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審決分類 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1160147
審判番号 不服2003-25163  
総通号数 92 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-08-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-12-25 
確定日 2007-07-05 
事件の表示 特願2002-545049「携帯用通信端末を利用した情報収集方法」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 8月22日国際公開、WO02/65302〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、2001年7月13日(優先権主張2001年2月14日、日本国(特願2001-36472)、2001年3月6日、日本国(PCT/JP01/01723)、2001年6月5日、日本国(PCT/JP/01/04738))を国際出願日とする出願であって、 平成15年11月19日付けで拒絶査定がされ、これに対し、平成15年12月25日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同年同日付けで手続補正がなされたものである。


2.平成15年12月25日付けの手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]

平成15年12月25日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]

(1)補正の内容
本件補正によると、その特許請求の範囲は、次のとおり補正された。

「【請求項1】
情報処理装置により、クライアントからの依頼に応じた情報の作成と情報に対応するアドレス情報の割当てが行われ、携帯電話からのアドレス情報のみを入力した空メールを受取ると、空メールに情報閲覧URLを付加した返信メールを前記携帯電話に送信する工程と、
前記情報処理装置の情報登録部により、クライアントの属性情報をクライアント情報管理データベースに登録し、前記携帯電話を使用するユーザの属性情報を個人情報管理データベースに登録する工程と、
前記ユーザの属性情報を前記携帯電話のe-mailアドレスを用いて管理する工程とを有し、
前記返信メールに付加された前記情報閲覧URLがクリックされることにより、前記携帯電話を使用するユーザの認証が行われる
ことを特徴とする携帯用通信端末を利用した情報収集方法。
【請求項2】
前記情報処理装置により、前記アドレス情報としてe-mailアドレスを割当てる工程と、前記携帯電話により、表示又は告知媒体を介して表示又は告知される前記e-mailアドレスを入力して空メールを送信するとともに、返信メールの情報閲覧URLを用いてダウンロードされた情報に必要事項を入力する工程と、前記情報処理装置により、入力された情報の回答を蓄積し、回答の集計結果をクライアントに送信又は送付する工程と
を有することを特徴とする請求項1に記載の携帯用通信端末を利用した情報収集方法。
【請求項3】
前記情報処理装置の情報自動作成支援部により、クライアントが希望する情報の作成支援を行う様々なテンプレートを提供する工程を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の携帯用通信端末を利用した情報収集方法。
【請求項4】
前記情報処理装置のアドレス自動割付部により、情報の作成と同時にアドレス情報が割当てられる工程を有することを特徴とする請求項1?3のいずれかに記載の携帯用通信端末を利用した情報収集方法。
【請求項5】
前記情報処理装置の情報登録部により、前記情報の回答を情報管理データベースに登録するとともに、割当てられたアドレス情報を用いて管理する工程を有することを特徴とする請求項1?4のいずれかに記載の携帯用通信端末を利用した情報収集方法。
【請求項6】
前記情報処理装置により、返信メールに他のクライアントの情報閲覧URLを背負わせる工程を有することを特徴とする請求項1?5のいずれかに記載の携帯用通信端末を利用した情報収集方法。
【請求項7】
前記情報処理装置のターゲット設定部により、他のクライアントからのアクセスに対し、ターゲット設定用のテンプレートを提供し、ターゲット設定用のテンプレートを用いて必要な項目がチェックされると、ターゲットの情報が作成される工程と、前記情報処理装置のマッチング部により、前記携帯電話を使用するユーザのマッチングがとられるとともに、そのマッチされた情報のリストアップが行われる工程とを有することを特徴とする請求項6に記載の携帯用通信端末を利用した情報収集方法。
【請求項8】
前記他のクライアントの広告を背負わせる工程を有することを特徴とする請求項6又は7に記載の携帯用通信端末を利用した情報収集方法。
【請求項9】
前記情報は、マーケティング(プロモーション)であることを特徴とする請求項1?8のいずれかに記載の携帯用通信端末を利用した情報収集方法。
【請求項10】
前記情報は、注文の手続きフォームであることを特徴とする請求項1?8のいずれかに記載の携帯用通信端末を利用した情報収集方法。
【請求項11】
前記情報は、くじ・ギャンブルの手続きフォームであることを特徴とする請求項1?8のいずれかに記載の携帯用通信端末を利用した情報収集方法。
【請求項12】
前記情報は、投票フォームであることを特徴とする請求項1?8のいずれかに記載の携帯用通信端末を利用した情報収集方法。
【請求項13】
前記情報は、ポイント集めのプロモーションであることを特徴とする請求項1?8のいずれかに記載の携帯用通信端末を利用した情報収集方法。
【請求項14】 前記情報は、チケットの手続きフォームであることを特徴とする請求項1?8のいずれかに記載の携帯用通信端末を利用した情報収集方法。
【請求項15】
前記情報は、商品の感想であることを特徴とする請求項1?8のいずれかに記載の携帯用通信端末を利用した情報収集方法。
【請求項16】
前記情報は、あだ名符号の登録によって得られることを特徴とする請求項1?8のいずれかに記載の携帯用通信端末を利用した情報収集方法。」

