に連動して回転するよう伝動機構20kを備えてなる。
上記のヒータ21は、袋1の上端部1aを通過させるだけの隙間をあけて平行且つ水平に配置されている。
【0020】
又上記前後一対の圧着ローラ22は、例えばゴムローラで形成され、図13、図14に示される如く、伝動機構22aでキャリヤチェーン2に連動して回転するよう形成されている。22bは、圧着ローラ22の上部に同心且つ一体にしかも互いに噛合されて配設された歯車、22cはキャリヤチェーン2に噛合するスプロケット、22dはこのスプロケット22cと同軸に形成された上部スプロケット、22eは一方の圧着ローラ22のスプロケット22fとの間に装架されたチェーンである。
【0021】
尚この実施例では、図1Bに示される如く、袋1の底を支承できるよう、上記の各ヒータ4、21等が配置されたテーブル23の下方に、コンベア24が設けられている。又テーブル23は、高さ調節用ハンドル25(図2参照)を操作することで昇降動作自在に形成されている。尚26(図1、図2参照)は、制御盤である。
【0022】
次にこの実施例の作用を説明する。
先ず本発明装置では、袋1がキャリヤチェーン2で搬送されながら、プレヒータ4で加熱され、ローラ5、8で袋1の上端部1aが押圧されながらトリミングカッター7で不要な上部がカットされる。そしてカット片は、送風機10の風圧で通風管10a内を流れ、排出口10bから排出される。
【0023】
次に前後一対のローラ12の間に袋1の上端部1aが送り込まれると、この前後一対のローラ12は、伝動機構15により一方のローラ12Aが反時計方向、他方のローラ12Bが時計方向に回転しながら、袋1の上端部1aに筋目1bが付けられる。そして袋1の上端部1aは、この筋目1bから折曲げホーマー13で一回折返される。
【0024】
その後、袋1が更に搬送されると、検出杆20aがバネ20iの弾発力に抗して押され、回動する。その結果リミットスイッチ20bがオンになり、ソレノイド20cが駆動する。すると作動杆20dを介してローラ20fが固定側の回転ローラ20eに押し付けられ、袋1は押圧されながら送られる。そして袋1が検出杆20aの位置より更に移動すると、袋1による検出杆20aの当圧状態が解除される結果、検出杆20aが復元し、リミットスイッチ20bがオフになる。するとソレノイド20cの駆動が停止し、このソレノイド20cからの信号でカッター用ソレノイド20gが駆動する。その結果カッター20hが枢着部20jを軸にして回動し、その下端で紙テープ18を切断する。その後、袋1がヒータ21に送られると、このヒータ21で紙テープ18の内面にコーティングされている熱融着性樹脂が溶け、次いで圧着ローラ22で袋1の上端部1aに圧着され、テーピング作業が終了する。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように本発明は、収納物充填後の袋の上端部を折返し機構で一回折返した後、テーピングするよう形成したものである。
従って本発明によれば、従来品のようにミシン糸で縫合するものではないから、開封時に糸屑等が侵入することを防止でき、又ミシン糸を切断する作業を伴うことなく開封できるから開封作業を簡便迅速にでき、しかも一回折返した状態でテーピングする為、堅固且つ確実に封鎖でき、封鎖状態の低下を来すこともないという優れた効果を奏する。
【0026】
又本発明は、折返し機構が、キャリヤチェーンに連動して前後一対のローラを回転させる伝動機構を備えて形成されているから、ローラを回転させる為の例えばモータを省略でき、その分コストの低廉化を図れるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明装置の好適な一例を示し、Aは平面から見た構成図、Bは正面から見た構成図である。
【図2】同上装置の右側面図である。
【図3】同上装置の平面から見た要部構成図である。
【図4】同上装置の平面から見た要部構成図である。
【図5】図4のVーV線から見た要部構成図である。
【図6】図4のVIーVI線から見た要部構成図である。
【図7】図6のVIIーVII線から見た要部構成図である。
【図8】テーピング機構の要部を示す正面から見た構成図である。
【図9】図8のIXーIX線から見た要部構成図である。
【図10】図8のXーX線から見た要部構成図である。
【図11】テーピング機構の要部を示す平面から見た構成図である。
【図12】図11のXIIーXII線から見た要部構成図である。
【図13】テーピング機構の要部を示す平面から見た構成図である。
【図14】図13のXIVーXIV線から見た要部構成図である。
【符号の説明】
1 袋
1a 上端部
1b 筋目
2 キャリヤチェーン
11 折返し機構
12 前後一対のローラ
12A 一方のローラ
12a エッジ
12B 他方のローラ
12b 溝
13 折曲げホーマー
14 テーピング機構
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2006-06-27 
結審通知日 2006-06-30 
審決日 2006-07-19 
出願番号 特願平7-170236
審決分類 P 1 113・ 83- ZA (B65B)
P 1 113・ 531- ZA (B65B)
P 1 113・ 121- ZA (B65B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 谷治 和文  
特許庁審判長 粟津 憲一
特許庁審判官 種子 浩明
中西 一友
登録日 2004-08-06 
登録番号 特許第3581875号(P3581875)
発明の名称 袋の封鎖装置  
代理人 魚住 高博  
代理人 米田 昭  
代理人 湯田 浩一  
代理人 米田 昭  
代理人 杉山 秀雄  
代理人 手島 直彦  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