• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
無効200680135 審決 特許
無効200680027 審決 特許
無効200680280 審決 特許
無効200680214 審決 特許
無効200580340 審決 特許

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部無効 2項進歩性  A63F
管理番号 1157116
審判番号 無効2006-80182  
総通号数 90 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-06-29 
種別 無効の審決 
審判請求日 2006-09-12 
確定日 2007-05-07 
事件の表示 上記当事者間の特許第3733256号発明「スロットマシン」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第3733256号の請求項1ないし4に係る発明についての特許を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。 
理由 1.手続の経緯
本件特許第3733256号の請求項1ないし4に係る発明は、平成11年1月21日に特願平11-13298号として出願され、平成17年10月21日にその設定登録がなされ、これに対して平成18年9月12日に北口智英より本件無効審判の請求がなされ、平成18年9月28日付けで被請求人に対して答弁が指令され、これに対して被請求人からその指定期間内に何らの応答もなかったものである。

2.当事者の求めた審判
(1)請求人の主張
請求人は、本件特許第3733256号の特許を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由として、下記甲第1ないし21号証を提出して、本件請求項1ないし4に係る発明は、その出願日以前に公知の下記甲第1ないし20号証に記載の発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、本件請求項1ないし4に係る発明は特許法第123条第1項第2号の規定により無効とされるべきものであると主張する。

甲第1号証:特開昭59-186580号公報
甲第2号証:実願昭60-74971号(実開昭61-191081号)のマイクロフィルム
甲第3号証:特開平1-238888号公報
甲第4号証:特開平2-232084号公報
甲第5号証:特開平6-114140号公報
甲第6号証:特開平6-238035号公報
甲第7号証:特開平8-252356号公報
甲第8号証:特開平9-99137号公報
甲第9号証:特開平4-220275号公報
甲第10号証:特開平7-194846号公報
甲第11号証:特開平9-741号公報
甲第12号証:特開昭62-127086号公報
甲第13号証:実用新案登録第3053682号公報
甲第14号証:パチスロ入門 勝利への扉、必勝パチスロファンVOL.25(パチンコファン増刊7月号)、第75頁-第79頁、平成6年発行
甲第15号証:特開平10-15154号公報
甲第16号証:特開平5-7642号公報
甲第17号証:特開平9-253274号公報
甲第18号証:特開平7-328179号公報
甲第19号証:特開平9-192296号公報
甲第20号証:特開平8-298042号公報
甲第21号証:特許第3733256号公報(本件特許公報)

(2)被請求人の主張
被請求人は、前記1.手続の経緯で示したように、請求人の主張に対して何らの反論もしていない。

3.本件発明
本件特許第3733256号の請求項1ないし4に係る発明は、特許明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された次のとおりのものである。
【請求項1】「複数種の図柄を順次移動させて表示する複数の図柄表示手段と、これら複数の図柄表示手段を始動させる始動操作具と、始動後の各図柄表示手段をそれぞれ停止させる複数の停止操作具と、ゲームの進行状態を検出しながら制御する制御手段と、入賞ライン上に停止した前記図柄表示手段の図柄配列に基いて入賞の成否を判別する判別手段と、前記入賞ライン上に停止する前記図柄表示手段の図柄配列を抽選する抽選手段とを備えたスロットマシンであって、
ゲームの進行に連れて特定の状態にあるとき、前記制御手段からの制御信号に基いて、遊技者が触れることが可能な部位を振動させるための振動装置を作動するように構成し、
前記特定の状態が、前記始動操作具によって複数の図柄表示手段を始動させた時点から、前記抽選手段によって特典ゲーム又は特別ゲームへ移行する図柄配列が選出され、停止操作具によって少なくとも一つの図柄表示手段を停止させた時点までの間と、
前記判別手段によって、前記入賞ライン上に停止した図柄配列が特典ゲームへ移行する入賞図柄配列であると判別された時点から特典ゲームが終了した時点までの間であるスロットマシン。」(以下、「本件発明1」という。)
【請求項2】「前記振動装置の作動により振動する部位が、遊技者がゲームを進行させるために触れる部位である請求項1記載のスロットマシン。」(以下、「本件発明2」という。)
【請求項3】「前記遊技者がゲームを進行させるために触れる部位で、かつ、前記振動装置の作動により振動する部位が、前記始動操作具及び複数の停止操作具のうちの少なくとも一つである請求項2記載のスロットマシン。」(以下、「本件発明3」という。)
【請求項4】「前記振動装置の作動により振動する操作具が、それの操作状態にあるときのみ振動するように、これら振動装置と操作具とが連係されている請求項3記載のスロットマシン。」(以下、「本件発明4」という。)

4.甲各号証
(1)甲第2号証
甲第2号証(実願昭60-74971号(実開昭61-191081号)のマイクロフィルム)には、以下の事項が記載されている。

記載事項1;「本考案では上記目的を達成するにあたり、シンボル列の移動停止が、入賞リクエスト信号によつて制御されるように構成されたスロットマシンにおいて、前記入賞リクエスト信号が発生されたことに応答して作動する表示装置を設け、遊技者に入賞が得やすい状態になっていることを報知させるようにしたものである。
本考案の望ましい実施例においては、前記シンボル列はリールの外周に一定ピッチで配列された複数種のシンボルによって構成されており、このリールはモータで駆動されるようになっている。そして、入賞リクエスト信号が発生されたときには、モータの駆動を制御する制御回路を介してリールの停止が制御される。」(第5頁第4-17行)

