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審決分類 審判 査定不服 4項4号特許請求の範囲における明りょうでない記載の釈明 特許、登録しない。 G09F
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 G09F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G09F
管理番号 1144724
審判番号 不服2004-2689  
総通号数 83 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1997-10-14 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-02-12 
確定日 2006-10-02 
事件の表示 平成 8年特許願第 77961号「照明装置、航空標識灯および表示灯」拒絶査定不服審判事件〔平成 9年10月14日出願公開、特開平 9-269746〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は平成8年3月29日の出願であって、平成16年1月6日付けで拒絶の査定がされたため、これを不服として同年2月12日付けで本件審判請求がされるとともに、同年3月11日付けで明細書についての手続補正(以下「本件補正」という。)がされたものである。

第2 補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成16年3月11日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1.補正事項
本件補正は、請求項数を補正前の10から7に減少するとともに、請求項1に「発光ダイオードユニットを内部空間に収容するとともに、発光ダイオードユニットから出射された光を光色変換しないで外部に照射するように構成され、地中に埋込設置される灯体と;」との文言をつけ加え、さらに請求項1〜7の末尾を「照明装置」から「埋込型標識灯」に変更することを含んでいる。このうち、請求項数の減少を除く補正を本件補正事項という。

2.補正目的違反
本件補正後の請求項1〜7が補正前のどの請求項に対応するのかをまず検討する。
補正前請求項8,9は「航空標識灯」の発明、同請求項10は「表示灯」の発明であり、いずれも請求項1〜7を択一的に引用していた。ところが、補正前請求項8,9は「標識灯」の「航空」との接頭辞が付加されているのに補正後の請求項1〜7には同接頭辞がなく、補正前請求項8の「照明装置の発光ダイオードユニットから出射される光線が通過可能な透光部」又は同請求項9の「照明装置を液密に覆って基体に取り付けられた透光性を有するグローブ体」との発明特定事項が補正後請求項1〜7にはない。そのため、補正後請求項1〜7が補正前請求項8又は9に対応するとすると、発明特定事項を削除する補正がされたことになり、特許法17条の2第4項の規定に明らかに違反する。
補正後請求項1〜7の「埋込型標識灯」は補正前請求項10の「表示灯」を限定したものに該当することは認めるが、補正前請求項10の「照明装置の複数の発光ダイオードユニットの発光面を平面状に並べて表示面を形成した」との事項が補正後請求項1〜7が記載されていないから、補正後請求項1〜7が補正前請求項10に対応するとすると、発明特定事項を削除する補正がされたことになり、特許法17条の2第4項の規定に明らかに違反する。
したがって、請求項番号が同一の請求項が、本件補正前後で対応していると解さざるを得ない。ところが、本件補正前の請求項8は「灯体と・・・照明装置と・・・透光部とを・・・具備していることを特徴とする航空標識灯」との構文になっており、同じく請求項9は「基体と・・・照明装置と・・・グローブ体と・・・を具備していることを特徴とする航空標識灯」との構文になっているから、照明装置は標識灯の細部であり、補正後の「埋込型標識灯」は補正前の「照明装置」に諸々の事項を付加したものであって、決して「照明装置」を限定したものではない。すなわち、本件補正事項の目的を特許請求の範囲の減縮(特許法17条の2第4項2号)と認めることはできない。
また、本件補正事項が請求項削除、誤記の訂正又は明りようでない記載の釈明に該当しないことも明らかである。
したがって、本件補正事項を含む本件補正は、特許法17条の2第4項の規定に違反している。
そうではあるが、念のため仮に本件補正事項が特許請求の範囲の減縮に該当するとした場合、補正後の請求項1に係る発明(以下「補正発明」という。)の独立特許要件の判断を以下において行う。