(2)補正の適否

以下、本件補正が、特許法第17条の2第4項第2号に規定する補正の目的の規定に該当するか否かについて検討する。

本件補正前の補正である平成15年7月15日付け手続補正書の特許請求の範囲は、次のように記載されている。

「【請求項1】
情報処理装置により、クライアントからの依頼に応じた情報の作成と情報に対応するアドレス情報の割当てが行われ、携帯電話からのアドレス情報のみを入力した空メールを受取ると、空メールに情報閲覧URLを付加した返信メールを前記携帯電話に送信する工程を備えることを特徴とする携帯用通信端末を利用した情報収集方法。
【請求項2】
前記情報処理装置により、前記アドレス情報としてe-mailアドレスを割当てる工程と、前記携帯電話により、表示又は告知媒体を介して表示又は告知される前記e-mailアドレスを入力して空メールを送信するとともに、返信メールの情報閲覧URLを用いてダウンロードされた情報に必要事項を入力する工程と、前記情報処理装置により、入力された情報の回答を蓄積し、回答の集計結果をクライアントに送信又は送付する工程と
を有することを特徴とする請求項1に記載の携帯用通信端末を利用した情報収集方法。
【請求項3】
前記情報処理装置の情報自動作成支援部により、クライアントが希望する情報の作成支援を行う様々なテンプレートを提供する工程を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の携帯用通信端末を利用した情報収集方法。
【請求項4】
前記情報処理装置のアドレス自動割付部により、情報の作成と同時にアドレス情報が割当てられる工程を有することを特徴とする請求項1?3のいずれかに記載の携帯用通信端末を利用した情報収集方法。
【請求項5】
前記情報処理装置の情報登録部により、クライアントの属性情報をクライアント情報管理データベースに登録し、前記携帯電話を使用するユーザの属性情報を個人情報管理データベースに登録する工程を有することを特徴とする請求項1?4のいずれかに記載の携帯用通信端末を利用した情報収集方法。
【請求項6】
前記ユーザの属性情報を前記携帯電話のe-mailアドレスを用いて管理する工程を有することを特徴とする請求項5に記載の携帯用通信端末を利用した情報収集方法。
【請求項7】
前記情報処理装置の情報登録部により、前記情報の回答を情報管理データベースに登録するとともに、割当てられたアドレス情報を用いて管理する工程を有することを特徴とする請求項2?6のいずれかに記載の携帯用通信端末を利用した情報収集方法。
【請求項8】
前記情報処理装置により、返信メールに他のクライアントの情報閲覧URLを背負わせる工程を有することを特徴とする請求項1?7のいずれかに記載の携帯用通信端末を利用した情報収集方法。
【請求項9】
前記情報処理装置のターゲット設定部により、他のクライアントからのアクセスに対し、ターゲット設定用のテンプレートを提供し、ターゲット設定用のテンプレートを用いて必要な項目がチェックされると、ターゲットの情報が作成される工程と、前記情報処理装置のマッチング部により、前記携帯電話を使用するユーザのマッチングがとられるとともに、そのマッチされた情報のリストアップが行われる工程とを有することを特徴とする請求項8に記載の携帯用通信端末を利用した情報収集方法。
【請求項10】
前記他のクライアントの広告を背負わせる工程を有することを特徴とする請求項8又は9に記載の携帯用通信端末を利用した情報収集方法。
【請求項11】
前記情報は、マーケティング(プロモーション)であることを特徴とする請求項1?10のいずれかに記載の携帯用通信端末を利用した情報収集方法。
【請求項12】
前記情報は、注文の手続きフォームであることを特徴とする請求項1?10のいずれかに記載の携帯用通信端末を利用した情報収集方法。
【請求項13】
前記情報は、くじ・ギャンブルの手続きフォームであることを特徴とする請求項1?10のいずれかに記載の携帯用通信端末を利用した情報収集方法。
【請求項14】
前記情報は、投票フォームであることを特徴とする請求項1?10のいずれかに記載の携帯用通信端末を利用した情報収集方法。
【請求項15】
前記情報は、ポイント集めのプロモーションであることを特徴とする請求項1?10のいずれかに記載の携帯用通信端末を利用した情報収集方法。
【請求項16】
前記情報は、チケットの手続きフォームであることを特徴とする請求項1?10のいずれかに記載の携帯用通信端末を利用した情報収集方法。
【請求項17】
前記情報は、商品の感想であることを特徴とする請求項1?10のいずれかに記載の携帯用通信端末を利用した情報収集方法。
【請求項18】
前記情報は、あだ名符号の登録によって得られることを特徴とする請求項1?10のいずれかに記載の携帯用通信端末を利用した情報収集方法。」