記載事項2;「本考案を用いたスロットマシンの外観を示す第4図において、本体1の前面パネルに設けられたメダル投入口2から所定枚数のメダルを投入し、スタートレバー3を操作することによってリール4?6が回転する。リール4?6の回転中は、各リール上に配列されたシンボルの識別は非常に困難となっている。
こうしてゲームが開始され、リール4?6が定常回転に達した後に、各リールごとに設けられたストップボタン11?13の操作が可能となる。遊技者が任意のタイミングでストップボタン11?13を停止してゆくと、リール4?6がその都度停止される。そして、観察窓7?9から観察される各リール交互間のシンボルの組み合わせが、投入されたメダルの枚数によって有効化された入賞ライン上で、所定の組み合わせになっていると、入賞の種類に応じた枚数のメダルが受け皿14に払い出される。」(第6頁第6行-第7頁第3行)

記載事項3;「このスロットマシンは、第2図に示した回路構成を備えている。第2図において、メインコントロールブロックAは、メインCPU20,ROM21,RAM22を含んでいる。ROM21には、入賞に該当するシンボルの組み合わせや、入賞ごとの払い出しメダル枚数の他、スロットマシンの基本的なゲームプログラム、およびボーナスゲームを実行するプログラム等がメモリされている。また、RAM22には、ゲーム遂行中に順次書換られるシンボルデータや、リクエスト信号を発生するために一時的にサンプリングして保持される乱数値などがメモリされる。そして、前記ROM21,RAM22にメモリされたデータ等は、適宜メインCPU20によつてアクセスされる。…
前記メインCPU20は、クロックパルス発生回路26で発生され、分周器27で一定周波数にされたクロックパルスにより作動される。ストップボタン11?13が操作され、停止したリール4?6の回転停止位置として特定されたシンボルの組み合わせが、メインCPU20に入力され、その組み合わせをROM21のデータと照合した結果、入賞が得られた場合には、ホッパー駆動入力ポート28を介してホッパー29が作動する。ホッパー29の作動により、スロットマシンの本体1内に収容されているメダルが受け皿14に払い出される。払い出されるメダルはメダル検出部30で検出され、この検出信号がスイッチ入力ポート31を介してメインCPU20に入力される。そして、払い出しメダル枚数が、入賞に応じて設定された規定の枚数に達すると、ホッパー29の作動が終了する。なお、メダルの払い出しは、カウンタ駆動入力ポート32を介してカウンタランプ33によつて表示される。」(第7頁第9行-第9頁第12行)

記載事項4;「…ボーナスゲームの発生はメインCPU20でソフト的に制御される。このため、例えば第1図に示したように、乱数発生回路35から発生される乱数値を、乱数値サンプリング回路36によりサンプリングする。乱数値サンプリング回路36は、例えばスタートレバー3が操作された時点を基準にして、一定時間後に乱数値のサンプリングを行うようになつており、乱数発生回路35から発生される循環した乱数列から、常に一定間隔で乱数値をサンプリングし、一旦サンプリングされた乱数値は以後サンプリングされることがないように構成されている。
こうしてサンプリングされた乱数値は、カウンタ37にストアされる。リクエスト信号発生回路38は、こうして得られた乱数値をROM39のデータと比較し、一定範囲内のときにはリクエスト信号を出力する。なお、前記乱数値が一定範囲外の値である場合には、通常のゲーム処理が行われる。
リクエスト信号発生回路38からリクエスト信号が出力されると、各リール4?6の駆動を制御するモータ制御回路40?42のそれぞれは、リール4?6がシンボル「7」を表示した位置で停止させるようにモータM1?M3を制御する。」(第9頁第13行-第11頁第1行)

記載事項5;「一方、リクエスト信号発生回路38からリクエスト信号が発生されたときには、表示ランプ駆動回路55に駆動信号が出力される。この結果、配当パネル15内に設けられた表示ランプ16が点灯動作してリクエスト信号の発生、すなわちボーナスゲームとなるシンボルの組み合わせが得やすいように、リール4?6が停止制御される状態になつていることを表示する。」(第12頁第4-11行)

記載事項6;「例えば、ストツプボタン11の操作タイミングが、シンボル「7」がでるようにリール4を停止制御できる範囲から逸脱している場合には、カウンタ43での計数値によりシンボルの種別を判定するシンボル検出回路56から、シンボル「7」以外のシンボルデータが出力される。このシンボルデータは、入賞判定回路60に供給されるとともに、表示ランプ駆動回路55にも入力される。この結果、表示ランプ駆動回路55の作動が停止して、表示ランプ16が消灯する。なお、ストツプボタン11?13のいずれが第1番目に操作されても同様の処理がなされる。」(第13頁第5-16行)

記載事項7;「シンボル検出回路56?58から供給されるシンボルデータに基づき、入賞判定回路60が入賞の判定を行つた結果、「7」-「7」-「7」の組み合わせであることが判定されたときには、ホッパー29が作動して規定枚数のメダルが払い出された後、ボーナスゲームが開始される。」(第14頁第4-9行)

