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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F |
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管理番号 | 1150685 |
審判番号 | 不服2002-16885 |
総通号数 | 87 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2001-07-24 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2002-09-03 |
確定日 | 2007-01-18 |
事件の表示 | 特願2000- 11021「ビデオゲーム装置、ビデオゲームにおける投擲ガイド表示方法及び投擲ガイド表示プログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 7月24日出願公開、特開2001-198351〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1.手続の経緯 本願は、平成12年1月19日の出願であって、当審において平成18年7月4日付で拒絶理由通知がなされ、これに対し、同年9月5日に意見書が提出されると共に手続補正がなされたものである。 第2.本願発明 本願の請求項1乃至17に係る発明は、平成18年9月5日付の手続補正書の特許請求の範囲の請求項1乃至17に記載されたとおりのものであるところ、請求項1に記載された発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりである。 「【請求項1】モニタに表示されるゲーム画面を操作手段の操作により制御するようにしたビデオゲーム装置において、 選手キャラクタを投擲体キャラクタと共に回転表示させるキャラクタ表示制御手段と、 前記操作手段に設けられた一の操作部材に対する継続操作により前記投擲体キャラクタの飛距離に対応する投擲パワーを当該投擲体キャラクタに対して蓄積的に付与する投擲パワー付与手段と、 前記操作手段に設けられた前記一の操作部材とは異なる他の操作部材に対する継続操作により前記投擲体キャラクタに対して投擲角度を蓄積的に付与する投擲角度設定手段と、 前記ゲーム画面の一部領域に環状のガイド表示領域を設定すると共に、前記投擲パワー付与手段による投擲パワーの蓄積レベルを表示するレベル表示領域を前記ガイド表示領域に近接して設定し、前記一の操作部材の継続操作に応じて増大される蓄積レベルを前記レベル表示領域に順次表示する一方、前記ガイド表示領域上に沿って前記投擲体キャラクタの回転に関連して回転移動するもので、前記投擲パワーの蓄積レベルが増大することに応じて回転速度が増大される投擲マークを表示すると共に、前記投擲体キャラクタを有効範囲内に投擲させるための投擲エリアを規定するもので、この投擲エリア内に前記投擲マークがあるときであって当該投擲マークが最大許容回転数内にあるときに前記他の操作部材が操作されることで当該投擲マークの回転移動が停止されるエリアマークを前記ガイド表示領域に対応させて表示し、前記投擲角度設定手段により付与される投擲角度を表示する角度表示領域を前記ガイド表示領域に近接して設定すると共に、前記投擲マークが前記投擲エリア内にあり、最大許容回転数内にある場合であって前記他の操作部材が操作されたときに前記投擲パワーの蓄積レベルが増大することに応じて回転速度が増大される前記投擲マークの回転移動を停止し、当該操作部材の継続操作に応じて増大される投擲角度を前記角度表示領域に順次表示するガイド表示制御手段とを備え、 前記キャラクタ表示制御手段は、前記投擲マークが前記投擲エリア内にある場合であって前記他の操作部材に対する操作が解除されたときに回転表示している前記投擲体キャラクタを有効範囲内に投擲するように表示するものであることを特徴とするビデオゲーム装置。」 第3.公然知られた発明 原査定の拒絶理由に引用され、本願出願前に日本国内において、株式会社セガ・エンタープライゼスから発売されたゲームソフト「デカスリート」の取扱説明書には、以下の事項が記載されている。 ・記載事項A-1(第3ページ上段) 「このたびはセガサターン専用ソフト「デカスリート」をお買いあげいただき誠にありがとうございました。」 ・記載事項A-2(第5ページ上段) 「操作方法 このゲームは1?2人用です。1人で遊ぶときはコントロール端子1に、・・・コントロールパッドを接続してください。」 ・記載事項A-3(第5ページ中段) 「方向ボタン」「Bボタン」を含む各種ボタンの名称、及び、同ボタンに対応する基本操作の説明が記載されたコントロールパッドの図面。 ・記載事項A-4(第5ページ下段) 取扱説明書第12?21ページで使用されるボタンの名称、同ボタンに対応する機能の概略、及び、同ボタンに対応するコントロールパッドのボタンを関係付ける下記の表。 「--------------------------------- ACTIONボタン 跳躍種目やハードル走でジャンプするとき、投てき種目で投げるとき(押し続けて角度調節、離すと投げる)等に使用します。 (B) ---------------------------------- 方向ボタン 円盤投げをするとき、高跳びでの空中姿勢の制御、1500m走の選手の位置取りに使用します。 (+) ---------------------------------」 ・記載事項A-5(第18ページ上段) 「DISCUS THROW 円盤投げ(投てき種目)」 ・記載事項A-6(第18ページ中段「画面の見方」欄) 円盤投げを行うフィールド、「1P選手」と解説された円盤を持った選手キャラクタの画像、「パワーゲージ」と解説されたゲージ、及び、「角度ゲージ」と解説された「°」が付記された数字が表示されたゲーム画面。 ・記載事項A-7(第18ページ下段「遊び方&アドバイス」欄の左上) 「「GO」と表示されたら、方向ボタンを回転させて、パワーゲージを上げます。選手が回転を始めます。」 ・記載事項A-8(第18ページ下段「遊び方&アドバイス」欄の右上) 「選手の腕の残像が表示されたら、ACTIONボタンを押します。そのまま押し続けると、角度ゲージが上がっていきます。」 ・記載事項A-9(第18ページ下段「遊び方&アドバイス」欄の左下) 「ACTIONボタンを離したところで角度が決まり、円盤を投げます(ベスト45度)。」 ・記載事項A-10(第18ページ下段「遊び方&アドバイス」欄の右下) 「ACTIONボタンを押すタイミングを間違えるとファウルになります。」 そして、上記記載事項A-1における「セガサターン」は、株式会社セガ・エンタープライゼス製であって、モニタに表示されるゲーム画面をコントロールパッドの操作により制御するようにしたビデオゲーム装置である。 してみれば、上記記載事項A-1乃至A-10、によれば、本願出願前に以下の発明が公然知られていたものと認められる。 「モニタに表示されるゲーム画面をコントロールパッドの操作により制御するようにしたビデオゲーム装置において、 円盤投げを行うフィールド、円盤を持った選手キャラクタ、パワーゲージ、及び、角度ゲージを含むゲーム画面を表示し、 ゲーム画面に「GO」と表示されたら、コントロールパッドに設けられた方向ボタンを回転させることで、パワーゲージを上げるとともに、ゲーム画面の選手キャラクタを回転させ、 ゲーム画面の選手キャラクタの腕の残像が表示されたときに、コントロールパッドに設けられたBボタンであるACTIONボタンを押し、そのまま押し続けることで、角度ゲージが上がり、 ACTIONボタンを離したところで角度が決まり、ゲーム画面の選手キャラクタが円盤を投げるものであり、 ACTIONボタンを押すタイミングを間違えるとファウルになる円盤投げゲームを行うビデオゲーム装置。」(以下、「引用発明」という。) 第4.引用文献に記載された事項 1.引用文献1に記載された事項 当審の拒絶理由に引用され、本願の出願の日前に頒布された「Oh!PC」、ソフトバンク株式会社、1998年8月1日、第17巻第4号、第332ページ(以下、「引用文献1」という。)には、次の事項が記載されている。 ・記載事項1-1(左欄第19行?中欄第4行) 「クラブの描く弧に合わせたゲージの中のバーが上下し,スイングの開始,トップスイングの位置決定,インパクトのそれぞれのタイミングで,マウスの左ボタンをクリックする。バーが上下する速さは選択したクラブにより変化し,ドライバーやドライビングアイアンではスピードが速く,タイミングが取りづらくしてある。」 ・記載事項1-2(左下段) ゴルフクラブを握りスイングを開始する前のキャラクタ、及び、前記ゴルフクラブの描く弧に合わせたゲージが表示されたゲーム画面。 2.引用文献2に記載された事項 当審の拒絶理由に引用され、本願の出願の日前に頒布された特開平10-52572号公報(以下、「引用文献2」という。)には、次の事項が記載されている。 ・記載事項2-1(【0081】段落) 「本形態において決められている投擲時の最大回転数は、砲丸投げで“0.5”、円盤投げで“2”、ハンマー投げで“5”となっている。そこで、本形態においては、上記最大回転数に応じて、コマ数の最大値が決められている。例えば、或競技で設定されている回転数が4回で、その最大コマ数の値が、“240”に設定されているものとすると、回転数が2回の競技における最大コマ数の値は、“120”となる。また、上記陸上競技において「失敗」は、「ファール」の意味である。」 ・記載事項2-2(【0084】?【0086】段落) 「ステップS22では、ボタン操作検出手段1aが、第2ボタン22dが押されたか否かを判断し、「YES」であればステップS23に移行し、「NO」であれば再びステップS8に移行する。ここで、第2ボタン22dは、被投擲物の投擲上下角度データAvと、投擲タイミングを決定する。この形態では、第2ボタン22dが押されている間に、投擲上下角度データAvの値が順次インクリメントされる。尚、上記投擲上下角度データAvの値は、図5A?図5Dに示すように、ガイドGiによってリアルタイムで表示される。 ステップS23では、演算手段1dが、投擲上下角度データAvに基準角度データzを加算する。ステップS24では、判断手段1fが、投擲上下角度データAvの値が、投擲上下角度データAvの最大値データAvmaxの値よりも大きいか否かを判断し、「YES」であればステップS25に移行し、「NO」であればステップS26に移行する。 ステップS25では、変数設定手段1hが、投擲上下角度データAvに、投擲上下角度データAvの最大値データAvmaxを、代入する。ステップS26では、ボタン操作検出手段1aが、第2ボタン22dが離されたか否かを判断し、「YES」であればステップS27に移行し、「NO」であれば再びステップS23に移行する。第2ボタン22dが離されたときに、その時点の投擲上下角度データAvの値で、ゲーム空間内の投擲体により被投擲物が投擲される。」 第5.本願発明と引用発明との対比 ・対応関係1 引用発明における「コントロールパッド」は本願発明における「操作手段」に相当し、以下同様に「選手キャラクタ」は「選手キャラクタ」に、「円盤」は「投擲体キャラクタ」に、「方向ボタン」は「一の操作部材」に、「ACTIONボタン」は「他の操作部材」に、「角度」は「投擲角度」に、「パワーゲージ」は「レベル表示領域」に、「角度ゲージ」は「角度表示領域」にそれぞれ相当する。 ・対応関係2 複数の処理を実現するビデオゲーム装置において、前記複数の処理について、各々処理手段として構成を記述することは、ビデオゲーム装置の構成を記述するにあたって、一般的になされていることであって、引用発明において行われる各処理は、各々が処理手段として認識されるものである。 ・対応関係3 上記対応関係2を考慮すると、引用発明の「円盤を持った選手キャラクタを含むゲーム画面を表示し」、「ゲーム画面の選手キャラクタを回転させ」る処理は、本願発明の「選手キャラクタを投擲体キャラクタと共に回転表示させるキャラクタ表示制御手段」に相当するものである。 ・対応関係4 円盤投げにおいて、その大きさが重要となるパワーが、円盤にかかる投てきパワーであって、当該投てきパワーが円盤の飛距離に対応することは、一般に広く知られているところである。 そして、引用発明は、コントロールパッドの操作により、ゲーム画面に表示された円盤を持った選手キャラクタに円盤投げを行わせるゲームに係るものであって、パワーゲージがコントロールパッドの操作により変化することを見れば、引用発明のパワーゲージが、円盤に対して付与された投てきパワーを示していることは、当業者にとって自明のことなので、引用発明において、円盤に対して投てきパワーを付与することは、当然に行われているといえるものである。 ここで、上記対応関係2を考慮すれば、引用発明の「コントロールパッドに設けられた方向ボタンを回転させることで、パワーゲージを上げる」処理と、本願発明の「投擲パワー付与手段」とは、「操作手段に設けられた一の操作部材に対する操作により投擲体キャラクタの飛距離に対応する投擲パワーを当該投擲体キャラクタに対して付与する投擲パワー付与手段」である点において共通する。 ・対応関係5 上記対応関係2を考慮すると、引用発明の「コントロールパッドに設けられたBボタンであるACTIONボタンを押し、そのまま押し続けることで、角度ゲージが上がり、ACTIONボタンを離したところで角度が決ま」る処理は、本願発明の「前記操作手段に設けられた前記一の操作部材とは異なる他の操作部材に対する継続操作により前記投擲体キャラクタに対して投擲角度を蓄積的に付与する投擲角度設定手段」に相当するものである。 ・対応関係6 表示を行うにあたって、表示領域が設定されることは当然になされることであり、上記対応関係2、4、5を考慮すれば、引用発明の「コントロールパッドに設けられた方向ボタンを回転させることで、パワーゲージを上げる」処理、及び、「コントロールパッドに設けられたBボタンであるACTIONボタンを押し、そのまま押し続けることで、角度ゲージが上が」る処理と、本願発明の「ガイド表示制御手段」とは、「投擲パワー付与手段による投擲パワーのレベルを表示するレベル表示領域を設定し、一の操作部材の操作に応じて増大されるレベルを前記レベル表示領域に順次表示する一方、投擲角度設定手段により付与される投擲角度を表示する角度表示領域を設定すると共に、他の操作部材の継続操作に応じて増大される投擲角度を前記角度表示領域に順次表示するガイド表示制御手段」である点において共通する。 ・対応関係7 引用発明は、ACTIONボタンを押すタイミングを間違えるとファウルになるものであり、これは、逆にいうと、ACTIONボタン(他の操作部材)を押すタイミングが適切な場合には円盤を有効に投てきするものであるといえる。 本願発明は、他の操作部材が操作されることで停止する投擲マークが投擲エリア内にある場合に投擲体キャラクタを有効範囲内に投擲するように表示するものであり、これも、他の操作部材を押すタイミングが適切な場合には円盤を有効に投てきするものであるといえる。 ここで、上記対応関係2を考慮すれば、引用発明の「コントロールパッドに設けられたBボタンであるACTIONボタンを押し、そのまま押し続けることで、角度ゲージが上がり、ACTIONボタンを離したところで角度が決まり、ゲーム画面の選手キャラクタが円盤を投げるものであり、ACTIONボタンを押すタイミングを間違えるとファウルになる」処理と、本願発明の「キャラクタ表示制御手段」とは、「他の操作部材を押すタイミングが適切な場合であって、前記他の操作部材に対する操作が解除されたときに回転表示している前記投擲体キャラクタを有効範囲内に投擲するように表示するキャラクタ表示制御手段」である点において共通する。 ・一致点 よって、本願発明及び引用発明は、 「モニタに表示されるゲーム画面を操作手段の操作により制御するようにしたビデオゲーム装置において、 選手キャラクタを投擲体キャラクタと共に回転表示させるキャラクタ表示制御手段と、 前記操作手段に設けられた一の操作部材に対する操作により前記投擲体キャラクタの飛距離に対応する投擲パワーを当該投擲体キャラクタに対して付与する投擲パワー付与手段と、 前記操作手段に設けられた前記一の操作部材とは異なる他の操作部材に対する継続操作により前記投擲体キャラクタに対して投擲角度を蓄積的に付与する投擲角度設定手段と、 前記投擲パワー付与手段による投擲パワーのレベルを表示するレベル表示領域を設定し、前記一の操作部材の操作に応じて増大されるレベルを前記レベル表示領域に順次表示する一方、前記投擲角度設定手段により付与される投擲角度を表示する角度表示領域を設定すると共に、他の操作部材の継続操作に応じて増大される投擲角度を前記角度表示領域に順次表示するガイド表示制御手段とを備え、 前記キャラクタ表示制御手段は、他の操作部材を押すタイミングが適切な場合であって、前記他の操作部材に対する操作が解除されたときに回転表示している前記投擲体キャラクタを有効範囲内に投擲するように表示するものであるビデオゲーム装置。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 ・相違点1 投擲パワー付与手段が、本願発明は、投擲パワーを継続操作により蓄積的に付与しているのに対して、引用発明は、操作に対する投擲パワーの付与の仕方が本願発明のように特定されていない点。