本件補正は、補正前の請求項1、請求項5を削除して、補正前の請求項1を引用する補正前の請求項5を引用する補正前の請求項6(以下、「補正前の請求項6」という。)を請求項1とし、さらに、補正前の請求項6に係る発明について、「前記返信メールに付加された前記情報閲覧URLがクリックされることにより、前記携帯電話を使用するユーザの認証が行われること」を追加するものである。
そして、補正前の請求項2-4は、それぞれ、本件補正の請求項2-4に対応し、補正前の請求項7-18は、本件補正の請求項5-16に対応する。

(a)本件補正における請求項1について

本件補正により請求項1において、「前記返信メールに付加された前記情報閲覧URLがクリックされることにより、前記携帯電話を使用するユーザの認証が行われること」が追加された。
しかしながら、上記追加された事項は、補正前の請求項6の「情報収集方法」の発明特定事項である「情報処理装置により、・・中略・・前記携帯電話に送信する工程」、「前記情報処理装置の情報登録部により、・・中略・・前記携帯電話を使用するユーザの属性情報を個人情報管理データベースに登録する工程」、「前記ユーザの属性情報を前記携帯電話のe-mailアドレスを用いて管理する工程」のいずれかの工程の機能を概念的により下位に限定するものではないから、上記事項を追加するということは、実質的には、補正前の請求項6の「情報収集方法」に、「前記返信メールに付加された前記情報閲覧URLがクリックされることにより、前記携帯電話を使用するユーザの認証が行われる」工程を追加するものである。
そして、当該工程は、補正前の請求項6に係る「情報収集方法」の発明特定事項である「情報処理装置により、・・中略・・前記携帯電話に送信する工程」、「前記情報処理装置の情報登録部により、・・中略・・前記携帯電話を使用するユーザの属性情報を個人情報管理データベースに登録する工程」、「前記ユーザの属性情報を前記携帯電話のe-mailアドレスを用いて管理する工程」と同位にあり、かつ、補正前の請求項6の「情報収集方法」が具備する工程の一つとして位置づけられることは明らかである。

