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審決分類 審判 判定 審理一般(別表) 属さない(申立て不成立) H04N
管理番号 1151669
判定請求番号 判定2006-60057  
総通号数 87 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許判定公報 
発行日 1989-09-04 
種別 判定 
判定請求日 2006-10-27 
確定日 2007-02-21 
事件の表示 上記当事者間の特許第1734906号の判定請求事件について、次のとおり判定する。 
結論 イ号物件図面及びイ号物件説明書に示す「監視システム」は、特許第1734906号の請求項1に係る発明の技術的範囲に属しない。 
理由
第一 請求の趣旨

本件求めは、イ号物件図面及びイ号物件説明書に示す「監視システム」は、 特許第1734906号の請求項1に係る発明の技術的範囲に属する、との判定を求めるものである。

第二 本件特許発明

本件特許(第1734906号、名称:閉回路テレビジョン装置、請求項の数:3)の請求項1に係る発明(本件特許発明)は、願書に添付した明細書及び図面(本件明細書、特公平4-21394号公報(本件公告公報)参照)の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された下記のとおりのものと認める。なお、請求書の記載に従い、本件特許発明を、便宜上、各構成要件(A?E)に分説する。
記(本件特許発明)
(A)ビデオ信号を発生する遠隔制御可能のテレビジヨンカメラおよび該テレビジヨンカメラに割り当てられたカメラコードに対応する第1のコード信号を発生するコード信号発生回路を備える複数の送信手段と、
(B)前記ビデオ信号を受信し、該ビデオ信号に対応する画像を再生する受信手段と、
(C)前記テレビジヨンカメラを制御するための制御手段であつて前記第1のコード信号を受信し、該第1のコード信号に対応する第2のコード信号と前記テレビジヨンカメラを制御する制御信号とを発生し、これを伝送する制御手段と、
(D)該制御手段および前記受信手段に接続すべき前記送信手段を選択する切換手段とを含む閉回路テレビジヨン装置であつて、
(E)前記送信手段は、前記制御手段から伝送される前記第2のコード信号および前記制御信号を受信し、前記第1のコード信号に対応するコードと前記第2のコード信号に対応するコードとが一致しているとき、受信した前記制御信号を基に前記テレビジヨンカメラを作動させる駆動回路をさらに備える、閉回路テレビジヨン装置。

第三 イ号物件

1.請求人(求め)
請求人が判定を求めているイ号物件は、イ号物件図面、イ号物件説明書、及びイ号物件説明書に添付した資料1(ネットワークカメラ総合カタログ)によれば、次のとおりである。

(a)3台のネットワークカメラと、5台のパソコンと、4つのスイッチングHUBとを備え、ネットワークカメラ、パソコン及びスイッチングHUBをイーサネットに接続した監視システムである。
(b)ネットワークカメラは、品名を「ネットワークカメラ」とし、機種名を「VN-C30」とするカメラである。(なお、同カメラに関して、資料1には、「高性能1/4型CCDを採用し、15倍ズームレンズとパン/チルト機能装備の高速回転台をコンパクトに一体化しました。」、「ズームレンズと回転台のパン/チルト動作は全てネットワーク経由で制御可能です。」、「イーサネット端子に接続するだけでインターネットへの映像配信が可能なWebサーバー機能を内蔵する」、「インターネットで公開する場合、固定(グローバル)IPアドレスが必要です。」、「カメラ/表示が可能な専用ソフトウエア」などの記載が見える。)
(c)ネットワークカメラは、倍率の変更、垂直運動及び水平運動をすることができる。
(d)各パソコンには、少なくともネットワークカメラを制御するためのソフトウエア、ネットワークカメラからの画像信号及び各種のコード、ネットワークカメラに送信する各種のコード及び制御信号等を処理するためのソフトウエア(上記専用ソフトウエア)がインストールされており、画像信号を受信し該画像信号に対応する画像を再生する。
(e)各スイッチングHUBは、接続すべきネットワークカメラ及びパソコンを切り換える。
(f)各ネットワークカメラは、画像信号並びにネットワークカメラに割り当てられたIPアドレス及びMACアドレスを発生し、それらを送信元のIPアドレス及びMACアドレスとして、イーサネット及びスイッチングHUBを介してパソコンに送信する。
(g)各パソコンは、ネットワークカメラから送信された送信元のIPアドレス及びMACアドレスを受信し、受信した送信元のIPアドレス及びMACアドレスを宛先のIPアドレス及びMACアドレスとして、当該パソコンに割り当てられたIPアドレス及びMACアドレスを送信元IPアドレス及び送信元MACアドレスとして、ネットワークカメラを制御する制御信号と共に、スイッチングHUB及びネットワークを介してネットワークカメラに送信し、それによりネットワークカメラを制御する。
(h)ネットワークカメラは、また、パソコンから伝送される各アドレス及び制御信号を受信し、受信した宛先アドレス又はMACアドレスが当該ネットワークカメラに割り当てられたIPアドレス又はMACアドレスに一致したとき、受信した制御信号を基に回転台又は倍率を制御する。

