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審決分類 審判 判定 同一 属さない(申立て成立) E04H
管理番号 1157162
判定請求番号 判定2006-60058  
総通号数 90 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許判定公報 
発行日 1998-06-23 
種別 判定 
判定請求日 2006-10-31 
確定日 2007-05-17 
事件の表示 上記当事者間の特許第3538289号の判定請求事件について、次のとおり判定する。 
結論 (イ)号図面及びその説明書に示す「トグル機構を用いた振動制御装置」は、特許第3538289号発明の技術的範囲に属しない。 
理由 第1 請求の趣旨
判定請求書に添付したイ号図面及びイ号説明書に示す「制震装置」(以下、「イ号物件」という。)は、特許第3538289号(以下、「本件特許」という。)の請求項1に係る発明及び請求項2に係る発明のいずれの技術的範囲にも属しない、との判定を求めるものである。

第2 本件発明
1.本件特許の請求項1に係る発明(以下、「本件発明1」という。)は、願書に添付された明細書及び図面(以下、「特許明細書」という。)の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものであり、これを構成要件に分説すると、次のとおりである。

A.柱と梁で構築された架構内に配置され構造物の振動を抑えるトグル機構を用いた振動制御装置において、
B.前記架構の上階梁に一端が回転可能に取付けられた短ブレース材と、前記架構の下階梁に一端が回転可能に取付けられた長ブレース材と、
C.前記短ブレース材と前記長ブレース材の自由端の連結部が回転可能に連結され、構造物にエネルギーが入力されていない状態で、短ブレース材の前記一端と長ブレース材の前記一端を結ぶ線より前記下階梁側に位置し、前記上階梁と前記下階梁が相対変形することで大きく移動して建物の振動を抑制するエネルギー低減吸収手段と、
D.を有することを特徴とするトグル機構を用いた振動制御装置。
(以下、本件発明1の構成要件AないしDという。)

2.本件特許の請求項2に係る発明(以下、「本件発明2」という。)は、本件特許明細書の記載からみて、特許請求の範囲の請求項2に記載されたとおりのものであり、これを構成要件に分説すると、次のとおりである。

E.柱と梁で構築された架構内に配置され構造物の振動を抑えるトグル機構を用いた振動制御装置において、
F.前記架構の上階梁に一端が回転可能に取付けられた長ブレース材と、前記架構の下階梁に一端が回転可能に取付けられた短ブレース材と、
G.前記短ブレース材と前記長ブレース材の自由端の連結部が回転可能に連結され、構造物にエネルギーが入力されていない状態で、短ブレース材の前記一端と長ブレース材の前記一端を結ぶ線より前記上階梁側に位置し、前記上階梁と前記下階梁が相対変形することで大きく移動して建物の振動を抑制するエネルギー低減吸収手段と、
H.を有することを特徴とするトグル機構を用いた振動制御装置。
(以下、本件発明2の構成要件EないしHという。)

第3 イ号物件の特定
1.請求人の主張
請求人は、イ号物件は、判定請求書に添付されたイ号図面及びその説明書に記述したとおり、次の構成を備えるものであると主張している。

(a)柱と梁で構築された建物に配置された、ある角度で接合された2本のブレース部材一対で建物の振動を抑える制震装置であって、
(b)それぞれのブレース部材の対は、柱・梁のコーナー部に取付けられたガセットプレートに、コーナークレビスをピンシャフトにより結合されたブレース部材1と、前記コーナー部と対向する梁の中央に取付けられたガセットプレートにコーナークレビスをピンシャフトにより結合されたブレース部材2により構成され、ブレース部材1とブレース部材2は設置される建物に応じてその長さが選択され、
(c)前記ブレース部材1とブレース部材2のそれぞれの中央クレビスが中央ピンシャフトにより接合され、2本のブレース部材は、ある角度をもって接続され、2本のブレース部材の接合部にダンパー中央クレビスが接合され、上下間の層間変位よりも大きな変位が作用して振動エネルギーを吸収するオイルダンパー部材と、
(d)を有する、ある角度で接合された2本のブレース部材一対で建物の振動を抑える制震装置。