そうすると、上記追加された事項を含む本件補正は、補正前の請求項6に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものではないから、特許法17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものとはいえない。
また、上記追加された事項を含む本件補正が、同第1号の請求項の削除、同3号の誤記の訂正、同第4号の明りょうでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る)のいずれを目的とするものでもないことは、明らかである。


以上のとおり、本件補正は特許法第17条の2第4項各号の規定に適合するものではないから、同法第159条第1項で準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


3.本願発明について

平成15年12月25日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成15年7月15日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。

「情報処理装置により、クライアントからの依頼に応じた情報の作成と情報に対応するアドレス情報の割当てが行われ、携帯電話からのアドレス情報のみを入力した空メールを受取ると、空メールに情報閲覧URLを付加した返信メールを前記携帯電話に送信する工程を備えることを特徴とする携帯用通信端末を利用した情報収集方法。」

(1)引用刊行物

原査定の拒絶の理由に引用された竹田津恩著,「SOHO環境でのメールサーバの運用2」,LAN TIMES, 日本,ソフトバンク株式会社,1998年12月1日,第8巻,第12号,p.154?158(以下、「引用刊行物1」という。)には、図面と共に、以下の記載がある。

「さて今回は自前のメールサーバを持っているメリット,IMail Serverを使っての,より高度なメールサービスの利用法について紹介してみよう。」(第154頁左欄第1行?同頁同欄第4行)

「[自動応答の設定]
メールサービスの中で,設定しておくと便利なサービスの1つに自動応答がある。これは利用者が特定のメールアドレスにメールを送信すると,あらかじめ用意しておいたメッセージを自動的に送り返すサービスで,お知らせやカタログの請求などを自動化することができる。
この自動応答にはいくつかの方法があるのだが,メッセージを用意してメールが送られてきたらそれを返すという方法が最も単純だろう。IMail Serverではこの自動応答を情報マネージャで設定する。
自動応答を行うには,まずそれを受け取るメールアカウントを作成しておく必要がある。ここでは「info」(正式なメールアドレスは「info@mail.artsoftworks.or.jp」)を例としてみよう。

●自動応答の設定
(1)NTに管理者権限でログオン
(2)「IMailアドミニストレータ」を起動する
(3)左リスト内の「LocalSystem」「Virtual Domains」「(メールサーバ名)「Users」から自動応答を受け付けるアカウント(ここでは「info」)を選択
(4)右リストの「情報マネージャ」タブを選択する(画面2)
(5)「サブエリア」が「main」となっているのを確認する
(6)「このサブエリアで情報マネージャを使用可能にする」をチェックする
(7)「メッセージ」に自動応答で送り返すメッセージを記述する。メッセージの最初の1行は送り返すメールのSubjectとなる(半角で80文字以内)
(8)「適用」で設定を保存する
(9)クライアントから「info@mail.artsoftworks.or.jp」にメールを送って,設定したメッセージが送り返されればOK

なお,受け付け用のメールのアカウントは通常それ専用としておくことが望ましい。というのも,このアカウントから送ったメールに返信すると,自動応答メッセージが送られることになってしまうからだ。
上記の方法が自動応答の基本的な設定だが,これだけでは1種類のメッセージしか送り返せない。ではカタログで商品ごとにメッセージを用意しておいて自動応答で使い分ける,といった使い方をしたい場合にはどうしたらいいだろうか。もちろんメッセージ毎にアカウントを用意してもいいのだが,メッセージが多いとアカウントも膨れあがってしまう。」(第155頁左欄第12行?第155頁中欄第32行)