3.補正発明の認定
補正発明は、本件補正により補正された明細書の特許請求の範囲【請求項1】に記載された事項によって特定される次のとおりのものと認める。
「RGB発光色を有する複数の発光ダイオードを集積して発光面を形成した発光ダイオードユニットと;
外部からの制御信号により各発光ダイオードの発光量を制御して発光ダイオードユニットの発光色を可変できるように構成された制御部と;
発光ダイオードユニットを内部空間に収容するとともに、発光ダイオードユニットから出射された光を光色変換しないで外部に照射するように構成され、地中に埋込設置される灯体と;
を具備していることを特徴とする埋込型標識灯。」

4.引用刊行物の記載事項
本願出願前に頒布された特開平6-237017号公報(以下「引用例1」という。)には、次のア〜エの記載が図示とともにある。
ア.「発光色の異なる複数の発光素子と前記複数の発光素子が発した光を集光又は拡散する光学系とを有し前記複数の発光素子を前記光学系に対して所定の位置に配置した複数の多色発光ダイオードを、前記多色発光ダイオード内の発光素子を配置する各位置について各色の光を発する発光素子が略同数ずつ配置されるように配列したことを特徴とする多色発光ダイオードランプ。」(【請求項1】)
イ.「前記発光色の異なる複数の発光素子は、赤色発光の発光素子、緑色発光の発光素子、青色発光の発光素子である請求項1記載の多色発光ダイオードランプ。」(【請求項2】)
ウ.「本発明は、たとえば道路標識等のカラーディスプレイ用の光源に使用する多色発光ダイオードランプに関するものである。」(段落【0001】)
エ.「前記発光色の異なる複数の発光素子は、赤色発光の発光素子、緑色発光の発光素子、青色発光の発光素子であることにより、各色の光の発光強度比を調整して正確なフルカラー表示を行うことができる。」(段落【0012】)

5.引用例1記載の発明の認定
引用例1の記載ア,イの「多色発光ダイオードランプ」は、記載ウのとおり道路標識に用いられるものであり、記載エのとおり各色の光の発光強度比を調整して正確なフルカラー表示できるものである。
したがって、引用例1には記載ア,イの多色発光ダイオードランプを有する道路標識として、次のような発明が記載されていると認めることができる。
「複数の赤色発光の発光ダイオード、複数の緑色発光の発光ダイオード及び複数の青色発光の発光ダイオード、並びに複数の発光ダイオードが発した光を集光又は拡散する光学系とを有し、前記複数色の発光ダイオード内の発光素子を配置する各位置について各色の光を発する発光素子が略同数ずつ配置されるように配列した多色発光ダイオードランプを有する道路標識であり、各色の光の発光強度比を調整して正確なフルカラー表示できる道路標識。」(以下「引用発明1」という。)

6.補正発明と引用発明1との一致点及び相違点の認定
以下、本審決では「発明を特定するための事項」という意味で「構成」との用語を用いることがある。
引用発明1の「複数の赤色発光の発光ダイオード、複数の緑色発光の発光ダイオード及び複数の青色発光の発光ダイオード」全体は、補正発明の「RGB発光色を有する複数の発光ダイオードを集積して発光面を形成した発光ダイオードユニット」に相当する。
引用発明1では「各色の光の発光強度比を調整して正確なフルカラー表示できる」から、「外部からの制御信号により各発光ダイオードの発光量を制御して発光ダイオードユニットの発光色を可変できるように構成された制御部」を有するものと認める。
引用発明1において「各色の光の発光強度比を調整して正確なフルカラー表示できる」ということは、発光ダイオードが発した出射した光を光色変換しないで外部に照射することと認める。
引用発明1は「多色発光ダイオードランプを有する道路標識」であるから「標識灯」ということができ、「標識灯」の限度で補正発明と一致する。
したがって、補正発明と引用発明1とは、
「RGB発光色を有する複数の発光ダイオードを集積して発光面を形成した発光ダイオードユニットと;
外部からの制御信号により各発光ダイオードの発光量を制御して発光ダイオードユニットの発光色を可変できるように構成された制御部と;
発光ダイオードユニットから出射された光を光色変換しないで外部に照射するように構成された標識灯。」である点で一致し、次の点で相違する。
〈相違点〉補正発明が「発光ダイオードユニットを内部空間に収容するとともに、地中に埋込設置される灯体」を具備する「埋込型標識灯」であるのに対し、引用発明1は同構成を有さない点。

