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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性  A01G
管理番号 1145828
審判番号 無効2005-80344  
総通号数 84 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2005-07-07 
種別 無効の審決 
審判請求日 2005-11-30 
確定日 2006-10-19 
事件の表示 上記当事者間の特許第3556213号発明「育苗ポット及び表示板付育苗ポット」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 1.手続の経緯
本件特許第3556213号の請求項1〜14に係る発明についての出願は、平成16年2月25日(優先権主張平成15年11月28日、特願2003-398521号)に出願され、平成16年5月21日にその発明について特許権の設定登録がなされ、その後の平成16年10月13日に、請求項1〜14に係る発明についての特許を無効とする旨の無効審判(無効2004-80187号事件。以下、「先の無効審判事件」という。)が請求されるとともに、平成16年12月31日に訂正請求書が提出され、平成17年9月7日付けで「訂正を認める。本件審判の請求は、成り立たない。」旨の審決(以下、「先の審決」という。)がなされ、この先の審決は平成17年10月20日に既に確定しているものであり、その後の平成17年11月30日に、再度、株式会社東海化成より請求項1〜14に係る発明についての特許を無効とする旨の無効審判(以下、「本無効審判事件」という。)が請求され、平成18年3月28日に被請求人より答弁書が提出され、平成18年7月3日に第1回口頭審理が開かれたものである。

2.本件発明
特許第3556213号の請求項1〜14に係る発明(以下順に、「本件発明1」〜「本件発明14」という。)は、平成16年12月31日付け訂正請求書(甲第2号証)に添付された訂正明細書(以下、「訂正明細書」という。)の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1〜14に記載された事項により特定される次のとおりのものと認められる。

「【請求項1】
底壁と、その底壁の縁部から上方に向かって立設する側壁と、その側壁と前記底壁とで囲まれる空間であって苗や培土を収納する収納空間と、その収納空間に培土や苗を入れるために前記側壁の上縁部により形成される開口面とを備えた育苗ポットにおいて、
前記側壁の一部であって、前記側壁の上縁部との間に所定間隔を空けた部分に他の側壁の外面よりも前記収納空間側に窪み、前記収納空間に前記培土を収納した場合に、その培土によって埋没した状態となる第1凹部と、
その第1凹部の前記開口面を臨む部分に開口され、前記収納空間に収納される苗に関する情報が表示された表示板を差込む差込み口とを備えていることを特徴とする育苗ポット。
【請求項2】
前記第1凹部は、前記側壁の上縁部との間に所定間隔を空けた位置から前記底壁側に向かって帯状に延びて形成されていることを特徴とする請求項1に記載の育苗ポット。
【請求項3】
前記側壁の一部であって、他の側壁の外面よりも前記収納空間側に窪み、前記側壁の上縁部との間に所定間隔を空けた位置から前記底壁側に向かって帯状に延びる少なくとも1以上の第2凹部を備え、
その第2凹部と第1凹部とは、その外観形状を異にするように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の育苗ポット。
【請求項4】
前記第1凹部と前記側壁の上縁部との間に開けられる所定間隔は、前記第2凹部と前記側壁の上縁部との間に開けられる所定間隔よりも広く開けられて構成されていることを特徴とする請求項3に記載の育苗ポット。
【請求項5】
前記第1凹部と第2凹部との各々は、前記側壁の全周を略等分するように配置されていることを特徴とする請求項3又は4に記載の育苗ポット。
【請求項6】
前記第1凹部の底壁側または前記第2凹部の底壁側に隣設され、前記側壁から底壁に亘って断面視略L字型に開口する開口部を備えていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の育苗ポット。
【請求項7】
前記開口部は前記第1凹部と前記第2凹部との間および隣合う第2凹部の間に各々配置されていることを特徴とする請求項6に記載の育苗ポット。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載の育苗ポットと、
その育苗ポットに備えられた差込み口に差し込まれ、前記育苗ポットに収納されている苗に関する情報が表示されている表示板とを備えていることを特徴とする表示板付育苗ポット。
【請求項9】
前記第1凹部は前記側壁に複数備えられており、その各々に前記差込み口が開口されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の育苗ポット。
【請求項10】
前記第1凹部の各々は、前記側壁の全周に対して略等間隔に配置されていることを特徴とする請求項9に記載の育苗ポット。
【請求項11】
前記側壁は平面視多角形に形成されており、前記第1凹部は、その側壁を形成する各面の各々に少なくとも1つ以上配置されていることを特徴とする請求項9又は10に記載の育苗ポット。
【請求項12】
前記第1凹部の底壁側に隣設され、前記側壁から底壁に亘って断面視略L字型に開口する開口部を備えていることを特徴とする請求項9から11のいずれかに記載の育苗ポット。
【請求項13】
前記開口部は隣合う2つの第1凹部の間に各々配置されていることを特徴とする請求項12に記載の育苗ポット。
【請求項14】
請求項9から13のいずれかに記載の育苗ポットと、
その育苗ポットに備えられた差込み口に差し込まれ、前記育苗ポットに収納されている苗に関する情報が表示されている表示板とを備えていることを特徴とする表示板付育苗ポット。」