前記摘示の記載事項によれば、甲第2号証には、以下の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。
「外周に複数種のシンボルを配列した回転駆動されるリール4?6と、これらリール4?6を回転させるスタートレバー3と、回転後のリール4?6を各リール毎に停止させるストップボタン11?13と、メインCPU20、ROM21、RAM22を含んでいるメインコントロールブロックAと、シンボル検出回路56?58から供給されるシンボルデータに基づき入賞の判定を行う入賞判定回路60とを備え、シンボル列の移動停止が、入賞リクエスト信号によって制御されるスロットマシンであって、
入賞リクエスト信号が発生されたことに応答して、配当パネル15内に設けられた表示ランプ16を作動して、入賞が得やすい状態になっていることを報知するように構成し、
前記入賞が得やすい状態が、スタートレバー3が操作された時点を基準にして、一定時間後に乱数値のサンプリングを行い、得られた乱数値が一定範囲内のときにリクエスト信号を出力したときから、ストツプボタン11?13の操作タイミングが、シンボル「7」がでるようにリール4を停止制御できる範囲から逸脱している場合に、表示ランプ駆動回路55の作動を停止するまでの間であるスロットマシン。」

(2)甲第8号証
甲第8号証(特開平9-99137号公報)には、以下の事項が記載されている。

記載事項8;「本発明は、パチンコ機等の遊技機に係わり、詳しくは遊技の演出効果の向上とともに、遊技中の各種状態報知の的確性の向上を図った遊技機に関する。」(段落0001)

記載事項9;「次に、本発明の発射操作装置を構成する発射操作ノブ26の構成について、図5乃至図7により説明する。図5は、発射操作ノブ26の外観を示す斜視図、図6及び図7は、発射操作ノブ26の内部構成を示す分解斜視図である。発射操作ノブ26は、図5に示すように、遊技機の前面パネル14への取り付けを行うための発射操作装置ベース部900と、このベース部900に対して回動自在に設けられた回動操作部940と、前面側をカバーする前面カバー部960と、から主に構成されている。」(段落0040)

記載事項10;「振動発生器964(振動発生装置)は、例えば圧電材料等を利用した振動子や、ソレノイドよりなるもので、前面カバー部960の内面における一側部に形成された凹部965にはめ込まれ、図7に示す取付け部材966により固定されて取付けられている。すなわち、凹部965にはめ込まれた振動発生器964を跨ぐように取付け部材966を配置し、図示省略したネジを取付け部材966の両側に形成された貫通孔967に挿通し、凹部965の両側に形成されたネジ穴968に捩じ込むことにより、固定される。また、前面カバー部960の内面における他側部には、前述の前面カバー固定部材907のネジ孔907bに対応する貫通穴969が形成されている。」(段落0047)

記載事項11;「なおこの取付け状態において、スピーカー963の配線963bや振動発生器964の配線964aは、例えば前面カバー取付けベース盤970に形成された開口(図示省略)や、軸受けベース盤950の前述の開口955等を経由して、発射操作装置ベース部900の基端面に形成された貫通孔(図示略)から引出され、さらに前面パネル14裏面のヒンジ側を経由して、最終的に前述の役物制御回路400又は発射制御回路630に接続されている。」(段落0048)

記載事項12;「次に、発射制御回路630によるハンドル演出処理を図10により説明する。…このハンドル演出処理のサブルーチンが開始されると、まずステップS130で発射装置620が作動中か否か判定され、作動中であればステップS132に進み、作動中でなければメインルーチン等にリターンする。ステップS132では、飛距離調整が最大値よりも低い所定値以上か否か、即ち、例えば発射ボリューム912の出力値(発射操作ノブ26の回動操作量に比例した値)が最大値よりも低い所定値以上か否かが判定され、所定値以上であればステップS140に進み、所定値以上でなければステップS134,ステップS136,ステップS138に順次進み、ステップS138を終了後メインルーチン等にリターンする。ステップS134では、ドライバ630bから発射操作ノブ26内の発光表示部材935に制御信号を出力し、発射球の飛距離が短距離であることを表わす光(短距離光)、例えば緑色の光を出力させる。また、ステップS136では、音声出力回路630aから発射操作ノブ26内のスピーカー963に制御信号を出力し、発射球の飛距離が短距離であることを表わす音(短距離音)、例えば「ピューン…、ピューン…」といった弱い音を出力させる。また、ステップS138では、ドライバ630bから発射操作ノブ26内の振動発生装置964に制御信号を出力し、発射球の飛距離が短距離であることを表わすパターンの振動(短距離振動)、例えば比較的強度が弱く、また周期が大きくてゆっくりな振動を出力させる。」(段落0062)

記載事項13;「発射操作ノブ26に設けられた部材(発光表示部材935、スピーカー963、振動発生器964)により、遊技機で発生する各種状態の報知や演出を行うから、遊技者が唯一遊技機に常時接触して、特に注目する箇所での報知や演出がなされることになり、遊技者にとって的確な報知や従来にない効果的な演出が実現される。すなわち、遊技中には常時手で握っている状態の発射操作ノブ26が(即ち遊技者の手元が)、発光表示部材935の光により遊技状態や発射装置の飛距離に応じて輝き、或いは振動発生器964の作動により遊技状態や発射装置の飛距離に応じて振動する。」(段落0065)