7.相違点についての判断及び補正発明の独立特許要件の判断
本願出願当時、地中に埋込設置される灯体を具備する埋込型標識灯は周知であり、引用発明1における「多色発光ダイオードランプ」がそのような埋込型標識灯にも有用なことは明らかであるから、引用発明1を地中に埋込設置される灯体を具備する埋込型標識灯に変更することは当業者にとって想到容易である。その場合、地中に埋込設置することを考慮すれば、「発光ダイオードユニットを内部空間に収容する」ことは設計事項である(埋込型でなくとも設計事項であるが、埋込型であればなお一層設計事項という趣旨である。)。
すなわち、相違点に係る補正発明の構成を採用することは当業者にとって想到容易であり、同構成を採用したことによる格別の作用効果を認めることもできない。
したがって、補正発明は引用発明1及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。

[補正の却下の決定のむすび]
以上のとおり、本件補正は特許法17条の2第4項の規定に違反しており、仮にそうでないとしても、同条5項で準用する同法126条5項の規定に違反しているから、同法159項1項で読み替えて準用する同法53条1項の規定により、却下されなければならない。
よって、補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本件審判請求についての判断
1.本願発明の認定
本件補正が却下されたから、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成15年12月5日付けで補正された明細書の特許請求の範囲【請求項1】に記載された事項によって特定される次のとおりのものと認める。
「RGB発光色を有する複数の発光ダイオードを集積して発光面を形成した発光ダイオードユニットと;
外部からの制御信号により各発光ダイオードの発光量を制御して発光ダイオードユニットの発光色を可変できるように構成された制御部と;
を具備していることを特徴とする照明装置。」

2.引用刊行物記載の発明の認定
原査定の拒絶の理由に引用された特開平6-301348号公報(以下「引用例2」という。)には、
「【請求項1】発光ダイオードパネルと液晶パネルとを組み合わせた表示パネルにバックライトを照射してなる表示装置であって、
前面側には支持基材上に縦横マトリクス状に複数個の画素を配列した発光ダイオードパネルを配し、
該発光ダイオードパネルの内側には青色フィルターを介して縦横マトリクス状に複数個の画素を設けた液晶パネルを配し、
該液晶パネル側にはバックライトとなる白色光照射手段が設けられ、
前記発光ダイオードパネルの画素が緑色および赤色発光の発光ダイオード素子を配列してなるとともに、
前記支持基材には前記2色の発光ダイオード素子に近接して液晶パネル側からの光が透過しうる貫通穴を設け、発光ダイオードパネルの前記貫通穴と液晶パネルの画素とを重畳位置に配置するとともに、
発光ダイオードパネルの画素の発光と、液晶パネルの画素の光透過とを同期させることを特徴とする表示装置。
【請求項2】請求項1記載の表示装置に、表示信号の受信手段と、表示制御手段とを具備したことを特徴とする請求項1記載の表示装置。」との記載があり、請求項2記載の表示装置を独立形式で書き下せば次のとおりである。
「表示信号の受信手段と、表示制御手段とを具備し、発光ダイオードパネルと液晶パネルとを組み合わせた表示パネルにバックライトを照射してなる表示装置であって、
前面側には支持基材上に縦横マトリクス状に複数個の画素を配列した発光ダイオードパネルを配し、
該発光ダイオードパネルの内側には青色フィルターを介して縦横マトリクス状に複数個の画素を設けた液晶パネルを配し、
該液晶パネル側にはバックライトとなる白色光照射手段が設けられ、
前記発光ダイオードパネルの画素が緑色及び赤色発光の発光ダイオード素子を配列してなるとともに、
前記支持基材には前記2色の発光ダイオード素子に近接して液晶パネル側からの光が透過しうる貫通穴を設け、発光ダイオードパネルの前記貫通穴と液晶パネルの画素とを重畳位置に配置するとともに、
発光ダイオードパネルの画素の発光と、液晶パネルの画素の光透過とを同期させることを特徴とする表示装置。」(以下「引用発明2」という。)

