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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 B62J
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B62J
管理番号 1147068
審判番号 不服2003-11192  
総通号数 85 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2000-07-11 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-06-18 
確定日 2006-11-09 
事件の表示 特願2000-5685「自動二輪車用表示装置」拒絶査定不服審判事件〔平成12年7月11日出願公開、特開2000-190887〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 【第1】手続の経緯
本願は、平成12年1月14日(特許法第44条及び同第41条に係る優先日 平成5年11月10日)付けの出願であって、本件審判請求の日から30日以内の平成15年7月18日付けで、特許法第17条の2第1項第3号(平成14年改正前の特許法であって、以下についても同様である)に規定する手続補正(前置補正)をしたものである。

【第2】平成15年7月18日付け手続補正の却下について
【補正却下の決定の結論】
平成15年7月18日付けの手続補正を却下する。
【補正却下の決定の理由】
1.平成15年7月18日付けの手続補正(以下、「本件手続補正」という)の趣旨
(1)本件手続補正前の特許請求の範囲に記載された発明は、次の請求項1ないし6のとおりである。
「【請求項1】 ヘッドパイプの前方を覆ってフェアリングが配設される自動二輪車に装着され、回転速度および走行速度を含む各種情報を表示するための自動二輪車用表示装置であって、
前記ヘッドパイプの前方でかつ前記フェアリング内に配置されるアナログ表示式タコメータおよびデジタル表示式スピードメータを備えるとともに、
前記アナログ表示式タコメータおよび前記デジタル表示式スピードメータは、車幅方向に並列されることを特徴とする自動二輪車用表示装置。
【請求項2】 請求項1記載の表示装置において、前記デジタル表示式スピードメータは、自動二輪車の走行速度表示部と、
前記走行速度表示部の下方に配置され、総走行距離とトリップとを切り替え表示する距離表示部と、
を備えることを特徴とする自動二輪車用表示装置。
【請求項3】 請求項2記載の表示装置において、前記デジタル表示式スピードメータは、前記距離表示部の近傍に前記総走行距離と前記トリップとを切り替え表示するための切り替えスイッチを備えることを特徴とする自動二輪車用表示装置。
【請求項4】 請求項3記載の表示装置において、前記切り替えスイッチは、前記トリップをリセットする機能を有することを特徴とする自動二輪車用表示装置。
【請求項5】 請求項1記載の表示装置において、前記アナログ表示式タコメータと前記デジタル表示式スピードメータは、単一の表示セット部に一体的に設けられることを特徴とする自動二輪車用表示装置。
【請求項6】 請求項1記載の表示装置において、前記デジタル表示式スピードメータは、前記アナログ表示式タコメータの左側に設けられることを特徴とする自動二輪車用表示装置。」
(2)本件手続補正後の特許請求の範囲に記載された発明は、次の請求項1ないし8のとおりである。
「【請求項1】ヘッドパイプの前方を覆ってフェアリングが配設される自動二輪車に装着され、回転速度および走行速度を含む各種情報を表示するための自動二輪車用表示装置であって、
前記ヘッドパイプの前方でかつ前記フェアリング内に配置されるアナログ表示式タコメータとデジタル表示式スピードメータを車幅方向に並列して配置し、しかも、前記デジタル表示式スピードメータは、走行方向に沿って前記アナログ表示式タコメータの左側に設けられることを特徴とする自動二輪車用表示装置。
【請求項2】 請求項1記載の表示装置において、
前記デジタル表示式スピードメータは、自動二輪車の走行速度表示部と、前記走行速度表示部の下方に配置され、総走行距離とトリップとを切り替え表示する距離表示部と、
を備えることを特徴とする自動二輪車用表示装置。
【請求項3】 請求項2記載の表示装置において、
前記デジタル表示式スピードメータは、前記距離表示部の近傍に前記総走行距離と前記トリップとを切り替え表示するための切り替えスイッチを備えることを特徴とする自動二輪車用表示装置。
【請求項4】 請求項3記載の表示装置において、
前記切り替えスイッチは、前記トリップをリセットする機能を有することを特徴とする自動二輪車用表示装置。
【請求項5】 ヘッドパイプの前方を覆ってフェアリングが配設される自動二輪車に装着され、回転速度および走行速度を含む各種情報を表示するための自動二輪車用表示装置であって、
前記表示装置は、前記ヘッドパイプの前方でかつ前記フェアリング内に配置されるアナログ表示式タコメータとデジタル表示式スピードメータを備える単一の表示セット部を有し、前記デジタル表示式スピードメータは、走行方向に沿って前記アナログ表示式タコメータの左側に設けられることを特徴とする自動二輪車用表示装置。
【請求項6】 ヘッドパイプの前方を覆ってフェアリングが配設される自動二輪車に装着され、回転速度および走行速度を含む各種情報を表示するための自動二輪車用表示装置であって、
前記表示装置は、前記ヘッドパイプの前方でかつ前記フェアリング内に配置されるアナログ表示式タコメータとデジタル表示式スピードメータを備え、前記アナログ表示式タコメータとデジタル表示式スピードメータをヘッドパイプの前方で車幅方向に並列して配置したことを特徴とする自動二輪車用表示装置。
【請求項7】 ヘッドパイプの前方を覆ってフェアリングが配設される自動二輪車に装着され、回転速度および走行速度を含む各種情報を表示するための自動二輪車用表示装置であって、
前記表示装置は、前記ヘッドパイプの前方でかつ前記フェアリング内に配置されるアナログ表示式タコメータとデジタル表示式スピードメータを備え、前記アナログ表示式タコメータを円形状表示式メータとし、デジタル表示式スピードメータを四辺形状表示式メータとしたことを特徴とする自動二輪車用表示装置。
【請求項8】 ヘッドパイプの前方を覆ってフェアリングが配設される自動二輪車に装着され、回転速度および走行速度を含む各種情報を表示するための自動二輪車用表示装置であって、
前記表示装置は、前記ヘッドパイプの前方でかつ前記フェアリング内に配置されるアナログ表示式タコメータとデジタル表示式スピードメータを備え、当該アナログ表示式タコメータの表面面積をデジタル表示式スピードメータの表示面積よりも大きくしたことを特徴とする自動二輪車用表示装置。」