3.当事者の主張
(1)請求人の主張
審判請求書及び陳述要領書によれば、請求人は、証拠として下記の甲第1号証ないし甲第16号証を提出するとともに、次の理由から本件発明1〜14に係る特許が無効である旨を主張する。

(理由)
本件発明1〜14は、甲第3号証〜甲第16号証に基いて当業者が容易に想到することができたものであるといえるから、特許法第29条第2項に違反して特許されたものである。
(証拠)
甲第1号証:特許第3556213号公報
甲第2号証:平成16年12月31日付け訂正請求書
甲第3号証:意匠登録第1171874号公報
甲第4号証:特開2003-230320号公報
甲第5号証:「2000 花&グリーン 最新カタログ」の抄録、サントリー株式会社作成、平成12年発行。
甲第6号証:特開2004-16009号公報
甲第7号証:審判請求人の作成した公然実施の育苗ポットを描いた図面
甲第8号証:ARC株式会社の売上伝票
甲第9号証:エーアールシー株式会社の代表者の宣誓書
甲第10号証:株式会社東海化成の納品書
甲第11号証:佐川急便(株)の「お客様控え」
甲第12号証:株式会社東海化成の納品書
甲第13号証:佐川急便(株)の「お客様控え」
甲第14号証:株式会社東海化成の代表者の宣誓書
甲第15号証:実公平4-8752号公報
甲第16号証:特開2004-49032号公報
甲第17号証:先の無効審判事件における平成17年3月2日付け弁駁書
なお、甲第16号証は、平成18年7月3日付け陳述要領書により提出されたものであり、また、甲第17号証は、平成18年7月19日付け上申書により提出されたものである。

(2)被請求人の主張
答弁書及び陳述要領書によれば、被請求人は、証拠方法として乙第1号証ないし乙第7号証を提出して、本無効審判事件の証拠である甲第3号証、甲第4号証、甲第6号証及び甲第15号証が先の無効審判事件において既に審理されたものであり、先の審決も既に確定していると主張するとともに、本件発明1〜14は、甲第3号証〜甲第16号証に基いて当業者が容易に想到することができたものとはいえないから、特許法第29条第2項に該当するものではなく、本件発明1〜14に係る特許は無効にされるべきものではないと主張する。

(証拠)
乙第1号証:平成16年3月29日付けの「早期審査に関する事情説明書」
乙第2号証:先の無効審判(無効2004-80187号事件)の審決
乙第3号証:特開2002-45046号公報
乙第4号証:特開平10-94330号公報
乙第5号証:実公平7-46128号公報
乙第6号証:実公平7-33640号公報
乙第7号証:特開平11-19667号公報

4.当審の判断
(4-1)本件審判請求における無効理由の適否(特許法第167条の規定)について
被請求人は、本無効審判事件の証拠である甲第3号証、甲第4号証、甲第6号証及び甲第15号証が先の無効審判事件において既に審理されたものであり、先の審決も既に確定していると主張するので、本件審判請求における無効理由の適否について、先に検討する。
ところで、上記の点につき、審判請求人に対して、当審は、平成17年12月21日付けで次の審尋指令を通知した。
(審尋内容)
「本件審判請求が、先の無効審判事件に対して、特許法第167条に規定する「同一の事実及び同一の証拠」に基づく審判請求に該当しないか否かにつき、両者の理由及び証拠を整理・対比して、回答されたい。」

これに対して、審判請求人は、平成18年1月18日付回答書を提出し、次のように回答している。
(回答の概要)
(イ)今回の無効審判では、甲第5号証という先の無効審判で用いられていない新たな証拠を用いているので、「同一の事実及び同一の証拠」に基づく審判請求ではない。
(ロ)今回の無効審判における甲第7号証〜甲第14号証は、先の無効審判事件における弁駁書で追加した証拠と同じものであるが、先の無効審判事件ではこれらの証拠は採用されていないので、「同一の事実及び同一の証拠」に基づく審判請求ではない。

そして、本無効審判事件における証拠と先の無効審判(無効2004-80187号事件)の審決(乙第2号証)の採用した証拠を対比すると、上記審判請求人が回答書において主張するように、本無効審判事件における証拠の内、甲第5号証並びに甲第7号証〜甲第14号証が新たな証拠であることが明らかである(ちなみに、本無効審判事件における甲第15号証及び甲第16号証は、それぞれ先の無効審判において甲第12号証及び甲第7号証として採用されている)。
そうすると、本無効審判事件における無効理由の内、甲第5号証並びに甲第7号証〜甲第14号証に基づく主張部分が新たな審判請求として適法な部分であって、これらに基づかない主張部分は不適法な審判請求であるということができる(なお、特許法第167条の規定が、一つの審判請求事件における無効理由をこのような複数のものに区分することにより、その適用を部分的に回避することが許されるか否かは必ずしも明らかでない)。
以上のことから、本無効審判事件においては、審判請求人が主張する特許法第29条第2項の無効理由の内、甲第5号証並びに甲第7号証〜甲第14号証に基づく主張部分についてはこれを審理することとし、これに基づかない主張部分は、不適法な審判請求に相当するものといえるから、これを審理することができない。