記載事項14;「ステップS106では、リーチ状態の演出のために、発射操作ノブ26内の振動発生装置964が駆動される。例えば、上記演出表示やリーチ演出音に対応した振動を出力し、唯一遊技者の身体に接触する部分である発射操作ノブ26を介して、体感ゲーム感覚の振動を遊技者に伝える。具体的には、可変表示装置220aへのリーチ演出表示(リーチアクション)として、例えば前述したようなシューティング表示をした場合において、撃墜表示をしているときに、その撃墜の音を効果音として出力するとともに、その撃墜時の衝撃を表わす振動を振動発生装置964から出力させる。また、この振動発生装置964による演出においても、通常リーチと確変リーチとでその内容を異ならせてもよい。例えば、確変リーチの場合には、通常リーチよりも強くて早い振動とする。」(段落0060)

記載事項15;「ステップS108では、大当り発生か否か判定され、大当り発生であればステップS110,ステップS112,ステップS114に順次進み、大当りが発生していなければステップS116に進む。ステップS110では、発射操作ノブ26内のLED936を点灯又は点滅させ、ステップS112では、発射操作ノブ26内のスピーカー963を駆動し、ステップS114では、発射操作ノブ26内の振動発生装置964を作動させて、リーチ発生時と同様に大当り状態の演出が行われる。ただし、演出の内容は、リーチ発生時と異なっていることが好ましい。また、ステップS116では、確率変動中か否か判定され、確率変動中であればステップS118,ステップS120,ステップS122に順次進み、ステップS122を終了後メインルーチン等にリターンする。ステップS118では、発射操作ノブ26内のLED936を点灯又は点滅させ、ステップS120では、発射操作ノブ26内のスピーカー963を駆動し、ステップS122では、発射操作ノブ26内の振動発生装置964を作動させて、確率変動中であることの報知が行われる。なおこの際、LED936の点灯制御等の具体的態様は、確率変動中であることを明確に報知するために、リーチ発生時等と異なり固有のものであることが好ましい。このように、上記ハンドル演出処理によれば、各種の遊技状態(この場合、リーチ状態、大当り状態、確率変動状態)に応じて、発射操作ノブ26から発光表示、効果音の出力、あるいは振動の出力がなされ、より効果の高い演出や、より的確な遊技状態の報知が実現される。」(段落0061)

前記摘示の記載事項によれば、甲第8号証には、以下の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されているものと認められる。
「遊技中には常時手で握られている状態の発射操作ノブ26は、前面側をカバーする前面カバー部960から構成され、振動発生器964の作動により遊技状態に応じて振動するように、振動発生器964が、前面カバー部960の内面における一側部に形成された凹部965にはめ込まれ、取付け部材966により固定されて取付けられており、
この取付け状態において、振動発生器964の配線964aは、発射制御回路630に接続されており、発射制御回路630により、発射装置620が作動中か否か判定され、作動中でなければメインルーチン等にリターンし、発射操作ノブ26内の振動発生装置964に振動パターン出力をしないパチンコ機。」

また、前記摘示の記載事項から、甲第8号証には、パチンコ機において、ゲームの進行に連れて特定の状態にあるとき、遊技者に報知する手段として、「遊技者が触れることが可能な部位を振動させるための振動装置」を利用する技術、「振動装置の作動により振動する部位が、遊技者がゲームを進行させるために触れる部位である」技術が開示されている。

(3)甲第7号証(特開平8-252356号公報)
記載事項16;「本発明は、遊技状態を遊技者に知らせる機能を有するパチンコ機、アレンジボール遊技機等の弾球式遊技機に関する。」(段落0001)

記載事項17;「表示装置制御処理においては、始動入賞を受けて表示装置5の図柄を変更すると共に、その変更を行なうためのスクロール表示の間、発射ハンドル25の振動、ランプ類の点滅、電子音の発生を行なう。こうして、表示装置制御処理が終了すると、続くS160に進み、大当り判定処理を行なう。」(段落0045)

記載事項18;「大当り判定処理が終了すると、続くS170に進み、大当り処理を行なう。この処理について、図13のフローチャートを用いて説明する。まずS710にて、パチンコ機1の現在の状態が大当り状態であるか(すなわち、開閉板27が開かれているか)否かを判定する。大当り状態でないと判定されると当該処理を終了し、大当り状態であると判定された場合にはS720に進み、大入賞口29が16回形成されたか否かを判定する。この「大入賞口29の16回の形成」は当該パチンコ機1における遊技終了条件の一つである。大入賞口29の形成回数が16回に満たなければ、発射ハンドル振動処理(4)、ランプ点滅処理(4)、及びS550の音声発生処理(4)を再び行なう(S730?S750)。これは、大当り状態が続く限り、S730?S750の報知動作を繰り返すことになり、遊技者にとっては、この報知動作が終了することによって、大当り状態が終了したことを知ることができる。」(段落0049)

前記摘示の記載事項から、甲第7号証には、パチンコ機において、ゲームの進行に連れて特定の状態にあるとき、遊技者に報知する手段として、「遊技者が触れることが可能な部位を振動させるための振動装置」を利用する技術、「振動装置の作動により振動する部位が、遊技者がゲームを進行させるために触れる部位である」技術が開示されている。

(4)甲第15号証(特開平10-15154号公報)
記載事項19;「この発明は、スロットマシンに関し、ストップスイッチが操作可能であるか否か及び特別遊技であるか否かの遊技状況を、遊技者の見やすい位置に、かつ、分かり易く表示しようとするものである。」(段落0001)

