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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録(定型) H04M
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 取り消して特許、登録(定型) H04M
管理番号 1161613
審判番号 不服2005-9923  
総通号数 93 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-09-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-05-26 
確定日 2007-08-17 
事件の表示 平成 8年特許願第 4595号「移動電話機」拒絶査定不服審判事件〔平成 9年 7月31日出願公開、特開平 9-200316、請求項の数(1)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、平成8年1月16日の出願であって、平成17年4月20日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年5月26日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに同年6月24日付けで手続補正がなされたものである。

第2.補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成17年6月24日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1.本願発明と補正後の発明
上記手続補正(以下、「本件補正」という。)は、特許請求の範囲の請求項1について、補正前の
「 通信コストが異なる通信システムを有する電話機において、相手先1件に対して複数の電話番号が記憶されている記憶手段と、前記記憶手段に記憶されている第1の電話番号を用いて呼び出し信号を発信する発信手段と、前記発信手段によって発信した電話番号による通話が可能かどうかを判別するための通話判別手段と、前記通話判別手段によって通話できないと判別されたときには前記記憶手段に記憶されている同じ相手先の次の電話番号を表示する表示手段と、前記表示手段に次の電話番号を表示した場合には自動で発信するかどうかを判別する判別手段とを備えることを特徴とする電話機。」
という発明(以下、「本願発明」という。)を、
「 通信方式が異なる通信システム毎に電話番号を有する移動電話機において、これらの電話番号が記憶されている記憶手段と、前記記憶手段に記憶されている第1の電話番号を用いて呼び出し信号を発信する発信手段と、前記発信手段によって発信した電話番号による通話が可能かどうかを判別するための通話判別手段と、前記通話判別手段によって通話できないと判別されたときには前記記憶手段に記憶されている同じ相手先の次の電話番号を表示する表示手段と、前記表示手段に表示された次の電話番号にもとづいて通話する通話手段とを備える移動電話機。」
という発明(以下、「補正後の発明」という。)に補正することを含むものである。

2.補正の適否
そこで本件補正が、特許法第17条の2第4項に規定する各要件に適合しているか否か、を以下に検討する。

本件補正は分節すれば、
(a)「電話機」に関して、これを「移動電話機」と補正し、
(b)その電話機の「通信システム」に関連して、「通信コストが異なる通信システムを有する」点を、「通信方式が異なる通信システム毎に電話番号を有する」と補正し、
(c)その「記憶手段」に関して、「相手先1件に対して複数の電話番号が記憶されている」点を、「これらの電話番号が記憶されている」と補正し、
(d)その「表示手段に次の電話番号を表示した場合」の動作手段に関連して、「前記表示手段に次の電話番号を表示した場合には自動で発信するかどうかを判別する判別手段」を備える点を、「前記表示手段に表示された次の電話番号にもとづいて通話する通話手段」を備えると補正するものである。

まず、上記補正項目(a)の「電話機」を「移動電話機」とする補正は、電話機をその下位概念の一類型である「移動」電話機とするものであるから、特許請求の範囲を減縮するものである。

つぎに、上記補正項目(b)の「通信システム」に関連する補正は、
「通信コストが異なる通信システム」を、「通信方式が異なる通信システム」とする補正を含むものであるが、
通信システムの「通信コスト」と「通信方式」は全く別個の概念であって、「通信コストが異なる通信システム」であっても同じ「通信方式」を採用することもできれば、逆に「通信方式が異なる通信システム」であっても「通信コスト」を同一に設定することも可能であるから、その技術的範囲を限定ではなく変更するものであって、特許請求の範囲を減縮するものと言うことはできない。
また、上記補正項目(b)は、電話機が有する対象物を「通信システム」そのものから、「電話番号」に補正する事も含むものであるが、これも明らかな概念の変更であって限定でもなく、到底特許請求の範囲を減縮するものと言うことはできない。

更に、上記補正項目(c)は、「記憶手段」に記憶されている「電話番号」に関する「相手先1件に対して複数の」という要件を削除するものであって、前段の補正項目(a)の「通信方式が異なる通信システム毎に電話番号を有する」という要件を勘案しても、補正前の「相手先1件に対して複数の電話番号が記憶されている」と言う要件を削除して拡張ないし少なくとも変更するものであるから、これも特許請求の範囲を減縮するものと言うことはできない。

そして、上記補正項目(d)の、「次の電話番号を表示した場合」の動作に関する補正も、「自動で発信するかどうかを判別する判別手段」を「通話する通話手段」に補正するものであり、「判別」と「通話」は明らかに別種の動作である以上、これも特許請求の範囲を減縮するものと言うことはできない。
なお、この補正項目に関して審判請求人はその請求の理由において、「自動?」という不明瞭な記載を明瞭にするものである旨を主張するが、上記のような技術的概念の限定ではない変更を含む以上、これを認めることはできない。

また、本件補正は請求項の削除ではなく、上記各補正項目に関しても誤記の訂正または明りょうでない記載の釈明を目的とするものでもない。

したがって、以上を総合すれば本件補正は、特許法第17条の2第4項に掲げる何れの事項をも目的としないから、本件補正は、特許法第17条の2第4項の規定に適合せず、特許法第159条第1項において準用する特許法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3.本願発明について
平成17年6月24日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願発明は上記「第2.補正却下の決定」の項中の「1.本願発明と補正後の発明」の項で「本願発明」として認定したとおりである。

そして、本願については、原査定の拒絶理由を検討しても、その理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2007-08-07 
出願番号 特願平8-4595
審決分類 P 1 8・ 121- WYF (H04M)
P 1 8・ 572- WYF (H04M)
最終処分 成立  
前審関与審査官 吉村 博之山中 実  
特許庁審判長 石井 研一
特許庁審判官 萩原 義則
梶尾 誠哉
発明の名称 移動電話機  

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