なお、審判請求人は平成18年7月19日付け上申書を提出し、「証拠が同一であっても、請求人がその証拠から主張する事実が異なる場合は、同一の事実ではないと解釈するのが妥当である」との前提に立って、本件無効審判事件における甲第3号証につき、「凹部が収容空間に収容される培土に埋没するものである」との主張部分は、先の審決において判断の対象とされていない事実である旨を主張している。
しかしながら、先の審決によれば、本件審判における甲第3号証が特許法第29条第2項の規定に関する証拠として採用され、審理の対象となったことが明らかであるから、上述したように、上記請求人の主張は、同請求人が主張する特許法第29条第2項の規定に関する無効理由の内、甲第5号証並びに甲第7号証〜甲第14号証に基づく主張部分について審理するところの限度内において理由があるものと認める。

(4-2)特許法第29条第2項の規定の適用についての本件発明の出願日について
ところで、本件特許に係る出願は、特許法第41条に基く優先権主張を伴い平成16年2月25日(優先日、平成15年11月28日(特願2003-398521号))に出願されたものである。
そして、先の無効審決において、本件発明1〜8の各発明には上記優先権主張が認められ、特許法第29条第2項の規定の適用については、優先日である平成15年11月28日に出願されたものとみなされるものの、優先権主張の基礎とされた出願に記載されていない発明特定事項を含む本件発明9〜14の各発明にはその優先権主張が認められず、同条の規定の適用についての出願時は、現実の出願日である平成16年2月25日であることが説示されている。

(4-3)各甲号証に記載された発明
(イ)甲第3号証(意匠登録第1171874号公報;先の無効審判事件における甲第1号証であり、下記の記載事項も先の審決により認定されたとおりである。)
本件の優先日前に頒布された刊行物である甲第3号証は「苗ポット」に関する登録意匠公報であり、「意匠に係る物品の説明」には、「植物を種から育てる場合、ポットに土を入れ、その中に種をまく。二葉が育つまでの間育成し、その後畑へ移植する。成型したポットには水はけ用の穴を3ヶ所あけている。」と記載されている。
上記の記載と、特に参考斜視図、平面図、左右の側面図、背面図、底面図、A-A及びB-Bの断面図等とを総合すると、甲第3号証には、(先の審決により認定されたとおりの)次の発明が実質的に記載されていると認められる。
「側壁に、土等を収納する空間に向かって窪む3個の凹部が等間隔に設けられており、前記凹部はポットの上縁部から所定長さ下がった位置から底部に向かって連続して形成されており、それぞれの凹部には、水はけ用の穴があけられている苗ポット。」