記載事項20;「特別遊技制御手段103からの特別遊技信号にもとづいて、発光源制御手段108は、特別遊技の入賞となった時点から特別遊技の終了時まで、各ストップスイッチ45?47の第1のLED90を点滅させる。また、停止図柄判定手段102の判定した停止図柄の組合せが、特別入賞図柄以外の入賞図柄と一致している場合には、通常入賞制御手段104からの通常入賞信号にもとづいて、ホッパー制御手段109は、所定枚数のメダルをメダル排出口51を介して賞メダルとして排出する。」(段落0061)

前記摘示の記載事項から、甲第15号証には、スロットマシンにおいて、「判別手段によって、入賞ライン上に停止した図柄配列が特典ゲームへ移行する入賞図柄配列であると判別された時点から特典ゲームが終了した時点までの間に作動させる」技術、「停止操作具を利用して遊技者にゲームの進行に連れて特定の状態にあることを報知する」技術が開示されている。

(5)甲第16号証(特開平5-7642号公報)
記載事項21;「この発明は、賭け球を用いてゲームを行なうゲーム装置に関する。
従来、賭け球を用いてゲームを行なうコインを用いたスロットマシンの如きゲーム装置が知られている。…」(段落0001-0002)

記載事項22;「上記ビッグチャンスが発生したときには、その発生時から取込スイッチ24がオン(ON)されるまでの期間中、ビッグチャンス音が発せられる。また、ボーナスゲームの発生時にはボーナスゲームの発生音が発せられ、ボーナスゲーム中にはボーナスゲーム中であることを知らせるボーナスゲーム音が発せられる。」(段落0029)

前記摘示の記載事項から、甲第16号証には、スロットマシンにおいて、「判別手段によって、入賞ライン上に停止した図柄配列が特典ゲームへ移行する入賞図柄配列であると判別された時点から特典ゲームが終了した時点までの間に作動させる」技術が開示されている。

(6)甲第17号証(特開平9-253274号公報)
記載事項23;「この発明は、スロットマシンに関し、特に特別遊技、例えばいわゆるレギュラーボーナスでの最大遊技回数、例えば12回目の遊技に進んだ時点で、音声により遊技者により報知するようにしたものである。」(段落0001)

記載事項24;「(音声報知手段)上記音声報知手段140は、例えば音声を生成するサウンドジェネレータ141、サウンドジェネレータ141で生成した音声を増幅するアンプ142、アンプ142で増幅された音声を発生するスピーカ143から構成されている。そして、レギュラーボーナス中である旨を表す「特別遊技中音」や、最大遊技回数、例えば12回目の遊技が開始した旨を表す「最大遊技回数音」や、最終遊技、例えば12回目において当選した旨を表す「当選音」や、最終遊技、例えば12回目において当選しなかった旨を表す「不当選音」等を発生する。」(段落0027)

前記摘示の記載事項から、甲第17号証には、スロットマシンにおいて、「判別手段によって、入賞ライン上に停止した図柄配列が特典ゲームへ移行する入賞図柄配列であると判別された時点から特典ゲームが終了した時点までの間に作動させる」技術が開示されている。

(7)甲第20号証(特開平8-298042号公報)
記載事項25;「本発明は、スロットマシンやパチンコ機等の遊技機に用いられ、遊技操作を行うためのスイッチ装置に関する。」(段落0001)

記載事項26;「これらのことから、各ストップボタン20,22,24からの照光は極めて明確になり、遊技者はストップボタン20,22,24の操作時期を容易に知ることができる。従来のように、リール8,9,10の表示窓5,6,7において、各リールに対応させて設けられたストップボタン有効表示部(図示省略)を見ることで各ストップボタン20,22,24の操作時期を確認する必要はない。すなわち、この実施例では、ストップボタン20,22,24の操作時期を、各ストップボタン20,22,24の内部にある発光ダイオード76が押しボタン部材74を照らすことによって遊技者に知らせるので、遊技の進行を妨げることがない。」(段落0053)

前記摘示の記載事項から、甲第20号証には、スロットマシンにおいて、「停止操作具を利用して遊技者にゲームの進行に連れて特定の状態にあることを報知する」技術が開示されている。

5.本件発明4について
(1)本件発明4と引用発明1との対比
本件発明4と引用発明1とを対比すると、両者は共にスロットマシンであって、引用発明1について次のことがいえる。

(1-1)引用発明1の「外周に複数種のシンボルを配列した回転駆動されるリール4?6」は、引用発明1の「外周に複数種のシンボルを配列した回転駆動される」が、回転駆動されることにより複数種のシンボル、即ち、図柄が順次移動するように見えるので、本件発明4の「複数種の図柄を順次移動させて表示する」ということができ、引用発明1の「リール4?6」は、本件発明4の「複数の図柄表示手段」に相当するから、本件発明4の「複数種の図柄を順次移動させて表示する複数の図柄表示手段」ということができる。

(1-2)引用発明1の「これらリール4?6を回転させるスタートレバー3」は、引用発明1の「リール4?6を回転させる」が、停止状態のリール4?6を回転させることが明らかであるので、本件発明4の「複数の図柄表示手段を始動させる」ということができ、引用発明1の「スタートレバー3」は、スタートレバー3を操作することによりリール4?6が始動するので、本件発明4の「始動操作具」ということができるから、本件発明4の「これら複数の図柄表示手段を始動させる始動操作具」ということができる。

