• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04Q
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04Q
審判 査定不服 特174条1項 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04Q
審判 査定不服 4項3号特許請求の範囲における誤記の訂正 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04Q
管理番号 1145884
審判番号 不服2004-2066  
総通号数 84 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1997-05-20 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-02-04 
確定日 2006-10-25 
事件の表示 平成 7年特許願第315829号「総合デジタル回線を利用した路面融雪制御システム」拒絶査定不服審判事件〔平成 9年 5月20日出願公開,特開平 9-135484〕について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本願は,平成7年11月10日の出願であって,最初の拒絶理由通知に応答して平成14年12月20日付けで手続補正がなされたが,平成15年12月18日付けで拒絶査定がなされ,これに対し,平成16年2月4日に拒絶査定に対する審判が請求されるとともに,平成16年3月3日付けで手続補正がなされたものであり,その後当審において,平成18年3月20日付けで,前記平成16年3月3日付け手続補正が却下され,さらに平成18年4月26日付けで最後の拒絶理由が通知され,平成18年7月7日付けで手続補正がなされたものである。

第2 平成18年7月7日付けの手続補正について
[補正却下の決定の結論]
平成18年7月7日付けの手続補正(以下,「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
本件補正により,特許請求の範囲は,
「【請求項1】路面に配置した路面温度センサ,路面水分センサに接続したヒータ制御盤,路面融雪状態や凍結状態などを監視する監視カメラ,通信伝送を接続した融雪監視盤内に変換装置ターミナルを設け,この融雪監視盤として複数のプログラマブルコントローラにおいてプログラマブルコントローラ通信規格であるデジタル信号を総合デジタル回線の通信規格に交換することができる変換装置ターミナルアダプタを配設し,この変換装置ターミナルアダプタが路面融雪監視部と中央管理部門との端末装置の総合デジタル回線に接続されると共に,総合デジタル回線への接続はプログラマブルコントローラ側のソフト上で行い,長距離間のプログラマブルコントローラの通信ができることを特徴とする総合デジタル回線を利用した路面融雪遠隔制御システムの制御方式。
【請求項2】 プログラマブルコントローラ通信規格であるデジタル信号を総合デジタル回線の通信規格に交換することができる前記変換装置ターミナルアダプタの映像伝送用としてX21プロトコルを用いると共にデータ伝送用としてX25プロトコルを用いたことを特徴とする請求項1に記載の総合デジタル回線を利用した路面融雪制御システムの制御方式。」と補正された。

なお,本件補正前の特許請求の範囲は,平成16年3月3日付け手続補正で補正された次のとおりである。
「【請求項1】路面に配置した路面温度センサ,路面水分センサに接続したヒータ制御盤,路面融雪状態や凍結状態などを監視する監視カメラ,警報発信などの通信伝送を接続した融雪監視盤を変換装置ターミナル内に設け,この融雪監視盤として複数のプログラマブルコントローラにおいてプログラマブルコントローラ通信規格であるデジタル信号を総合デジタル回線の通信規格に交換することができる変換装置ターミナルアダプタを配設し,この変換装置ターミナルアダプタが路面融雪監視部と中央管理部門との端末装置の総合デジタル回線に接続されると共に,総合デジタル回線への接続はプログラマブルコントローラ側のソフト上で行い,長距離間のプログラマブルコントローラの通信ができることを特徴とする総合デジタル回線を利用した路面融雪遠隔制御システムの制御方式。
【請求項2】 プログラマブルコントローラ通信規格であるデジタル信号を総合デジタル回線の通信規格に交換することができる前記変換装置ターミナルアダプタの映像伝送用としてX21プロトコルを用いると共にデータ伝送用としてX25プロトコルを用いたことを特徴とする請求項1に記載の総合デジタル回線を利用した路面融雪制御システムの制御方式。」

してみると,本件補正は,補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明が補正前の特許請求の範囲の請求項1に係る発明に対応するものと認められるところ,本件補正によって該請求項1に係る発明に関し,少なくとも,補正前の「警報発信などの通信伝送を接続した融雪監視盤」中の「警報発信など」との構成を削除する補正を含むものである。

