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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B60P
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 B60P
管理番号 1151236
審判番号 不服2003-14495  
総通号数 87 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1998-05-19 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-06-24 
確定日 2007-02-13 
事件の表示 平成 8年特許願第320651号「交通機関積載物重量自己表示機」拒絶査定不服審判事件〔平成10年 5月19日出願公開、特開平10-129338〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 【1】手続の経緯
本願は、平成8年10月28日の出願であって、原審において、平成15年5月22日付けで拒絶査定がなされたが、これを不服として、同年6月24日に本件審判請求がなされるとともに、同日付けで手続補正がなされたものである。

【2】平成15年6月24日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成15年6月24日付けの手続補正を却下する。

[補正却下の決定の理由]
1.手続補正後の請求項2に係る発明
本件手続補正により、特許請求の範囲の請求項2は以下のように補正された。
「交通機関に積載されている荷物の重量を計測し 外部の第三者に自己表示、外部の第三者には 交通機関の外壁等に投影する方式等、
又は 窓ガラス内より表示、窓ガラス内より投影する方式等、
又は 天井の上部に表示機を搭載する方式、
又は プライバシーの問題があるのなら警察官等や関係者だけに 積載重量の内容を取り出す事が出来る方式、有線 無線 音波 磁気 光等の通信、
又は 警察官等や関係者だけに分かる表示方式。」(以下、「本願補正発明」という。)
なお、平成15年6月24日付けの手続補正書には、請求項2として、
「交通機関に積載されている荷物の重量を計測し 外部の第三者に自己表示、外部の第三者には 交通機関の外壁等に投影する方式等、
又は 窓ガラス内より表示、窓ガラス内より投影する方式等で表示する、
又は 天井の上部に表示機を搭載する方式、
又は プライバシーの問題があるのなら警察官等や関係者だけに 積載重量の内容を取り出す事が出来る方式、有線 無線 音波 磁気 光等の通信、
又は 警察官等や関係者だけに分かる表示方式にする。」
と記載されているが、本願の発明の詳細な説明や図面の簡単な説明等をも参酌すれば、補正後の請求項2に係る発明は、交通機関に積載されている荷物の重量を表示する「方式」乃至は「方式等」が択一的に記載されたものと認められるから、上記のように認定した。

上記補正は、補正前の請求項2に択一的に記載されていた「外壁等に表示機を組込む方式」の構成を削除するものであり、特許法第17条の2第4項第2号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。
そこで、上記本願補正発明が、平成15年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項に規定する独立特許要件を備えているかどうかについて、以下に検討する。

2.引用例とその記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された、本件特許出願前に日本国内において頒布された刊行物である、実願平5-41941号(実開平7-5918号)のCD-ROM(以下、「引用例」という。)には、図面とともに次の事項(イ)?(ヘ)が記載されている。
(イ)「【請求項1】 車輌本体の後部に荷台を載設した車輌において、該車輌の前記車輌本体後部上面と前記荷台底面間に荷台載置重量を測定し得る重量測定装置を設けると共に、車輌適所に前記重量測定装置の測定結果を表示し得る少なくとも1以上の表示器を設けた事を特徴とする重量測定装置付車輌。」(実用新案登録請求の範囲請求項1)
(ロ)「【従来の技術】
近年、産業の発展と共にますます多くの荷物運搬用トラック等の車輌が走行するようになっているが、特に業務用などの場合、企業側や雇用者側ともに、営利を追求したり早期に業務を終了させようとするがために制限速度を守らなかったり、積載重量を超過したりするなどの違法行為を続発する傾向があり、これらが大きな社会問題となっている。」(段落[0002])
(ハ)「【考案が解決しようとする課題】
本考案は、上記のような実情に鑑みて成されたものであり、荷台に積載される荷物の荷重を必要に応じて表示することにより、使用者および運転者の過剰積載の防止に対する自覚を促すと共に、過重積載の取締をも容易にし、安全性が高く精神的にも安定した運転を行い得る重量測定装置付車輌を提供する事を目的とするものである。」(段落[0009])
(ニ)「【実施例】
図1および図2は、本考案の重量測定装置付車輌の一実施例を示したものであり、該車輌は、車輌本体1の後部に荷台2を載設しており、該荷台2には、荷台側壁3が設けられている。
而して、該車輌の前記車輌本体1の後部上面と前記荷台2の底面間には、荷台載置重量を測定し得る重量測定装置4が設けられており、車輌本体1の後部には前記重量測定装置4の測定結果を表示し得るメモリ表示器5と演算表示器6が設けられている。」(段落[0015]?[0016])
(ホ)「前記メモリ表示器5及び演算表示器6等の表示器は、デジタル式の表示器であっても、指示針などを用いたアナログ式の表示器であってもよく、その選択は任意である。」(段落[0022])
(ヘ)図1には、車輌後部の荷台2の側面にメモリ表示器5と演算表示器6が設けられた車輌が記載されている。