2.被請求人(答弁)
(a)請求人はネットワークカメラ(VN-C30)とその付属ソフトウエアを製造・販売しているに過ぎず、パソコン、スイッチングHUB、ネットワークケーブルなどは販売をしていない。
本件判定に係るイ号物件(監視システム)は、被請求人の製品(ネットワークカメラと付属ソフトウエア)を一部含むものの、被請求人が販売・製造していないパソコン、スイッチングHUB、ネットワークケーブルなどをも含むシステム全体に係るものである。イ号物件図面(総合カタログの図)は被請求人の製品を使用した監視カメラシステムの構築例を示したもので、かかる構築例自体を被請求人が製造・販売しているわけではない。
(b)判定は、本来、製造・販売をする製品をイ号物件とすべきである。本件求めは、被請求人が製造・販売していないものをイ号物件としており、妥当ではない。
(c)被請求人が製造・販売する製品(ネットワークカメラ(VN-C30)と付属ソフトウエア)が本件特許発明に属しないことは勿論である。ただ、同製品が間接侵害を構成するものであるか否かを判断する上では、イ号物件(監視システム)を本件特許発明と対比する必要がある。

第四 当審の判断

イ号物件につき前記のような答弁があるが、ひとまず、請求人が求めるとおりとしておき、先に検討を進める。
また、ネットワークカメラのアドレス(IP及びMAC)が本件特許発明の「第1のコード信号」に相当し、パソコンからの宛先アドレス(IP及びMAC)が本件特許発明の「第2のコード信号」に相当するか否かの議論をひとまず措き、仮に、各々相当するとして以下検討をする。

1.構成(D)の充足性
構成(D)の要点は、「該制御手段および前記受信手段に接続すべき前記送信手段を選択する切換手段」と言うものである。

(a)本件明細書(本件公告公報第9欄30行?38行)及び図面(第1図)に照らせば、切換装置18が送信装置12aを選択している場合において、制御装置14が送信装置12bに対応する第2のコード信号と制御信号を伝送したとしても、切換装置18が送信手段12b側を選択するように切り換えることはなく、当該第2のコード信号と制御信号はそのまま既に選択されている送信装置12aに伝送される。このように、本件特許発明の切換手段の「選択する」は、第2のコード信号の存在またはその内容とは関係なく、別途行われるものである。
(b)他方、イ号物件では、スイッチングHUB(3台のパソコン、1台のネットワークカメラ、およびスイッチングHUBが接続されているスイッチングHUB)が、パソコン(3台のうち何れか)からの宛先としてネットワークカメラ(1台)側を選択している場合において、パソコン(3台のうち何れか)がネットワークカメラ(2台)を宛先アドレスとする制御信号を伝送したときは、当該スイッチングHUBは、出力を既に選択されているネットワークカメラ(1台)側からスイッチングHUB側を選択するように切り換える。このように、イ号物件のスイッチングHUBの「選択する」は、第2のコード信号の存在を前提としてその内容に基づいて行われるものである。
(c)イ号物件は、「選択する」動作を起動する要因において、本件特許発明と異なっている。
イ号物件は、「該制御手段および前記受信手段に接続すべき前記送信手段を選択する切換手段」との構成を欠いている。

2.構成(E)の充足性
構成(E)の要点は、送信手段は、「第2のコード信号および制御信号を受信し」、「第1のコード信号に対応するコードと第2のコード信号に対応するコードとが一致しているとき」、「受信した制御信号を基にテレビジヨンカメラを作動させる」と言うものである。

(1)「一致しているとき」(比較の対象)
(a)構成(E)の「第1のコード信号に対応するコードと第2のコード信号に対応するコードとが一致しているとき」との判定は、「第1のコード信号に対応するコード」と「第2のコード信号に対応するコード」とを比較するものである。ここで、「第1のコード信号に対応するコード」は「カメラコード」のことであり、「第1のコード信号に対応するコード」と「第1のコード信号」とが異なるもの(信号、コード)であることは、本件明細書の記載(本件公告公報第10欄12行?18行)に照らして明らかである。
(b)他方、イ号物件は、ネットワークカメラのアドレス(IP及びMAC)とパソコンからの宛先アドレス(IP及びMAC)とを比較し、ネットワークカメラのアドレス(IP及びMAC)とパソコンからの宛先アドレス(IP及びMAC)とが一致しているとき、を判定するものである。
そうすると、イ号物件は、「第1のコード信号と第2のコード信号とが一致しているとき」を判定するものであり、本件特許発明のように「第1のコード信号に対応するコードと第2のコード信号に対応するコードとが一致しているとき」を判定するものではない。
(c)イ号物件は、「一致しているとき」を判定する対象において、本件特許発明と異なっている。
イ号物件は、「第1のコード信号に対応するコードと第2のコード信号に対応するコードとが一致しているとき」との構成を欠いている。

