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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B41F
管理番号 1158327
審判番号 不服2004-4347  
総通号数 91 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-07-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-03-04 
確定日 2007-05-28 
事件の表示 特願2001-233401「スクリーン印刷方法及びセラミック製配線基板の製造方法、並びにスクリーン印刷用マスク」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 2月13日出願公開、特開2003- 39633〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯 ・本願発明
本願は、平成13年8月1日の出願であって、その請求項1乃至6に係る発明は、平成15年12月22日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1乃至6に記載されたとおりのものと認められるところ、その請求項5に記載された発明(以下、「本願発明」という。)は次のとおりである。
「【請求項5】マスク枠と、該マスク枠に張り付けられたスクリーンマスクとを備えてなるスクリーン印刷用マスクであって、
前記マスク枠を構成する対向する枠辺部を外方に弾性変形させて前記スクリーンマスクのテンションを調節する、ねじ機構によるスクリーンマスクのテンション調節手段を備えてなるスクリーン印刷用マスクにおいて、
前記ねじ機構によるスクリーンマスクのテンション調節手段を、前記マスク枠の内側に配置されたネジを備えた軸体と、前記マスク枠の内側において該軸体のネジに螺着させたナットによって形成し、前記マスク枠の内側において前記ナットを前記軸体のネジの軸線回りに回転することで対向する前記枠辺部の相互の間を突っ張り状にして該枠辺部を外方に弾性変形させることとしたことを特徴とするスクリーン印刷用マスク。」

第2 当審の判断
1.引用刊行物の記載事項
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された特開2000-343672号公報(以下「引用例1」という。)には、以下のア.?キ.の記載が図示とともにある。
ア.「スクリーン印刷は、基板等の被印刷面上に前記スクリーンマスクのスクリーンメッシュを密着させ...印刷材料をスキージにより均し広げて被印刷面上に塗布することにより行なわれるが、その際、スクリーンメッシュがスキージの移動方向に引張られて僅かながら伸び変形し、このスクリーンメッシュに被着されたマスク膜のパターンが微妙に変化する。」(【0004】)
イ.「このスクリーンマスクは、マスク枠1と、前記マスク枠1内に緊張状態で張設されたスクリーンメッシュ10と...前記マスク枠1をスキージ移動方向に拡縮するマスク枠拡縮機構20とからなっている。」(【0017】)
ウ.「このスクリーンメッシュ10は...メッシュ外周をマスク枠1の底面に接着剤13により固定することにより、マスク枠1内に緊張状態で張設されている。」(【0020】)
エ.「ロッド21は、固定端となる一端部の外周面と、自由端となる他端部の内周面とにそれぞれねじが形成された金属パイプ...からなっており、その固定端は、マスク枠1の一側(図1において上側)の枠辺の内側板に設けたロッド貫通孔に貫通されてこの枠辺の内側板に内外一対の固定ナット22,23により締め付け固定され、自由端は、マスク枠1の他側(図1において下側)の枠辺に対して間隔を存して近接対向している。...枠拡縮ねじ24は、ドライバ等の工具により回される頭部24aを有するボルトであり、そのボルト部が、マスク枠1の前記他側の枠辺の内側板に穿設されたねじ挿通孔に回転可能に挿通されてロッド21の自由端に螺合締結され、頭部24aが、マスク枠1の枠辺内に収容されてこの枠辺の内側板の内面に摺動回転可能に受け止められている。...枠拡縮ねじ24は、マスク枠1の他側の枠辺の外側板に設けられた工具挿入孔3から枠辺内に挿入されてロッド21の自由端に螺合締結されている。」(【0030】?【0032】)
オ.「マスク枠1は、枠拡縮ねじ24を締結力を強める方向に回すことによってスキージ移動方向に縮小変形し、枠拡縮ねじ24を締結力を弱める方向に回すことによってスキージ移動方向に拡張変形する。」(【0034】)
カ.「マスク枠拡縮機構20の縮小力P1によりマスク枠1をスキージ移動方向(図において上下方向)に縮小変形させると、このマスク枠1内に緊張状態で張設されているスクリーンメッシュ10のスキージ移動方向へのテンションが緩み...マスク枠拡縮機構20の拡張力P2によりマスク枠1をスキージ移動方向に拡張変形させると、スクリーンメッシュ10のスキージ移動方向へのテンションが強くなり」(【0042】?【0043】)
キ.「スクリーンメッシュ10は...スキージ30による引張力が強く作用すると、スクリーンマスク10が伸び変形したままとなってマスク膜12のパターンが狂ってしまうが、このスクリーンマスクによれば、前記マスク膜12のパターンの狂いを、マスク枠拡縮機構20によってマスク枠1をスキージ移動方向に拡縮することにより修正することができる。」(【0049】)