(1-3)引用発明1の「回転後のリール4?6を各リール毎に停止させるストップボタン11?13」は、引用発明1の「回転後」が、本件発明4の「始動後」に相当し、引用発明1の「各リール毎に停止させる」が、本件発明4の「各図柄表示手段をそれぞれ停止させる」に相当し、引用発明1の「ストップボタン11?13」は、ストップボタン11?13を操作することによりリール4?6が停止するので、本件発明4の「停止操作具」に相当するから、本件発明4の「始動後の各図柄表示手段をそれぞれ停止させる複数の停止操作具」ということができる。

(1-4)引用発明1の「メインCPU20、ROM21、RAM22を含んでいるメインコントロールブロックA」は、記載事項3及び4の制御内容から、本件発明4の「制御手段」ということができる。

(1-5)引用発明1の「シンボル検出回路56?58から供給されるシンボルデータに基づき入賞の判定を行う入賞判定回路60」は、引用発明1の「シンボル検出回路56?58から供給されるシンボルデータ」が、「入賞ライン上に停止した前記図柄表示手段の図柄配列」に関するデータであることは明らかであり、引用発明1の「入賞の判定を行う」は、本件発明4の「入賞の成否を判別する」に相当するから、本件発明4の「入賞ライン上に停止した前記図柄表示手段の図柄配列に基いて入賞の成否を判別する判別手段」ということができる。

(1-6)引用発明1は、「シンボル列の移動停止が、入賞リクエスト信号によつて制御される」こと、及び、記載事項4の制御内容から、本件発明4の「入賞ライン上に停止する図柄表示手段の図柄配列を抽選する抽選手段」に相当する構成を備えるものということができる。

(1-7)引用発明1の「入賞リクエスト信号が発生されたことに応答して、配当パネル15内に設けられた表示ランプ16を作動して、入賞が得やすい状態になっていることを報知するように構成」する点について、引用発明1の「入賞リクエスト信号が発生されたことに応答して、」は、「入賞リクエスト信号」が制御信号であることは明らかであり、リクエスト信号発生回路38、即ち、メインコントロールブロックAに含まれるメインCPU20から発生されるものであるから、本件発明4の「制御手段からの制御信号に基いて、」ということができ、引用発明1の「配当パネル15内に設けられた表示ランプ16」と本件発明4の「振動装置」は、その機能に照らしてみれば、報知装置として共通のものといえるから、引用発明1と本件発明4は、「ゲームの進行に連れて特定の状態にあるとき、制御手段からの制御信号に基いて、報知装置を作動するように構成」する点において共通するものということができ、引用発明1の「入賞が得やすい状態」は、本件発明4の「ゲームの進行に連れて特定の状態」ということができるから、引用発明1と本件発明4は、「ゲームの進行に連れて特定の状態にあるとき、制御手段からの制御信号に基いて、報知装置を作動するように構成」する点で共通のものということができる。

(1-8)引用発明1の「入賞が得やすい状態が、スタートレバー3が操作された時点を基準にして、一定時間後に乱数値のサンプリングを行い、得られた乱数値が一定範囲内のときにリクエスト信号を出力したときから、ストツプボタン11?13の操作タイミングが、シンボル「7」がでるようにリール4を停止制御できる範囲から逸脱している場合に、表示ランプ駆動回路55の作動を停止するまでの間である」点について、引用発明1の「スタートレバー3が操作された時点を基準にして、一定時間後に乱数値のサンプリングを行い、得られた乱数値が一定範囲内のときにリクエスト信号を出力したとき」は、「報知装置を作動させる所定の開始時点」という上位概念で本件発明4と共通するものであり、また、その制御内容から「抽選手段によって特典ゲーム又は特別ゲームへ移行する図柄配列が選出され」るものということができ、引用発明1の「ストツプボタン11?13の操作タイミングが、シンボル「7」がでるようにリール4を停止制御できる範囲から逸脱している場合に、表示ランプ駆動回路55の作動を停止する」点と、甲2号証の図3から、引用発明1は、「停止操作具によって少なくとも一つの図柄表示手段を停止させた時点まで」表示ランプ16が点灯していることが明らかであるから、引用発明1と本件発明4は、「特定の状態が、報知装置を作動させる所定の開始時点から、抽選手段によって特典ゲーム又は特別ゲームへ移行する図柄配列が選出され、停止操作具によって少なくとも一つの図柄表示手段を停止させた時点までの間である」という点で共通の構成を備えるものである。

そうすると両者は、「複数種の図柄を順次移動させて表示する複数の図柄表示手段と、これら複数の図柄表示手段を始動させる始動操作具と、始動後の各図柄表示手段をそれぞれ停止させる複数の停止操作具と、ゲームの進行状態を検出しながら制御する制御手段と、入賞ライン上に停止した前記図柄表示手段の図柄配列に基いて入賞の成否を判別する判別手段と、前記入賞ライン上に停止する前記図柄表示手段の図柄配列を抽選する抽選手段とを備えたスロットマシンであって、
ゲームの進行に連れて特定の状態にあるとき、前記制御手段からの制御信号に基いて、報知装置を作動するように構成し、
前記特定の状態が、報知装置を作動させる所定の開始時点から、前記抽選手段によって特典ゲーム又は特別ゲームへ移行する図柄配列が選出され、停止操作具によって少なくとも一つの図柄表示手段を停止させた時点までの間であるスロットマシン。」で一致し、以下の点で相違する。