これらの記載によれば、引用刊行物1には、
「メールサーバにおける自動応答方法について、
メールアカウント(メールアドレス)を作成し、
自動応答を受け付けるメールアカウントを選択し、
当該メールアカウントに対して、自動応答で送り返すメッセージを作成し、
利用者が当該メールアドレスにメールを送ると、当該メールアドレスに対応した前記メッセージが利用者に自動的に送り返されるものであって、
商品ごとにメッセージを用意しておいて、メッセージ毎にメールアカウント(メールアドレス)を用意するメールサーバにおける自動応答方法。」の発明(以下「引用刊行物1発明」という。)が記載されているものと認めることができる。


原査定の拒絶の理由において、周知技術として引用された特開平10-214260号公報(以下、「引用刊行物2」という。)には、図面と共に、以下の記載がある。

「【0009】また、図2中の動作120では、クライアントマシン上でコンパイルおよびリンケージを行ったアンケート自動集計モジュールを即座に起動し、動作130では、議長が名付けたアンケート名およびアンケート自動集計モジュールのアドレスを明記した開催通知を、アンケートオプションに設定されたメンバのメールアドレスを基にメンバに配布する。動作140では、メンバが動作130で配布された開催通知メールを参照して、メール内のアドレスからWWWサーバ60上のアンケート自動集計ソフト70に登録されたアンケート自動集計プログラムを即座に起動したところを示している。
【0010】動作150では、メンバはWWWブラウザ上に呼出したアンケートに対して回答を行っている。動作160では、メンバがWWWブラウザ上からアンケートをWWWサーバ60上のアンケート自動集計ソフト70に対し、送信するところを示している。動作170では、メンバから送られたアンケートを、WWWサーバ60上のアンケート自動集計ソフト70が解析し、該当するアンケート自動集計プログラムを起動して、アンケート用紙内の集計オプションに従い集計を行うところを示している。」(第3頁第3欄第13行?第34行)

「【0015】図5は、アンケート自動集計プログラム生成・登録機能のフローチャートである。ステップ250でアンケート自動集計プログラムアドレスの新規登録を行う。ステップ251ではアドレスの重複チェックを行い、エラーでなければアンケート自動集計ソフトに登録する(ステップ252)。エラーであれば、ステップ257に示す如く、エラーメッセージを表示し、再度、アンケート自動集計プログラムアドレスの新規登録を行えるようにする。ステップ253では、メンバリストが(図4に示した動作で)作成されているか否かをチェックし、作成されていれば、ステップ254のメンバセキュリティの登録,ステップ255のメール文書の開催通知の生成,ステップ256のメンバへの開催通知のメール送付を行う。
【0016】図6は、アンケート回答機能のフローチャートである。図6において、メンバからWWWブラウザ経由でアンケート自動集計プログラムがコールされた場合、ステップ260でメンバセキュリティの登録有無のチェックを行い、登録されていればステップ263のログイン画面を表示して、セキュリティチェックを行う(ステップ264)。ログインNGであれば、ステップ265でエラーメッセージ表示を行う。また、ステップ260のメンバセキュリティの登録有無のチェックで登録されていない場合は、ステップ261でユーザはアンケーの回答を行い、ステップ262でアンケート送付を行う。」(第3頁第4欄第25行?第50行)