(ロ)甲第4号証(特開2003-230320号公報;先の無効審判事件における甲第5号証であり、下記の記載事項も先の審決により認定されたとおりである。)
本件の優先日前に頒布された刊行物である甲第4号証には以下の記載が認められる。
a.「従来のラベルとしては、脚部を有する立札形状に形成されたものがあり、各ポット内の培土に脚部を直接挿し込むか・・・」(段落【0003】(第2頁第2欄第6-8行))
b.「本発明・・・の目的とするところは、構造が簡単で廉価に製造でき、別体のラベルを簡単に取着することができる一方、簡単には取り外しできない植栽用ポットを提供せんとするものである。」(段落【0009】)
c.「・・・植栽用ポット1は、排水孔11を有する底壁10と、該底壁10の外周縁部から上方に向かって拡径し上端開口部21で終端する傾斜周壁20と、別体ラベル30の切込み孔33に係止させる舌状片25を天井面23に形設したラベル差し段部22とを具備しており、前記上端開口部21から外方向に延出する部分はカール状に屈曲され補強口縁21aを構成している。」(段落【0034】)
d.「なお、この植栽用ポット1は、傾斜周壁20の横断面がほぼ正方形に形成されているが、その外観形状はこれに限定されるものではない。例えば、底壁(底の底壁の周縁から若干立ち上がった直後からほぼ正方形をなすものであっても良いし、円形の底壁の周縁から若干立ち上がった部分まで円形でそこから上端開口部までほぼ正方形をなすものであっても構わない。」(段落【0035】)
e.「ラベル差し段部22は、傾斜周壁20の一部を構成するものであり、・・・」(段落【0036】(第4頁第5欄第43-44行))
f.「この植栽用ポット1において、前記傾斜周壁20とラベル差し段部22には、下端部から底壁10に亘る複数の縦リブ13が形成されており、これによっても、各植栽用ポットの変形防止が図れ、かつ、伸長した植物根の根巻き防止を図るようになっている。」(段落【0040】)
g.「・・・ポット1の傾斜周壁20とラベル差し段部22に、軸線方向に補強用の縦リブ13を形設すると、植栽用ポット1の変形や座屈等の変形を防止するとともに、ポット1の内面に到達した植物根がポットの内面に沿って伸長し根巻き現象の防止を図れる。」(段落【0043】(第4頁第6欄第36-40行))
h.「・・・ラベル30は、ポリエチレンシートを抜き成形して製造したものであり、植物名、原産地、栽培方法等の情報を印刷表示した表示部31と、脚部32とからなる立札形状をなしている。」(段落【0046】(第5頁第7欄第9-12行))
上記の記載より、甲第4号証には、(先の審決により認定されたとおりの)次の発明が記載されていると認められる。
「構造が簡単で廉価に製造でき、別体のラベルを簡単に取着することができる一方、簡単には取り外しできない植栽用ポットであって、排水孔11を有する底壁10と、該底壁10の外周縁部から上方に向かって拡径し上端開口部21で終端する傾斜周壁20と、別体ラベル30の切込み孔33に係止させる舌状片25を天井面23に形設したラベル差し段部22とを具備しており、該ラベル差し段部22は傾斜周壁20の一部を構成するもので、前記上端開口部21から外方向に延出する部分はカール状に屈曲され補強口縁21aを構成しており、ポット1の傾斜周壁20とラベル差し段部22に、軸線方向に補強用の縦リブ13を形設すると、植栽用ポット1の変形や座屈等の変形を防止するとともに、ポット1の内面に到達した植物根がポットの内面に沿って伸長し根巻き現象の防止を図ることができ、ラベル30は、ポリエチレンシートを抜き成形して製造したものであり、植物名、原産地、栽培方法等の情報を印刷表示した表示部31と、脚部32とからなる立札形状をなしている、植栽用ポット。」

(ハ)甲第5号証(「2000 花&グリーン 最新カタログ」の抄録;先の無効審判事件に採用されていなかった証拠である。)
本件の優先日前に頒布された刊行物である甲第5号証には以下の記載が認められる。
カタログの第4頁の右上に「小型POP」、「トレーPOP」及び「6苗ポリキャリーセット」という見出しの付いた写真が掲載されており、当該写真に「サフィニア」という植物の名前を記載した表示板を備えた育苗ポットが示されているものの、当該表示板を差し込むための差込口を備えた育苗ポットについての記載はない。

(ニ)甲第6号証(特開2004-16009号公報;先の無効審判事件における甲第6号証であり、下記の記載事項も先の審決により認定されたとおりである。)
本件の優先日後であって、現実の出願日前に頒布された刊行物である甲第6号証には以下の記載が認められる。
a.「2は、容器本体1の周壁11に形成されたスリットであり、植物の名前や写真等を明示した表示体を挿し込むためのものである。このスリット2は、上方部(例えば、上端縁から周壁11の高さの10%〜30%程度の範囲)において、リブ14に沿って設けられている。このスリット2の形状は、如何なる形状であっても良い。・・・又、スリット2は前後左右の計4個設けられているが、その数は幾つ有っても良い。」(段落【0023】
b.「3は植物の名前や写真等を明示した表示体であり、例えば薄いプラスチックシート等から構成されている。表示体3には、図2に示した通り、上方に開口する切込み部4a,4bが下方部に設けられており、この切込み部4a,4bによって挿込用の舌片部5が形成される。・・・そして、表示体3の先端(下端)が周壁11の外側から内側に向けてスリット2に挿し込まれる。尚、この時、表示体3に表示されている各種情報が内側になるように挿し込まれる。」(段落【0024】)
c.「6は容器本体1内に充填された土壌である。」(段落【0025】)
d.「上記のように構成していると、スリット2から内側に挿し込まれた表示体3は、容器本体内に充填された土壌6によって圧力を受け、この圧力により周壁11内面に押し付けられて抜け難くなる。すなわち、スリット2と表示体3の切込み部4a,4bとの掛止力のみで表示体3を支持する場合に比べて、土壌の圧力による支持が更に加わるから、抜け難く、かつ、強固に支持される。更には、表示体3は周壁11内面に押し付けられているから、その姿勢は周壁11によって規制を受け、フラフラし難く、表示体3が苗側に倒れ、苗を傷つけることも無い。・・・」(段落【0026】)
e.「又、上記実施の形態では、容器本体1の外側から内側に表示体3を挿し込んでいるが、例えば表示体3が容器本体1内の苗の前に有るように、容器本体1の内側から外側に向けて表示体3をスリット2に挿し込んでも良い。但し、この場合、前記実施の形態の場合よりも、高い位置まで土壌を充填することが要請される。」(段落【0028】)
上記の記載より、甲第6号証には(先の審決により認定されたとおりの)次の発明が記載されていると認められる。
「容器本体1の周壁11に形成されたスリット2に、周壁11の外側から内側に向けて、植物の名前や写真等を明示した表示体3を挿し込み、スリット2から内側に挿し込まれた表示体3は、容器本体内に充填された土壌6によって圧力を受け、この圧力により周壁11内面に押し付けられて抜け難くなるよう構成し、あるいは、表示体3が容器本体1内の苗の前に有るように、容器本体1の内側から外側に向けて表示体3をスリット2に挿し込むように構成した苗育成用容器であり、容器本体1の内側から外側に向けて表示体3をスリット2に挿し込む場合には、外側から内側に向けて挿し込む場合よりも高い位置まで土壌を充填することが要請される、苗育成用容器。」