2.引用例1記載の発明の認定
記載ア.?キ.を含む引用例1の全記載及び図示によれば、引用例1には、
「マスク枠1と、外周をマスク枠1の底面に接着剤13により固定することにより該マスク枠1内に張設されたスクリーンメッシュ10とを備えてなるスクリーン印刷に用いられるスクリーンマスクであって、
マスク枠1を縮小変形させるとスクリーンメッシュ10のスキージ移動方向へのテンションが緩み、拡張変形させると、スクリーンメッシュ10のスキージ移動方向へのテンションが強くなるマスク枠拡縮手段20を備えてなるスクリーンマスクにおいて、
マスク枠拡縮手段20を、外周面にネジが形成された固定端をマスク枠1の一側の枠辺の内側板に固定し、内周面にネジが形成された自由端をマスク枠1の他側の枠辺に間隔を存して近接対向したロッド21と、ドライバ等の工具により回される頭部24aを有するボルトからなり、そのボルト部が、マスク枠1の前記他側の枠辺の内側板に穿設されたねじ挿通孔に回転可能に挿通されてロッド21の自由端に螺着した枠拡縮ねじ24とにより構成し、マスク枠1は、枠拡縮ねじ24を締結力を強める方向に回すことによって一側の枠辺と他側の枠辺間の距離が小さくなるように縮小変形され、締結力を弱める方向に回すことによってマスク枠拡縮手段20が伸長し、枠辺間の距離が大きくなるように拡張変形されるスクリーンマスク。」の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められ、
同発明に関連して ク.「上記実施例では、マスク枠拡縮手段20の枠拡縮ねじ24を、マスク枠1の他側の枠辺に枠内方向への移動を拘束して設け、マスク枠拡縮手段20の縮小によりマスク枠1をその両端の枠辺を撓み変形させて縮小変形させ、枠拡縮手段20の伸長によりマスク枠1をその両端の枠辺の復元力により拡張変形させるようにしているが、前記枠拡縮ねじ24を、マスク枠1の前記他側の枠辺に、枠内方向と枠外方向の両方向の移動を拘束して回転可能に設け、マスク枠1を、マスク枠拡縮手段20の伸長により強制的に拡張させるようにしてもてもよい。」(【0051】)の記載がある。

3.本願発明と引用発明との一致点及び相違点の認定
引用発明の「マスク枠1」、「スクリーンメッシュ10」、「スクリーン印刷に用いられるスクリーンマスク」、「マスク枠1の一側の枠辺と他側の枠辺」、「ロッド21」は、
本願発明の「マスク枠」、「スクリーンマスク」、「スクリーン印刷用マスク」、「マスク枠を構成する対向する枠辺部」、「軸体」にそれぞれ相当し、
引用発明の「外周をマスク枠1の底面に接着剤13により固定することにより該マスク枠1内に張設された」は、本願発明の「マスク枠1に張り付けられ」に相当する。
本願発明の「マスク枠の内側に配置されたネジを備えた軸体」は、「マスク枠の内側に配置された」が「ネジ」に係るのか、「軸体」に係るのか判然とせずマスク枠の内側に配置されたのがネジであるか軸体であるか不明であるが、引用発明のロッド21は、その自由端が枠辺に間隔を存して対向しているのだから、上記どちらの意味であっても「マスク枠の内側に配置されたネジを備えた軸体」に該当する。
引用発明のマスク枠拡縮手段20は、マスク枠1を縮小あるいは拡張変更させてスクリーンメッシュ10のテンションを緩めあるいは強めるものであり、マスク枠1の縮小あるいは拡張変更は枠拡縮ねじ24を回転することにより行なわれる(前記記載オ.)から、本願発明同様「スクリーンマスクのテンションを調節するねじ機構によるスクリーンマスクのテンション調節手段」ということができる。
引用発明の「枠拡縮ねじ24」は、軸体のネジに螺合してネジの軸線回りに回転するから、本願発明の「ナット」と、「軸体のネジに螺合してネジの軸線回りに回転する回転部材」で一致する。
したがって、本願発明と引用発明とは、「マスク枠と、該マスク枠に張り付けられたスクリーンマスクとを備えてなるスクリーン印刷用マスクであって、前記スクリーンマスクのテンションを調節する、ねじ機構によるスクリーンマスクのテンション調節手段を備えてなるスクリーン印刷用マスクにおいて、前記ねじ機構によるスクリーンマスクのテンション調節手段を、前記マスク枠の内側に配置されたネジを備えた軸体と、該軸体のネジに螺合してネジの軸線回りに回転する回転部材によって形成するスクリーン印刷用マスク。」である点で一致し、以下の点で相違する。
〈相違点1〉スクリーンマスクのテンション調節手段が、本願発明ではマスク枠を構成する対向する枠辺部を外方に弾性変形させてスクリーンマスクのテンションを調節するものであり、回転部材をマスク枠の内側に配置させるのに対し、引用発明ではマスク枠を拡縮させてスクリーンマスクのテンションを調節するものであり、回転部材の頭部(ボルト頭部24a)をマスク枠の内側板の外側に配置させる点
〈相違点2〉回転部材が、本願発明では、軸体のネジに螺着させたナットであるのに対し、引用発明では、頭部24aを有するボルトからなる枠拡縮ねじ24であり、そのボルト部が、内周面にネジが形成された軸体に螺合する点。