ところで,本件補正は,最初の拒絶の理由に応答する補正によって通知することが必要になった拒絶理由を通知する最後の拒絶理由通知に応答してなされたものであるから,特許法第17条の2第1項第2号の「拒絶理由通知を受けた後更に拒絶理由通知を受けた場合において,最後に受けた拒絶理由通知に係る第五十条の規定により指定された期間内にするとき。」になされたものであり,同条第4項において特許請求の範囲についてする補正は同項第1号乃至第4号に掲げる事項を目的とするものに限るとされているので,即ち請求項の削除,特許請求の範囲の減縮(限定的減縮),誤記の訂正,明りょうでない記載の釈明を目的とするものに限られるので,本件補正はこれらの目的に合致するものかを検討する。

本件補正によって,「警報発信など」との構成を削除することは,限定的構成を削除している点で明らかに発明を拡張しているから,限定的減縮にあたらないことが明白であり,また,請求項の削除にも該当しないことも明らかであり,また,「警報発信など」との記載それ自体は明確,明りょうなものであるから,誤記の訂正,明りょうでない記載の釈明にも該当しない。

したがって,本件補正は,特許法第17条の2第4項各号に掲げる事項を目的とするものに該当しない。

また,補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された「変換装置ターミナル」は,本件の願書に最初に添付した明細書または図面に記載されていないから,新規事項を追加するものであり,特許法第17条の2第3項に規定する要件も満たしていない。

よって,本件補正は,特許法第17条の2第4項の規定に違反するものであり,特許法第159条第1項で読み替えて準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

なお,上記「変換装置ターミナル」に関し,請求人は,本件補正と同日付けで提出した意見書において,「「融雪監視盤」のブロック図には,「融雪監視盤26」の中に「ターミナルアダプタ(変換装置)28」が明記されており,変換装置ターミナルは,デジタル信号を通信用に変換するターミナルアダプタである。」旨主張しているが,補正後の請求項1には,「変換装置ターミナルアダプタ」との記載があり,本願の願書に最初に添付した明細書または図面にも記載されているから,「変換装置ターミナル」と「変換装置ターミナルアダプタ」とは,その間に一定の関係があるにせよ,同一の物と解することはできず,したがって,前記主張は失当である。

第3 特許請求の範囲

平成18年7月7日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので,本願の特許請求の範囲の請求項1は,平成14年12月20日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された,次のとおりのものである。

「【請求項1】路面に配置した路面温度センサ,路面水分センサに接続したヒータ制御盤,路面融雪状態や凍結状態などを監視する監視カメラ,警報発信などの通信伝送を接続した融雪監視盤を変換装置ターミナル内に設け,複数のプログラマブルコントローラをプログラマブルコントローラ通信規格であるデジタル信号と総合デジタル回線の通信規格とを回線交換することができる前記変換装置ターミナルアダプタを介し,この両局間の端末装置を総合デジタル回線に接続すると共に,総合デジタル回線への接続はプログラマブルコントローラ側のソフト上で行い,長距離間のプログラマブルコントローラができることを特徴とする総合デジタル回線を利用した路面融雪制御システムの制御方式にあることは明らかである。」(以下,「本願発明」という。)

第4 判断

平成14年12月20日付け手続補正書の特許請求の範囲に対し,当審による平成18年4月26日付けの最後の拒絶理由の概略は,
「平成14年12月20日付けでした手続補正は,下記の点で願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから,特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。

上記補正により,本願請求項1には,「【請求項1】路面に配置した路面温度センサ,路面水分センサに接続したヒータ制御盤,路面融雪状態や凍結状態などを監視する監視カメラ,警報発信などの通信伝送を接続した融雪監視盤を変換装置ターミナル内に設け,複数のプログラマブルコントローラをプログラマブルコントローラ通信規格であるデジタル信号と総合デジタル回線の通信規格とを回線交換することができる前記変換装置ターミナルアダプタを介し,この両局間の端末装置を総合デジタル回線に接続すると共に,総合デジタル回線への接続はプログラマブルコントローラ側のソフト上で行い,長距離間のプログラマブルコントローラができることを特徴とする総合デジタル回線を利用した路面融雪制御システムの制御方式にあることは明らかである。」との記載がなされた。
一方,上記補正された請求項1記載の「警報発信などの通信伝送を接続した融雪監視盤」に関して,本件の願書に最初に添付した明細書または図面には,「融雪監視盤」に接続されたものとして,「自動制御装置10」「監視カメラ25」「電話機27」「DSU29」が図1及び関係記載に認められるが,それらが,「警報発信」するなどとの開示も示唆もないから,「警報発信」は,本件の願書に最初に添付した明細書または図面に記載された事項の範囲内ではない。
また同様に,上記補正された請求項1記載の「融雪監視盤を変換装置ターミナル内に設け」る点に関して,本件の願書に最初に添付した明細書または図面には,「融雪監視盤26」は単独で記載されており,「融雪監視盤」が内部に設けられているような装置等は何ら存在しない。したがって,「変換装置ターミナル」に相当するものは何ら開示も示唆もされていないから,「変換装置ターミナル」は,本件の願書に最初に添付した明細書または図面に記載された事項の範囲内ではない。
したがって,この補正は,新規事項を追加する補正である。

