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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 E02D 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 E02D |
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管理番号 | 1147539 |
審判番号 | 不服2005-272 |
総通号数 | 85 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1996-01-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2005-01-06 |
確定日 | 2006-11-20 |
事件の表示 | 平成 6年特許願第186754号「擁壁用ブロック及び擁壁の構築構造」拒絶査定不服審判事件〔平成 8年 1月30日出願公開、特開平 8- 27817〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成6年7月15日の出願であって、平成16年11月9日付で拒絶査定がなされ、これに対し、平成17年1月6日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年1月28日付で手続補正がなされたものである。 2.平成17年1月28日付の手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成17年1月28日付の手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。 [理由] (1)補正後の本願発明 本件補正により、特許請求の範囲の請求項2は、 「少なくとも、 前壁と、前壁の背面側に突設形成された控え壁と、控え壁に鉛直方向に開孔された複数の鉄筋挿入孔と、を備えた第1擁壁用ブロックと、 前壁と、前壁の背面側に突設形成された控え壁と、控え壁に鉛直方向に開孔された鉄筋挿入孔と、を有する第2擁壁用ブロックであって、第1擁壁用ブロックの上面に、相互の鉄筋挿入孔が連通する様に積層配設された第2擁壁用ブロックと、を備え、 それぞれ少なくとも一つの鉄筋挿入孔は、壁の上下両端面に開口された挿入口に上下に連通する連通孔からなり、該鉄筋挿入孔は上下端の略中央位置に最小径となる小径部を有するとともに、この小径部から上方側に向けてしだいに拡径された上向きラッパ孔部を、小径部から下方側に向けてしだいに拡径された下向きラッパ孔部を備え、 フーチング基礎の上面に、第1、第2擁壁用ブロックを積層配設して鉄筋挿入孔を上下に連通させ、 これらの鉄筋挿入孔内にフーチング基礎のアンカー鉄筋と、アンカー鉄筋に連結した連結鉄筋とを貫通させると共に充填材を充填固化させてフーチング基礎に各擁壁用ブロックを一体的に連結させて成る擁壁の構築構造。」(以下、「補正発明」という。) と補正された。 上記補正は、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、補正発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。 (2)本願出願前に頒布された刊行物に記載された事項 原査定の拒絶の理由に引用された特開平6-93626号公報(以下、「刊行物1」という。)には、図面とともに、以下の記載がある。 「【請求項6】前壁と、この前壁の背面側に突設形成された控え壁とを備え た大型擁壁用ブロックを基礎フーチング上面に配設し、この大型擁壁用ブロックの上面に、この大型擁壁用ブロックよりも控え壁の背面側突設長さが短く形成された複数の擁壁用ブロックを積層して構築させ、前記大型擁壁用ブロックの控え壁の端部には、両側方向へ膨出した膨拡壁が設けられ、少なくとも、この膨拡壁内には、上下面に連通した鉄筋挿入用大径孔が開孔され、更に、最も前壁側に近い控え壁には鉄筋挿入用小孔が設けられると共に、この小孔と大径孔との中間位置には前記小孔よりも大きく、かつ、大径孔より小さい中径孔を備え、前記最も前壁側に近い控え壁に設けられた小孔は、大型擁壁用ブロック及びその上面側に積層される複数の擁壁用ブロックの最も前壁側に近い控え壁に設けられた小孔と直状に連通する連通孔を形成するように位置決め積層され、基礎フーチングより突設されたアンカー鉄筋及び基礎フーチング上面に載設された各擁壁用ブロックを連結する連結鉄筋とを、この連通孔内に連結挿通させて上下の擁壁用ブロックを一体連結させて成る擁壁の構築構造。」 