(ホ)甲第7号証(審判請求人の作成した公然実施の育苗ポットを描いた図面;先の無効審判事件に採用されていなかった証拠であって、審判請求人は、本件の優先日前に公然実施されていたものと主張している。)
甲第7号証の図面には、円形の底面に向かってその周壁がやや先細り形状をした円筒型の育苗ポットにおいて、当該周壁高さの約2/3程度の高さ位置に水平方向に細長い形状をしたスリットが4箇所設けられた態様が記載されている。
(なお、口頭審理において提出された現物見本を見ると、その育苗ポットの周壁の高さは約8cmであり、そのスリットは当該周壁の上端から約2.5cmの下方位置に設けられている。)

(ヘ)甲第15号証(実公平4-8752号公報;先の無効審判事件における甲第12号証であり、下記の記載事項も先の審決により認定されたとおりである。)
本件の優先日前に頒布された刊行物である甲第15号証には以下の記載が認められる。
a.「底面と周壁下部との連接部に亘るスリット穴を複数条放射状に穿設したことを特徴とする植木鉢。」(実用新案登録請求の範囲)
b.「本案は停留水の滞留を抑止するので、鉢内の限られた用土の隅部まで空気の呼吸作用を助け、根腐れや、ルーピングを生ずることなく、正常な分根化を促進し鉢付植物に優れた育成効果を有するものである。」(第2頁第4欄第16-20行)

(ト)甲第16号証(特開2004-49032号公報;先の無効審判事件における甲第7号証であり、下記の記載事項も先の審決により認定されたとおりである。)
本件の優先日後であって、現実の出願日前に頒布された刊行物である甲第16号証には以下の記載が認められる。
a.「【請求項1】底壁の外周縁部から上方に立ち上がり上端が開口する周壁に、水平方向の切込み溝Aの両端から連続する上下方向に対して内方向斜めの切込み溝Bを設けてなるラベル差し部が形成されていることを特徴とするラベル差しポット。」(特許請求の範囲の請求項1)
b.「ラベル20の脚部22を、ポット10の周壁に設けたラベル差し部15の切込み溝Aからポット10内面と培土間に脚部22の下端側を挿し込むと、脚部22の止着部25の位置まで差し込みでき、それ以上は挿し込めないように取り付けできる(図3参照)。水平方向の切込み溝Aの長さ(m)と、止着部25を設けた位置の脚部22の巾寸法(m)が同一に構成されているからである。」(段落【0033】)

(4-4)本件発明1と甲第3号証に記載された発明との対比・判断
(イ)対比
本件発明1と甲第3号証に記載された発明との対比については、先の審決により既に認定されたとおりのものであって、その内容を示すと、下記のとおりである(なお、証拠の番号、見出し等の表記は本無効審判事件に合わせて変更した)。