2.本件手続補正の目的について
上記1.のとおり、本件手続補正では、請求項の数が6から8に増加しているというばかりでなく、補正前の請求項と補正後の請求項との対応関係も明白ではなく、しかも、補正後の請求項7及び8の発明は、補正前の各請求項の発明が備える、「前記アナログ表示式タコメータおよび前記デジタル表示式スピードメータは、車幅方向に並列される」という構成要件を欠くものとなっている。
そうすると、本件手続補正は、特許法第17条の2第4項第2号の「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものとはいえず、また、同項に掲げる他の事項を目的とするものにも該当しない。

3.補正要件の欠如による手続補正の却下
したがって、本件手続補正は、特許法第17条の2第4項の規定を満たすものとはいえないから、特許法第159条第1項において一部読み替えて準用する同第53条第1項の規定により却下されるべきものである。
よって、上記補正却下の結論のとおり決定する。

【第3】本願の発明について
1.本願の発明
上記のとおり、平成15年7月18日付けの本件手続補正は却下されたので、本願の発明は、出願当初の明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載されたとおりのものと認められるが、そのうち、請求項1の発明は次のとおりである。
「【請求項1】 ヘッドパイプの前方を覆ってフェアリングが配設される自動二輪車に装着され、回転速度および走行速度を含む各種情報を表示するための自動二輪車用表示装置であって、
前記ヘッドパイプの前方でかつ前記フェアリング内に配置されるアナログ表示式タコメータおよびデジタル表示式スピードメータを備えるとともに、
前記アナログ表示式タコメータおよび前記デジタル表示式スピードメータは、車幅方向に並列されることを特徴とする自動二輪車用表示装置。」(以下、「本願発明」という)