「【0010】次に、前壁14と、この前壁14の背面側に突設形成された控え壁16とを備えた大型擁壁用ブロックA1を基礎フーチング12上面に配設し、この大型擁壁用ブロックA1の上面に、この大型擁壁用ブロックよりも控え壁の背面側突設長さが短く形成された複数の擁壁用ブロックA2、A3、A4を積層して構築させ、前記大型擁壁用ブロックの控え壁の端部には、両側方向へ膨出した膨拡壁22が設けられ、少なくとも、この膨拡壁22内には、上下面に連通した鉄筋挿入用大径孔24が開孔され、更に、最も前壁側に近い控え壁には鉄筋挿入用小孔26が設けられると共に、この小孔26と大径孔24との中間位置には前記小孔26よりも大きく、かつ、大径孔26より小さい中径孔28を備え、前記最も前壁側に近い控え壁に設けられた小孔26は、大型擁壁用ブロックA1及びその上面側に積層される複数の擁壁用ブロックA2、A3、A4の最も前壁側に近い控え壁16に設けられた小孔26と直状に連通する連通孔を形成するように位置決め積層され、基礎フーチング12より突設されたアンカー鉄筋18及び基礎フーチング12上面に載設された各擁壁用ブロックを連結する連結鉄筋20とを、この連通孔内に連結層通させて上下の擁壁用ブロックを一体連結させて成る擁壁の構築構造10から構成される。」 「【0014】また、前記膨拡壁16内に設けた大径孔24a、24b、控え壁16に設けた中径孔26或は小径孔28の内面側には挿入される鉄筋や充填材等を強固に連結固定するための凹凸、または凹凸溝52が設けられて成ることとしてもよい。 【0015】また、前記鉄筋挿入用大径孔24a、鉄筋挿入用小孔28、中径孔26、2次大径孔24bは、それらの孔の内部上縁側から下縁側へ向けて孔径が小さくなるようなテーパ孔として形成されて成ることとしてもよい。」 「【0035】また、鉄筋コンクリート基礎フーチング12より突設されたアンカー鉄筋18及び鉄筋コンクリート基礎フーチング12上面に載設された各擁壁用ブロックを連結する連結鉄筋20とを、この連結孔内に連結挿通させ、更に、上下の擁壁用ブロックを一体連結させている。このように、大型擁壁用ブロックA1と2次大型擁壁用ブロックA2とは相互に位置合わせ接合したとき大径孔24aと2次大径孔24bとは相互に連通し、また、控え壁16に設けた鉄筋挿入用の小孔26、中径孔28等も相互に連通し、この連通した孔内に連結鉄筋20を挿入してモルタルの様な充填材を充填固化させることにより、2次大型擁壁用ブロックA2は大型擁壁用ブロックA1に強固に連結される。すなわち、前壁側からもっとも土圧が作用する控え壁16の端部側にかけて順に抗張力及び抗縮力が作用し得る様に挿入でき、擁壁全体の剛体を向上させ得ると同時に構造全体の靱性をも向上させるので従来の限度高さよりも更に高い擁壁が構築できるものである。」 「【0042】また、図29に示す用に、前記各大型擁壁用ブロックA1、2次大型擁壁用ブロックA2、中型擁壁用ブロックA3、小型擁壁用ブロックA4等において、前記膨拡壁22内に設けた大径孔24、控え壁16に設けた中径孔28や小径孔26の内面側には挿入される鉄筋や充填材等を強固に連結固定するために、各孔の円周面に凹凸または凹凸溝54を設けることが好ましい。そして、溝のピッチ間隔は、任意に設定してもよく、図示よりも大きな溝幅とした場合でも優れた剛体を形成でき、所期の目的を達成できる。これにより、内部に充填したモルタルの様な充填材は各ブロックに一体に付着して各ブロックの連設強度が大きくなる。 【0043】さらに、本実施例においては大型擁壁用ブロックの膨拡壁に開孔させた鉄筋挿入用大径孔24a、大型、中型、及び小型擁壁用ブロックの鉄筋挿入用小孔26、鉄筋挿入用中径孔28、2次大型擁壁用ブロックA2の2次大径孔24bは、それらの孔の内部上縁側から下縁側へ向けて孔径が小さくなるようなテーパ孔として形成されている。