最後の拒絶理由通知とする理由
最初の拒絶理由通知に対する応答時の補正によって通知することが必要になった拒絶の理由のみを通知する拒絶理由通知である。」である。

請求人は,この最後の拒絶理由に対し,平成18年7月7日付け意見書において,以下の1,2の反論をしている。

1.「警報発信」について

本願発明は,遠隔地に設置した「融雪監視盤」と中央で管理する「中央監視盤」を含めた総合デジタル回線を利用した路面融雪監視システムであることは明らかであります。すなわち,融雪監視盤から中央監視盤に伝送される信号は画像・データ信号であり,「中央監視盤」はこれらの信号を受信し,以上を検知した場合は非常通報装置により発信することは当然の行為であります。「警報発信」なる文言が明細書に記載されていませんが,明細書全体の記載より当然信号が発信されることは明らかであり,「中央監視ブロック図」から当業者はきわめて容易に示唆することができます。

2.「変換装置ターミナル」について
「融雪監視盤」のブロック図に明記されていますように「融雪監視盤26」の中に「ターミナルアダプタ(変換装置)28」があります。変換装置ターミナルは,デジタル信号を通信用に変換するターミナルアダプタで,・・・ある。

そこで,上記反論1,2について検討する。

・上記「1」について
請求人は,「非常通報装置により発信することは当然の行為」であると主張しているが,本願の願書に最初に添付した明細書または図面には,監視する旨の記載はあるものの,「非常通報」に関した記載及び示唆は全く存在せず,監視との記載から,非常通報を直ちに導くことのできない。さらにいえば,本願発明における,「警報発信などの通信伝送を接続した融雪監視盤」との記載によれば,警報発信などの通信伝送は融雪監視盤に接続されているが,そのようなことは,本願の願書に最初に添付した明細書または図面に微塵も記載されていない。「中央監視ブロック図」についても,同様である。
したがって,「1.「警報発信」について」の請求人の主張は,全く根拠のないものであり,失当である。

・上記「2」について
上記「第2 平成18年7月7日付けの手続補正について」項の末部に,「なお,上記「変換装置ターミナル」に関し,請求人は,本件補正と同日付けで提出した意見書において,・・・したがって,前記主張は失当である。」と記載したとおり,「2.「変換装置ターミナル」について」の請求人の主張も,全く根拠のないものであり,失当である。

なお,同日付けの手続補正で特許請求の範囲の補正がなされたが,該手続補正は前記「第2」で判断したように補正の却下がなされている。

そして,再度,願書に最初に添付した明細書又は図面の記載を検討しても,上記拒絶の理由を覆せる記載は見いだせない。

第5 むすび

以上のとおり,平成14年12月20日付けでした手続補正は,特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていないから,本願は,特許法第49条第1号に該当し,拒絶すべきものである。

よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-08-09 
結審通知日 2006-08-15 
審決日 2006-09-04 
出願番号 特願平7-315829
審決分類 P 1 8・ 55- WZ (H04Q)
P 1 8・ 573- WZ (H04Q)
P 1 8・ 572- WZ (H04Q)
P 1 8・ 561- WZ (H04Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 稲葉 和生  
特許庁審判長 山本 春樹
特許庁審判官 宮下 誠
畑中 博幸
発明の名称 総合デジタル回線を利用した路面融雪制御システム  
代理人 小田 治親  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