本件発明1と甲第3号証に記載された発明(以下、「甲第3号証の発明」という。)とを対比すると、甲第3号証の発明における「苗ポット」は、その機能に照らすと本件発明1における「育苗ポット」に対応し、さらに、甲第3号証の発明について次のことがいえる。
(i)甲第3号証の特に参考斜視図、平面図、左右の側面図、背面図、底面図、A-A及びB-Bの断面図等を参酌すると、甲第3号証の発明は、本件発明1を特定する、「底壁と、その底壁の縁部から上方に向かって立設する側壁と、その側壁と前記底壁とで囲まれる空間であって苗や培土を収納する収納空間と、その収納空間に培土や苗を入れるために前記側壁の上縁部により形成される開口面とを備えた育苗ポット」の事項に対応する構成を実質的に備えているといえる。
(ii)甲第3号証の発明は、その側壁に、土等を収納する空間に向かって窪む3個の凹部が等間隔に設けられており、前記凹部はポットの上縁部から所定長さ下がった位置から底部に向かって連続して設けられているものである。
一方、本件発明1が備える「第1凹部」も「凹部」であるから、本件発明1と甲第3号証の発明とは、「凹部」を備えている点で共通しており、さらに甲第3号証の発明における「凹部」は、本件発明1を特定する、「側壁の一部であって、前記側壁の上縁部との間に所定間隔を空けた部分に他の側壁の外面よりも前記収納空間側に窪」む「凹部」に実質的に相当しているということができる。
そうすると、本件発明1と甲第1号証の発明とは、次の点で一致し、また相違していると認められる。
一致点;
底壁と、その底壁の縁部から上方に向かって立設する側壁と、その側壁と前記底壁とで囲まれる空間であって苗や培土を収納する収納空間と、その収納空間に培土や苗を入れるために前記側壁の上縁部により形成される開口面とを備えた育苗ポットにおいて、前記側壁の一部であって、前記側壁の上縁部との間に所定間隔を空けた部分に他の側壁の外面よりも前記収納空間側に窪む凹部を備えている育苗ポット、である点。
相違点;
「凹部」が、本件発明1では、収納空間に前記培土を収納した場合に、その培土によって埋没した状態となる第1凹部であり、その第1凹部の開口面を臨む部分に開口され、前記収納空間に収納される苗に関する情報が表示された表示板を差込む差込み口を備えているのに対して、甲第3号証の発明では、収納空間に培土を収納した場合に、その培土によって埋没した状態となるか否か明らかでなく、表示板を差込む差込み口を備えていない点。
(なお、先の審決では、上記の相違点について、次のことが付言されている。「上記の相違点についてさらに具体的にみると、本件発明1における第1凹部は培土によって埋没した状態となるものであるため、該第1凹部が側壁の上縁部との間に所定間隔を開けた部分では、差込み口に差込まれた表示板は、側壁の内面と培土とによって挟まれた状態とされるものである。」)

(ロ)相違点の検討
(i)最初に、上記相違点につき、先の審決において、下記の理由から、本無効審判事件の甲第4号証(先の無効審判事件の甲第5号証)、甲第6号証(同先の甲第6号証)、甲第15号証(同先の甲第12号証)及び甲第16号証(先の甲第7号証)によっては容易といえないことが説示されている。
(理由)
「甲第5号証には、傾斜周壁の上端開口部の開口面まで届くラベル差し段部の天井面にラベル係止用の舌状片を形設した植栽用ポットが記載されているが、上記ラベル差し段部は上端開口との間に所定間隔を空けて形成されておらず、培土によって埋没した状態となるものではなく、天井面に形設したラベル係止用の舌状片も開口面を臨む部分に開口されるものではない。そして、ラベルを差し込むための操作及びラベルを差し込んだ後のラベルの保持は、植栽用ポットの傾斜周壁の外側で行われ、ラベルは培土と接触することがなく、傾斜周壁の内面と培土とによって挟まれた状態とされるものではないので、甲第5号証は上記相違点の構成を開示も示唆もするものではない。」
「また上記したように、本件発明1は優先権主張が認められ、甲第6号証及び甲第7号証は本件の優先日前に頒布された刊行物ではないから、これらの甲号各証に特許法第29条第2項の規定を適用することはできはない。…(中略)…なお、さらに甲第10号証ないし甲第12号証を検討しても、甲第10号証には傾斜周壁に段部を形成した植木鉢が記載されているが、該段部は培土に埋没されるように構成されていないとともに、表示板の差込み口を備えてもおらず、甲第11号証及び甲第12号証に係るポットまたは植木鉢は、側壁に凹部を備えておらず、まして表示板の差込み口が開口された凹部を備えてはいないから、これら甲第10号証ないし甲第12号証からも上記相違点の構成が導き出せるものではない。 」

(ii)そこで、本無効審判事件については、上記相違点が、甲第5号証並びに甲第7号証〜甲第14号証の記載事項から容易といえるか否かにつき、以下検討することとする。

(甲第5号証について)
上記「(4-3)」の(ハ)に記載したように、甲第5号証のカタログには、表示板の差込口についての記載がない(ちなみに、甲第15号証も同様である。)のであるから、上記相違点に係る本件発明1の構成が、甲第5号証の記載事項から当業者が容易に想到し得たといえないことは明らかである。

