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審決分類 審判 訂正 4項(134条6項)独立特許用件 訂正しない A47G
審判 訂正 (特120条の4,3項)(平成8年1月1日以降) 訂正しない A47G
審判 訂正 2項進歩性 訂正しない A47G
管理番号 1162054
審判番号 訂正2005-39234  
総通号数 93 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-09-28 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2005-12-22 
確定日 2007-08-10 
事件の表示 特許第3399951号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続きの経緯
本件特許第3399951号は、平成5年3月23日の出願に係り、平成15年2月21日に設定登録されたものであって、その後、テサ・アクチエンゲゼルシャフトにより、平成15年10月28日付けで特許異議の申し立てがなされ、平成16年11月4日付けで当審より特許の取消理由が通知され、これに対し特許権者(本件訂正審判の請求人)より、平成17年5月12日付けで特許異議意見書及び訂正請求書が提出された後、平成17年6月6日付けで、当審により「訂正を認める。特許第3399951号の請求項1ないし2に係る特許を取り消す。」との異議決定がなされた。
そして、平成17年10月18日に、知財高等裁判所にこの異議決定の取消を求める訴え(平成17年(行ケ)第10743号)が提起され、その訴え提起後、平成17年12月22日付けで本件訂正審判の請求がなされた。
これに対し、平成18年2月9日付けで当審より訂正拒絶理由が通知され、指定期間内である平成18年4月5日付けで、請求人より意見書が提出されたものである。

2.請求の要旨及び訂正事項(イ)
本件審判の請求の要旨は、特許第3399951号発明の明細書を審判請求書に添付した訂正明細書のとおりに訂正しようとするものである。
そして、本件訂正審判の請求に係る訂正事項のうち、訂正事項(イ)は、特許請求の範囲の請求項1の訂正を目的とする、以下のとおりのものである。

[訂正事項(イ)]
「【請求項1】基礎部材、
前記基礎部材に取り外し可能に結合された支持部材、
前記基礎部材に接着された引き伸ばし剥離接着テープ、及び、
前記引き伸ばし剥離接着テープを引き伸ばすための手段、
を含む、基体に接着する物品支持体であって、
前記基礎部材が前記引き伸ばし剥離接着テープによって基体に接着しているときに、前記基礎部材は前記基体の表面から約35゜以下の角度で前記引き伸ばし剥離接着テープを引っ張ることにより基体から剥がすことができる、物品支持体。」を、
「【請求項1】基礎部材、
前記基礎部材に取り外し可能に結合された支持部材、
前記基礎部材に接着された引き伸ばし剥離接着テープ、及び、
前記引き伸ばし剥離接着テープを引き伸ばすための手段、
を含む、基体に接着する物品支持体であって、
前記基礎部材と前記支持部材は相互にスライドさせて前記取り外し可能な結合を形成するためのスライド手段及び前記結合を取り外し可能に固定するための固定手段を含み、かつ、前記引き伸ばすための手段は前記基礎部材の周囲を超えて伸びており、そして前記スライド手段をスライドさせて前記支持部材を前記基礎部材から取り外す際に露出するものであり、そして
前記基礎部材が前記引き伸ばし剥離接着テープによって基体に接着しているときに、前記基礎部材は前記基体の表面から約35゜以下の角度で前記引き伸ばすための手段によって前記引き伸ばし剥離接着テープを引っ張ることにより基体から剥がすことができる、物品支持体。」(下線は訂正事項)
に訂正する。

3.訂正拒絶理由の概要
一方、平成18年2月9日付けで当審が通知した訂正拒絶理由の概要は、次のとおりである。

[訂正拒絶理由1]特許法第126条第3項(新規事項の追加)違反
「訂正事項(イ)の「前記引き伸ばすための手段は前記基礎部材の周囲を超えて伸びており、そして前記スライド手段をスライドさせて前記支持部材を前記基礎部材から取り外す際に露出する」は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内のものとは認められない。」