(以下、「相違点1」という。) ・相違点2 ガイド表示制御手段が、本願発明は、ゲーム画面の一部領域に環状のガイド表示領域を設定すると共に、前記ガイド表示領域上に沿って前記投擲体キャラクタの回転に関連して回転移動するもので、投擲パワーの蓄積レベルが増大することに応じて回転速度が増大される投擲マークを表示すると共に、前記投擲体キャラクタを有効範囲内に投擲させるための投擲エリアを規定するもので、この投擲エリア内に前記投擲マークがあるときであって当該投擲マークが最大許容回転数内にあるときに他の操作部材が操作されることで当該投擲マークの回転移動が停止されるエリアマークを前記ガイド表示領域に対応させて表示し、前記投擲マークが前記投擲エリア内にあり、最大許容回転数内にある場合であって前記他の操作部材が操作されたときに前記投擲パワーの蓄積レベルが増大することに応じて回転速度が増大される前記投擲マークの回転移動を停止する処理を行うのに対して、引用発明は、そのように構成されていない点。(以下、「相違点2」という。) ・相違点3 ガイド表示制御手段において、本願発明は、レベル表示領域、及び、角度表示領域をガイド表示領域に近接して設定しているのに対して、引用発明は、レベル表示領域、及び、角度表示領域を選手キャラクタに近接して設定している点。(以下、「相違点3」という。) ・相違点4 投擲体キャラクタを有効範囲内に投擲するのに必要となる「他の操作部材を押すタイミングが適切な場合」が、本願発明は、「投擲マークが投擲エリア内にある場合」であるのに対して、引用発明は、そのように構成されていない点。(以下、「相違点4」という。) 第6.相違点についての検討 ・相違点1について ゲームにおいて、操作手段の継続操作により蓄積的にパワーを付与することでパワーを設定する操作入力手法は、例えば、下記周知文献1及び2に記載されているように周知のものである。 してみれば、引用発明において、方向ボタンを回転させることでパワーゲージを上げるにあたって、方向ボタンを回転させる操作を継続させることでパワーゲージが蓄積的に上がるように設定することは当業者が容易に設計し得ることであり、上記相違点1に係る本願発明の構成のようにすることは、当業者が容易に想到し得ることである。 周知文献1:「コナミ完璧攻略シリーズ38 悪魔城ドラキュラ黙示録 公式ガイドブック 完全版」、コナミ株式会社、 1999年10月25日、新訂板、 第15ページ下段「キャリーの特殊な攻撃方法」欄 周知文献2:「GAMEST」、株式会社新声社、1997年1月15日 第12巻第1号、第183ページ上段「●ため撃ち」欄 ・相違点2について 上記「第4.1」に示した記載事項によれば、引用文献1には、キャラクタの表示に合わせてゲージの表示、すなわち、ガイド表示を行うゲームが記載されている。 引用発明、及び、引用文献1記載のゲームは、いずれも、タイミングをはかって操作入力を行うゲームに係るものであり、引用文献1において採用されているガイド表示を行うという手法を引用発明に適用することは、当業者が容易に想到し得ることであり、引用発明が模擬しているゲームである円盤投げの特性、及び、引用文献2記載の同種のゲームにおける処理を考えれば、上記相違点2に係る本願発明の構成のようにすることは、当業者が容易に想到し得ることである。 すなわち、 円盤投げは、選手が回転しながら円盤を投げるものであって、ゲームを行うにあたっては、円盤の位置を確認しながら円盤を投擲する位置を決めることとなるので、キャラクタの表示に合わせてガイド表示を行うにあたっては、円盤の動きを確認しやすいようにガイド表示を行うようにすることは、当業者が容易に想到し得る事項であり、円盤は、選手を中心として環状にその位置をとることとなるので、ガイド表示を行うにあたって、環状にガイド表示領域を設定し、当該環状のガイド表示領域に沿って投擲体キャラクタ(円盤)の回転に関連して回転移動する投擲マークを表示させることは、当業者が適宜設計し得る事項である。 円盤投げにおいては、円盤を投げるときのパワーの大小が、選手の回転が速さに影響を受けるものなので、投擲パワーの蓄積レベルが増大することに応じて投擲マークの回転速度が増大されるように表示させることは、当業者が適宜設計し得る事項である。 