(甲第7号証について)
次に、甲第7号証の適用につき検討する。

上記「(4-3)」の(ニ)に記載したように、甲第7号証のものは、育苗ポットの周壁部分に表示板用のスリットを設けたものであるといえるから、当該表示板用のスリットの構成を甲第3号証の発明における「苗ポット」にそのまま適用した場合には、甲第3号証の発明における「苗ポット」の側壁部分にこのようなスリットを付加した構成が得られるに止まるといえる。
すなわち、甲第3号証の発明に甲第7号証のものを適用しても、そもそも甲第7号証のものは側壁に水平方向に向かって開口した(表示板のための)スリットを設けるというものであるから、その(3個の凹部を含めた)側壁部分に甲第7号証に示されたものと同様のスリットが形成されるに止まり、甲第3号証の発明における3個の凹部の上端面(開口面を臨む部分)に、上下方向に向かって開口した表示板のための開口部が形成されるという構成、いいかえれば、「その第1凹部の開口面を臨む部分に開口され、前記収納空間に収納される苗に関する情報が表示された表示板を差込む差込み口を備えている」という上記相違点に係る本件発明1の構成が得られることにはならない。
(ちなみに、訂正明細書の段落【0008】〜【0010】には「 一方で、本出願人は、かかる問題点を解決すべく、孔を鍔部ではなく、育苗ポットの側壁に設けることを試みた。この場合、孔に差込まれた表示板は、育苗ポットの側壁と培土とによって挟み込まれる状態になるので、特許文献1に記載された方法に比べて表示板のぐらつきが少なく、表示板を育苗ポットに対して略直立した状態で固定することができた。…(中略)… 本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、苗に関する情報が表示された表示板を育苗ポットに対して略直立した状態で固定することができると共に、育苗ポット内に培土が収納されている状態であっても、その表示板を取付けるための位置を外部から容易に把握することができる育苗ポット及び表示板付育苗ポットを提供することを目的としている。」(注;下線は当審が付記した。)との記載がある。これによれば、甲第7号証のものは本件特許明細書に記載の従来技術と同様のものと解される。)
そうすると、上述したように、審判請求人は、甲第3号証につき「凹部が収容空間に収容される培土に埋没するものである」ということを新たな事実として主張しているものの、甲第3号証の発明における凹部(の上端面)が収容される培土に埋没するか否かの相違により、甲第7号証のものを含めて考慮してみても、相違点に係る本件発明1の構成が得られることにはならないと上記説示したところの結論が左右されるものでないことも明らかである。

(iii)ところで、上記(ii)で説示したところの上下方向に向かって開口した表示板のための開口部が形成されるという構成に関して、甲第4号証には、上記「(4-3)」の(ロ)に記載したように、植栽用ポットにおいて、「底壁10の外周縁部から上方に向かって拡径し上端開口部21で終端する傾斜周壁20と、別体ラベル30の切込み孔33に係止させる舌状片25を天井面23に形設したラベル差し段部22とを具備しており、該ラベル差し段部22は傾斜周壁20の一部を構成するもの」とした点が、いいかえれば、植栽用ポットにおける傾斜周壁の天井面に、上下方向に向かって開口した表示板のための開口部が形成されるという構成を備える点が開示されている。
そこで、上記相違点に係る本件発明1の構成が、甲第7号証に加えて甲第4号証に記載のものを合わせ考慮した場合に、容易に想到し得たといえるか否かにつき、さらに検討する。

甲第4号証と甲第7号証は、いずれも育苗ポットのためのラベル取付手段を開示するものといえるから、両者のラベル取付手段を、それぞれ甲第3号証の発明における「苗ポット」に併せ適用すること、すなわち、例えば、両者のラベル取付手段を選択使用できるようにする等の目的で、甲第3号証の発明における「苗ポット」の周壁の天井面に(甲第4号証に記載の)上下方向に向かって開口した表示板のための開口部を設けるとともに、その周壁部分に(甲第7号証に記載の)水平方向に向かって開口した(表示板のための)スリットを併せて設けるように構成することは、当業者が容易に想到し得たことということができる。
しかしながら、甲第4号証に記載のラベル取付手段における上下方向に向かって開口した表示板のための開口部という構成のみを部分的に抽出し、その開口部を設ける箇所として、甲第7号証に記載のラベル取付手段におけるスリットを設けた高さ位置のみを選択することによって、当該高さ位置と同様の高さ位置であるところの甲第3号証の発明における「苗ポット」の凹部(の上端面)を選択することは、そのように結び付けて構成すべきことを動機付ける理由や根拠となるものが請求人の提示する証拠に何ら開示ないし示唆されていないのであるから、当業者が容易に想到し得たことということができないことは明らかである。
これをより具体的に説明すると、次のとおりである。
上記したように、訂正明細書の段落【0008】〜【0010】の記載によれば、本発明は、従来技術の問題点を解決するために、「苗に関する情報が表示された表示板を育苗ポットに対して略直立した状態で固定することができると共に、育苗ポット内に培土が収納されている状態であっても、その表示板を取付けるための位置を外部から容易に把握することができる育苗ポット及び表示板付育苗ポットを提供することを目的としている。」ものであるといえる。
他方、甲第4号証に記載のラベル取付手段は、そもそもラベルの挿入方向である上方からその開口部が視認できるものであり、その凹部(「舌状片25を天井面23に形設したラベル差し段部22」)を外側から見た場合のラベル挿入位置の目印として活用しているものとはいえないのであるから、ラベルを内壁面に沿わせて挿入した際に、外部から直接見ることが出来ない状態の開口部へラベルを挿入することが容易となるようにこれを活用するということは甲第4号証に開示ないし示唆されていないといわざるを得ない。
さらに、甲第3号証の発明における3個の凹部の上端面(開口面を臨む部分)は、そもそも培土に埋まる位置にあるものであるとも断定できない。
そうすると、甲第4号証に記載のラベル取付手段における開口部の構造を採用し、それを配置する高さ位置については甲第7号証に記載のスリットの配置位置を選択して、これと同様の高さ位置であるところの甲第3号証の発明の凹部(の上端面)への配置するものと結び付けて構成することが、請求人の提示する証拠に何ら開示ないし示唆されていないのであって、当業者により容易に想到し得たということはできない。