[訂正拒絶理由2]特許法第126条第5項(独立特許要件)違反
「仮に訂正事項(イ)の「前記引き伸ばすための手段は前記基礎部材の周囲を超えて伸びており、そして前記スライド手段をスライドさせて前記支持部材を前記基礎部材から取り外す際に露出する」が、願書に添付した明細書又は図面から読み取ることができたとしても、訂正後の請求項1に係る発明は、刊行物1(国際公開第92/11333号パンフレット)、及び刊行物2(仏国特許発明第2328429号明細書)に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができるものではない。

以下、訂正拒絶理由1ないし2について検討する。

4.訂正拒絶理由1について
「基礎部材と前記支持部材は相互にスライドさせて前記取り外し可能な結合を形成するためのスライド手段及び前記結合を取り外し可能に固定するための固定手段を含」むこと、「引き伸ばすための手段は基礎部材の周囲を超えて伸びて」いること、及び引き伸ばすための手段を「スライド手段をスライドさせて支持部材を基礎部材から取り外す」ことは、願書に添付した明細書又は図面に記載された事項の範囲内のものと認められるが、引き伸ばすための手段が「スライド手段をスライドさせて支持部材を基礎部材から取り外す際に露出する」ことについては、願書に添付した明細書又は図面に記載されているとは認められず、また、願書に添付した明細書又は図面に記載されている事項から自明なこととも認められない。

審判請求人は、平成18年4月5日付け意見書において、第6図及び10図の図示内容を根拠に、引き伸ばすための手段が「スライド手段をスライドさせて支持部材を基礎部材から取り外す際に露出する」ことが明示されている旨主張するが、願書に添付された図面は、本来、発明の具体的構成を図示してその技術的内容を理解しやすくするため、明細書の補助手段として使用される任意書面であって、明細書の記載を補完するものであり、所定の様式が定められているとはいえ、設計図面に要求されるような正確性をもって図示されるとは限らない(平成14年(行ケ)第521号判決参照)ものと解されるところ、第6図及び10図の図面を含むいずれの図面も、引き伸ばすための手段が「スライド手段をスライドさせて支持部材を基礎部材から取り外す際に露出する」ことを意図して描かれたものとは認められず、また、これらの図面がそのことを明示していると解することもできない。
そして、願書に添付した明細書に、このことを示唆する記載がない以上、本件訂正事項(イ)は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものとはいえない。

5.訂正拒絶理由2について
上記訂正事項(イ)の「前記基礎部材と前記支持部材は相互にスライドさせて前記取り外し可能な結合を形成するためのスライド手段及び前記結合を取り外し可能に固定するための固定手段を含み」は、「基礎部材と支持部材」の構成を限定しようとするものであり、「前記引き伸ばすための手段は前記基礎部材の周囲を超えて伸びており、そして前記スライド手段をスライドさせて前記支持部材を前記基礎部材から取り外す際に露出するものであり」は「引き伸ばすための手段」の構成を限定しようとするものであるから、上記訂正事項(イ)は特許請求の範囲の減縮を目的とするものと認められる。
そこで、仮に、引き伸ばすための手段が、スライド手段をスライドさせて支持部材を基礎部材から取り外す際に露出することについて、願書に添付した明細書又は図面から読み取ることができたとして、訂正後の請求項1に係る発明(以下、「本件発明」という。)が独立して特許を受けることができるものであるか否か検討する。

(1)本件発明
「基礎部材、
前記基礎部材に取り外し可能に結合された支持部材、
前記基礎部材に接着された引き伸ばし剥離接着テープ、及び、
前記引き伸ばし剥離接着テープを引き伸ばすための手段、
を含む、基体に接着する物品支持体であって
前記基礎部材と前記支持部材は相互にスライドさせて前記取り外し可能な結合を形成するためのスライド手段及び前記結合を取り外し可能に固定するための固定手段を含み、かつ、前記引き伸ばすための手段は前記基礎部材の周囲を超えて伸びており、そして前記スライド手段をスライドさせて前記支持部材を前記基礎部材から取り外す際に露出するものであり、そして
前記基礎部材が前記引き伸ばし剥離接着テープによって基体に接着しているときに、前記基礎部材は前記基体の表面から約35゜以下の角度で前記引き伸ばすための手段によって前記引き伸ばし剥離接着テープを引っ張ることにより基体から剥がすことができる、物品支持体。」