(2)「一致しているとき」(比較の目的)
イ号物件が「第1のコード信号に対応するコードと第2のコード信号に対応するコードとが一致しているとき」との構成を欠いていることは前記のとおりであるが、仮に、「第1のコード信号に対応するコードと第2のコード信号に対応するコードとが一致しているとき」との構成(以下、短く「一致しているとき」という)を備えるとして以下さらに検討する。
(a)構成(E)は、「一致しているとき」との判定をした後、「受信した制御信号を基にテレビジョンカメラを作動させる」。すなわち、上記判定は、「テレビジョンカメラを作動させる」ためにするものである。
そして、本件明細書の記載(本件公告公報第2欄21行?第3欄33行参照)によれば、本件特許発明は、2つ切換スイッチ(ビデオ信号用、制御信号用)を備える従来の閉回路テレビジョンシステムでは、両スイッチが連動して作動しない場合、独立的に操作する場合などにおいて、意図しないテレビジョンカメラを制御装置に接続する操作エラーを招くことが多くあったとの課題を解決するために、モニタに受信されているビデオ信号を送信しているテレビジョンカメラだけを誤操作なしに遠隔制御することを目的とするものであるところ、「一致しているとき」との判定は、本件特許発明の上記目的を達成するためのものである。
(b)ところで、刊行物「岩橋努「IP通信技術テキスト」、日本理工出版会、2005年4月20日」には、以下の記載がある。(なお、この刊行物の抜粋の写しは、本件請求人を被請求人とし本件被請求人を請求人とする別件判定(判定2006-60046号)の請求書に添付された甲第7号証であるところ、同請求書の副本は本件請求時に本件請求人に既に送達されており、同写しの内容は本件請求時に本件請求人の知るところとなっている。)
「インターネットを介してLAN上にあるコンピュータ同士で通信を行う場合は、LANのアドレスであるMAC(Media Access Control)アドレスが必要になる。図1.9にMACフレームのフォーマットを示す(LANおよびMACについては第5章で詳しく述べる)。MACフレームは、LAN上で図に示したようにヘッダ部に、各々6バイト=48ビット長さのDA(Destination MAC Address)とSA(Source MAC Address)が付与されて、データを運ぶ構造になっており、LAN上のコンピュータはこのDAを見て自分宛てだと知るとデータを受信し、それ以外では無視するという単純な方法で通信を実行している。」(第10頁)
(c)上記記載によれば、LAN上にあるコンピュータ同士は、ヘッダ部に宛先MACアドレスと送信元MACアドレスを付与してデータを運ぶ構造(MACフレーム)を採用し、LAN上のコンピュータは宛先MACアドレスを見て自分宛てだと知るとデータを受信し、それ以外では無視するという方法で通信を実行していることが認められる。すなわち、LAN上のコンピュータは、まず、自分宛のデータであること知るためにデータを「受信する」(宛先参照)。そして、「他のコンピュータからの宛先MACアドレスが自らのMACアドレスに一致しているとき」を判定した後において(自分宛てだと知ると)、データを「受信する」(取り込む)ことが認められる。
(d)イ号物件のイーサネットも上記(b)のようなLAN構成であることから、同様に、ネットワークカメラは「パソコンからの宛先MACアドレスが自らのMACアドレスに一致しているとき」を判定した後においてデータを「受信する」(取り込む)ことが認められる。すなわち、イ号物件の上記判定は、「データを受信する(取り込む)」ためにするものである。
そして、「データを受信する(取り込む)」ためにする判定は、むしろ、イ号物件(監視システム)中に採用した汎用の伝送路(イーサネット)に帰属する同ネット側の通常機能というべきもので、監視システムに特有の機能であるとはいえない。したがって、監視システムに特化された目的を達成するものではない。
(e)そうすると、本件特許発明では、「テレビジョンカメラを作動させる」ために「一致しているとき」を判定しているのに対して、イ号物件では、「データを受信する(取り込む)」ために「一致しているとき」を判定していることが認められる。
(f)イ号物件は、「一致しているとき」を判定する目的において、本件特許発明とは異なっている。
イ号物件は、「第1のコード信号に対応するコードと第2のコード信号に対応するコードとが一致しているとき」との構成を欠いている。

3.まとめ
以上によれば、イ号物件は、少なくとも、本件特許発明の構成要件(D)、(E)を具えておらず、本件特許発明の技術的範囲に属するとすることはできない。

第五 むすび

以上、イ号物件は、本件特許の請求項1に係る発明の技術的範囲に属しない。
よって、結論のとおり判定する。
 
判定日 2007-02-09 
出願番号 特願昭63-44543
審決分類 P 1 2・ 0- ZB (H04N)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 新宮 佳典
特許庁審判官 原 光明
乾 雅浩
登録日 1993-02-17 
登録番号 特許第1734906号(P1734906)
発明の名称 閉回路テレビジヨン装置  
代理人 二瓶 正敬  
代理人 松永 宣行  
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