したがって、上記相違点に係る本件発明1の構成は、新たな証拠(甲第5号証、甲第7号証)を合わせ考慮しても、当業者が容易に想到し得たものということができない。

なお、上記した検討は、甲第3号証の発明を主たる引用例とした場合のものであるが、当該主たる引用例を甲第3号証の発明以外のもの(例えば、甲第7号証に記載のもの)に置き換えた場合についても、上述したのと同様の理由から、本件発明1が、審判請求人の提示する証拠によって当業者が容易に想到し得たということはできない。

そして、本件発明1は、訂正明細書の段落【0026】に「請求項1記載の育苗ポットによれば、差込み口が開口されている第1凹部は、側壁の上縁部との間に所定間隔を空けた部分であって、収納空間に培土を収納した場合に、その培土によって埋没した状態となるように設けられているので、その所定間隔を空けた部分では、差込み口に差込まれた表示板は、側壁の内面と培土とによって挟まれた状態とされる。よって、表示板を育苗ポットに対して略直立した状態で固定することができるという効果がある。」と、また、段落【0027】に「また、差込み口が開口されている第1凹部は、側壁の一部であって他の側壁の外面よりも収納空間側に窪んだ部分であるので、収納空間に培土を収納し、差込み口が培土に埋もれ、開口面から差込み口の位置を把握することができなくなったとしても、第1凹部を目印とすることで、育苗ポットの側壁側から差込み口の位置を把握することができるという効果がある。」と記載されたとおりの作用効果を奏するものであるところ、このような作用効果が、審判請求人の提示する証拠に記載された事項から当業者が予測できたのものということもできない。

したがって、本件発明1は、本件の優先日前に頒布された刊行物である甲第3号証ないし甲第5号証に加えて、さらに甲第7号証に記載の事項を合わせ考慮しても、これら証拠に基いて当業者が容易に想到することができたものということができない。

以上のとおり、審判請求人は本件の優先日前に甲第7号証に記載の育苗ポットが公然実施されていたものと主張するものの、同証拠に記載の育苗ポットが本件発明1の優先日前に公然実施されていたものと仮定した場合にも、これらの証拠に基づいて本件発明1が当業者により容易に想到することができたものといえないのであるから、甲第7号証に記載の育苗ポットが同上公然実施されていたか否かを、本無効審判事件において改めて審理すべき必要性も認めることができない。

(4-5)本件発明2〜14について
本件発明2〜14は、本件発明1を直接または間接に引用する発明であるところ、本件発明1について、上記「(4-4)」に説示したとおり、甲第3号証ないし甲第5号証に加えて、さらに甲第7号証に記載の事項を合わせ考慮しても、これら証拠に基いて当業者が容易に想到することができたということができないのであるから、同様に、本件発明1をさらに限定した発明である本件発明2〜14も、審判請求人が提示する証拠に基いて当業者が容易に想到することができたということができない。
(なお、本件発明9〜11と本無効審判事件の甲第6号証(先の甲第6号証)及び甲第16号証(先の甲第7号証)との検討については、先の審決において、「本件発明9ないし11は優先権主張が認められず、甲第6号証及び甲第7号証は、本件の現実の出願日前に頒布された刊行物である。」として、「したがって、甲第6号証及び甲第7号証を検討しても、本件発明9ないし11は当業者が容易に想到することができたものではない。」と説示されており、また同様に、本件発明12ないし14については「ところで、本件発明12ないし14は優先権主張が認められず、甲第6号証及び甲第7号証は本件の現実の出願日前に頒布された刊行物である。」として「したがって、甲第6号証及び甲第7号証を検討しても、本件発明12ないし14は当業者が容易に想到することができたとすることはできない。」と説示されている。)

5.むすび
以上のとおりであるから、審判請求人の主張する理由及び証拠方法によっては、本件発明1〜14の特許を無効とすることはできない。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、審判請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-08-18 
結審通知日 2006-08-25 
審決日 2006-09-06 
出願番号 特願2004-49086(P2004-49086)
審決分類 P 1 113・ 121- Y (A01G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 坂田 誠  
特許庁審判長 大元 修二
特許庁審判官 柴田 和雄
西田 秀彦
登録日 2004-05-21 
登録番号 特許第3556213号(P3556213)
発明の名称 育苗ポット及び表示板付育苗ポット  
代理人 中村 繁元  
代理人 西尾 務  
代理人 高荒 新一  
代理人 兼子 直久  
代理人 橋本 努  
代理人 廣江 武典  
代理人 伊藤 愛  
代理人 武川 隆宣  
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