(2)引用刊行物に記載された発明
当審が平成16年11月4日付けで通知した取消理由において引用した刊行物1(国際公開第92/11333号パンフレット)には、除去可能な接着テープに関して、Fig.1?Fig.13とともに、以下の事項が記載されている。

(イ)「This invention provides removable adhesive tape comprising…less than about 35°, to the surface of the substrate.」
(本発明は、高度に伸長性であり且つ実質的に非弾性である裏地及び感圧接着剤の層を含んで成る除去可能な接着剤テープを提供する。この裏地は高い引張り強さを有し、少なくとも約150%の長手方向の破断点伸び及び延伸後約50%未満の弾性回復を有する。接着剤は通常は粘着性の感圧接着剤であり、フイルム裏地の少なくとも1つの表面に塗布される。接着剤は好ましくは高度に伸長性であり、延伸中に裏地から分離せず、そしていかなる適当な基材への接着よりも高い凝集力を有する。基材に適用された後、本発明の接着剤テープは強く結合するが、基材の表面に対して実質的に平行、すなわち約35°未満の方向に引っ張ることにより、基材に損傷を与えることなく容易に除去され得る。)(パンフレットのアブストラクト第8?14行、訳文は、同パンフレットの日本国公表公報である特表平6-504077号公報の第1頁左欄第17行?第2頁左上欄第9行、以下同様。)

(ロ)「The tape in FIG. 2 is a double-coated tape…easy removal from substrates to which it will be subsequently adhered.」
(図2のテープは両面テープである。図2のテープは、両主表面に接着剤層34,36を担持する裏地34を有する。接着剤層34は第一の除去可能な剥離ライナー38に接着され、そして接着剤層36は第二の除去可能な剥離ライナー40に接着される。接着剤不含タブ42は接着剤層34及び36の一部分を覆い、それが接着される基材からの容易な除去のためのつまみテープ30を提供する。)(パンフレット第11頁第20?28行、日本国公表公報第5頁左下欄第8?13行)

(ハ)「By using tapes of the present invention for mounting,…in order to facilitate removal of tape 56 from wall 66.」
(取り付けのために本発明のテープを使用することにより、これらのフックは使用される間は所定位置にかたく保持され、そして望みの時に基材の表面を損傷することなく除去することができる。図3A及び3Bに示すように、取り付け具50はフック部材52及びそのための支持体54を有し、この支持体が、裏地62により担持される感圧接着剤の層58,60の1つにより両面テープ56に接着される。所望により、壁66からのテープ56の除去を容易にするために、テープ56をつまむのを可能にするようにタブ64を設けることもできる。)(パンフレット第12頁第33行?第13頁第6行、日本国公表公報第5頁右下欄第15?23行)

(ニ)「Tab 64 can be left exposed or the hook design can be such that tab 64 is concealed by support 54.」
(タブ64は露出したまま残すことができ、あるいはタブ64が支持体54によりかくされる様にフックを設計してもよい。)(パンフレット第13頁第10?11行、日本国公表公報第5頁右下欄第26行?第6頁左上欄第1行)

(ホ)「In order to remove mounting assembly 50,…yet can be removed without leaving any residue on the surface of the wall.」
(取り付け具50を除去するためには、取り付け具50の頂部のタブ64を壁66と平行の方向に引くことができる。テープ56が延伸するに従って、それは取り付け具50を壁から徐々に離す。各フックは、15ポンド/線インチを超える負荷を保持するように、なお壁の表面にいかなる残留物も残さないで除去され得るように設計することができる。)(パンフレット第13頁第17?23行、日本国公表公報第6頁左上欄第5?10行)

上記刊行物1記載事項(ニ)には、引き伸ばすためのタブ64は支持体54の周囲を超えて伸びていることが記載されているといえるから、以上の刊行物1記載事項(イ)ないし(ホ)、及び図示内容を総合すると、刊行物1には、以下の発明が記載されているものと認められる。(以下、「引用発明」という。)