2.被請求人の主張
被請求人は、答弁書において、要するに、イ号説明書の記載中に「図2-1」、「図2-2」、「図2-3」、「図2-4」及び「図1-1」との図番の表記があるが、一方、イ号図面の図番がこれらと対応した表記がなされていないこと等を理由として、「イ号説明書(2基設置タイプ(新築))の内容が不明瞭で、イ号を明確に特定することができないので適切な答弁ができない。」と主張している。

3.当審によるイ号物件の特定
確かに、イ号説明書の記載中に「図2-1」、「図2-2」、「図2-3」、「図2-4」及び「図1-1」との図番の表記があるものの、一方、イ号図面の図番がこれらと対応した表記がなされていないという表記上の不備はあるといえるが、イ号説明書の説明を見れば、イ号説明書の「図2-1」と「図1-1」がイ号図面の「図 -1」に、以下同様に、「図2-2」が「図 -2」に、「図2-3」が「図 -3」に、「図2-4」が「図 -4」に、それぞれ対応することが明らかであって、これらの図面に示された内容からイ号物件の構成を把握することは十分に可能であり、イ号物件の構成は特定できるというべきである。

そこで、イ号物件は、判定請求書に記載されたとおりの次の構成を具備するものと認める。

(イ号物件の構成)
a 柱と梁で構築された建物に配置された、ある角度で接合された2本のブレース部材一対で建物の振動を抑える制震装置であって、
b それぞれのブレース部材の対は、柱・梁のコーナー部に取付けられたガセットプレートに、コーナークレビスをピンシャフトにより結合されたブレース部材1と、前記コーナー部と対向する梁の中央に取付けられたガセットプレートにコーナークレビスをピンシャフトにより結合されたブレース部材2により構成され、ブレース部材1とブレース部材2は設置される建物に応じてその長さが選択され、
c 前記ブレース部材1とブレース部材2のそれぞれの中央クレビスが中央ピンシャフトにより接合され、2本のブレース部材は、ある角度をもって接続され、2本のブレース部材の接合部にダンパー中央クレビスが接合され、上下間の層間変位よりも大きな変位が作用して振動エネルギーを吸収するオイルダンパー部材と、
d を有する、ある角度で接合された2本のブレース部材一対で建物の振動を抑える制震装置。
(以下、これら分説した各構成を、「イ号物件の構成a」等という。)

第4 本件発明とイ号物件との対比・判断
1.対比
本件発明とイ号物件とを対比すると、イ号物件の「ある角度で接合された2本のブレース部材」が「トグル機構」を構成するものであって、柱と梁で構築された建物に配置され、その振動エネルギーを吸収するものであるから、イ号物件の構成aとdは、本件発明1の構成要件AとDに、また本件発明2の構成要件EとHに、それぞれ相当することが明らかであり、イ号物件の構成a及びdは、本件発明1の構成要件A及びDを、また本件発明2の構成要件E及びHを、それぞれ充足するといえる。
そして、イ号物件の構成cが、本件発明1の構成要件C及び本件発明2の構成要件Gを充足することを、審判請求人は認めている。
(ちなみに、これらの充足関係については、審判請求書の第9頁の「(5)」の「イ」ないし「ハ」に記載されているとおりであり、当事者間に争いがないことが明らかである。)

しかしながら、イ号物件の構成bが、本件発明1の構成要件B及び本件発明2の構成要件Fを、それぞれ充足するか否かについては、必ずしも明らかではなく、当事者間に争いがあるといえる。