図30には理解を容易にすべく誇張したテーパ角(度)θを図示している。」 「【0059】また、請求項11によれば、前記鉄筋挿入用大径孔、鉄筋挿入用小孔、中径孔、2次大径孔は、それらの孔の内部上縁側から下縁側へ向けて孔径が小さくなるようなテーパ孔として形成されていることにより、上下に隣接する各ブロックの接合面で大きな剪断抵抗を保持でき、よって控え壁側から前壁側への土圧即ち、上方への引張力に対しても耐圧性の高い構造を形成することが可能となり、擁壁全体が靱性により優れたものとなる。」 そうすると、上記記載、対応する図面及び当業者の技術常識によれば、刊行物1には以下の発明が記載されていると認められる。 「前壁14と、前壁14の背面側に突設形成された控え壁16と、控え壁16に鉛直方向に連通した鉄筋挿入用小孔26、中径孔28と、を備えた大型擁壁用ブロックA1と、 前壁14と、前壁14の背面側に突設形成された控え壁16と、控え壁16に鉛直方向に連通した鉄筋挿入用小孔26と、を有する大型擁壁用ブロックよりも控え壁の背面側突設長さが短く形成された擁壁用ブロックA2であって、大型擁壁用ブロックA1の上面に、相互の鉄筋挿入用小孔26が連通する様に積層配設された大型擁壁用ブロックよりも控え壁の背面側突設長さが短く形成された擁壁用ブロックA2と、を備え、 鉄筋挿入用小孔26、中径孔28は、壁の上下両端面に開口された挿入口に上下に連通する連通孔からなり、該鉄筋挿入用小孔26、中径孔28は孔の内部上縁側から下縁側へ向けて孔径が小さくなるようなテーパ孔を備え、フーチング基礎12の上面に、大型擁壁用ブロックA1、大型擁壁用ブロックよりも控え壁16の背面側突設長さが短く形成された擁壁用ブロックA2を積層配設して鉄筋挿入用小孔26を上下に連通させ、 これらの鉄筋挿入用小孔26内にフーチング基礎12のアンカー鉄筋18と、アンカー鉄筋18に連結した連結鉄筋20とを貫通させると共に充填材を充填固化させてフーチング基礎12に各擁壁用ブロックA1、A2を一体的に連結させて成る擁壁の構築構造。」 同じく、原査定の拒絶の理由に引用された実公平3-52826号公報(以下、「刊行物2」という。)には、図面とともに、以下の記載がある。 「主体1の前側上面の左右に円錐状の突起5,5を設け、これと対応する主体1の前側下面に、突起5が係合できる幅の横方向の凹溝6を設けたことを特徴とする擁壁用ブロツク。」(実用新案登録請求の範囲) 「3は縦の貫通孔で、その貫通孔3は中央が少しく細くなっている。」(3欄2?3行) 「なお、ブロツクの側面に縦凹溝2、貫通孔3、凹部4を設けることによつて、充填(当審注:フォントがないためこの様に記載した)された胴込め9のコンクリート、または土砂が土圧に抵抗してブロツクの食み出しを防ぐことができ、また鉄筋を配設すれば一層強固な擁壁とすることができる。」(4欄11?16行) そして、第1?3図を参照すると、貫通孔3は、上下端の略中央位置に最小形となる小径部を有するとともに、この小径部から上方側に向けてしだいに拡径された上向きのラッパ状の孔部を、小径部から下方側に向けてしだいに拡径された下向きのラッパ状の孔部から構成されている点が記載されている。 (3)対比・判断 そこで、補正発明と刊行物1記載の発明とを対比すると、刊行物1記載の発明の「大型擁壁用ブロックA1」は補正発明の「第1擁壁用ブロック」に相当し、以下同様に、「大型擁壁用ブロックよりも控え壁の背面側突設長さが短く形成された擁壁用ブロックA2」は「第2擁壁用ブロック」に、「鉄筋挿入用小孔26、中径孔28」は「複数の鉄筋挿通孔」に、「鉄筋挿入用小孔26」は「少なくとも一つの鉄筋挿入孔」に、それぞれ相当する。そして刊行部1記載の発明の「孔の内部上縁側から下縁側へ向けて孔径が小さくなるようなテーパ孔」は補正発明の「ラッパ孔部」と対比して「ラッパ状の孔部」である点で共通する。 