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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G09B |
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管理番号 | 1156261 |
審判番号 | 不服2004-17607 |
総通号数 | 90 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2007-06-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2004-08-26 |
確定日 | 2007-04-19 |
事件の表示 | 平成 8年特許願第320004号「ナビゲーション装置」拒絶査定不服審判事件〔平成10年 6月19日出願公開、特開平10-161534〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は平成8年11月29日の出願であって、平成16年7月15日付けで拒絶の査定がされたため、これを不服として同年8月26日付けで本件審判請求がされるとともに、同日付で明細書についての手続補正がされたものである。 第2 補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 平成16年8月26日付けの手続補正を却下する。 [理由] 本件補正は、補正前請求項1及び段落【0009】の「現在位置がインターネットのURLに関連付けられた所定の位置に接近すると、前記所定の位置に関連するインターネットのURLに接続して情報を入手する通信手段」を「現在位置がインターネットのURLに関連付けられた所定の位置に接近すると前記所定の位置に関連するインターネットのURLに接続して情報を入手する通信手段」と補正、すなわち補正前にあった読点を削除するものである。 上記補正が、請求項削除(特許法17条の2第4項1号)又は特許請求の範囲の減縮(同項2号)の何れにも該当しないことは一見して明らかである。 補正前の読点が誤記であると解さねばならない理由はないから、誤記の訂正(同項3号)にも該当しない。 補正前の読点が、記載を不明りようにしていると解すべき理由もないから、明りようでない記載の釈明(同項4号)にも該当しない。そればかりか、読点がない方がより明りようであると仮にしても、補正前の記載が不明りようである旨の拒絶理由は通知されておらず、請求人が勝手に釈明することを特許法は許容していない。 以上によれば、本件補正は特許法17条の2第4項の規定に違反している。 [補正の却下の決定のむすび] 本件補正は特許法17条の2第4項の規定に違反しているから、同法159条1項で読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下されなければならない。 よって、補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本件審判請求についての判断 1.本願発明の認定 本件補正が却下されたから、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成16年2月2日付け手続補正により補正された明細書の特許請求の範囲【請求項1】に記載された事項によって特定される次のとおりのものと認める。なお、本件補正は、第2で述べたとおり読点を削除するだけであるから、仮に本件補正を却下しないとしても、実質的に認定する発明は変わらない。 「現在位置がインターネットのURLに関連付けられた所定の位置に接近すると、前記所定の位置に関連するインターネットのURLに接続して情報を入手する通信手段を備えることを特徴とするナビゲーション装置。」 2.引用刊行物記載の発明の認定 原査定の拒絶の理由に引用された特開平7-181053号公報(以下「引用例1」という。)には、次のア及びイの記載が図示とともにある。 ア.「第1の記録媒体から所定の地図情報を再生する再生手段と、前記地図情報を表示する表示手段と、前記地図情報内の任意の地点を指定する指示手段とを備え、前記再生手段は前記指示手段により任意の地点が指定されるとその地点に関する観光案内等のサービス情報を前記第1の記録媒体から再生し、出発地から目的地までの間の地図情報と任意地点に関する観光案内等のサービス情報他を設定ルートとして第2の記録媒体に所定のフォーマットで記録する記録再生手段とで構成された移動体用ディスク記録再生装置であって、移動体の走行開始時に前記設定ルートによるルート案内が指定されると前記記録再生手段は前記第2の記録媒体から地図情報を再生し、前記指定された任意地点に近づくとその地点に関する観光案内等のサービス情報他を前記表示装置に表示することを特徴とする移動体用ディスク記録再生装置。」(【請求項4】) イ.「本発明は、例えば、移動体のナビゲーションに必要な種々の情報信号をディスク等の記録媒体に記録再生するディスク記録再生装置に関するものである。」(段落【0001】) 記載アの「移動体用ディスク記録再生装置」は、記載イのとおり、移動体のナビゲーションに用いられるものであるから、引用例1には「ナビゲーション装置」として次のような発明が記載されていると認めることができる。 「移動体の走行開始時に設定ルートによるルート案内が指定されると記録媒体から地図情報を再生し、指定された任意地点に近づくとその地点に関する観光案内等のサービス情報他を表示装置に表示するディスク記録再生装置を備えたナビゲーション装置。」