相違点1;作動する報知装置として、本件発明4は、「遊技者が触れることが可能な部位を振動させるための振動装置」であるのに対して、引用発明1は、「配当パネル15内に設けられた表示ランプ16」である点。

相違点2;報知装置を作動させる所定の開始時点として、本件発明4は、「始動操作具によって複数の図柄表示手段を始動させた時点」であるのに対して、引用発明1は、「スタートレバー3が操作された時点を基準にして、一定時間後に乱数値のサンプリングを行い、得られた乱数値が一定範囲内のときにリクエスト信号を出力したとき」である点。

相違点3;本件発明4は、「判別手段によって、入賞ライン上に停止した図柄配列が特典ゲームへ移行する入賞図柄配列であると判別された時点から特典ゲームが終了した時点までの間」にも報知装置を作動させるのに対して、引用発明1は、その間に報知装置を作動させるか否か不明である点。

相違点4;本件発明4は、「振動装置の作動により振動する部位が、遊技者がゲームを進行させるために触れる部位である」のに対して、引用発明1は、そのように構成されていない点。

相違点5;本件発明4は、「遊技者がゲームを進行させるために触れる部位で、かつ、振動装置の作動により振動する部位が、始動操作具及び複数の停止操作具のうちの少なくとも一つである」のに対して、引用発明1は、そのように構成されていない点。

相違点6;本件発明4は、「振動装置の作動により振動する操作具が、それの操作状態にあるときのみ振動するように、これら振動装置と操作具とが連係されている」のに対して、引用発明1は、そのように構成されていない点。

(2)判断
相違点1について
ゲームの進行に連れて特定の状態にあることを報知する態様として、光や音を利用する態様は、スロットマシンの属する遊技機分野において慣用される手段(4.の甲各号証に開示されている。)であり、それ以外の態様としても、「遊技者が触れることが可能な部位を振動させるための振動装置」を利用する態様が、甲第7号証(特開平8-252356号公報)又は甲第8号証(特開平9-99137号公報)に開示されるように周知の技術である。
甲第7号証及び甲第8号証は遊技機分野のパチンコ機に関する技術であるものの、パチンコ機分野における技術をスロットマシンに転用することも普通に行われていることである。
そして、同一又は近似の技術分野における周知技術に複数の選択肢がある場合に、必要に応じて所望の態様を選択することは、当業者が設計的に成し得ることであって、ゲームの進行に連れて特定の状態にあることを報知する態様として、周知技術である光や音、振動といった報知態様から、「遊技者が触れることが可能な部位を振動させるための振動装置」を選択することも、当業者が設計的に成し得る程度のことである。

相違点2について
引用発明1の「スタートレバー3が操作された時点を基準にして、一定時間後に乱数値のサンプリングを行い、得られた乱数値が一定範囲内のときにリクエスト信号を出力したとき」について、具体的には記載事項4に、「ボーナスゲームの発生はメインCPU20でソフト的に制御される。このため、例えば第1図に示したように、乱数発生回路35から発生される乱数値を、乱数値サンプリング回路36によりサンプリングする。乱数値サンプリング回路36は、例えばスタートレバー3が操作された時点を基準にして、一定時間後に乱数値のサンプリングを行うようになつており、…リクエスト信号発生回路38は、こうして得られた乱数値をROM39のデータと比較し、一定範囲内のときにはリクエスト信号を出力する。」とある。
ここで、「一定時間」がどの程度の時間を意味するものか特定されてはいないが、当該記載がメインCPU20でソフト的に制御される内容を記載したものであり、一般的に、CPUによりソフト的に制御されるために、微少な一定時間後に次の処理を行うことは当業者にとって技術常識であり、他に一定時間後とする合理的な理由も見あたらないことから、「一定時間」が遊技者がタイムラグを感じない程度の微少な時間であると理解するのが自然である。
一方、本件発明4においても、明細書に、「ところで、前記始動スイッチ29と制御装置13と振動装置54とは電気回路によって接続され、前記抽選手段による抽選及び制御装置13による特定の状態の検出並びに振動装置54への制御信号の出力は、CPU36により瞬時に行われるものであるから、前記特定の状態が検出された場合には、スタートレバー10を操作した瞬間から、殆どタイムラグを生じることなく振動装置54が作動することとなり、遊技者は、スタートレバー10を揺動操作している間に、このスタートレバー10を介して手指に伝わる振動を体感することができ、それにより前記抽選手段によって特典ゲームへ移行する前記入賞図柄配列が選出されたことを知ることができる。」(段落0034)と記載されるように、「殆どタイムラグを生じることなく振動装置54が作動する」、言い換えれば、全くタイムラグを生じることなく振動装置54が作動するものでもない。
そうすると、相違点2に係る構成は、表現上の差異に過ぎず、実質的に相違するものではない。
なお、仮に、引用発明1の「一定時間」が、遊技者がタイムラグを感じる程度の長い時間であったとしても、引用発明1が「遊技者に入賞が得やすい状態になつていることを報知させるようにしたもの」であることを考慮すれば、可能な限り早い時点から報知するように「一定時間」を短縮して、「前記始動操作具によって複数の図柄表示手段を始動させた時点」から、表示ランプ16を点灯させることは、当業者が適宜成し得る程度のことでもある。