そこで、イ号物件の構成bが、本件発明1の構成要件B及び本件発明2の構成要件Fを充足するといえるか否かについて、以下検討することとする。

2.イ号物件の構成bが、本件発明1の構成要件B及び本件発明2の構成要件Fを充足するか否かについて
(2-1)本件発明1の構成要件B及び本件発明2の構成要件Fの技術的意義について
(イ)本件発明1の構成要件B及び本件発明2の構成要件Fの技術的意義、とりわけ、そのブレース材の取付位置の技術的意義について、特許明細書を参酌すると、次の記載がある(注;下線は当審が付記した)。
(a)【従来の技術】に関して、
「図48及び図49に示すように、この制振用ダンパー装置70は、架構16が振動してピン80が変位(δ1)した場合、ロッド72の折曲部(ピン74)で変位を拡大して抽出し(δ2となる)、このピン74に連結されたダンパー76によって振動吸収を行い、振動に対する建物の減衰性を向上させるものである。
ところで、上記の制振用ダンパー装置70では、減衰性能を備えたダンパー76が必要となるため、構成部品が多くなる。
また、ピン80で柱12に連結された一対のロッド72の長さが等しいため(ピン74とピン80との距離が等しくL1となっている)、図50に示すように、梁14の長い架構16に設置した場合、架構16が左方向へ変形すると、ピン74が梁14に当たり、制振効果を発揮できないことが予想される。
また、ロッド72を、架構16の対角線上に連結するようになっているため、制振機構を効率良く構築できない。また、ロッド72の軸線と柱12の軸線とがなす角度θ1、θ2が大きいため、柱12に曲げ応力が発生する。このため、極限状態に至ると、図47に示すように、柱12が先に崩壊してしまう可能性があり、建物18の崩壊形態としては好ましいものと言えない。」(段落【0003】?【0006】)
(b)「【発明が解決しようとする課題】本発明は係る事実を考慮し、簡単な機構で、構造物の大きさに左右されずに効率良く配置でき、また、取付部位に曲げ応力を発生させることなく、大地震時にも制振効果を発揮できるトグル機構を用いた振動制御装置を提供することを課題とする。」(段落【0008】)
(c)「【発明を解決するための手段】 請求項1に記載の発明は、柱と梁で構築された架構内に配置され、構造物に作用する外力によって相対変形する上階梁と下階梁に取付けられている。(段落【0009】)
(d)「短ブレース材と長ブレース材を梁に連結することで、柱が崩壊する前に梁が崩壊して地震等のエネルギーを吸収するので、もし仮に、想定以上の外力が建物に作用し終局状態に至ったとしても、崩壊して倒壊に至るような大きな被害を受けることがない。」(段落【0017】)
(e)「請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明と基本的な機能は同じであるが、エネルギー低減吸収手段は、構造物にエネルギーが入力されていない状態において、短ブレース材の一端と長ブレース材の一端を結ぶ線より上階梁側に位置しており、すなわち、トグル機構が、上階梁側に折れ曲がった形態を呈している。
このため、トグル機構の特性上、上階梁が変形し易くなり、上階梁の剛性が見掛け上軟らかくなっている。このように、トグル機構の組付け方を変えるだけで、下階梁と相対変形する上階梁の見掛け上の剛性を変えることができる。」(段落【0018】、【0019】)
(f)「【発明の効果】本発明は上記構成としたので、簡単な機構で、構造物の大きさに左右されずに効率良く配置でき、また、取付部位に曲げ応力を発生させることなく、大地震時にも制振効果を発揮できる。」(段落【0117】)

上記記載事項によれば、本件発明1及び2は、柱に連結された一対のロッドを採用したところの従来技術における、柱に曲げ応力が発生することにより柱が先に崩壊してしまうという課題を解決するために、その短ブレース材と長ブレース材とを構造物に作用する外力によって相対変形する上階梁と下階梁に取付けて当該短ブレース材と長ブレース材とを梁に連結することにより、柱が崩壊する前に梁が崩壊して地震等のエネルギーを吸収するものとし、想定以上の外力が建物に作用し終局状態に至ったとしても、崩壊して倒壊に至るような大きな被害を受けることがないような振動制御装置を得ることを目的としたものと解することができる。