そうすると、両者は、「少なくとも、前壁と、前壁の背面側に突設形成された控え壁と、控え壁に鉛直方向に開孔された複数の鉄筋挿入孔と、を備えた第1擁壁用ブロックと、 前壁と、前壁の背面側に突設形成された控え壁と、控え壁に鉛直方向に開孔された鉄筋挿入孔と、を有する第2擁壁用ブロックであって、第1擁壁用ブロックの上面に、相互の鉄筋挿入孔が連通する様に積層配設された第2擁壁用ブロックと、を備え、 それぞれ少なくとも一つの鉄筋挿入孔は、壁の上下両端面に開口された挿入口に上下に連通する連通孔からなり、該鉄筋挿入孔はラッパ状の孔部を備え、 フーチング基礎の上面に、第1、第2擁壁用ブロックを積層配設して鉄筋挿入孔を上下に連通させ、 これらの鉄筋挿入孔内にフーチング基礎のアンカー鉄筋と、アンカー鉄筋に連結した連結鉄筋とを貫通させると共に充填材を充填固化させてフーチング基礎に各擁壁用ブロックを一体的に連結させて成る擁壁の構築構造。」 の点で一致し、以下の点で相違している。 [相違点1]鉄筋挿通孔が、補正発明は、上下端の略中央位置に最小径となる小径部を有するとともに、この小径部から上方側に向けてしだいに拡径された上向きラッパ孔部を、小径部から下方側に向けてしだいに拡径された下向きラッパ孔部を備えるのに対し、刊行物1記載の発明は、孔の内部上縁側から下縁側へ向けて孔径が小さくなるようなテーパ孔を備える点。 上記[相違点1]について検討する。 刊行物2記載の発明には、擁壁用ブロックに関して、貫通孔3(補正発明の「鉄筋挿通孔」に相当)は、上下端の略中央位置に最小形となる小径部を有するとともに、この小径部から上方側に向けてしだいに拡径された上向きのラッパ状の孔部(補正発明の「ラッパ孔部」に相当)を、小径部から下方側に向けてしだいに拡径された下向きのラッパ状の孔部から構成されている点、また、ブロツクの側面に縦凹溝2、貫通孔3、凹部4を設けることによつて、充?された胴込め9のコンクリートが土圧に抵抗してブロツクの食み出しを防ぐことができ、また鉄筋を配設すれば一層強固な擁壁とすることができる点が記載されている。 そして、刊行物1記載の発明の鉄筋挿通孔に、刊行物2記載の発明の上下端の略中央位置に最小径となる小径部を有するとともに、この小径部から上方側に向けてしだいに拡径された上向きラッパ孔部を、小径部から下方側に向けてしだいに拡径された下向きラッパ孔部を備える点を適用し、相違点1に係る補正発明の構成とすることは、刊行物1記載の発明及び刊行物2記載の発明が共に擁壁用ブロックという同一の技術分野に属するものであるから、何ら困難性はなく、当業者が容易に想到するものである。 そして、補正発明の作用効果も、刊行物1、刊行物2記載の発明から当業者が予測できる範囲のものである。 したがって、補正発明は、刊行物1記載の発明、及び刊行物2記載の発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 (4)むすび 以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で読み替えて準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。 3.本願発明について (1)本願発明 平成17年1月28日付の手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、平成16年8月17日付の手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。 「前壁と、前壁の背面側に突設形成された控え壁と、控え壁の突設端部 に両側方向へ膨出して設けられた膨拡壁と、控え壁または膨拡壁に鉛直方向に開孔された鉄筋挿入孔と、を備え、 鉄筋挿入孔のうち、1個または複数個の鉄筋挿入孔は、その上下両端に開口された挿入口に連続する内壁により画成された連通孔であり、かつ、該連通孔内には、挿入口の孔径より縮径された小径部が設けられて成る擁壁用ブロック。」(以下、「本願発明」という。) (2)本願出願前に頒布された刊行物に記載された事項 原査定の拒絶の理由に引用された刊行物、および、その記載事項は、前記「2.(2)」の記載に加え、以下の事項が記載されている。 ・刊行物1について 「【請求項3】前壁と、この前壁の背面側に突設形成された控え壁とを備え 、前記控え壁の端部には、両側方向へ膨出した膨拡壁が設けられ、この膨拡壁内には、上下面に連通した鉄筋挿入用大径孔が開孔されると共に、前記控え壁には、上下面に連通した鉄筋挿入用の複数の孔が開孔され、これらの孔の端面側には同孔より拡径するようにテーパ面が設けられて成る擁壁用ブロック。」 「【請求項5】前記鉄筋挿入用大径孔、或いはその他の鉄筋挿入用の複数の孔には、それらの孔の内部上縁側から下縁側へ向けて孔径が小さくなるようなテーパ孔として形成されて成る請求項1、2、3又は4記載の擁壁用ブロック。」 そして、図3、5等参照すると、鉄筋挿入用小孔26、中径孔28および鉄筋挿通用大径孔24は、その上下両端に開口された挿入口に連続する内壁により画成された連通孔であることは、当業者に明らかな事項である。 そうすると、上記記載、対応する図面及び当業者の技術常識によれば、刊行物1には以下の発明が記載されていると認められる。 「前壁14と、前壁14の背面側に突設形成された控え壁16と、控え壁16の突設端部に両側方向へ膨出して設けられた膨拡壁22と、控え壁16に鉛直方向に開孔された鉄筋挿入用小孔26、中径孔28および膨拡壁22に鉛直方向に開孔された鉄筋挿入用大径孔24と、を備え、 鉄筋挿入用小孔26、中径孔28および鉄筋挿通用大径孔24は、その上下両端に開口された挿入口に連続する内壁により画成された連通孔で形成されて成る擁壁用ブロック。」(以下「刊行物1-2記載の発明」という。) ・刊行物2について 刊行物2には、第1?3図を参照すると、貫通孔3内には、挿入口の孔径より縮径された小径部が設けられている点が記載されている。 (以下「刊行物2-2記載の発明」という) (3)対比・判断 本願発明と刊行物1-2記載の発明を対比すると、刊行物1-2記載の発明の「鉄筋挿入用小孔26、中径孔28、鉄筋挿入用大径孔24」は、本願発明の「鉄筋挿通孔」に、相当するから、両者は「前壁と、前壁の背面側に突設形成された控え壁と、控え壁の突設端部に両側方向へ膨出して設けられた膨拡壁と、控え壁または膨拡壁に鉛直方向に開孔された鉄筋挿入孔と、を備え、複数個の鉄筋挿入孔は、その上下両端に開口された挿入口に連続する内壁により画成された連通孔である擁壁用ブロック。」の点で一致し、以下の点で相違する。 [相違点2]連通孔内に本願発明は、挿入口の孔径より縮径された小径部が設けられるのに対し、刊行物1-2記載の発明は、そのような構成が設けられていない点。 上記[相違点2]について検討する。 刊行物2-2記載の発明は、貫通孔3(本願発明の「連通孔」に相当)内に、挿入口の孔径より縮径された小径部が設けられているものである。 そして、刊行物1-2記載の発明の連通孔内に、刊行物2-2記載の発明の連通孔内に挿入口の孔径より縮径された小径部を設ける点を適用し、相違点2に係る本願発明の構成とすることは、刊行物1-2記載の発明及び刊行物2-2記載の発明が共に擁壁用ブロックという同一の技術分野に属するものであるから、何ら困難性はなく、当業者が容易に想到するものである。 そして、本願発明の作用効果も、刊行物1-2記載の発明、及び刊行物2-2記載の発明から当業者が予測できる範囲のものである。 したがって、本願発明は、刊行物1-2記載の発明及び、刊行物2-2記載の発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (4)むすび 以上のとおり、本願発明は、刊行物1-2記載の発明、刊行物2-2記載の発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2005-08-18 |
結審通知日 | 2005-09-06 |
審決日 | 2005-09-27 |
出願番号 | 特願平6-186754 |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(E02D)
P 1 8・ 121- Z (E02D) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 草野 顕子 |
特許庁審判長 |
木原 裕 |
特許庁審判官 |
安藤 勝治 南澤 弘明 |
発明の名称 | 擁壁用ブロック及び擁壁の構築構造 |
代理人 | 穴見 健策 |