(2)対比

そこで、本願発明と引用刊行物1発明とを対比する。
引用刊行物1発明の自動応答で送り返す「メッセージを作成」することは、本願発明の「情報の作成」に相当する。
引用刊行物1発明の「メールアカウント(メールアドレス)」は、商品ごとに用意されたメッセージ毎に用意されるものであることから、本願発明の「情報に対応するアドレス情報」に相当する。
引用刊行物1発明の「メールサーバ」は、当該メールサーバにより、メールアカウント(メールアドレス)を作成し、自動応答を受け付けるメールアカウントを選択するものであり、結果、メールアカウントが割当てが行われ、自動応答で送り返すメッセージの作成を行うものであるから、本願発明の「情報処理装置」に相当する。
引用刊行物1発明の「利用者」は、メールを送り、自動応答のメッセージを送り返されることから、メールを送受信できる端末を有することは明らかであり、当該端末は、本願発明の「携帯電話」及び「携帯用通信端末」と、「通信端末」という点で一致する。
引用刊行物1発明の「利用者」からの「メール」は、アドレス情報が入力されていることは明らかであり、本願発明の「空メール」に対応し、「通信端末からのアドレス情報を入力したメール」という点で一致する。
引用刊行物1発明の「メールサーバ」によって自動応答される「メッセージ」は、返信されるメールに付加されたものであるから、本願発明の「情報閲覧URL」に対応し、「情報」という点で一致する。
引用刊行物1発明の「メールサーバ」は、利用者からのメール(アドレス情報が入力されていることは明らかである。)が送られると,作成したメッセージを自動的に利用者に送り返すものであるから、本願発明と、「通信端末からのアドレス情報を入力したメールを受取ると、メールに情報を付加した返信メールを前記通信端末に送信する工程を備える」点で一致する。
引用刊行物1発明のメールサーバにおける「自動応答方法」は、商品ごとのメッセージ(情報)を用意しておき、当該メッセージを返信するものであるから、本願発明の「情報収集方法」とは、「情報を扱う方法」という点で一致する。


以上を総合して、両者は、
「情報処理装置により、情報の作成と情報に対応するアドレス情報の割当てが行われ、通信端末からのアドレス情報を入力したメールを受取ると、メールに情報を付加した返信メールを前記通信端末に送信する工程を備えることを特徴とする通信端末を利用した情報を扱う方法。」の点で一致し、以下の点で相違している。


[相違点1]本願発明では、情報の作成について、クライアントからの依頼に応じた情報の作成とするのに対して、引用刊行物1発明では、クライアントからの依頼に応じた情報の作成か明確ではない点。

[相違点2]本願発明は、通信端末が、携帯電話(携帯用通信端末)であるのに対して、引用刊行物1発明では、どのような通信端末か不明である点。

[相違点3]本願発明では、メールについて、アドレス情報のみを入力した空メールであるのに対して、引用刊行物1発明では、アドレス情報のみを入力した空メールであるのか明確でない点。

[相違点4]本願発明では、返信メールに付加される情報は情報閲覧URLであり、情報を扱う方法は情報収集方法であるのに対して、引用刊行物1発明では、返信メールに付加される情報は商品ごとのメッセージであり、情報を扱う方法は自動応答方法である点。


(3)当審の判断

[相違点1]について
情報処理装置において、クライアントからの依頼に応じて情報の作成を行うことは一般的であるから、 引用刊行物1発明の情報の作成について、クライアントからの依頼に応じた情報の作成とすることに格別な困難性は認められず、当業者が適宜なし得る事項である。

[相違点2]について
通信端末として、携帯電話(携帯用通信端末)(メール機能とブラウザ機能を有する。)を用いることは、「図解でわかるケータイマーケティング」、株式会社博報堂インタラクティブカンパニー、小野達人他2名著、日本能率協会マネジメントセンター、初版、2000年10月1日発行、第22頁及び「携帯電話向け広告サービス 親指族動かす新販促ツール クリック率24%、驚きの効果に活用進む」、太田憲一郎著、日経ネットビジネス NO.68、日経BP社、2001年2月10日発行、第80?83頁(特に、第81頁中欄「今回のキャンペーンでは告知から応募、さらに、チケットを届けるまでを携帯電話で完結させた。・・中略・・その後、当選の通知が電子メールで携帯電話に届く。電子メール内のURLをクリックすると、携帯電話の画面に試写会のチケットが表示される。」参照。)に示されるように、周知技術である。
したがって、引用刊行物1発明において上記周知技術を適用して、通信端末を携帯電話(携帯用通信端末)とすることは、当業者が適宜なし得ることである。