(ロ)出願経過の参酌
また、本件特許の出願経過を参酌すると、本件特許に係る先の判定事件である2005-60019号事件の判定書において、
出願経過を検討すると、出願当初の明細書(注;甲第5号証の本件公開公報の記載参照。)に記載された特許請求の範囲の請求項1及び請求項2には、第1ブレース材及び第2ブレース材の取付位置が、「架構の上階梁」又は「架構の下階梁」であるという限定はなく、それらは請求項15に記載されたものであって、それらの限定は、平成15年1月6日付け手続補正書(注;甲第6号証)によって請求項1及び請求項2に取り入れられたものである。
そして、被請求人は、平成14年3月26日付けで通知された出願当初の明細書に記載された特許請求の範囲の請求項15に対する拒絶理由(注;甲第7号証)に引用された特開平1-318629号公報(刊行物2)(注;甲第8号証)について、平成14年6月3日付け意見書(注;甲第9号証)において、『また、刊行物2のブレース3は、明細書の第2頁左下欄に「斜材9は、その一端が柱・梁の接合部Cに取り付けられたガセットプレート10にピン接合され」と記載されているように、請求項15の上階梁と下階梁には接合されていない。従って、刊行物2では、請求項15のように、柱が崩壊する前に梁を崩壊させて地震等のエネルギーを吸収するという効果を奏さない。』(5頁3?8行)と主張しており、本件発明1及び2のように補正した主旨は、刊行物2に記載された、ブレース材の取付位置を柱・梁のコーナー部とした構成を回避し、その相違点を明確にするためであると認められる。」と説示されているとおりである(注;括弧内の注書きは当審が付記した。同上判定2005-60019号事件の「【5】判断」の「3.争点2(構成要件B及び構成要件Fの充足性)について」の記載参照)。

(ハ)まとめ
上記(イ)に記載したとおり、本件の特許明細書の記載を参酌すると、本件発明1の構成要件B及び本件発明2の構成要件Fを採用した点の技術的意義は、その短ブレース材と長ブレース材とを構造物に作用する外力によって相対変形する上階梁と下階梁に取付けて当該短ブレース材と長ブレース材とを梁に連結することにより、柱が崩壊する前に梁が崩壊して地震等のエネルギーを吸収するものとし、想定以上の外力が建物に作用し終局状態に至ったとしても、崩壊して倒壊に至るような大きな被害を受けることがないような振動制御装置を得ることにあるということができる。
すなわち、本件発明1の構成要件B(「前記架構の上階梁に一端が回転可能に取付けられた短ブレース材と、前記架構の下階梁に一端が回転可能に取付けられた長ブレース材」)及び本件発明2の構成要件F(「前記架構の上階梁に一端が回転可能に取付けられた長ブレース材と、前記架構の下階梁に一端が回転可能に取付けられた短ブレース材」)において、「架構の」「上階梁」又は「下階梁」に「一端が回転可能に取付けられた」「長ブレース材」又は「短ブレース材」と規定しているように、各ブレース材の取付位置を「架構の」「上階梁」又は「下階梁」と規定した点の技術的意義は、これらのブレース材を、柱ではなく、「上階梁」又は「下階梁」に連結することを意味したものであるといえるから、少なくとも柱と直接連結されるような柱と梁のコーナー部をその取付部分として含まないことを意味したものと解することができる。
そして、このように理解すると、上記(ロ)の出願経過とも整合するものといえる。

(2-2)イ号物件の構成b
ところで、イ号物件の構成bは、その一方のブレース部材2の取付位置が、本件発明1又は本件発明2の「上階梁」に相当する(上)梁の中央部であるといえるものの、他方のブレース部材1の取付位置は、柱・梁のコーナー部であって、ブレース部材1をガセットプレートを用いてコーナー部に取付けた構成となっているものである。
そうすると、イ号物件の構成bは、上記一方のブレース部材2の取付位置が「架構の(上階)梁」であるとしても、他方のブレース部材1の取付位置を、柱・梁のコーナー部とした構成であるから、上述したように2本のブレース部材の各取付位置として、少なくとも柱と直接連結されるような柱と梁のコーナー部をその取付部分として含まないことを意味したものと解されるところのそれぞれ「架構の上階梁」及び「架構の下階梁」であると規定した本件発明1の構成要件B及び本件発明2の構成要件Fとは明らかに構成上の相違があるというべきである。