3.本願発明と引用発明2との一致点及び相違点の認定
引用発明2の「緑色および赤色発光の発光ダイオード素子」は本願発明の「GR発光色を有する発光ダイオード」に相当する。
引用発明2の「貫通孔」は、その背後側の「青色フィルター」、「縦横マトリクス状に複数個の画素を設けた液晶パネル」及び「バックライトとなる白色光照射手段」と協働して、青色の光源(2次光源といえる。)となる部分であるから、その2次光源は本願発明の「B発光色を有する発光ダイオード」とB発光色を有する光源の限度で一致する。
引用発明2では、「緑色および赤色発光の発光ダイオード素子」と「貫通孔」が縦横マトリクス状に配列されているから、「RGB発光色を有する複数の光源を集積して発光面を形成した発光ユニット」を具備する点において、本願発明と一致する。
引用発明2の「表示制御手段」は本願発明の「制御部」に相当するものであり、外部からの制御信号により発光ユニットの発光状態を制御する点では一致するものの、発光量を制御して発光色を可変できるかどうかの点では相違点となる。
そして、本願発明の「照明装置」と引用発明2の「表示装置」とは表現上の相違しかない。
したがって、本願発明と引用発明2とは、
「RGB発光色を有する複数の光源を集積して発光面を形成した発光ユニットと;
外部からの制御信号により発光ユニットの発光状態を制御する制御部と;
を具備し、
RG発光色を有する光源はRG発光色を有する発光ダイオードとして構成されている照明装置。」である点で一致し、次の各点で相違する。
〈相違点1〉B発光色を有する光源につき、本願発明では「B発光色を有する発光ダイオード」であるのに対し、引用発明2では「貫通孔」、「青色フィルター」、「縦横マトリクス状に複数個の画素を設けた液晶パネル」及び「バックライトとなる白色光照射手段」が協働することにより構成される2次光源である点。
〈相違点2〉制御部につき、本願発明では各光源の発光量を制御して発光ユニットの発光色を可変できるように構成されているのに対し、引用発明2では発光色を可変できるように構成されているとまでは認定できない点(引用発明2においても、RGB発光色を有する光源の相対的な発光量を変更すれば、発光色は変更できるが、相対的発光量を変更するように制御できるかどうかが相違点である。)。なお、本願発明が、「各発光ダイオードの発光量を制御」及び「発光ダイオードユニットの発光色を可変」としている点は、相違点1に係る構成を採用した結果であるから、別途独立した相違点とはしない。

4.相違点についての判断及び本願発明の進歩性の判断
(1)相違点1について
引用例2には、「発光ダイオードや液晶パネルを用いた表示装置が実用化されている。しかしながらこのような案内表示は毛筆でしかも白地に黒字で書かれるので、これを発光ダイオードで成さんとすれば当然のことながら白色発光が必要となる。そして白色発光のためには極めて高価な青色の発光ダイオードが必要であり、表示装置のコストが極めて高くなるため、事実上不可能であった。」(段落【0005】)との記載があり、同記載によれば相違点1に係る引用発明2の構成を採用した理由は、青色の発光ダイオードが高価なためである。
引用例2にはさらに、「液晶パネルにおいては低コスト化は可能であるが、液晶表示特有の視野角が狭いことにより視認性に劣るという問題が有った。」(段落【0006】)との記載があり、引用発明2の青色光源は、途中に液晶パネルを介在させているため、視野角が狭いと考えられ、当然視認性においては青色発光ダイオードに劣ると考えるべきである。
そして、発光ダイオードの技術開発において、短波長たる青色発光ダイオードの開発が遅れたことは周知の事実であるが、引用例2においても、高価なだけであって入手不可能とはされていない。そのことは、引用例1の出願(平成5年2月10日)が引用例2の出願(平成5年4月14日)よりも先であるにもかかわらず、引用発明1において青色発光ダイオードが採用されていることによっても裏付けられる。ましてや、本願出願当時においては、青色発光ダイオードはより一層入手しやすくなっていたと認められるから、視認性においてまさる青色発光ダイオードを用いる(視認性だけではなく、液晶パネル、青色フィルタ及び白色光照射手段を省略できることに加え、発光ダイオードは発熱量が小さいこと等も、青色発光ダイオード採用の動機にあげることができる。)こと、すなわち相違点1に係る本願発明の構成を採用することは設計事項というべきである。