円盤投げは、円盤を所定の有効範囲内に投擲させる競技であって、当該有効範囲内に円盤を投擲できるかどうかは、円盤を投げる位置に影響を受けるものなので、投擲体キャラクタを有効範囲内に投擲させるための投擲エリアを規定することは、当業者が適宜設計し得る事項である。 そして、引用文献2の図6?14における処理、特に、図9におけるS22?S27の処理、及び、上記「第4.2」に示した記載事項2-2からわかるように、引用文献2には、選手キャラクタが回転しならが、投擲体を投擲するゲームにおいて、本願発明の「他の操作手段」に相当する投擲角度を設定するためのボタンである第2ボタンが、押された時点において、投擲方位が決定する発明が記載されており、当該発明における投擲方位の決定手法を引用発明に採用して、他の操作部材が操作されることで当該投擲マークの回転移動が停止されるように表示させることは、当業者が適宜設計し得る事項である。 上記「第4.2」に示した記載事項2-1の記載からわかるように、引用文献2には、選手キャラクタが回転しならが、投擲体を投擲するゲームにおいて、最大許容回転数を設定する発明が記載されており、当該発明における最大許容回転数の設定を引用発明に採用して、投擲マークが最大許容回転数内にあるときにガイド表示させることは、当業者が適宜設計し得る事項である。 ・相違点3について 上記「相違点2について」で検討したとおり、選手キャラクタに付随してガイド表示領域を設けることは当業者が容易になし得ることである。 そして、引用発明において、レベル表示領域、及び、角度表示領域が選手キャラクタに近接して設定されていることを考えれば、ガイド表示領域を設けるにあたって、レベル表示領域、及び、角度表示領域と近接するように配置することは、当業者が適宜設計し得る事項にすぎない。 してみれば、上記相違点3に係る本願発明の構成のようにすることは、当業者が容易に想到し得ることである。 ・相違点4について 上記「相違点2について」で検討したとおり、引用文献2には、選手キャラクタが回転しならが、投擲体を投擲するゲームにおいて、本願発明の「他の操作手段」に相当する投擲角度を設定するためのボタンである第2ボタンが、押された時点において、投擲方位が決定する発明が記載されているので、当該発明における投擲方位の決定手法を引用発明に採用して、他の操作部材が操作されることで当該投擲マークの回転移動が停止されるように表示させるようにし、投擲マークが投擲エリア内にある場合に投擲体キャラクタを有効範囲内に投擲することは、当業者が適宜設計し得る事項である。 してみれば、上記相違点4に係る本願発明の構成のようにすることは、当業者が容易に想到し得ることである。 ・効果について 本願発明の効果が、引用発明、引用文献1及び2に記載された発明、ならびに、周知の事項の各効果の総和以上の格別なものとは認められない。 ・まとめ したがって、本願発明は、引用発明、引用文献1及び2に記載された発明、ならびに、周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第7.むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明、引用文献1及び2に記載された発明、ならびに、周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、当審の拒絶理由通知に示した特許法第36条第4項ならびに第6項第1号及び第2号についての理由を検討するまでもなく、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2006-11-15 |
結審通知日 | 2006-11-21 |
審決日 | 2006-12-07 |
出願番号 | 特願2000-11021(P2000-11021) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(A63F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 武田 悟 |
特許庁審判長 |
中村 和夫 |
特許庁審判官 |
宮本 昭彦 塩崎 進 |
発明の名称 | ビデオゲーム装置、ビデオゲームにおける投擲ガイド表示方法及び投擲ガイド表示プログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体 |
代理人 | 小谷 悦司 |
代理人 | 樋口 次郎 |
代理人 | 伊藤 孝夫 |