2.引用例及びその記載事項
原査定に係る拒絶理由で引用された、本願の優先日より前の頒布に係る刊行物である実願昭49-91143号(実開昭51-20652号)のマイクロフィルム(以下、「引用例」という)には、「自動二輪車用風防装置」に関して、第1ないし3図と共に、次の事項が記載されている。
「以下、図面により本考案の一実施例について説明すると、1は本考案による風防装置を示し、その主体をなす風防板2は、自動二輪車Mの操向ハンドルH前方に起立する透明樹脂製上部覆い2aと、その下端に結合され、自動二輪車Mの車体F前部を覆う横断面流線形のガラス繊維強化樹脂製下部覆い2bとから構成され、この風防板2は、その内側に固着された支持枠3を介して前記車体Fの前端部および中間部に支持される。
風防板2の前面部と支持枠3間には計器盤4を連結し、またその計器盤4の直下で前照灯5を計器盤4および支持枠3に突設したブラケット6,7にボルト8を以て支持して、その前照灯5を下部覆い2b前面に開口した照明孔9内に配置する。而してボルト8を緩めれば、そのボルト8を軸に前照灯5を上下に適当に回動してその光軸方向を調節することができる。
計器盤4にはスピードメータ10、タコメータ11および各種表示灯12が装着されており、それ等計器類を露出させて化粧板13を計器盤4上面に被着する。」(明細書部分第2頁第14行?第3頁第17行)

3.発明の対比
(1)引用例の記載事項と本願発明の構成事項とを対比すると、引用例記載の「車体F」は、本願発明でいう「ヘッドパイプ」を含むものであり、引用例記載の「風防板2」は、本願発明でいう「ヘッドパイプの前方を覆」う「フェアリング」に相当する。そして、引用例において、「スピードメータ10、タコメータ11および各種表示灯12が装着」されるとする「計器盤4」は、「回転速度および走行速度を含む各種情報を表示するための自動二輪車用表示装置」といえる。
また、引用例の第1図及び第2図の記載事項も合わせ参酌すると、上記の「スピードメータ10、タコメータ11」は、<ヘッドパイプ(車体F)の前方でかつフェアリング(風防板)内に配置される>と共に、<車幅方向に並列>されていることが認められ、更に、当該タコメータ11は<アナログ表示式>のものであることも認められる。
(2)上記の対比から、本願発明と引用例記載の発明との間の一致点及び相違点を、次のとおりに認定できる。
[一致点] 「ヘッドパイプの前方を覆ってフェアリングが配設される自動二輪車に装着され、回転速度および走行速度を含む各種情報を表示するための自動二輪車用表示装置であって、
前記ヘッドパイプの前方でかつ前記フェアリング内に配置されるアナログ表示式タコメータおよびスピードメータを備えるとともに、
前記アナログ表示式タコメータおよび前記スピードメータは、車幅方向に並列される自動二輪車用表示装置」である点。
[相違点] スピードメータについて、本願発明では「デジタル表示式」とされるのに対し、引用例にはデジタル表示に関する言及はない点。

4.当審の判断(相違点の検討)
上記の相違点について検討すると、デジタル表示式のスピードメータは当該技術分野において周知のものであり(実願平3-61921号(実開平5-13833号)のCD-ROM、特開平1-277762号公報参照)、引用例記載のスピードメータについても、上記の周知のものを採用して、上記相違点に関して、本願発明と同様の構成とすることは、当業者が容易になしうる設計事項といえる。
なお、請求人は、上記の実願平3-61921号(実開平5-13833号)のCD-ROMに記載されている発明は「自動四輪車」に関するものであって、「自動二輪車」に関する本願発明とは技術の適用範囲が異なり、かつ解決すべき課題が相違するし、「本願発明の特徴とするヘッドパイプの前方でかつフェアリング内の狭小なスペースに2つの異なるメータを並列に配置することによりフェアリングの傾斜角度を小さく構成することができ、エアロダイナミックス特性を向上させるという作用効果は到底導き出せるものではない」旨の主張をしている。
しかし、「自動四輪車」に関する技術を、「自動二輪車」に適用することが必ずしも困難であるとはいえないし、また、「ヘッドパイプの前方でかつフェアリング内の狭小なスペースに2つの異なるメータを並列に配置すること」自体は、上記の引用例に既に開示されているところというべきであるから、上記の作用効果に関する主張は妥当なものとはいえない。

【第4】むすび
上記のとおり、本願請求項1に係る発明(本願発明)については、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本願請求項2以下に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-08-30 
結審通知日 2006-09-05 
審決日 2006-09-25 
出願番号 特願2000-5685(P2000-5685)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B62J)
P 1 8・ 575- Z (B62J)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 田中 成彦小山 卓志  
特許庁審判長 前田 仁
特許庁審判官 永安 真
ぬで島 慎二
発明の名称 自動二輪車用表示装置  
代理人 千葉 剛宏  
代理人 宮寺 利幸  
代理人 佐藤 辰彦  

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