「支持体54、
前記支持体54に結合されたフック部材52、
前記支持体54に接着された高度に伸長性のある両面接着剤テープ56、及び、
高度に伸長性のある両面接着剤テープ56を引き伸ばすためのタブ64、
を含む、壁66に接着する取り付け具50であって、
前記引き伸ばすためのタブ64は前記支持体54の周囲を超えて伸びており、そして、
前記支持体54が前記高度に伸長性のある両面接着テープ56によって壁に接着しているときに、前記支持体54は前記壁66の表面から約35°以下の角度で前記引き伸ばすためのタブ64によって前記高度の伸長性のある両面接着剤テープ56を引っ張ることにより壁66から剥がすことができる、取り付け具50。」

(3)対比・判断
本件発明と引用発明とを対比すると、その機能及び構成からみて、後者の「支持体54」、「フック部材52」、「高度に伸長性のある両面接着剤テープ56」、「タブ64」、「壁66」、及び「取り付け具50」は、それぞれ、前者の「基礎部材」、「支持部材」、「引き伸ばし剥離接着テープ」、「引き伸ばすための手段」、「基体」、及び「物品支持体」に相当するものと認められるから、両者は、

「基礎部材、
前記基礎部材に結合された支持部材、
前記基礎部材に接着された引き伸ばし剥離接着テープ、及び、
前記引き伸ばし剥離接着テープを引き伸ばすための手段、
を含む、基体に接着する物品支持体であって、
前記引き伸ばすための手段は前記基礎部材の周囲を超えて伸びており、そして、
前記基礎部材が前記引き伸ばし剥離接着テープによって基体に接着しているときに、前記基礎部材は前記基体の表面から約35°以下の角度で前記引き伸ばすための手段によって前記引き伸ばし剥離接着テープを引っ張ることにより基体から剥がすことができる、物品支持体。」の点で一致しており、以下の点で相違する。

(相違点1)
本件発明は、「前記基礎部材と前記支持部材は相互にスライドさせて前記取り外し可能な結合を形成するためのスライド手段及び前記結合を取り外し可能に固定するための固定手段」を備えるのに対し、引用発明は基礎部材と支持部材は一体であり、上記スライド手段ないし固定手段を備えていない点。

(相違点2)
本件発明は、引き伸ばすための手段が「前記スライド手段をスライドさせて前記支持部材を前記基礎部材から取り外す際に露出する」ものであるのに対し、引用発明はそのような構成を備えていない点。

以下、上記相違点1ないし2について検討する。
[相違点1について]
「前記基礎部材と前記支持部材は相互にスライドさせて前記取り外し可能な結合を形成するためのスライド手段」を備える構成とした場合に、このスライド手段のみでは支持部材と基礎部材の相対的な位置関係が定まらず、支持部材が基礎部材から脱落してしまう可能性があるのは当然に予測されることであるところ、上記相違点1に係る構成の「結合を取り外し可能に固定するための固定手段」とは、支持部材と基礎部材の相対的な位置関係を定め、且つ支持部材が基礎部材から脱落しないようにするための手段という意味における固定手段と認められる。
その上で上記相違点1について検討するに、基礎部材と支持部材の結合の構成として、「相互にスライドさせて前記取り外し可能な結合を形成するためのスライド手段及び前記結合を取り外し可能に固定するための固定手段」を備えることは、仏国特許発明第2328429号明細書(平成16年11月4日付けで通知した取消理由において引用した刊行物2)、実公昭42-15794号公報、実願昭61-61555号(実開昭62-171994号)のマイクロフィルム、実願昭53-157732号(実開昭55-72487号)のマイクロフィルム、及び実願昭63-68186号(実開平1-171273号)のマイクロフィルム等に記載の如く周知(以下「周知の技術手段」という。)である。
そうすると、引用発明において、上記周知の技術手段を組み合わせ、「基礎部材と支持部材は相互にスライドさせて前記取り外し可能な結合を形成するためのスライド手段及び前記結合を取り外し可能に固定するための固定手段」を備える構成とすることは当業者が容易になし得る程度のことである。