[相違点3]について
引用刊行物1発明において、利用者は所定のメールアドレスにメールを送信することにより当該メールアドレスに対応したメッセージを得ることができるものであって、当該メールに必要とされる情報は当該メールアドレスだけであることは明らかである。
そして、メールについて、アドレス情報のみを入力した空メールを送信して、情報を取得することは、「MacでCLOS 7 MCLによるカラーグラフィックス」、上田雅哉著、Computer Today、株式会社サイエンス社、1994年1月1日発行、第11巻、第1号、第55頁(右欄第1?6行「ここに直接ftpできない方には,9月号で紹介したように、”mcl-etc-request@shpitl.shpcsl.sharp.co.jp”を通じて配布致します。ここに先ず空メールを送っていただければ、配布されるファイルの一覧と説明が返送されるようになっています。」参照。)、「ダイアルアップユーザーのためのインターネット情報収集術」,古俣信行著,INTERNET Surfer,日本,エーアイ出版株式会社,1996年11月 1日,第1巻,第6号,p.86?93(特に、第90頁左欄「メーリングリストの入会方法にはガイドを取り寄せる場合と異なり、自動で登録する場合と手動の場合の両方がある。当然、手動で登録しているところに空メールやコマンドメールを送ったりしたら失礼になってしまう。」参照。)及び「インターネット情報提供 電子メール新聞創刊」、日刊工業新聞、1996年7月12日発行、第7頁(「なお、現在、創刊号を無料で配信しており、希望者は空メール(内容は書かない)でsample@cyber-infinite.comまで。」参照。)に示されるように周知技術である。
したがって、引用刊行物1発明において、上記周知技術を適用して、メールを、アドレス情報のみを入力した空メールとすることは、当業者が適宜なし得ることである。

[相違点4]について
メールに情報を付加する際に、情報として情報閲覧URLを用い、情報を扱う方法として通信端末を利用した情報収集方法は、引用刊行物2(メンバは、メンバに配布されたメール内のアンケート自動集計モジュールのアドレスからWWWサーバ60上のアンケート自動集計ソフト70に登録されたアンケート自動集計プログラムを即座に起動することができるから、「アンケート自動集計モジュールのアドレス」は、「URL」であることは明らかである。)、「ソニーやニフティも参戦”必ず届く”電子メール広告」,松本敏明著,日経マルチメディア,日本,日経BP社,1998年7月15日発行,第37号,p.88?93(特に、第91頁右欄「読者の属性を指定できる「Jmail」」の項、図2、第92頁「広告に対する反応を集計できる」項を参照。)、特開2000-298691号公報(段落【0022】-段落【0025】、第7図、「顧客5が一応の興味を示した項目(商品名等)を示したデータが蓄積されていく。」参照。)及び特開平11-175617号公報(段落【0070】及び段落【0077】(アクセス履歴データベース405に関する記載参照。)、段落【0101】-段落【0106】、段落【0167】及び第14図(メールにURLが付加されている。)、第18図(18dは、アンケートが記載されている。)参照。)に示されるように周知技術である。

したがって、引用刊行物1発明において、上記周知技術を適用して、返信メールに付加される情報について情報閲覧URLとし、情報を扱う方法として情報収集方法とすることは、当業者が適宜なし得る事項である。

そして、本願発明の作用効果も、引用刊行物1発明及び周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。

したがって、本願発明は、引用刊行物1発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものである。


(4)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用刊行物1発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2007-05-07 
結審通知日 2007-05-08 
審決日 2007-05-21 
出願番号 特願2002-545049(P2002-545049)
審決分類 P 1 8・ 572- Z (G06F)
P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小林 義晴  
特許庁審判長 大野 克人
特許庁審判官 竹井 文雄
小林 正明
発明の名称 携帯用通信端末を利用した情報収集方法  
代理人 堀 城之  

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