相違点3について
「判別手段によって、入賞ライン上に停止した図柄配列が特典ゲームへ移行する入賞図柄配列であると判別された時点から特典ゲームが終了した時点までの間」に報知装置を作動させることは、光や音による報知態様ではあるものの、甲第15号証(特開平10-15154号公報)、甲第16号証(特開平5-7642号公報)又は甲第17号証(特開平9-253274号公報)に開示されるだけでなく、普通のスロットマシンならば備えている程度の慣用技術であり、報知装置を作動させる時期に関する技術として、そのような慣用技術を採用することが格別創意工夫を要することとはいえない。

相違点4について
相違点1において検討したように、「遊技者が触れることが可能な部位を振動させるための振動装置」を選択することは、当業者が設計的に成し得る程度のことであり、遊技に関して報知するために振動させるのであるから、甲第7号証(特開平8-252356号公報)又は甲第8号証(特開平9-99137号公報)に開示される周知の技術も同様であるように、「振動装置の作動により振動する部位が、遊技者がゲームを進行させるために触れる部位である」ことは、当業者であれば当然成し得る程度のことである。

相違点5について
相違点4において検討したように、「振動装置の作動により振動する部位が、遊技者がゲームを進行させるために触れる部位である」ことは、当業者であれば当然成し得る程度のことであり、「遊技者がゲームを進行させるために触れる部位」として、停止操作具を利用して遊技者にゲームの進行に連れて特定の状態にあることを報知することは、光による報知態様ではあるものの、甲第15号証(特開平10-15154号公報)又は甲第20号証(特開平8-298042号公報)に開示される周知技術であり、報知装置を作動させる部位として、そのような周知技術を採用することが格別創意工夫を要することとはいえない。

相違点6について
相違点1において検討したように、引用発明1の作動する報知装置について、「遊技者が触れることが可能な部位を振動させるための振動装置」を選択することは、当業者が設計的に成し得る程度のことである。
一方、引用発明2の「振動発生器964」は、その作動により遊技中には常時手で握っている状態の発射操作ノブ26を振動させて、遊技者にとって的確な報知が実現されるものであるから、本件発明4の「振動装置」ということがきる。
パチンコ機における発射操作は、パチンコ遊技を始動させたり停止させたりするものであるので、その機能に照らしてみれば、引用発明2の「発射操作ノブ26」は、本件発明4の「操作具」ということができる。
ところで、「連係」とは、一般に、「つながって次に及ぶこと。つらなりつながること。つらねつなぐこと。」(広辞苑第5版)、「互いの間につながりのあること。他と密接な関連をもつこと。」(大辞泉)などといった意味を有するものとされており、引用発明2においても、発射操作ノブ26は、前面側をカバーする前面カバー部960から構成され、振動発生器964の作動により遊技状態に応じて振動するように、振動発生器964が、前面カバー部960の内面における一側部に形成された凹部965にはめ込まれ、取付け部材966により固定されて取付けられているのだから、振動発生装置964と発射操作ノブ26は、つながっている、即ち、連係されているものである。
さらに、振動発生装置964、即ち、振動装置の作動により振動する操作具が、それの操作状態にあるときのみ振動するものであるから、引用発明2は、「振動装置の作動により振動する操作具が、それの操作状態にあるときのみ振動するように、これら振動装置と操作具とが連係されている」ものといえる。
そして、装置が必要以上に動作することに起因する各種の影響、例えば電力消費量の増加を最小限に止めることは、当業者にとって技術常識ともいえる周知の課題であり、さらに、引用発明2のパチンコ機は、スロットマシンと遊技機として近接した技術分野に属し、遊技者にゲームの進行に連れて特定の状態にあることを報知する技術として共通のものであるから、引用発明1の作動する報知装置を、「遊技者が触れることが可能な部位を振動させるための振動装置」とするに際して、引用発明2を適用し、相違点6に係る構成のようにすることは、当業者が容易に想到できることである。

そして、本件発明4の作用効果も、引用発明1、2及び周知・慣用技術から当業者が予測できる域を超えるものではない。

したがって、本件発明4は、引用発明1、2及び周知・慣用技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

6.本件発明1ないし3について
本件発明1ないし3を概念的に下位にしたものに相当する本件発明4が、前記5.に記載したとおり、引用発明1、2及び周知・慣用技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明1ないし3も、同様の理由により、引用発明1、2及び周知・慣用技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

7.むすび
以上のとおりであるから、本件発明1ないし4は、引用発明1及び2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許は、特許法29条2項の規定に違反してなされたものであり、同法123条1項2号に該当し、無効とすべきものである。
審判に関する費用については、特許法169条2項の規定で準用する民事訴訟法61条の規定により、被請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-03-08 
結審通知日 2007-03-13 
審決日 2007-03-23 
出願番号 特願平11-13298
審決分類 P 1 113・ 121- Z (A63F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 西村 仁志  
特許庁審判長 三原 裕三
特許庁審判官 藤田 年彦
土屋 保光
登録日 2005-10-21 
登録番号 特許第3733256号(P3733256)
発明の名称 スロットマシン  
代理人 北村 修一郎  
代理人 黒田 博道  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