(以下「引用発明1」という。) 3.本願発明と引用発明1との一致点及び相違点の認定 引用発明1では「指定された任意地点に近づくとその地点に関する観光案内等のサービス情報他を表示装置に表示する」のだから、本願発明でいう「現在位置」を取得している。そして、引用発明1の「指定された任意地点」は本願発明の「所定の位置」に相当し、引用発明1の「指定された任意地点に近づくと」と本願発明の「現在位置が所定の位置に接近すると」に相違はない。 引用発明1の「その地点に関する観光案内等のサービス情報他」は本願発明の「前記所定の位置に関連する情報」と異ならず、引用発明1では、そのような情報は「ディスク記録再生装置」に既に記憶されていると解されるから、そのような「情報を入手する」とはいえないけれども、「情報にアクセスする」との限度では本願発明の「情報を入手する」と異ならない。 したがって、本願発明と引用発明1とは、 「現在位置が所定の位置に接近すると、前記所定の位置に関連する情報にアクセスする手段を備えるナビゲーション装置。」である点で一致し、 〈相違点1〉本願発明の「所定の位置」は「インターネットのURLに関連付けられた所定の位置」であり、本願発明が「前記所定の位置に関連するインターネットのURLに接続して情報を入手する通信手段を備える」のに対し、引用発明1は上記の意味での通信手段を有するとはいえず、「所定の位置」はインターネットのURLとは関係がない点。 4.相違点についての判断及び本願発明の進歩性の判断 原査定の拒絶の理由に引用された国際公開第96/29835号パンフレット(以下「引用例2」という。)には、「図9は、本発明によって実現される地域型情報サービスの概要を表す。この例は、日本のJRや営団地下鉄等の各駅における情報サービスを想定したものである。まず、携帯端末200を所持するユーザが、電車や徒歩などの移動により、情報サービスの行われているA駅(サービスセンタ100)に近づくとする。この時、A駅から情報配信のトリガーとなる信号が発せられ、これに応じてユーザの所有する端末に様々な情報(情報オブジェクト500)が送信される。この場合A駅が提供する情報サービスとして「時刻表」サービスと「乗り換え情報」サービスがある。」(20頁4?11行)との記載がある。 ここに記載の「携帯端末」を「ナビゲーション装置」と同視することはできないかもしれないが、「情報サービスの行われているA駅」として例示される地点は、本願発明及び引用発明1の「所定の位置」と格別異ならず、「様々な情報」は「所定の位置に関連する情報」と異ならない。そして、引用例2には、所定の位置に接近した際に、所定の位置に関連する情報を、携帯端末から見れば外部から入手する技術が記載されている。 引用発明1は、「所定の位置に関連する情報」を外部から入手するのではないから、当然その情報は頻繁に更新されるものではなく、大量の情報を記憶するためには大容量の記憶媒体が必要である。これに対し、「所定の位置に関連する情報」を外部から入手するのであれば、情報は頻繁に更新され、観光案内情報に限っても、期間限定の催し情報などを加えることができるから、「所定の位置に関連する情報」を充実させ、その価値を高めることができるし、大容量の記憶媒体も必要ではなくなる。そうである以上、引用発明1を出発点として、「所定の位置に関連する情報」を外部から入手することは当業者にとって想到容易といわなければならない。 「所定の位置に関連する情報」を外部から入手するとしても、その具体的手段は様々であるが、本件出願当時には、インターネットが相当程度普及し、各種ウェブサイトが観光案内情報を含む各種情報をインターネットで提供しており、移動端末からもアクセス可能な状況にあった。そうでなければ、そもそも本願発明が成立しない。 そうであれば、「所定の位置に関連する情報」を外部から入手するに当たり、同情報をインターネットを介して入手することは設計事項というべきであり、インターネットを介して入手するためにはURLを特定し、そのURLに接続する通信手段がなければならないから、「所定の位置」を「インターネットのURLに関連付けられた所定の位置」とし、「前記所定の位置に関連するインターネットのURLに接続して情報を入手する通信手段を備える」ことは必然的な帰結にすぎない。 以上のとおりであるから、相違点に係る本願発明の発明特定事項を採用することは当業者にとって想到容易であり、同発明特定事項を採用したことによる格別の作用効果を認めることもできない。 したがって、本願発明は引用発明1、引用例2記載の技術及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 第3 むすび 本件補正は却下されなければならず、本願発明が特許を受けることができない以上、本願のその余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶を免れない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2007-02-14 |
結審通知日 | 2007-02-20 |
審決日 | 2007-03-06 |
出願番号 | 特願平8-320004 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G09B)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 高橋 学、根本 徳子、長馬 望 |
特許庁審判長 |
津田 俊明 |
特許庁審判官 |
藤井 勲 長島 和子 |
発明の名称 | ナビゲーション装置 |
代理人 | 村山 光威 |