[相違点2について]
次に上記相違点2について検討するに、刊行物1記載事項(ニ)には、「タブ64は露出したまま残すことができ、あるいはタブ64が支持体54によりかくされる様にフックを設計してもよい」ことが記載されている。即ち、物品支持体が壁に固定されているときに、引き伸ばすための手段が露出する、あるいは、隠されるようにすることが記載されている。
審判請求人は、平成18年4月5日付け意見書において、刊行物1記載のタブ64が支持体54により隠されるようにすれば、使用者にとってタブ64をつかむのが困難になり、本件発明の、物品支持体が「迅速に剥がせる」(本願の願書に添付された明細書第1ページ第4?5行)という目的に反するので、上記記載事項(ニ)は本件発明の、引き伸ばすための手段が「スライド手段をスライドさせて前記支持部材を前記基礎部材から取り外す際に露出する」という技術的特徴を開示ないし示唆するものではない(意見書第9ページ第22行?第10ページ第3行)旨主張するが、上記記載事項(ニ)は、少なくとも、引き伸ばすための手段を、支持部材によって隠されるように設計するという動機付けを示唆していることは明白である。
引用発明において、上記相違点1についての判断で示したとおり、上記周知の技術手段を組み合わせて、「基礎部材と支持部材は相互にスライドさせて前記取り外し可能な結合を形成するためのスライド手段及び前記結合を取り外し可能に固定するための固定手段」を備えたものとしたときに、引き伸ばすための手段が、基礎部材に結合した支持部材によって隠されるように設計するか、或いは基礎部材に結合した支持部材から露出するように設計するかは、そもそも、物品支持体の剥がし易さや、外観等を考慮して、適宜選択し得る程度の事項であるところ、上記記載事項(ニ)によって示唆される事項も考慮すれば、引き伸ばすための手段が「スライド手段をスライドさせて前記支持部材を前記基礎部材から取り外す際に露出する」構成とすることは当業者による設計的事項にすぎない。
更に審判請求人は、同意見書において、刊行物1には、本件発明の「基礎部材に取り外し可能に結合された支持部材、前記基礎部材と前記支持部材は相互にスライドさせて前記取り外し可能な結合を形成するためのスライド手段及び前記結合を取り外し可能に固定するための固定手段を含み、かつ、前記引き伸ばすための手段は前記基礎部材の周囲を超えて伸びており、そして前記スライド手段をスライドさせて前記支持部材を前記基礎部材から取り外す際に露出するものである」という組み合わせについて、何ら開示も示唆もされていない(同意見書第10ページ第4?9行)旨、また、これらの組み合わせによって、本件発明が、引き伸ばすための手段が実質上支持部材の陰に隠されるようにされた場合において、「迅速に剥がせるようにした物品支持体が提供されること」及び「基礎部材及び支持部材として各々の目的に従って最適化された材料を使用した物品支持体が提供されること」という格別に優れた効果が確実に得られる(同意見書第11ページ第11?15行)旨主張するが、上記本件発明の各構成要素の組み合わせによって得られる、上記請求人の主張する作用効果は、引用発明、刊行物1、及び上記周知の技術手段から、当業者にとって当然予測されるものにすぎない。
よって、本件発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、出願の際独立して特許を受けることができないものである。

6.むすび
以上のとおりであるから、本件審判の請求は、特許法第126条第3項又は、同条第5項の規定に適合しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-05-01 
結審通知日 2006-05-09 
審決日 2006-05-22 
出願番号 特願平6-520973
審決分類 P 1 41・ 121- Z (A47G)
P 1 41・ 856- Z (A47G)
P 1 41・ 841- Z (A47G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 氏原 康宏山崎 勝司  
特許庁審判長 山崎 豊
特許庁審判官 稲村 正義
阿部 寛
登録日 2003-02-21 
登録番号 特許第3399951号(P3399951)
発明の名称 引き伸ばし剥離接着剤を用いる物品支持体  
代理人 西山 雅也  
代理人 加藤 憲一  
代理人 古賀 哲次  
代理人 永坂 友康  
代理人 石田 敬  

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