4.相違点についての判断及び本願発明の進歩性の判断
(1)相違点1について
原査定の拒絶の理由に引用された実願昭59-94454号(実開昭61-10839号)のマイクロフィルム(以下「引用例2」という。)には、 ケ.「本考案は...スクリーン印刷枠体自体を強制的に変形させるようにして、スクリーン・テンションを劣下させることなく、高精度にスクリーン精度を調整できるようにした」(明細書第3頁9?13行)、
コ.「スクリーン1が張られているスクリーン取付用枠体2と、このスクリーン取付用枠体2に対して内枠をなす矯正用枠体3とを、連結具4にて連結することによつて一体化した構成となっている。上記連結具4は、上記矯正用枠体3に外向きに螺進により進退調整自在に植設されており、その先端部分に上記スクリーン取付用枠体2を係止する連結部5が設けられているとともに、その中途部分に螺進操作用の操作鍔6を設けた軸体7から成る。...また、上記矯正用枠体3は、上記スクリーン取付用枠体2に張られているスクリーン1の実効印刷領域Aを覆うことなく、上記スクリーン取付用枠体2よりも小さな枠状に剛性の大きな材料にて形成されている。...スクリーン取付用枠体2に張られたスクリーン1は、連結具4を蝶進させることによって、スクリーン取付用枠体2を強制的に歪ませると、この歪に伴つて変形する。そして、上記スクリーン取付用枠体2は、それ自体に剛性があるので、上記連結具4の螺進によって全体的に歪み、しかも、上記連結具4を対称位置に配設したことによってバランス良く歪ませることができる。」(明細書第4頁15行?第6頁5行)の記載があり、引用例2のスクリーンマスクのテンション調節手段(連結具4)は、調節手段の伸張によりマスク枠を強制的に拡張させるため、調節手段のマスク枠外への移動を拘束している。又、引用例1に、「枠拡縮ねじ24を...枠内方向への移動を拘束して設け、マスク枠拡縮手段20の縮小によりマスク枠1をその両端の枠辺を撓み変形させて縮小変形させ、枠拡縮手段20の伸長によりマスク枠1をその両端の枠辺の復元力により拡張変形させるようにしているが、前記枠拡縮ねじ24を、マスク枠1の前記他側の枠辺に、枠内方向と枠外方向の両方向の移動を拘束して回転可能に設け、マスク枠1を、マスク枠拡縮手段20の伸長により強制的に拡張させる」(前記ク.)の記載があり、引用例2及び引用例1の前記ク.の記載によれば、「マスク枠拡縮手段20の伸長により強制的に拡張させる」作用に際しては、マスク枠内方向の移動を拘束することは関係なく、専ら、枠外方向の移動を拘束することだけが関係している。引用発明自体は、マスク枠拡縮手段の枠内方向への移動を拘束するものであり、具体的な拘束手段はボルト頭部である(ボルト頭部と内側板が当接することにより移動を拘束する)。前記ク.の記載で、マスク枠拡縮手段20の枠外方向への移動のみを拘束しても、別段差し支えないことは明らかであるから、マスク枠が、マスク枠拡縮手段の伸長により強制的に拡張(本願発明の「マスク枠を構成する対向する枠辺部を外方に弾性変形」に同じ)するように、引用発明の拘束手段(ボルト頭部)を内側板の内側に配置することは当業者が容易になし得ることである。
以上のとおり、相違点1に係る本願発明の構成は、引用発明に刊行物2記載の事項を適用することにより、当業者が容易に想到できたものといわざるをえない。
(2)相違点2について
回転部材に雄ネジを切って軸体の内周面に形成された雌ネジに螺合させて回転させることも、回転部材に雌ネジを切って軸体の外周面に形成された雄ネジに螺着させて回転させることも従来から周知であり、互換性を有するから回転部材として引用発明のボルトからなる枠拡縮ねじに代え、ナットを用いるとともに軸体の外周面にネジを形成し該ナットを螺着させるようにする点は設計事項である。
以上のとおり、相違点2に係る本願発明の構成は単なる設計事項にすぎない。
(3)本願発明の進歩性の判断
相違点1,2に係る本願発明の構成を採用することは当業者にとって想到容易であり、これら構成を採用したことによる格別の作用効果を認めることもできない。
したがって、本願発明は引用発明及び引用例2記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条2項の規定により特許を受けることができない。

第3 むすび
本願発明が特許を受けることができない以上、本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶を免れない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-03-15 
結審通知日 2007-03-20 
審決日 2007-04-02 
出願番号 特願2001-233401(P2001-233401)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B41F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 中澤 俊彦  
特許庁審判長 津田 俊明
特許庁審判官 尾崎 俊彦
藤井 靖子
発明の名称 スクリーン印刷方法及びセラミック製配線基板の製造方法、並びにスクリーン印刷用マスク  
代理人 加藤 和久  
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