(2-3)まとめ
したがって、イ号物件の構成bは、本件発明1の構成要件B及び本件発明2の構成要件Fを文言上充足しないものというべきである。

3.均等論適用の判断
(3-1)最高裁平成6年(オ)第1083号判決(平成10年2月24日)は、特許請求の範囲に記載された構成中に対象製品等と異なる部分が存在する場合であっても、以下の五つの要件をすべて満たす場合には、特許請求の範囲に記載された構成と均等なものとして、対象製品等は特許発明の技術的範囲に属するものとするのが相当であると判示している。
「(積極的要件)
(1)相違部分が特許発明の本質的部分でなく、
(2)相違部分を対象製品等におけるものと置き換えても、特許発明の目的を達することができ、同一の作用効果を奏するものであって、
(3)右のように置き換えることに、当業者が、対象製品等の製造等の時点において容易に想到することができたものであり、
(消極的要件)
(4)対象製品等が、特許発明の特許出願時における公知技術と同一又は当業者が公知技術から出願時に容易に推考できたものでなく、かつ、
(5)対象製品等が、特許発明の出願手続において、特許請求の範囲から意識的に除外されたものに当たる等の特段の事情もない。」

そこで、イ号物件の構成bが本件発明1の構成要件B及び本件発明2の構成要件Fを文言上充足しないという構成上の相違がある部分につき、均等論の適用ができるか否かについての上記各要件について以下検討する。

(3-2)各要件の検討
最初に、(1)の要件について検討する。
上記説示したように、本件発明1及び2は、一方のブレース材を「架構の上階梁に一端が回転可能に取付けられた」構成を有し、且つ、他方のブレース材を「架構の下階梁に一端が回転可能に取付けられた」構成を有することにより、柱が崩壊する前に梁を崩壊させて地震等のエネルギーを吸収するという効果を奏することを目的としたものであるから、本件発明1及び2において、そのブレース材の取付位置を「上階梁」及び「下階梁」と規定したことは、当該発明の本質的部分であるというべきである。
また、(2)の要件について検討すると、イ号物件における他方のブレース部材の端部を柱・梁の接合部に取り付けられたガセットプレートに接合されたものは、当該接合部を通じて柱にも地震等のエネルギーが直接伝わることとなるので、柱が崩壊する前に梁を崩壊させて地震等のエネルギーを吸収するという本件発明の効果を奏することが期待できないことは明らかであり、当該要件でいうところの相違部分を対象製品等におけるものと置き換えても、本件発明の目的を達することができるものとも、同一の作用効果を奏するものともいうことができない。
さらに、(5)の要件についても検討すると、上記「第4 2.」の「(ロ)出願経過の参酌」で指摘したように、本件特許の出願経過を参酌すると、本件発明1及び本件発明2の、各ブレース材の取付位置が「架構の上階梁」又は「架構の下階梁」であるという限定事項は、上述の刊行物2に記載された発明との相違点を明確にするために、平成15年1月6日付け手続補正書(甲第6号証)によって請求項1及び請求項2に加えられた事項であるから、特許請求の範囲からこのような限定を含まないものを意識的に除外したものというべきである。

(3-3)まとめ
以上のとおり、本件発明1及び本件発明2とイ号物件の構成上相違する部分は、均等の判断を適用するに当たっての上記5つの要件の内、(1)、(2)及び(5)の要件を満たさないものといえるから、他の要件について検討するまでもなく、当該相違する部分につき均等論を適用すべき理由がないというべきである。

第5 むすび
以上のとおり、イ号物件は、本件発明1の構成要件B及び本件発明2の構成要件Fを充足しないから、本件発明1及び本件発明2のいずれの技術的範囲にも属するということはできない。
よって、結論のとおり判定する。
 
別掲
 
判定日 2007-05-07 
出願番号 特願平8-327289
審決分類 P 1 2・ 1- ZA (E04H)
最終処分 成立  
前審関与審査官 伊波 猛  
特許庁審判長 大元 修二
特許庁審判官 宮川 哲伸
西田 秀彦
登録日 2004-03-26 
登録番号 特許第3538289号(P3538289)
発明の名称 トグル機構を用いた振動制御装置  
代理人 小林 武  
代理人 中島 淳  
代理人 中島 淳  
代理人 中島 淳  
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