(2)相違点2について
引用例2には、「表示装置中に設けた表示信号の受信手段によって受信し、表示制御手段によって所望の表示情報を白地に黒で表示するのである。」(段落【0009】)等の記載があり、カラー表示することの記載はない。
しかし、白黒表示であれば、「縦横マトリクス状に複数個の画素を設けた液晶パネル」と「バックライトとなる白色光照射手段」だけでも可能であり、「液晶表示特有の視野角が狭いことにより視認性に劣るという問題」(段落【0006】)があるにせよ、青色については前示のとおり視認性に劣る問題が解決されないのだから、さほど引用発明2に価値があるとはいえない。
引用例2には、「本発明によれば、膨大な手間を要していた結婚式場等の案内表示作業を自動化することができ、大幅な人件費の削減が可能となるのである。そして結婚式場の他にも学会における講演内容の掲示や、その他公共の場所における伝達情報の掲示手段等、その利用範囲は極めて汎大である。」(段落【0022】)との記載もあり、「学会における講演内容の掲示や、その他公共の場所における伝達情報の掲示」を行う場合、カラー表示が好ましい場合も当然想定される。そして、引用発明2は「RGB発光色を有する複数の光源を集積して発光面を形成した発光ユニット」を有するのであるから、RGB発光色を有する光源の発光量を変化させれば、発光ユニットの発光色は当然異なる。発光ダイオードの場合には、電流を変化させることで発光量を変化できるし、青色光源に採用されている「貫通孔」、「青色フィルター」、「液晶パネル」及び「バックライトとなる白色光照射手段」の組み合わせの場合には、液晶パネルの変調度合いによって2次光源としての発光量を変えることができる。そのようなことは、すべて技術常識である。
すなわち、引用例2に明記はないものの、引用発明2においても、各光源の発光量を制御して発光ユニットの発光色を可変とするに当たっての技術的困難性は皆無といってよい。現実に、引用例1に、各発光ダイオードの発光量を変えてフルカラー表示することが記載されている(引用例1の記載エ参照。)ように、RGB3色の発光量を制御することにより全体としての発光色を可変とすることが周知であることを考慮すれば、引用発明2の価値を高めるために、相違点2に係る本願発明の構成を採用することは当業者にとって想到容易というべきである。

(3)本願発明の進歩性の判断
相違点1,2に係る本願発明の構成を採用することは設計事項であるか、当業者にとって想到容易であり、これら構成を採用したことによる格別の作用効果を認めることもできない。
したがって、本願発明は引用発明2及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

第4 むすび
本件補正は却下されなければならず、本願発明が特許を受けることができない以上、本願のその余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶を免れない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-07-21 
結審通知日 2006-08-01 
審決日 2006-08-16 
出願番号 特願平8-77961
審決分類 P 1 8・ 572- Z (G09F)
P 1 8・ 574- Z (G09F)
P 1 8・ 121- Z (G09F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 松川 直樹  
特許庁審判長 津田 俊明
特許庁審判官 藤井 勲
島▲崎▼ 純一
発明の名称 照明装置、航空標識灯および表示灯  
代理人 和泉 順一  

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