上記記載事項から、引用例には、「トラック等の車輌に積載されている荷物の重量を計測し その計測結果を外部の第三者に表示するために、車輌後部の荷台側面等の車輌適所に表示器を設ける方式等」の発明(以下、「引用発明」という)が開示されていると認めることができる。

3.本願補正発明と引用発明の対比・判断
(1)本願補正発明として択一的に含まれる発明のうち、「交通機関に積載されている荷物の重量を計測し 外部の第三者に自己表示、外部の第三者には 交通機関の外壁等に投影する方式等」の発明(以下、「本願補正発明1」という)と上記引用発明とを対比すると、引用発明の「トラック等の車輌」は本願補正発明1の「交通機関」に相当し、引用発明の「車輌後部の荷台側面」が「車輌の外壁」であることは明らかだから、本願補正発明1の「交通機関の外壁等」に相当する。そして、引用発明の「表示器を設ける方式」も本願補正発明1の「投影する方式」も、「表示する方式」である点では一致するから、本願補正発明1と引用発明の一致点、相違点は以下のとおりである。
<一致点>
「交通機関に積載されている荷物の重量を計測し 外部の第三者に自己表示、外部の第三者には 交通機関の外壁等に表示する方式等」である点。
<相違点>
交通機関の外壁等に「表示する方式等」が、本願補正発明1は「投影する方式等」であるのに対して、引用発明は「表示器を設ける方式等」である点。

(2)そこで、上記相違点について検討すると、画像などを投影する表示方式は従前周知の技術であり、上記引用例の記載事項(ホ)に示されたデジタル式の表示器や指示針などを用いたアナログ式の表示器のような表示器を用いる方式とするか、上記周知の画像などを投影して表示する方式とするかは、当業者の必要に応じて適宜選択し得た事項にすぎない。
また、本願補正発明1が奏する作用効果も、上記引用発明及び上記周知の技術から予測される程度以上のものでもない。

したがって、本願補正発明1は、引用発明及び上記周知の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願補正発明1を択一的に含む本願補正発明は、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

4.むすび
以上のとおり、本願補正発明は、その特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、本件手続補正は、平成15年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に違反するものである。
したがって、本件手続補正は、特許法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

【3】本願発明について
1.本願発明
平成15年6月24日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1?4の各請求項は、平成15年3月12日付けの手続補正書によって補正されたものとなったが、そのうち請求項2に係る発明は次のとおりのものである。
「交通機関に積載されている荷物の重量を計測し 外部の第三者に自己表示、外部の第三者には 交通機関の外壁等に表示機を組込む方式、
又は 外壁等に投影する方式等、
又は 窓ガラス内より表示、窓ガラス内より投影する方式等、
又は 天井の上部に表示機を搭載する方式、
又は プライバシーの問題があるのなら警察官等や関係者だけに 積載重量の内容を取り出す事が出来る方式、有線 無線 音波 磁気 光等の通信、
又は 警察官等や関係者だけに分かる表示方式。」(以下、「本願発明」という。)
なお、【2】1.における本願補正発明の認定と同様、本願の発明の詳細な説明や図面の簡単な説明等をも参酌すれば、この補正後の請求項2に係る発明は、交通機関に積載されている荷物の重量を表示する「方式」乃至は「方式等」が択一的に記載されたものと認められるから、上記のように認定した。

2.引用例とその記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用例とその記載事項は、上記【2】2.に記載したとおりである。

3.対比・判断
本願発明は、上記【2】で検討した本願補正発明に、「交通機関に積載されている荷物の重量を計測し 外部の第三者に自己表示、外部の第三者には 交通機関の外壁等に表示機を組込む方式」の構成を択一的に付加したものに相当する。
そうすると、本願発明は、本願補正発明に上記付加した構成により特定される発明をさらに択一的に含んだものにすぎず、本願発明も本願補正発明も、上記本願補正発明1を択一的に含むものであることに変わりはない。
そうであれば、本願補正発明1を択一的に含む本願補正発明が、上記【2】3.で検討したとおり、上記引用例及び上記周知の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、上記引用例及び上記周知の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

【4】むすび
したがって、本願発明(請求項2に係る発明)は、上記引用例及び上記周知の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、このような特許を受けることができない発明を包含する本願は、請求項1,3,4に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-03-01 
結審通知日 2006-03-07 
審決日 2006-03-22 
出願番号 特願平8-320651
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B60P)
P 1 8・ 575- Z (B60P)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 島田 信一  
特許庁審判長 鈴木 久雄
特許庁審判官 柴沼 雅樹
ぬで島 慎二
発明の名称 交通機関積載物重量自己表示機  

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